




大学入試の英語試験において、最近出題の頻度が増しているのが自由英作です。
自由英作はただ自由に記述をすれば得点をもらえるわけではなく、実は文章の「論理性」が見られています。私も最初はそれを理解していないかったことで点数が伸び悩みました。
しかし、今回紹介する方法を使って論理的な文章を書くように意識したことで、着実な得点源に変えることができました。
この記事では、自由英作の基本ルールである「論理性」について解説し、具体的な勉強法もお伝えします。
現役京大生の私が、受験時代に使っていた参考書も写真付きで紹介しています。
この記事の著者:ゆほ
現役の京都大学4年生です。中学生で英語の楽しさに目覚めて以来、自己流で勉強をしてきました。受験英語の対策にも力を入れ、京都大学の英語入試では8割近く得点しています。記事を通して、みなさんに英語の楽しさや受験英語の伸ばし方を理解してもらえたら嬉しいです!
目次
そもそも大学入試の英作文とは?

和文英訳と自由英作文に分かれる。
はじめに前提として、大学入試で出題される英作文は「和文英訳」と「自由英作」の2種類に分かれます。
和文英訳では日本語の文章が与えられ、それをなるべく正確に英訳することが求められます。
一方自由英作では、例えば社会問題などに関する抽象的なお題が出題され、それに対して自分の意見や疑問を英語で記述することになります。
どちらに取り組むかによって対策が変わってきますが、この記事では自由英作文に特化して対策法をご紹介します。
重要度を増す自由英作文
近年の入試改革で英作文の重要度は増しています。
一般的な傾向として、文法や語法など「読む」力を試していた問題から、知識を応用して意味の通じる英文を「書く」力を試す問題へのシフトが起きています。
英作文は主に「書く」力を試す問題にあたりますが、今後は配点の増加や、新たに入試項目として採用されることが予想されます。
中でも、持っている知識を使って「自分なりの意見を英語で述べることができるか」を試す自由英作への比重は高まっています。
『入試必携英作文』によれば、配点率を公開している大学のうち自由英作の配点率を20%以上とする大学は6割に上ります。自由英作で得点できるかどうかは、そのまま合否に直結します。
英作文、自由英作の重要度は今後増していく一方です。しっかりと対策をして、本番で得点できるようにしましょう。
志望大学の出題傾向を知る
英作文の出題傾向は大学によって大きく異なります。
和文英訳と自由英作のどちらか片方を出題する大学もあれば、両方を出題する大学もあります。一度志望校の出題傾向を確認してから対策を始めることをおすすめします。
自由英作を課す大学に関しては、その出題内容にも大学によって傾向があります。
例えば、広島大学はグラフを説明するお題を頻繁に出題することで有名です。この場合、過去問を解くことが一番の対策法になります。
それに対して、出題傾向が毎年変わるという大学も多いです。過去問だけでは対策が難しいため、幅広く自由英作の問題に慣れておくことが必要です。
志望校が自由英作を出題するとわかっている場合、その出題内容まで踏み込んで傾向を掴んでおくと有効な対策につながります。
自分の受験する大学の出題傾向、出題内容を知りたい場合は、赤本を見るのが一番確実です。
本編に入る前の前書きに詳しく書かれていると思うので、目を通しておくと良いです。
大学のホームページを見るのも別の手段です。
多くの大学は入試情報をホームページ上で公開しています。試験科目はもちろん、出題内容について記載している場合もありますので、活用してみてください。

