





目次
英語と触れ合うこの20年〜英語学習の目標を決める〜

まず、「何のために英語を勉強したいのか」という質問をさせてください。
人によって、それぞれ目標が違うし、同じ人でも人生の異なる段階で、目標も異なってくると思います。目標が決まったら、学習のアプローチも決められます。
私の場合、11歳(中学校1年生)から今まで、目標は変わっていったのですが、変わっていないのは、毎日必ず30分以上英語と触れ合っていたことです。
中学生:英語で簡単な本を読めるようになりたい

中学校から、初めて英語の授業がありました。
アルファベットや簡単な文法しか学んでいなかったのですが、新しい言葉にすごく興味を覚え、本を読むのも好きだったので、簡単な本でもいいから、英語で本をスラスラ読めるようになりたかったです。
しかし、90年代末の中国の田舎では、英語の本は手に入らないのです。
対訳付きの洋書
そこで発見したのは、昔の海外の小説(Alice’s Wonderland, The adventure of Huckleberry Finnとか)を、簡単な英語に中国語の訳文付きで出版された書籍シリーズ50冊(Oxford Bookwormsの中国語対訳バージョン)でした。
単語が簡単でセンテンスも短く、数百の単語量と基礎的な文法を身につけた中学生の私でも、全然読めました。
わからない時だけ、訳文を確認すれば、次から同じ表現があればわかります(わからなければもう一回訳文を確認すれば良いですね)。
一冊一冊の本が50-60ページ程度と薄ぺらで、読み終わった時、毎回達成感がありました。
最初は読むスピートはゆっくりで、頻繁に訳文を確認していましたが、3年生になると、一番レベルが高い本(単語量は約2000語レベル)でも、訳文ほとんど見なくて最後まで一日で読み終わるようになりました。中学3年間で、50冊全て読了しました。
結局、ストーリーはほとんど覚えていないですけど、そこから得たものと言えば、英語が楽しいという感覚です。
日本の学習者へ
今の時代では、英語学習を始める年齢がどんどん低くなり、子供や若い人にとって、英語が楽しいね、怖くないねという感覚を与えるのは、一番重要ではないかと思います。
この楽しい感覚があれば、子供たちは、もっと英語を使うために何かできるかを自主的に探っていくと思います。
日本でも、このような本はたくさんありますよね。初心者の方はぜひ活用してみてください。
でも、将来的には、訳文付きのものではなく、オリジナルの洋書を楽しみたいとずっと思っていました。

高校生:英語でコミュニケーションできるようになりたい

高校生になると、訳文付きの本では満足できなくなりました。もっと英語を使ってネイティブとコミュニケーションが取れれば、もっと楽しいのではと思いました。
しかし、学校の中にも、中国の地元にも、外国人は一人もいません。
ラングリッジエクスチェンジ
その頃、インターネットがようやく田舎の地元まで普及し始めたところです。
当時はまだSNSがこれほど盛んになっていなかったので、ICQというチャットツールを通じて、アメリカのWisconsin州在住のおじいさんと知り合って、3年間文通をしていました。
今日学校での出来事、親との喧嘩、友達との遊びとか日記みたいな内容を延々に書きました。おじいさんからも、日常生活や工場での働き、孫さんが可愛いとかのメールでした。
週2~3回メールを書き、2~3回おじいさんのメールを読み、という地味な繰り返しでした。
多分、友達がほしい高校生と、友達がほしいおじいさんしかできないことだと思います笑。
文通のポイント
メールを書く時、少し工夫したのは3点です。
- 学校の英語授業で学んだ新しい文法を意図的に使ってセンテンスを作ること。文通相手が使ったネイティブ表現も、できるだけまねして使う。
- 自分の英語力で表現できないことは、ネットで調べて使う。
- できるだけ長いセンテンスを書く。例えば、「今日はTシャツ買ったよ」だけでなく、どこでどんなTシャツか、誰と一緒か、なんでこのTシャツが好きかとかも書く。
3年間文通した結果、英語の文章はわりと気楽に書けるようになりました。
聞き取れない英語にショック
しかし、3年生の時、おじいさんから一回電話をかけてきたことがあります。
当時国際電話はまだ珍しくて、興奮して受話器を取ったら、最初の挨拶の後、おじいさんの質問や話をほぼ聞き取れなく、本当の英語はクラスで聞いたテープとはこんなに違う、とショックを受け、頭が真っ白でした。
せっかく電話をかけてきてくれたのに、全く英語を聞き取れないその悔しさを味わいました。


