





この記事の著者: うりぼー
日本の大学を卒業した後に、2015年イギリスのリーズ大学の修士課程に進学し、翌年に卒業。在英中に就職活動を実施し、現在は日本の外資系IT企業で働いております。純ジャパニーズ(海外の長期滞在経験0)でありながら大学時代に一念発起し、イギリス大学院進学の準備をはじめ、大学卒業後にストレートで進学したうりぼーが自身の経験をもとに、皆さんへ勉強法・出願プロセス・現地での生活等をシェアしていきたいと思います
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目次
英語を勉強する目的を明確に

皆さんが英語を勉強される目的は多種多様化と思います。
例えば、海外旅行のためであったり、映画を英語のまま、字幕なしで見てみたいといった日常的な目的もあるでしょうし、昇進・転職のための資格を取得するために英語学習をされる方もいらっしゃるかと思います。
短期的なイベントに向け勉強される方もいらっしゃる一方で、受験や留学など自分の人生の転機になるイベントに向け、長期的、かつ入念に英語の勉強をされる方もいらっしゃいますよね。
筆者が英語力アップに一番必要だと思っていることは、明確に自分のゴールを決めることだと考えています。
前述した例を引き合いに出すと、海外旅行では、観光先でのレストランでの会話、道の聞き方など“会話”に焦点を絞った勉強が短期的には適しているというわけです。
こちらでは、筆者の経験をもとに、留学を実現・成功させるため、英語力をどのようにもう1ステップレベルアップできるかを解説していきます。
英語力アップに必要なインプットのコツ

では、皆さんの英語力をもう1ステップレベルアップするには具体的にどうすればよいのか。
語弊を恐れずに言うと、英語力レベルアップの近道はありません。TOEICなど試験への対策等であれば、テストにおけるテクニックを駆使することで、多少なりスコアを上げることは可能でしょう。
ただ、これは留学の実現・成功を目的とした“英語力”のレベルアップには厳密にはなっていないと考えます。
もちろん、TOEIC等のスコアが上がることはよいことですが、今回の目的である留学の実現・成功に向けた、英語力アップとは少々性質が異なると理解してください。
単語力の重要性

ここでいう英語力をアップさせるために必要なことは、1にインプット、2にインプットです。具体的には、ボキャブラリーの増強が必要ということです。
英語力を問う諸資格試験においては、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの技能が問われますが、どの要素を以てしても、強固なベースを築いていなければ、英語力を伸ばしていくことはできません。
その一番のベースがボキャブラリーなのです。
ボキャブラリーといえば、皆さんの多くは、学生時代に一度は手にしたことのある英単語帳を思い浮かべる方が多いかと思います。
確かに、英単語帳は、1単語に対して、1つのメジャーな和訳が掲載されており、基礎的な英語のボキャブラリーを増やすには、うってつけと言えます。
ただし、留学を志す方ですと、英単語帳に記載されている基本的な単語はある程度はご存知でしょうし、ベースとなる英語力はお持ちだと思います。
私としては、皆さんのインプットの質をもう一段階上げるために、あえて英単語帳を使わずに、ボキャブラリーを増やすことをおすすめいたします。
英単語学習の弊害

英単語帳を使わずに、ボキャブラリーを増やすメリットは後述しますので、まずは英単語帳学習による弊害について、少し説明します。
1単語につき、1和訳
極端な一例ですが、英単語帳的には、make=~を作ると記載されているとしましょう。
そうすると私たちはmake=~を作るという意味だけを覚えがちで、シチュエーションに応じた単語の使い方ができなくなってしまう可能性があるわけです。
例えば、私の留学中の経験で、友人に今日一緒に飲みに行こうかと誘ったとき、友人は「I can make it」と言いました。
ここでは、「飲み会に参加できるよ」という意味でmakeが使われています。make=~を作るの単純な方程式は、必ずしも成り立たないわけです。
Makeには~を作る以外に十数種類の用法があるのですが、単語帳だとそこまで詳細には記載されていませんよね。
こういった齟齬を生みやすいため、英単語帳のみの学習が危険だと、筆者は留学の実生活から学びました。
直訳を暗記
また、英単語帳のもう一つの弊害は、単語のみの直訳であるため、単語同士を組み合わせ、正しい英語表現を学ぶ機会を奪ってしまうことです。
こちらも極端な例ですが、reduce=~を減らすという和訳で覚えていたとします。では“リスクを減らす”という表現をしたい場合、半数くらいの方は、reduce risksと表現される方がいます。
なぜなら、日本語の減らす=reduceと英単語帳で学んでおり、頭にはまず直訳が浮かび上がってくるからです。
ただし、英語ではRisk mitigation(リスクの緩和)と表現するほうがより伝わりやすいです。英語表現としては、リスクは減らすものではなく、緩和するものという考え方だからです。
英単語帳から、学習したreduceを使うだけでは、必ずしも間違い表現にはなりませんが、英語力レベルアップの観点から述べると、今一つといったところです。
要約すると、英単語帳学習では、1単語につき、1和訳といったインプットをしやすいこと、直訳された英単語を覚えるため、表現としては、いまひとつになりがちという危険を伴っているということです。
コロケーション学習で、劇的なボキャブラリー増強を!!

