IELTSのスピーキングは、普段の練習でほとんど話し相手がいないので、効果的に対策する方法を見つけるのは苦労しました。
そんな中、あるオンライン教材で1ヶ月程対策をした所、IELTS初受験でスピーキング7.5を獲得することができました。
今回は、本試験直前の1ヶ月、何をすればスコアアップに直結できるかを中心に話します。私の対策方法、秘密兵器となるオンライン教材の活用方法が少しでもご参考になれば幸いです。
この記事の著者:メンシャン
英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。
目次
IELTSスピーキングの概要を把握
私はIELTS初受験だったため、まずはSpeakingセクションの流れと採点基準を把握することからスタートしました。
スピーキング試験の内容
IELTSスピーキングテストは、Part 1、Part 2とPart 3に分かれています。
Part 1
パート1は日常会話の感覚で、いくつかのトピックについて数問聞かれます。所要時間は3-4分程度です。
例えば、以下のような身近なトピックが聞かれます。
- Please describe your hometown a little.
- What do you like about your hometown?
- Have you ever kept pets? Do you want to keep a pet in the future?
- What kinds of movies do you think young people like watching? What’s your favorite movie?
私の場合は、Hometown、Pet、Shoesという三つのトピックで、それぞれ1〜4問で合計7問が聞かれました。
Part 2
パート2は試験官がランダムにトピックカードを選び、トピックカードに基づいて1分間準備、2分のスピーチをします。所要時間は3分程度です。
例:Describe an experience that someone apologized to you
You should say:
- When it was
- Who this person is
- Why he/she apologized to you
- And explain how you felt about it
PC受験の場合、トピックカードの問題はスクリーンに表示されるので、話す途中でも確認可能です。
Part 3
パート3はPart 2の延長線上にあり、より抽象的な質問(例えばWhy, how, do you think…等)が数問出題されます。時間は4-5分程度となります。
例えば、Part 2で例を挙げたApologyのトピックに関して、下記のような質問が出てくるかもしれません。
- On what occasion do people usually apologize to others?
- Are there people who don’t apologize sincerely?
- Why do some people refuse to say “sorry” to others?
- Do you think people should apologize for anything wrong they do?
IELTSスピーキング4つの採点基準を理解
IELTSのスピーキングは、四つの基準でそれぞれ採点され、平均したスコアがSpeakingの点数となります。
スピーキングで7.0を目指すなら、一番シンプルな考え方はそれぞれの基準で7.0を確保すれば良いということです。
ここではオフィシャルサイトで公開されたBand Descriptorsに基づいて、7.0の要件について、私の理解を簡単に整理します。
- 「Fluency and Coherence (流暢さと内容の一貫性)」
流暢とありますが、止まらずに喋るのではなく、自然に間があったり、たまに言い直したりしてもOK。
ある程度接続詞を使って話の前後の一貫性を確保できればOK。
- 「Lexical Resource (語彙力)」
上級な単語やイディオムをいくつか使う、コロケーションも意識すると良い。例えば、most people… -> majority of the people I know…
言葉の言い換え(パラフレーズ)ができている。
- 「Grammatical Range and accuracy (文法知識と正確さ)」
高校レベルの文法を使いこなし、which/who/thatなどの関係代名詞を使って若干長い文を作ることができる。いくつか間違ってもOK。
- 「Pronunciation (発音)」
はっきりした発音で、試験官が理解できればOK。
採点基準と照り合わせて、自分のスピーキングを見直し、減点されそうなところを意識して対策準備を行いました。
例えば、私は英語を話す時、接続詞や、難しい単語(特にイディオム)を意識して使っていないので、「流暢さ・一貫性」と「語彙力」で減点される不安がありました。
対策の際は、発音や文法より、接続詞とイディオム・上級単語の使用を意識していました。
なるほど!自分の弱点を把握した上で対策できるとより効率的だな!
