



「子供をバイリンガルに育てたい、日本だけではなく世界で生きる力をつけてほしい」、そう考える親御さんは多いと思います。
小学校の日本語教育が必修化したり、社内公用語を英語にする会社がでてきたり、英語の重要性はますます大きくなってきています。
将来のためにも、早めに英語力を育てる準備をしておきたいものですね。
今回は英語教育に興味がある親御さんに、子供の英語力を育てる方法や、そのメリットについてまとめました。
この記事の著者:レイトン愛加
高校時代アメリカに3か月留学、自分の英語力のなさに打ちのめされ本格的に英語の勉強をはじめました。大学卒業後はフィリピン支店勤務、その後オーストラリアで働きながらTAFE留学と英語づけの生活を送りました。現在はブラジルに移住、英語力維持とポルトガル語力向上に日々奮闘中です。
目次
バイリンガル教育のメリット

私には小学校低学年の娘がいます。4歳のころから段階的にバイリンガル教育をはじめ、簡単な会話ならできるようになってきました。
バイリンガル教育始めてよかったことは、英語の上達だけではありません。英語を通じて、娘の目が日本だけではなく世界に向き始めたことは、とてもポジティブな変化だと思っています。
世界には色々な国があって、それぞれ違った風習や文化もっていて、それを繋ぐのが英語だと朧気ながら理解してきています。
そんな世界を広げてくれる英語ですが、早くから学習をはじめることは沢山のメリットがあります。まずはバイリンガル教育のメリットについて考えてみましょう。
英語の重要性
これからの時代、今まで以上に英語の重要性は増してきます。国際化の中、日本市場は縮小が進んでおり、子どもたちが大人になるころには日本の外に可能性を求めるのが当たり前の時代になっているかもしれません。
ある調査によると、ネット上の情報の60%近くは英語で書かれており、日本語はたったの2%ほどだとか。
また英語をネイティブまたは第2言語として使用している人口は世界中で20億人にものぼり、英語が話せれば世界中の4人に1人とコミュニケーションがとれることになります。
英語ができることは、世界の情報を得ることであり、世界とつながることであると言えます。バイリンガル教育をするメリットは、そのための架け橋を作ってあげられるということですね。
バイリンガル教育って必要?

さてバイリンガル教育についてです。
そもそも子供のころからのバイリンガル教育って必要なのでしょうか?結論からいうと、英語を「音まで含めて」しっかり身につけたければ必要です。
なぜなら英語習得のためには長い時間がかかり、かつ大人になってからだと習得が難しい音もあるからです。有名なところでいえば、日本人はLとRの区別がつかないというものがありますね。
以下の研究結果を引用します
音韻習得に関して、臨界期の存在そのものについては、種々の見解があるものの、この時期を過ぎて音声学習を開始した者は、成熟的制約のため、総じて年齢が上がるにつれて発音獲得の能力が低くなるという傾向があることでは一致しているようである。
引用論文:第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての一考察
この研究では、母国語と学習する言語の相関や心理的要素まで考慮にいれながら、音の習得に年齢的限界があるかどうかを考察しています。
この論文を読み替えると、やはりネイティブのような発音は「早めに英語学習をはじめないと身につけるのは難しい」となります。
大人になってからも勿論英語の習得は可能ですが、ネイティブレベルの音を身につけたいのであれば、バイリンガル教育を行った方がよいということですね。
母国語と英語の両立
バイリンガル教育といった時に、必ずデメリットとして話題に上がるのがこれです。
早すぎるバイリンガル教育は、母国語の形成を阻害する
母国語が定着する前から第2言語をとりいれると、母国語の習得に問題が生じるとする意見です。
これは本当でしょうか?
結論からいうと、間違っています。
バイリンガル教育は赤ちゃんの頃からでも可能であり、「正しく」行えば母国語の形成を阻害することはありません。
筆者(日本人)はブラジルで国際結婚し、ブラジル人パートナーとハーフの子育て中です。子供は日本語とポルトガル語の2つを母国語としており、また英語も習得を目指しているので実質トリリンガル教育中です。
娘は日本語とポルトガル語でいえば(年齢を考慮すると)完全なバイリンガルであり、英語も2つの母国語を邪魔することなく、しっかり上達してきています。
移民国家なので、周りにもバイリンガル・トリリンガルが当たり前のようにいます。
いわゆる「ダブルリミテッド」に陥っている子もいますが、その子達に共通するのが親の子供への教育への積極性です。はっきり言うと「ほったらかし」なんです。
本を読むことや勉強することなしでは、どの言語も伸びません。コミュニケーションがとれる最低限の言葉は身に付きますが、それ以上は望めません。
日本人の親をもち、日本語環境にいても、何もしなければ日常会話レベルの日本語しか身に付きませんからね。
英語や日本語「を」学ぶはもちろん、英語や日本語「で」学ぶことを意識してバイリンガル教育をしていけば、バイリンガル教育が失敗するということはないはずです。
バイリンガルへの道筋

