



海外大学院の奨学金には、JASSOや国内財団、留学先政府、大学独自の支援など、複数の資金源があります。
一方で、修士だけを対象とする制度、博士・研究職向けの制度、日本の大学を通して応募する制度など、条件はさまざまです。
支給額だけを見て候補を選ぶと、年齢や専攻、応募時期、併給条件で対象外になることがあります。
この記事では、海外の大学院で学位取得を目指す日本人を対象に、返済不要の給付型奨学金と大学・政府の資金制度を整理します。
主要制度は同じ基準で比較し、対象が限られる制度は分野・地域別の一覧にまとめました。
海外大学院の費用を国別に把握したい方は、先に海外大学院(修士)の費用を10か国で比較した記事をご覧ください。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏への留学経験がない状態からIELTS 8.0、TOEFL 104、GRE 322を取得。コロンビア大学、ペンシルベニア大学、ニューヨーク大学、メルボルン大学教育大学院などへの合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。株式会社MAGEEEK代表として、海外大学・大学院の出願支援や進路設計に携わる。
奨学金調査について
本記事は、JASSO、各財団、留学先政府、国際機関、大学の募集要項・公式情報をもとに編集しています(2026年8月16日調査)。
2027年度の募集要項が公表されている制度は最新情報を使用し、未公表の制度は2026年度等の直近情報を参考にしています。
- 4つの資金源:日本の公的・民間奨学金、留学先政府、大学独自支援、TA・RA等から探す
- 修士:国内奨学金や政府奨学金、大学の一部免除を組み合わせるケースが多い
- 博士:学費免除と生活費が付く課程も多いが、資金の有無は大学・専攻・研究室ごとに確認する
- 応募時期:大学の合格前に締め切る制度があるため、出発の1年半前から調べる
- 最初の確認:支給額より、課程・年齢・専攻・居住地・所属・併給条件を見る
目次
海外大学院の奨学金は4つの資金源から探す
海外大学院の費用を支える資金は、大きく4つに分けられます。
| 資金源 | 主な支援 | 相性がよい人 |
| 日本の公的制度・民間財団 | 学費、生活費、渡航費など | 修士・博士。日本に居住・在籍している人を対象とする制度が多い |
| 留学先政府・国際機関 | 学費免除、生活費、保険、渡航費など | 対象国・専攻・職歴が制度の目的と合う人 |
| 大学・大学院の支援 | 授業料免除、一部減免、給付金、博士向け生活費 | 成績・研究実績・志望課程との相性を評価される人 |
| TA・RA・研究職型ポスト | 給与、生活費、授業料免除の一部または全部 | 博士、研究型修士、担当科目・研究に必要な能力を持つ人 |
修士と博士では資金の付き方が違う
修士課程は、学費を自己負担する課程が多く、JASSOや国内財団、留学先政府、大学の授業料減免が重要になります。
1つの制度で全費用を賄う人もいますが、学費と生活費を別の資金で補うケースもあります。
博士課程では、大学や研究プロジェクトから学費と生活費が支給される課程が増えます。
たとえばプリンストン大学は、通常在籍期間中の博士学生へ学費と生活費を含む資金を保証しています。
一方、同大学の修士課程の資金は学科ごとに扱いが異なり、大学院からの一律の支援は行っていません。
また、ハーバード大学公衆衛生大学院は、給付金や奨学金の数が限られ、学生の必要額をすべて満たすものではないと案内しています。
- 学費:全額免除か、一部自己負担が残るか
- 生活費:年額・月額と、夏季を含む支給月数
- その他:大学諸費用、医療保険、渡航費、ビザ費用を含むか
- 条件:支給年数、更新条件、TA・RA等の業務、学外就労の制限
フルファンディングと書かれていても、保険や渡航費まで含むとは限りません。合格通知と資金提示書で、支給額・期間・条件を確認してください。
