


国際化が叫ばれて久しいものの、日本国内に住んでいる限り、「友達や近所の人は皆日本人」「学校でも職場でも周りは皆日本人」なんてことは、いまだに珍しいことではありませんね。
だから、「一生懸命英語を勉強しても、実際に使う機会がなかなかない!」「ネイティブと仲良くなって会話してみたい!」…なんて思われることもあるかもしれません。私もその一人でした。
ただ、英語学習を続ける中で、いつの間にか私にも外国籍の友達が増え、今では時間の取れる週末には海外の友達とビデオ通話を使って英語で話をしています。
「そりゃ留学時代の友達かなんかでしょ?」と思われるかもしれませんが、私に留学経験はありません(涙)。
今回は、そんな私がどうやって日本から出ずとも英語を通じて友達を増やし、また、英語の学習に活かしてきたか、をご紹介したいと思います。
この記事の著者:モリー
アラフォーから英検1級合格を志し、2度の不合格に一度はやさぐれるも、試行錯誤の末3度目の正直で合格した2児の母。英語圏滞在は人生で5日間のみ。Podcastと洋書とベネディクト・カンバーバッチが大好き。上の子が高校留学準備中。
Language Exchange(言語交換)とは

Language Exchange(言語交換)という言葉を聞かれたことがある方も多いと思います。
これは外国語を身に着けたい学習者が、その言語のネイティブに教えてもらう代わりに自分の母国語について教えてあげる、という「助け合い」の仕組みのことです。
SNS全盛の今、このジャンルに属するアプリやサイトはたくさんあり、「パートナー」や「フレンド」を見つけるタイプもあれば、匿名性の高いものもあります。
お互いの言語学習を助け合うLanguage Exchange
私がランゲージエクスチェンジを始めたのも、英語を独学で学習しているうちに「英語の独学だけでは飽きてしまう」「少しでも英語を使う機会を増やしたい!」といった思いが強くなってきたのがきっかけでした。
そこで情報を探すうちに、Language Exchangeというものの存在を知り、試してみることにしたのです。
おすすめのサイト・アプリと種類

調べるうち、ランゲージエクスチェンジにも、いくつか種類があることがわかってきました。
条件に合う相手を検索できるもの、日記や掲示板メインで「いいね!」やコメントなどを通じてフレンドを増やしていくもの、またはアプリでネイティブに英語に関する質問ができるもの…などなど。
皆さんもどれか一つくらいは利用されたことがあるかもしれません。これまで私が覗いてみたことがあるのは以下の通りです。
〇サイト系
MyLanguageExchange .com | カナダ拠点の老舗サイト。175か国300万人以上のメンバーが164の言語を学習中(2022年5月時点)。ペンパル募集やメンバーの検索機能がメイン。 |
InterPal s | 上のサイトと同じく元はペンパル募集サイトから発展。現在ではお互いのタイムラインに写真やコメントをつけることができ、チャット機能がある多言語国際交流SNSに。 |
〇アプリ系
HiNative | 学習者の質問に対してネイティブのユーザーが答えてくれる。短い文の表現チェックなどに便利。 |
HelloTalk | ネイティブとチャットができるアプリ。音声やビデオ通話も可。 |
この中で、じっくり自分にあった学習仲間を探せそうな、老舗サイトのMyLanguageExchange.comで学習仲間を探してみることにしました。


» Language Exchange (ランゲージ エクスチェンジ)で言語交換しよう!やり方を解説
Language Exchange Partnerって?
言語交換を通じてお互いの学習を助け合う仲間のことを「Language Exchange Partner」と言います。
私が具体的に利用していたMyLanguageExchange.comでは、自分の学習したい言語や簡単なプロフィールを登録し、相手の言語や国などで検索することができます。
条件に合う相手がいたら、まずは初めは簡単なあいさつを送り、返事があれば自己紹介やお互いどんな学習をしたいかといった内容を探り合い、学習スタイルを作っていく…という流れです。

Language Exchange系のサイトは、もとはペンパル(文通相手)を見つけるサイトだったところも多いようですが、今ではネットを通じての音声やビデオ通話も至極身近になりました。
これは、地理的に離れていてもタイミングさえ合えば会話練習が可能になったということで、日本から出なくても世界中のLanguage Exchanger Partnerが探せる、とういことでもあります。
安全な言語交換パートナーを見つけるための予備知識

Language Exchange では「お互いがボランティア」です。サイトの利用規約は存在しますが、基本的には利用者に任される分、いろんなケースが存在します。
そこで、これからトライしてみようと思っておられる皆さんには必ず知っておいていただきたい、安全のための予備知識があります。 以下で具体的にご説明します。

