みなさんは、ホラー小説はお好きだろうか?ホラー映画や小説は、好き嫌いが分かれるところかもしれない。
ホラー小説といっても幽霊が出てくるような作品ばかりではない。殺人鬼が登場するようなサスペンスや、ファンタジー要素の強い作品もある。書かれた時代も、最近のものから100年以上前に書かれた古典作品までさまざまだ。
今回はそんなホラー系の洋書を幅広く集めてみた。
普段ホラー小説をあまり読まない方でも、興味が湧く1冊がきっとあるはずだ。
ホラー小説で英語学習してみよう!
どの作品においても英語学習の点から重要なのは、それぞれの状況をしっかり理解すること。
せっかくの「ホラー」なので、その怖さをしっかり感じ取りたいものだ。
登場人物の行動といったストーリーの大きな流れだけでなく、形容詞など細かな表現にも注意して読んでみよう。似たような意味の形容詞でもニュアンスが違う場合もある。辞書を引くときは日本語訳だけでなく例文も確認するといい。
もう1つ、心理描写を理解するのも大切なポイント。
日本語の小説でも、登場人物が「怖い」と感じたときに「怖い」と書いてあるとは限らない。英語の場合も同様だ。
さまざまな表現を読んで、ぜひリーディング力をアップさせよう。
おすすめホラー洋書8選

Finders Keepers

著者紹介
Stephen King
Stephen Kingは1947年アメリカのポートランド出身の小説家。
大学卒業後は高校で教えると同時に執筆活動を続け、1973年からはフルタイムの作家として数多くの作品を生み出している。大学時代に出会った女性と結婚し、3人の子どもがいる。
作品概要
1978年、1人の男が有名な作家を殺害した。この作家に対する異常な執着心から、未発表作が含まれたノートを手に入れようとしたのだ。
2009年、ピートという名の少年が、埋められたトランクの中からそのノートを発見した。そして2014年、刑務所から出てきた犯人はそのノートを回収に向かう。
May先生のおすすめの理由
Stephen Kingはホラーやサスペンスの分野で非常に人気のある作家である。日本語に翻訳されたり映画化されたりしている作品も多いので、ぜひ1冊は原作を読んでみたいものだ。
作品によってはリーディングの難易度を示すLexile指数が1000以下のものもあるので、あまり洋書を読んだことがない人でも意外と挑戦しやすいはず。
今回紹介している作品も、難解な単語はそれほど出てこない。ストーリー中に時代が変わっていくが、分かりやすく書いてあるので混乱せずに読めそうだ。
Perfume: The Story of a Murderer

著者紹介
Patrick Süskind
Patrick Süskindは1949年ドイツ出身の作家。ミュンヘン大学で中世と現代史を学んだ。
著者は20年もの間ほとんど取材を受けておらず、公表されている自身の写真は3枚しかない。現在はミュンヘンで暮らしているとされる。
作品概要
18世紀フランス。そこに非常に才能豊かで忌まわしい1人の男が暮らしていた。しかし現在この男のことを覚えている人はいない。
男の才能と唯一の野望は、歴史にまったく痕跡を残さないまでに排除されたのだった。香りというはかない領域のなかに閉じこめられて……
May先生のおすすめの理由
文法的には複雑ではないのだが、知らない単語が多くて苦労するかもしれない。
ただ、あまり頻繁に辞書を引き過ぎても逆にストーリーが分かりにくくなることがあるので、ある程度読んでみて前後関係を考えても分からない部分を中心に辞書を引くなど工夫するといいだろう。
18世紀フランスという時代や場所を想像しながら読むと、理解しやすくなるはずだ。映画化もされた作品で、興味深いストーリー展開をぜひ楽しんでほしい。
A Discovery of Witches

