




基本的な文法や単語をマスターした中級者以上の方によく見られるのが英語の伸びに停滞を感じるお悩みです。
今回は、そんな中級者以上の方に向けて、私が「英語ノート」と読んでいる、自分だけのノートを使った勉強方法を紹介します。
英語ノートとは、普段の英語学習の中で「苦手だと感じている項目」をピックアップし、さらに関連知識も一緒にまとめることで体系的な学習を可能にした勉強方法です。
英語ノートを私が取り入れたのは、基礎知識をマスターして初級者の時のような伸びを感じることができなくなった時期です。
そんな時に英語ノートを使い出してからは、確実に苦手を克服できているという実感があり、実際に安定して英語力の伸びを感じています。
この記事では、そんな英語ノートの特徴や具体的な作り方について、実際の作成例とともに解説しています。
使うノートについても、スマホのメモアプリを使う場合と紙のノートを使う場合の2通りを紹介しています。
中級者以上で英語に伸び悩んでいる方、勉強方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてもらえれば嬉しいです。
この記事の著者:ゆほ
現役の京都大学4年生です。中学生で英語の楽しさに目覚めて以来、自己流で勉強をしてきました。受験英語の対策にも力を入れ、京都大学の英語入試では8割近く得点しています。記事を通して、みなさんに英語の楽しさや受験英語の伸ばし方を理解してもらえたら嬉しいです!
目次
普段に勉強に+α!英語ノートとは?

ベースになるのは「今やっている勉強」
今回ご紹介する「英語ノート」は、自分だけの苦手を集めたノートを作るという筆者が長年取り組んできた勉強方法です。
とてもシンプルですが、一通り基本的な文法や単語をマスターした中級者以上の方がさらに英語力を伸ばすために有効な方法になります。
英語ノートのベースになるのは、普段取り組んでいる英語の勉強です。
資格に向けた勉強や受験勉強、あるいは映画やラジオでの勉強など、現在日常的に行なっている英語学習を下地とします。
その中で「自分が苦手だと思う項目」に焦点を当て、さらには発展的な知識まで一緒に学習しようというのが英語ノートの趣旨になります。
こちらは実際に私が作った英語ノートです。映画を見ながらまとめを作りました。

現在の勉強がベースとなっているため、新しい教科書や参考書を必要としないのが英語ノートの特徴です。
まとめ方もシンプルなので、今回の記事を読んで思い立ったら今すぐにでも始めていただけます。
英語ノートにまとめるのは「苦手+α」
今行っている勉強において、自分が苦手とする文法や単語をまとめるのが英語ノートの趣旨です。
よって、英語ノートにまとめる内容は、第一に自分が苦手だと感じている項目ということになります。
苦手というのは、何度勉強してもなかなか覚えることができない文法事項から、そもそも知らなかった単語まで幅広く考えてください。
普段参考書を使って勉強している場合、知らなかった知識や覚えられない知識が苦手ということになります。映画を見て勉強をしている場合は、聞いたことのない言い回しなどが該当します。
英語ノートではこのような自分だけの苦手を集めて、効率よく知識の穴埋めをすることを目指します。
ノートにまとめる2つ目の内容は、苦手に関連した知識です。
自分の苦手を書き出すというところまでは一般的によくある勉強方法だと思いますが、英語ノートではそれに加えて、苦手に関連した文法事項や単語についてもまとめを作ります。
これによって1つの文法事項や単語から派生した内容まで網羅することができ、より体系的な学習が可能になります。単独の時より印象に残ることで、覚えやすくなるという効果もあります。
こちらは私がメモアプリで作った英語ノートです。私にとっての苦手な事項とその関連知識が一緒にまとめてあります。

英語ノートには、苦手とその関連知識を一緒にまとめる、つまり「苦手+α」をまとめると覚えてください!
なぜ「苦手」に特化するのか

英語ノートにおいてなぜ苦手に焦点を当てるかというと、英語をマスターするためには「苦手を埋める」という作業がとても大切だと考えているからです。
子供の英語能力に関する研究によれば、ネイティブレベルの英語力を習得するには10歳までに英語学習を始める必要があるという結果が分かっています。
私を含め、それ以降に英語学習を開始した学生や大人については、自己学習を繰り返すことによってネイティブとの差を埋めていくことになります。
ネイティブと私たちの圧倒的な差といえば、知識の量です。
日常的に膨大な量の英語に触れているネイティブのように英語を理解し話すためには、ネイティブにあって私たちに不足している知識=苦手な項目を、自分で埋めていかなければなりません。
このような理由から、英語ノートでは日常的に自分の苦手(分からない、覚えられない)に向き合うことを主眼にしています。
教科書や参考書を一冊解くという方法は、網羅的な学習ができるというメリットがあります。
しかし反面、自分の知っている事柄も出題される場合があり、苦手を克服するという点においてはやや効率が悪いと言えます。
その点、英語ノートは自分の苦手だけに特化するので、最短で苦手を克服することが可能です。英語ノートを使って効率良く苦手を埋めましょう!
英語ノートで勉強する3つのメリット

