



私は大学生のときにTOEICを初めて受験し、最初のスコアは500点ぐらい、600点を超えたあたりでスコアが伸びない停滞期がありました。
600点台から800点台にスコアアップするきっかけになったのが、リスニングの勉強を始めたことでした。
何年もスコアが変わらなかったのに、リスニングを1ヶ月必死に勉強したら100点近くスコアが伸び、最終的に835点を取ることができました。
「TOEICのスコアが600点台から上がらない」「リスニングセクションのスコアアップの方法が分からない」という悩みをお持ちの方はぜひ最後までこの記事を読んでみてください。
この記事が皆さんの目標スコア到達のきっかけになったら嬉しいです。
この記事の著者:Lily(リリー)
高校時代のファームスティをきっかけに「英語で海外の人と楽しくコミュニケーションが取れるようになりたい!」と思い、自主学習を開始。これまで英会話教室、オンライン英会話、オーストラリア短期留学、カナダでのワーキングホリデーなどを通して英語を学んできました。英会話はネイティブと楽しくコミュニケーションできるレベルになり、TOEICスコア350点アップにも成功。
目次
就職で評価されるTOEICスコアは?

TOEICはハイスコアを持っていると就職活動や昇進に有利になるため、スコアアップのために勉強をしている方が多いのではないでしょうか?
就職・転職の際に採用側に「この人材は英語ができる!」と思ってもらえるのは750点以上と言われています。
私はスコア600点台、700点台、800点台のときに就職・転職活動をした経験がありますが、はっきり言って面接官の反応が全然違いました。

600点台だと英語が得意という印象はあまり持たれません。同じくらいのスコアを持っている人も多いので、面接官も履歴書を見てTOEICのスコアについて触れてくることはありませんでした。
700点台では英語がある程度できる人材として評価してくれます。ただ、英語をバリバリ使う職種だと英語力不足と判断されるケースもあるかもしれません。
スコアが800点台のときに受けた採用面接ではどの企業でも高評価をもらうことができました。

TOEICでリスニングの勉強を優先するべき理由

TOEICにはリスニングセクションとリーディングセクションがあり、それぞれ100問ずつ、それぞれ495点満点(合計990点満点)です。
リーディングとリスニングの力が同じくらいの場合、それぞれで350点以上、正答率70%とれれば700点以上を取ることができます。
両方しっかり勉強するのが一番いいです。ですが、時間の確保が難しい場合、リスニングセクションの勉強を優先させた方がスコアアップはしやすいでしょう。
その理由についてこれからご説明します。

短期間でスコアアップしやすい

参考:TOEIC公式サイト 平均スコア・スコア分布 詳細 (第291回)
トイック700点以上の目安となるスコアはリスニング350点、リーディング350点であると述べました。
最新のTOEICスコア分布を見ると、リスニングで350点をとっているのは受験者の約40%。それに対してリーディングで350点以上を取っているのは約20%のみです。
また、リスニングの平均点はおよそ330点に対し、リーディングの平均点はおよそ280点となっています。
このデータから、リスニングとリーディングは問題数が同じでも、リーディングよりリスニングでの350点はもっと取りやすいです。
リスニングのスコアが400点以下の人、試験勉強に使える時間が限られている人はリスニングの勉強を優先して行うと良いでしょう。
リスニングセクションは問題形式に慣れ、「リスニング力」「単語力」「速読力」を鍛えれば1ヶ月程度でスコアを50~100点くらいアップさせることができます。
リスニング力アップの勉強法として、この後オーバーラッピングとシャドーイングを紹介しますが、この勉強は1日5分あればできます。
音声が正確に聞き取れるようになるとリスニングの点数は上がります。リスニングの勉強をおすすめする理由は勉強時間を変えずに勉強のやり方を変えるだけでスコアアップができるからです。

リーディングセクションのスコアアップにもつながる
リスニングセクションのスコアアップに必要な力に「単語力」と「速読力」があります。これはリーディングセクションにも必要な力です。
そのためリスニングセクションを一生懸命勉強することが、結果としてリーディングセクションのスコアアップにもつながります。

実は、リスニングセクションでは会話文や選択肢を聞き取ることができる「リスニング力」がなければ、正しい選択肢を選ぶことはできません。
どんなに単語力や速読力があってもリスニング力がなければ点数を伸ばすことはできないのです。
そのため、リーディングセクションの勉強だけをしても、リスニングセクションのスコアアップにはつながりにくいのです。
TOEICリスニングで高得点を取るために伸ばすべき3つの力