著者紹介
Deborah E. Harknessは学者であり小説家。大学で歴史を学び、その後オックスフォードの図書館などで働いた。
現在は南カルフォルニア大学でヨーロッパ史などを教えている。小説家としてのキャリアをスタートさせたのは2008年以降のことである。
作品概要
魔女の血統を引く歴史学者のダイアナが図書館で錬金術書を開いたとき、それまでの生活に魔法が入り込む。ダイアナが発見したことの重大さを感じて集まった魔女や悪魔や吸血鬼の中には、吸血鬼の遺伝子学者マシューもいた。
2人が錬金術書の秘密を紐解くとき、危うい平和のバランスが明らかになり……
May先生のおすすめの理由
少し長めの文もあるが、英文法自体はそれほど難しいものではない。ヴァンパイアなどが活躍するファンタジー系ならではの単語が多く出てくるので、それらに慣れれば読みやすい1冊。
本作はファンタジー系によくある10代の若者向けのヤングアダルト小説というわけではなく、成人向けに書かれた小説なので読み応えがある作品である。
A Discovery of Witches (All Souls Trilogy 1)
The Little Stranger

著者紹介
Sarah Waters
Sarah Watersは1966年ウェールズ出身の小説家である。これまでに6冊の小説を発表しており、多くの賞を獲得している。
作品概要
侘しいハンドレッズ館に暮らす患者のために1人の医者が呼ばれた。エアーズ家が2世紀以上にわたって暮らしてきた館は、かつては立派なものだったが現在は衰退していた。
しかし、エアーズ家が取りつかれているものは、本当にその没落しつつある生活だけなのか? この家族の物語がどのように自分に関わってくるのか、医者は知る由もないのだった。
May先生のおすすめの理由
1つずつの文はそれほど長くなく、文法的にも比較的読みやすい作品である。この作品だけではなく、ゴースト系ホラーの洋書には古い館が登場するものがよくある。
ストーリー設定も古い時代だと馴染みのない単語が出てくることが多いので、その分辞書を引く機会も増えるかもしれない。物語の時代背景などを想像しながら読むといいだろう。
American Gods

著者紹介
Neil Gaiman
Neil Gaimanはイギリスのハンプシャー出身の小説家。
ジャーナリストからキャリアをスタートさせ、グラフィックノベル、ヤングアダルト小説、大人向けの小説とさまざまな作品を生み出している。現在はアメリカ在住。
作品概要
シャドーは3年の刑期を終えて出所しようとしていた。出所2日前、妻のローラが不審な車両事故で死亡する。
呆然としたシャドーは家へと戻るのだが、そこでアメリカの王だと名乗る奇想天外な男と出会い、2人はアメリカを横断する奇妙な旅に出るのだった。
May先生のおすすめの理由
複雑な文法はそれほどなく、1文ずつもさほど長くない。
使われている単語も難しいものではないが、口語的な表現が頻繁に出てくる。英語の教科書を中心とした学習だと、こういった語句に慣れていなくて理解しにくいかもしれない。
現代小説と古典小説と呼ばれるものでは使われる単語も変わってくるので、どちらも読むように心がけるとさまざまな英語に触れることができるのでおすすめだ。
A Collapse of Horses
著者紹介
Brian Evenson
Brian Evensonはアメリカ人作家。これまでに発表した作品は数々の賞を獲得しており、フランス語、イタリア語、日本語など多くの言語に翻訳されている。
現在はアメリカのロサンゼルスで暮らしており、カリフォルニア芸術大学の教師でもある。
作品概要
はく製のクマの心臓の鼓動、どんなに早く運転しても東へ後退していく都市……。日常と非日常、そして知るはずのない知識とともに生活する恐怖へと私たちを追い込む短編集。
May先生のおすすめの理由
17の作品が含まれた短編集。1篇は数ページ程度のものから40ページくらいあるものまでさまざまである。
文法構造や単語が多少難しい部分があるが、ストーリーが短いので挑戦しやすいはず。短編小説であれば短い時間でも読み切りやすいので、忙しい人にはぴったりだ。
ホラー系の短編集は比較的多く販売されているので、長編小説は苦手だけどリーディング練習のために洋書を読みたいという人にも向いている。
Picture of Dorian Gray

