





昭和の時代から長く所謂「英会話学校」或いは「スピードラーニング」のような速成教材がもてはやされて来ており、「楽してすぐにペラペラ」を謳っております。
天才ならともかく、私を初めバイリンガルでもなく才能も無い人間が、たかだか週に1, 2回英会話学校に通って1時間ほど外国人とおしゃべりをするだけでそんなにペラペラになれるものでしょうか?
今回は、海外のMBAを卒業し、現在プロの翻訳家として活躍?する私が、独学で実践してきた、秘伝の「英語ペラペラへの道」をご紹介したいと思います。
この記事の著者: Tempest
- 横浜在住、40歳台前半の男性
- 米国のMBAを取得、専攻は金融
- 投資銀行マン等を経て、財務・法務系の翻訳家として独立(言語は英語・タイ語)
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。
独学で英会話を上達させたい!いきなりオンライン英会話はハードルが高い!アウトプットを増やして表現力をつけたい!という人におすすめのAI英会話スピークバディ。
アプリでスキマ時間にAIと英会話の練習が可能。無料ダウンロードはこちら
目次
ホンキで英語を話せるようになりたい人以外は読まないでください

皆さん、初めまして! 横浜在住、40歳前半の中年男性です。
英語は小学校高学年の頃にスタートしてから、実に30年以上もほぼ毎日自宅学習している、或いは触っているのですが、まだ完璧からはほど遠く、良くて「5合目」ぐらいだろうか、と首を傾げながら止めてはイカンと続ける日々です。
本稿では、本当の達人が辿った修行の道を「真似て」達人にならずとも達人のペラペラさに近付く方法論を解説していきます。
まず対象の読者として、
- 残念ながらバイリンガルではない / 日本に住んでいて環境も良くない
- でも英語の超上級者になりたい / 独学で英語を喋れるようになりたい
という方を想定しています。
さてネット上の色々な製品やサービスの宣伝文句に「本当にキレイになりたい人以外は読まないで下さい」「本気で痩せたいと思っていない人は読まないで下さい」といううがったものがよくあります。
これは一種の戦略で、実はそう思っておらずなるべく多くの人を誘い込むために言っているだけです。
一方本稿は「本気で英語を話せるようになりたいと思っている人以外は読まないで下さい」とそのままの意味でお断りしておきます(笑)!
かなりハード、ガチの生活習慣・学習メソッドをご紹介するためです。覚悟が無いと読んで逆に意気がくじけます・・・。
私が英語を話せるようになるまで

私は脱サラ後、フリーの翻訳者として不安定ながら細々食えるぐらいの腕(対象言語は英語とタイ語で、日英翻訳がメイン)なので、正直達人ではなくとも学習者としてはかなりの上級者です。
小5で始めた「公文」(苦悶)におけるABCの手習いから数えると勉強期間は30年を超えています。
その間、5年ほどこれから紹介する修行期間も経て、英語を話すには苦労しないレベルにはなったかと思います。
# 揺籃期:
小学校5年の時親に「公文」に放り込まれて、文字通りabcの手習いから始めました。このお陰で中高の英語の成績はまずまずでした。
# 大学時代:
ESSに入りスピーチを専攻しました。初め発音が日本人発音でボロボロだったので苦労しましたが、卒業する頃にはましになりました。独学で真剣に英語学習を開始したのはこの頃です。
# 20歳台:
晴れて社会人になり、一般企業に就職した後アメリカのMBAを志します。最後イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校という所が拾ってくれて、オーラル面で非常に苦労しながらも辛うじて学位取得。
# 30歳台:
M&Aのアドバイザーとして投資銀行マンに転職し、ある程度実績も残しましたが、日々終電・休みは月2日の暮らしにストレスを覚え段々とノイローゼ気味になって行きました。一方で英語の勉強だけはコツコツと続けています。
# 40歳:
企業通訳などを経てフリーランスの翻訳家として独立。稼ぎはさほどでもありませんが、自由な日々です。少なくとも読み書きでは英語で稼げるぐらいのレベルにはなりました。
真の英語達人は誰か?