IELTSオンライン対策パッケージで本番問題を入手
テスト対策で一番重要なのは、できるだけ本試験に近い問題で練習することです。
TOEFLと違って、IELTSのスピーキングの難易度をぐっと下げてくれるのは、本試験に出る問題は入手できるという点です。
私は、IELTSスピーキング7.0+対策パッケージを受講しました。
IELTSスピーキングの本番問題プールと入れ替えルール
知らない人もいるかもしれませんが、IELTSスピーキングのPart 1とPart 2は決まった問題プール(約50個のトピック)があり、この問題プールは4ヶ月ごとに更新されています。
1月〜4月、5月〜8月、9月〜12月、という三つの期に分かれ、それぞれの期の中では、決まった問題プールを使っています。期を跨いている期間中(例えば4月下旬から5月上旬あたり)は、少しずつ問題の入れ替えが行われています。
事前に自分が受験する期の問題を把握し、ある程度事前に答えを準備することで、本番でスムーズに対応することが可能になります。
① 完全に新しい問題
出題頻度が相当高く、学習の重点になります。
② 今まで出題頻度の高い過去問
①と同じように、学習の優先順位度が高いです。
例えばPart 1の「Work・Study」や「Home・Hometown」は出題頻度の高い過去問で、必ず準備しなければなりません。
③ 他に、過去に出題された問題(普通の過去問)
できる限り対策準備したほうが万全になります。
本番問題プール及び模範解答を入手
私は10月末に受験を決意し、本番問題の入れ替えを避けるため12月上旬の試験を予約。1ヶ月しかないので正直とても不安でしたが、早速学習資料を入手して準備に着手しました。
結論から言うと、私の受験当日に出会ったPart 1とPart 2の質問は、全てこの資料に含まれていて、的中率は100%でした。
初回の受験でスピーキング7.5が取れたのは、この学習資料のおかげと言っても過言ではありません。
スピーキングは点数の安定化が難しいですが、この対策パッケージがあれば受験回数を減らすことができるので、受験費用を考えると安い投資になると思います。
<約150ページのPDF>
オンライン対策パッケージの活用方法
本番の問題プールと模範解答があるとはいえ、ひたすら読んだり暗記したりするだけでは高得点は目指せないでしょう。
私が、このIELTSスピーキング対策パッケージを活用し、どのように勉強したかを紹介します。
Part 1:回答の枠組みを作る
このオンライン対策パッケージにある、Part 1の問題数は200問前後でした。
私は最初に、3、40問を一つひとつ回答を作っていて気づいたのは、全ての回答を文章で作り込むと膨大な時間がかかるし、作った回答を全て覚えることもできないということです。
そこからやり方を変えて、ポイント(回答の方向性やキーワード等)だけ書いて頭に入れておくことにしました。
例えば、この質問があります。
Where do you prefer to keep your pet, indoors or outdoors?
私のメモはこんな感じです。これで大体4文で回答できます。
- Can’t… because … violate the rent agreement. (少し上級な言葉を入れようとして太字に)
- But if allowed, depends on…(回答の方向性を示す言葉なので、これさえ覚えていたら、当日頭が真っ白になることはないはず)
- If hamster, indoor,
- if chicken / duckling (very unlikely), outdoor.(unlikelyは私が普段口に出てこない単語なので太字に)
実際に本試験でこの質問が聞かれました。事前に準備してあるので、枠組みを思い出しながら答えました。
当日の回答:
Actually, I can’t keep any pet for now because it’s not allowed by my apartment. But in the future if allowed, I think it depends on what kind of pet I’ll keep. If it’s a hamster, of course I will keep it indoor. If it’s a chicken or a duckling — which I know is very unlikely in the city but sometimes I see them in the countryside — I prefer to keep it outside.
用意したviolate the rent agreementは、その場で出てこなかったですが、基本は枠組みを反映できたと思います。
このように、全てのPart 1の質問に対して、回答の枠組みを作りました。
回答を思いつかない場合、または良い言葉が見つからない場合、模範解答も参考していました。解答例は8.0の評価基準に基づいて作成されたので、上級な表現やイディオムはとても参考になります。
Part 2:問題を再整理して共通ネタで文章を作っておく
対策パッケージには、Part2は約50問ありました。
2分程喋る文章を50個作るのは現実的ではありません。時間もかかりますし、解答も暗記できないです。
そのため、いくつかのネタを用意し、複数の問題に適用させるのが一番効率的なやり方です。
例えば、私が使った資料では、下記のようなトピックがありました。
- Describe a person who impressed you most when you were in primary school
- Describe someone who is older than you that you admire
「小学校の時に印象に残った人」と「感服している年上の人」は同じ人物の同じストーリーでいけそうですね。
