「クッ、アー、ツ」と言いながら左の二の腕、肘、手首のあたりを右手で触れ、次に左の二の腕から手首までを右手で撫でおろしながら「cat!」という。
次に「ル、イー、ヅ」と言いながら同じように手を動かして「read!」という。
これは、アメリカのキンダーガーテンに入学して数か月がたったころの娘がよく行っていた行動です。もちろん実際の発音は、日本語では表せない音でした。
また、同時期に娘にアルファベットを見せると、「G」であれば「グッ」というように、その名前(ジー)ではなく発音で答えることが多く、面白いと感じたのを覚えています。
このように、アメリカの小学校で子どもたちに行われる英語の指導方法は、日本での方法とは少し違います。
そして、その教育を受けた結果、娘は会話には拙さが残るものの、同年代のネイティブの子どもたちと同じレベルの読み書きが一年後にはできるようになりました。
本記事では、娘を通じて経験した、小学校低学年で行われる英語の指導方法をご紹介していきます。
ご自宅で英語をお子さんに教えるときの参考にしてみてください。
この記事の著者:MIZUKI
アメリカで中学生と小学生、2人の娘を育てているMIZUKIです。我が家は日本人家族で、夫も私も英語はあまり得意ではないですが、子どもたちはバイリンガルへと成長中!アメリカでの子育てや学校を通じて知った、さまざまな英語教育についての情報をお伝えできればと思っています。
目次
アメリカの小学校の仕組み

最初に、アメリカの小学校の仕組みについて簡単にご紹介します。
年長さんから小学校は始まる
アメリカでは、日本で言う年長さんの年齢から義務教育が始まり、小学校に通い始めます。これがキンダーガーテンです。
難しい授業はまだ始まりませんが、アルファベットや数字という1年生以降の勉強の基礎を教わります。
また、キンダーガーテンの時点では成績表がない一方で、年に3回ある英語と算数の全米共通テストを受け始め、その結果が学校での個々の教育方針の一つの指標となります。
成績に応じた教育システム
よく知られているように、アメリカでは習熟度が高い生徒はギフテッド(Gifted)教育を受けたり飛び級をしたりします。
逆に、十分に理解ができていない、もしくは授業に集中できないなどの問題がある場合は、キンダーガーテンでも留年することがあります。
アメリカの子供のアルファベット、発音の覚え方

次に、アメリカの小学校ではどのように英語を学び始めるのか、実例とともにご紹介していきましょう。
ABCの覚え方
キンダーガーテンでは、「A(エー)-apple-ア(Aの発音)」のように、「アルファベットの名前-そのアルファベットを使った単語-そのアルファベットの発音」をフォニックスで覚えていきます。
平仮名を覚えるときに「あ-あり」のように、単語と一緒に覚えていくのと似ていますね。
同時に、英語の歌などを教材に、ABCの順番も身につけていきます。宿題でもABC order(ABCの順番)で単語を並べ替えるという課題はよくありました。
あいうえお順と同様、辞書を調べたり、図書館で本を探したりといった日常生活に結びついてくるので大切な勉強です。
ABCの歌は、こちらの動画のように一つ一つのアルファベットが分かりやすいものがおすすめです。
アルファベットは発音が大事
アルファベットの発音を覚えると、初見の単語でも大体読むことができるようになります。
また、アルファベットを一つずつ発音すると、つなげたときにより正しい発音に近づくというのもポイントです。
それぞれのアルファベットの発音については、こちらの動画を参考にしてみてください。
Vowels(母音)とConsonants(子音)
アルファベットの発音を覚えるときに基本として知っておきたいのが、Vowels(母音)とConsonants(子音)です。
Vowels
Vowelsは「a/e/i/o/u」の5つのアルファベットのことを言います。また、ここに「y」が入ることもあります。
Vowelsの特徴は、他のアルファベットとの組み合わせによって、発音の仕方が変わるということです。
発音は、大きくShort vowelsとLong vowelsに分けられ、子どもたちは最初にShort vowelsを学び、その後Long vowelsの使い方を勉強していきます。
「a」を例に挙げると「apple」はShort vowels、「lake」はLong vowelsとなります。
宿題では「この単語で使われている『a』はShort vowelsかLong vowelsか」という問題がよくありました。
Short vowelsとLong vowelsの発音についてはこちらのユーチューブ動画が分かりやすいかと思います。
Consonants
Consonantsは、破裂音や空気の抜ける音など、日本語で書き表すことはとても難しい音ばかりです。
母音をくっつけない発音と言うのは、日本人の苦手とするところですので、小さい頃からぜひ身につけさせていきたいですね。
発音については他にもいろいろとルールがありますが、単語を覚えていくと自然と身につくものが多いと思います。
英単語の覚え方

