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海外MBAの費用は、トップスクールの学費一覧を眺めるだけでは判断しにくいテーマです。
最初に知りたいのは、学費と生活費を合わせて修了までいくら支払うかです。
さらに、休職・退職中の収入、家族の住居費や保険、借入利息まで含めると、MBAが家計とキャリアへ与える影響が見えてきます。
この記事では、2026~27年度を中心とする大学公式情報をもとに、国・地域別の費用、1年制と2年制の違い、家族帯同、奨学金、費用対効果まで整理します。
「合格できる学校」だけでなく、修了まで支払えて、目指すキャリアにつながるMBAを見つけるためにご活用ください。
この記事の著者:柴崎亮
公認会計士。EYで勤務後、2019年に私費でバブソン大学のMBAへ留学。学費と生活費は貯蓄と家族からの借入でまかないました。卒業後はアメリカの監査法人を経て帰国し、現在はスタートアップの上場準備支援に携わっています。
監修者:ウメンシャン
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科卒。NGOでの学校運営や大手飲料会社の人事部門を経て、MAGEEEK共同創業者としてThere is no Magic!!を運営しています。
記事の調査方法
本記事は、各ビジネススクールが公表する2026~27年度の学費・Cost of Attendance、QS Global MBA Rankings 2026、各国政府のビザ・奨学金情報と、著者の私費MBA留学の経験をもとに編集しています(2026年8月16日調査)。
- アメリカ:HBSの2026~27年度予算を2年分にすると、学費・生活費等で単身でも約4,110万円
- 1年制:Oxfordは学費・生活費で約2,240万~2,420万円。欧州のINSEADやIMDも約2,600万円が目安
- 費用を抑える選択:中国のMBAは学費約460万円から。オンラインMBAには総学費約394万円の例もある
- 資金調達:大学独自奨学金、国内外の給付型奨学金、社費、貯蓄・ローンを組み合わせる。ローンは支払時期をずらす手段で、費用自体は減らない
- 判断基準:学費・生活費の直接費用を先に比較し、次に離職による収入減を足す。奨学金の採否に応じた出願案も用意する
目次
海外MBAの費用はいくら?国・地域別に比較
MBAの費用は、まず修了までに実際に支払う金額を比べます。
1.直接費用|まず比較する金額
学費+生活費+保険・ビザ・渡航費-確定した奨学金・社費支援
2.投資総額|キャリア判断で加える金額
休職・退職で失う収入+借入利息+家族への影響
大学が公表するCost of Attendance(在学に必要な年間予算)には、学費、住居、食費、保険などが含まれます。
ただし、夏休み中の住居、渡航、就職活動、家族の費用まで含むかは学校ごとに異なります。
まずは大学公式の予算を使って直接費用を計算し、その後に自分の収入と家族の条件を加えましょう。
代表MBAの学費・生活費と修了までの総額
次の表は、主要校が公表する2026~27年度または2026年入学向けの金額を比較したものです。
| 国・地域/学校 | 修了までの日本円目安 | 期間・算定条件 |
|---|---|---|
| アメリカ Harvard Business School | 約4,110万円 | 2年 学費・保険・9か月分の生活費等を含む年$130,318を2倍 |
| イギリス Oxford Saïd | 約2,240万~2,420万円 | 1年 学費£88,800+12か月の生活費 |
| イギリス London Business School | 約3,570万円 | 15・18・21か月 学費・生活費・ビザ等の公表予算約£168,494 |
| フランス/シンガポール INSEAD | 約2,540万~2,580万円 | 10か月 学費+フォンテーヌブローまたはシンガポールの生活費 |
| スイス IMD | 約2,600万円 | 1年 学費・必須費用・単身生活費CHF133,500 |
| シンガポール シンガポール国立大学(NUS) | 約1,600万~1,810万円 | 17か月 学費S$99,953+月S$1,800~2,800の生活費目安 |
| 香港 香港大学(HKU) | 約1,340万~1,380万円 | 1年 学費HK$588,000+HKU公表の住居・生活費目安 |
| 中国 清華大学 Global MBA | 約510万~530万円+食費等 | 2年 学費RMB198,000+校内寮の公表額。食費・交通費等は別 |
| オーストラリア Melbourne Business School | 約1,990万円+保険等 | 2年 学費A$120,384+豪州ビザの生活費基準2年分 |
| オーストラリア AGSM at UNSW | 約1,280万~1,410万円 | 1年 学費A$86,760+UNSW公表の生活費目安 |