また、下記のようなトピックも共通のネタで作りました。
- Describe a time you were friendly to someone you didn’t like
- Describe a time when you shared something with others (or another person)
- Describe a difficult decision that you once made
どのトピックで共通のネタを使うかは、学習資料の中にも講師のおすすめがありますが、個人のストーリーによって異なる組み合わせもありえるので、状況に応じて検討してみましょう。
また、Part 1と違って、Part 2の対策に関しては、余裕があれば文章で作っておくことがおすすめです。
私は時間が足りず、半分程度のトピックは文章を作り、残りはアイディアやキーワード等を入れただけで本試験に臨みました。
結局本番で出されたトピックは文章を作っておかなかったもので、アイディアやネタはあるものの、その場で綺麗な文を作るのは難易度が高く、何回も言い直したり、時間制限内に話しきれず、試験官に途中で止められることもありました。
事前に文章を書いておけば、Part 2で「流暢さと一貫性」のスコアをもう少し稼げたかもしれません。
Part 3:自分の意見をロジカルに伝えるように
Part 3の質問は試験官の好みの部分もありますが、基本はPart 2のトピックの深堀りになります。
Part 2で話したストーリーや個人の経験についてではなく、トピックから深掘りする感じで、個人の意見を求めるような質問が多いです。
Part 3の学習資料には150問前後ありますので、Part 1のようにキーワードをいくつか残せば良いと思います。
Part 3の質問のパターンがいくつかありますが、個人的にはどのような質問(Why / What / Should / How…)に対しても、必ず2つのポイントと、それぞれに一言二言の理由や補足説明を話すように意識していました。
例えば、本試験で実際に聞かれた下記の質問。
- 「ネット上にある色々なアドバイスについて、どう思うか?」
こういった質問に対しては、二分法で答えます。
どんな分野の悩みでもネット上でアドバイスが見つかるのは便利、友達や家族はなんでも知っている訳じゃないから。一方で、ネットの悪いところは、アドバイスしてくれる人の正体が分からないから、信用できるかどうか不安。
- 「仕事上よく他人にアドバイスをする人たちには、どんな素養が必要?」
これも二分法でいきました。
せめて二つかな。一つは専門領域にすごく詳しいこと、そうでないと、適切なアドバイスできない。もう一つは相手のことを良く知ること。例えば、患者さんの症状よくわからないまま医者さんはアドバイスできないはず。
- 「コンサル的な職業、例えば精神科医、弁護士等、なぜ彼らそんなに高い料金を取るの?」
これも二つの論点を提示しました。
一つは、彼らは多大なお金を使い、努力をし、長い訓練を経て精神科医や弁護士になったわけだから、過去の投資を取り戻すという意味で高い料金を取っていると思う。もう一つは、精神科医や弁護士は、例えば工場の労働者と比べると、難易度が高く全体的に人数も少ないため、供給と需要のバランスから考えると高い料金設定が合理的かもしれない。
ご覧のように、どれも、突っ込みどころがあるような完璧でない回答でした。
しかし、それぞれのポイントの後、補足説明したり例を挙げたりして、自分の意見や主張を支えれば問題ないです。
仮に、対策パッケージなしで、事前の準備なしで聞かれたとしたら、上記のように答えられる自信はありません…
IELTS Speaking対策パッケージの学習資料の中では、Part 1とPart 2の的中率は100%、Part 3は参考程度と記載されています。
実際、私が受けた本試験では、Part 3で聞かれた4問のうち、2問が学習資料の中にありました。
模範解答も提供してくれていますので、すぐに意見が出てこない人はPart 3の問題と模範解答をざっと目を通したほうが良いでしょう。
回答作成中に気を付けること3つのコツ
一回の作業で完璧な回答を作ろうとしない
1回の作業で回答を完成させるのは、実は時間がかかり効率が悪いです。
最初は、自分の知っている言葉や表現で回答を書いておいて、2回目の作業で、所々に、より上級な表現、ワンランク上の単語を入れ替えてみましょう。
慣れていない単語は必ず発音と使い方を調べる
IELTSのスピーキング問題は多岐にわたっているので、普段の会話や仕事の中であまり使わないような単語や表現が必ず出てきます。
ミスを最小限に抑えると言う意味で、その単語の発音、イディオムの使い方をよく調べた上で回答に入れましょう。
<作成した回答の一部。自分が慣れていない単語を太字に、発音に自身のない単語の横に発音記号を入れています>
Part 2の回答の時間を練習で確認する
一つのトピックついて一方的に2分話す、ということは日常ではほとんどありません。私だけでなく、多くの人にとって、Part 2は一番難しいパートだと思います。
回答を書き終わったら、必ず時間を測って、自然に話してみるのがとても大事です。
IELTSスピーキング当日の心構え
ようやく試験当日です。緊張するとは思いますが、「英会話練習のチャンスだ」と思うようにしましょう。
幸いなことに、たくさんの質問されますので、どれか一つの回答のパフォーマンスでスコアが決まる訳ではありません。
そのため、一つ失敗しても、すぐにも忘れましょう。私はPart 2で大失敗しましたが、Part 3で少し挽回できたと思います。
そして、問題を聞き取れていない時は、そのままなんとなく答えずに、必ず試験官と確認しましょう。
1回2回であれば、別に減点されることがないので、遠慮しないでほしいです。
最後の最後ですが、私の秘密兵器であったIELTSスピーング対策パッケージをチェックしてみてください。
このブログが動画になりました!ご視聴よろしくお願いいたします!