インプット量を増やすことができる
ここまで英語ノートが苦手の克服を主眼に置いており、苦手を効率よく把握できる設計になっているという点について説明しました。
それ以外にも英語ノートをおすすめしたい理由は3つあります。
1つ目に、日常的なインプットの量を増やすことができるという点です。
英語ノートでは自分の苦手な項目を書き出すだけでなく、それに関連したプラスαの項目もまとめて学習することになります。
そのため、学習時におけるインプット量を格段に増やすことが可能です。
英語力を底上げするためには、インプットの質はもちろんですが、まずは圧倒的な量を確保することが欠かせません。
英語ノートを活用して、日常的なインプットの量を増やしていきましょう。
アウトプットの正確性を意識できる
英語ノート2つ目のメリットは、日頃の学習から自分の苦手に注目することにより、アウトプット時の正確性を意識できるようになることです。
中級者レベルになると学習した知識を組み合わせて英文を作れるようになり、自然とアウトプットの機会も増えてくるかと思います。その際に肝心なのがアウトプットの正確性に注意を払うことです。
例えばスピーキングの練習をするとき、ただ思いついた英文を話してそれで終わりにするのではなく、自分の英文が正しいかどうか反省の時間を設けることが重要です。
ここでいう正しさとは文法上の正確性はもちろん、違和感のない自然な英語であるかという点も含みます。
このアウトプットの正確性を意識できるかどうかで、学習の質はかなり左右されます。
この点、スピーキングやライティングの勉強をされている方にも英語ノートはおすすめです。
なぜなら勉強において苦手を克服することは、正確性を追求することに他ならないからです。
英語ノートを活用しながらアウトプットの練習をすることで、「今の文法はおかしくないか?」「今の言い回しは自然か?」という自分の中の違和感に目を向け、より正確な英語を意識することができます。
モチベーション維持につながる
英語ノート3つ目のメリットはモチベーション維持につながることです。
資格に向けての勉強や受験勉強など、英語学習は教科書や参考書と向き合う坦々としたものになりがちで継続力を必要とします。
それに対して英語ノートは、自ら苦手を見つけ克服しようとする主体性の高い勉強であるため、日々の勉強にプラスすることでモチベーション維持につながります。
私も受験勉強やTOEICに向けて勉強をした際には、毎日同じ教科書や参考書を繰り返し解くことに飽きてしまい、モチベーションの低下を経験しました。
しかし英語ノートを併用することで、より主体的に勉強できているという実感が湧き、継続するモチベーションを保つことができました。
教科書や参考書を使った学習に飽きている方にも、英語ノートはおすすめです!
停滞期を乗り切る処方箋
ここまで紹介した英語ノート3つのメリットは、中級者以上が経験する「停滞期」を乗り切るのに重要な要素でもあります。
停滞期とは、基本的な文法や単語をマスターした中級者以上に訪れる、自分の伸びが実感できなくなる時期のことです。
私の経験上、停滞期が起こるのは初級者の時のように「これを勉強すれば良い」という決まった型がなくなり、成果がなかなか見えない中で学習を継続する忍耐が必要になるからです。
英語ノートのメリットで紹介した「インプット量を増やすことができる」「アウトプットの正確性を意識できる」「モチベーション維持につながる」という効果は、それぞれ停滞期を乗り切るために欠かせない要素でもあります。
まずインプット量を増やすことは、停滞期において自分の基礎能力を上げるための下地になります。目に見える効果が現れなくても、コツコツと蓄えた知識は確実に力になっています。
さらにアウトプットの正確性を意識することは、停滞期において学習の質を上げるために重要です。
ただ英語を話すだけ・書くだけという段階から、正確性を意識して自分で間違いを指摘できる段階へのシフトチェンジを行うことが必要になります。
最後に一番重要なのが、学習のモチベーションを保ち続けることです。
停滞期では初級者の時のように、学習の成果がすぐに現れるわけではありません。その中でも学習を継続することが、苦しい停滞期を乗り切り、再び成長を実感できるようになるために肝心です。
このように英語ノートの持つ3つのメリットはそれぞれ、停滞期を乗り切る3つの方法とリンクしています。
中級者レベルになって英語力の伸びが停滞していると感じている方、初級者レベルをマスターして次に何を勉強すれば良いのか迷っている方など、ぜひ英語ノートを活用して停滞期を乗り切り、さらなるレベルアップを図っていただければと思います。
英語ノートの書き方・作り方