さて、英語の達人と称される人は日本に数多く居ますが、真の達人は誰でしょうか?
在野では、昭和の英語の達人で「西の松本、東の松本」という二巨頭が有名です。大阪出身の同時通訳者・英語道啓蒙家の松本道弘氏(存命)、東京出身の英語教育家、松本亨博士(逝去)です。
お二人共NHK番組・出版等のメディア上での教育を経てから最後私塾を開いています。
さて、アカデミックでこれぞ達人中の達人、という人を挙げるとしたら誰でしょうか。二年前に逝去された上智大学名誉教授の渡部昇一氏です。
学会でも多く(文系で)碩学中の碩学と言えば渡部昇一、と今でも言われていますので、ファンであり真似をした私の偏見でもないかと思います。
以下、氏の著作からヒントを得た私の修行メソッドを紹介したいと思います。
読み書きだけでペラペラに?
昭和子女は渡部氏のベストセラー「知的生活の方法」は少なくとも聞いたことはあり、読んだことがある方も多いと思います。

もし読んだことが無ければ、短いものですのでアマゾンで古本を購入頂いて読んで頂くのもいいと思います。「続」もあります。
当初すでに独・英文学者として名を馳せていたために売れたのもあるのですが、内容がかなり変わっています。
ドイツ語・英語の達人なのでどう外国語を勉強したのか、というメソッドを解説する本かと思いきやそうではなく(それも触れていますが)、
どう「学問に没頭出来る状況を整えるか」という環境作りに関する啓蒙書で、テクニカルなことにはあまり触れていません。
自分で外国語の書物しかない小屋のようなものを作って一晩中そこに籠ってひたすらフラフラなるまで毎日洋書を読み漁る・・・という少し異常な内容です。
ひたすらドイツ語と英語の文学書を読んで、それに関する感想等を同じ言語で書いているうちに、別に大して海外居住・会話の経験も無いのにいつの間にか書いても話しても全然問題無くなっていた = 知的な著述・会話が自在に出来る、というような恐ろしいことが確か書いてありました。
渡部氏は大学の先生でしたので、講義の時間以外昼夜問わずひたすら独学で外国語を読んで書いてに充て、最後達人になられたわけですが、我々のような庶民の多く社会人であり一日中英語に浸るわけには行きません。
そんな中、私の修業時代には働いている時間と生理的なニーズ = 食事・トイレ・睡眠を満たす時間以外全てを英語に回す、という渡部式との折衷型の生活様式で英語に挑んだことがあります。
まず先に主旨・狙いを掲げますと、
- 英語に没頭出来る環境を作り、
- 英語の高級紙 or 新聞をひたすら読んで、
- それに対する意見をひたすら書いて、
読み書き「だけ」で半達人を目指す。
渡部氏には追い付けませんが、近付くことは出来るはずです。以下、各論を詳述致します。
英語ペラペラ独学術:7つの掟