Scammerは必ず存在する
まず、ランゲージエクスチェンジにおいて最も遭遇しやすく、そして最も避けるべき事態は、「実際に言語学習をする気はないアカウント」とのやりとりに無駄な時間を費やし、悪くすれば経済的損失や不快な経験をしてしまうこと。
この「学習する気はない」には、大まかに言って2種類あります。
そのひとつが「Scammer」。これはフェイクアカウント、つまり詐欺です。
連絡してきた相手の個人情報や善意を悪用して何らかの経済的利益を得ようとするもので、言語学習という真面目な場にこうした意図で入り込んでくるのは心情的に許せませんが、存在するのは事実です。
注意すれば、危ない人を見分けることも、避けることも可能です。ただし、常に自分の判断に過信は禁物。
性別問わずいろんなパターンが存在しますので、「Language Exchange名物」くらいに構えて、冷静に対処しましょう。 詳しい対処法は後ほど。

さて、もうひとつの「学習する気はない」の典型例が「出会いもしくは異性目的」。
これも、実際に会おうとしてくるものから写真の要求、不快な内容のチャットといったオンラインでのセクハラ行為までいろいろ。
特にあなたが女性で、「アジア人(もしくは日本人女性)は海外でモテる」なんていう話を聞かれたことがある場合。
同時に「それって大人しいから言うことを聞くってナメられてるんだよ、嫌なことにはNO!ってちゃんと言いなよ」というアドバイスも同時に耳にされていることを祈ります。
特に、やりとり開始後速攻「まずは会って話そうよ」とか「ラインアカウント教えて」と言ってくるのはレッドカード。
彼らは短いメッセージのみできちんとした文法のメッセージを書いてくれない傾向にあり、相手に対し失礼であるだけでなく学習相手としてやりとりするメリットもありません。
ここまで読んで「え、怖い…やめておこうかな…」と危険性を感じた場合は、もちろんやめておきましょう。
私も、もし未成年の子どもが「やってみたい」と言ってきたら、「母に相手のプロフィールをチェックさせるように」と、過保護丸出しの反応をしてしまうと思います。
ただ、以下では、私がそんな「玉石混交」なアカウント達の中から、Scammerをブロックし、出会い系ユーザーをスルーし、言語学習を愛する真面目な仲間と出会うことが出来たか…をご紹介したいと思います。
まずは英語学習にまつわる体験談の一つとしてお読みいただき、最後に「ちょっとした好奇心と充分な予備知識」を身に着けていただけたら光栄です。
探したいのは「カジュアルトークの相手」か「学習仲間」か
あなたがLanguage Exchange Partner探しの旅に出るとして、まず事前にクリアにしておかなければならないのは、あなたの「ミッション」です。
あなたの求めるものが、
- 「ネイティブの人とカジュアルなやりとりをしてみたい」
- 「日本アニメや文化が好きな相手に日本の紹介をしてみたい」
- 「英検1級の面接練習に社会問題についてのディスカッションにもがっつり付き合ってくれる相手が欲しい」
なのか、など、なるべく具体的にイメージしてみましょう。
もちろん、Language Exchangeはスクールではないので、「全てあなたのご要望どおり」にはいかないものです。ですので、「何がしたいか」はなるべく幅広に、複数あげておきましょう。
これは、相手が見つかった後「お互いに合った学習スタイル」を探っていくときに非常に大切になってきます。
この目的が曖昧で「なんとなく、ネイティブとやりとりできたらカッコいいな」だけだと、最初は盛り上がるものの次第にあなたも相手も飽きてきて、「何を話せばいいんだっけ」と億劫になりやりとりが続かない…ということも多いからです(もちろん私も何度か経験しました)。
そして、あなたのミッションを明確にしたら、プロフィールに記載しましょう。
例えば「私の目標は〇〇〇〇で、今まで英語を〇〇〇で勉強しています。今、特にボイスチャットで会話の練習を手伝ってくれる相手を探しています。代わりに日本の〇〇〇についてご紹介します。特に〇〇〇については詳しいので、関心があれば遠慮なく訪ねてください!」といった感じです。
これで相手とのミスマッチも防げますし、不誠実な相手からナメられにくくなります(とはいえ、100%ではありません)。
危険な相手を排除する「マジックセンテンス」

