



アメリカの大学や大学院に合格してすぐにやってくるビザ取得手続。
意外と、インターネットにも何をしないといけないのか詳細がまとめられておらず、高額のビザ代行サービスの温床になっている。せっかくの留学予算、一人でもできるビザ取得ではなく、何かとお金のかかる留学後に使いたいものだ。
今日は、アメリカの学生ビサ取得のための手続きを全てバラしたい。
目次
学生ビザ(F1)とは

アメリカビザの種類
まずアメリカにはどんなビザがあるのか、それぞれのビザの略称(アルファベット表記)は何、を軽く押さえておこう。
アメリカのビザには、大きく分かれると「移民ビザ」と「非移民ビザ」という二種類がある。
移民ビザはアメリカに移住しようとする人が申請するもので、今日は触れないことにする。本日のフォーカスである学生ビザは「非移民ビザ」に含まれる。
一般的な非移民ビザは下記のものがある。
- 商用/観光ビザ(B-1/B-2 ビザ):ビジネス目的はB-1、観光または医療目的はB-2に当たる。日本とアメリカの間にはビザ免除プログラム(VWP)があるので90日以内の滞在ならビザは不要。
- 就労ビザ(H、L、O、P、Q ビザ):特殊技能職から季節労働者、芸能人、企業内転勤等まで、仕事の性質によってビザの種類が違う。アメリカの大学・大学院卒の留学生は基本Hビザ(H1B)となり、その同行家族はH4となる。
- 学生ビザ(F1、M1ビザ):アメリカで9年生-12年生、大学、大学院、またはその他週18時間以上の授業を受ける留学生は全てF1ビザとなる。その同行家族はF2となる。
- 交流訪問者ビザ(J1ビザ):交流訪問だけでなく、研修プログラムの参加や、企業でインターンシップを行う際もこのJ1ビザが必要。その同行家族はJ2となる。
- 通過ビザ/クルービザ(C、Dビザ):乗り継ぎ・トランジットの際友人訪問や観光等で一時的にアメリカに入国する場合はCビザ。機内の乗務員たちはDビザ。
- 宗教活動家ビザ(Rビザ):名の通り宗教活動のため一時的にアメリカに入国する際のビザ。
- 使用人ビザ(B-1、A-3、G-5、NATO-7ビザ):使用人とは、コック、運転手、家政婦、ベビーシッター、庭師等。雇用主のステータスによって必要なビザ種類は違う。
- 報道関係者ビザ(Iビザ):報道・取材等の活動で一時的に入国。
- 貿易駐在員・投資駐在員ビザ(E1、E2ビザ):貿易駐在員はE1で、投資はE2ビザとなる。
- 婚約者ビザ(K1ビザ):アメリカ人と婚約し、アメリカで結婚後引き続き永住を希望する人。
学生ビザ(F1)とは?
先ほど触れたように学生ビザには二種類がある。
F-1 ビザ
最も一般的な学生ビザ。米国内の認定大学、私立高等学校に入る場合は、F-1 ビザが必要。週18時間以上の授業を受ける場合も F-1 ビザが必要。
M-1 ビザ
米国の機関で非学術的もしくは職業的な教育または研修を受ける場合は、M-1 ビザが必要。
ここからの「学生ビザ」は、基本F1の話と考えよう。

学生ビザ(F1)の期間・有効期限
アメリカで4年制大学に通うのも、1年か2年制の大学院に通うのも、学生ビザの有効期限は5年となる。
この有効期間の中、アメリカにいながら学校を変えても、新たな学生ビザを取得しなくて済む。
アメリカ学生ビザ取得の流れ

F1ビザ取得の流れは大まかに以下の通りだ。取得まで必要な期間は様々な要因によって変わるが、大体1ヶ月程度を考えておこう。
- 必要書類の入手
- I-20 フォームの入手
- I-901(SEVIS管理費)の支払
- DS−160フォームに記入
- アメリカ大使館の面接予約
- インタビュー当日
- VISAの郵送
以下それぞれの項目の詳細を見ていこう。
① 必要書類(パスポートと銀行残高)の入手
- パスポート
- 銀行残高証明書
パスポートは誰でもすぐに用意ができるが、銀行残高証明書のエビデンスは、私費学生にしたらひとハードルである。
1年分の生活費と学費を支払えることを証明するため、単身では1,000万程度、家族づれでは家族一人につき+200万程度の銀行残高証明書が必要。必要金額は学校により異なるため事前に確認しておこう。
必要な金額はドルで求められるが、ドルの残高が必要でもなければ、残高証明書をドル建で発行してもらう必要もない。
銀行のレートでドル建の証明書を作ってもらうと、レートが相当悪くドルが目減りする。日本円で作ってもらい、当日の為替レートで換算し、要求水準以上に残高があればOKだ。
英語の残高証明を発行するには、銀行口座を作った支店であればその日に出すことも可能だそうだが、他の支店から頼むと1週間ほどかかる。
「急ぎでお願いします。」と厚かましく言うと、速達してもらえるはずだ。


② I-20 フォームの入手
銀行残高証明書が入手できたら、I-20フォームを大学に申請する。
これは大学が発行する正式な入学証明のようなもの。アメリカ政府に認定された学校のみ、I20フォームを発行する資格がある。
申請してから10営業日ほどがかかるので、首を長くして待とう。