論理的に意見を主張しよう

問われるのは論理性
大学入試における自由英作について、大まかに理解していただけたでしょうか。
ここからは自由英作とはどのような種類のテストで、そこでは何が問われているのか見ていきましょう。
最初にも説明した通り、自由英作とは何かしらのお題が与えられ、それに対して自分の主張を展開していくという形式のテストです。
例えば、2022年度の九州大学では「数十年後、日本における移民の数が増える見込みである」という社会現象が取り上げられています。
それについて利点あるいは欠点(もしくはどちらとも)を100字程度で述べなさいというのが出題の内容でした。
グラフを用いることで有名な広島大学の2021年度の入試では、「とあるSNSから東京、大阪、香川における『うどん』についての書き込みを抽出し、それらが1日のうちいつ投稿されたものかを時間帯別に割合で示す」という変わったグラフが出題されました。
自分なりにグラフの傾向を分析し100字程度で説明することが出題の内容です。
このようにお題には様々な種類がありますが、どれにも共通して言えることは、お題に対して自分なりの答えを設定しそれを正しい順序で説明すること、つまりは「論理性」が問われています。
「論理性」とはどういうことを意味するのでしょうか?
一般に「論理性」というと「考えの筋道が正しいこと」を意味します。
自由英作においての論理性を説明するとすれば、「問いに対して結論を設定し、それに対して読み手を納得させるような根拠をつけて説明する」ことです。
これをもう一段階分解して考えると
- 問いに対する結論を設定できている
- なぜその答えに辿り着いたのか、考え方の筋道=根拠を示すことができている
という二つの論理性が自由英作では見られています。
どちらが欠けていても論理的な文章とは言えないので、自由英作に取り組むときはこの二点を押さえるように意識しましょう。
書き始める前に!英語で論理的な文章を書くコツ
コツ① 英語は結論ファースト
ここからはそれぞれの論理性について詳しく解説し、どうしたら論理的な文章が書けるのかお伝えしていきます。
まずは、①「問いに対する結論を設定できている」について解説します。
結論とは考えの最終的な判断で、いわば問いに対する答えのようなものです。そもそも問いに対して答えられていなければ、論理的であるとは言えませんよね。
例えば「〜にあなたは賛成か、反対か」というお題があったとすると、結論とは「私は〜に賛成/反対である」という文を指します。
「〜についてあなたはどう思うか」というお題なら、「私…であると思う」という文が結論にあたります。
結論の設定は、自由英作文の問題に取り組むとき最初にするべきことです。
なぜなら最初に結論を設定することで文章全体のゴールが明らかになり、その後に何を書くべきかについての見通しが立つからです。
例えば「あなたはりんごが好きか」と言う問いに対して、「私はりんごが嫌いである」という結論を設定したとします。
すると「なぜ嫌いなのか理由を書こう」とか「嫌いになったきっかけを書こう」など、その後に書くべき事柄についてのアイデアが湧いてくるのではないでしょうか。
このように、結論の設定にはその後に何を書くか見通せると言う効果があります。
自由英作でお題を見たら、まずは結論を設定しましょう。
結論の設定ができたら文章の構成を考えて、あとはそれを文章に起こすという段階に入ります。ここでも最初に書くべき事柄は結論になります。
結論ファーストは自分の意見を述べる文章を書くときの鉄則で、学術論文でもエッセイでも必ず簡単な結論を最初に示します。
日本語の場合、結論を最後に述べる文章をよく見かけると思います。例えば以下のような文章です。
「例えば…で、また〜と言う理由があるので、私は〇〇だと思います。」
しかし英語の場合は、まず結論で自分が何を言いたいのかを明らかにして細かい説明に入らないと、論理性がないという判断をされてしまいます。
そのため上の文なら「私は〇〇だと思います。なぜなら〜。例としては…。」という順番が望ましいです。
自由英作では最初に結論の設定をし、文章を書くときにも最初に結論を持ってきましょう。
自由英作は「全て結論ファースト」で覚えてください!
コツ② まず全体の構成を考える
結論の設定ができたら、次に文章全体の構成を決めていきます。
これは、②「なぜその答えに辿り着いたのか、考え方の筋道=根拠を示すことができている」を達成するために必要な段階です。
文章全体の構成を決定することで、主張の論理関係が明確になり、読み手を納得させる根拠を示すことができます。
また最初に全体の流れを決めておくことで、書いている途中で手が止まってしまう、話が違う方向に逸れてしまうといった事態を防ぐこともできます。
例えば先ほどの「私はりんごが嫌いである」の例で言うと、結論を設定して思いついた「理由を書こう」「きっかけを書こう」というアイデアを整理して、どれをどの順番で書くか決めることが文章構成にあたります。
構成を決めてから文章を書き始めることで、格段に全体の論理性が上がります。自由英作に取り組む際には、ぜひ文章構成を考えるというステップを取り入れてください。
論理の型を身につける