「博士なら必ず全額支給」「有名大学なら修士にも奨学金が多い」と一括りにせず、志望課程が公表する資金条件を確認することが大切です。
博士の資金が、大学の奨学金、教員の研究費、TA・RAの給与のどこから出るかによって、支給期間や業務も変わります。
アメリカの仕組みは、アメリカ大学院のTA・RAと学費免除で詳しく解説しています。

日本から応募できる給付型奨学金を比較
まず検討したいのが、日本の公的制度と民間財団です。
次の表には、幅広い専攻から応募できる制度と、支援額が大きい代表的な制度をまとめました。
MBAや専門職学位、1年制修士の扱いは制度によって異なるため、「修士」という表記だけで判断せず、課程の条件まで確認してください。
| 制度 | 主な対象・重要条件 | 支援内容・採用規模 |
| JASSO大学院学位取得型 | 海外の正規の修士・博士学位課程。修士35歳未満、博士40歳未満で、GPA・語学要件あり。原則として在籍・卒業大学を通して応募 | 月17.7万~38.8万円。理系博士の特別枠は月22.7万~83.3万円 2026年度:683人応募・175人採用 |
| 伊藤国際教育交流財団 | 海外の正規修士課程。修博一貫は初年度から進む人の最初の2年間。4月1日時点で29歳以下が望ましく、30歳以上は理由書が必要。日本在住者が対象で、勤務継続・復職予定者や外部奨学金受給者は原則対象外 | 生活費月1,500~2,100米ドル相当、学費年最大390万円、往復旅費の実費。原則2年 2027年度:10人程度/6月29日~8月26日 |
| 平和中島財団 | 海外大学院の修士・博士。国・分野・年齢の指定なし。応募時に日本国内へ居住し、TOEFL iBT 90、IELTS 7.0等の語学条件を満たす人 | 月30万円+往復渡航費。最長2年 直近要項:20人 |
| 本庄国際奨学財団 | 海外で個別の研究テーマに取り組む修士・博士。入学時に修士30歳以下、博士35歳以下。コースワーク中心のMBAは原則対象外 | 支給期間に応じ、月1,875~2,500米ドル 2025年度:291人応募・4人採用 |
| 中島記念国際交流財団 | 情報科学、生命科学、経営科学の修士・博士。30歳以下、日本在住。大学の授業料免除を除き、同種の外部奨学金は併給不可 | 月40万円、学費年最大300万円、支度金50万円、帰国航空運賃 10人程度 |
| しのはら財団 | 2027年度に米国・英国・カナダ(英語課程)の学士・修士・博士、LLM、MD、MBA等へ1年次入学。1995年4月2日以降生まれ、世帯所得1,600万円未満 | 年最大500万円、最長4年 2026年7月1日~9月18日 |
| CWAJ海外留学大学院女子奨学金 | 英語で学ぶ海外大学院へ進む日本人女性。所定時期まで日本に居住していること。MBAの採用実績もあり | 350万円 2026年度:2人 |
| 重田教育財団 | 海外大学・大学院の入学許可を得た人。支援開始時点で2学年以上残ることが必要なため、1年制修士は対象外 | 年2.2万米ドル、2年間 5人 |
※金額・人数は2027年度または調査時点で公表されている直近の募集要項・採用実績に基づきます。応募者数が公表されていない制度も多いため、採用人数だけで難易度を判断せず、対象課程や応募条件もご確認ください。
主要制度の締切目安:本庄国際奨学財団は2026年4月30日、伊藤国際教育交流財団は8月26日、しのはら財団は9月18日、CWAJは10月5日。JASSO大学院学位取得型は例年9月頃に要項が公開され、10月中旬に締め切られます。
大学経由で応募する制度には、公式締切より早い学内締切があります。必ず応募年度の要項と所属大学の案内をご確認ください。
MBAは修士向け制度とMBA対象制度の両方から探す
MBAを募集対象として明記している国内制度は限られますが、しのはら財団だけが選択肢というわけではありません。
