




本稿は、英検でいうと現在準2~2級レベルで、もう一歩上の準1級レベル・上級者を目指したい、という中~上級の方を読者として想定しております。
特に、やっぱり英語を話せるようになりたい!
日常会話やビジネス・シーンで英語を喋っても無難にこなせるレベルになりたい!!
という感じの方向けで、音声・オーラル面にフォーカスしています。
この記事の著者: Tempest
- 横浜在住、40歳台前半の男性
- 米国でMBAを取得、専攻は金融
- 投資銀行マン等を経て、財務・法務系の翻訳家として独立(言語は英語・タイ語)
- Tempestの英語学習の記録
目次
NHKラジオ英会話(自力)vs 英会話学校(他力)

スピーキングを磨くとなるといわゆる英会話学校が頭に思い浮かびます。一方音声面の学習で昔から優れているのはNHKの教材がよく出来ていると高名です。
私も、大学の頃NHKのラジオ英会話とラジオ・ビジネス英語に4年間お世話になりました。
一方で、英会話学校はお高いので通ったことはありません。
が、視察という感じで大手スクールのトライアルをタダで受けて回った経験があり、どんな様子かはよく知っています。
英会話学校が高いお金を支払ってネイティブの先生に面と向かって会話し指導してもらう「他力」・・・浄土真宗の自己放棄という良い意味ではなく、他人に頼るという日常的な意味です・・・
だとすると、教材を手に独りで黙々と進めるNHK教材は「自力」です。間接的にはこちらも教師が居ますが・・・。どちらがいいでしょうか?
個人的にはコスパという点であまり英会話学校は勧めておりません。
本稿では具体的に掛かる費用をざっくり調べ、双方のメリット・デメリット及びコスパを客観的に見てみたいと思います。
英会話学校

ネット上での生徒満足度によるオリコン、トップ5を見てみます。
全て英会話学校と聞くと思いつく有名どころです。ちなみにどれも体験レッスンを受けたことが御座います。
カリキュラム
教材やハンドアウトが手渡され、読み書きの宿題が出ることもありますが、ネイティブ講師と日常的なトピックにつき小数のグループ(2~4人)かマンツーマンで和やかな対面の会話をする、というのが「英会話」学校というのでメインです。
値段はグループよりマンツーマンの方が当然高いです。かなり「同質化」が見られ(差別化しにくい)どこも似通っています。
学習進捗・効果測定管理をする日本人のコンサルタントが各生徒を担当したりもしますが、英検やTOEIC等の具体的な目標が生徒の方にない限り「やりっぱなし感」「楽しければいい感」があるのは否めません。
また、実践的スクールとは言いつつ、日本でインターナショナル・スクールに入ったり英米留学して一日中英語に浸る環境でもなく、数十分のクラスを週に多くて2, 3回取るだけですのでそう大きな効果が期待出来るわけでもありません。
褒めて伸ばす式が多く、おだてられますが客観的に自分を見つめないと多大な時間とお金だけ使ってさほど効果が出ない、という羽目に陥ります。
外大など普通の学校と違いいわゆる「客商売」ですので、スタッフによるサービスや施設はよく整っています。
英語講師の質

最大の売りはネイティブ講師との実際の会話、という点ですが講師の質については要注意です。
まず何らかの理由で日本に居たいが、まともな職が無いという外人がパートで勤めているだけで内心生徒の実力向上にそうコミットしているわけでもありません。
大卒者はほとんどおらず、ただネイティブとして英語は当然スラスラ話せる、というだけで知的水準はかなり低いです(実際そう感じました)。
逆に、高等学位がある人で日本に住みたい人は当然英語で働ける外資の日本法人や大学で働くことでしょう。
ある程度教育メソッドに関する訓練は受けていますが、外大のような本当のプロの教師というわけではありません。
また、日本人講師もかなりいます。どちらかというと読み書き寄りで、留学経験がある・英検1級取得など何らか英語のオーラル面にも通じている、ということになっています。
が、やはり発音がネイティブ並みといった人は少なく、こちらに教わる場合もっと注意が要ります。
留学と言ってもピンからキリまであり、一流の海外MBAを取得したなどという人は英会話学校などに勤務せず、外資でバリバリ働くはずです。
なお私は案外いい学校のMBAホルダーで成績もかなり良かったですが、今は脱サラ(脱落)しネットワーカーで半分プーです。
特長