※円換算は、税関が公示した2026年8月16日~22日適用の為替相場(1米ドル157.56円、1ポンド212.01円、1ユーロ181.66円、1スイスフラン194.65円、1シンガポールドル122.87円、1香港ドル20.09円、1人民元23.34円、1豪ドル110.84円)を使用し、万円単位で丸めています。生活費は単身者向けの大学・政府公表値を使った比較目安です。HBSは年額を2倍した値で、2年目の値上げと夏季費用は含みません。NUS、HKU、豪州2校は、大学・政府の一般的な生活費目安をMBAの在学期間へ当てはめています。
QS世界MBAランキング100位以内の主要校と学費を見る
次の表は、QS Global MBA Rankings 2026の100位以内から、国・地域別に主要校を抜粋したものです。学費・必須費用を比較し、生活費を加える前の候補校探しにお使いください。
| 国・地域 | 学校(QS 2026) | 期間 | 学費・必須費用 | 日本円目安 |
|---|---|---|---|---|
| アメリカ | Wharton(1位) | 2年 | $186,016 | 約2,930万円 |
| Harvard Business School(2位) | 2年 | $169,520 | 約2,670万円 | |
| MIT Sloan(3位) | 2年 | $183,784 | 約2,900万円 | |
| Stanford GSB(4位) | 2年 | $174,942 | 約2,760万円 | |
| イギリス | London Business School(6位) | 15・18・21か月 | £123,950 | 約2,630万円 |
| Cambridge Judge(7位) | 1年 | £80,000 | 約1,700万円 | |
| Oxford Saïd(12位タイ) | 1年 | £88,800 | 約1,880万円 | |
| Imperial Business School(19位) | 1年 | £78,000 | 約1,650万円 | |
| フランス/シンガポール | INSEAD(8位) | 10か月 | €109,860 | 約2,000万円 |
| スペイン | IE Business School(11位) | 11・15か月 | €91,100 | 約1,660万円 |
| IESE Business School(15位タイ) | 2年 | €114,000 | 約2,070万円 | |
| イタリア | SDA Bocconi(20位) | 12~15か月 | €86,000 | 約1,560万円 |
| スイス | IMD(25位) | 1年 | CHF97,500 | 約1,900万円 |
| シンガポール | NUS(23位) | 17か月 | S$99,953 | 約1,230万円 |
| NTU Nanyang(38位) | 12・18か月 | S$89,380 | 約1,100万円 | |
| 中国 | 清華大学 Global MBA(28位) | 2年 | RMB198,000 | 約460万円 |
| 香港 | HKUST(49位タイ) | 1年 | HK$600,000 | 約1,210万円 |
| 香港大学(HKU)(51位) | 1年 | HK$588,000 | 約1,180万円 | |
| オーストラリア | Melbourne Business School(31位) | 2年 | A$120,384 | 約1,330万円 |
| AGSM at UNSW(32位) | 1年 | A$86,760 | 約960万円 |
※ランキングはQS Global MBA Rankings 2026。金額は2026年入学または2026~27年度の公表値です。Whartonは2年間の授業料・大学必須費用、HBS・MIT・Stanfordは2年間の授業料を比較用に合算しています。IEは財団への一時金、IMDは必須費用を含みます。生活費、保険、ビザ、渡航費は含まれないため、上の総額表と合わせてご覧ください。
アメリカMBAの費用はいくら?2年制の目安
アメリカの2年制トップ校は、授業料と大学の必須費用だけで2年間$169,520~$186,016(約2,670万~2,930万円)です。
生活費まで含めると、HBSの2026~27年度予算は単身で年$130,318。2年分の円換算は約4,110万円に達します。
同じアメリカでも、総額は都市の物価で大きく動きます。ニューヨークやサンフランシスコ近郊と中西部・南部の大学町では、住居費だけで年に百万円単位の差が生まれます。
アメリカを候補にする場合は、志望校のCost of Attendanceで住居費と保険の前提まで必ず目を通してください。


費用の目安をつかんだら、次は期間、授業内容、卒業後のキャリアを含めて候補校を絞ります。
海外MBAの全体像とビジネススクールの選び方で、候補校の比較軸を整理しています。
1年制と2年制で支払う費用はどう変わる?