まず社会人として働きながら独学で英語ペラペラに挑む方を想定して、以下を厳守して英語学習に極力多くの時間を割くようにして頂きます。
通勤時間
行き返りの通勤時間中、スマホでゲームをしたり寝たりせず、必ず英語を読みます。
スマホを使うのは構いませんが、ゲームやショッピングサイトではなく英語の文章のサイトへ行って下さい。少し早起きして座ってじっくり読書しながら行くのがいいですね。
昼休み
同僚とランチへ行ってグダグダお喋りをするのが習慣・義務のようになっていると思いますが、「英語を勉強するので、行きません」と宣言して下さい。
サンドイッチを片手に1時間会社の休憩室かどこかで独りで英語に取り組みます。
鐘がなったら帰る
効率よく8時間で仕事をして、鐘がなったらすぐ席を立って帰り、英語に割く時間を増やすようにします。これも「英語に取り組むため」と宣言しておくのがいいでしょう。
白い目で見られるよりかえって尊敬されるかと思います。残業はどうしても必要な以外はしないようにします。
飲酒禁止・睡眠時間削減
完全に禁酒しろとは申しませんが、酒を飲むと勉強出来なるため誕生日会等特殊な機会以外お酒は禁止です。
会社から帰ったらメシを食いながら零時を回るまでひたすら英語に取り組みます。睡眠時間は6時間にまで削ります。
6時間寝れば人間死なないそうなので、ゆとり生活で8時間といったことのないようにします。
土日・祝日
全て英語に充てて下さい。なお、お盆や年末年始・寝正月という概念も捨てて下さい。
彼女に英語とアタシどっちを取るのと迫られたら、悪いけど英語だよ、と言います(私はコレで別れたことがあります)。
他のことをしない
ゲームや漫画、テレビなどの遊びは厳禁です。なお音楽やスポーツ等の芸事は健康・人間的成長のために最低土日のどこかで時間を決めてやる、というのはいいと思います。
ここで、さらに「日本語を必要ない限り読まない」と決めておきます。
会社や日常でただでさえ日本語に触れるので、必要な以上に日本語で読まず(小説や雑誌など)、そんな時間があったら全部英語で読む時間に振り向けます。
英語を「話さない」
ひたすら読んで書いているうちに、いつの間にかオーラル面でもペラペラになっていた! という驚きの経験をするための修業期間ですので、英語は敢えて話さず、ご褒美に取っておきます。
以上を「厳守」すれば、働きながらでも平均で平日は8時間以上、休日は16時間以上英語に振り向けられます。
なお、少しでも息抜きで1時間ぐらいゲームをしよう、というのはダメです。なし崩し的に三日坊主になります。

基礎固め: 単語力と文法

文法
まず英語学習で文法を精密に抑えることは非常に重要です。
文法など関係無い、度胸だ! などと言う向きもあると思います。旅先で「腹減った、メシ食わせ」ぐらいを伝えるなら文法的にブロークンな英語でも構わないのでしょう。
しかし、MBAで「このような理由によりこちらの経営判断を支持する」などと論理的に記述する・発表する場合に文法(言語的な論理構造)がしっかりしていないと意図が正確に伝わらなくなります。
私がやったのは、高校時代にお世話になった「ロイヤル英文法」という分厚い文法書を一から徹底的にさらうというものでした。

当時水色の装丁だったのを覚えています。良い文法指南書は昔から色々ありますが、こちらは今もあるはずでお勧めの一つです。
後年では、GMATの文法が(ネイティブ向けで)精密なので、苦労しましたがその際も磨かれました。
単語・語彙
枠組みがしっかりした所で、次に詰める「弾丸(語彙)」です。
高級紙 or 新聞をひたすら読もうとしても、相当な語彙力が無いとこれは出来ず、いちいち辞書を引くことになってイヤになってしまいます。
英検1級(中級)合格に必要な語彙数は1万~1万5千語と言われ、これでは高級紙や新聞を読むのに全然足りません。
一方、教養のある・大卒の英米人の平均語彙数は3万5千~5万語と言われており、最低3万語の語彙数は欲しいところです。
ではどうするか?
部屋の片隅に学生時代に使った辞書が埃をかぶって転がっているはずです。
ターゲット1900からゆるゆる始めるか、などと言っておらず、勇気を出して辞書を手に取りましょう!
ヤングマン、何も恐れるものはないんだ!!

「昔の語学学習者は辞書を丸覚えして、覚えたページは引きちぎって食べてしまった」みたいな逸話を思い出し、それをガチンコでやろうと思いました。但しお腹を壊すので「食べ」はしません。
食べる必要はありませんが、根性を出せば1回の通読は働きながらでも二ヵ月以内でゆうに出来ますので、長くてたった半年ほどです。細かい解説にも目を通せば文法にも自然と強くなります。
私はライトハウスとジーニアスを2年ほど掛けて頭から例文・文法解説を含めて3回全て通読する(各々6万語ほど収納)という苦行をやり、全部は記憶していないでしょうが、これで語彙数(3万越え)はかなり膨れ上がりました。