- しのはら財団:最新募集でMBAを対象に明記。米国・英国・カナダ(英語課程)へ1年次から進む人が対象
- CWAJ:日本人女性が対象。2025年度のDuke Fuqua、2026年度のStanford MSxなど、MBA系課程の採用実績あり
- JASSO:正規の修士学位課程として課程・年齢・GPA・語学条件を満たすMBAは応募対象になり得る
- 伊藤国際教育交流財団:海外の正規修士課程が対象。MBAなどの専門職課程は、応募年度の要項と財団への確認が必要
本庄国際奨学財団のように、修士課程を対象としていても、コースワーク中心のMBAを原則対象外とする制度があります。
MBAを検討する場合は、制度名や「修士対象」という表記に加えて、専門職学位、コースワーク型課程、1年制課程が対象に含まれるかまで確認してください。
日本の制度に加え、留学先政府やビジネススクールが提供するMBA奨学金も並行して探します。

表の制度に当てはまらなくても、専攻、勤務先、在籍大学、留学地域を限定した奨学金があります。
次の一覧は、条件が合う人にとって支援額の大きい制度を中心に整理しています。
研究・理系分野を中心とした奨学金を見る
| 制度 | 主な対象 | 主な支援 | 応募経路・注意点 |
| 船井情報科学振興財団 | 情報・理工・生命・医療・経済・経営分野の博士 | 生活費年3.6万米ドル程度、学費年最大1.4万米ドル、保険等。15人程度 | 博士専用。他の奨学金は財団の承認が必要 |
| リクルートスカラシップ | 対象大学・指定された理系分野。24歳以下 | 学費実費と定額生活費等を制度上限内で給付。5人程度 | 対象校・分野の確認が必要。学術等の顕著な実績を重視 |
| 吉田育英会 日本人派遣留学プログラム | 博士、博士研究員、特定の医療・公衆衛生専門職学位 | 月2,500米ドル、学費・研究費合計250万円以内の実費、渡航費等。5人程度 | 35歳未満、日本の大学に在籍。一般的な修士課程は対象外 |
| 経団連国際教育交流財団 | 指定された日本の大学院に在籍する研究者志望者 | 年500万円、1~2年。2人 | 応募から留学まで指定大学院に在籍。所属大学の要件を確認 |
| 竹中育英会 | 指定6大学の修士・博士在籍者 | 学費・研究費年最大250万円、生活費・渡航費年最大250万円 | 大学推薦。修士27歳以下、博士30歳以下 |
| 村田海外留学奨学会 | 法学、経済学、理学、工学。修士・博士等 | 授業料年2.6万米ドル、生活費年2.4万米ドル、支度金等。2~4人 | 修士在籍者は25歳以下。課程・所属による年齢条件あり |
地域・職歴・研究テーマが合えば検討したい制度を見る
| 制度 | 向いている人 | 主な支援・注意点 |
| 松下幸之助記念志財団 | アジア・アフリカ・中南米を対象に、人文・社会科学の研究を行う日本と関係のある人 | 月20万円、往復渡航費。一般的な学位留学全般を対象とする制度ではない |
| INPEX教育交流財団 | インドネシア、オーストラリア、UAEなど、募集対象国と研究分野が合う人 | 募集区分ごとに対象国・大学・支援内容が異なる |
| 日本/世界銀行共同大学院奨学金 | 開発分野で学ぶ日本人の中堅実務家。学士取得後3年以上の有給実務経験がある人 | 学費、保険、渡航費、生活費等を最長2年。MBA、法学、医学、オンライン等は対象外 |
| Japan-IMFスカラシップ | IMFでのキャリアを目指し、マクロ経済学等の博士号を取得する日本人 | 2年間の学費、保険、生活費、渡航費、インターン等。年7人程度 |
| ロータリー平和フェローシップ | 平和・開発分野で3年以上の関連実務経験を持つ人 | 指定修士課程の学費、諸費用、住居・食費、渡航費、実地研修等。世界で最大50人 |
| BCJA英国留学奨学金 | 英国で3か月以上、研究・学習・芸術活動を行う日本在住者 | 一律15万円、5人程度。全費用を賄う制度ではなく補助的な支援 |