1年制MBAは、生活費を1年分に抑えやすく、2年制より直接費用を小さくできます。
同じ1,000万円台の学費でも、アジアの2年制で現地経験を長く積むか、欧州の1年制で早く仕事へ戻るかによって、お金の使い方は変わります。
| 比較 | 1年制・短期型 | 2年制 |
|---|---|---|
| 直接費用 | 生活費を抑えやすい | 学費・生活費が2年分になる |
| 機会費用 | 離職による収入減を1年程度に抑えやすい | 休職・退職中の収入減が2年分になる |
| 学習速度 | 授業と就職活動が短期間に重なる | 選択科目や課外活動を試す時間を取りやすい |
| インターン | 日程上、長期の夏季インターンを組みにくい課程もある | 1年目と2年目の間に参加しやすい |
| 相性がよい目的 | 同業界への復帰、社費、短い離職、学位・知識の獲得 | 業界・職種の転換、米国採用、探索期間を重視 |
INSEADは10か月制ですが、1月入学には約2か月の夏休みがあり、インターンへ参加できます。8月入学は10か月を連続して学ぶ設計です。
HBSでは、1年目と2年目の間に行う夏季の仕事・インターンが修了要件に位置づけられています。LBSは15・18・21か月から修了時期を選べますが、どの時期を選んでも授業料は同額です。
期間を比べるときは「短い方が得」と決めるより、目標とする採用にインターンが必要かで見極めてください。
現在の手取り収入を年600万円と仮定します。
- 1年制MBA:直接費用2,400万円+収入減600万円=投資総額3,000万円
- 2年制MBA:直接費用4,100万円+収入減1,200万円=投資総額5,300万円
差は約2,300万円です。ただし、2年制で参加したインターンが希望職種への入口になるなら、金額だけでは測れない価値があります。


家族帯同で増える費用を計算する
社会人のMBA留学では、本人の学費以外も意思決定を左右します。
増えるのは、主に広い住居、家族の食費・保険・渡航費です。さらに、配偶者が働けない国では収入減、未就学児がいる家庭では保育費も加わります。
単身予算との差は数百万円単位になるため、大学が公表する家族向け予算を起点にしましょう。
家族が増えると住居費と保険が大きく変わる
HBSの2026~27年度予算は、家族構成ごとの違いを具体的に示しています。
| 家族構成 | 9か月の年間予算 | 日本円の目安 | 単身との差 |
|---|---|---|---|
| 単身 | $130,318 | 約2,050万円 | ― |
| 夫婦 | $159,592 | 約2,510万円 | 約460万円増 |
| 夫婦+子ども1人 | $179,402 | 約2,830万円 | 約770万円増 |
| 夫婦+子ども2人 | $186,312 | 約2,940万円 | 約880万円増 |
※HBSの予算は9か月の学年度を前提とします。学外住居で12か月契約を結ぶ場合、夏季の家賃・光熱費・生活費を別に準備します。
さらに、配偶者が現地で働けるかは国とビザで変わります。
| 国 | 家族帯同で特に確認すること |
|---|---|
| アメリカ | F-1学生の家族が取得するF-2資格では就労できません。配偶者の収入減を家計へ反映します。 |
| イギリス | 2024年以降に始まる通常の授業型MBAでは、政府奨学生等を除き、学生ビザで家族を帯同できる対象が限定されています。 |
| オーストラリア | 修士・博士課程の学生の家族は、本人の課程開始後、通常の48時間/2週の上限を超えて働ける場合があります。個別のビザ条件を確認します。 |
アメリカでは、F-2の子どもも公立の小中高校へ通えます。マサチューセッツ州では、居住する学区の学齢児童は在留資格にかかわらず無償の公教育を受けられると案内されています。
そのため、学齢期の子どもなら私立校の学費が必ず加わるとは限りません。2年間の現地校生活そのものを、家族にとっての教育経験と考えることもできます。