プロフィールを登録した後は、自分から条件に合いそうな相手を検索してみましょう。もちろん先方からメッセージが来ることもあります。
ちなみに、MyLanguageExchange.comでは、この時に相手にメッセージを送ることができる「ゴールドメンバー」と、相手にはHi!(いいね、のようなもの)を送るだけで、ゴールドメンバーからのメッセージにのみ返信できるレギュラーメンバー(無料会員)とがあります。
私は、積極的に仲間を探したい時期だけゴールドメンバーとして登録していました(月6ドル/2022年)。
さて、ここからいよいよ、Scammerや出会い系アカウントの見極め方についてご説明します。
まず、避けるべきアカウントの一般的な例(Scammerの可能性大なもの)は次のとおり。
露出の多い美女がプロフィール写真として使われている:確実にScammerです。欧米系の女性は確かに日本人よりは露出度高めなケースはありますが、明らかにセクシー路線なのはちょっと待った。「謙虚さを美徳とする日本について真面目に学習している外国人女性が、本当にこんな感じだろうか」と、一度落ち着いて考えましょう。おそらく「中の人」は、写真とは似ても似つかない、どこか別の国の男性でしょう。
極端なイケメンである、もしくはそうでなくても肩書にDoctor、Professor、Military、Entrepreneur、CEO等の単語が含まれており、プロフィール写真にはグレイヘアの渋い男性が写っている場合(これが非常に多い)。これも問うべきは、「こんな地位も経済的余裕もあるはずの人が学国語習得もしくは友達探しのためにLanguage Exchangeなんて手間のかかることをするだろうか」。いえ、しません。信じたくない貴方は、必ず「国際ロマンス詐欺」でググって予備知識をつけておきましょう。
先方からメッセージが来た場合、相手のプロフィールを見て上記いずれかに該当した場合、ブロックしてそのままです。返事はしません。決して個人のメールアドレスなど知らせないように。
おそらく忘れたころに、サイトから「あなたのやりとりした相手がScammerの疑いで退会処理となりました」というメッセージが来ることでしょう。

さて、相手が上記のプロフィールに該当せず、やりとりが誠実そうであった場合、相手がさらに真面目な学習者かどうか見定めるフレーズがあります。まず一つ目は
“How can I help you learn Japanese ( or Japanese ****)? “
もし相手が「別に日本語や日本文化なんて学習なんかする気がない、単に異性のやりとり相手が欲しいだけ」の場合、これで返事がこなくなるケースもままあります。
返事があったとしても、いい加減にお茶を濁しているだけに感じられた場合も、基本的にスルーしたほうが良いでしょう。
次には、若干ハードルが上がるかもしれませんが、効果大なのでぜひおすすめしたいフレーズ。
“Could you help me to practice speaking English via video/voicechat? “
これで「プロフィールと中の人が別人」という場合は返事が来なくなります。
ビデオ通話については、公式サイトのScammer対策のところでも推奨されていますが、「なりすまし」アカウントの場合、音声やビデオ通話では対応できないのです。
ぜひこのフレーズを早めに投入して、フェイクアカウントに無駄な時間を費さないようにしましょう。
私も一度これをお願いして、日本語を学習しているという男性から「それはちょっと恥ずかしいです、メールのやりとりのほうがいいんだけど…」という反応をされて驚いたことがあります。
「あれ?シャイなの?日本語の練習したくないの?」などと思っていたら、後日「あなたのパートナーはScammerの疑いで退会処分となりました」という、例のサイトからの注意のメールが来ていました。
言語交換を英語学習に最大限活用するため
さて、これまでご紹介してきた注意点を踏まえ、幸運なことに気の合いそうな相手が見つかったとします。実はここからがいよいよスタート地点です。
せっかく見つけた相手と「うまくいくこともあれば、いかないこともある」ものだと、肩の力を抜いていきましょう。
まずは長続きするためにチェックポイントになりそうな点を整理してみました。
この点を意識しながら、「お互いに無理のない範囲で」学習スタイルを相談して決めていってみてください。
無理ない範囲で学習スタイルを相談しよう
〇「学習内容」
使いたいテキストなどはあるか、テキストのほか、YouTubeを題材にする、文章を書いて相手にチェックしてもらう、などの方法があります。
ただし文章の添削はそれなりに手間がかかるので欲張り過ぎず、負担にならないよう短文から始めましょう。
〇「学習形態」
相手の検索方法のところでご説明したように、メールのやり取りだけか、ボイスチャット等で会話練習がしたいか、直接会って練習するか、などが選択肢です。
メールだけというのは一番気軽そうではありますが、先にご紹介したようにScammerの可能性が排除できません。
また経験上、音声での会話練習があるほうが、文字だけよりは自然消滅がしにくくなる傾向にあります。
ただ、”in person(直接会う)”派も、先に出会い目的のアカウントで述べたように、要注意。
〇「学習頻度」
月1回、月2~3回、週1回 など、あなたとパートナーの続けやすい頻度を相談しましょう。
これまでの経験からすると、スケジュールを決めないのは自然消滅しやすく、週一だと「忙しくなったら息切れしがち」で、何かで途絶えると続かないことがおおいです。。
「月1~2回くらい学習状況の近況報告を兼ねて、ボイスチャットかビデオチャットで喋ろう!」あたりが、最も長期に続きやすい頻度でした。
ただしこれは相手にもよりますので、二人で相談しながら決めていきましょう。
日本びいきの米国男性Frankの場合-日本語は超初心者/英語で解説