では、具体的にどのようにボキャブラリーを増やすことで、英語力をもう1ステップ高いレベルへ引き上げるかことが可能なのでしょうか。
それは、英単語帳ではなく、自分自身で学習した読み物等からボキャブラリーを抜き出し、コロケーションと共に覚えることです。
コロケーションとは、いわゆる1つの単語とセットで使われる様々な語句のことを指し、すべての品詞が当てはまります。
コロケーションを学習することで、より正確な単語の用法を身に着けることができます。
Collocation (コロケーション)とは?
コーバスの言語学によると、コロケーションは「いくつかの単語が偶然移動の確率で頻繁に組み合わせて使われること」と定義されています。
例えば、powerfull computerは、strong computerよりも、好んでよく使われます。どちらも意味は同じですが、後者はネイティブスピーカーには不自然に聞こえます。
コロケーションはイディオムとは違います。イディオムは慣習から全く別の意味を持って受け継がれてきたものが多いですが、コロケーションは単によく使われる組み合わせなのです。
コロケーションの他の例をあげてみましょう。
自然な表現 | 不自然な表現 |
---|---|
the fast train(速い電車) fast food(ファストフード) | the |
a quick shower(さっとシャワーする) a quick meal(さっとご飯食べる) | a a |
heavy rain(強い雨) | |
have an experience(経験する) |
FastやQuickはどちらも「はやい」の意味ですが、修飾する対象によっては不自然に聞こえます。
このイディオムとも違う、自然な言葉の組み合わせをコロケーションと呼び、コロケーションは英語学習を進める上で欠かせない要素になります。
イディオムとは?
イディオムとは、単語における一定の配列での連結の総称である。連結によって、慣習的に用例と意味が固定しており、字面から意味を推測できないことも多い。
一般的には、英語の“beat around the bush”(遠まわしに言う)、“hit it off”(気が合う)などの類がイディオムとみなされる。
なお、日本における英語教育で「英熟語」と呼ばれる表現は、必ずしもイディオムと言えないものも中に含まれる。
もうお分かりになったかと思いますが、日本ではイディオムとコロケーションがごちゃ混ぜになり、総称してイディオムと呼ばれる傾向があります。
英語学習をする上で、特段イディオムとコロケーションを使い分けながら認識することは必要はありませんが、両者の違いを知っておくと教養になりますね。
コロケーションの種類
ネイディブが好んで使う組み合わせのコロケーションにはいくつかの種類があります。下記はコロケーションの代表例です。
- 副詞 + 形容詞
例:completely satisfied (✖️ downright satisfied)
- 形容詞 + 名詞
例:excruciating pain (✖️ excruciating joy)
- 名詞 + 名詞
例:a surge of anger (✖️ a rush of anger)
- 名詞 + 動詞
例:lions roar (✖️ lions shout)
- 動詞 + 名詞
例:commit suicide (✖️ undertake suicide)
- 動詞 + 前置詞
例:burst into tears (✖️ blow up in tears)
- 動詞 + 副詞
例:wave frantically (✖️ wave feverishly)
コロケーションの例
タイプ別のコロケーションと例文をいくつか読んで、コロケーションの理解を深めましょう。
副詞 + 形容詞
- Invading that country was an utterly stupid thing to do. (あの国に侵入するのは全く馬鹿なことだった。 )
- We entered a richly decorated room. (豪華に装飾された部屋に入った。 )
- Are you fully aware of the implications of your action? (君は自分の行動の意味を完全に分かっているの?)
形容詞 + 名詞
- The doctor ordered him to take regular exercise. (医者は彼に、定期的な運動をするように命じた。)
- The Titanic sank on its maiden voyage. (タイタニック号は初の航海で沈没した。)
- He was writhing on the ground in excruciating pain. (彼は耐え難いほどの痛みで地面で身もだえしていた。)
名詞 + 名詞
- Let’s give Mr Jones a round of applause. (ジョーンズさんに拍手を送りましょう。)
- The ceasefire agreement came into effect at 11am. (停戦協定は午前11時に発効した。)
- I’d like to buy two bars of soap please. (石鹸2本を買いたい。)
名詞 + 動詞
- The lion started to roar when it heard the dog barking. (犬が吠えているのを聞いてライオンが吠え始めた。)
- Snow was falling as our plane took off. (飛行機が離陸する時、雪が降っていた。)
- The bomb went off when he started the car engine. (彼が車のエンジンを始動させたとき、爆弾が爆発した。)
動詞 + 名詞
- The prisoner was hanged for committing murder. (囚人は殺人を犯したため絞首刑にされた。)
- I always try to do my homework in the morning, after making my bed. (私はいつも朝、ベッドを整えてから宿題をしようとする。)
- He has been asked to give a presentation about his work. (彼は自身の仕事についてプレゼンテーションをするように言われた。)
動詞+ 前置詞
- We had to return home because we had run out of money. (お金がなくなったので、家に帰らなければなかった。)
- At first her eyes filled with horror, and then she burst into tears. (まず、彼女の目は恐怖でいっぱいになり、そして泣き出した。)
- Their behaviour was enough to drive anybody to crime. (彼らの行動は十分、人を犯罪に駆り立てる。)
動詞 + 副詞
- She placed her keys gently on the table and sat down. (彼女は鍵をテーブルにそっと置いて座った。)
- Mary whispered softly in John’s ear. (マリーはジョンの耳にそっとささやいた。)
- I vaguely remember that it was growing dark when we left. (私たちが去ったとき、暗くなってきたことを漠然と覚えている。)