もっとも、入学には住所、年齢、予防接種等の確認があり、幼児教育、保育、放課後プログラム、給食、通学、サマーキャンプには費用が生じる場合があります。進学先が決まったら、居住予定の学区へ受入条件と費用を直接問い合わせてください。
出願前・在学中・卒業後に生じる費用
大学の費用ページに載りにくい支出もあります。
| 時期 | 主な費用 | 予算へ入れる理由 |
|---|---|---|
| 出願前 | GMAT・GRE、英語試験、出願料、スコア送付、ビザ、デポジット、渡航 | 複数校へ出願すると積み上がる |
| 在学中 | 夏季住居、交換留学、就職活動の移動、学生団体、研修旅行、保育・教育 | MBAで得たい経験ほど、任意費用になりやすい |
| 卒業後 | 就職までの生活費、引っ越し、ローン返済・利息、帰国費用 | 卒業直後に内定・入社できるとは限らない |


働きながら学ぶオンラインMBAの費用
キャリアを中断しないことを重視するなら、オンラインMBAも比較対象になります。
| プログラム | 期間 | 学費 | 日本円の目安 |
|---|---|---|---|
| Boston University Questrom | 約2年 | $25,000 | 約394万円 |
| Imperial Global Online MBA | 21・24・32か月 | £57,000 | 約1,210万円 |
| IE Global MBA | 17か月 | €65,000+財団費€1,200 | 約1,200万円 |
| Warwick Global Online MBA | 約2年 | £43,550 | 約920万円 |
| Indiana Kelley Direct | 最短約2年 | $94,944+対面研修費$2,000 | 約1,530万円 |
※学費は2026年または2026~27年度の公表値です。対面研修の渡航・宿泊、教材、為替変動分は別途見込んでください。
オンラインMBAは、現在の仕事で昇進・職域拡大を目指す人にとって、収入を維持できる点が大きな利点です。
現地採用、夏季インターン、キャンパスでの濃い人間関係を目的にする場合は、通学型の方が合う可能性があります。詳しくは、海外・国内オンラインMBAの選び方をご覧ください。


MBA奨学金を軸に資金を組み立てる
海外MBAで自己負担を大きく下げるには、まず奨学金を調べます。
もっとも、MBAを明記して応募できる大型の外部奨学金は、一般の修士・博士向け制度より限られます。大学独自の支援も競争が厳しく、部分支給が中心の学校もあります。
奨学金なしでも進学できる候補と、採用されたら進学できる挑戦校を分けて準備しましょう。
MBAで検討したい奨学金と支援
| 制度・学校 | 支援の目安 | 応募・審査 |
|---|---|---|
| HBSの経済状況型奨学金 | 受給者の2年間平均は約$100,000。約10%は授業料全額相当 | 合格後、本人・家庭の資産や収入等を申告 |
| Stanford GSBの経済状況型奨学金 | 平均は年約$47,000、2年間で約$94,000。約半数が受給 | 留学生も対象。合格後に必要情報を提出 |
| INSEADの奨学金 | 受給者38%、平均€24,000。170以上の基金 | 入学審査後、条件に合う制度へ最大4件申請 |
| NUSの実績型奨学金 | 平均で授業料の15~20%、各学年の約30%が受給 | 出願者を自動審査。選考は順次進む |
| 英国政府チーヴニング奨学金 | MBAの授業料支援は上限£22,000 | MBA出願と別申請。上限を超える学費は自己負担 |
| JASSO海外留学支援制度 | 2026年度は月17.7万~38.8万円 | 修士号を取得する課程が対象候補。大学等を通じて応募 |
※MBAが修士号として扱われるか、専門職学位が対象かは制度ごとに異なります。年度、国、年齢、職歴、応募経路を最新要項で確認してください。支給額・受給割合は各校・制度の2026年公表情報を基にしています。
GMAT・GREの高得点は奨学金にどう効く?
