




小学校の英語教育が教科化され、子どもの英語教育の重要性は年々高まってきています。
そんな中、児童英語教育に対する疑問や不安も上がっています。特に、いつから英語教育を始めさせるべきかというテーマについては賛否両論ありますよね。
結論から言うと、子どもの英語教育を開始させる年齢は、早ければ早いほど良いです。
この記事では、こどもの早期英語教育が重要である理由を5つご紹介します。あなたのお子さんの英語教育にぜひお役立てくださいね!
目次
賛成?反対?早期英語教育は必要ない?
子ども英語の早期教育についての意見・ディベートは、賛成や反対がはっきりと分かれています。
まず最初に、早期教育の定義と、世論がどのように英語教育を捉えているか確認しましょう。
そもそも早期教育とは?
そもそも、早期教育という期間はいつのことを指すのでしょうか。
Wikipediaによると、以下のように早期教育の定義がなされています。
早期教育は、脳が柔軟なうちに子供の知的好奇心を促進し、高い吸収能力や順応能力を持つ幼い間に教育を開始すること
出典:Wikipedia
更に、日本における早期教育の理解についても以下のように述べられています。
日本では早期教育と言うと、主に「超早期教育」と「幼児・就学前教育」を指すことが多い。
出典:Wikipedia
従って、早期教育の具体的な年齢としては、0歳~6歳であるということになります。
賛成?反対?英語の早期教育
子どもの英語早期教育については様々な意見があります。文部科学省の調査の一例を見てみましょう。
英語の早期教育に賛成派の意見
英語の習得は日本語が確実に定着したあとだと、ネイティブレベルの英語に達するまでは相当の努力が必要になる。とくに発音やアクセントは小さい時に習得した方がより効果的と考えられる。
出典:文部科学省
英語教育というよりは、英語をコミュニケーションの言語として捉え、第二外国語として英語を捉える事が大切と思います。
出典:文部科学省
このことから賛成派の意見としては、早期教育は、発音やアクセントの習得に効果的であるということ、英語を第二外国語としてシステムに導入していくべきというだということがわかりますね。
英語の早期教育に反対派の意見
次に、英語早期教育を不要とする一般の人の意見がこちらです。
母語獲得時期と同じような方法論で外国語、特に早期英語習得は空理空論で無駄
出典:https://www.fourskills.jp/how-old-result
早く始めればいいというわけでなく、ピアノなどの習得と同じで継続することが大事だと思うので、それができないなら中途半端に始めるべきではない。
出典:https://www.fourskills.jp/how-old-result
これらの意見のように、反対派の意見としては、日本語を獲得する時期に同時進行で英語を習わせるのには抵抗がある、継続していくことが大切なので中途半端に始めるべきではないといった意見があるようです。
子供の早期教育のメリット:論文データも参照

子どもへの英語早期教育に対する意見は様々ですが、幼児の英語教育は、早いうちに始めるほうがメリットも多く、学習効果も高いです。それには、明確な理由があります。
- 英語習得にかかる時間
- スムーズに発音を習得できる年齢には上限がある
- イマージョン教育によりスムーズに英語を習得できる
- 多文化への適応性が高まる
- 年齢があがるにつれ、英語以外で英語を嫌いになりやすい
私の経験を踏まえ、論文やデータなども参照しながらご説明します。
英語教育にかかる膨大な時間
一般的に、語学習得にかかる時間は諸説あるものの、最低3000時間という時間がかかるという定説が有力です。以下のように、専門家も論文にてその説を定義しています。
一般的には、実用的な英語力を身につけるには3,000時間から5,000時間の集中的な学習が必要とされる(Odlin,1992;中島,2006)
出典:大学英語教育におけるTask-Based Instruction(TBI)の可能性と限界 : 学習方略形成と自己調整学習を目指した授業に関する一考察
私たちが中高教育で受ける英語授業の全体的な総時間数を見ると、およそ1000時間という現状です。
