題名は聞いたことがあるし、ずっと興味はあるけれど、実際には読んだことはない。
みなさんも、そんな本を1冊か2冊は思い浮かべることができるのではないだろうか。
世界中すべての本を読むことはできなくても、やはり有名な本は、一度は読んできたいところ。
死ぬまでに読んでおきたい洋書

今回はgoodreadsというサイトで『死ぬまでに読んでおきたい本100冊』として紹介されていた中から8冊を紹介する。goodreadsは2007年に立ち上げられた、世界でも最大規模の本の紹介サイトである。
各本のあらすじだけでなく、登録しているメンバーがつけた5段階評価の得点や、本を読んだ感想を見ることができる。
英語のサイトなので、読みたい洋書探しと英語学習をかねて、一度見てみてはいかがだろうか。
今回取り上げているような有名な作品は、違う出版社からさまざまなバージョンが出版されているケースが多々ある。
古い言い回しを残した原作により近い本から、中には子ども向けに易しく書き直した作品もある。自分の英語力に適した本を探してみるといいだろう。
今回は大人向けでありながらも英語レベルがそれほど高くない本を中心に集めてみた。
有名な文学作品、特に古典と聞くと難しそうに感じるが、意外と読みやすい本も多いのだ。有名な作品ともなれば英語での会話の話題に上ることもありうるので、内容を知っていて損はない。
ぜひこの機会にこれまで気になっていた本を読んでみよう。
The Color Purple / カラーパープル
Lexile指数
HL670L、TOEICリーディングスコア195以下
著者紹介
ウォーカーは1944年アメリカ・ジョージア出身の作家。多くの長編小説、短編小説、詩を執筆している。1983年にはピュリッツァー賞を獲得した。
ウォーカーの作品は20か国語以上に翻訳され、世界中で1500万冊以上を売り上げている。また、作家としてだけではなく活動家としても活躍。
作品概要
アメリカ南部で暮らす黒人の少女セリーは酷い結婚生活に囚われ、アフリカで暮らす大好きな妹ネティと離れ離れになっていた。そんなある日、セリーは歌手のシェグ・エヴリーと出会う。
エヴリーは自らの運命に自分から立ち向かっていく女性だった。セリーは内に秘めた力と喜びを少しずつ見つけ出し、愛する人々と再会していく。
May先生おすすめの理由
簡単な語句や、よく使用される基本的な文法構造が理解できれば読むことができる。ミュージカル化されたり、スティーブン・スピルバーグによって映画化されたりもした作品である。
本は主人公の14歳の女の子が神に書いた手紙という形式をとっているので、文章が比較的易しい。ただ英語の教科書では見かけないような表現や文章構造も多いので、十分にリーディングの練習になるはずだ。
そして英語自体はそれほど難しくなくても、非常に読み応えのある作品である。
20世紀前半が舞台の作品だが、虐待や女性の人権問題など現在においても考えさせられる内容だ。
Time Traveler’s Wife / きみがぼくを見つけた日
The Time Traveler’s Wife (English Edition)
Lexile指数
720L、TOEICリーディングスコア150から245
著者紹介
ニッフェネガーはミシガン州出身の作家であり芸術家。1987年からまずは芸術家として活動したあと、本を書くようになった。
現在はシカゴで暮らしている。夫のEddie Campbellも作家であり芸術家。
作品概要
図書館に勤め、自分の意思に関わらず時間を移動してしまう体質を持つヘンリーと、芸術家のクレア。二人の情熱的な愛は時間の海を越えて続いていく。
結婚した二人は安定した仕事、友人や子どもたちなど普通の生活を送ろうと努力するのだが、防ぎようのない時間移動が生活を脅かしていき……
May先生おすすめの理由
簡単な単語や規則に基づいた文法構造が理解できる人なら読むことができるレベルの本である。1文ずつも短く読みやすい。
内容は主人公のヘンリーとクレアの両方から書かれた文章になっている。男性目線の文章と女性目線の文章では使われる語句が違い、雰囲気も変わってくる。それらを1冊で両方読めるので、英語のリーディング練習にはぴったりだ。
英語そのものは難しくないので、誰の目線で話されているのか、時間がどのように変化しているのかなどを、しっかり理解するようにしたい。ラブストーリー好きにはおすすめの1冊だ。
The Catcher in the Rye / ライ麦畑でつかまえて
Lexile指数
790L、TOEICリーディングスコア150から295
著者紹介
J.D.Salinger
サリンジャー(1919-2010)はアメリカのニューヨーク生まれの小説家。1940年代から出版を始め、第2次世界大戦に従軍。
