




みなさんTOEIC IPテストってご存じですか?
実はTOEIC Listening & Reading Testには毎月行われる公開テストとは別に、TOEIC IPテストという、個人ではなく団体で申し込んで行う形式のテストもあります。
IPテストは公開テストと問題の難易度も同じくらいで、テストの結果も10点~990点満点で採点されます。2020年4月よりこのIPテストにオンラインで行う形式が導入されました。
IPテストを導入している団体に所属している、またはこれから所属する予定の人、特に留学経験なしで高得点を狙うTOEICerにおすすめのテストです!
今回は、このIPテスト(オンライン)について解説していきます。
著者について:あきこ
妊娠・出産を経て35歳から一念発起して英語を学び直し。TOEIC710点からスタートしましたが、留学なし・完全独学で2022年に925点獲得しました。現在翻訳家として修業中。
目次
TOEIC IPテストとは?

TOEIC IPテストは団体特別受験制度と呼ばれる、団体が申し込むTOEICテストです。
大きくマークシート形式(公開テストと同じ)とオンラインテストに分かれます。実施日、実施場所は、申し込み団体が任意に設定できます。
大学や会社が主催する場合は、キャンパスや社内で実施することが多いです。
マークシート形式は公開テストと同じですが、オンラインテストは設問数が少なく、試験時間は半分の1時間で、受験者の負担が少ないのが大きな利点です。
私はこの点が留学経験なし・独学でTOEIC高得点を目指す人にとって有利に働き、公開テストよりも高得点が取りやすいと考えています。
また、受験料はマークシート形式、オンラインどちらでも団体価格で割安で受けることができるのも利点の1つです。
そもそも団体とは?

TOEIC IP(オンライン)テストを実施している団体は、主に大学、英会話教室、翻訳スクールなどの学校、企業です。
自分が所属している団体が、IPテスト(オンライン)を実施していたら良いのですが、そうでないなら1番の難関は受験資格を得ることです。
まず自分の所属する団体で実施しているか、そしてそのスケジュールを確認しましょう。団体のホームページのお知らせやメールで案内が来ることが多いようです。大学では生協も確認しましょう。
もし自分の所属している団体で実施していない場合は、IPテスト(オンライン)を実施する団体に加入する必要があります。
私は翻訳の有料コミュニティに加入していて、そこで年4回程受験機会がありました。
その他一部のオンライン英会話や大学の生涯学習センター、資格の学校、一部の派遣会社でもTOEIC IPテスト(オンライン)を導入しているところがあります。
その団体のサイトを見て、IPテスト実施スケジュールを確認して加入を検討してみましょう。
TOEIC公開テストで2時間集中するのが厳しく、途中で集中力が途切れてしまう人、周りの音や物などが気になって気が散ってしまう人は、IPテストの方が公開テストよりも点数が取りやすいです。
節約できる時間や労力を考えると、団体に加入する費用を払ってでもIPテストを受けた方が良い場合があります。ぜひ検討してみてください。

TOEIC IPテスト(オンライン)と公開テストの違い

前の項目で見たように、TOEIC IPテスト(オンライン)と公開テストにはいくつか違いがあります。その違いを一覧表にまとめました。
IP(オンライン) | 公開テスト | |
団体 | 個人or団体 | |
実施日時 | 団体による(期間指定) | 指定日 |
実施頻度 | 団体による(年1,2回が多い) | 月1回 |
実施時間 | 受験者の好きな時間 | 午前or午後 |
会場 | 受験者の好きな場所 | 指定会場 |
受験料 | 4,230円(税込)※団体により異なる | 7,810円(税込) |
試験時間 | 約1時間(L25分、R37分) | 約2時間(L45分、R75分) |
設問数 | 90問(L45、R45) | 200問(L100、R100) |
実施形式 | PC | マークシート(紙) |
過去問 | 過去問 | 新問題 |
結果通知 | 終了後すぐ | 17日後※公式サイトに掲載 |
平均点※1 | 498点 | 611点 |
点数換算※2 | 不明(1問あたり11点) | 1問およそ5点 |
証明書 | スコアレポート | 公式認定書 |
※1)参考URL:TOEIC Program DAA2022(和文)2022年8月版 (iibc-global.org)
※2)IPテスト(オンライン)の点数換算は公表されていないため、990点/90問で算出
IPテストの結果は、履歴書でどう評価される?
ほとんどの場面で公開テストと同じように扱われます。
ただし、公開テストのみで発行される公式認定書の提出を求める団体もあるので注意が必要です。
例えば、国家公務員の採用試験ではTOEICの点数で加点が行われますが、そのためには公式認定書が必要です。
参考URL:https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/eigosiken.pdf
特に言及のない団体では基本的にIPのスコアも使えますが、履歴書などには念のためTOEIC(IP)〇〇〇点と記載するようにしましょう。
TOEIC IPテストの平均点は?目標点の目安は?

