日程:2024年10月26日(土)
場所:シェラトン都ホテル東京
参加校(一部):NUS、IE、北京大学、香港大学、マンチェスター大学、ASU等
・入学審査官による1 on 1/少人数インフォセッション
・推薦状やエッセイ作成に関しても相談可能
・MBA留学経験者や留学志望者同士のネットワーキングも
参加申し込み(無料)は→こちらから
この記事の著者: Tempest
- 横浜在住、40歳台前半の男性
- 米国のMBAを取得、専攻は金融
- 投資銀行マン等を経て、財務・法務系の翻訳家として独立(言語は英語・タイ語)
目次
MBAランキングと学費
本稿では、いわゆる「MBAランキング」と「留学費用」についてご説明してみたいと思います。
ランキングと留学費用って何か関係があるのか? というご意見はあると思いますが、「世俗的」な意味では関係あります。
先に結論の一部となりますが、「費用対効果」という観点で、MBA留学費用は非常に高く(投資)、ランキングが高いほど良い就職口(リターン)があるという点でそうです。
本稿の最後でNPVの知識を使ってMBAの費用対効果について考えてみます。
さて、ビジネススクールのランキングにはジャーナリズムの「USニュース」によるものと「ビジネスウィーク」によるものが有名です。
以下、「USニュースMBAランキング2018」からの引用、米国トップ50です。学費が開示されているのでこちらを採用しました。
MBAランキングと学費一覧
学校名 | フルタイムMBA学費/年 | ||
ドル | 万円 | ||
1 | Harvard University | 72,000 | 809 |
2 | University of Chicago (Booth) | 69,200 | 777 |
3 | University of Pennsylvania (Wharton) | 70,200 | 788 |
4 | Stanford University | 68,868 | 773 |
5 | Massachusetts Institute of Technology (Sloan) | 71,000 | 797 |
6 | Northwestern University (Kellogg) | 68,955 | 774 |
7 | University of California–Berkeley (Haas) | 59,811 | 672 |
7 | University of Michigan–Ann Arbor (Ross) | 67,300 | 756 |
9 | Columbia University | 71,544 | 803 |
10 | Dartmouth College (Tuck) | 68,914 | 774 |
11 | Duke University (Fuqua) | 65,665 | 737 |
11 | Yale University | 66,650 | 748 |
13 | New York University (Stern) | 69,086 | 776 |
13 | University of Virginia (Darden) | 62,342 | 700 |
15 | Cornell University (Johnson) | 63,894 | 718 |
16 | University of California–Los Angeles (Anderson) | 58,458 | 656 |
17 | Carnegie Mellon University (Tepper) | 64,000 | 719 |
17 | University of Texas–Austin (McCombs) | 51,804 | 582 |
19 | University of North Carolina–Chapel Hill (Kenan-Flagler) | 58,138 | 653 |
20 | Emory University (Goizueta) | 73,600 | 827 |
20 | University of Southern California (Marshall) | 60,951 | 684 |
22 | University of Washington (Foster) | 47,541 | 534 |
23 | Rice University (Jones) | 55,500 | 623 |
23 | Washington University in St. Louis (Olin) | 57,900 | 650 |
25 | Georgetown University (McDonough) | 56,400 | 633 |
26 | Vanderbilt University (Owen) | 53,900 | 605 |
27 | Indiana University (Kelley) | 47,128 | 529 |
28 | Georgia Institute of Technology (Scheller) | 40,180 | 451 |
29 | Arizona State University (Carey) | 46,176 | 519 |
29 | University of Minnesota–Twin Cities (Carlson) | 48,936 | 550 |
31 | Ohio State University (Fisher) | 51,592 | 579 |
31 | Pennsylvania State University–Park (Smeal) | 40,874 | 459 |
31 | University of Notre Dame (Mendoza) | 52,188 | 586 |
34 | University of Florida (Warrington) | 30,130 | 338 |
35 | Brigham Young University (Marriott) | 45,000 | 505 |
36 | Texas A&M University–College Station (Mays) | 29,271 | 329 |
37 | Michigan State University (Broad) | 48,500 | 545 |
37 | University of California–Davis | 51,094 | 574 |
37 | University of Wisconsin–Madison | 42,704 | 397 |
