




英語教室にお子さんを通わせている方、何かしらの形で英語を学ばせているといった方など、英検受験を一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
英検は高校や大学の入試や単位認定に役立つだけではなく、海外留学時にも語学力証明としても利用ができます。就職時には英語力のアピールにもなり、英検を取得しているメリットは計り知れません。
私自身も現在小学校低学年の息子がおりますが、来年度に英検受験を検討しているところです。
本記事では、お子さんが5級を受験予定という方に役立つ英検5級の全容について解説させていただきます。
この記事の著者:ユリアン
英語は義務教育からのスタートでしたが、好きが高じて常に何かしらの形で英語学習に情熱をそそいできました。留学経験ほぼゼロの私がブランクを経て、現在は子育てをしながら、児童英語講師の仕事に就いています。英会話教室と自身の子育てを通し、英語学習で何より大事なことは、子供が夢中になって楽しめる環境づくりだということを常々感じています。
目次
英検5級の概要

英検5級のレベルと難易度
英検とは「実用英語技能検定(以下「英検」)」を指し、英検5級は受験できる7つの級の中でもっとも難易度が低い級です。まずは具体的なレベルや難易度をみていきましょう。
結論からいえば、英検5級のレベルは中学初級程度(中学1年生レベル)、必要な単語数は約600語程度と言われています。
試験に出てくる単語は日常生活の身近な事柄に関連するものが多く、内容もやさしめです。
しかしながら、単語の知識を問う問題は多く出題されます。そういった意味でも、英検5級で問われる範囲の約600語はマスターしたいところです。
では実際、600語というのはどれくらいの語彙数になるのでしょうか。文部科学省が定めているカリキュラムの基準である「学習指導要領」では以下の通り定められています。
【小・中学校における目標単語数】
- 小学校 600~700語
- 中学校 1600~1800語
文部科学省が提示する取得単語数は今後も変わる可能性があり、また小学校で習う語彙は、「聞いたり読んだりすることを通して意味が理解できるような語彙(受容語彙)」が中心となっています。
このようなことから、単純にここの数字と英検で必要とされる単語数の比較は難しいといえます。
実際の教科書に出てくる語彙数と比べてみましょう。以下は、開隆堂出版の中学生用教科書「Sunshine」に出てくる新語数の比較です。
新語数
中1 | 中2 | 中3 | 合計 | |
平成28年 | 524 | 412 | 305 | 1241 |
令和3年 | 524 | 563 | 538 | 1625 |
※平成28年度版では、固有名詞は新語数に含まれていません。
以下を参考に作成:開隆堂出版「内容解説資料」
この表を見ると、中1で扱う教科書だけを見ると語彙数は従来と変わらず、学年が進むにつれて語彙数が増えていることが解ります。
中1の新語数は524語。小学校で習う語彙がこれ以前にあるものの、そのほとんどは受容語彙が中心であるという点で英検5級とかなり近いです。
以上の点を踏まえると、英検5級のレベルは中学初級程度(中学1年生レベル)、必要な単語数は約600語程度にあたることが分かります。


英検5級受験者のデータ
2013年度までは5級の受験者数や受験者層のデータが公開されていましたが、現在は開示されていません。
しかしながら英検公式サイトには英検(英検実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr. の合算)の志願者数の人数なら公開されています。
最新の2020年度実施分のデータによれば、小学生以下の志願者数は約32万5千人です。

2020年度小学校の児童数は約630万人です。
先ほどの小学生以下の志願者数には未就園児も含まれているものの、その人数はそれほど多くはないと予想できますので、だいたい20人に1人の小学生が英検を受験しているという仮説が成り立ちます。
高学年になるとその数は増えることが考えられ、英検受験者数の多さに改めて驚かされます。

英検5級の合格点・合格率

2016年度より各級の合否は素点ベースではなく、英検CSEスコアによる判定となりました。英検5級の場合、リーディング・リスニングの2技能の合計スコア419点が合格点です(満点850点)。
しかしながら、これは単純に49%の正答率で合格というわけではありません。
統計的手法を用いてスコアが算出されるため、合格するには技能のバランスが大事になります。
そのため合格ラインの正答数は決まっていません。5級の場合、リーディング・リスニングそれぞれ6割の正答を目指していくとよいでしょう。
合格率に関しても、2016年度以降のデータは公開されていません。
そのため予想の域ではありますが、2010~2015年過去の最新6年分の平均合格率は82.4%なので、これに近い数字なのではないかと思われます。
しっかり勉強すれば小学生低学年であっても合格をねらえますので、英検の試験内容に沿った対策をしていくことが大切です。

英検5級の試験内容
英検5級はリーディングとリスニングの2技能で合否が出ます。
これに加え、コンピュータ端末を使った任意のスピーキングテストを受ければ、3技能のスコアを測ることが可能です。
但しあくまでも5級は一次試験の結果のみで合否が出るため、ここではリーディングとリスニングの試験内容に触れていきたいと思います。
リーディング編