その後1951年に発表された『The Catcher in the Rye』で大きな成功を収めた。晩年は法廷闘争などで注目を集めることとなった。
作品概要
1950年代を舞台に、主人公のホールデン・コールフィールドが16歳の頃の数日間を描いた作品。物語はとある土曜日の学校終わりから始まる。
この学校はホールデンの4番目の学校だった。しかしこの学校も学業不振から退学になってしまい、マンハッタンへ戻ることになるのだが……
May先生おすすめの理由
初級から中級レベルの単語を理解することができ、基本的な文法構造を持つ文章を読む事ができる人向けの本。
1つの文がとても長く感じられるかもしれないが、英語そのものは難しくないし、カンマごとに理解するようにすれば混乱せずに読めるはず。
ただ、使われている単語の中には口語も多く出てくるので、慣れないと理解しにくく感じるかもしれない。
リーディングの練習としてのみならず、当時のアメリカ人が話すナチュラルな英語を学ぶこともできる。
Jane Eyre / ジェーン・エア
Lexile指数
890L、TOEICリーディングスコア200から300くらいまで
著者紹介
ブロンテ(1816-1855)はイギリス・ヨークシャー出身の小説家。6人きょうだいの内、ブロンテを含む3姉妹が小説家であり、彼女たちの作品はイギリス文学の基礎となった。
結婚後すぐに妊娠するが、身ごもったまま38歳でこの世を去った。
作品概要
物語の舞台は19世紀のイギリス。孤児のジェーンはおばに育てられるが、その生活は決して楽しいものではなかった。
そしてジェーンはある出来事をきっかけに学校へと送られるのだが、そこでも数々の試練に直面する。大人になったジェーンは屋敷で働きはじめ、そこの主人と恋に落ちるのだが……
May先生おすすめの理由
簡単な単語からやや難しい単語までが理解でき、よく使用される文法構造に則った文章を読むことができる人向けの本。
1つ1つの文もそれほど長くなく読みやすいので、イギリス文学を初めて読むという人にもおすすめだ。
この本を含むEnriched Classicsシリーズは、古典作品をあまり読んだことがない人向けに出版されたものである。
本の冒頭で、著者に関する情報や、その作品を読む上で歴史的・文化的に重要なポイントを解説してくれているので、その部分もぜひ読んでみよう。
物語の背景などを理解することができるので、より理解しやすくなるに違いない。
The Hobbit / ホビットの冒険
Lexile指数
1000L、TOEICリーディングスコア300から395
著者紹介
トールキン(1892-1973)は父親の仕事の関係で南アフリカのブルームフォンテインで生まれた。しかし1896年に父親が亡くなったため、母親やきょうだいとイギリスに戻った。
小説家として有名な作品を残したほか、英語学の学者でもあり、オックスフォード大学で教授も務めた。
作品概要
ホビットのビルボは穏やかな生活を送っていた。しかしその生活は魔法使いのガンダルフの訪れによって一変する。
ガンダルフはビルボにスマウグという名のドラゴンから山を取り戻してほしいと頼む。初めは乗り気でなかったビルボだが、12人の小人とともに冒険の旅に出発する。
May先生おすすめの理由
中級レベルの語彙が分かり、あまり使用されない文保構造の文章でも理解できる人向けの本。そこまで難解な文章ではないので楽しく読み進めることができるはずだ。
この物語やロード・オブ・ザ・リングを映画で観たという人も多いと思うが、ぜひ原作の面白さを味わってみよう。
本作のようなファンタジー小説には、日常生活で使わないような単語が多く出てくるので、思った以上にリーディング力が試される。理解するには想像力も必要だ。
子どもだけではなく、大人でも十分に楽しめる作品である。
Pride and Prejudice / 高慢と偏見
Lexile指数
1060L、TOEICリーディングスコア300から400くらいまで
著者紹介
オースティン(1775-1817)はイギリス・ハンプシャー出身の小説家。恋愛小説で有名。
イギリス文学の中でも広く読まれている作家の1人であり、学者や批評家はその現実的で社会批評を交えた作風を歴史的に重要と捉えている。
1811年から1816年のあいだに、代表作となる4作品を発表して成功を収めた。
作品概要
19世紀のイギリスを舞台に、主人公のエリザベスとダーシーが、初めは自身に対するプライドと相手に対する偏見を持ちつつも、しだいに理解しあい、愛を育んでいく物語。
当時の社会的身分や習慣、人間関係における儀礼など、複雑な事情も垣間見ることができる1冊。
May先生おすすめの理由
少し難しい語句や例外的な意味が分かり、複雑な文法構造も理解することができる人向けの本。
