フォニックスは子供達に幼い頃から読み書きを教えるメソッドとしてデザインされており、特に幼稚園児でも楽しくアクティビティを通じて学べるように、様々な工夫が凝らされています。
アルファベットを基にした42種類のフォニックスは、子供たちが本を読み始める時に一番大事な基礎となるツールと考えられています。
純日本人の私は、学生時代英語は大の苦手でしたが、娘と一緒にフォニックス学習に励みました。
あんなに一生懸命フォニックスのサポートしていたのも束の間、今では娘に英語を直される始末です。
今回は、そんな娘が発音を上達させた、イギリスの小学校で教えられるフォニックスの学習法を紹介します。
この記事の著者:Ta-
イギリス生活17年目突入の高齢出産ママです。
学生時代、英語は大の苦手でしたが、Beatlesを口ずさむのは大好きで、それでなんとか今もイギリス生活できているような気がします。
I’m in the middle of the long and winding road…
目次
- 1 フォニックスとは?英語の発音とスペル
- 2 9週間で完結!フォニックスの教え方と無料教材
- 2.1 各ステップとおすすめ教材の概要
- 2.2 ステップ1:Group1(s, a, t, I, p, n)の紹介(6日間)
- 2.3 ステップ2: Group2(ck, e, h, r, m, d) の紹介(6日間)
- 2.4 ステップ3: Group3(g, o, u, l, f, b) の紹介(6日間)
- 2.5 ステップ4:Group4(ai, j, oa, ie, ee, or)の紹介(6日間)
- 2.6 ステップ5:Group5(z, w, ng, v, oo, oo)の紹介(6日間)
- 2.7 ステップ6:Group6(y, x, ch, sh, th, th)の紹介(6日間)
- 2.8 ステップ7:Group7(qu, ou, oi, ue, er, ar)の紹介(6日間)
- 3 終わりに
フォニックスとは?英語の発音とスペル

フォニックス(Phonics)とは、英語圏の子供達の学習の初めの一歩として、スペルと発音の関係性・ルールを教える代表的なメソッドの一つで、現地では年長(4歳)~小学2年生(7歳)の間、反復を重ね、少なくとも3年以上かけて習得していきます。
フォニックス表という発音表を使用しながら、各アルファベットがどのフォニックスと結び付いているかのルールを学び、学年毎に少しずつ難易度を上げながら、次第に正しい単語の読み・書きへと導いていきます。
フォニックスの英語学習へのメリット
幼い頃からフォニックスを繰り返し反復することで、初めて見る単語でも読むことができ、また聞いただけで綴りを書く事ができるようになると言われており、その後本を読み始めたり、文章を書いたりする際の、大事な基礎となります。
また、幼い子供のためにフォニックスはデザインされており、様々な工夫が凝らされたアクティビティを通じて、楽しく学ぶことができます。
フォニックス一覧表
下記のフォニックス一覧表をご覧ください。

このように、フォニックスはアルファベットを用いた42種類の発音で構成されており、難易度別に大きく7つのグループに分かれています。
イギリスの小学校の教え方
イギリスの小学校ではこれをグループ1から順に1日に1個ずつ、1週間で5個のフォニックスを目安に、約9週間かけて全てのフォニックスの指導をしています。
紹介した後も、反復トレーニングを重ねながら、小学2年生まで3年以上かけて習得していきます。
子供向けの楽しいフォニックス表は「free printable phonics alphabet chart」などGoogleで検索すれば、沢山フリー素材が出てきます。
以下の英語リンクは、イギリスの小学1年生(5-6歳です)のフォニックスレッスンの風景です。
フォニックスの指導方法として、低学年のうちは、机に座って勉強する時間よりも、こうして皆で行うアクティビティの時間の方が多いようです。
フォニックスの5大要素
要素1:発音
実際の発音については、以下の英語リンクをご覧になってみてください。
https://www.jollylearning.co.uk/free-parent-teacher-resources/learn-the-letter-sounds/
ページ上部のYouTube映像では、42種類全ての発音をおさらいできます。また個別のフォニックスの発音が知りたい場合は、そのまま下にスクロールし、各アルファベットのアイコンをクリックすると音声が流れます。
とは言え、発音だけを覚えるのは苦しいでしょうから、あくまでも発音ガイドとして必要な時に確認するのが良いかと思います。
要素2:書き方