ここからは本格的に英語ノートを使った勉強方法や具体的な書き方を紹介していきます。全部で3つのシンプルなステップです。
第一段階として必要になるのが、普段の英語学習に取り組むことです。英語ノートのベースになるのは普段の学習なので、まずは何かしらの形で英語に触れることが必要になります。
現在取り組んでいる英語の勉強ならどんな形でも構いません。
受験勉強や資格勉強など目的がはっきりしている勉強はもちろん、英語の新聞を読む、ラジオを聞くなどの習慣がある場合、ぜひそれを活用してください。
後で紹介するように、映画やYouTubeを応用する方法もおすすめです。
ステップ1 自分の苦手を把握する
普段通りの英語学習を始めたら、次はそこで「自分が苦手としている項目」を把握します。
繰り返しになりますが、苦手とは何度勉強してもなかなか覚えることができない文法事項から、そもそも知らなかった単語まで幅広く考えてください。
受験勉強や資格勉強の場合、今使っている参考書で自分が苦手だと感じる文法事項や、単語帳で何度見ても覚えられない単語などを抜き出します。
新聞、ラジオなどを活用する場合、見ていて(聞いていて)理解できない単語をピックアップします。映画やYouTubeも同様です。
この段階では、徹底的に苦手を洗い出すほど質の高い学習につながります。少しでも苦手意識があると感じたものについては、抜かりなくピックアップするのがおすすめです。
ステップ2 苦手を分類・整理する
自分の苦手を把握することができたら、次に苦手を分類・整理していきます。
分類というのは、苦手な文法事項や単語を品詞や役割の名称でラベリングしていくという意味です。
特定の文法事項が苦手だと感じている場合、その文法の名称を調べてください。苦手なのが特定の単語の場合、その品詞(動詞、名詞、形容詞など)を調べます。
次になぜその項目が苦手だったのか、「苦手の理由」について整理していきます。
苦手にも様々な理由があるので、単に知らなかったのか、あるいは似たような文法・単語と紛らわしかったのかなど、なぜ自分が苦手意識を持っていたのか整理します。
ステップ3 「苦手+α」を一緒にまとめる
最後に苦手とそれに関連した知識をまとめる段階に入ります。
前の工程で苦手の理由を整理しましたが、それはどんな関連知識をまとめれば良いか明確にするためです。
単に知らなかったという理由なら、これまで学習した文法や単語に似たものがないか探して一緒にまとめると効果的です。
例えば、“contagious“(伝染性の)という単語が覚えられない場合、似た意味の“infectious”を知っているのであれば、一緒にまとめることで覚えやすくなります。
似たような文法・単語があって紛らわしい場合、類似の文法項目や単語を一緒にまとめます。
例えば、“confirm”(確認する)という単語が、よく似たスペルの“conform”(従う)と紛らわしくて覚えられない場合、2つを比較するような形でまとめると効果的です。
尚、関連知識を探すときにおすすめしたいのが「ネイティブと英語について話したこと」というサイトです。
ニュースに登場する単語や表現についてわかりやすく解説しているサイトで、特定の英単語を題材にした記事も多くあります。
1つの単語が持つ複数の意味や類似の単語についても細かく紹介されていますので、より体系的に関連知識をまとめたいという方は活用してみてください。
英語ノートの具体例
以上が英語ノートの作り方3ステップでした。
ここからは実際の作成例をいくつか紹介するので、具体的なイメージを掴んでもらえればと思います。
これは英語のニュースを読んでいたときのノートです。文中に“cattle”という単語が出てきたのですが、苦手意識を感じたので取り上げました。
分類としては可算名詞にあたります(写真では大文字のCで表現しています)。
苦手の理由としては、複数ある「牛」を表す単語のうちどれに該当するのか紛らわしかったからです。そこで関連知識として色んな「牛」を表す単語をまとめました。