40 | University of Georgia (Terry) | 32,112 | 361 |
40 | University of Texas–Dallas | 64,524 | 361 |
42 | Boston University (Questrom) | 51,916 | 583 |
42 | University of California–Irvine (Merage) | 51,480 | 578 |
44 | Rutgers, The State University of New Jersey | 45,689 | 513 |
44 | University of Rochester (Simon) | 46,000 | 517 |
44 | University of Tennessee–Knoxville (Haslam) | 29,432 | 331 |
47 | University of Utah (Eccles) | 59,000 | 663 |
48 | Boston College (Carroll) | 49,230 | 553 |
48 | Southern Methodist University (Cox) | 45,976 | 516 |
48 | University of Maryland–College Park (Smith) | 53,946 | 606 |
48 | University of Illinois–Urbana-Champaign (^o^)丿 | 36,008 | 404 |
1$=112.3円(2018/12/20時点) |
ここでご注意頂きたいのは、「年あたり」の学費で、2年なので総計は2倍です。
他には、Financia Times MBA Ranking(グローバル)やEconomist MBA Ranking (グローバル)のランキングも参考になります。
ランキングと難易度
ランキングが高いほど難易度も高い?と思うかもしれませんが、合格率を比べてもると一概にそうとも言えません。
2017年のトップ1~10位の合格率を見てみると、最難関のスタンフォードは6.0%に対し、シカゴ大学は20.8%です。
11位以降は概ね20%代ですが、21位以降は30%~の合格率が多いようです。
簿記3級の合格率は30%程度、1級の合格率が5%~10%程度のことを考えると、海外MBAも頑張れば入れると思うのではないでしょうか。
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ランキングはどうやって決まる?
まずランキングがどう決まるかというと、定量面で測った学生の質(平均)に、著名なビジネス関連の教授や業界リーダーの定性評価(アンケート)を加味して決める、というものです。
- 学生の質: 大学院生のGPA(成績の単位加重平均) / GMATの点 / 卒業後の給料等
- 学部の質: 大学院が擁する教授(ポーター・ドラッカーがいる等)、プログラムのコンテンツ、研究内容等
ランキングを出している主体によりやや順位が変わるところを見ると若干恣意的なところもありますが、ランキングは大きくはぶれません。
例えば、ハーバードやスタンフォードは両方常にトップ5ですが、今回USニュースではハーバードが1位でしたが、ビジネスウィークはスタンフォードが1位です。
いくつかの点がさっと見て取れます。
- 理工系でもないのに目が飛び出るほど高い。
- ランキングが上のほど、学費が高い傾向がある(統計的に有意かは不明)。
- 公立(州立)より私学の方が高い。
- アイビーリーグの学校がトップを占める(母体に依る面が大きい)。
- Northwestern University (Kellogg)と見るとケロッグ・コーンフレークを思い出すが、このスナックを作るメーカーの創業家(ケロッグ家)が莫大な寄付してそのような通称になっているので、実は関係ある。
- 私の母校が一番ケツに居る。あと、誰も高額の寄付をしないのか州立なのかでケロッグのような愛称が残念ながらナイ。
さて、実験も無いくせに高い、ランキングが上ほど学費が高い、という点については「プレミアム」という要素があります。
言い方は悪いですが、バッグなどブランドものが原価は安いのに高い、というのに少し似ており、出たら高い給料を貰えるんだからみかじめ料を収めろ、という感じです。
もちろん、普通の文系の学部よりコンテンツの作成に力を入れており運営費が掛かる、高名な教授を雇っているということもあります。
かかるのは学費だけではない
さて、留学費用総体という観点では、本丸の学費自体が高い上に、その他の付随費用もバカになりません。
なお企業派遣の場合は会社が何でも負担してくれるので楽ですが、ここでは一旦会社を辞めて私費で行くことを想定しています。
留学準備費用
まず、留学予備校、TOEFL / GMAT受験費、アプリケーション費用、渡航費用等、留学前の準備費用がかなり掛かり、場合によると百万円を越します。
教科書代
留学中も、学費以外で出費はかさみます。まず、上記の学費には「テキスト代」は含まれておらず、大学の経験でご存知かと思いますがそのような教科書はかなり高価です。
シェアしてコピーする、というせこい真似をしている学生も多く見掛けました。それほど喫緊ということです。
生活費
中でも、「家賃」が馬鹿になりません。
私の母校はド田舎にあり家賃は月4万円台でしたが、例えばNYU(ニューヨーク大学)やボストン、カリフォルニア等に行く場合は、ある程度のアパートに住もうとすると1500~2,500ドルに行くことが予想されます。
夏休みにグランドキャニオンなど色々旅行に行ってみたい場合はもっとですネ。
退学のリスクも
さてこのように多大な出費を強いられるということ自体リスクですが、さらなる恐ろしいリスクがあります。
大体どのプログラムもセメスター毎に一定のGPA(3.0 / B平均等)を維持出来ないと放校、という規定をもうけており、しかも「相対評価」だったりするので、私のプログラムでも5%弱ぐらいの人が自発的に去るかキックアウトされていました。
アメリカの大学は日本の大学のように卒業はそう簡単ではありません。そしてその場合も、学費は一切返還されません。もちろん、場合によってはセメスター(半期)やモジュール(四半期)ごとに学費を取ることもあります。
特にHBS(ハーバード大学)がこの点容赦無いのが有名で、1年で放校になった場合、1年時間を無駄にして学位無し、学費800万円プラス他の費用ぶったくり、ということになります。
脅かしているわけではありませんが・・・。
MBAの費用対効果は?