バイリンガル教育は、音まで含めて完全に英語を習得するのに有効ですが、バイリンガルになるためには英語をどのくらい、どのように勉強していけばよいのでしょうか?
英語習得には最低2200時間必要
まず日本語を母国語とする人が英語を習得するためには、いったいどのくらい勉強する必要があるのでしょうか?
研究者によって違いがあり、2200時間とも3000時間とも、中には5000時間を超えるとする研究もあります。
「1週間で英語が話せるようになる!」などのあやしい英語教材の謳い文句を別にすれば、2200時間が最も少なく見積もられている数字のようです。
日本の学校では、小学校~高校まで大体1000時間ほど勉強しますので、このもっとも低く見積もられた数字からみても全く十分でないというのが分かります。
バイリンガルになるためには、学校以外のところで十分な学習時間を作る必要があるということですね。
英語学習の習慣化~スケジュールを作ろう
英語習得に必要な2200時間の学習時間を作るためにおすすめなのが、英語学習を習慣化することです。
習慣化するためには以下の方法がお勧めですよ!
- 英語学習を1日のルーティンに組み込む
毎日決まった時間に英語を勉強することで、英語が日常の1部になります。
例えば毎日朝ごはんを食べたあと英語でYoutubeを見る、水曜日と金曜日の5時からはオンライン英会話をする、寝る前は英語絵本を一緒に読むなどをルーティンに組み込むのです。
そうすることで、英語が日常にあるのが当たり前になりますし、自然と勉強時間も増えていきます。
これは筆者の娘の一週間のスケジュールです。

※ブラジル在住なので学校の時間など日本と違うところがあります。
赤い鉛筆で書いたところが英語に関わっている時間です。
月曜日~金曜日 朝8時~9時までYoutube英語チャンネル+目標設定した単語学習+読書
月曜日と木曜日 朝11時~12時までママと文法や新しい表現を勉強する
月曜日~金曜日 夜6時半~7時までNativeCamp(オンライン英会話)
日曜日 朝8時くらいから英語発表会
目標は週ごとに違いますが、毎日英語を学習する時間を作っています。
朝ごはんを食べたら英語を勉強する時間、学校から帰ったらオンライン英会話など、すでに習慣化しています。
スケジュールには書き込んでいませんが、時間があったら英語でゲームをする、英語で会話をするなどを行っています。
目標の設定
今月は単語を〇〇個学ぶ、英語で挨拶ができるようになる、英語の本を〇〇冊読む…そんな小さな目標でも最初は大丈夫です。
英語で何を学ぶかを決めていきましょう。
目標があれば、一日一日なにをすべきかが明確になります。
しっかり勉強する時間も作ろう

スケジュールの中に、Youtubeの流し聞きや英語アプリといったことだけではなく、机にむかってしっかり勉強する時間も作ることも大事です。
親と一緒に英語のカルタや神経衰弱をして言葉のインプットを増やしたり、オンライン英会話でアウトプットの練習をするのもおすすめです。
学習の進捗を定期的にチェックしよう
学習の進捗をチェックするのも大事な作業です。
5~6歳くらいまでの小さい子供なら「今週は色を24色言えるようにする」など簡単な目標を設定して、週末にチェックする、
7歳~9歳くらいまでの子供なら「今週は英語絵本を音読して、ストーリーにでてきた単語や表現を覚える」などちょっとレベルアップした目標を設定し、やはり週末などきめた日に目標がクリアできているか確認します。
それ以上の子供には、英検など長期的目標をもつのもおすすめです。
目標をもって進捗をチェックする利点は2つです。
- その子に足りない能力の把握
- モチベーションの維持
目標に対しての進捗をチェックすることで、子供のたりないところが可視化されます。
単語が弱い、文章にする力が弱い、発音が上手くできていないなど、子供の弱点を発見することで、どの部分にフォーカスして勉強すればよいのか明確になります。
目標を作り達成することで、子供のモチベーションにもつながります。その子の年齢・英語レベルにあわせて無理ない目標を設定し、子供のモチベーションの維持に勤めましょう。
おうちでバイリンガル教育を実践する4つの方法
ここからはおうちでできるバイリンガル教育をご紹介します。

フォニックスを学ぼう

最初に書きましたが、バイリンガル教育を早期にはじめる大きなアドバンテージは、英語の音の習得です。
バイリンガル教育の第一歩としてフォニックスはとても重要です。
アメリカでは、(日本でいうところの)幼稚園年長あたりから教育プログラムとして、フォニックスを習うところがほとんどですが、実際は2~3歳あたりの幼児用玩具や教材でもフォニックスは取り入られており、アルファベットを覚えるのと同時にフォニックスも教えることがほとんどです。
フォニックス(英: Phonics)とは、英語において、綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つである。英語圏の子供や外国人に英語の読み方を教える方法として用いられている。
小さい子供でもアルファベットを習うとともに、フォニックスをとりいれることは可能です。すでにアルファベットを知っている子どもも、「本物の音」を聞いてフォニックスを身につけましょう。
おすすめはネイティブの音声付の教材、もしくはオンライン英会話でネイティブもしくはネイティブレベルの先生から習うことをおすすめします。