次は語形変化について取り上げたノートです。
教科書か何かを読んでいて、“laugh”の三単現である“laughs”の読み方を疑問に思って作りました。
分類としては一般動詞の語形変化にあたります。苦手の理由は語形変化の法則を忘れていたことです。そのため関連知識として、教科書の語形変化の章を自分なりにまとめ直しました。

映画やYouTubeを活用する
最後に補足として、「普段の英語学習をする」段階で映画やYouTubeを活用する方法を紹介します。
映画やYouTubeを使った方法は、勉強していて楽しいのはもちろん、「ネイティブが使うフレーズそのまま」を習得することができるので、英語ノートの題材としてとてもおすすめです。
やり方は簡単で、映画やYouTubeを鑑賞して苦手だと思ったセリフ(理解できない、あるいは意味は理解できるけれど効き馴染みのないセリフ)をそのまま英語ノートに書き留めます。
あとは参考書を使う勉強と同じように、理解できなかった点を分類・整理して、できれば関連知識も付け加えます。
これは私がある映画を見た時のノートです。字幕をつけながら、聞き取れなかったあるいは「こんな言い回しができるのか」と勉強になったセリフを書き留めています。関連知識を追記している箇所もあります。

メモアプリを使う場合

メモアプリのメリット
ここまで英語ノートの具体的な作り方・書き方について説明しました。
最後に英語ノートで用いるノートについて、メモアプリを使う場合と紙のノートを使う場合の2通りをご紹介します。
1つ目はスマホのメモアプリを使う場合です。
メモアプリを使う一番のメリットは、思いついた時にすぐ実践できる点です。外出先でも簡単にノートを作れるので、最近ではメモアプリを使う頻度の方が増えてきました。
メモアプリを使う他のメリットとしては、書き消しが自由にできて、かつ苦手の分類・整理がしやすい点です。
アプリを使えば紙のノートにはつきものである、一度書いたものを消して書き直すという面倒な作業を省くことができます。
さらに今回紹介するような分類の機能がついたメモアプリを使えば、より体系的な学習が可能です。

メモアプリでのまとめ方
実際にメモアプリで英語ノートを作る方法について説明します。
使っているアプリは「ノート」というものです。デザインも操作もとてもシンプルなのでおすすめです。
「ノート」の使い方としては、まず「フォルダ機能」を使用して大まかなフォルダを用意します。フォルダ機能とは、作成したノートをいくつかのジャンルに分ける大分類のことです。
私の場合、「今日の学び」「紛らわしい単語」「単語(分類済み)」「映画」など、ジャンル別にさまざまなフォルダを用意しています。

次に各フォルダ内で、先ほど紹介した英語ノートの書き方を実践していきます。
例えば「今日の学び」のフォルダでは、日付ごとにノートを作って1日の学びを記入しています。
ここではわざわざ他のフォルダを作るほどでもない細々とした事柄をまとめています。ふと思いついた「これって英語で何ていうのだろう?」という疑問をまとめるのもこのフォルダです。
例えば今年の5/21日に作成したノートがこちらです。その日に学んだランダムな知識を一覧で見ることができるようにしています。

また、「単語(分類済み)」では「会社・仕事」「自然」「病気」「体」など、苦手な単語をジャンル別に分けてノートにまとめています。

例えば「体」というノートでは、身体に関するさまざまな単語をまとめています。

紙のノートを使う場合

紙のノートのメリット
続いて紹介するのは紙のノートを使う場合の英語ノートの作り方です。
紙のノートを使うメリットはなんと言っても、視覚的にインパクトに残るまとめを作りやすい点です。
アプリと違ってページ一面を自由に使うことが可能なため、表や絵などを描くことも容易です。
紙のノートでのまとめ方
私が紙のノートを使用する場合は、映画のセリフ、教科書・ニュースのまとめなど、様々な題材を分類することなく一冊にまとめています。
各ページでのまとめ方はアプリの時と同様、「英語ノートの作り方」で紹介した手順に沿って苦手を整理しています。
例えば、これはとあるニュースをまとめたページです。苦手意識のある単語を書き出して、関連知識を適宜まとめています。

2つ目は少し変わった例ですが、発音記号について表でまとめたページです。辞書で単語を引いたときに発音記号が理解できないことがあったので、表にしてまとめました。

英語ノートを活用して、確実に英語力を伸ばそう!
いかがだったでしょうか?この記事では、苦手に特化して自分なりのまとめを作る英語ノートについて、そのメリットや具体的な作り方をご紹介しました。
苦手克服は英語マスターへの王道手法です。英語ノートを活用して効率よく苦手を克服し、確実な英語力アップを目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。