IPテストの平均点は498点です。
公開テストと比べると100点程度低くなりますが、これはIPテストはが学校や会社で強制的に受験させられる人がいるからです。問題が難しいということではないのでご安心を。
実際のTOEICスコア目標の目安は、その人の今の英語力、何のためにTOEICのスコアを取るのか、目標の期日、そこまでにどのくらい勉強できるかによって異なります。
就活で使いたいときの大まかな目安は以下の通りです。
- 600点以上:CAやホテル関係の仕事を目指すたい
- 700点:一般的な企業でTOEICのスコア要件を満たしたい(企業によってはもっと高いスコアを要求する場合があります。)
- 800点(860点):英語を生かした仕事をしたい
- 900点:外資系へ就職、通訳、翻訳家、英語講師になりたい
目標点の考え方は公開テストと一緒なので、IPテストだからと言って目標点を変える必要はありません。
TOEIC IPテスト(オンライン)申し込み〜受験の流れ

TOEIC IP(オンライン)テストの受験の流れは下記の通りです。
- 受験申込期間に団体に申し込み
- 団体によっては人気で枠が埋まってしまい、受けられない場合があるので、早めの申し込みがおすすめ
- 受験料支払い
- 団体より受験手順の説明メール
- 団体よりメール。受験者情報(メールアドレス)の登録
- ETSより仮登録用のURL発行、仮登録
- 仮登録より24時間以内に本登録、受験用URL、Authorization Codeの発行
- 試験実施期間(1週間前後)の間にURLにアクセス
- Authorization Codeを入力し、受験
- テスト終了後すぐにスコア表示
- スコアレポートは翌日から翌月末までダウンロード可能。
受験の前に行うこと

IPテスト(オンライン)は、PCさえあれば受験者の好きな場所で、24時間受けることができます。
一方、自分で受験の下準備が必要になります。受験前に行わなければいけないことは下記のとおりです。
受験者情報の登録(=受験用のメールアドレス登録)
団体に受験申込をした後、メールにて受験手順の案内メールと受験者情報の仮登録依頼メールが届きます。仮登録用URLよりメールアドレスを入力して仮登録します。
ETSより本登録用のURLが送られてきますのでアクセスして受験者情報(氏名、生年月日、パスワード)を設定しましょう。
本登録が完了すると受験に必要な個別のAuthorization Codeと、テスト受験用URLを記載したメールがETSより送付されます。自分が受験したい日時にURLにアクセスして受験します。
PC、iPadの動作環境の確認、音声再生チェック
IPテスト(オンライン)はパソコンまたはiPadで受験することができます。
対応OSやブラウザ(safariは非対応です!)、推奨ネットワークがありますので、きちんと事前に確認し、環境を整えましょう。
テストと同じ環境での音声再生チェックは本番前のテスト問題でしか確認できませんが、事前に当日使うブラウザで音声再生をしましょう。
パソコン側のボリューム調整やヘッドセット/イヤフォンを使う場合の設定等が確認できます。サイトはなんでもいいですが、迷ったらETSでTOEICのサンプル問題がありますのでこちらを。
参考:https://www.iibc-global.org/toeic/corpo/contents/sample.html
※まぎらわしいですが、こちらTOEIC IP(オンライン)とは画面が全く違いますのでご注意を!
集中できる本番環境を作る
IPテスト(オンライン)の魅力のひとつは、受験者が慣れた環境で受験できることですが、受験する時に集中できる環境を作るのも受験者のタスクになります。気を付けるのは大きく2点、音(聴覚)と視覚です。
近所に工事中のところはないでしょうか。リスニング時間中に近くの学校のチャイムが鳴ったりしないでしょうか。時計の秒針の音が気にならないでしょうか。少しでも不安があればヘッドフォンを使いましょう。
ヘッドフォンも、長時間付けると耳が痛くなることもあるので事前に本番と同じ時間装着してみましょう。
視覚については、受験する時に目に入るものを極力少なくしましょう。机の上、壁などを片付けましょう。
辞書や自作の単語帳を用意してあわよくばカンニングしよう、と考える人もいるかもしれません。
でも試験中には見る時間がありません。時計さえ見る時間が惜しいくらいでした。集中を妨げるのでしまった方が良いです。
留学なし・独学でTOEIC900点を目指す場合や自分の持っているスコアを大幅に更新したい場合は、自分の脳の限界に挑戦することになります。
そういう場面では、一見大したことない小さなことを積み上げて、テストとは関係のないことによる脳の負担を極力減らすことが重要になってきます。