» 参考:1ヶ月で3000語!?最短最速で英単語を暗記する5つの方法
リーディング勉強方法:英語を「読む」

これが英語を喋れるようにする修行の主体となります。
新聞紙を読む習慣に
何か一つに絞るのがお勧めです。高級紙ならTime, Newsweek, Wall Street Journal(WSJ)・・・、新聞ならNew York Times, Washington Post・・・色々あります。
相性もありますので、色々見てみてからパートナー = 生涯の伴侶を決めて下さい。
単語と文法をある程度固めた結果、大学4年になる頃にはTIMEがさほど辞書を使わずとも読めるようになっていました。相性のせいか、私はNEWSWEEKの方が日々の友でした。TIMEよりはやや簡単、というレベルです。
今ではMBAで金融が専攻だったこともあり、金融市場の情報が中心のWall Street Journalオンラインが日々の友です。

長年連れ添っていますが、まだ離婚していません。このせいで実際の結婚が出来なかったかは定かではありませんが・・・。
なお雑誌と言ってもPlayboy等はダメです。その方が読む気が出るというのは分かりますが、英語の質という点で正当ジャーナリズムのものをピックして下さい。
有名どころなら何でも構いません。表現の汎用性という意味で英系よりは米系の方がお勧めです。
さて、昨今では実際に紙ベースの雑誌や新聞を買わなくても、大抵オンラインで記事が提供されています。
具体的な勉強法
私はWSJを日々読んでいますが、購読(サブスクリプション)すらしていません。
購読料を払わずとも、各記事の一段落目だけが無料でズラッと並んでおり、それを通読するだけで分量的には十分で、内容的にもサマリーになっているためよく把握出来ます。
全て読みたい人は購読力を払う必要ありますが、安いので払っても大したことはありません・・・
が、私はケチなので。たまに全ての文章が無料で公開されている記事もあり、その場合は全部読みます。
カテゴリーは下記のように分類されており、かなり幅広く、無料で表示されているものを毎日隅から隅まで通読するだけでお腹(脳みそ)一杯になります。

英語以外に、時事に強くなり色々な知見が身に付くという効果もあります。こちらが主眼ではありませんが・・・。
さて、各記事を読む際に「それぞれその場で2回読む」ということを励行しています。
一回は精読(内容理解重視)で一回は速読(スピード重視)であり、どちらを先にするかは記事毎に交互にしています。
2回読むことでまず理解が間違いないか確認する目的と、速読力を付ける狙いがあります。
内容理解 vs. 速読力という点は英語でなくても色々言われますが、私の意見では正確な内容理解がまず大切で、その上でなるべく速く、という感じです。いずれにせよこのようにすれば双方付いてきます。

»【完全版】無料で読める英語ニュース(記事)サイトまとめ30選
» おすすめの英字新聞7選!レベル別で英語初心者でも安心、勉強法も解説
洋書で会話の内容を増やす

ペーパーバックを読み漁るのがお勧めです。日本でも少し大きめの本屋に行けば色々並んでおり、そう高価でもありません。
日常的な会話の内容を「インプットしておく」という効果があります。
特に、映画で先に見たことがあり内容を知っているもの / 日本語訳で先に読んだこがあるものが読解の助けとなり学習効率が高くなります。
バック・トゥー・ザ・フューチャーでも、スターウォーズでも、ハリポッター(特に英国留学を志す方はコチラ)でも何でも構いません。
私が個人的に気に入って何度も読んだものにスティーブン・キングの「恐怖の四季」(Different Seasons)という中編集があります。

有名な「ショーシャンクの空に」(原題は”Rita Hayworth and Shawshank Redemption”)や「スタンド・バイ・ミー」(原題は”The Body”、死体の意)が入っています。
余談ですが、この二つの映画版は原作を忠実に再現していますが、ラストが大きく違います。
ネタバレ注意(”spoiler alert”)になりますのでここでは明かしませんが、興味がある方は是非ペーパーバックを手に取ってみて下さい!!