また、今年から小学校では3年、4年で外国語活動が各学年35時間増加し、小学5年、6年で外国語活動の時間が35時間減少する代わりに、外国語科の授業が35時間増加します。
従って、小学校3年生~卒業までの英語学習時間は140時間であり、それらを合わせても、たった1140時間。
よほど効率的かつ効果的な授業を実施しない限り、学校教育での英語において実用的な英語が身につくことは期待ができないのです。
乳幼児期は、発育の中で一番本人の自由な時間が多い時期であり、親の努力次第でいくらでも英語に触れさせて上げることが可能です。
そしてまだ脳が柔らかく、英語の発音を簡単に習得できるゴールデンタイムなので、この時間を有効活用しない手はありません。
なので、英語を習得するための必要な時間をきちんと確保するためにも、乳幼児期から英語にできるだけ触れさせてあげることは非常に大事なことなのです。
発音習得の年齢上限
もし自分の子どもに、「ネイティブのような発音を身に着けさせてほしい」と考えているならば、より早期に英語を始めさせてあげる必要性があります。
なぜならば、英語をきれいに発音できる年齢には限りがあり、遅くとも12,3歳までだからです。
「それ以後は習得がきわめて困難になる特定の時期」を「臨界期」と呼んでいる。一般に思春期に入る 12、3 歳頃までを指す。この考え方は、Penfield and Roberts(1959)による脳の可塑性から始まったものであり、人間の脳は 10 歳を越える頃には可塑性が失われていき、この脳の可塑性が失われると、ある能力を身につけるには、たとえどんなに努力をしようとも、その到達度において限界があるとされている。
出典:高橋基治. “第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての一考察: 臨界期仮説と外国語訛りを中心に.” 人文・社会科学論集 28 (2011): 33-56.
また、著者は以下のようにも述べています。
他の領域と比べ、発音能力に関しては、第二言語学習者が臨界期を過ぎて、母語話者並みの発音を習得するのはほぼ不可能に近い、という見解は変わっていない。
出典:高橋基治. “第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての一考察: 臨界期仮説と外国語訛りを中心に.” 人文・社会科学論集 28 (2011): 33-56.
つまり、あなたのお子様も、早くに英語を学ばせることにより、きれいに話すことができるようになるのです!
実際に私は、過去に勤務していた英語教室で、乳幼児の生徒を40人ほど見ていましたが、ほぼ100%のこどもが上手に「R」と「L」を区別しスムーズに話すことができるようになっていました。
保護者様も、「うちの子どもでもできるんですね!」と驚かれたほどです。
また、小学生クラスになると、これも面白いのですが、上手に発音できるようになる子どもは50%くらいになっていました。
発音力は後の英語学習に大いに役立ってくるので、早いうちに舌の使い方を覚えさせてあげましょう!
乳幼児期のイマージョン教育
最近は、子どもをインターナショナルスクールに通わせる親も増えてきています。
そうした環境では、「イマージョン教育」を行っているところが多く、その効果が認められているからです。
イマージョンとは、以下のように定義されます。
イマージョン・プログラム(英: immersion program)とは、未修得の言語を身につける学習方法の一つ。没入法と言われることもある。目標とする言語の言葉だけを習うのではなく、「その言語環境で」他教科を学びその言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語獲得を目指す。
出典:Wikipedia
具体的には、イマージョン教育を用いているキンダーガーデンでは、外国人の先生(または日本人講師がペア)は、英語で歌やダンス、散歩や遊びなど、日本語でもやっているようなことを英語で行います。
小学校においても、英語を用いながら、「国語」や「算数」などの他教科を学びます。
これにより、特に幼児期においては「Hi,Hello!」「Hands up! Hands down!」などの簡単なコミュニケーション・指示文などを自然と理解できるようになり、英語を効率的に吸収できるようになると言われています。
