




“進学や就職で有利になる”と英語の能力の証明として根強い人気の英検。
筆記試験は参考書・問題集もたくさん出ていますが、面接の対策は本だけ読んでも練習にはならないしどうしたら…と悩む人も多いかもしれません。
また、英検最高峰の1級の面接になると、さらに他の級とは違い情報も少なく段違いにとっつきにくいものとなっています。
そこで「やっぱり級が上がってくると専門の対策講座に通わないとダメかな?」と思われる方もいるかもしれません。私もかつてその一人でした。
ただ、そうした専門の講座はどれもお高いもの。
この記事では、限りある予算の中で、既存のサービスの中から英検対策に使えそうなものをフル活用して英検1級合格を果たした筆者が、その対策の考え方とコツをご紹介します。
この記事の著者:モリ―
アラフォーから英検1級合格を志し、2度の不合格に一度はやさぐれるも、試行錯誤の末3度目の正直で合格した2児の母。英語圏滞在は人生で5日間のみ。Podcastと洋書とベネディクト・カンバーバッチが大好き。上の子が高校留学準備中。
目次
英検の面接対策について

まず、英検には3級から面接があります(従来型の場合)。
例えば3級なら、面接官に何を聞かれるか、質問のパターンはある程度決まっているため、基礎的なヒアリングやスピーキングスキルがついていれば、繰り返し練習することで対応できます。
しかし、級が上がっていくと、だんだんと「こう聞かれたらこう返す」といったパターンではなく、「自分の意見を英語で表現できるか」という部分が問われるようになってきます。
この多くの日本人が苦手とする「自分の意見を言う」部分をどうトレーニングしていったか、英検1級に合格した経験を踏まえご紹介したいと思います。
面接の流れを知ろう:準1級と1級を比較
ここからは、最も違いが顕著な準1級と1級を比較しながらご説明します。
ちなみに、多少乱暴ですが、英検の二次試験の面接の区分を「準1級まで」と「1級」にざっくり分けても良いくらい、この二つの級の間には差があります。
何がそんなに違うかというと、準1級まではイラストの描かれた「問題カード」が渡され、受験者はそれをもとに回答していく、という流れになります。
公益財団法人 日本英語検定協会 準1級 二次試験サンプル問題より引用
1級の場合、渡されるのは文字だけが書かれた「トピックカードのみ」となります。
公益財団法人 日本英語検定協会 1級 二次試験サンプル問題より引用
つまり、質問に対する答えは全て受験者の頭の中で考え、組み立てなければいけないのです。
それぞれどういった流れで行われるかは、次の通りです。


英検1級面接対策 心構え前半編
【メモ禁止!?トピックを選んで2分間スピーチ。言うことを忘れてしまわない対策】

では、ここからいよいよ英検1級の面接の流れのポイントをご紹介します。
入室から挨拶、スモールトーク(社会人の場合たいてい「お仕事は?」など)のあと、まず試験官からトピックカードを渡されます。
ここで私が特に辛かったのは、「シンキングタイムの1分間の間、メモを取ってはいけない」ということです。
せめて話すポイントの箇条書きでもできたらそこまで緊張しないのに…。
自分の脳内だけで、自分の主張とそれをサポートするポイントを2、3個にまとめ、完全に記憶した上にそれらを英語で述べなければならないのです。
正直試験前は、「緊張でせっかく考えたことがぶっ飛んでしまったらどうしよう」、と、夢にうなされそうなくらい心配でした。
そこで、短期記憶に自信がない私が考えた戦略(というより割り切り)は、「自分の主張を支持する根拠を2つに絞ってしまう」こと。
対策本の模範解答では3つくらい並んでいるのですが、3つ言わなきゃ!とハードルを上げた結果テンパって途中でつまるより、2つでもきっちり言えた方がいいだろう、と考えたのです。
そしてこの時使った「秘密道具」があります。
それは、腕に巻いた「2色のミサンガ」。どう使ったかというと、まず、与えられた1分間の間に、主張のポイントを2つ考えます。
そして、一つ目の主張は青いミサンガ、2つ目は白いミサンガ、とそれぞれ「ペアにして」記憶するようにしたのです。
気休めのように思えるかもしれませんが、私はこれで練習することで試験前の不安も多少解消することができました。
それに、覚えるポイントも、2つだけなら何とかなるものです!
ちなみにこのミサンガは、試験前に子どもが作ってくれました。
会場に持ち込めるものは限られていますので、皆さんも、もしこの方法を採用されるなら、何か身に着けられるもので使えそうなものを考えてみて下さい。