英語の勉強でもう1つ欠かせないのが語彙力を増やすことです。
娘の通っていたキンダーガーテンでは、100個の英単語を一年かけて暗記し、年度末にテストを行っていました。
テストの内容としては以下の4つがあり、生徒の習熟度によって段階を踏んで行われていたようです。
- 先生の言った単語を4つの選択肢の中から選ぶ
- 先生が書いた単語を発音する
- 先生の言った単語を書く
- 先生の言った単語のスペリングを口頭で答える
日本でもよく使われる、単語カードが学校から配られ、自宅でもしっかり勉強してくることが求められました。
週に5~10個程度の英単語を暗記
キンダーガーテンで100個の単語を覚えると聞くと、とても多いように感じられますが、週に5個の単語を覚えるというペースでしたので、無理はありませんでした。
1年生では、週に覚える単語は10個と倍に増えます。
毎日宿題で、5個の単語をそれぞれ3回ずつ書いたり、単語を書いた上からVowelsを赤クレヨンでなぞったり、一文字ずつ色を変えて単語を書いたりとして行く中で、自然と覚えていけたように思います。
子どもたちが飽きないような課題の出し方は、親としても勉強になりました。
どのような単語を習うのか
単語は、名詞、動詞、形容詞、そして副詞などを分け隔てなく習います。
キンダーガーテンでどのような単語を習っているのかは、以下のページで見ることが可能です。プリントアウトもできるので、ぜひ活用してみてください。

また、単語のリストを見たときに、現在形ではなく過去形のみが書かれている動詞があるということに気づかれるかもしれません。
その多くはよく使う動詞の過去形で、かつ「ed」のつかない不規則動詞です。このように単語として暗記しておくことで、過去形を習うときに混乱が少なくてすみます。
副詞は動詞とともに覚える
例えば「mix」というのと「mix up」は、ほぼ意味は同じですが、日本語で言う「混ぜる」「混ぜ合わせる」と同じような微妙な違いがあります。
また、「pick」と「pick up」では、「選ぶ/つまみ上げる」と「拾う」というように聞き手側が受ける印象が異なります。
つまり、副詞を使うことで、より表現の幅は広がるとも言えます。
ネイティブの子どもたちは、日常の中で自然と副詞を使うことが身につきますが、日本人にとっては難しさがあります。
副詞を覚えるときには、英語の絵本で動詞と一緒に使っている実例を探すなどして、頃け0しょんセットでインプットしていくことをおすすめします。
自宅もできるアメリカ流英語の教育法