| 日本スコットランド交流協会 | スコットランドの修士課程へ進む人 | 一律20万円。協会奨学金とトンボ学生服奨学金の2制度があり、2026年度は各2人・計4人 |
| 髙橋&ハワット記念奨学金 | スコットランドの修士・博士課程へ進む人 | 一律30万円、1~2人 |
国内の自治体・財団を含む候補をさらに探す場合は、JASSOの海外留学奨学金検索も活用できます。
約200件の制度から、課程、国・地域、専攻などで絞り込めます。


留学先政府・大学の奨学金と資金制度
日本国内の制度と並行して、留学先政府や大学が提供する支援も調べます。
政府奨学金、大学全体の奨学金、研究科独自の支援では、対象課程や応募方法が異なります。代表的な制度を整理すると、次のようになります。
| 国・地域 | 代表的な制度 | 対象と主な支援 |
| アメリカ | 大学のフェローシップ、授業料支援、TA・RA、フルブライト | 博士は大学・学科による資金付き合格が中心。修士・MBAでは、大学独自の成績・実績型奨学金や経済状況型奨学金、外部奨学金を組み合わせる |
| イギリス | チーヴニング、クラレンドン奨学金、UKRI | チーヴニングは1年制の対面・全日制修士が中心で、MBAの授業料支援は2.2万ポンドが上限。クラレンドンはMBAを含む対象修士・博士の学費全額と生活費を支援 |
| EU | エラスムス・ムンドゥス共同修士 | 指定された共同修士課程が対象。奨学生から授業料・参加必須費用は徴収されず、渡航・ビザ・移転・生活費を含む一括支援として月1,400ユーロを支給 |
| ドイツ | DAAD修士奨学金 | 修士・大学院課程が対象。月992ユーロ、保険、渡航費、学修手当等を支援。大学が徴収する授業料は原則として別に用意する |
| オーストラリア | Research Training Program(RTP)、大学独自奨学金 | RTPは研究修士・博士が対象。MBAなどの講義型課程では、大学独自の成績・実績型奨学金が中心 |
| 韓国 | Global Korea Scholarship(GKS) | 修士・博士の学費、渡航費、語学研修、生活費等を支援。年齢、成績、韓国語研修などの条件あり |
| カナダ | 大学・研究科の入学時奨学金、CGRS D | 修士・MBAは大学独自支援、博士は大学資金やCGRS Dなどを確認。CGRS Dは、日本から入学前に応募する一般的な制度としては使いにくい |
大学独自の奨学金は3つの応募方法に分かれる
大学公式サイトでは、学費のページだけでなく、奨学金がどのように審査されるかを確認します。
大学によって掲載場所が異なるため、「Funding」の1ページですべてを把握しようとせず、次の3つに分けて探すと整理しやすくなります。
| 応募方法 | 仕組み | 確認する場所 |
| 大学出願で自動審査 | 大学院へ出願すると、成績、職歴、試験スコア、リーダーシップなどから奨学金も審査される | 入試・学費・奨学金ページ、合格通知 |
| 奨学金へ別途申請 | 大学出願後に、奨学金申請書、追加エッセイ、収入資料などを提出する | 奨学金検索、申請者用ポータル、研究科ページ |
| 合格後に経済状況を申告 | 本人や家族の収入・資産、過去の給与などから必要額を審査する | Financial Aidページ、合格者向け案内 |
たとえば、Indiana University KelleyやUniversity of Toronto RotmanのMBA奨学金は、原則として大学出願時に自動審査されます。
INSEADでは、MBA出願後に奨学金申請画面が開き、対象となる制度を選んで別途申請します。
Harvard Business SchoolやStanford GSBの大学奨学金は、合格後に収入・資産資料を提出し、経済的な必要性をもとに審査されます。
TA・RAは、主に研究型修士や博士で利用される仕組みです。