英検1級面接対策 心構え後半編
【目指すは論破じゃなく大人の議論。試験官とのQ&A】

さて、何とか2分間スピーチをクリアしたとして、次は質疑応答が待っています。
準1級までは、試験官が「質問」を投げてくれるので、それに対して筋が通った返しができればよく、そこからさらに試験官が反論を投げてくるということはありません。
しかし、1級についてはそこでは終わりません。
例えば、受験者の2分間スピーチの内容に対して、試験官は「あなたはこう言いましたが、~といった側面もありませんか?」といった、「別の視点からの主張」を投げかけてきます。
これはどんな完璧な2分間スピーチをしようと、試験の流れとして必ずされるものです。
つまり、「あなたの主張に不備がある」とか「試験官があなたの意見について納得していない」なんてことではなく、試験の手順の一つです。
この試験官の問いかけに対し「試験官を論破しようとやっきになってしまった」なんていう話も見聞きするのですが、「英検の試験で何を見られているか」を考えれば、そんな反応はそもそも筋違いであることがわかります。
論破は不要で、むしろ「大人の知的な意見のキャッチボール」ができるかがポイントです。
反対意見や異なる見解のボールが来たら、「そういう主張もありますが、私は~~と考えます」とさらっとボールを返せればOKです。
ディベートのように勝敗がジャッジされるわけではありませんので、肩の力は抜きましょう。

英検対策を意識したオンライン英会話の選び方

英検対策にオンライン英会話を使うべき理由
英検の二次面接対策については、級によって必要な対策が大きく異なります。
ざっくり言って2級までは、聞かれる内容のパターンがおおよそ決まっているので、この質問に対してはこう答える、というパターンプラクティスの練習ができればOKです。
そして、準1級からは、「自分の意見」が問われる部分が増え、1級では、完全に「自分の主張」のみがが問われることになります。
また、2級までは、オンライン英会話で対策コースを設けているところが多いです。
面接を練習する、しないは当日の緊張や受け答えのスムーズさにも大きく影響しますので、自信がない時はぜひ利用してみましょう。
また、オンライン英会話でなくても、誰か手伝ってくれる人がいれば、対策本や過去問を見て試験官役をお願いするだけでも随分違います。
英検対策に活用できるオンライン英会話はどれ?
準1級になってくると、対応しているオンライン英会話も少し減ってきます。
調べてみたところ、対応しているのは、DMM英会話、ネイティブキャンプ、Kimini英会話など。
そして1級。コースとして「英検1級の面接に対応している」というところは、オンライン英会話では見つかりませんでした。
私が情報収集した数年前も、「英検1級対策」を謳うのは翻訳や通訳者養成学校であったり、独立系のスクールだけ、といった印象で、しかもどれも受講料はそれなりの値段でした。
では、そんな高価な対策講座を受けないと合格しないのでしょうか。
「高い対策講座のお金が出せる人だけが合格できるなんて、納得できない!」
そう考えた私は、近年低価格化の著しい「オンライン英会話」を有効活用し、英検の面接対策に活かすことを追求することにしたのです。
英検1級対策に実際に使用したオンライン英会話
それまでにも、オンライン英会話は過去いくつか利用したことはありましたが、私は英検対策の直前期には「Cambly」と「ネイティブキャンプ」の2つを主に使い分けながら学習しました。
以下では、それぞれの特徴を踏まえ、理由を詳しくご説明していきます。
ネイティブキャンプを使った英検1級面接対策

回数無制限の英会話でスピーキングを向上
ネイティブキャンプの特徴は何といっても「レッスン受け放題」であること。

「英語を口にする」状態にとにかく慣れたかった私には、有難いサービスでした。
ですがネイティブキャンプの利用を考えたことがある方は皆大抵驚かれたことがあるのではないかと思いますが、実はネイティブキャンプの講師は全員が英語のネイティブスピーカーというわけではなく、他の多くのオンライン英会話同様、フィリピン人講師が多数を占めます。

とはいえ、私は「ネイティブじゃなきゃ英検対策に意味がない」なんてことはないと考えています。
ネイティブの発音に慣れておいた方がいいのでは…という懸念は時々耳にします。
ですが、オンライン英会話のレッスン時間だけでネイティブの発音に「慣れよう」とするのはむしろ現実的とは言えません。
リスニング対策は別途Podcastなどを活用し、一人で集中して時間を取ったほうが効率的ですし、費用も掛かりません。
また、ネイティブの「表現」に触れるべき、という主張もありますが、そこまでこだわりたい方は、次にご紹介するCamblyをお勧めします。
が、そこまでこだわって意味があるのは、既に相当高いレベルの英会話力(何なら既に1級に合格してるレベル)の人くらいではないかな、と思います。
英検1級で「表現がネイティブっぽくないから落とされる」なんてことはそもそもないわけですから。文法的に問題のない、相手に伝わる英語であればよいわけです。
というわけでネイティブキャンプには、まずは「英語がすらすらと口をついて出てくる」ところまで持っていくためとにかく場数を踏みたい!という、当時の私にはぴったりでした。
また、研修や採用試験などで講師の質が一定確保されているので、講師は皆愛想が良くて明るく、特にシャイな日本人が気持ちよく発言できるようなレッスン進行にも慣れている印象でした。
英検1級対策に応用できるコースを活用する
ネイティブキャンプには「準1級対策まで」の対策コースはありますが、「1級対策」は存在しません。
そこで私は、ネイティブキャンプの既存の教材のうちの「デイリーニュース」や「トピックトーク」を活用して練習しました。
「デイリーニュース」は時事的なテーマが題材となるので、英検1級のトピック対策の基礎知識としても役に立つうえ飽きずに取り組めます。

