




TOEICを勉強しようと思って書店に行くと、参考書の種類が多すぎてどれを選んだらいいか迷ってしまいますよね。
その分研究が進んでいて、良い参考書がたくさんあるということですが、選ぶのが難しい。どの本にも売上No.1って書いてあるし…
そんな方に向けて留学なし・独学でTOEIC900点を突破した筆者が、リスニング・リーディングセクション別・得点別におすすめの参考書をご紹介します。
著者について:あきこ
妊娠・出産を経て35歳から一念発起して英語を学び直し。TOEIC710点からスタートしましたが、留学なし・完全独学で2022年に925点獲得しました。現在翻訳家として修業中。
目次
参考書を買う前に!TOEICの出題範囲と傾向

「TOEIC」という時は、ほとんどの場合TOEIC® Listening & Reading Testのことを指します。
名前の通り、大きくリスニングセクションとリーディングセクションに分かれています。テストの問題と構成は下記のようになっています。
- リスニングセクション 計100問 45分間
Part1 | 6問 | 写真描写問題 |
Part2 | 25問 | 応答問題 |
Part3 | 39問 | 会話問題 |
Part4 | 30問 | 説明文問題 |
- リーディングセクション 計100問 75分間
Part5 | 30問 | 短文穴埋め問題 |
Part6 | 16問 | 長文穴埋め問題 |
Part7 | 29問 | 1つの文書(シングルパッセージ/SP) |
25問 | 複数の文書(マルチプルパッセージ/MP) |
出題範囲としては中学英語レベル~大学レベルまで幅広い難易度の問題が出ます。
取り扱う話題は一般的なビジネスシーンや日常生活を想定したもので、学校の勉強で扱うトピックと必ずしも重なりません。
また、テスト形式も独特なため、TOEICに向けた勉強を行う必要があります。
英語の勉強全般に言えますが、身に着けるために反復練習が必要で、勉強時間を確保しなければなりません。
その時間は週1,2回のクラスではとても足りないため、自分で参考書を元に学習することがマストです。
リスニング対策に必須の参考書:TOEIC公式問題集7~9

リスニングセクションはPart1からPart4までの4つのパートで構成されています。
リスニングセクションの勉強のコツは下記の3点です。
- テスト形式・ナレーターの声に慣れる
- 語彙(音も含む)を増やす
- 集中力を養う
上記を効率よく学ぶのにおすすめの、王道の参考書を紹介します。
公式問題集の強み
TOEICを開発しているETSが作成している公式問題集。
本番と同じ形式のテストが2回分入っています。本番と同じサイズのマークシートとリスニングセクションの音声が入ったCD2枚が付いています。
どんなものでも試験対策は過去問を使って分析・戦略を練るのが定石かと思いますが、TOEICは過去問を公開していませんし、受験者が問題を持ち帰ることができません。
そこで、この公式問題集が過去問の役割を果たします。
問題の難易度にとどまらず、書体や用紙のサイズ、ナレーターも同じ人なので、限りなく本番に近い環境が再現でき、テスト形式やナレーターの声に慣れることができます。
なぜナレーターの声に慣れた方が良いかというと、人間の脳の特性的に聞き慣れた人の声の方が情報を理解できるからです。
これはみなさん実体験を通じてなんとなく理解できるのではないでしょうか。音はまず耳で感知され、その刺激が信号として脳に送られます。
そして脳の中で今まで聞いてきた音や言葉と照らし合わせて内容が理解されるという処理をされています。その照らし合わせの時に聞いたことのある人の声の方が繋がりやすくなります。
ただ、実生活の中では聞いたことのない人の言葉も問題なく処理できるので、上記の対策をする程のものではないと思うのではないでしょうか。
しかし、TOEICはすべて母語ではない言語で行われ、しかもメモが取れず情報をすべて頭の中で処理しなければなりません。
そういった場面では、些細に思えることをひとつずつ解決することが本番で大きな差となって現れます。
だまされたと思って、ぜひ一度公式ナレーターさんの音声を聞き込んでから本番に臨んでみてください。
また、繰り返し音声を聞いていると、この人の声は聞きにくいなというのが分かります。音声の聞き取りやすさは国による違いも影響します。
例えば、Scheduleはリスニングセクションで頻出の単語ですが、米英で発音が異なります。一般的に日本人にとって英国英語はなじみが薄く聞き取りにくいです。
SNSでTOEICを勉強している人を観察していると、リスニング対策でBBCの音声を聞いている人が多いのはこのためです。
公式問題集をやり込むと、
- テスト形式・ナレーターの声に慣れる
- 語彙(音も含む)を増やす
- 集中力を養う
すべてを鍛えることができます。
そのために、筆者が実際に行っていたおすすめの勉強法をご紹介します。
公式問題集の使い方:本番形式で解く

まず本番と同じ時間を計って解いてみましょう。
付属のマークシートも使ってなるべく本番に近い環境で解くと良いです。これはテスト形式に慣れること、集中力を養うことにつながります。

時間を計り、マークシートを使って解くと様々なことが分かる。
採点し、解説を見て自分の強み、弱みの分析をしてみましょう。特に間違えた問題について何が原因を把握しましょう。