脳が柔らかく、吸収段階にある乳幼児期にイマージョン教育をする効果は十分にあると言えるでしょう。
多文化への適応性
子どもに「世界に通用する人間になってほしい」と考えるなら、早くからできるだけ異国の文化や人に触れさせてあげる機会をたくさん作ることが必要です。
英語を早くから始めることにより、その機会が、英語を習っていない子どもと比べて多くなることが期待できます。
英語ができれば、「世界に通用する人間になる」というわけではありません。「自分のアイデンティティを持ちつつ、他者の考えや価値観、文化を受け入れ、尊重できる力」が必要になってきます。
そして、その「相手を受け入れる力」というものは、年齢が上がるにつれ日本人の社会的価値観や考えにどうしても固執してしまいがちです。「太陽は赤で塗らないとおかしいでしょう」と言ってしまうのです。
乳幼児時期の子どもは、まだそういった「常識や価値観」が画一されていません。
なので、個人差もありますが、「肌が黒い人は黒いのだな」「私は太陽は赤く塗るけれど、この子は黄色なんだな」と、自然にその人自身を受け入れることができるのです。
そうすることで、成長してからも、より様々な価値観をそのまま尊重できることが期待できます。
ただ、家で英語を聴かせている、ということならば、ぜひ近くに住んでいる外国人のお子さんや、他国を紹介するイベントなどに連れ出していってあげてください。
その分、色んな文化を受け入れ、世界でも活躍できる大人に成長していくでしょう。
年齢が上がるほど英語学習の難易度アップ
最後に、子どもにとって英語早期教育が大切な理由は、年齢があがるにつれ、英語以外で英語を嫌いになるきっかけが増えるということです。
通常子どもは、成長していく過程で、様々な価値観や考えを身につけていきます。また、「好き」「嫌い」という自我も強く出てくる時期でもあり、性格もはっきりしてきます。
そんな中で、例えば、小学校3年生から公教育で英語を学び始めた子どもは、様々な感情や考えを持つかもしれません。
- 「英語を発音するのって、なんだか恥ずかしい」
- 「英語で競争するゲームをやるみたいだけど、私は競争なんて好きじゃない」
- 「周りは英語がきちんと話せるのに、自分だけ話せないのは情けない」
などが考えられます。
実際、私が教えていた小学生の中にも、英語は習いたいけど、いざ始めるとパニックになる子がいました。その原因は、「自分の発音が汚い。周りと比較してしまうので辛い」と思っていることでした。
まだ、乳幼児期であれば、他者との関わりのぎくしゃくというものは、基本的にそこまで大きな問題点にはなりません。なぜなら、少なくとも3歳までは「他者=自分」であり、「世界は自分」という認識だからです。
自分と先生、自分と英語との関係が「楽しい!」ものであれば、こどもは英語を続けることができます。これが4~5歳くらいから段々と人間関係を覚え、我慢を覚え、思いやりを覚えていくのです。
小学生から始めるよりは、純粋な好奇心とプラスの感情でぐんぐんモノを吸収していく乳幼児期の方が、英語に溶け込みやすいと言えるでしょう。

» バイリンガル・トライリンガルとは?子供の英語脳を育む子育ての方法
まとめ
いかがでしたでしょうか?
英語教育は、早いうちに始めた方がメリットが大きい理由を解説しました。この記事が、お子様に英語教育を始めさせるきっかになれば幸いです!
早期英語教育の始め方
さて、早期英語教育が本当に必要なことは誰もが同意すると思います。しかし、問題は「どうやって英語を教えるのか」ではないでしょうか?
こちらのサイトでは、バイリンガル育児に精通したプロ、お母さん、アメリカ在住ママが経験やリソースをたくさん共有しています。
是非活用して、お子さんに英語を楽しみながら学んでもらいましょう!
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東京外国語大学の荒川です。幼稚園や英会話教室で子どもがしていることは学校教科ではなくTPRであり、イマージョンの定義にはずれます。また小学校の基礎教科で第二言語を用いるケースがあっても、それは複言語併用であり、これもまたイマージョンの定義には合致しません。論旨をお直しになるか、わたしの論文を論拠として使うのはお止めいただければと存じます。