また、「トピックトーク」では「ディスカッション」のコーナーで、テーマに関連した問いを講師がしてくれます。
英検1級ほどテーマが硬派なわけではありませんが、それでも「特に正解のない問いに対し、自分の考えをまとめ、答える」練習になりました。
一方、「フリートーク」は、これを活用して模擬面接をお願いしてみたこともあるのですが、「講師自身が英検1級のトピックの議論にあまり乗ってこれない」という場合もあったので、どちらかというと当たりはずれのない既存コースの利用で活用していました。
自分からどんどん発言して英語を話すことに慣れる

さて、具体的にネイティブキャンプでレッスンを受けるときの心構えが一つあります。まずはなるべく「会話の主導権を握る」こと。
「講師を聞き手に回らせる」のを目標に、臆せずどんどん発言しましょう。こちらがレッスン料を払っているのです、遠慮することはありません。
相手の意見を聞いている時間は勿体ないのです。「アウトプットの練習」と割り切って、どんどん喋っていきましょう。
一方通行のように思えるかもしれませんが、自分の発言を「誰かに聞いてもらう」というのは、一人で呟いているのとは全く違う緊張感が働きます。
「伝わっているか、相手の表情を見ながら話す」
「言い間違った時や言葉に詰まったときに、破綻せずにリカバリーして話し続ける」
など、気をつけるテーマを各回自分の中で設定して活用してもいいでしょう。
ちなみに、まじめな日本人にありがちな「完ぺきな英語をきっちり頭の中で準備してから話す」学校英語タイプだと、試験本番で意表を突いた質問をされた時などに、何も話せなくなってしまう危険性もあります。
ここは、「多少内容に自信がなくとも、とりあえず沈黙の間をつくらない」トレーニングをしましょう。
Camblyを使った英検1級面接対策

Camblyについては、フリートークで「ネイティブとの意見交換」に慣れるレッスンが可能であることが特徴です。
いい講師に出会うまでちょっと辛抱強く探す必要があるのですが、うまく見つけられると非常に質の高いレッスンが受講できます。
次に、Camblyでの英検対策についてご説明します。Camblyは、むしろネイティブキャンプとは対照的に、講師全員がネイティブです。

また、様々なバックグラウンドの講師がいるため、経歴や得意分野など様々です。
講師ごとにかなり細かいプロフィールページがありますので、自分にあいそうな講師をじっくり選ぶことが可能です。
面接対策におすすめのプランはどれ?
Camblyの料金体系は、週当たりのレッスン頻度(週1~毎日)、一回当たりのレッスンの長さ(15分~60分)の組み合わせによって決まります。

さらに契約期間(1ヶ月~12ヶ月)による長期割引もあります。
英検の面接対策をするには15分ではちょっと慌ただしすぎるため、私は30分コースを利用していました。
Camblyの料金体系で複雑なのが、現在のプランを変更したいと思ったときの計算方法です。
プラン変更の場合、いったんキャンセルして新しくプランを購入するのではなく、現時点の自分の購入済みの受講料が、新たに選択したプランの受講料から差し引かれ、追加額だけを支払うことになるシステムです。
ただしこの場合、既に選択している受講期間を短くすることはできないため、長期割引プランを選ぶときはよく検討してからにしましょう。
特に、週のレッスン頻度が消化しきれないような場合は非常にもったいないことになるので、受講料が割高になるのは痛いところではありますが、最初は1か月プランの、少ない頻度で試してみることをお勧めします。
ネイティブの英語で試験官対策はバッチリ
英検の二次試験の面接の本番では、1級の場合はかならず試験官は2名、うち一人はネイティブの外国人試験官です。
私個人としては「日本人試験官」の視線のほうが緊張したものですが、「ネイティブ相手だと緊張してしまう」という場合、Camblyはよい練習の場となります。
レッスンの際、初めての講師であれば「まずは軽く自己紹介」というのが定番の流れですが、試験の際にも簡単な自己紹介はありますし、大いに活用しましょう。