» 【レベル別】英語多読のためのおすすめ洋書40選【初心者から上級者まで】
» 【ジャンル別おすすめ洋書124冊】児童書・自己啓発・雑誌からTOEIC対策まで
速読のコツ
- 音声化しない:
口でブツブツ発音すると速度が落ちます。また、心の中でもなるべく音声化しないで下さい。
- 左から右にそのまま読む:
日本語の構造で理解するために行ったり来たりせず、書かれている通りそのまま理解するよう心掛けて下さい。日本語になるべく訳さず英語そのままで理解する、というのも大切です。
- 視野を広く:
少し目を離して読み、一単語ずつ追うのでなく、最低3~5語ぐらいのブロックで捉えていきます。
これを、一日中発狂寸前になるまで来る日も来る日も・・・雨の日も、新たな友と出会った日も、上司に怒られた日も、恋人と別れた日も・・・やります。
3~5年の勉強期間で効果が出るので一生ではありません。虎の穴に籠る年限を区切るのも手です。但し下ごしらえを「除いて」最低3年です。

» 大学生必見!TOEICリーディング400点~への勉強法(速読のコツ)
ライティング勉強方法:英語を「書く」

さて読む方が「インプット」の訓練で、書く方が「アウトプット」の訓練です。
会話の練習をしていないのにいつの間にかペラペラになっていた、というのは実はここに秘密があります。あるいはここで訓練されています。
時間配分としては、大体読みが90~95%で、書きが5~10%ぐらいでしょうか。まず大量にインプットする方が優先で、インプットが無いと何も出て来ないためです。
この修行期を終えたら書きの割合を増やしても構いません。
英語の日記ノートを作る
私は常々英語でワードファイルに「日記」を書くことを勧めています。何でも、短くても構いませんので、思いついたことを英語で書いてみる。
私のPCのデスクトップには”Diary”と銘打たれたワードファイルがあり、ヒマな時に開いて思いついたことを書いています。もちろんこれは紙のノートでも構いません。
或いは、読みとカップルで記事を読んで何か感じたことがあったらその場でさっと書いてみる、というのもあります。
長い文章である必要は無く、内容も思いついたことであまりこだわる必要はありません。
が、文法だけはなるべく正確になるよう・・・「五文型」を崩さないよう・・・心掛けます。

»【無料】Grammarly (グラマリー)の使い方徹底解説!英文・文法添削ツール
» 英作文添削・英文校正は無料で!おすすめアプリ・サービス12選
頭の中で英訳練習
また、書かなくても歩きながらでも「これは英語で何と言うのか」と考えてみるのもいい方法です。
空き時間をうまく使えます。私は昔、通勤電車で色々な広告を見て英語に訳してみる、という練習をしていました。

リスニング勉強方法:英語を「聞く」

さて外国語学習の一つのメルクマール(4合目)として、辞書無しで新聞が読める / ニュースを聞いて分かる、というものがあります。
ここでニュースについて、速く読めると聞いてまず分かる、ということがあります。wpm (words per minute)という概念があり、1分で内容理解度を落とさずに新聞以上のレベルのものを何語読めるか、というものです。
ニュースはある種新聞記事を読み上げているようなもので、英語のニュースは概してかなり速いのですが、それでも150~200 wpmです。
すると音声面の難しさを考慮しても300 wpmぐらいでニューヨークタイムズなどの新聞やTIMEなりの高級紙が読みこなせれば、聞いてもまず分かる、ということになります。
NHK ニュースで学ぶ現代英語

新聞を普段読んでいると分かり易く、発音も綺麗なのでニュースを聞くといいのですが、お手軽にはNHKのニュースで学ぶ現代英語です。
読みと似た所がありますが、毎日2~3分の朗読が一つずつアップされますので、それを2回聞きます。
スクリプトがあるので、一回はそれを見ながら、もう一回はそれを見ないで。どちらを先にするかはこれも日々交互にして行きます。
NHKラジオ英会話