③ I-901(SEVIS管理費)の支払
学校から、I-20フォームが郵送されてきたら、SEVIS管理費を支払う。金額は200ドル。F2ビザは支払い不要。
SEVISを支払う際にI-20フォームに記載があるSEVIS番号が必要。その番号は、文字Nから始まり、その後9桁の数字からなっている。
支払った後の領収書がビザの申請に必要になってくる。印刷して取っておこう。

④ DS-160フォームを記入する
ここまできてようやくVISAの申請手続きに進むことができる。初めてアメリカのビザを申請する人はまずアカウントを作成しよう。
そして、アメリカ大使館のビザ申請ページにアクセスしてDS-160フォームを記入する。
英語で20ページぐらいの長い記載項目と質問リストに答える。
例えば、自分のプロフィールや職歴のほか、犯罪に関与したことはあるか?テロリストに所属しているか?といった質問だ。この辺は一般常識に合わせて回答すれば問題ない。
アメリカに行った後の住所や電話番号も求められるが、これは学校のものを書いておけばいいだろう。
⑤ アメリカ大使館の面接予約
DS-160の記入が終わったら、今度はVISA申請料の支払おう。これは一人$160で家族分も必要だ。
料金を支払うことでインタビューのスケジューリングが可能になる。面接予約のために料金支払いの受付番号を書き留めておくことを忘れずに。
下記の大使館・領事館で面接を受けることができる。
- 東京アメリカ大使館
- 大阪アメリカ総領事部
- 沖縄アメリカ領事部
- 福岡領事部
- 札幌領事部
予約状況は随時変わっているが、こちらのサイトは各大使館・領事館の面接の空き状況を公開しているので、参考しながら早めに予定を立てよう。

⑥ インタビュー当日の持ち物
ビザ面接日時にアメリカ大使館または領事館で面接を受ける。
服装について特に決まりはないが、第一印象を悪くしないように、暗く見える、危なそうに見えるような格好を避けよう。普通に清潔感のあり、しっかりしてそうな格好で十分だ。
また、当日に必要な書類の詳細はHPも確認しておこう。
http://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-typefandm.asp#applicationitems
- DS-160フォーム
- 有効なパスポート
- 過去10年間に発行された古いパスポート(あれば)
- 証明写真1枚 (寸法:5cmx5cm)
- 面接予約確認書
- I-20フォーム
- SEVISを支払った領収書
- 銀行残高証明(金銭援助者からの書類含む)
- 家族連れの場合は戸籍謄本とその英訳




⑦ インタビュー内容
一番気になるインタビューだが、基本的には英語で行う。当日の流れはアメリカ大使館の下記のビデオを見ておくと安心だ。
ビザ審査官のチェックポイントは、簡単に言えば二つがある。あなたはテロリストではないこと、アメリカに移住する傾向がないこと。
そのため、「学習が終わったら、日本に帰る」というのを嘘でもいいから強く言うこと。アメリカへの好感をアピールするため、「ずっとアメリカに住みたい!」みたいな発言を控えよう。
これ以外の質問は、事実を答えておけば問題ない。
面接は大体の場合3、5分ぐらいで終わる。他のクラスメートは2問ぐらいの質問で、「あなたのVISAは承認された。」と言われ面接が終わったと聞いたこともある。
しかし、語学学校へ留学経験のある人は、30分程度質問ぜめにあったこともあるらしく、大使館の忙しさや面接官の気分でも質問内容や長さは変わるようだ。
結果に関して、その場で「Approve」か「Reject」か教えてくれる。
おまけ:面接の質問例
自分
- 今何やってるの?
- 仕事何してるの?
- アメリカで何やる?
- 誰が金出すの?
- 終わったら何やるの?
奥さん
- 今何やってるの?
- 仕事何してるの?
- どうやって知り合った?

⑧ VISAの郵送
「Approve」おめでとう!
パスポートは一旦大使館・領事館に預き、インタビューが終わってから1週間ほどで提出した書類と共にVISAがつけられたパスポートが返ってくる。
自由の国は近くまできているぞ。
よくある質問集
estaとは?
冒頭で言ったように、日本とアメリカの間にはビザ免除プログラム(VWP)があるので90日以内の滞在ならビザは不要。ただ、下記よりESTA(電子渡航認証)を申請し取得しなければならない。
エスタを一回取得すると二年間の有効期限がある。アメリカから出国の際にエスタの有効期限が切れても大丈夫なので、有効期限ギリギリでもアメリカに入国できる。
期限が切れて再度アメリカに渡航する場合、ESTAを更新する必要がある。
F1ビザの面接で落ちた人っているの?
多くないがたまにいる。大使館が一番気にしているのは、テロ因子と、留学後の不法滞在のこと。
また、学生ビザの場合、十分な留学資金を証明できない、または就労目的があると思われたら却下されるだろう。
学生ビザもらったらいつ渡航できるの?
ビザの発行時期と関係なく、I−20フォームに記載された入学日の30日前より入国できる。
アメリカの学生ビザ(F1)で就労・アルバイトはできる?
F1ビザWO持っている学生は週20時間以内働くことができる。
ただし、最初の1年目はキャンパス内の就労(学校の雇用)に限られている。2年目からUSCISからの認可を受けて、キャンパス外でも働けるようになる。