1日に1つずつ、Group1の「s」から書く練習をします。
幼少期の子供達は、まだ鉛筆の握り方もおぼつかないことが多いので、学校では大分時間をかけて(辛抱強く)教えてもらいます。
上達するにつれて、次第に単語のスペリング練習へと導いて行きます。
要素3:文字の混成(Blending:ブレンディング)
フォニックスをつなげて、単語にする練習をします。例えば先生が「d」「o」「g」とフォニックスで言ったら、子供達は「dog」と単語に聞こえるようになるまで反復します。
要素4:言葉の分解(Segmenting: セグメンティング)
単語を個々のフォニックスに分けるトレーニングをします。例えば先生が「dog」と単語を言ったら、子供達は「d」「o」「g」と反復します。
要素5:イレギュラーな単語の練習
スペルと発音に規則性がないイレギュラーな単語の存在についても学習します。小学2年生までに、約60個の必須単語について、反復暗記します。
9週間で完結!フォニックスの教え方と無料教材

各ステップとおすすめ教材の概要
前述しましたが、イギリスの小学校では、グループ1から順に1日に1個ずつ、1週間で5個のフォニックスを目安に、約9週間かけて全てのフォニックスを学びます。9週間で1周しますが、もちろんその後も復習、反復が大切になりますよ。
これから紹介するフォニックスの教える順番・ステップに共通する事ですが、子供向けのイギリスBBC放送の教育チャンネルのオフィシャル映像などのリソースが充実していますので、まずはそれらの映像や歌も楽しみながら、併行して学習をしてみてください。

フォニックスの歌は、娘の学校では歌いながらゼスチャーをしていました。
ちなみにイギリスでは、Jolly Phonicsのソングが主流のようですが、YouTube等で「Phonics song」で検索すれば、色々出てくると思います。
ステップ1:Group1(s, a, t, I, p, n)の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(下記アクティビティシート使用)。
- 読み方:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:“a-n-t, ant”下記アクティビティシートに準じる)
アクティビティ
アクティビティシート:書き方については、最初はプリントに空書きをしたり、本の大きな文字を指でなぞったり、塗り絵やお絵かきなど他のアクティビティも混ぜながら行います。
こちらJolly Learningのアクティビティシートは娘もお世話になりました。塗り絵も楽しみながら、発音と単語の勉強にもなるので、是非試して頂きたいです。
ステップ2: Group2(ck, e, h, r, m, d) の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1のアクティビティシート使用)。
- 読み方:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”c-a-t, cat” ”p-e-n, pen” )
アクティビティ
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
ステップ3: Group3(g, o, u, l, f, b) の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1のアクティビティのプリント使用)。
- 読み方1:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”g-o-l-f, golf” “b-e-d, bed”)
- 読み方2:子音同士のブレンドした音(Bl, Tr, Cl, Fl, ck など)についても学習し始めます。
練習シート・プリントの一例:https://cleverlearner.com/consonant-blend/images/preschool-consonant-blends-with-l-3w.pdf
アクティビティ
単語カード:
子供達もシンプルな単語を読むことができるようになるこの頃から、こちらのような単語カードも使用できます。このブレンディングは大変重要で、これがすぐにできる子供は、本を読み始めるのも早いそうです。
各ページ上部にグループ番号が書いてあるので、発音の進捗状況に合わせてカードを使用してみてください。
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
単語ゲーム:
1文字のフォニックスが読めるようになると、一気に読める単語が増えます。このようなゲームはいかがでしょう?