「リスニング」が重要というのは、相手が何を言っているかを理解出来ることがまず先決だからです。
普段の英会話の勉強として、NHKの「ラジオ英語講座」はお手軽です。中学レベルからビジネスレベルまで何段階か用意されており、私も昔これにお世話になりました。
さて、私がNHKラジオ講座で学習していたのはもう20年以上も前で、当時実際に小型ラジオと薄いテキストを手にしながら聞いていました。今もあるのか・・・とネットを引いてみましたところ、当時と同じようなカリキュラムで存在していました!
最上級はやはりビジネス英語系ですが、日常会話を鍛えるなら中の上あたりで「NHKラジオ 英会話タイムトライアル」や「NHKラジオ ラジオ英会話」というものがあり、ここらがお勧めです。


テキストが書店でもネット購買でも手に入り、「字面で確認出来る」のが映画と違い有利な点です。
ラジオ英会話ではネイティブによる読み上げが「リピート」されるはずなので、これも最初はテキストを見ながら、二回目は見ずに聞くという方法がいいと思います。
値段はテキストのみが500円 / 月ぐらい、テキスト+CDが2,000円 / 月ぐらいとなっています。値段も昔からあまり変わっていません。

「今さらラジオはねぇだろう。」という方は後者で、PCかアプリで聞いて下さい。それでも、「スピードラーニング」よりははるかにコスパがいいはずです・・・。
映画を見る
一般にこれには映画を見るのが良いとされていますが、映画はかなり難度が高く、聞き取れないと却ってストレスになり自信を喪失し兼ねないので初心者にあまりお勧めできません。
映画(とそのスクリプト)での英語学習方法はこちらの記事が参考になると思います。
» スクリーンプレイがすごい!英語学習におすすめの映画10選と勉強法
スピーキング勉強方法:英語を「話す」

日常英会話 vs アカデミック英語
中・高の英語のカリキュラムを俯瞰しますと、日常会話から学術的な論説文へと段階を経て進むようになっています。
また、一般にも日常会話の英語が最も簡単で、アカデミック英語が難しくて大変だ、というのが通説・通念となっています。
しかし果たしてこれは本当でしょうか?
私のMBA留学時代を振り返ってみますと、クラスの中やグループワークでは、さほど英語でのコミュニケーションに問題が無いのに、一旦クラスから出ると日常生活・会話に大変問題をきたした、という経験があります。
- 床屋でうまく要望を伝えられず変な髪型になってしまった
- 道を聞いたが説明が全然理解出来なかった
- 電話越しにクレジットカードで買い物をしようとしたが、手続きの説明がよく分からずうまくいかなかった
- ホームレスのおじさんに怒った調子で話し掛けられて意味が分からず、結局お金だけ巻き上げられた
- 家の解約交渉がうまく出来ずデポジットが戻らなかった
・・・等々。
学位は何とか取れたのですが、学業そのものより生活に苦労した思い出の方が強いです。
このため、これからMBA留学を志す方には通常の留学準備以外にも普段から意識して口語面の訓練もしておくことをお勧めします。以下、私のお勧めする練習メソッドをご紹介したいと思います。
(レベルを下げて)シャドーイング
しかしながら、独りで音読練習をする、ということは可能で口の筋肉を慣らすためにもこの方法は案外効きます。
ご存知の方も多いかと思いますが、同時通訳の訓練に「シャドーイング」というものがあります。英語のニュースを聞いて、すぐ同じことを英語で言う(影のように付けていく)というものです。
こちらは難度が非常に高く、少なくとも私などではとても手が出ません。
一方、レベルを下げてこれと似たようなことは出来ます。
上記のNHKラジオ講座を聞いて、(シャドーイングでなくても)ネイティブの読み上げの後に自分でも真似て極力それらしく発音してみる、というのは良い訓練方法です。
実際、所々で「さぁ皆さんも発音してみましょう!」と空白の数秒を与えられるはずです。
口を慣らす練習になるだけでなく、リスニング力アップにもつながるのでおすすめです。
辻斬り英会話

