海外MBA模擬授業!NPVで語る留学の費用と投資価値とは?

ねこ君
MBA留学はおれの憧れ。将来絶対達成したいなぁ。
ねこ君
けど、友達に仕事辞めたら投資回収できないから意味ないって言われた。そういうもん・・?
にゃんこ先生
留学は費用対効果だけでなく、お金に変わらない経験や価値が得られるもんだよ。なーんてね。
にゃんこ先生
今日は、MBAの投資対効果について考えてみよう。MBAで学ぶNPVという投資価値を測るツールの概要を知り、それを留学に適用してみよう。
にゃんこ先生
アメリカMBA卒の著者が、NPVの基礎を解説、果たしてMBAに行く価値はあるのだろうか・・?

 

この記事の著者: Tempest

  •  横浜在住、40歳台前半の男性
  •  米国でMBAを取得、専攻は金融
  •  投資銀行マン等を経て、財務・法務系の翻訳家として独立(言語は英語・タイ語)
  •  Tempestの英語学習の記録

NPVとは?

本稿では、MBAで必ず扱われる「NPV」(Net Present Value, 正味現在価値)という概念・ツールを簡単な例を用いてご紹介したいと思います。

MBA留学を志している方のある意味予習で、すでにご存じの方もあるかと思います。

 

大まかに言うと、新規事業・プロジェクトの可否を検討する際に、定量的(金銭的)にペイするか、「ゴー」か「ノー・ゴー」かを判断するツールです。

特に英米では実務でも広範に用いられているようです。ある種、MBAを取得したエリート幹部層が持ち込み浸透させていった・・・という向きがあります。

 

例1: 時間価値を考慮しない例

設定として、あるおもちゃメーカーがオリンピックを見越して新競技で日本の伝統芸能でもある「空手」のマスコット、「空ゑもん」(カラエモン、ドラえもんが空手の型をしているマスコット)を一時的に生産・販売する、というプロジェクトの可否を検討しているとします。

 

前提

  • 初期設備投資費用が1千万円、2018年に一括で出費(当年は準備期間)
  • 1つ300円で販売
  • 2019年から3年に渡り販売、2020年に大きく売れ、その前後でも多少売れる
  • 費用は材料費(原価)が4割、工場人員の労務費が4百万円/年(固定費)

 

以下が、来日外国人の予想数等様々な要因を考慮した事業計画(予想・プロジェクション)です。

売上から費用計を引いたものが、利益で、3年間の利益を合計すると1千50万円となり、初期投資を上回っているので、このプロジェクトは「ゴー」という判断になります。

なおこのような計算は基本「キャッシュ」ベースで行い、財務会計的なものにはしません。

 

以下混乱注意!よく分からない方は気にしないで飛ばして下さい!

 

財務会計的には、投資額の1千万は均等に4で割って各年に250万円ずつ費用(償却費)としてチャージする、というようなことをします。一方、このような試算においては、初年度に1千万分「実際の」出費があると留めておいて、償却云々は無視します。

ここまでは簡単です。が、以下が少しややこしいです。

 

時間価値、とは?

さて、お金には「時間価値」というものがあり、NPVのフレームワークではこれを考慮に入れます。銀行に預けると利子が付き増える、という点を考えると分かり易いです。もちろん、マイナス金利でなく、正常な金利の場合です。

例えば、100円銀行に預けて1%/年の利子が付くとすると、現在の100円は1年後には101円となります。

 

今の100円の方を「現在価値」と呼び、1年後の101円の方を「将来価値」と呼びます。

さて、今の100円は1年後に101円になるというのは一般にも分かり易いですが、NPVのフレームワークでは先に将来価値があり、それを現在価値に「引き戻す」ということをします。

つまり、1年後の101円は現在ではいくらの価値か? という感じです。

 

100 X 1.01 = 101

としているので、101円が先に分かっていたら逆算して、

101 / 1.01 = 100

とします。という感じです。

 

これを、プロジェクションの利益に対しても適用します。つまり、未来の利益は現在に引き戻すと最低利子の分小さくなる、という考えです。

この「1.01で割る」場合の1.01(0.01)を「割引率」などと呼びます。

 

さらに、このように「不確実性」あるいはリスクがある将来価値に対しては、単なる利子率ではなく、「リスク・プレミアム」を上乗せして割引率を増やす、ということをします。

低めに見積もって「慎重に見ている」と捉えてもいいかもしれません。

 

もちろん、2年後なら2年分、3年後なら3年分割引きます。単利なら現在の100円は3年後には103円で、逆の言い方をすると「3年後の103円は現在の100円」。

さらにNPVでは「複利計算」となりますが、この点はややこしいので詳しい解説は省きます。

 

左記のケースで実際に適用してみた方が分かり易いので、以下例を見てみましょう。

 

例2: 時間価値を考慮する例

前提

  • ベースの利子率が4%
  • 「リスク・プレミアム」が6%
  • 合わせて「割引率」は10%(1年当り1.1で「間引き」する)