私は数字が入る問題をよく間違えていました。
そして弱点の対策を行いましょう。単語が分からなかったら単語帳、文法なら文法書、慣れが必要なら本番と同じ問題をたくさん解くなどです。
公式問題集の使い方:苦手を分析する

リスニングの場合の主な分析軸は以下の通りです。
国(人)
一般的にイギリス、オーストラリア英語は聞き取りにくいと言われます。
個人的には、アメリカ英語でも女性の方が聞き取りにくいと感じました。
語彙
特定の単語の意味が分からずに間違えていたら、語彙力を鍛える必要があります。
語彙は知っている単語を増やすことも大切ですが、TOEICでは問題文の単語を言い換えた表現が選択肢で使われることが良くあるため、類語も意識して勉強しましょう。
リスニングでの語彙には発音も含まれます。
問題内容・形式別
Part4が苦手といった大きな傾向からPart2の間接解答問題が苦手、Part3の後半の問題が苦手、図表問題が苦手など細かい傾向まで見てみましょう。
具体的であればあるほど対策がしやすくなります。
集中力の維持
メモの取れないTOEICでは1語聞き逃しただけで解けない問題もあります。また、間違えた問題を引きずってしまい連続失点してしまうこともあるあるだと思います。
45分間集中力のメリハリをどうつけるか、訓練が必要です。
リスニングの苦手の克服方法
ナレーターの声に慣れるにはとにかく聞く時間を増やすことが重要です。Abceedというアプリなら、公式問題集の音声データを無料でDLできます。これを繰り返し聞きましょう。
私は食器を洗いながら、料理をしながら、子どもを寝かしつけながら聞いていました。音声だけに集中しなくても構いません。とにかく音を耳に届けることが慣れには必要です。
耳が音に慣れてきたら速度を上げてみましょう。abceedのアプリでは無料でも音声の再生スピードが選べます。
1.2~1.5倍速くらいで聞く人が多いようです。私は1.2倍速で聞いていました。早いのに慣れていると、本番の音声はゆっくり聞こえます。

abceedの音声速度調整画面
リスニングを鍛えるには音読もおすすめです。聞くだけでなく声に出すことで脳への刺激が増えます。そうすると記憶に定着しやすくなります。
また、聞き取れない音は発音できないので、苦手が浮き彫りになります。発音できない音を練習することがリスニング力アップにつながります。



リスニング初心者、上級者向けのテキスト
公式問題集はTOEICを受ける幅広い方におすすめの参考書ですが、本番と同じレベルの参考書であるがゆえに、600点以下の人は最初からこの参考書に挑戦すると挫折する可能性があります。
また、800点以上を目指す人は公式問題集では効率が悪い場合もあります。そんな人たち向けのおすすめの参考書も調べました。
TOEIC600点目標:「はじめて」シリーズ

TOEIC600点までの人は、TOEICを受け始めたばかりの人やテスト形式に慣れていない人が多いと思います。
このレベルの人は「はじめて」という言葉が入っている参考書がおすすめです。その中でも、大学生から社会人まで幅広く利用できる、特におすすめの2冊を選びました。
はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略
初めてTOEICを受験する人向けに、テストの時間や持ち物を含めた解説と模試が収録されています。
初心者向けというだけあって解説もわかりやすい上に、かなり網羅的でしっかりやれば700点台までは狙えそうな内容になっています。
補改訂版 はじめてのTOEIC® L&Rテスト 全パート総合対策
上記と同じく初めての人向けの参考書。テスト時間などの解説と模試が収録。驚いたのはこの本を購入すると27本100分の解説動画が観られること。
最近はアプリや電子書籍、ラジオ、YouTubeなど、昔と比べて多様な学習法があると感じます。語学の習得には自分に合った方法で長く勉強することが大切です。
そういう意味でいろんな学習法を提案してくれる本書はおすすめです。
TOEIC800点以上目標:TOEIC L&R 800+、韓国本

TOEIC800点や900点を目指す人は、効率的に難問を訓練したいですよね。そんな時にはこちらがおすすめです。
公式TOEIC Listening & Reading 800+
TOEICを開発しているETSが発行している難問を集めた問題集です。ポイントは公式が各Partの攻略法を説明しているところ。
実際の受験者の正解データや問題作成者の意図を把握している公式が書いていることは信頼感が違います。
問題演習とその問題の解説に多くのページが割かれていますが、冒頭の各Part全体の説明と難問の傾向解説のページだけでも読む価値があります。
韓国版TOEIC問題集(定期試験既出問題集 1000 Vol.3 リスニング)
私は結局買う前に目標点に届いたので買わなかったのですが、もし最後に受けたテストで目標の900点に届かなかったら買おうと思っていたテキストがこちらです。
日本語の公式問題集と同程度の価格でなんと10回分のテスト(リスニングだけですが)が入っています。その内7回は過去に出題された問題です。
- 過去問を集中的に勉強でき、出題傾向や自分の得意・苦手の分析が可能
- 難点は解説が韓国語であること、リスニングとリーディングが分かれていること
- ある程度TOEICのことを理解していて、とにかく問題演習をしたい人におすすめ