その他に私が昔やっていたのは「辻斬り」で、街でネイティブを見かけると話しかけてみる、無料の5分英会話レッスン!というものです。
特に通りで英会話学校の勧誘をしているネイティブが多かったです。彼らも客商売なのでフレンドリーです。ただし、話だけ聞いておいて実際には通いません。性質の悪い消費者ではあります。
さてここで一つ留意点ですが、日本に長年住んでいるネイティブは一般に(無意識に)はっきり・ゆっくりめに英語を話すようになっています。英語が完璧ではない日本人に対しても通じるようにするためです。
日本での辻斬りで英語が通じても、現地でそううまく行くとは限りませんが、やらないよりはるかにマシです。
英語を話さない
再掲ですが、達人によりますと「読めれば聞ける、読めれば書ける、読めて聞けて書ければ(自然と)話せる」ので、特に練習しなくてもいいそうです。
私も実は「さほど」英語を喋った経験はありませんが、いざ喋る時も勝手に大抵の事は口をついて出て来るのでそれほど苦労しません。
後悔しているのは、MBA時代クラスやグループワークで討議したり発表したりする以外、あまり英語で喋る機会(日常会話)が無かったことでしょうか。
クラスが終わったらすぐ帰ってテキストを読んで、ペーパーをひたすら書くという生活でした。


» オンライン英会話25社徹底比較|1000回やってわかった新事実
» DMM英会話を1,000回やってわかった効果的な英語勉強法
【おまけ】日本人の英語力について:なぜ話せないかを理解しよう
以下の表は、母国語が何かにより、どの外国語がどのぐらい学び易いかということを、文法や発音などの要素を踏まえて大まかに示したケーススタディです。
言語要素一覧表
言語要素 | 文法 | 文字 | 発音1 | 発音2 | 語彙 |
ネイティブ言語 | |||||
日本語 | 膠着語 | 表意&表音 | 平明言語 | 母音で終る | – |
韓国語 | 膠着語 | 表音 | 平明言語 | 母音で終る | 日本語と似た語彙が散見される |
中国語 | 孤立語 | 表意 | 声調言語 | 子音で終る | 日本語と多くの語彙を共有 |
タイ語 | 孤立語 | 表音 | 声調言語 | 子音で終る | – |
英語 | 屈折語 | 表音 | アクセント言語 | 子音で終る | – |
スペイン語 | 屈折語 | 表音 | アクセント言語 | 母音で終る | – |
習得のしやすさ
習得容易度 | 日本語 | 韓国語 | 中国語 | タイ語 | 英語 | スペイン語 |
ネイティブ言語 | ||||||
日本語 | – | A | A | C | C | B |
韓国語 | A | – | C | C | C | B |
中国語 | A | C | – | A | B | B |
タイ語 | C | C | A | – | B | B |
英語 | C | C | B | B | – | A |
スペイン語 | B | B | B | B | A | – |
- A : 容易
- B: まずまず
- C: 困難
これでなぜ日本人が英語を学ぶのが困難か、英語が下手なのか、かなり科学的に分かりました。このように様々な要素で異なっているためです。単に言語的に「違うから」「遠いから」ではややぼんやりしていますよね。
さて、これを知ったからといって、それ自体で英語がうまくなるわけではありませんが、理由を知っておいて損ではありません。
別の言い方をすると、外国語学習上何が難しいか、と知っておくことはそこを重点的に攻めればヨイということになり、学習の一助となると思料します。英語の場合は結局全部か、と言われると何も言い返せませんが・・・。
このようなハンディキャップがある中で、こんな私も英語と戦い、アメリカでMBAを取得し、英語を使って不自由なく仕事ができる程度にはなりました。できないことはないのです。
【まとめ】英語ペラペラになるために