しかし、講師の質については、私が受講していた際の印象では、全員が同一の講習などは受けていないようでした。
なので、正直「英語はもちろんネイティブだが講師としての態度やスキルが今一つな講師」も存在しました。
個人的な好みも影響してくると思いますが、私が遭遇した若干残念な例では、「やや不愛想」「主に自分の話をしてあまり生徒に喋らせようとしない」などです。
これはきっちり研修を受けた「フレンドリー」かつ「サービス精神旺盛」なフィリピン人講師に慣れしてしまった後は特にそう感じるかもしれません。
ただ講師の評価制度はあるので、そうした講師は、今は淘汰されていることと思います。
ただこうした残念な例は、私が講師を選ばず「予約せずその時空いている講師とランダムでレッスンを開始する」機能を使った際に遭遇した例なので、評価の高い講師を探してレッスンを受けることで回避できます。
具体的には評価「4.9」(5段階評価なので、Camblyでの実質的な最高評価です)の講師の中から何人かレッスンを受けてみて、自分に合うかどうか、や、レッスンが取りやすいか、などを気長に探っていくのが良いでしょう。
根気よく探せば「ネイティブかつ指導姿勢もスキルも抜群!」という講師が確実に存在します。そして、どの講師であっても同じ料金で利用できるのです。
格安オンライン英会話に比べるとやや割高感のあるCamblyですが、ネイティブかつ教え方の上手い講師を見つけられれば、うんと費用対効果が高いのです。
フリートークで「模擬試験」を行う

Camblyでお気に入りの講師を見つけたあとは、さっそく実践練習をしてみましょう。
試験が近づくと、私は次のような方法で、講師に模擬面接につきあってもらいました。
第一段階は、「英語の試験で今度こういう面接があるので、練習に付き合ってほしい。今から私が2分間スピーチをするので、それに関連した質問を2,3してもらえますか?」とお願いをしました。
本番では、トピックは自分の自由に決めるわけではなく、5つの与えられた選択肢から選びますが、まずは形式に慣れるためです。
2分間の意外と長いこと、そして、自分の主張の根拠となるポイントを忘れずに網羅することの意外と難しいこと。
ですが、頭の中で考えているよりも、実際に2分間スピーチの数をこなすことの効果は絶大です。
第一段階に慣れたら、次の段階としては、「トピック自体もその場で考える」方法に進みます。
まずは「英検二次試験想定トピック」の一覧などを事前に講師に送り、「この中からひとつトピックをランダムに選んで私に質問してください。そして1分時間を計ってGOサインをください。その後、私が2分間スピーチをします。」といったお願いをします。
試験本倍の際の「どんなトピックが来るか当日までわからず、しかも主張を1分間で脳内のみで組み立てなければならない状態」を再現するわけです。
そうです、ここまで対策すれば、もう本番も同然です。
ちなみに、私が最初に「模擬スピーチ」にチャレンジしたときは、言葉に詰まってしまい、惨憺たるものでした(笑)。
それでも講師はレッスンなのでちゃんと付き合ってくれましたし、繰り返すうちに多少は主張を途切らせずになんとか言い終えることもできるようになっていきました。
そして、最終的には合格できたので、無理だと思っても諦めずに練習していてよかった…と思います。
皆さんも途中で「これはダメかも…!」と不安に陥ることがあると思いますが、最後まで投げ出さずにチャレンジしてみてください。

まとめ―日頃の心構えとメンタル面の支え方
振り返ってみて、英検1級の対策をしていた際に揃えた参考書や面接対策の模範解答はどれも素晴らしい内容ばかりで、「こんな主張を即興で言えるわけがない…」と凹んでいたのを覚えています。
正直言って、私自身、試験直前まで「こんなことではきっと今受けても不合格だ。今回はパスして次回まで対策し直して再チャレンジようか…」と何度も思っていました。
ただ、どうせ不合格になるにしても、面接を体験すること自体は経験としてプラスになるのは確実だし、次の回を本命とするにしても、下準備として一通り経験しておける、こんないい対策はない(だって本番ですから)と思い準備しました。
「自分が失敗して恥ずかしい思いをするのが怖い」という部分を除けば、たとえ不合格であっても受験することにはメリットしかない!そう自分に言い聞かせて当日会場に足を運びました。
「英検1級自体は通過地点。そんなに特別な対策もしてないよ」なんていう人は別として、コツコツ学習を重ねてきてようやく1次試験を突破、ついに二次試験、というような学習者にとって、二次試験は緊張して当然だと思います。
だけど、ここは減点法ではなく加点法で、今まで学習を積み上げてきた自分に自信を持って挑みましょう!
以上が、私が英検1級合格までに利用したオンライン英会話での面接対策のご紹介でした。少しでも今後受験される皆さんの受験対策の参考になれば幸いです。





参考になりました
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