




日本語教師になってみたいけど、どう始めたら良いのか分からない、資格をとった方がいいのかも分からないとお悩みの方、いらっしゃいませんか?
日本語教師は魅力的な仕事で、資格があってもなくても、仕事をすることはできます。
このページでは、資格の種類や取り方、日本語教師のなり方などをご紹介します。
この記事の筆者:カカド
はじめまして、カカドです。2年ほど遠距離恋愛をしたブラジル人と結婚し、今はブラジルに住んでいます。ここではフリーランス日本語教師/ライターとして働きながら、ブラジルのリズムに合わせた生活をしています。
日本語教師とは?

仕事内容
日本語教師の仕事とは、「日本語を母語としない人に日本語を教えること」です。
日本語の文法や語彙などの基本知識に加えて、文化や価値観などさまざまな要素を含めて教えることが大切です。
また「日本語を教える」と一口に言っても、学習者の学習の目的や授業の方法などによって、教え方などは大きく変わります。
働き方・働く場所
日本語教師の働き方や場所は大きく分けて2つあります。
「日本語学校などの教育機関で雇用されて働く」もしくは「個人で働く」です。
①日本語学校などの教育機関で雇用されて働く
この場合は、国内外さまざまな場所にある日本語学校や大学、高校などの教育機関で日本語教師として雇用されて働きます。
雇用されれば収入も安定しますが、時間の自由などは少なくなります。
②個人で働く
この場合は、個人の日本語教師として、直接生徒を募集し、日本語を教えます。
1人で小さな日本語学校を運営するようなイメージで、オンラインのみで働くこともできます。
働きたい時間を自分で決めることができますが、収入が不安定なのが難点です。
私は個人のオンライン日本語教師という選択をしたのですが、それは住んでいる市内の学校で日本語教師の募集が少なかったため、また給料が低く感じられたためです。
日本語教師の魅力
日本語教師の魅力はさまざまありますが、簡単に3つ紹介します。
生徒の成長をサポートできる
日本語教師に関わらず、「先生」を職業としている人が感じる仕事の魅力だと思いますが、「生徒の成長をサポートできる」のは日本語教師の魅力の一つです。
学習者によって日本語を勉強する目的はさまざまです。
ですが、いずれにせよ目標を持っており、それを達成するための勉強をサポートするのが日本語教師の仕事です。
成長したり達成したりした姿を見ることができるのは、魅力と言えるでしょう。
国内外場所に関係なく働くことができる
日本国内でも海外でも、日本語教師として働くことができます。
もちろん、日本語学校など教育機関で雇用してもらうこともできますが、個人の日本語教師としてフリーランスで、オンラインで働くことができます。
日本への理解が深まる
日本語を教える生徒は、世界のさまざまな地域出身です。
その学習者たちに日本語を教えながらコミュニケーションを取ることで、多様性を受け入れられることもそうですが、日本への理解が深まることも魅力と言えます。
挨拶一つとっても、日本の社会や文化が反映されており、一つ一つの言葉の意味やニュアンスを理解して教えることで、「日本には、こんな価値観があったのか」と気付かされることになります。
日本語教師の需要
日本語教育は国内外で需要が多くあり、またその人材は不足しています。
国内では、アジア圏からの留学生の受け入れや、外国人労働者の受け入れのための需要があります。
また、国外でもアニメなどの影響で日本文化に興味を持っている人が増えているため、需要が増え続けています。
その需要の数と比較すると、日本語教師は不足しているため、働き口は比較的見つかりやすいと言えるでしょう。
日本語教師になる方法

ここでは、日本語教師になる方法についてご紹介します。
日本語教師になるには、講座に通ったり資格を取ったりする必要が必ずしもあるわけではありません。
資格を取得する場合としない場合に分けて、ご紹介します。
資格を取得する場合
資格を取得して日本語教師になる方法は、3つあります。
- 大学で日本語教育を主専攻または副専攻として学ぶこと
- 大学を卒業した上で、日本語教師養成講座420時間コースを受講すること
- 日本語教育能力検定試験に合格すること
大学で勉強したり、日本語教師養成講座に通ったりすると、模擬授業などを通して日本語教育を実践しながらその知識を身につけることになります。
日本語教育能力検定試験であれば、独学で試験合格することは可能ですが、未経験で実際に仕事を始めることになります。
これらの資格取得に関するメリットやデメリット、詳しい方法などについては後ほど解説します。
資格を取得しない場合
資格なしで日本語教師としての仕事を始めることもできます。
資格がない場合でも日本語学校などの教育機関で働くことができますが、募集条件に合わず、応募できない場合があります。
日本語教師としての仕事を始めるのに、「日本語ネイティブである」というだけで、特に海外での需要があると考えて良いでしょう。
しかし、資格がなかったとしても、日本語や日本語の教え方に関してある程度勉強をしておくことがおすすめです。
日本語教師の資格の必要性について
それでは、日本語教師の資格を取得することのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
資格を取るメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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このように、お金や時間などでデメリットがあることも否定できませんが、日本語教師としての仕事をしやすくなるのは、資格を取った場合だと言えるでしょう。
長期的に、そして本業として日本語教師として働くことを希望する場合、資格を取っておいた方が良いと言えます。
しかし、短期的に副業としてまず始めてみたいのであれば、資格なしで始めて、仕事をしながら必要に応じて資格の勉強をするのも良いかもしれません。
日本語教師の資格を取る3つの方法