https://epicphonics.com/games/show/reading-machine-4
その他の動画:連携した映像もいろいろありますので、是非色々と探してみてください。
ステップ4:Group4(ai, j, oa, ie, ee, or)の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1のアクティビティシート使用)。
- 読み方1:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”b-oa-t, boat” “f-ee-t, feet”)
- 読み方2:子音同士のブレンドした音(Bl, Tr, Cl, Fl, ck など)についても学習し始めます。
練習シート・プリント一例:http://cleverlearner.com/consonant-blend/images/preschool-consonant-blends-with-r-4.pdf
アクティビティ
単語カード(ステップ3参照):発音の進捗状況に合わせてGroup4までの単語カードを使用してみてください。
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
その他の動画:
“ai, oa, ee, oo” を学ぶ、Group4,5に最適な映像です。
ステップ5:Group5(z, w, ng, v, oo, oo)の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1のアクティビティのプリント使用)。
- 読み方1:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”s-i-ng, sing” “w-oo-d, wood”)。短い”oo”と長い”oo”の違い(foot, moon)についても学習します。
- 読み方2:子音同士のブレンドした音(ng, nd, lp, ll, など)について学習します。
アクティビティ
単語カード(ステップ3参照):発音の進捗状況に合わせてGroup5までの単語カードを使用してみてください。
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
その他の動画:
“ai, oa, ee, oo” を学ぶ、Group4,5に最適な映像です(ステップ4参照)。
ステップ6:Group6(y, x, ch, sh, th, th)の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音のトレーニングをする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1のアクティビティシート使用)。
- 読み方1:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”ch-u-r-ch, church” “sh-ee-p, sheep”)。二種類の”th”(this, thin)の発音についても学習します。
- 読み方2:子音同士のブレンドした音についても学習を続けます。
- イレギュラーな単語の紹介:11個の必須単語の紹介をします。「Jolly Phonics Readers Red Level」の11個の単語を紹介します。
練習シート・プリントの例:
https://jolly2.s3.amazonaws.com/Resources/Tricky%20Word%20ChecklistNEW.pdf
https://www.teachphonics.co.uk/th-uv-sound.html
https://www.teachphonics.co.uk/th-v-sound.html
アクティビティ
単語カード(ステップ3参照):発音の進捗状況に合わせてGroup6までの単語カードを使用してみてください。
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
イレギュラーな単語:初歩のイレギュラー単語カードの参考です。
その他の動画:リズムの良い、楽しいソングです。「tricky words song」などで検索しても、他に色々出てくると思います。
発音の確認用の映像です(単語の順序不同です)。
“ch, sh, th”を学ぶ、Group6に最適な映像です。
ステップ7:Group7(qu, ou, oi, ue, er, ar)の紹介(6日間)
基本編
- 発音:1日1文字ずつ、発音の練習をする(フォニックス表使用)。
- 書き方:1日1文字ずつ、発音の練習をした文字を書く(ステップ1アクティビティシート使用)。
- 読み方1:簡単な単語をブレンディングしながら読む(例:”qu-e-ue, queue” “b-ar-k, bark”)
- 読み方2:子音同士のブレンドした音についても学習を続けます。
- イレギュラーな単語:ステップ6の11の単語を反復学習します。理解度に応じて、「Jolly Phonics Readers Yellow Level」の10個の単語を紹介します。
- 絵本音読:Group7の発音および最初の11(Red Level) のイレギュラーな単語を覚えられた時点で、絵本の音読を始めます。英語絵本のおすすめを探してみましょう。
アクティビティ
単語カード(ステップ3参照):発音の進捗状況に合わせて全ての単語カードを使用してみてください。
アクティビティシート:ステップ1のアクティビティシートを使用します。
イレギュラーな単語:ステップ6のアクティビティをご参照ください。
絵本音読:絵本およびeBooksを入手する前に、Youtubeで関連絵本の読み聞かせ映像を検索してご覧になってみてはどうでしょう。
その他の映像:
Group7の発音を反復するのに、最適な映像です。
終わりに
いかがでしたか?冒頭にも触れましたが、この9週間のステップはあくまでもフォニックスのイントロダクション(紹介)に過ぎず、その後少なくとも3年間は学校でも家庭でも、毎日触れるトピックとなります。
こうして一応フォニックスの発音とアルファベットの関連性がわかるようになると、独りで文章を書く準備ができたという事になるようです。
とは言え、その後も「I went hors riedin that wos fan = I went horse riding that was fun」の様に、2年位は間違ったスペリングで文章を書く子供も多いようですが、毎日の音読を継続することで改善されるようです。
マイペースな我が家の娘の場合も、随分長い間単語カードで遊びましたし、CDも擦り切れるほど聞きました。また宿題もフォニックス関連のものを随分長く後々までやっていた記憶があります。
フォニックス学習は、遊び感覚で体感しながら習得する事が、一番近道ではないかと思います。また、毎日5分でも10分でも、楽しみながら継続する事が習得の鍵なのでしょう。
子供と一緒に歌を歌ってみたり、塗り絵を一緒にやってみたり、まずは是非一度試してみてはいかがでしょうか。