筆者の娘は、オンライン英会話でフォニックスを身につけました。
↓これは娘がフォニックスを習い始めた時の実際のレッスン風景と様子です

授業中の会話
先生「Repeat after me!
A(エイ)- A(ア)-Apple(アッポウ)」
娘「エイ…ア…(緊張で黙る娘)」
先生「A(エイ)- A(ア)-Apple(アッポウ)」
娘「エイ…ア…アッポウ!」
先生「Very good!!!」
はじめは、こんな感じのシンプルなところから初めていきます。
こんなの意味あるの?と感じるかもしれませんが、フォニックスの習得は英語の音の土台となる部分です。
バイリンガル教育の第一歩として必ず取り入れていきたいですね。
絵本を読み聞かせしよう
絵本は、豊富なイラストとストーリーがあり、子どもが楽しみながら新しい言葉にであう機会も増やしてあげることができます。

英語の絵本を選ぶ際には、子供たちが興味を持ちそうなものを選びましょう。例えば、動物や自然、乗り物など、子供たちが好きなものに関する絵本を選んでみてください。
また、英語の絵本を読み聞かせる際には、ゆっくりとはっきりと話すことが大切です。また、手振りや表情を交えることで、子供たちがより理解しやすくなります。
絵本を読んだ後に、子供たちにストーリーに関する簡単な質問をしてみましょう。例えば、主人公の名前は何だったか、どこに行ったのか、どうしたのかなどです。子供たちが一単語二単語でも答えられるように簡単な質問から始めて良いと思います。

英語を使って遊んでみよう
子供にとって英語を学習するモチベーションはなんでしょうか?それは「楽しさ」です。
子供にとっては、基本的に楽しい以外に英語を勉強する理由はありませんから、楽しく学べることはバイリンガル教育をする上でとても重要ですね。
英語のカルタや神経衰弱のカードは、ネットで探せばいくらでもでてきますし、他にもさまざまな英語ゲームがあります。
今回は最近娘がはまっているゲームをご紹介します。このゲームは顔のパーツに関する単語を使って遊びますが、その他の単語にも応用が聞くのでぜひやってみてください
ゲーム名「Guess Who」、相手が選んだ人が誰かをあてるゲームです。
まず下のプリントを子供と親に一枚ずつ配ります。※Guess Whoで検索するとこのゲームで使えるプリントが沢山でてきます。

- それぞれ1人を選びます(選んだ人は相手には秘密です)
- YesかNoで答えられる質問を相手にしていきます。
- 2を繰り返し相手が選んだ人を当てられたら勝ちです。
質問の例
- Does your person have sunglasses?
- Does your person have no hair?
- Is your person pierced?
- Is your person wearing a bandana?
- Is your person showing his/her teeth?
ゲーム中の会話
親「Is your person wearing a striped T-shirts?」選んだ人はシマシマのシャツをきてる?
娘「Yes!…Does your person have earrings?」うん。選んだ人はイヤリングしてる?
親「No. Does your person have curly hair?」いいえ。選んだ人は髪の毛がカールしてる?
…
…
…
娘「Is your person …Joe?」選んだ人は…Joe?
親「Yes! You won!」そうよ、あなたの勝ち!
顔のパーツ以外にも、国旗や食べ物など他の単語に変えることもできます。遊びながら単語を学べるのでおすすめです。
英語を実際に話してみよう

せっかく学んだ英語です。実際に話して積極的にアウトプットしていきましょう。
アウトプットの方法でおすすめは2つあります。子供オンライン英会話の利用と、日常会話での使用です。
オンライン英会話は教室よりも安く、沢山レッスンをうけることができます。またレッスン日時は自分で決められますし、キャンセルや日程変更も教室に比べてはるかに自由がききます。※スクールによって違いあり。
英語にふれる時間が増える・実際に英語をアウトプットする機会を得ることで、英語が知識としてしっかり定着していきます。
日常会話での使用もおすすめです。
例えば
- 挨拶の表現を勉強したあとは、日常生活の挨拶を1日英語に変えてみる
- 形や色の単語を勉強したあとは、家の中にあるものをできるだけ沢山詳しく色形を説明してみる
などです。
アウトプットは慣れが必要です。家庭学習ではインプットのみになりがちなので、積極的にアウトプットする機会をもちましょう!

まとめ
バイリンガル教育を成功させるのは容易ではありません。
なぜなら子供の努力はもちろんですが、親も積極的に関わっていくことが絶対に必要になるからです。親の努力も必要ということですね。
ですが英語力があれば、日本だけではなく世界を舞台に生きていくことができます。
楽しみながら英語力をみにつけ、バイリンガルを目指しましょう!