大学生:英語で映画やドラマを楽しめるようになりたい

大学は田舎から脱出して、南京という都市で日本語を専攻しました。大学生活の一つの楽しみは、映画やドラマをみることでした。
今までの受験勉強のため失った娯楽の時間を、全て取り戻すような勢いで、大量なDVDを買ったり、ネットで海外ドラマを見まくりました。
たくさん見れば、いずれおじいさんの話しが聞き取れるようになるではないかとこっそり願っていました。
英語でドラマを見る
そこでやり始めたのは、日本語の勉強で疲れた時、好きなドラマ(Desperate Housewivesとか)1話を見ることです。毎日です。
でも、毎日海外ドラマを1話見るだけで、2年が経ってもわかるようになっていませんでした。
大学三年生後半からやり方を変えてみました。同じドラマを、3回見る。
3回もみるので、1話1話が20分程度と短いシットコムを見ることにしました。大学3年生にFriendsから始めて、大学4年生からはBig Bang Theoryを見ました。
やり方
1回目は、まずストーリーを完全に理解するため字幕付きで見る。
2回目は、字幕なしで見る。
聞き取れるパートと、全く聞き取れていないパートは流して、なんとか聞き取れそうなパートだけ、ビデオの時間をメモしておきました。
「なんとか聞き取れそうなパート」というのは、①いくつかの単語は拾えたし、画像で内容も想像できるけど、自分で英語のセリフを再現できない、又は、②単語は全部聞き取れたけど、センテンスの意味はいまいち分からない、という箇所のことです。
3回目は、なんとか聞き取れるパートのところを何回も繰り返して聞く。
今は、スクリプトのサイトもあるようなので、スクリプトに合わせて勉強するのはいいですね。
当時は今ほどリソースが豊富ではないので、自分で繰り返して聞いて、字幕を参考して英語の原文を想像するしかできませんでした。使われている単語がわかったら、それをまたネットで確認すると苦労しました。
なぜ、「なんとか聞き取れるパート」だけを重点的にやっていたか言うと、なんとか聞き取れる箇所をクリアすれば、次回はそれを聞き取れるようになります。
全く聞き取れない箇所は、専門用語か、文化的な背景がある言葉や表現の可能性が大きいので、そこを無理やりクリアする必要はないと思いました。
これは、自分に優しい私の意見です。
結果的には、大学卒業する時、日常生活をテーマとする海外映画やドラマは、字幕なしで8割程度聞き取れるようになりました。


大学院&社会人:英語で議論できたり仕事できるようになりたい

大学卒業してから、日本へ留学しました。
大学院は基本日本語で進められますが、最初だけミャンマー、モンゴル、韓国等から来た留学生たちと英語のプロジェクトがあり、いきなり英語のディスカッションと発表に追い詰められました。
結局ボロボロな英語でなんとか乗り越えましたが、自分の言いたいことが言えないという、コミュニケーションの不自由さについてしみじみに感じました。
そこで、自分の英語について立てた新しい目標は、英語を使ってきちんと自分の意見を人に伝え、幅広い話題について議論できるようになり、将来的には英語を使って仕事をしてみたいということです。
読めるようになりたいなら、いっぱい読むしかない。聞き取れるようになりたいなら、いっぱい聞くしかない。
そして、話せるようになりたいなら、いろんな人といっぱい話すしかない、というのが、自分の考え方です。
でも、学校のクラスメートだけでは、話すチャンスが十分にありませんでした。
ネイティブに会いに行く
チャンスがなければ、作るしかない、とは私の人生哲学かもしれないです。
そこで、SNSに助けられ、Meetupというサイトを通じて、ネイティブや英語学習者の集まりやイベントに参加し始めました。
自分で拙い英語を言ったら、向こうは「〇〇〇〇こういうことだね」とネイティブな表現で返してくれるから、次回別の人と同じ話をした時、そのネイティブ表現を盗んで使えました。
個人的には、大人数のパーティは苦手で、しかも表面的な話ししかできないので、あまり好みではないです。参加者数が4~6人程度のイベントを狙っていました。
社会人になってから、Couchsurfingという外国人観光客をうちで泊まらせるサイトを知って、6畳のマンションですが、無理やり床でマットレスと布団を置いて簡易ベットを作り、3年間で20数名の外国人観光客を泊めて横浜や東京を案内していました。
その中、今でも時々連絡したり、再会したりしている友達は半分ぐらいいます。
毎日少しでも英語に触れる
MeetupやCouchsurfingは毎日実践できるプラクティスではないので、こういうイベントなどのない日は、必ず30分以上ドラマを見るか洋書を読みました。
日本に行ってから、キンドルをアメリカのアマゾンのサイトから購入し、それからずっと愛用しています。何より、辞書を調べる手間を省いたのはすごく便利なんです。
そろそろ100冊ぐらい読み終わります。長年の積み重ねのおかげで、TOEFLのリーディングは30点満点が取れました。
毎日必ず30分以上英語と触れ合うというのは、「ルーティンタスクみたいな感じだけど、本当に続けられるの?」と思われるかもしれません。
個人的には、これはご飯を食べたら歯を磨くみたいな習慣です。しかも、楽しい習慣です。だって、自分の好きなドラマを見ているし、読みたい本を読んでいるので。


今:英語で教育学修士を取りたい

最近気づいたのは、私、もしかして、教育についてパッションを持っているかも、ということです。
これからの目標はアカデミックの英語力を身につけて、いつかアメリカで教育学の修士を取り、バイリンガル教育あるいは就学前教育のことに携わりたいです。
ということで、私の長い英語の旅はまだまだ続いています。
まとめ
言葉はあくまでも道具なので、英語を学ぶのは目的ではなく、「英語を使って何かをやりたいのか」という目標を作るのが重要。
目標は大きくなくて大丈夫です。実は周りの友達の中に、素敵な目標を持っている人たくさんいます。
- 洋楽20曲を歌えるようになりたい(音痴の私はチャレンジしませんが)
- 子供に英語の絵本を読み聞かせるようになりたい(この記事もおすすめです)
- 英語でヨガを教えるようになりたい(きっとできると思います)
などなど。
自分の目標に合わせて積極的に行動する。そして、形を問わず毎日英語と触れ合う。
- 読書が好きな人は英語で好きな小説を読んでみる。1日30分でも。
- 音楽が好きな人は洋楽を聞いて歌詞の意味を調べてみる。1日1曲でも。
- ゲームが好きな人は英語のゲームをやってる。1日30分でも。ちなみに私のお気に入りはDiablo Ⅱでした。
- ヨガが好きな人は英語のヨガレッスン(Youtubeに大量にある)を受けてみる。1日30分でも。
- 料理が好きな人は英語のレシピを参考して料理してみたり、日本料理の英語版のレシピーを作ったりするとか。1日1つでも。
- InstagramなどSNSが好きな人は、英語で投稿してみるとか。1日1回でも。
こうやって、自分の世界が広がると思います。