ここからは、私が具体的にこれまでのLanguage Exchange Partnerと経験してきた学習のうち、皆さんのヒントにしていただけそうな実践例をご紹介していきたいと思います。
まずは米国在住のFrank氏。元教員で今は悠々自適で、年1度の日本旅行が楽しみ。日本語は独学の初心者で挨拶程度。
ライティングやリーディングの練習は希望しておらず、旅行の際の簡単な会話ができればOK!と目的がはっきりしていました。
なので、彼との練習は、「旅行先の日本でのいろんなシチュエーションを想定したロールプレイ」が中心。
「駅から目的の観光地への行き方の説明でよく使われる表現を紹介する」「居酒屋でのお作法とオーダーの仕方を解説する」などです。
相手の日本語がビギナーレベルだと、こちらからの説明は英語でする必要があるので、こちらの英語の練習にもなります。
J-Drama好きのBobの場合―日本語中上級/英検1級の面接対策の練習に

次は英国出身で日本在住のBob氏との例。大の日本ドラマファンで、某女優の魅力を語らせたら止まらない彼は、日本語だけの会話もほぼ成立する中~上級レベル。
どちらの言語でもそれなりに通じる場合、Language Exchangeにおいて「どちらの言語をどの割合話すか」というのは悩ましくなりがちですが、「意思疎通しやすいほう」に偏ってしまうことが多いです。
この場合、例えば「前半30分はなるべく英語で、後半30分はなるべく日本語にしよう」などと意識して調整しましょう。
また、英検1級の二次試験直前の時期には模擬面接のようなこともお願いしました。
頻出トピックの一覧を示して「今度こういう試験を受けるのでこういうトピックについてスピーチをしたうえで面接官からの質問に応えなきゃいけない。自分の思ったことで良いので、私の話に対して浮かんだ疑問点を訪ねてくれる?」と、お願いしました。
インド出身Anikaの場合-オールイングリッシュでガールズ(?)トーク

最後はインド出身のAnikaさんとの例。彼女も日本在住でしたが、職場では英語で済んでしまうし、なかなかな日本人の友達を作るタイミングもないのでLanguage Exchangeで女友達を探していた、とのこと。
彼女は英語ネイティブではありませんが、母国では英語で教育を受けたため、もちろん流暢な英語です。
ボイスチャットで喋ってから意気投合し、そのあとはお互いの仕事の愚痴、家族の話、ペットの話、料理の話、好きな俳優やドラマ…など、話は尽きず、私にとっては英語でのコミュニケーションの良い練習になっています。
また、知り合った頃がちょうど彼女の引っ越すタイミングに重なったため、アパート探しや引っ越しの手続きに苦戦する様子を聞いたりもしました。
手続きをするにも英語の問い合わせ先が見つけにくかったり、いろんな通知が日本語オンリーだったり。
さらには外国籍の単身女性であるだけでアパートを借りるのに大家さんから渋い反応をされる…など、日本の国際化というけれど、いざ蓋をあけてみればこんなに外国出身者にとってハードルが高いもののだな…と、しみじみ考えせられることも多くありました。
まとめ―無理なく言語交換を続けるには

紹介したパートナー以外にも、今ではSNSでたまにやりとりするだけだったり、連絡が途絶えてしまった相手もいます。
ですが、その時その時私の英語学習を手伝ってくれたパートナーとのやりとりは、かけがえのない経験となりました。
繰り返しになりますが、Language Exchangeはあくまでお互いの自主性と相手への配慮によって成り立つ関係なので、「〇か月続かなかったら失敗」なんてこともありません。
ただ、一期一会の縁に自分なりに誠実に対応していたら、続く相手とは長く続きますし、様々な距離感も受け入れられるようになってくると思います。
大切なのは、
「信頼できる相手が見つかるまでは焦らない」
「自分の学習だけでなく相手への配慮も忘れずに、かつこちらへの配慮を欠く相手とはやりとりしない」
「お互いに無理のない距離感を築いていく」
ことだと思います。
以上、「英語でコミュニケーションできること」で、日本にいてもうんと見えてくる世界が変わるんだ、ということを感じていただけたら幸いです。
そしてもし、毎日の英語学習が無味乾燥な「お勉強」のように感じられて「なんでこんなことをしているんだろう」なんて思うことがあったら、気分転換にLanguage Exchangeの扉をそっと覗いてみるのもいいかもしれません。
英語は世界への扉を開けて踏み出していくためのツールです。
向こう側には、テキスト上の英文とは全く違った、「生き生きとした言葉」を使う個性的なEnglish Speakerたちが、あなたを待っていることでしょう。