さて、ランキングや費用、リスク等について話してきました。それでは、結局「MBAに行くべきか否か」「MBAはペイするかどうか」という費用対効果のことを検討するとします。
ここで、MBAで必ず扱われる「NPV」(Net Present Value, 正味現在価値)という概念・ツールを用いて考えてみましょう。
大まかに言うと、新規事業・プロジェクトの可否を検討する際に、定量的(金銭的)にペイするか、「ゴー」か「ノー・ゴー」かを判断するツールです。特に英米では実務でも広範に用いられているようです。
前提
- 一旦会社を辞め、フルタイムで2年間行く
- 費用面
- 準備費用(留学予備校、GMAT受験費、アプリケーション手数料等):300万
- 学費2年分:600万×2年
- 生活費の「増分」(日本に居ても生活費は掛かるが、海外の引っ越しセットアップや家賃や生活費が日本より高い、等):150万×2年
- 働いていたら入っていたはずの給料が2年分失われる:年収(手取)700万×2年
- リターン
- 卒業後、再就職し給料がぐっと上がる(現状からの増分のみ):年収(手取)1400万(増分700万)
- 5年働く(本当は20~30年なんなんでしょうが、ダラダラするので引退まで5年とします。その分、額を多めにしています)
- 利子率とリスクで割引率5%(会社を辞めてまで海外渡航、しかもお高いというのは本当にリスクがあります)
試算結果
やや「機会費用」「逸失費用」的な概念があり少し難解ですが、理解は頂けると存じます。さて試算結果は・・・
約200万の赤字です。ならやーめた、という判断になります。
大まかにサマリーすると、主に学費と生活費の出費で1,500万円超、その後給与が増える分2,100万円生涯年収で取り返すが、機会費用およびリスクを考慮して現在価値に割り戻すとペイしない、ということを示唆しています。
金銭面以外に得たもの
MBA出陣の可否判断ということで、占いの結果「否」と出ました。実際、特に私学の場合学費がとんでもない額なので、差し引きペイしない、という場合も多いかと思います。
その後投資銀行やコンサルで毎日終電まで働くなら別です。私もMBAホルダーですが、今考えると全然ペイしていません。
しかし、行って良かった、膨大なものを得たと考えています。
つまり、金銭面以外に色々な知識やスキル、ネットワークを得て人生の幅が広がった、何より英語力が抜群に上がった、良い海外見聞になった、などという非金銭的な要素があるためです。
まとめ
ランキングよりまず「何故 / 何をMBAプログラムで学びたいか」という点が最重要なのは言うまでもありません。
一方で、卒業後の給与(リターン)や名誉にも関わりますので、「世俗的」ですがランキングもある程度重要となります。
目安として、100位以内ならMBAのタイトルとしてOKで、そこから外れる聞いたこともない大学は、ボンボンのお遊びMBAと見られて再就職で却って不利になる可能性もあります。
また、キックアウトの可能性があるので、英語力やビジネススキル一般で自信が無いならあまり「ランキング的に背伸びしない」のも重要となります。上ほど周りの学生が優秀で必然的に相対評価での競争は激しくなるのです。
ランキングは目安、学費は恐ろしい事実。やりたい事・MBAで得たいもの、とこれらの定量データを総合的に勘案して出願先を選定して下さい。