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文化の壁と言葉の壁 アメリカVS日本
英語を話すのが大変なのは、必ずしも言葉を学ぶのが大変だからだけではない。
それは、日本人が受けてきた教育と、文化、言語の性質も大きく関係している。


教育の壁 アメリカVS日本
英語教育だけでなく、他の教育も全てそうだが、日本の学校は、暗記、答えのある問題しか取り扱わない。
しかし、英会話では、暗記ではなく、自分の意見、考えを主張する。
自分の意見を作る訓練を受けておらず、正解の暗記しかしてこなかった我々には、英文を作るどころか自分のアイディアさえ作ることができない。

日本文化の背景
戦後の経済成長を支えるために必要だったのは、自分の意見を主張する労働者ではなく、画一的な能力のある労働者がたくさんいることだ。
高度成長の元、大量生産された画一的なサラリーマンは、終身雇用で自分の頭を使うことなく、上のいうことを聞いて生きてきた。これが、噂に聞くYESマン。
自分で考えない教育方法は未だ変わることなく、社会に出たらYESマンとして育った先輩に従う毎日。人に合わせることばかり学び、肝心の自分の意見をいう機会はほとんどない。

日本語は間接的、英語は直接的な言語
アメリカは移民の国。英語は、英語が母国語でない人がコミュニケーションをする手段として存在した。移民同士の誤解を避けるため、直接的な表現を使う言語である。
間違っても、夏目漱石のように、「愛している」を「月が綺麗ですね」とは言わないのだ。
アメリカでは、5歳児から80歳のおばあちゃんまで、1日1回は「I love you.」と言っている。日本で「愛してる」って言ったことがある人はどれくらいいるんだろう。
日本語は間接的な言語。時には本音を隠し、雰囲気を読み、そして相手の意見に合わせることが必要だ。
日本語の背景
日本語が、間接的な言語なのには理由がある。
日本は島国で海に囲まれ、村々は山、谷に囲まれていた。人は隔離されたコミュニティで生きていて、一度周りの人たちに嫌われると「村八分」に合い、外に逃げることもできなかった。
だからこそ、人々は他人の意見に合わせ、自分の意見を言わず、他人との衝突を避けようとしていた。
今、我々は自由に山を超え谷を超え、海外にも自由に行くことができる。しかし、祖先が何百年以上培ってきたこの意識は、今になっても根強く日本文化に残っている。
日本は縦社会、アメリカは実力主義
英語の良いところは、子供も大人も社会人も、全て同じ言語を話すということだ。
つまり、敬語も尊敬語も謙譲語も、そういうややこしいものは一切ない。大切なのは意味を伝えることだけだ。
日本は武士社会。武士は農民をいつでも殺せた。
明治維新になり、武士の身分は廃止され、新政府が作られるも、厳しい階層社会は廃止されなかった。天皇の命令は死んでも聞け。天皇が死ねと言えば人は死んだのだ。
絶対服従、下の意見はどうでもいい、そんな日本が300年前まであった。
今はない?そんなことはないだろう。そういう意識は人から人へ、親から子へ、引き継がれているに違いない。


日本文化を英語で学ぶおすすめ洋書
Japanese Mind
「甘え」・「頑張り」・「集団意識」・「本音と建前」など、外国人にはなかなか理解出来ない日本の文化・概念にまつわる24のキーワドを基に、『日本』そのものを理解できるようになる1冊。また日本人読者にとっても英語で日本を紹介する場面で役に立つ一冊。



菊と刀
日本人の行動や文化の分析からその背後にある独特な思考や気質を解明、日本人特有の複雑な性格と特徴を鮮やかに浮き彫りにする。“菊の優美と刀の殺伐”に象徴される日本文化の型を探り当て、その本質を批判的かつ深く洞察した、第一級の日本人論。




終わりに
私は日本は好きだが、自分の意見を言えない日本は好きではない。
そして、自分の意見を言わなければならない英語に、すごく苦労をした。
しかし、過去を知り、そのコンプレックスが何から来ているかを知ることで、少しだけ、心の整理ができた気がする。





いつも楽しく拝読させていただいています。
ただ ”天皇の命令は死んでも聞け。天皇が死ねと言えば人は死んだのだ。” の表現はかなりまずいと思います。と言いますのは我が国は嵯峨天皇の時代から立憲君主制となっていたからです。イギリスのマグナカルタが出来る400年前からです。ですので天皇陛下が「命令する」ということは不可能なのです。天皇が出来ることは①激励権 ②警告権 ③被相談権を使い、政府と上手く付き合っていくというものです。これはウォルターバジョットが書いています。日本はシラス国であり天皇陛下は「権威」であり「権力」ではありません。
歴史を勉強しているものからすれば常識的な知識ですが、かなり問題のある記述ですので指摘させていただきました。
指摘してくれてありがとう!
先ほどHIROさんへの返事でも言ったように、英語に対して苦手意識を持っている学習者に、こういう文化的な側面から言葉を理解して苦手意識を少しでも克服してほしいだけで、極端な言い方になってしまったね。
にゃーにゃー団さんの指摘もあったので、サイトの読者にとっても参考になると思う。ありがとう!
にゃんこ先生こんにちは
いつも拝見させていただいてます。
今回の内容はちょっと過激かなと思いました。
現在アメリカに住んでいますが、ルームメイトのアメリカ人も空気をかなり読んでいて、本音と建て前を使い分けていると感じます。英語が日本語より直接的かと言われれば、確かにそう思いますが、間接的な表現もかなり耳にします。あと、スピーキングが苦手な理由は、文化や言語的特徴の違いからからもきていますが単に学習時間の不足と学習方法に問題があるのだと思います。
HIROさん、意見を共有してくれてありがとう!
確かに、乱暴にまとめたところもあるよね。
もちろん、このサイトの趣旨は、根本的な学習方法の問題を解決しようとしている。英語に対して苦手意識を持っている学習者が、こういう文化的な側面から言葉を理解して苦手意識を少しでも克服できればと思った。英語にも、もちろん間接的な表現などたくさん存在している。一方で、初心者や苦手意識を持っている学習者はそこまで考えず、まず自分の言いたいことを英語でストレートに言えるようになれば良いと思う。そのため、若干極端な言い方になってしまったね。
違う意見は大歓迎なので、また何か気づきがあれば、遠慮なくコメントを残してね!
海外の友人から(私は翻訳機を多用してですが)日本人について理解するための本があれば知らせてほしいと言われていました。
まず、自分でがんばって読んでみて紹介してみようかと思っています。
にゃんこ先生の、英語教育における情熱は素晴らしいと思います。そのために、少々厳しい物言いになってしまうのかもしれませんが、私にはむしろ誤解を恐れずに、まずはそのくらいストレートに伝えていただいたことで、自身の欠点を理解していく上でもわかりやすかったです。
今は、にゃんこ先生のような専門家の意見を聞きながら、将来子どもが自分と同じような苦労をしないようにと願っています。
心温かいコメントありがとう!
ここで紹介している「菊と刀」は、日本語版も出ているので、そちらと合わせて読むとより内容が理解できるかもしれないね。もちろん、英語で読むことを推奨しているよ!
これからも英語学習に役立つような記事をどんどん出していきたいと思っているので、応援よろしく!