まずは前半部分の読解(リーディング)試験です。以下3パターンの問題計25問を25分で解いていきます。全て4つの選択肢から選ぶようになっています。
- 短文の語句空所補充 15問
- 会話文の文空所補充 5問
- 日本文付き短文の語句整序 5問
もっとも問題数の多い①短文の語句空所補充問題を、実際の過去問題を使って解いてみましょう。

出典:「2021年度 第2回 問題冊子」公益財団法人 日本英語検定協会
ここで問われる内容は、単語・熟語・文法の知識です。参考書などを使って、頻出事項をしっかりと学習することが大切です。
正解は、(1) 4 lessons (2) 3 sports です。
次に解答に時間がかかる③日本文付き短文の語句整序の問題をみていきましょう。
日本文の意味の通りに語句を並べ替え、1番目と3番目にくる適切な組み合わせを選ぶ問題です。
問題は5問ですが、このパートが1問解答するのにもっとも時間を要する傾向があるので、①と②の空所補充問題に時間をかけ過ぎないように注意が必要です。

出典:「2021年度 第2回 問題冊子」公益財団法人 日本英語検定協会
このパートでは、頭の中で考えたセンテンスは合っているのに、勘違いなどで誤答をしてしまう可能性も考えられます。
問題冊子にメモをとることは認められているので、考えた語順を問題冊子に書き留めるなど正確にマークができるようにしていきましょう。
上記問題でいうならば、正しい語順はEllen, it’s time for your bath. となるため、正解は、(3) ③-① です。

リスニング編

後半のリスニングテストは約20分です。①③が3つの選択肢、②が4つの選択肢から選ぶようになっています。放送はどの問題も2回ずつ読まれるので、受験者にとっては安心ですね。
- 会話の応答文選択 10問
- 会話の内容一致選択 5問
- イラストの内容一致選択 10問
②会話の内容一致選択の問題は高い集中力を要する問題です。会話文を聞き取り、続いて放送される質問文の答えとして適切なものを4つの選択肢から選びます。

出典:「2021年度 第2回 問題冊子」公益財団法人 日本英語検定協会
【スクリプト】
What do you do on weekends, Lucy?
I play softball at the park.
Question: What does Lucy do on weekends?
参照:「2021年度 第2回 リスニング原稿」公益財団法人 日本英語検定協会
正解は、2 She plays softball. です。
会話文・質問文ともに2回放送されますが、②の問題は2人の人物が交わす会話文をまず聞き取り、続く質問文も聞き取らなければならないという、リスニングの中でもっとも長い時間集中力を必要とする問題です。
問題数は他と比べて半分の5問のため、ここはリスニング問題の峠だと思い、集中力が途切れないように問題に取り組みむとよいでしょう。
最後にリスニングの最終問題である③イラストの内容一致選択の過去問題をみていきましょう。
3つの英文を聞き、その中からイラストの内容を正しく表しているものを3つの選択肢から選ぶ問題です。

出典:「2021年度 第2回 問題冊子」公益財団法人 日本英語検定協会
【スクリプト】
1 Paul is making a chair.
2 Paul is using a chair.
3 Paul is buying a chair.
参照:「2021年度 第2回 リスニング原稿」公益財団法人 日本英語検定協会
正解は、3 Paul is buying a chair. です。
イラストの内容を正しく読み取り、英文を聞けるようにしていきましょう。

試験日程と受験料
英検5級の試験日程

英検は年に3回実施される試験です。おおよその日程は以下の通りです。
第1回検定
| 第2回検定
| 第3回検定
| |
申込期間
| 4/1(金)~ 5/6(金) | 8/1(月)~ 9/8(木) | 11/1(火)~12/15(木) |
一次試験
| 5/27(金)~ 6/18(土) | 9/30(金)~ 10/22(土) | 1/13(金)~ 2/4(土) |
二次試験
| 7/3(日)~ 7/17(日) | 11/6(日)~ 11/23(水・祝) | 2/19(日)~ 3/5(日) |
以下サイトを参考に作成:公益財団法人 日本英語検定協会
4級5級は二次試験の代わりにスピーキングテスト(コンピュータ端末を利用した5分程度のテスト)を任意で受けられるようになっているので、5級受験を予定されている方は申込期間と一次試験の日程を英検のホームページで必ず確認するようにしてください。
なお、英検5級は実施対象外の級となりますが、英検S-CBTという試験をご存知でしょうか。
1日で4技能を測ることができ、全国各地のテストセンターにて毎週ベースで実施がなされ、場所によってはほぼ毎日実施しているところもあるほど、受験する側にとっては利便性の高いありがたい試験です。
私の中では今の時代に即した試験だと感じています。もちろん、通常の英検(従来型)と同様の級・スコアとして扱われるので、ご安心ください。
ただし英検S-CBTの対象級は、3級、準2級、2級、準1級です。
受験には基本的なPC操作が必須であること、二次試験が実施されていない級は1日で一次試験二次試験を受験する必要もないこともあり、幅広い世代が受験すると予想される5級は対象外となっていますね。
よって5級を受験する場合は、年3回のいずれかの実施回で受験をする必要があります。