さて何だか批判基調になってしまいましたが、市販の教材で自習するのと比べ優れたる点としてはやはり「実際に話す」「双方向」という点です。
これは明らかですのでさほど申しあげることはなく、この非常に実践的という点はやはり優れており、これだけ英会話学校が乱立して競争が激しいのになお利益が出る・撤退しないという理由も分かる気がします。
気になるお値段

日常英会話コースのお値段 | ||||
ランキング | スクール名 | 形態 | 授業料(目安) | 年間(週二回) |
1 | イーオン | グループ | 3,000円/回(50分) | 288,800円 |
2 | Gaba | マンツーマン | 6,000円/回(40分) | 576,000円 |
3 | ECC | グループ | 5,000円/回(100分) | 480.000円 |
4 | ベルリッツ | マンツーマン | 7,000円/回(40分) | 672,000円 |
グループ | 3,000円/回(40分) | 288,000円 | ||
5 | シェーン | マンツーマン | 7,000円/回(40分) | 672,000円 |
高っ!・・・これ以外何も言いませんm(_ _”m)。
と断りつつ・・・何故こう高いかというと人件費産業で、講師の時給が原価となるためです。
いわゆるコスト / マークアップ(原価 + 利益)による価格体系で、バイトとはいえ一応教師ですのでさほど低い時給にも出来ず、結果学校側も心苦しいでしょうがこういうお値段になってしまいます。
また国立大学と違い民間ビジネスなので国や市町村からの補助金などは学校ながら基本ナイ、ということも挙げられましょう。
私のような貧乏人は絶対に通えません。残念ながら。行きたいのに~。イーオン行ってさとみに会いたい!
各英会話学校の紹介
イーオン
ロー~ミドルエンドで、他校よりやや安いです。その一方で日本人講師がやや多めなのも特徴です。
ランキング1位につけているのはコンテンツよりさとみ効果では・・・と私は睨んでいますが。
Gaba
この中では比較的若い学校です。高名なハーバード・ビジネススクールのある卒業生がベンチャーとして起業したものです(MBAつながりで一度お会いしたことがあります)。
ネイティブとのマンツーマン(のみ)が売りで、ビジネスマンが主なターゲット。クリーンなイメージで頭角を現しています。
ECC
非常に長い歴史があり、この中ではややアカデミック寄り・・・読み書きも多少重視・・・のいわゆる学校っぽいところです。
お値段も授業時間を勘案するとこの中では安い方ですが、イーオンと同じく日本人講師も多いので注意です。
ベルリッツ
ややハイエンドとされています。日本支店の現オーナーはある日本のHR・教育産業系企業ですが、他と違い米国発です・・・株分けされたってことですね。
その分メソッドもやや優れている感があり、外人講師に大卒の人もあります。でもお高いですね。
シェーン
他はアメリカ英語主体ですが、こちらはイギリス英語主体だと聞きました。
私が行ってトライアルでお相手してもらったのは雰囲気的に不良っぽいアメリカ人の「よう」でしたが(だとしても多分東海岸出身でイギリス英語に近くはっきりしない)。
このように、学校によって米寄りか英寄りかということはありますので、その点もご勘案下さい。
どちらがいいということはありませんが、ざっくり米の方がグローバル社会において汎用性が高い・新興である、英の方が表現・発音とも上品でクラッシクであり日本人には馴染みやすい、といった特徴があります。
学習に際してはどちらかに絞る方が賢明で、おススメとしては有用性という点で米です。
なお次点(6位入賞)には過去お茶の間留学(自宅で遠隔英会話)とコミカルなコマーシャルで一世を風靡したものの経営者の金銭的不祥事で少し没落したNOVAが来ていました。
NHKラジオ英会話の教材

NHKの英語学習カリキュラムには「ラジオ」と「テレビ」がありますが、ラジオの方がお勧めで話をこちらに絞ります。
テレビの方は講師の顔が見えるのでいずれにせよ一方通行ながら英会話学校により近いです。
独習する場合「ビジュアルの助け」が無い方が言語・音声のみに集中するようになるため効果が高い、とされているためです。
なお私の頃は実際ラジオで聞いていましたが、調べると数日分のバックナンバーはネットのストリーミングでも聴けるようです。
アプリも出ており、インターネット環境があればすぐに過去の放送をチェックできて便利です。


さて、中学生1年生レベル(英検5級レベル)からビジネスレベル(英検1級レベル)まで分かれており、自分の現在のレベルに合わせてスタート地点を選べます。
目安として英検2級を突破している方なら、上から2つ目か3つ目ぐらいが妥当でしょう。
気になるお値段