大学独自奨学金とは分けて考え、採用や給与が大学から正式に提示されるまでは、確定した資金に含めない方が安全です。

MBAはGMAT・GREと出願時期が奨学金に影響する
MBAでは、GMAT・GREの高得点が大学の成績・実績型奨学金の審査材料になることがあります。
一方、一定のスコアを取れば自動的に授業料が免除される共通ルールはありません。試験スコアを重視する大学と、経済状況をもとに支援額を決める大学があります。
| 大学・ビジネススクール | 奨学金の考え方 | GMAT・GREとの関係 |
| Indiana University Kelley | 大学出願時に自動審査。通常は年1.5万~3.5万米ドル、特に優秀な候補には授業料全額支援あり | GMAT・GREを、成績、職歴、出願書類とともに審査材料として明記 |
| Harvard Business School Stanford GSB | 留学生を含め、本人の収入・資産などから経済的な必要額を審査 | 高いGMAT・GREスコアによって大学奨学金の給付額が増える仕組みではない |
| University of Toronto Rotman | 大学出願時に自動審査。約3分の1の学生が、1万~9万カナダドルの入学時奨学金を受給 | 学業、職歴、リーダーシップなどを含む出願者全体の評価で決定 |
| Melbourne Business School | フルタイムMBAの成績・実績型奨学金は一部支援が中心。留学生向けの授業料全額奨学金も別制度として公表 | 奨学金審査を希望するフルタイムMBA出願者には、有効なGMAT・GREスコアを求める |
GMAT・GREを受けるか迷う場合は、入学条件だけで判断せず、奨学金の審査条件も確認してください。
試験免除で出願できる大学でも、強いスコアを提出することで成績・実績型奨学金の審査に役立つ場合があります。反対に、経済状況型の奨学金では、スコアより収入・資産資料の準備が重要です。
また、大学の奨学金予算には限りがあります。自動審査の大学でも、遅い出願ラウンドでは支援枠が少なくなる可能性があるため、奨学金を重視する人は早いラウンドを検討しましょう。


応募できる奨学金を絞り、大学院出願と同時に準備する
大学院の出願準備に集中し、合格してから奨学金を探すと、国内財団や大学奨学金の締切がすでに終わっていることがあります。
志望国や専攻を考え始めた段階で、大学院の出願締切と奨学金の締切を一つの表にまとめてください。
研究計画、推薦状、英語スコア、GMAT・GRE、志望理由など、大学院出願と奨学金で共通する準備も多くあります。
最初に4つの条件で対象制度を絞る
支援額の大きい順に制度を見るより、対象外となる条件を先に確認した方が効率的です。
| 確認すること | 見る内容 | 注意する例 |
| 課程・応募時の立場 | 修士・博士、講義型・研究型、MBA等の専門職学位、日本居住・海外在住、合格前・在学中 | 1年制修士、MBA、海外在住者、在学者は対象外など |
| 本人の条件 | 年齢、専攻、成績、英語力、実務経験、世帯所得 | 30歳以下、特定分野、実務経験3年以上など |
| 締切・応募経路 | 大学合格前・合格後、個人応募・大学推薦、大学出願との締切差 | 合格後に探し始めると、国内財団の募集が終了している |
| 併給・勤務条件 | 他の奨学金、大学の学費免除、勤務先支援、休職・復職との両立 | 外部奨学金との併給不可、復職予定者は対象外など |
応募できる制度を残したら、志望課程の費用と支援額を重ねます。
自己負担額=修了までの学費・必須費用+生活費+渡航・ビザ等-確定した給付額
学費を全額支援する制度でも、住居費、保険、渡航費が残る場合があります。
生活費が支給されても、入学前の学費デポジット、航空券、最初の住居費は先に支払うことがあります。
併給可能な制度でも、他制度の支援額に応じて給付額が調整されることがあります。