「リスニングってどうやって勉強すればいいのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
これからTOEICのリスニングセクションで高得点を取るために必要な3つの力をご紹介します。
タイプ別に優先的に勉強して伸ばす必要がある力をご紹介しますので、ご自身に当てはまるものを中心に内容を確認してください。
- 【音は聞き取れるけど単語の意味が分からない】→単語を覚えよう!
音は正確に聞き取れるけど、単語の意味が分からない、スクリプトを読んでも正しい選択肢が分からない。そんな方はTOEIC頻出単語を徹底的に覚えましょう。
「単語力の鍛え方」で単語力のレベル別におすすめ勉強法を紹介していますので、ご自身のレベルに近いもので勉強をしてみてください。
- 【 読めば分かるけど聞き取れない】→リスニング力を鍛えよう!
スクリプトを読めば正しい回答を選べるけど、音声で内容が聞き取れない。そんな方はリスニング力が不足しています。
単語力はあるので、英語が聞き取れる耳を作ればスコアが大幅にアップするでしょう。
「リスニング力の鍛え方」でご紹介している4つの勉強法をしてみてください。
- 【特定のPartの得点が低い】→Part別の対策をしっかりやろう!
リスニングはPart1(6問)、Part2(25問)、Part3(39問)、Part4(30問)の4つの問題タイプがあります。
まず公式問題集を解いて各Partの正答率を出してみてください。特定のPartのスコアが低い場合はそのPartを重点的に勉強しましょう。
「Part別対策」でご自身の苦手なPartの勉強方法やポイントを確認してください。

単語力の鍛え方

音が聞き取れても単語の意味が分からなければ、内容を把握することができません。レベル別におすすめの単語勉強法をご紹介します。
【初級レベル】単語帳で頻出単語を覚える
スクリプトを読んでもほとんど内容が把握できない人はTOEICの頻出単語を単語帳で覚えましょう。
おすすめの英単語帳は「新TOEIC TEST 出る単特急 金のフレーズ」です。
単語だけでなく、頻出単語を使った短いフレーズが書かれているため、意味だけでなく、どのようにその単語が使われるのかを理解することができます。
またTOEICのスコア別(600点、730点、860点、990点)に覚えるべき単語がまとめられているので、自分の今のレベルに合わせて単語の勉強をすることができます。
【中・上級レベル】解いた問題で分からなかった単語を覚える
TOEICのリスニングの内容は「天気予報」「飛行機や電車の遅延」「出張」などお決まりのシチュエーションがあります。復習を丁寧にしていくと自分がどのシチュエーションの問題が苦手なのかが分かってきます。
頻出単語はだいたい分かるけれど、特定のシチュエーションの英語が聞きとれない人は、正答率が悪かった問題や苦手な問題を使って単語を覚えましょう。
スクリプトを読み、分からなかった単語にマーカーでチェックを入れます。文章全体の内容が理解できるまで何度も読みましょう。音声も聞いてください。

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700点超を目指すリスニングの勉強法
これからリスニング力を上げる4つの勉強法をご紹介します。
スコアアップの効果が高い勉強法から順番にご紹介していきますので、時間がない方は最初の2つだけでもOKです。
勉強時間が確保できる方は4つすべてやることをおすすめします。
TOEICの問題でオーバーラッピングとシャドーイングを毎日5分行う

オーバーラッピングとシャドーイングはリスニング力アップに大変効果がある学習方法です。特に長文を聞き取って回答を選ぶPart3とPart4の正答率アップに効果があります。
勉強する際はまずオーバーラッピングを行い、慣れてきたら同じ文章を使ってシャドーイングをするようにしましょう。
- オーバーラッピング
オーバーラッピングとは「スクリプトを用いて英語音声と同時進行で発話すること」です。
TOEICリスニングの問題集には解説のところに音声で流れた文章が書かれたスクリプトが掲載されています。音声に合わせてそのスクリプトを読み上げる練習をしてください。
TOEICのリスニングでは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアの4つの国の英語が出てきます。
オーバーラッピングをする際は、音声と同じスピードで読み上げるだけでなく、発音やアクセント、イントネーションなども真似るようにしましょう。
同じスピード、話し方で発話することで自然と聞き取りもできるようになります。
オーバーラッピングができるようになったら、次にシャドーイングを行います。
- シャドーイング
シャドーイングとは「スクリプトを用いず英語音声に少し遅れながら発話すること」です。スクリプトは見ません。聞こえた音声を追いかけるように発話していきます。
オーバーラッピングよりも難易度は高いですが、毎日練習していけば所々単語が聞き取れるだけだったのが、流れてくる英語を文章で聞き取れるようになります。
テストでは発話はできませんから、心の中でシャドーイングをしながら音声を聞いてください。そうすれば、流れてきた英語を正確に理解でき、正しい回答が選べるようになります。
私はリスニングの問題を解く際、「音声を聞き取れずに勘で回答を選んだ問題」「回答に自信のない問題」をマークしていました。
答え合わせをしたとき、正答率が低かったもの、音声がほとんど聞き取れなかったものをオーバーラッピングとシャドーイングの練習に使用しました。
オーバーラッピングの練習をする前に、必ず「スクリプトを読んで意味や発音が分からない単語」がないようにします。英語を読むリズムや、どの単語を大きな声で読んでいるかもマーカーなどでチェックを入れます。