IPテスト(オンライン)の問題構成・試験時間

オンラインのIPテストと公開テストやマークテスト方式テストとの大きな違いはオンラインテストがCAT方式というコンピューターで行うテストである点です。
コンピューターで行うことにより受験者の英語力をオンタイムで測定し、受験者のレベルにあった問題を出題できるため、出題数を減らし、受験時間も短くすることができました。
TOEIC はリスニングセクションとリーディングセクションに大きく分かれますが、IPテスト(オンライン)では、それぞれ受験者の実力を測るためのユニット1(全員共通問題)、受験者の実力に合わせた難易度の問題が出るユニット2に分かれます。
それぞれのパートの問題数は下記のとおりです。
UNIT | Name of each part | パート名 | 問題数 |
リスニングセクション(約25分間) | |||
UNIT ONE | Photographs | 写真描写問題 | 3 |
Question-Response | 応答問題 | 4 | |
Conversations (with and without a visual image) | 会話問題 | 9 | |
Talks (with and without a visual image) | 説明文問題 | 9 | |
UNIT TWO | Question-Response | 応答問題 | 5 |
Conversations (with and without a visual image) | 会話問題 | 9 | |
Talks (with and without a visual image) | 説明文問題 | 6 | |
リーディングセクション(約37分間) | |||
UNIT ONE (約23分間) | Incomplete Sentences | 短文穴埋め問題 | 5 |
Text Completion | 長文穴埋め問題 | 4 | |
Reading Comprehension | 読解問題 | 16 | |
UNIT TWO (約14分間) | Incomplete Sentences | 短文穴埋め問題 | 7 |
Text Completion | 長文穴埋め問題 | 4 | |
Reading Comprehension | 読解問題 | 9 |
気を付けなければいけないのは、リーディングセクションのユニット1とユニット2では余った時間を繰り越せないこと。UNIT ONEで時間が余ったらUNIT ONEの問題の見直しをしましょう!
受験画面見本 – リスニングセクション

TOEIC IPは試験時間が短く、留学なし・独学でTOEIC高得点を目指す人におすすめだと言いましたが、IPテスト(オンライン)の欠点は公開テストと形式が大きくことなることです。
2020年に開始したばかりでまだ情報も少なく、そして公開テスト程は頻繁に受験することが難しいです。
対策としてはなるべく事前に本番をイメージして準備しておくことです。
そこで、今回、IPテストを受けた時の記憶を頼りに受験画面をなるべく再現した画像を作ってみました。
写真描写問題

左に白黒の写真、
右に選択肢が表示されます。右上に音量調整ボタンがあります。
リスニングセクションは自動で進んでいきます。
応答問題

問題も選択肢も読み上げだけのため、シンプルな画面です。
会話問題、説明文問題

会話や説明文は読み上げだけですが、質問と選択肢は読むことができます。しかし、画面は問題に合わせて自動で進むので先読みができません!かなり緊張するパートです。
受験画面見本 – リーディングセクション
短文穴埋め

リーディングパートは問題を飛ばしたり戻ったりできます!右下にページ飛ばし、戻りボタンと全体の問題リストを見ることができるボタンがあります。
問題リストでは選択肢を選んでいない問題や設問数を指定してそのページに飛ぶことができます。
ただし、公開テストと同じくリーディングテストは時間との戦いです。筆者が受けた時は問題を戻ったり進んだりということをする時間はありませんでした。1問ずつ順番に解いていくのがおすすめです。
右上にはリーディングセクションの制限時間が表示されます。ユニットごとに時間が設定されています。もしユニット1を早く解き終わっても、次に進まず、戻って見直しをしましょう。
長文穴埋め問題、読解問題

このパートでは問題文が長くなるので、スクロールして読まなければなりません。文書と質問文と別々にスクロールできます。
時間と闘いながら慣れない画面で問題を解くのはなかなか難しいですが、公開テストのタイムテーブルと比べると最後まで解き切ってもpart6の途中くらいです。
時間が短いこと、解く問題数が少ないため、負担は軽いと感じました。