時間: 平日毎日15分、半年単位のカリキュラム。
値段: テキスト500円弱/月、書店かネットで購入。
今さらラジオはねぇ! という方はCD付きもありますが、そうすると2,000円/月近くになります。アプリでバックナンバーを使えば無料になります。
が、いずれにせよ値段という点では英会話学校よりはるかに安いです。
カリキュラム

さて、レベル別に列挙してみます:
と、色々ありますね。私がお世話になっていた頃とあまり変わっていません。段々レベルを上げて行けるのがいい所です。
カリキュラムですがミニテキストで1ページほどの多くも少なくもない文章・会話文があり、講師はアカデミックな日本人 = 大学の教授等とネイティブ1, 2人のコンビを組んでいます。
まずネイティブが読み上げ、日本人の先生が文法・内容を解説し、さぁリスナーの皆さんもネイティブ先生を真似して発音してみよう! (わざとらしく間が空きます)という感じです。これでご想像は十分に付くかと思います。
独り部屋で真似して発音するのはアホらしい感じもしますが、経験上かなり効果があります。
MBAではクラスでの発言が評価されたりプレゼンをやらされたりしますが、このNHKの学習経験が無ければ卒業は出来たにしてもそういい成績は取れなかったと感じます。
私は、最近はラジオ英会話は卒業し、英語力維持のためNHKニュースのニュースで学ぶ現代英語を毎日聞いています。

他にも、中上級者向けにNHK Worldというライブニュースもあるので、ラジオ英会話に物足りなくなったら試してみるのも良いでしょう。
テキストも買わないため、こちらは完全無料です。

特長
英会話学校に比べるとまず格段に安い、通う手間などもなくお手軽、特にCDや音源を買った場合は放送時間など気にせずいつでも好きな時にやれるという点が優れものです。いつでもと思うと三日坊主になる可能性はありますが。
また、NHKだけあって内容、特に文法面・講師陣ともしっかりしています。
ネイティブの方も大抵大卒以上でしっかりと言語系の教育を受けており、場合により日本の大学で留学しているという方もあり、日本・日本人・日本語の事情もよく把握しています。
発音が非常にスタンダードでキレイなネイティブの方を厳選ピックしており・・・そのため女性の方が多いようで、この点もバラツキがあったり日本人が出て来ちゃうこともある英会話学校とは違います。
一方、やはり一方通行なので英会話学校の「いわゆる会話」・「双方向性」という点では大きく劣ります。
ラジオ英会話の勉強法
ラジオ英会話で一番大切なのは、テキストを購入して学習を毎日続けることです。
一つの番組の長さは一回15分で週に3回程度となり、15分の中で、音読してみようとか、ディクテーションしてみようといった、基礎的な英語力をあげる練習も含まれています。
一日15分なので、嫌にならないレベルで毎日英語リスニングの勉強が続けられます
特別復習をしたり単語を暗記をしようとすると、途中で挫折をする可能性もあるので、まずは決められた時間に15分ラジオを聞き、テキストを開くことを習慣化しましょう。
自分のレベルにあったラジオ英会話から徐々にレベルアップし、2-3の講座を半年~1年で完了することで英語初心者がTOEIC700点レベルにもってくることは射程距離です。
むしろ、TOEIC700点が目標であればラジオ英会話以外に浮気をする必要はございません。
これで基礎力を付けた後は、さらに話せるようになるための英語ペラペラへの道をご参照して頂ければと思います。
比較・サマリー

以下、双方のメリット・デメリットをサマリーします。
英会話学校
メリット:
- 「実際の会話」・「双方向」である
デメリット:
- 高過ぎ
- 通わなくてはならず、時間を食う
- 講師の質が少し以上疑問
NHKラジオ講座
メリット:
- 内容・講師ともしっかりしている
- 安い
- 時間の制約もあまり無い
デメリット:
- 「一方通行」である
このように双方裏返しでそれぞれにメリット・デメリットがあり一概にどちらがいいとは判断出来ません。
総合的に、英会話学校があまりに高いということでコスパの点でNHKに軍配を上げたいと思います。
また、英会話学校は週1回程度にしてコストを抑え、行かない日はNHKもやるということもハイブリッド型も可能でしょう。
最近は教室に行かずとも、オンライン英会話等も活用すればよりコスパよく話す機会を増やすことができるのではないでしょうか。
まとめ
最後に、私個人としてはお世話になったこともありNHKの方が好みです。
何より、精神論はあまり好きではありませんが、カネの問題以上になるべく「自力」でやる方が最終的に迫力・自信が出ます・・・。
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