Collocationの学習方法

オリジナル英単語帳
コロケーションと共に自分自身で用法を書き足したオリジナルの英単語帳を作成することができれば、前述した英単語帳の危険性を少しは緩和できるかと思います。
私は、以下のようなCollocation listをExcel表にて作成することで、自分なりに体系的に整理しました。
No. | Collocation | Vocabulary | Collocation | 意味 | 例文 | |
前1 | 後1 | 後2 | ||||
1 | In | Conference | With | Somebody | (人と)会議で会う | XXXX |
2 | adopt | something | 会議で~を採択する | XXXX |
Reading等で分からなかった単語を、自らExcelに記載することで、記憶の定着率をあげることもできます。
また、同じ単語を何度も調べている場合には、Excel上に記載することで、自分の学習履歴を残すこともできます。
多少時間はかかりますが、自分なりのアセットを作る意味で、Excelを使ったコロケーション学習は非常に有効です。
また、コロケーション学習は、日本人の最も苦手とするアウトプットスキルであるスピーキングとライティング分野の底上げに大きく貢献するはずです。
コロケーション学習によるボキャブラリー増強は、1単語に関連する単語が芋づる式で思い浮かぶようになります。
つまり、文章をより親和性の高い単語同士で組み合わせることができ、表現を豊かにすることができます。
英単語帳のみでの学習だと、1単語に対する1つの使い方(和訳)に焦点を置いた学習になるため、アウトプットが重要なスピーキングとライティングでは、表現性に乏しい文章になりがちです。
コロケーション学習でボキャブラリーを増強することは、その次ステージでのアウトプットの質を向上させることにもつながります
コロケーション辞書
「Online OXFORD collocation dictionary」にて、気になった単語のコロケーションを調べることができます。
http://www.freecollocation.com/search?word=it
例えば、記事の冒頭で紹介した「train」を上記のコロケーションディクショナリーで調べてみましょう。

Trainと言う名詞によく使われる形容詞(Adjective)の一覧が出てきます。
ここでexpressやfastと言う形容詞がありますが、quickはありません。そのため、速い電車と言いたい時は「quick train」ではなく、「fast train」が自然という判断ができるわけです。
画像検索
また、ここで「express train」と「fast train」は何が違うの?と疑問に思う方がいるかもしれません。その場合、その言葉をGoogleの画像検索してみるとイメージがつきます。
「fast train」と調べると、何やら速そうな電車がたくさん出てきます。新幹線や、文字通り速い電車という意味合いが強そうです。

一方「express train」と検索すると、そこまで早くなさそうです。どちらかというと「快速電車」といったイメージでしょうか。

Weblioの英和辞典を調べてみても、「express train」は「急行電車」という意味で理解に間違いがないことが確認できました。
fastとexpressは似たような意味を持ちますが、このように組み合わせでニュアンスが変わることもコロケーションの一つです。

コロケーションの紹介サイト

いくつかの英語サイトにはコロケーションの一覧がまとめられているので、このようなものを見るのも参考になります。
コロケーションの本

自分で一つづつコロケーションをメモし、調べながらながら学んでいくことが苦手な人は、よく使われるコロケーションがまとめられた参考書を一冊読んでみるのも良いかと思います。
「コロケーションで覚える英単語」は大学受験レベルの例文で、TOEICなどでもよく出題されるコロケーションがまとめられておりおすすめです。
内容も難しすぎず、音声もついているため、初心者のリスニングや英作文の練習に向いています。
本稿を読んで、もっとコロケーションについて学んでみたいという方は、手に取ってみてはいかがでしょうか?
終わりに
現状の英語力をもう1ステップ高みへと引き上げるためには、ボキャブラリーを増強するインプットの質を上げることが非常に重要です。
コロケーション学習はインプットの質を高めるために非常に有効な手段であり、次のアウトプットステージでも大きな英語力の向上に貢献してくれるはずです。
地道できついインプットこそ、より質と効率性を高め、英語力全体の底上げを図っていきましょう。