複数制度へ応募できるかと、採用後に同時受給できるかを分けて確認してください。
予算は、奨学金が採用された場合と、採用されなかった場合の2通りを作ります。
後者では、費用の低い国・大学、日本の大学院も候補に残しておくと、結果が出た後に進路を選びやすくなります。

大学院出願と奨学金を一つの予定表で管理する
| 出発までの時期 | 奨学金の準備 | 大学院出願の準備 |
| 1年半~1年前 | 対象制度を洗い出し、締切・応募経路・併給条件を一覧化する | 専攻・国・課程を絞り、英語試験と必要に応じてGRE・GMATを進める |
| 1年前~9か月前 | 国内財団・政府制度の研究計画、志望理由、推薦状を準備する | 志望校を決め、授業、研究環境、指導教員を調べる |
| 9~6か月前 | 奨学金面接、追加書類、大学独自支援へ応募する | 大学へ出願。博士は教員との研究上の相性と資金条件も確認する |
| 合格後 | 支給範囲、併給、報告義務、受給証明の発行時期を確認する | 複数校の学費、生活費、大学から提示された支援を同じ条件で比較する |
選考では制度の目的に合わせて伝える
選考基準は、財団、政府、大学、研究室によって変わります。
| 選考する主体 | 主に示したいこと | 書類でつなぐ内容 |
| 日本の財団 | 財団の目的と本人の将来像が重なること | これまでの経験→留学が必要な理由→帰国後・将来の還元 |
| 政府・国際機関 | 対象分野での実績と、公的な課題への貢献 | 問題意識→学位で得る専門性→制度が目指す社会への貢献 |
| 大学・研究科 | 学業・研究を遂行でき、課程へ貢献できること | これまでの学修・職歴→志望課程の資源→大学で取り組むこと |
| 教員・研究室 | 研究テーマ、方法、技能がプロジェクトと合うこと | 先行研究→研究上の問い→方法・技能→教員との適合 |
ハーバード大学公衆衛生大学院で学んだすみっこさんは、大学院出願と並行してフルブライト奨学金にも応募しました。
推薦状を依頼したい人には、受験の約1年前から連絡。フルブライトの締切に合わせ、出願年の5月末には簡単な研究計画、7月末には具体的なエッセイを提出できるように進めています。
書類の土台にしたのは、なぜこの大学院で学ぶのか、大学院で何をしたいのか、修了後に何をするのかという3つでした。
奨学金と大学院で設問は変わっても、本人の経験、問題意識、留学後の方向性は共通します。推薦者との関係づくりまで考えると、出願直前だけで準備するのは難しいことがわかります。
推薦状の依頼方法は海外大学・大学院の推薦状ガイド、大学院へ提出する文章はStatement of Purposeの書き方も参考にしてください。


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海外大学院の奨学金でよくある質問
海外大学院の奨学金はいつから探せばよいですか?
目安は出発の1年半前です。国内財団や政府奨学金には、大学院の合格前に締め切る制度があります。
応募に英語スコア、研究計画、推薦状が必要な場合もあるため、制度探しと出願準備を同時に始めましょう。
大学院に合格する前でも応募できますか?
制度によって異なります。JASSOや国内財団には入学許可前に応募できる制度があり、合格後の証明提出を条件とします。
一方、本庄国際奨学財団のように、入学許可を得た人や在籍者を対象とする制度もあります。募集要項の「応募時点」と「支給開始時点」を分けて確認してください。
GPAが高くなくても奨学金を取れますか?
最低GPAを定める制度では、基準を満たす必要があります。基準を設けていない財団でも、成績は学修・研究を継続できるかを判断する材料になります。
そのうえで、実務経験、研究実績、社会課題への取り組み、将来計画を重視する制度もあります。成績だけで候補を諦めず、自分の経験と制度の目的が合う応募先を探しましょう。
修士でも学費と生活費を全額支援してもらえますか?