英検5級の受験会場と検定料
英検が実施される会場は本会場と準会場の2種類あります。
個人で申込みをすると、本会場での受験となりますが、団体を通じての申込をした場合は準会場が受験会場となります。
実は準会場となっている団体での受験の方が、どの級も検定料が安価です。

準会場を選ぶことによるメリットは多く、以下にメリットを並べてみましょう。
- あらかじめ会場が分かっている
- ご自身が所属している団体の場合、慣れ親しんだ会場となる
- 近隣の受験地を選ぶことができる
- 検定料が安価
まずはご自身が所属している学校や学習塾、予備校など、英検の準会場となっているかどうかを確認し、受け入れている場合は団体先での申し込みを行います。
普段から慣れ親しんでいる団体先での受験であれば、はじめての受験でもそれほど緊張することなく受験できるはずです。
所属の団体が受け入れを行っていない場合の手段としては、外部生の受験を受け入れしているところを探すという方法もあります。
一般受験生を受け入れ可能な準会場団体は時期がくれば英検公式サイトより確認ができるので、必要であればチェックしてみてください。
また、2022年度の検定料は2021年度の検定料から値下げされています。
個人申込に関しては、全ての級で値下げとなっています。値上げばかりではないのは嬉しいニュースです。英検5級でいえば、個人申込の場合4,500円→3,900円(税込)に変わりました。
このように検定料は今後も変わる可能性がありますのでご留意ください。

英検5級おすすめ勉強法

頻出単語・熟語・会話表現・文法を学ぶ
前述1-1英検5級のレベルと難易度のところでも解説した通り、英検5級のレベルは「中学初級程度」。中1で習う単語・熟語・会話表現・文法はマスターしたいところです。
旺文社から出ている「英検5級 でる順パス単」は頻出単語・表現を網羅しています。5級を受ける方にとっては、まさに知識問題ばかりだと感じる方も少なくないのではないでしょうか。
逆を言えば、知っていれば解ける問題ばかりです。なるべく5級で問われる範囲内は一通り学習しておくようにしましょう。
「英検5級 でる順パス単」
また、「英検5級総合対策教本」には、英検5級の内容をカバーした文法事項も分かりやすく学ぶことができます。文法から学びたい方にはおすすめです。
「英検5級総合対策教本 改訂版」
過去問で弱点を知る
過去問題を使って出題形式に慣れることや、自分の弱点を知ることも大切です。
英検公式サイトには過去問題3回分が掲載されていますので、一度も解いたことのない方など、まずはサイト上の過去問題を解いてレベル感をつかみましょう。
我が家でもまずはどんな問題が出題され、どれくらい解けているのかについて、過去問題を息子に解いてもらいました。
ここから、息子の場合は筆記試験の点数が取れないということが解ったので、筆記試験対策を中心に学習をスタートさせたところです。
また、旺文社より英検5級の過去問題を扱った問題集が毎年出ています。こちらは過去6回分の問題が詳しい解説付きで載っています。
過去問題を解くことは試験に慣れることにつながりますので強くおすすめします。2022年度版は、2022年02月28日に発売予定です。
「2021年度版 英検5級 過去6回全問題集」

予想問題で本番対策
また、本番を意識して予想問題に取り組むのも効果的です。
下記予想問題は、7日間で取り組めるようになっているので、本番までの総仕上げとして使うのもよいですね。
「7日間完成 英検5級 予想問題ドリル」
我が家のケース
ここまで書くと、私の家庭でも上記のような勉強法を確実に実施しているのだろうなと思われる方が多くいらっしゃるのではないかと思いますが、現実は理想どおりにはいきません。
私は複数の仕事を兼業しているワーキングマザーのため、とにかく息子と一緒に過ごす時間が平日はほぼ取れません。
息子自身も机にずっと座っていることが苦手なタイプ、さらに今は英語よりも他の遊びや教科に興味があるため、息子の様子を見ながらできる時に少しずつ英検に関する勉強を始めたばかりです。
賛否両論あるとは思いますが、我が家では「ご褒美制度」を採用し、来年度の受験を考えて本人のモチベーションをなんとか維持しようと考えています。
多くの勉強時間を取れなくても、「量」も大事ですが「質」も大事です。お子さんの様子をうかがいつつ、解ける問題を増やしていきましょう。
まとめ
英検5級はしっかり勉強をすれば、英語の勉強を始めて間もない方でも合格を狙うことができます。
本記事で述べた出題傾向やおすすめの勉強法、ご紹介した参考書を利用し、5級合格を目指していきましょう。





5級と4級受けようと思ってたので、ちょうどよかったです。役立ちました。ありがとうございました!
記事が役に立ったとのこと、コメントありがとう!
英検の受験を応援しているよ〜!!