実績型の大学奨学金では、GMAT・GREのスコアが審査材料になります。
HEC ParisのExcellence Scholarshipは、学業、出願全体、面接とともにGMATを審査すると明記しています。
香港大学も、面接、職歴、GMAT・GRE、学業成績を総合評価します。
SDA Bocconiの2027~28年度の授業料免除(70~100%)では、GMAT Focus 615以上相当のGMAT・GRE・EAスコアを持つ候補者は、受給可能性が高まると案内されています。
高得点は有利な材料ですが、支給を保証する点数はありません。職歴の成果や将来像まで含めて評価されます。
MBA合格の最低点を目指すより、奨学金の競争でも評価されるスコアとプロフィールを作る意識が重要です。


不足分は社費・私費で埋める
| 資金源 | 主な支援 | 費用への効果 |
|---|---|---|
| 奨学金 | 大学独自、政府、国内財団 | 学費や生活費を減らす |
| 社費派遣 | 学費・生活費・給与の全部または一部 | 直接費用と収入減の両方を抑える |
| 貯蓄・家族支援 | 自己資金 | 返済負担を残さない |
| 教育ローン | 国内金融機関、学校提携ローン等 | 支払時期を卒業後へ移す |
ローンは支払時期を変える手段で、費用そのものは減りません。
元本、利息、為替を含む返済額を出し、奨学金・社費・自己資金で不足する範囲に絞ります。
社費派遣では、帰任義務、退職時の返還、対象校の条件も事前に押さえておきましょう。
予算A:奨学金・社費支援なし
学費、生活費、家族費用を全額負担した場合。進学できる自己負担上限を決めます。
予算B:採用済みの支援あり
正式な採用通知に書かれた支援額だけを差し引きます。更新条件や卒業後の義務も確認します。
奨学金はMBA出願と同時に準備する
外部奨学金は、MBAの合格発表より前に締め切られる場合があります。
GMAT・GRE、英語試験、エッセイ、推薦状に追われ、調べ始めた時には募集が終わっていたということもあります。
入学18~24か月前に、外部奨学金と社費制度の条件を確認し、試験準備を開始します。
試験・出願・奨学金の締め切りを一つの計画へ落とし込むには、海外大学院・MBA出願の準備スケジュールも参考にしてください。
MBAの出願校を決める段階では、学校の奨学金審査が自動か別申請か、早いラウンドが有利かも並べて管理してください。
海外大学院向けの国内財団、政府奨学金、大学独自支援は、海外大学院の返済不要の奨学金一覧で対象課程・支給内容・応募時期を詳しく比較しています。
勤務先の派遣制度を目指す方は、MBA社費留学に選ばれるための準備もあわせてご覧ください。
MBAの費用対効果と出願戦略を考える
MBAの費用対効果は、卒業生の平均年収だけでは決まりません。
卒業後に働く国、業界、職種、就労資格、景気、為替によって収入は変わります。
社費生や起業家を除外した雇用統計もあるため、学校間の数字をそのまま比べるのは危険です。
投資回収年数は自分の収入で計算する
最初の目安として、次の式を使えます。
投資回収年数=MBAの投資総額÷卒業後に増える年間手取り収入
例:直接費用2,400万円+1年間の収入減600万円-奨学金600万円=投資総額2,400万円
卒業後の年間手取りが300万円増える場合、単純回収年数は8年です。
実際には、借入利息、昇給、ボーナス、就職までの空白期間、生活費の変化を加えます。
GMACのMBAの費用対効果計算ツールも、学費・生活費・医療費・入学前後の収入を使って回収期間と10年間の費用対効果を試算する設計です。
学校の雇用実績も見ておきましょう。INSEADの2025年卒業生は81%が卒業後3か月以内に内定を得ており、給与を報告した卒業生(全体の73%)の中央値は10万ユーロでした。
LBSの2025年卒業生は3か月以内の内定率88%、受諾率86%。Cambridge Judgeの最新公表値は4か月以内の内定率82%、平均基本給£71,216です。
回答率、社費生・起業家の扱い、就職地域を読んで、自分の目標職種に近い卒業生の進路を見てください。



私は2019年、年収800万円の仕事を辞め、私費でバブソン大学のMBAへ留学しました。貯蓄で足りない分は、家族からの借入で埋めています。