最後に、自宅でも取り入れたい、アメリカの小学校で用いられている学習方法を見ていきましょう。
身体を使って発音を覚える
冒頭で書いた腕を使った発音の練習は、キンダーガーテンの間はよく行っていました。一つ一つの音を意識することにもつながるので、発音を育てたいと思ったときにはぜひ試してみてください。
英語のダンスと歌で楽しく発音と英単語を学ぶ他、英語の手遊びをとおして単語を覚えるというのも効果的です。
日本でも有名な「head shoulders knees and toes」も、歌を歌いながら身体の単語を覚えるだけでなく、単数形と複数形も学ぶことができますね。
たくさんあるアメリカの手遊び歌の中から、有名な動画を載せますので、ぜひ親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
絵本を一緒に読んで質問をする
娘の通っている小学校では、1年生から毎週のように本を借りて、その本の内容についてのテストをパソコンで受けることになっています。
5問中4問以上正解すると、借りられる本のレベルが少しずつあがっていくというシステムです。
そこで、最初のころは自宅でも絵本を読んだ後に、親が質問を5個ほど考えて娘に答えてもらうという練習をしていました。
「泣いていたのは誰ですか」「みんなでどこに行きましたか」といった簡単な内容で十分です。最初は英語でなく、日本語で質問しても良いでしょう。
絵本の内容を理解できているのか、どのあたりが分からないのかなど、客観的に判断することができるのでおすすめです。
小学生向けの英語絵本のや英語絵本の読み聞かせ方も参考にしてみましょう。
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インターネットを活用
アメリカの小学校では、クラスにタブレットが置いてあり、英語の動画を教材に勉強することも多く見られます。
また、オンライン上でゲームをしながら英語を学ぶことができるサイトも、積極的に取り入れられています。
小学校低学年が楽しめる代表的なサイトとしては「Kahoot!」というものがあります。
グループで楽しむことができるので、家族みんなでタブレットやスマホ、パソコンなどから参加して遊ぶことも可能です。

ここで簡単に使い方について説明していきます。
「Kahoot!」を使うためには、最初にSign upする必要があります。最初にどのような立場か聞かれるので「Socially」を選びましょう。
その後はメールアドレスやパスワード、そしてユーザー名などを登録すれば使うことができるようになります。
また、有料にすると遊べるゲームも増えますが、無料でも十分楽しめると思います。
無料で遊びたい方は、Log inすると、「Kahoot! For family and friends」というページが出てきますので、その中の「Features」と書かれた表の一番左下にある「Continue for free」をクリックしてください。
最後にゲームを選び、出てきたGAME PINを参加する家族や友だちとシェアし、Kahoot!のサイトやアプリでその番号を打ち込むとみんなで早押しゲームを楽しむことができます。
インターネットのゲームだけでなく、リアルの英語ゲームを生活に取り入れるのもおすすめですよ。
まとめ
ネイティブのお子さんたちが、小学校に入ってどのように英語を学んでいるのか、その学習内容や方法について見てきました。
ご自宅でお子さんに英語をどうやって教えていこうかと考えたときに、できそうなことからぜひ取り入れてみてください。
また、お子さんの英語学習には、親のサポートが欠かせません。
お子さんが興味を持てるような工夫をしつつ、英語学習が生活の中で習慣化するように促していけるといいですね。
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初めまして、今1st gradeの子を持つお母さんです。娘はwordを読む時にphonic読みをしていて音を変換するのが難しくまだまだ学習が必要に感じています。
phonic読みだとC-A-Tがクッ、アッ、ットゥとなり、キャァッツになりません。この様な場合の対処法、アカデミックなアプローチはどうしてあげたらいいでしょうか?readingに問題があると他の教科にも影響が出てるくのではないかと懸念しています。もし何かアドバイスがあったら教えて下さい。
Masakoさん
質問ありがとう!言語学のプロではないので、経験上のことで答えるしかない。
子供がphonic読みをしていることは、初期の読みの段階で一般的な現象らしい。
この段階では、子供たちは個々のアルファベットの発音を覚えることから始め、徐々に、音節を理解することで、より自然な読み方を身につけるようになるはず。
単語の発音を覚えるために、「CAT」という文字だけを見せるのではなく、絵本や単語カードなどを使って、単語とイメージを結びつけることによって、子供は単語の意味を理解しやすくなり、自然な読み方を身につけることができる。
読み方だけでなく、子供の読解力・理解力を培う(例えば、文章の内容に基づいて質問したり、要約してもらったり、ストーリーの展開を予想してもらったり)ことも大事だね。
子供が学ぶ過程は個人差があるので、焦ることなく、子供のペースに合わせてサポートすることが大切だね。
本当に読み書きに障がいがあるような感じであれば、学校の先生や学習支援の専門家にも聞いてみよう!