(プロジェクション自体は全く同じ)

 

すると・・・

あら不思議。「ノー・ゴー」になってしまいます。

これはどういうことかと言うと、時間や不確実性を考慮せず、単に出費と手取りの予想を比べた場合「ゴー」(例1)だが、利子やリスクの分の間引きを考えると「ノー・ゴー」(例2)だ、ということになります。

 

NPVの是非

まず「是」の方から申し上げますと、定量的・客観的でシビアにプロジェクトの可否判断が出来るという点に尽きます。

一方「非」ですが、「インプットに大きく左右される」という点があります。

 

プロジェクションも未来のことで正確には出来ませんし、売上がどう推移するかはフタを開けてみないと分かりません。

割引率の方もベースの利子率の方はある程度客観的に出せますが、リスク・プレミアムの方は最後「決め」です。CAPMと呼ばれ、これを推計するツールも別にありますが、非常に曖昧です。

 

例で見てみましょう。まず、売上のプロジェクションを上方修正した場合です。

あら不思議。「ゴー」です。

 

では、売上のプロジェクションを据え置いて、現在の低利環境を考慮してベースの利子率は1%、リスク・プレミアムも「オリンピック効果は固い」として低めの1%、合わせて割引率は2%とします。

あら不思議。「ゴー」です。

このように、前提の置き方で結果はいくらでも変わってしまいます。

 

実際にはこのようにいくつかの「シナリオ(特にプロジェクション)」を用意し、総合的に勘案する、というのが実務慣行のようです。

 

応用例「MBAの費用対効果は?」

いわゆる事業・プロジェクト以外にもNPVの考えを応用することが出来ます。

例えば、「MBAに行くべきか否か」「MBAはペイするかどうか」を検討するとします。

 

前提

  • 一旦会社を辞め、フルタイムで2年間行く
  • 費用面
    • 準備費用(留学予備校、GMAT受験費、アプリケーション手数料等):300万
    • 学費2年分:600万×2年
    • 生活費の「増分」(日本に居ても生活費は掛かるが、海外の引っ越しセットアップや家賃や生活費が日本より高い、等):150万×2年
    • 働いていたら入っていたはずの給料が2年分失われる:年収(手取)700万×2年
  • リターン
    • 卒業後、再就職し給料がぐっと上がる(現状からの増分のみ):年収(手取)1400万(増分700万)
    • 5年働く(本当は20~30年なんなんでしょうが、ダラダラするので引退まで5年とします。その分、額を多めにしています)
  •  利子率とリスクで割引率5%(会社を辞めてまで海外渡航、しかもお高いというのは本当にリスクがあります)

 

やや「機会費用」「逸失費用」的な概念があり少し難解ですが、理解は頂けると存じます。さて試算結果は・・・

約200万の赤字です。ならやーめた、という判断になります。

大まかにサマリーすると、主に学費と生活費の出費で1,500万円超、その後給与が増える分2,100万円生涯年収で取り返すが、機会費用およびリスクを考慮して現在価値に割り戻すとペイしない、ということを示唆しています。

 

まとめ

  • NPVとは、時間価値・リスクを考慮した「投資判断」のツールで、MBAでは必修、定量的・客観的な一方結果はインプットに大きく左右されます。
  • いわゆる事業・プロジェクト以外にも応用出来ます。

 

さて、最後の例ではMBA出陣の可否判断ということで、占いの結果「否」と出ました。実際、特に私学の場合学費がとんでもない額なので、差し引きペイしない、という場合も多いかと思います。その後投資銀行やコンサルで毎日終電まで働くなら別です。

私もMBAホルダーですが、今考えると全然ペイしていません。でも行って良かった、膨大なものを得た、と考えています。

 

これはどういうことでしょうか?

一般の事業・投資のように「詰まるところ金銭の収支のみ」という場合NPVのフレームワークは非常に有効ですが、MBAの可否のように金銭以外の側面がある場合、万能ではないということです。

 

つまり、金銭面以外に色々な知識やスキル、ネットワークを得て人生の幅が広がった、何より英語力が抜群に上がった、良い海外見聞になった、などという非金銭的な要素があるためです。

いずれにせよ、今MBA留学を検討している方は大まかにこのような試算をしてみて、その上で総合的に判断して決める、というのはオススメです。特に会社派遣ではなく、全て私費で行く場合は大きな決断になると思います。

 

最後に、今回のMBAの価値の計算に使った計算シートを添付しておきますので、ぜひご自身の状況に合わせて費用や給料を入れ替え、金銭的な要素の試算に使ってみてください。

 

にゃんこ先生
質問、要望、ツッコミ、おすすめ勉強法、なんでも遠慮せずにコメントしてね。閲覧者同士でのコミュニケーションも大歓迎だよ。
にゃんこ先生
読んでくれてありがと。FacebookTwitterから、最新情報を受け取る事が可能だよ。シェアもよろしくね。
 

コメントを残す

名前、メールアドレスの入力は任意です。メールアドレスが公開されることはありません。