JASSO、チーヴニング、エラスムス・ムンドゥスなど、支援範囲の広い制度があります。伊藤国際教育交流財団も生活費・学費・往復旅費を支援しますが、それぞれ上限があります。
大学・課程・本人の条件によって対象が限られ、採用枠も多くありません。
全額支援だけに絞らず、費用の低い課程、大学の一部免除、国内財団を組み合わせた場合の自己負担額も比較してください。
MBAでも奨学金を利用できますか?
利用できます。しのはら財団はMBAを対象に明記しており、CWAJにもMBA進学者の採用実績があります。条件を満たす正規修士課程であれば、JASSOなどへ応募できる可能性もあります。
大学独自の成績・実績型奨学金や、英国のチーヴニング、オックスフォード大学のクラレンドン奨学金なども候補です。
一方、コースワーク中心のMBAを対象外とする国内財団もあります。課程名だけで判断せず、MBA、専門職学位、1年制課程の扱いを確認してください。
GMAT・GREが高いとMBAの授業料を免除してもらえますか?
大学によっては、GMAT・GREのスコアが成績・実績型奨学金の審査材料になります。
成績、職歴、リーダーシップ、面接、出願書類を含む総合評価で決まるため、特定のスコアだけで授業料免除が保証されるとは限りません。
Harvard Business SchoolやStanford GSBのように、経済状況をもとに大学奨学金を決める学校もあります。志望校の奨学金が成績・実績型か、経済状況型かを先に確認しましょう。
奨学金に落ちた場合、貸与型や教育ローンを使うべきですか?
返済額が将来の収入に対して無理のない範囲か、慎重に判断します。数百万円から1,000万円を超える借入を、未確定の海外就職や年収上昇だけで正当化するのは危険です。
給付型が不採用だった場合は、費用の低い国・大学、日本の大学院、翌年度の再応募も含めて比較します。貸与型は、返済可能性を確認したうえで不足額の一部を補う選択肢として検討しましょう。
社会人・既卒でも海外大学院の奨学金へ応募できますか?
応募できる制度があります。しのはら財団、フルブライト、チーヴニング、CWAJなどは、条件を満たす社会人・既卒者も候補になります。
一方、年齢、日本での居住、現在の勤務・復職予定、実務経験、日本の大学への在籍など、制度ごとに条件が異なります。特に伊藤国際教育交流財団は、勤務を続けたままの留学や現職への復職予定者を原則対象外としているため、社会人は勤務条件まで確認してください。
柳井正財団やトビタテは海外大学院進学に使えますか?
柳井正財団の海外奨学金プログラムは、海外大学の学士号取得を目指す人が対象で、修士・博士課程は対象外です。
トビタテ!留学JAPANの大学生等対象は、日本の大学・大学院に在籍したまま行う留学や実践活動を支援する制度です。海外大学院へ進学して学位を取得する費用には利用できません。
終わりに:奨学金は大学院選びと一緒に考える
海外大学院の奨学金は、制度名を多く知ることより、自分が応募できる制度を見つけ、大学院の費用と締切に重ねることが重要です。
まずは、希望する課程が修士か博士か、講義型か研究型かを決めます。
次に、日本の制度、留学先政府、大学・研究科の支援を調べ、併給後の自己負担額を計算してください。
今すぐ志望校を1校に絞る必要はありません。奨学金が採用された場合、採用されなかった場合の両方で修了まで払える候補を残しておけば、費用を理由に進学の可能性を早く閉じずに済みます。


海外の大学院に行くには?
進学のメリット、修士・博士の違い、出願準備の全体像を整理します。
海外大学院(修士)の費用を10か国で比較
国別の学費・生活費と、修了までの総額を確認できます。
アメリカ大学院の費用
大学が公表する総費用と、一般修士・MBA・博士のお金の違いを解説します。
イギリス大学院の費用
1年制修士の学費・生活費と、修了までの資金計画を整理します。
海外MBAの費用
一般修士とは異なるMBAの学費、機会費用、資金調達を比較します。