「結論→説明→結論」の黄金パターン
文章構成の型にはいくつか種類がありますが、私が一番おすすめしたいのは「結論→説明→結論」の黄金パターンです。
構造がシンプルなので時間を取らずに構成を決定することができますし、それでいて論理性の高い文章を書くことができます。
具体的なやり方としては、まず手短に結論を示します。
その後、どうしてそのような結論に至ったのかという具体的な根拠を説明します。そして最後にまた結論を繰り返して、文章全体の要約を示します。
一つ目の結論と三つ目の結論の違いについてですが、結論の内容自体は同じものを書きます。そのときには「英語は結論ファースト」で説明したルールに従って結論を設定します。
ただし、結論の果たす役割に微妙な違いがあり、そのために書き方が少し変わってきます。
一つ目の結論は、「これからこんなことを話すよ」と言う紹介の役割を果たす結論です。問いに対する自分の答えを手短に示しましょう。
三つ目の結論は、導入部分の結論と本文をおさらいし、全体を要約する役割も果たす結論です。
内容自体は一つ目のものと同じでなければいけないのですが、全く同じ文章にはならないように少し言い換え、“in conclusion”などの言葉を加えて文章全体の要約を示します。
理由と具体例で説明する
次は文章構成の二つ目、「説明」について解説します。
「説明」は最初と最後で示した結論に対して、どのような考えでその結論に至ったのかを詳しく記述する段階になります。
結論より多くの文字数を割いて、読み手を納得させる根拠を示します。説明の仕方にもいくつか種類があるのですが、おすすめしたいのは「理由」と「具体例」を使うものです。
流れとしては、まず一つ目で示した結論に対して、なぜそう思ったのかという理由を説明します。次にその理由に対して、具体例を持ち出して内容を深掘りします。
理由と具体例は一回だけではなく、文字数に合わせて複数回用いることができます。
複数回用いる場合は、一つ目の結論の直後に「その理由は○個あります」と宣言して全体の流れを示しておくと、わかりやすい文章に仕上がります。
例文
では実際の例文を通してどのように文章構成をするのか見ていきましょう。
一つ目の例題は自分の意見を自由に記述するタイプのお題で、二つ目は二者択一タイプのお題です。二つ目の例題では理由と具体例を複数回使っています。
例1)あなたが行きたい国を一つあげ、その良さを説明しなさい
結論:私が行きたい国はインドです。
理由:なぜならインドは日本とは全く違う文化を持っているからです。
具体例:例えば、宗教は多くの人がヒンドゥー教を信仰していて、多くの宗教施設があります。また食べ物に関しても、カレーをはじめとするスパイスを使った独特の食文化があります。
結論:日本とは全く異なる文化を体験してみたいので私はインドに行きたいです。
例2)あなたは高校に制服は必要だと思うか。
結論:私は高校に制服は必要だと思います。その理由は二つあります。
理由1:第一に、制服を着ていれば毎日の服装に悩まなくてもいいからです。
具体例:決まった制服を着ることで私服を選ぶ時間を省くことができ、その分の時間を勉強や部活動に当てることができます。
理由2:第二に、制服を着ることでどこの学校か一目でわかり、防犯対策になるからです。
具体例:制服は学生の象徴なので、街で制服を着ていれば何か困ったときに大人に頼りやすくなります。
結論:以上のような理由から私は高校に制服は必要だと考えます。
いかがだったでしょうか?事前に文章構成を考えることで、文章全体の論理性が飛躍的にアップします。
みなさんも「結論→説明→結論」の黄金パターンを意識してみてください。
自由英作文の勉強方法

まずは基礎知識から
論理的な文章を書くための基本ルールについて説明しましたが、ここからは具体的に何を勉強するべきかお伝えします。
まずは、初期段階として正しい英語の文を書くための基礎知識をマスターしましょう。
基礎固めは、論理的な文章を書くためのいわば下準備にあたります。基礎知識が身についているか確認し、抜けがあれば早めに埋めてしまいましょう。
自由英作に必要な基礎知識は主に「文法」「単語」「頻出表現」の3つに分類されます。
それぞれ勉強法や使う参考書が異なりますが、文法と単語については「和文英作編」で詳しく紹介していますので、チェックしてみてください。
頻出フレーズを覚える
論理的な文章を書くことが要求される自由英作では、論理関係を明確にする表現を使いこなすことも重要です。
頻出のフレーズを紹介するので、知っていたかどうかチェックしてみてください。
〈意見を述べるフレーズ〉
- 私は〜だと思います/〜だと思いません I think/don’t think that ~
- 私は〜に賛成/反対です I agree/disagree with ~
〈文章構成で使えるフレーズ〉
- 例えば for example/instance
- 一般的には in general/generally (speaking)
- 第一に firstly
- 第二に secondly
- 第三に thirdly
- 結論としては in conclusion
〈文章同士の繋がりを示すフレーズ〉
- したがって therefore/so
- 結果として as a result/consequently
- つまり in other words
- また also/in addition
- しかし however/but
- 一方で on the other hand/ by contrast
いかがでしたか?どれくらい知っていたでしょうか。
頻出表現は自由英作専用の参考書を使って覚えるのもいいですし、私の場合は実際の問題をこなすうちに自然に身についていきました。
いずれにしても頻出表現についてはしっかりと学んで、文章を書くときに活用しましょう。
自由英作文におすすめの参考書
「和文英訳編」でも紹介したのですが、『入試必携英作文』は自由英作文の対策にもおすすめの参考書です。