著者紹介
Oscar Wilde
Oscar Wilde(1854-1900)はアイルランドのダブリン出身の小説家、劇作家、詩人、批評家。大学卒業後にロンドンへ移って創作活動を開始し、さまざまな作品を残した。私生活では不倫や逮捕など波乱万丈な生涯を過ごした。
作品概要
自身の肖像画のとりこになったドリアン・グレイは永遠の若さと美と引き換えに魂を売り渡した。ヘンリー・ウォットン卿の影響のもと、ドリアンは腐敗した二重生活へと引き込まれていく。
社会からは紳士として見られながら、自身の欲望に浸る生活。その肖像画だけが衰微していくドリアンの痕跡をあらわにするのだった。
May先生のおすすめの理由
この原作が出版されたのは1890年のこと。ホラー小説の古典的名作である。今回紹介している本は2003年に出版されたバージョンなので、古典小説とは言ってもそれほど難しさを感じずに読むことができるだろう。
このような有名作品の場合、原作に近いバージョンや現代の読者が読みやすいように書き直されたもの、若者向けに易しく書かれたバージョンなど、さまざまな本が出版されている。
面白そうな内容の小説に出会ったら、本を比較してみると、自分の英語レベルに合う本を見つけることができるはずだ。
The Call of Cthulhu and Other Weird Stories

著者紹介
P. Lovecraft(1890-1937)はアメリカ人作家。20世紀を代表するホラー作家の1人であり、多くの短編を残した。体が弱く、大学に通うことができなかった。ゴーストライターとして生計を立てたが裕福ではなく、名声が高まったのは死亡後であった。
作品概要
現代のホラー小説に影響を与えているとされるH. P. Lovecraftの短編集。悪夢と狂気を描いた初期の作品「The Outsider」や、有名な「The Call of Cthulhu」など多くの作品が収められている。
混沌と悪意に満ちた世界の言いなりになる人間を描いた作品の数々である。
May先生のおすすめの理由
短いものでは数ページほどの作品が18篇収められた短編集である。文法・語彙ともに多少複雑な感じである。少し難しい文章に挑戦したいという方にも、1つずつの作品が短いのでおすすめだ。
表題に出てくる「Cthulhu」という単語のように造語が登場することもあるので、内容を理解するためにはインターネットで検索する必要も出てくるだろう。
リーディングのとてもいい練習になるだけでなく、最初に紹介したStephen Kingにも影響を与えたといわれている作家の作品集ということで、どれも興味深い作品ばかりである。
この記事の著者:May先生
みなさん、こんにちは。Mayです。 これまでに、留学したり、独学で勉強して英検1級を取得したり、幼児英語教育に3年間携わったりしてきました。 英語はなかなか短期間で身につくものではありません。 でも自分に合った学習方法を見つけてどんどん上達していく人を、たくさん見てきました。 みなさんが英語をより楽しく身につけられるように、私の経験や知識をお伝えできればと思っています。
May先生のおすすめ洋書シリーズ
テスト対策にも!目標を定めて洋書を読もう!TOEIC600点〜
洋書は聞く!AmazonのAudibleを活用しよう
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まだ全ての洋書に対応している訳ではないが、ここで紹介している洋書も含め、かなり多くの本に対応している。プロのナレーターが朗読するため、発音もはっきりしていて英語学習者にも聞き取りやすい。購入前にサンプルを聞くこともできる。
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導入は簡単、下図のように各洋書の購入画面からAudible版を選んで購入画面に進もう。

洋書を読んで、聞いて、リーディングとリスニング力をバランスよく高めよう!!
» 参考: 洋書は聞く!?AmazonのAudibleを英語学習に活用しよう!
Kindleのすゝめ