ここからは、日本語教師の資格を取る3つの方法について、具体的に解説していきます。
まずは、簡単にその違いについて確認しておきましょう。
大学(院)で日本語教育を専攻 | 日本語教師養成講座を受講 | 日本語教育能力検定試験に合格 | |
費用 | 大学による | 講座を実施する機関による (50万円程度) | 試験費用 (14,500円) |
学習期間 | 4年(大学院は2年) | 6ヶ月程度 | 6ヶ月程度 |
学習内容 | 日本語教育の他、幅広い分野 | 日本語教育 | 日本語教育 |
試験の有無 | なし | なし | あり |
模擬実習の有無 | あり | あり | なし |
条件 | 大学卒業 | 大学卒業 | 特になし |
就職先 |
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3つの資格の違いについてですが、「どの資格を持っているか」というよりも、「どの教育機関でどの雇用形態で働くか」によって給料などの待遇は変わるところが多く見られます。
正社員であれば給料は高く、非正規雇用であれば低くなる、というようなイメージです。
大学で日本語教育を専攻する
大学や大学院で日本語教育を専攻することで、日本語教師になることができます。
大学であれば4年間、大学院であれば2年間かけて日本語教育を学ぶことで、日本語教師として必要な知識を身につけられるだけではなく、日本語教育と関連した幅広い分野を知ることができます。
その結果、お金も時間もかかりますが、就職先の選択肢が増えたり、給料が高くなったりすることもあります。
「日本語教師養成講座」を受講する
日本語教師養成講座を受講し修了することで、日本語教師になることができます。
日本語教師養成講座とは、「文化庁が認定する日本語教師になるための420時間の講座」です。
文化庁が認める日本語教師養成研修実施機関・団体で受講することができます。例えば、「ヒューマンアカデミー」や「ECC外語学院」などが挙げられます。
一覧はこちらからぜひご覧ください(参考:文化庁)。

講座は420時間、費用は50万円程度と時間やお金はかかりますが、その分日本語教師に必要な知識を身につけたり、実習ができたりするので、仕事がしやすくなると言えるでしょう。
日本語教師養成講座を受けながら、日本語教育能力検定試験を受けるというパターンもありますが、日本語教師養成講座を受講し修了するだけで日本語教師になることができます。
「日本語教育能力検定試験」に合格する
日本語教育能力検定試験に合格することで、日本語教師になることができます。
日本語教育能力検定試験とは、公益財団法人日本国際教育支援協会(以下JEES)が毎年10月に実施している、日本語や日本語教育に関する知識を問う試験です。
JEESによると、この試験は以下のことを目的としています。
日本語教育能力検定試験は、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としています。
年齢や学歴など受講資格は特になく、全国7カ所で受講することができます。
テストの出題範囲は「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」と5つの区分に分かれており、日本語や日本語教育に関する幅広い知識を問う試験内容となっています。
(参考:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES) 公式サイト)
次の「4.【体験談】日本語教育能力検定試験について」にて詳しく解説します。
【体験談】日本語教育能力検定試験について