IPテスト(オンライン)の受験をおすすめする人と対策法
IPテストがおすすめの人

個人的にIPテストを受けて本当に良かったと思っています。特に留学経験なしでTOEIC高得点を狙いたい人に強くおすすめしたいです。
理由は、試験時間が1時間程度と短く、設問数も少ないため集中力が途切れにくいからです。
留学経験なしの人の場合、公開テストの2時間、リスニングの45分を通して集中することは非常に難しいです。
それは勉強不足と言えなくもないけど、やっぱり人間の集中力の限界を超えているというのも大きく影響しています。
IPならリスニング25分、簡単にわかる問題ばかりでなかったけれど、頭が疲れて聞き逃してしまった!前の問題に気を取られて聞けなかった!ということは格段に少なかったです。
筆者が初めてTOEIC900点を超えたのもIPテストでした。

受験資格を得ることがやや難しいのが難点ですが、公開テストをずっと受けているけど目標点数に数十点届かないという人は、関連団体に加入してIPテスト(オンライン)の受験を検討してみて下さい。
私が加入している翻訳者のコミュニティ(アメリア)は年会費16,000円ですが、IPテストの受験資格を得られただけでその分を十分にペイしていると感じています。
オンラインIPテストのもう一つの良さは得点がすぐ出るところ!
特に目標点を決めて頑張っている人には、本番終わってすぐ結果が出るのは嬉しいのではないでしょうか。
目標点を超えていたら嬉しさが倍増するし、目標を超えなかったら、あの問題ができなかったな、時間配分が良くなかったな、など反省がしやすいです。

おすすめの対策法
基本は公開テストと同じように勉強をすれば良いです。ただしリスニングは本番で問題の先読みができません!
その前提で会話や説明を聞く時はその内容に集中し、問題文は短時間で読んで理解できるように、切り替えと問題文の速読理解を意識して勉強をするようにしましょう。
出題形式に慣れるために実際の受験画面を具体的にイメージしましょう。上になるべく本番に近い画面を作りましたのでぜひ参考にしてみて下さい。
リスニングの勉強は本番と同じスピーカーかイヤフォンを使って行ってください。
本番で集中するために、少しでも脳の負担を減らしましょう。ささいなことでも慣れておくとそれだけで気持ちの余裕・脳の余裕を作れます。
出題傾向、順番を把握しましょう。時間配分などを事前に考えておきましょう。「IPテスト(オンライン)の問題構成」というところで、実際の試験の順番を記載しました。
高得点を目指すなら難問対策をしっかりやりましょう。CATテストは前半の正答率で後半のテストの内容が決まります。
高得点を得るためには後半でどんな問題が来ても正答率を高く保つことが重要です。
また、IPテスト(オンライン)は公開テストに比べ短文短答問題の割合が少しだけ少ないです。
そういったことも考慮しながら、勉強してみて下さい。
IP(オンライン) | 公開テスト | ||||
90 | 問 | 200 | 問 | ||
Part1 写真描写問題 | 3 | 3.3% | 6 | 3.0% | |
Part2 応答問題 | 9 | 10.0% | 25 | 12.5% | |
Part3 会話問題 | 18 | 20.0% | 39 | 19.5% | |
Part4 説明文問題 | 15 | 16.7% | 30 | 15.0% | |
Part5 短文穴埋め問題 | 12 | 13.3% | 30 | 15.0% | |
Part6 長文穴埋め問題 | 8 | 8.9% | 16 | 8.0% | |
Part7 読解問題 | 25 | 27.8% | 54 | 27.0% |
IPの前に公開テストを何度か受験しておきましょう。公開テストを受け2時間の試験に慣れておくとオンラインIPテストのありがたみがよく分かります。
TOEIC IPで出題される問題は公開テストの過去問です。過去問演習には3回分の過去問と3回分の予想問題が収録された韓国版TOEICテキストがおすすめです!
TOEIC IPテスト攻略法まとめチェック表
最後にTOEIC IPテスト(オンライン)を受ける前にやるべきことをリストにまとめてみました。
受験準備~勉強~受験後の忘れやすいところをまとめましたので、時々チェックしてみて下さい。
受験準備 | |
受験期間の確認、受験日時決定 | □ |
受験申込み、受験料支払い | □ |
受験用アドレスの登録(仮登録&本登録) | □ |
動作環境の確認(特にリスニング音声!) | □ |
集中できる本番環境を作る | □ |
勉強 | |
出題形式を具体的にイメージする | □ |
時間配分を考える(リーディングセクション) | □ |
本番と同じ方法でリスニング音声を聞き込む | □ |
リスニングは先読みできない想定で勉強する | □ |
高得点を狙う人は各partの難問の対策を強化 | □ |
過去問をやり込もう | □ |
受験後 | |
試験後すぐにスコア確認、反省もしよう! | □ |
翌日から翌月末までスコアレポートをダウンロード可能 | □ |
TOEIC IPの受験資格を持っている方は、是非その機会を生かし、効果的に目標スコア獲得につなげてくださいね!