古いイギリス文学独特の言い回しや現代にはない物の名前などが出てくるので、最初は少し読みにくく感じるかもしれないが、文章そのものはそれほど難しくない。
時代背景を思い浮かべながら読むと、内容を理解しやすいのではないだろうか。
また、イタリック体(斜めになったような字)が多く使用され、言葉の意味を強調しているので、気に留めながら読んでみよう。
物語の出だしの1文は、他の文学で頻繁に引用される有名な文である。
The Count of Monte Cristo / モンテ・クリスト伯
Lexile指数
1080L、TOEICリーディングスコア350から400くらい
著者紹介
デュマ(1802-1870)はフランスの作家。初めに劇作家として成功を収め、その後、歴史小説で有名になった。フランス文学のロマン主義を代表する作家のひとりである。
同じく劇作家で小説家の息子も同名のため、区別するために日本語では父親の方を大デュマ、息子の方を小デュマと呼ぶ。
作品概要
主人公のエドモン・ダンテスは19歳ながら最高の生活を送っていた。もうすぐ船の船長になろうとしていた彼は、美しく優しいメルセデスと婚約し、まわりの誰からも好かれていた。
しかしエドモンの成功を快く思わない友人たちの罠にはまり、逮捕されてしまう。そこからエドモンの復讐劇が始まるのだった。
May先生おすすめの理由
中級レベルの単語や、普段使わない難しい文法構造を含む文章も理解できる人向けの本。
難しい単語も出てくるが、1文ずつはそれほど長くないので、あまり混乱せずに読めるのではないだろうか。
全体としては非常に長い小説なので読み始めるのに躊躇するかもしれないが、それぞれの章は短いので、少しずつ読み進めることができる。
読破したときには英語のリーディング力がついていると同時に、洋書を読む自信にもなるに違いない。
1984
Lexile指数
1090L、TOEICリーディングスコア350から400くらい
著者紹介
オーウェル(1903-1950)はインドで生まれたイギリス人作家兼ジャーナリスト。1922年から1927年まではインド帝国警察の一員としてビルマで働き、1936年からの1年間はスペイン内戦で戦った。
オーウェルの作品は社会的不平等や全体主義への強固な反対を表現していることで知られる。
作品概要
ウィンストン・スミスは党規に服して、真理省の要求を満たすために歴史を書き換えていた。嘘を書くたびにウィンストンは、自分たちの力ばかりを追い求め、思考犯罪を犯す者を迫害する党に嫌気を感じるようになる。
しかし常にビック・ブラザーに見張られているという事実から逃れることのできないウィンストンだったのだが……
May先生おすすめの理由
中級程度の語彙や例外的な意味を持つ単語も理解でき、複雑な文法構造を含む文章でも読む事ができる人向けの本。1つずつの文はそれほど長くないので、あまり混乱せずに読むことができるはず。
注意しなければならないのは、作品中にこの小説のために創造されたものが出てくるということ。英和辞書を引いても意味がよく分からない言葉に出会ったら、造語の可能性がある。
英文を読んでも状況が想像しにくいようなら、インターネットで先にこの小説について少し下調べをすると、物語を理解しやすくなるかもしれない。
この記事の著者:May先生
みなさん、こんにちは。Mayです。 これまでに、留学したり、独学で勉強して英検1級を取得したり、幼児英語教育に3年間携わったりしてきました。 英語はなかなか短期間で身につくものではありません。 でも自分に合った学習方法を見つけてどんどん上達していく人を、たくさん見てきました。 みなさんが英語をより楽しく身につけられるように、私の経験や知識をお伝えできればと思っています。
May先生のおすすめ洋書シリーズ
洋書は聞く!AmazonのAudibleを活用しよう
アマゾンで、洋書を聞けるAudibleというサービスを開始した。
まだ全ての洋書に対応している訳ではないが、ここで紹介している洋書も含め、かなり多くの本に対応している。プロのナレーターが朗読するため、発音もはっきりしていて英語学習者にも聞き取りやすい。購入前にサンプルを聞くこともできる。
初月無料のキャンペーンをやっているため、是非活用してみよう。基本は月1,500円で毎月一つの音源(本)を貰え、会員中は自由に買った本を他の本と交換できるシステムのようだ。
導入は簡単、下図のように各洋書の購入画面からAudible版を選んで購入画面に進もう。

洋書を読んで、聞いて、リーディングとリスニング力をバランスよく高めよう!!
» 参考: 洋書は聞く!?AmazonのAudibleを英語学習に活用しよう!
Kindleのすゝめ