ここまでできたらオーバーラッピングを毎日5分間行い、できるようになったらシャドーイングに切り替えて同じく毎日5分行っていました。
たくさんの問題で練習してそれぞれ中途半端にできるようになるより、1つの問題を完璧にできるようになるまで徹底的に練習した方が効果はあります。


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単語は発音、アクセントも覚える
リスニングで分からない単語が出てきたら、その単語の意味だけでなく、発音とアクセントもチェックするようにしましょう。
学校英語では文法とリーディングが中心のため、日本人は発音をチェックせずに単語の意味だけ覚えている人が多いです。
リスニングでは単語を目ではなく、耳で理解する必要があります。そのため、英単語を間違った発音やアクセントで覚えていると流れてくる文章を理解することができません。
また国によって同じ単語でも発音が異なる場合があります。
例えばscheduleという単語。アメリカ英語では「スケジュール」と発音されますが、イギリス英語だと「シェジュー」のように発音されます。
リスニング問題を復習する際は発音やアクセントもチェックして覚えることを忘れないようにしてください。

海外ドラマを見る

2016年5月にTOEICの問題形式が一部変更され、ネイティブが使うカジュアルな表現が出てくるようになりました。「going to」を「gonna」と発話したりするのが代表例です。
カジュアルな英語表現は学校英語では出てきませんが、海外ドラマにはたくさん出てきます。海外ドラマをまずは日本語字幕で見て、話の内容をつかんだら英語字幕で見てみましょう。
TOEICはビジネス英語ですので、ビジネスシーンが多く登場するドラマだとネイティブ表現だけでなく、ビジネス英語の勉強にもなるので特におすすめです。
個人的におすすめの海外ドラマは「THIS IS US」です。家族、友人との絆を感じられるとても感動的な作品です。多くはないですが、ビジネスシーンも出てきます。

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ネイティブと話す機会を作る

ネイティブと英語で話す、友達になるには留学に行かなければいけない、たくさんお金を払って英会話教室に通わなければいけないというのは昔の話。
SNSが発達し、たくさんの外国人が日本に住んでいる現在はお金をかけずに、言語交換アプリや国際交流イベントなどを通じてネイティブの友達と出会うことができます。
彼らは教科書英語には出てこない日常会話の英語を使うため、チャットや電話をするとたくさんの英語を自然と覚えられるようになります。
英語を話すスピードも速いので、リスニング力アップにもつながります。
「TOEICのスコアアップだけでなく、実際に英語を使いこなせるようになりたい」と思っている人はぜひ積極的にネイティブと交流をしてみてください。

Part別の対策とコツ

TOEICリスニングの学習のコツや音声を聞くときに意識することをPart別にご紹介します。苦手分野をなくすことがリスニングで高得点を取るには不可欠です。
ただ問題を解くだけでなく、答え合わせをするときに自分がどのPartのどういう問題が苦手なのかまで分析をするようにしましょう。
そして間違った問題は正しい解答が選べるようになるまで何度も解いてください。徹底的な復習が実力アップにつながります。

【Part1対策】位置を表す表現を覚える
Part1は写真について正しく述べられている選択肢を選ぶ問題です。人が何か作業をしている写真や部屋に家具や段ボールがたくさん置いてある写真などが良く出てきます。
Part1では「どこに何が置いてあるか」を説明する音声がよく流れますので、Part1頻出の位置を表す表現を覚えましょう。
- on the same side of ~と同じ側に
- next to ~のとなりに
- in the middle of ~の真ん中に
- ahead of ~の前に
- opposite ~の反対側に
- across 向かい側に
- side by side 横並びに
- along ~に沿って
- among ~の間に
- aside ~の横に