ここからは、日本語教育能力検定試験を具体的に見ていきながら、この試験を通して日本語教師になった経験を踏まえて解説していきます。
日本語教育能力検定試験とは?
日本語教育能力検定試験とは、JEESが毎年10月に実施している、日本語や日本語教育に関する知識を問う試験です。
この試験に合格することで、日本語教師になることができます。
日本語教育能力検定試験の詳細
実施日 | 毎年10月 |
試験時間 | 09:00〜16:40 |
受験費用 | 14,500円(税込) |
受験場所 | 北海道 、東北(宮城)、関東(東京)、 中部(愛知)、 近畿(兵庫)、中国(岡山)、九州(福岡) |
出願期間 | 毎年7〜8月頃 |
出題範囲 | 「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語一般」 |
試験の形式 | 筆記試験 |
試験の構成 | 試験I、試験Ⅱ、試験Ⅲ |
問題例 | 書店で購入可能 |
合格率 | 令和2年度 約29% 令和3年度 約30% 令和4年度 約31% (参考:日本語教育能力検定試験 結果の概要) |
(参考:公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES) 公式サイト)
日本語教育能力検定試験の内容
日本語教育能力検定試験の内容は、大きく分けて3つあります。
解答時間 | 配点 | 内容 | |
試験I | 90分 | 100点 | 原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。 |
試験Ⅱ | 30分 | 40点 | 試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定する。 |
試験Ⅲ | 120分 | 100点 | 原則として出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。 |
(一部引用:日本語教育能力検定試験 結果の概要)
試験は3部で構成されており、満点は240点です。
試験Ⅰでは基本的な知識、試験Ⅱでは聴解問題、試験Ⅲでは現場対応能力につながる能力を問われるといった内容です。
JEESは合格点について発表しておりませんが、約70%の158〜168点程度が合格最低点なのではないかと言われています。
全体を通して、出題範囲は「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」となっています。
具体的には以下の内容を学習することになります。
内容 | |
社会・文化・地域 | 在留外国人や国内外における日本語教育の歴史など |
言語と社会 | 社会言語学や異文化コミュニケーションなど |
言語と心理 | 学習ストラテジーや異文化受容・適用など |
言語と教育 | 言語教育法など |
言語 | 日本語一般知識やコミュニケーション能力など |

日本語教育能力検定試験の勉強方法
ここからは、日本語教育能力検定試験の勉強方法について解説します。
試験を受けたいけど、講座に通って試験勉強をした方が良いのか、独学でも問題ないのか、迷う人も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、独学でも試験に合格することは可能です。
また、日本語教育能力検定試験を受けるための講座もあるので、そこも合わせてメリット・デメリットの確認をしましょう。
メリット | デメリット | |
日本語教師養成講座で勉強し試験を受ける |
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日本語教育能力試験のための講座で勉強し試験を受ける |
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独学で試験を受ける |
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独学であれば、自分の隙間時間に勉強することができますが、講座に通うと授業を受けることになり、時間が多くかかってしまうことがあります。
わたしの場合は、会社での仕事をしながら試験勉強をする必要があったため、独学で勉強し試験に合格することができました。
独学での勉強方法についても簡単に解説します。
学習期間 | 約5ヶ月間 |
学習時間 | 1日に約1〜2時間 |
学習方法 |
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学習場所 | 自宅や会社の休憩室、バスの中など |
忙しい毎日で時間を割くのが難しそうに感じる人も多いかもしれませんが、意外と隙間時間はたくさんあるはずです。
日本語教育能力検定試験の仕事への活かし方
それでは、日本語教育能力検定試験の仕事への活かし方を解説します。
フリーランスで働くわたしの場合、大きく2つの方法で仕事に活かしています。
生徒の募集でアピールする
試験に合格し資格を持っていることで、信頼を得やすくなります。
日本語教師として生徒を募集するときも、未経験であっても「プロの日本語教師」としてのアピールができますし、日本語学校などの教育機関でも雇用されやすくなります。
授業の際の教科書として、試験勉強で使った参考書を使う
「日本語教育能力検定試験の試験勉強だけでは実践ができない」というのも事実です。
ですが、試験勉強の中で教案の作り方を学ぶことができたり、教育方法を知ることができます。
授業の進め方に迷いが出たときは、参考書で学び直して知識をより具体的な学びに変えています。
国家資格「登録日本語教員」について

日本語教師の資格はこれまで国家資格として認められていませんでした。
ですが、今後の日本語教育の更なる発展のため、日本語教師の資格を国家資格「登録日本語教員」として認めようとする動きがあります。
2023年2月現在、文化庁にて日本語教師を国家資格として認める案が出ています。
国家資格「登録日本語教員」は検討段階で、具体的な取得方法などの変更点は発表されていません。
しかし、これまでの資格取得に加えて、研修などを受ける必要性が出てくる可能性があります。
国家資格として認定されるまでにはまだ時間がかかりそうですが、今後の日本語教育の大きな一歩となることが予想されます。


まとめ
日本語教師の資格取得に関してご紹介しましたが、いかがでしたか?
資格取得の方法はさまざまありますが、独学で試験に合格し、日本語教師になることもできます。
メリットやデメリットを考えながら、自分に合った方法を探してみてくださいね!