卒業後はアメリカの監査法人で働き、帰国した現在の年収は1,500万円です。増えた収入だけを見ても、単純計算では数年で投資総額に届く水準になりました。
ただ、実際に留学費用をほぼ返し終えた原資は、給与ではありません。在学中から育てたサイドプロジェクトの収益です。
MBAの回収シナリオを描くときは、昇給に加えて、新しい収入源を作る力と海外での就業経験という2つの資産も数えてみてください。
奨学金の採否に応じて出願先を組む
費用が高い学校を最初から外すと、奨学金を得た場合の選択肢まで失います。
一方、奨学金が出ることを前提に高額校だけへ出願すると、全校合格しても進学できないことがあります。
そこで、出願先を3層で組みます。
| 層 | 役割 | 進学条件の例 |
|---|---|---|
| 挑戦校 | 最も行きたいが、自己負担だけでは予算を超える学校 | 奨学金・社費が一定額以上なら進学 |
| 予算内の通学型 | 1年制、アジア、生活費の低い都市など | 奨学金なしでも家庭の上限内 |
| キャリア継続型 | オンラインMBA、国内MBA、翌年再挑戦 | 離職と大型借入を避ける必要がある場合 |
このポートフォリオを作ると、奨学金が採用された場合と不採用の場合の両方で進路を選べます。
各層では、費用だけで候補を置かず、目標業界への採用実績、インターン、就労制度、学びたい内容を満たす学校から選んでください。


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海外MBAの費用に関するよくある質問
海外MBAは総額いくらかかりますか?
トップ校の例では、1年制のOxfordが学費・生活費で約2,240万~2,420万円、2年制のHBSが単身で約4,110万円です。
アジアには学費約460万~1,230万円の学校もありますが、生活費と離職による収入減を加えて判断します。
費用の安い海外MBAはどこですか?
学費を抑えやすいのは中国などアジアの学校、生活費と収入減を抑えやすいのは1年制、離職を避けやすいのはオンラインMBAです。
最も安い選択と、目的に合う選択は同じとは限りません。卒業後に働きたい地域、必要なインターン、大学の採用実績まで比べます。
留学生もMBAの奨学金を受けられますか?
対象になる制度はあります。HBSやStanfordの経済状況型奨学金、INSEADやNUSの大学独自奨学金、JASSOやチーヴニングなどが候補です。
実績型ではGMAT・GREも審査材料になるため、試験スコア、職歴、リーダーシップを含む出願全体を早くから整えましょう。
1年制MBAと2年制MBAはどちらが得ですか?
費用と離職期間を抑えるなら1年制が有利です。業界・職種を大きく変えるために夏季インターンを使いたい人は、2年制の方が採用日程に合う場合があります。
現在の収入、希望する採用市場、インターンの必要性を並べて選びましょう。
MBA取得後、何年で費用を回収できますか?
「投資総額÷卒業後に増える年間手取り収入」が簡易的な目安です。投資総額2,400万円、年間手取りの増加が300万円なら8年になります。
実際の計画には、就職までの期間、借入利息、昇給、為替、卒業後の生活費も反映してください。
終わりに:MBAの値札を、自分の投資計画へ変える
海外MBAの費用を調べるときは、最初に3つの数字を出してください。
- 修了までの直接費用
- 離職と家族を含む投資総額
- 奨学金なしで家庭が負担できる上限
この3つが見えると、アメリカの2年制へ挑戦する条件、1年制やアジアへ切り替える基準、仕事を続けながらオンラインで学ぶ可能性を同じ土俵で比べられます。
自分が変えたいキャリアと、回収できる時間を数字でつなぎ、納得できる進学案を作りましょう。



海外MBAの全体像とビジネススクールの選び方
MBAの種類、入学条件、準備、国・学校選びを最初から整理したい方へ。
海外大学院の返済不要の奨学金一覧
国内財団、政府、大学独自制度の対象と応募時期を比較したい方へ。
MBA社費留学に選ばれるための準備
社内選考、留学目的、帰任後の貢献を具体化したい方へ。
海外・国内オンラインMBAの選び方
仕事を続けながら取得できるMBAの費用と違いを知りたい方へ。
海外大学院・MBA出願の準備スケジュール
英語試験、推薦状、エッセイ、奨学金の締切を一緒に管理したい方へ。