【Part2対策】質問文のパターンを知り、消去法で選択肢を絞る
Part2は音声で流れてくる短い質問や依頼に対する正しい答えを選ぶ問題です。Part2で流れる質問文にはいくつかのパターンがあります。
- WhenやHowで始まる「5W1H疑問文」
- 「Do you?」や「Have you?」で始まる「Yes/Noで答えられる疑問文」
- 「Would you?」や「Why don’t you?」で始まる「依頼や提案の疑問文」
特に質問文の冒頭は聞き逃さないよう注意してください。
5W1Hで始まる疑問文への返答として、Yes/Noがくることはありません。質問文の冒頭が5W1Hの場合はYes/Noが書かれた選択肢は候補から外してしまってOKです。
4つの選択肢から「これは違う!」というものを見つけて消去していけると、正しい答えを選べる可能性は上がっていきます。
問題を解いたら間違った問題を復習し、自分が苦手な質問文のパターンや解答によく出てくる表現を把握しておきましょう。

【Part3&4対策】苦手なトピックをなくす&選択肢を読み進めるペースを崩さない
Part3は会話文を、Part4は説明文を聞いて答える問題です。問題数がそれぞれ30問以上あるので、Part3とPart4が苦手な人は対策をしっかり行えばリスニングの大幅なスコアアップが期待できます。
まず問題を解いてみましょう。間違った問題を復習する際に「トピックは何か」をチェックしてください。
苦手なトピックがあったら間違った問題や似た問題を使ってリスニングの勉強をしましょう。関連する単語を覚えられていないことが正しい選択肢が選べない原因である場合が多いです。
Par3とPart4では、「電話」「ニュース」「待ち合わせ」「広告」など様々なトピックがあります。自分の苦手分野を把握して、徹底的に復習をしましょう。
次に問題を解く際に意識していただきたいことをお伝えします。
それは「選択肢を読むペースを乱さないこと」と「キーワードを聞き取れなかった問題の回答に時間をかけないこと」です。
Part3とPart4では会話文・説明文が流れた後に3つの質問文が音声で読み上げられます。
私は2つ目の質問文が読み上げられた時点で次の3つの問題すべてに目を通し終わっているよう意識して問題を解いています。
音声が流れる前に質問文と選択肢に目を通しておかないと、正しい答えの選ぶのは大変難しいです。
リスニングの音声は1度しか流れないため、正解を選ぶためのキーワードが含まれた文章を聞き逃したらいくら考えても仕方がありません。
「聞き逃した!」と思ったら、その問題は勘で回答し、次の問題を正解するために時間を使うようにしましょう。
聞き取れなかった問題に時間を割かず、一定のペースで回答をしていくよう意識してみてください。

TOEICの勉強でやってはいけないこと

最後に私が実体験から感じた成果につながりにくいトーイック勉強法をご紹介します。時間をかけて勉強したのに成果が出ないとモチベーションも下がってしまいます。
これからご紹介することのどれかに当てはまり、スコアが伸び悩んでいる人は勉強法を見直してみてください。
模試を解かない
本番に近い状況で勉強しないとスコアはなかなか伸びません。
スポーツでは練習試合をしたり、プレゼンテーションでは時間を計って話す練習をしたりすることがあると思います。
事前に似た状況で練習をしておけば、緊張も和らぎ、本来の実力を発揮しやすくなります。
私は最近模試でしか勉強をしていません。まず模試を時間を計ってとき、その後できなかった問題を徹底的に復習して、再度時間を計って模試を解きます。
これを繰り返すとスコアは上がるはずです。Partごとの対策問題だと長時間集中して問題を解く力がつきません。必ず問題集を解くようにしましょう。
おすすめの問題集は「TOEIC(R) L&Rテスト 至高の模試600問」です。
解説がとても分かりやすいので復習に役立ちます。復習を徹底して行い、この本の3つの模試で高得点を取れるようになれば、本番でも良い結果が出るはずです。
[新形式問題対応/音声DL付]TOEIC(R) L&Rテスト 至高の模試600問
問題をたくさん解くだけで復習をしない
私がトーイック600点台でスコアが伸び悩んでいたときは何冊も参考書を買い、ひたすら問題を解いていました。
今考えると「復習して苦手を克服すること」より「問題をたくさん解くこと」を優先していたと思います。
解説を読んだだけでできるような気になっていましたが、その問題をもう一度解いたときに正しい答えを選べる力がついていなければ意味がありません。
TOEICの勉強をする際は「量より質」を意識するようにしましょう。
終わりに
TOEICで高得点を取るためのリスニング勉強法をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
私は勉強方法を変えることがスコアアップのきっかけになりました。特にオーバーラッピングとシャドーイングは短時間でできて効果がある勉強法なのでぜひ試してみてください。
皆さんが目標スコアを取れることを心から願っています。
おまけ:900点以上を目指すには?


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