社会問題や科学技術など、テーマ別に分類されたお題が掲載されているので、志望校の出題傾向に合わせた対策が可能です。

実際の入試問題が使われているのもおすすめのポイントで、手持ちの参考書の中でも一番使ってもらいたい一冊です。
自由英作文の練習方法

実際の問題を解く
基礎知識を固められたら、次は実際の問題を解いて練習を積みましょう。
ある程度問題の数をこなすことで、すぐに文章構成をつくれるようになり、必要に応じた頻出表現の使い分けもできるようになります。
私の場合は、先ほど紹介した『入試必携英作文』を使って練習を積んでいました。
他には、英検の過去問を使うのもおすすめです。
英検では1級から3級のテストで自由英作を課していて、お題としては定番の社会問題を出題する傾向にあります。
公式サイトでは過去三年分の過去問と解説を公開しているので、英検を受験する予定がない人でも力試しに解いてみると良いと思います。

過去問を活用する
ある程度練習を積んで自由英作に慣れてきたら、志望大学の過去問にチャレンジしてみるのもおすすめです。
毎年似た傾向の問題を出題する大学の場合、過去問研究はかなり有効な対策法です。
年によって出題の傾向を変えてくる大学についても、自由英作そのものに慣れ、実際の入試の雰囲気を掴むと言う意味でも、過去問を解いておくことは重要です。
過去問対策には赤本を使うのが鉄板です。第一志望の大学とそのほか受験を予定している大学については手元に赤本を置いておくと安心です。
そのほか、東進ゼミナールが運営している「大学入試問題過去問データベース」もかなりおすすめです。
受験生なら無料会員登録をすると、185大学の過去問を最大で28年分、解答・解説まで閲覧することができます。ぜひ活用してみてください。
添削を受ける
問題を解いた後にしてもらいたいのが、先生や周りの英語ができる人に添削を頼むことです。
自由英作はその名の通り、ある程度自由に自分の意見を述べることができる英作文なので、解答・解説だけでは振り返りが難しいこともあると思います。
そんな時には英語の得意な人に添削を頼んで、文章が論理的であるか、文法や単語のミスがないかを確認してもらうのがおすすめです。

(これは私が英検の自由英作を先生に添削してもらった時のものです。)
先生に添削を頼むほどでもないけれど、文法や単語のミスはチェックしたいと言う場合におすすめなのが「Grammarly」です。
これは英文を入力すると自動で文法や単語の間違えを指摘してくれるアプリです。
さすがに文章全体の論理性までは添削してくれませんが、初歩的な文法や単語のミスがないか確認したい時にはとても有効です。
例文で紹介した「インドに行きたい理由」に関する英作文を作ったので、試しに添削してみましょう。

画面下部に“No critical issues found”と表示され、文法や単語に「致命的なミスはない」ことが確認できました。
自由英作で確実に点を取ろう!
自由英作の基本ルールである論理的な文章の作成方法と、具体的な勉強法について解説しました。
少し難しいと思われた方もいるかもしれませんが、練習を積んで論理的な文章を書くことに慣れてしまえば、自由英作は確実な得点源にできます。
今後も自由英作の必要性は増す一方です。この記事を活用してしっかりと対策していただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。





ありがとうございます あなたのサイトいつもわかりやすいです 浪人生ですが助かってます
単語や熟語の知識が全くない状態で、まずすべき学習やおすすめの参考書、アプリ等はありますか、?
また、おすすめの暗記法があれば教えて頂ければ嬉しいです。
単語についての暗記法はこちらの記事も参考にしてみて!
また、イメージで覚える英単語アプリのTANZAMも定着性に優れていておすすめだよ!