リーディング対策におすすめの参考書
リーディングセクションはPart5からPart7までの3つのパートで構成されており、リーディングセクションに必要な力は大きく①語彙力、②文法理解、③英語速読力の3つがあります。
語彙強化:金フレ
金フレは、言わずと知れたTOEIC単語帳のベストセラー。単語帳ですがTOEICの解説も充実しているので初心者~上級者(600点~)まで幅広くおすすめです。
サイズもコンパクトなので通勤・通学など移動時間に勉強したい人にも最適です。
参考書ではありませんが、単語帳で覚えるのが苦手な方は英単語アプリのTANZAMもおすすめです。
文法強化:文法問題出る1000
TOEIC Part5はリーディングセクションの冒頭にある短答穴埋め問題です。TOEICではこのPart5が1つの山場であると個人的に考えています。
Part5の目標解答時間は一般的に10分と言われますが、リスニングセクションを合わせると開始から55分となり、120分の中間程度になります。
また、Part5は30問ありますが、30問を10分で解くための訓練はリーディングセクションで求められる英語力、特に文法の基礎となります。
筆者がTOEIC900点突破した際、最後まで勉強していたのがPart5のこの参考書でした。
具体的勉強法
問題パターン別に章立てされています。それぞれ冒頭に解説があり、基本的な解き方が書かれています。
その後、問題演習が基礎編と応用編と続きます。それを解きながらPart5の傾向を把握し、自分の苦手を見つけ、つぶしていきましょう。

また、問題の中にTOEIC頻出の単語や熟語も使われていて、解説に意味も書かれています。分からない語彙は書き留めて復習し、語彙力も磨きましょう。
本番を想定して巻末の文法模試セットを10分で解けるように繰り返し練習しましょう。13セットあるので、模試は本番の1カ月くらい前から取り組むと良いでしょう。
特にわからなかった問題は繰り返し勉強して暗記するくらいやり込みましょう。

対象者:初心者~900点
基礎~応用までレベルがあり、本番を想定した模試もついているので幅広いレベルの人におすすめです。
出る1000が難しすぎると感じたら
出る1000が難しすぎると感じる場合は基礎的な英文法の知識が不足しているかもしれません。そんな方には中学英語の復習をおすすめします。
中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本
英語は1つ1つの積み重ねが大切です。基礎がないのに難しい文法や単語を勉強するのは効率が良くありません。
中学英語とあなどるなかれ、実は中学校で習う文法をきちんと理解し、使いこなせれば海外で日常生活を送れるくらいのレベルです。
中学の復習は結構需要があるようで図書館に置いてあることも多いです。文法に不安があるなら一度見てみるのもいいでしょう。急がば回れです!
英語速読強化:公式問題集、韓国本、TOEIC800+

公式問題集7~9
リスニングでもおすすめした公式問題集は、リーディングでも幅広い人におすすめです。本番と同じ形式で解いて自分の得意・苦手を把握し、本番の得点戦略を練ることが王道的な使い方。
そして時間を計って問題を解くことで速読力を鍛えることもできます。
分からなかった語彙をメモして単語帳を作ると語彙力の強化にも使えます。

筆者も単語帳を作っていました。
もう一つおすすめなのが音読をすること。英語の基本は覚えることです。
記憶の定着のためにはインプットはもちろん、アウトプットも取り入れると効果的です。短時間で手軽にできるのが音読の良いところ。
Abceedというアプリではリーディングの音声も聞くことができるのでオーバーラッピングやシャドウイングを行うのも手です。
韓国版TOEIC問題集
ETS TOEIC 定期試験既出問題集 1000 Vol.3 Listening リスニング ★★しおり贈呈★★
リスニングで紹介した韓国版既出問題のリーディング版です。過去問が7回分、予想問題が3回分収録されています。本番と同じ形式で解く訓練、語彙の強化に最適です。
解説が韓国語になっているので、ある程度自分で問題を理解・分析できる力のある人(700点~)向けです。
TOEIC L&R 800+
公式TOEIC Listening & Reading 800+
TOEICを開発しているETSが出版した、800点以上を目指す人向けの参考書です。
リスニングでもご紹介したものですが、リーディングセクションもしっかりと対策できます。
各partの難問の傾向や目標時間を公式が解説しているので、説得力があります。最初の解説だけでも読む価値ありです。


1番大切なことは「1冊をやり抜く」こと
ここまで様々な本を紹介してきましたが、TOEICの勉強では幅広くいろいろな参考書を買うよりも1冊をやり抜くことを強くおすすめします。
参考書の著者も出版社もTOEICをよく研究し、1冊で対応できるように網羅的に書いています。な本に手を出すと重複があって非効率です。
勉強や何かを学習することは突き詰めると「できないことをできるようにすること」です。複数の参考書をやると、自分の苦手に向き合えない可能性があります。
まず代表的な参考書を買って最低1周はしましょう。その中で自分のできていないことや苦手分野を把握し、そこを克服することを意識して勉強することがおすすめです。