戦後70年、「英語ペラペラになりたい」「英語が喋れるようになりたい」は日本人の念願でした。
私が英語に精を出し始めた20年前もそうでしたし、今もそうです。いわゆる「英会話学校」がここまで乱立して差別化も出来ていないのに(過当競争のようで)収益が出るのはここに秘密があります。悪い言い方をすると、日本人のこのような願望に付け入っているのです。
こういう「英会話学校」或いはスピードラーニングのような速成教材がもてはやされて来ており、「楽してすぐにペラペラ」を謳っておりますが、天才ならともかく、私を初めバイリンガルでもなく才能も無い人間が、たかだか週に1, 2回英会話学校に通って1時間ほど外国人とおしゃべりをするだけでそんなにペラペラになれるものでしょうか?
程度の問題であり、簡単な日常会話や旅行会話はじきに出来るようになると思いますが、その程度ではMBAのクラスでネイティブを相手に高度な論戦を張るレベルには遠く及びません。
一方、ここで紹介した渡部式メソッドは「必勝のメソッド」です。
高校までで一通りのことは習得した / 英検2級レベルぐらいがスタート地点の要件ですが、その程度でただやれば間違いなく誰でも高みに達します。カネもほとんど掛かりませんし、才能も要りません。ただ多くの時間を割いて努力するだけです。さほど苦痛でもないはずです。
秀吉の軍師、竹中半兵衛の言葉にこういうものがあります: 「武道以外余事」。3年間、「英語以外余事」で過ごしてみて下さい。
そして、外人と話してみます(ドキドキ)。あ、いつの間にかペラペラになってた・・・となること請け合いです。
よくある質問集

英語が話せるようになるまでの期間はどれぐらいですか?
現在の英語力とどれだけ英語学習に時間を使えるかによって、英語が話せるようになるまでの期間は人それぞれ異なります。
- 3ヶ月で英語 ペラペラ
- 半年で英語ペラペラ
- 1年の留学でペラペラ
- 2年で英語ペラペラ
など、射幸心を煽るような言葉をたくさん聞くかと思いますが、全て嘘です。最低3年〜5年の修行期間は必要で、それでもネイティブと同じように喋れるようにはなりません(なる必要もありません)。
私が紹介した「ペラペラの7つの約束」を忠実に守ることで、必要な期間をもっと短くできるはずですので、頑張ってください。
主婦だけど英会話ができるようになりますか?
なります。特に才能のない私も、毎日ここで紹介している方法を続けて英語で稼ぐレベルの英語オタクになることはできました。
子育てや家事で時間を見つけるのが大変かもしれませんが、隙間時間やながら時間を活用すればかなり英語に触れる時間を作れるのではないでしょうか?
社会人には社会人なりの、主婦には主婦なりの戦い方があるはずです。基本的な勉強方法は同じなので、是非諦めずに数年間続けてみてください。
30代だけど英語を話せるようになりたいです。大人になってからでも大丈夫ですか?
中学生でも、大学生でも、30代でも、50代でも新しいチャレンジに遅すぎることはないと思っています。
英語の教育は幼少期が一番良いとされていますが、もうその時期は小学校高学年には過ぎてしまっているので、その後英語を身につけたければあとは時間をかけて勉強するしかないのです。
英語は誰でもしゃべれるようになります。しゃべれるようになる前に諦めてしまう人が多いだけなのです。
子供を英語ペラペラにさせる方法はありますか?
ここで紹介したやり方は小さい子供には向いていないかもしれませんね。修行期間が辛すぎます。
子供の英語教育についてはこのサイトの他の記事が参考になると思いますので、参考にしてみてください。
» アメリカ在住ママおすすめ!子供のための英語 歌・動画特集(大人も使える)
英語がペラペラになるアプリはありますか?
ありません。
一方で、羨ましいのですが、私が新聞やニュースで行ってきた修行を今の時代はアプリでもっと効率的にできる可能性が大いにあります。
学習方法は変らないので、紙ではなくアプリで勉強するのもありだと思います。
» 英語多読のためのおすすめ無料アプリ10選(リーディング勉強に!)
» 【無料】20個厳選!英語リスニングにおすすめのアプリ【決定版】



自分の使える最大限の時間を使ってそれをすべて英語の学習に費やすことにとても共感しました。このコメントを書いている本人は、現在大学生で、特に理系なので大学で英語をさほど勉強せず、中学・高校で学んだ英語が無駄になりそうです。
ここから、本気で3年頑張ってみようと思いました。
勇気をもらいました。ありがとうございます。
コメントありがとう!
そうだね、英語は質と量の勝負なので、量を確保することはとても大切だね。
是非、大学生で時間のあるうちに、自分のやりたいことに時間を費やしてほしい!
応援しているよ!!