この記事の著者:May先生
これまでに、独学で勉強して英検1級を取得したり、幼児英語教育に3年間携わったりしてきました。 英語は短期間で身につくものではありませんが、自分に合った学習方法を見つけて上達していく人をたくさん見てきました。 みなさんが英語をより楽しく身につけられるように、私の経験や知識をお伝えできればと思っています。
監修者:ウ メンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。
目次
洋書初心者におすすめの児童書16選
今さら児童文学なんて、と思わないでほしい。洋書の児童文学は、英語の学習にもぴったりだ。
やはり子ども向けということで、大人向けの小説よりも英語が易しいものが多い。洋書初心者でも挑戦しやすいと言えるだろう。もしくは、基礎をしっかり固めたい、という人にもおすすめだ。
紹介した8作品はどれも、子ども向けとはいえ文学的価値が高く、一般教養としても一度は読んでおきたい名作ばかりである。
子どもの頃に日本語で読んだ記憶と照らし合わせながら洋書を読んでいけば、途中で内容が理解できなくなることもなく、最後まで読み通せるはずだ。
20,000 Leagues Under the Se / 海底二万マイル
著者紹介
Jules Verne。ヴェンヌ(1828-1905)はフランスの小説家、詩人、劇作家。主な作品にJourney to the Center of the Earth (1864) Twenty Thousand Leagues Under the Sea (1870) Around the World in Eighty Days (1873)などがある。
作品概要
この作品の邦題は『海底二万里』。
海洋生物の調査をしていて海に投げ出されてしまった博士たちは、新鋭の潜水艦ノーチラス号とその船長モネに救助された。
そのまま一行は潜水艦でさまざまな場所を巡ることになるのだが……。SF冒険小説の草分け的作品。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は96ページ。Lexile指数は440L。
1つの文が短く、主語・動詞がはっきりとしていて読みやすい。潜水艦が舞台ということで、海や船に関わる単語が多く出てくるのが特徴。
この作品だけではないが、本を読んでいると大文字で始まる単語がいろいろと出てくると思う。
それらは人や場所の名前であるのはもちろんのこと、その物語における特定の固有名詞の場合もあるので、その可能性も心に留めておくと理解しやすくなる場合がある。
Little Women / 若草物語
Little Women (A Stepping Stone Book(TM))
著者紹介
Louisa May Alcott。オルコット(1832-1888)はアメリカ人作家であり、特に児童書作家として知られている。また、女性の権利や奴隷制度廃止の支持者でもあった。
1868年に書かれたLittle Womenはオルコットの自伝的小説で、大成功をおさめた。
作品概要
この作品の邦題は『若草物語』。南北戦争時代のアメリカを舞台に、マーチ家の4姉妹の暮らしを描いた。
父親が従軍して家庭を離れているあいだ、美しい長女メグ、ボーイッシュな性格で才能あふれる次女ジョー、内気で病弱な三女べス、おしゃまな四女エイミーは、貧しいながらも仲睦まじい生活を送りながら、次第に成長していく。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は460L。
1つの文はそれほど長くなく、主語・動詞がはっきりしていて文法的にも分かりやすいので、読みやすい文章となっている。
19世紀後半のアメリカを舞台にした作品ということで、日本の現代生活にはないようなことを英語で理解するのは難しいかもしれないが、その当時を想像しながら読み進めていきたい。
作品中には会話が多く出てくるが、こちらも現在の英語圏の人びとのカジュアルな会話というよりも、文学作品の中での会話というふうに捉えた方がいいかもしれない。
Great Expectations / 大いなる遺産
著者紹介a
Charles Dickens。ディケンズ(1812-1870)はイギリス人作家。工場で働くために学校を続けることができなかったにも関わらず、数々の作品を残した。
作家業のみならず、子どもの権利や教育、社会改革のためにも熱心に活動した。
作品概要a
この作品の邦題は『大いなる遺産』。
物語は、主人公の少年ピップがある日、脱走した囚人と墓地で出会い、食べ物などを持ってくるように頼まれるところから始まる。
その後ピップはエステラという女性に恋い焦がれるようになる。しばらくして、ピップは巨額の遺産を受け取ることになると知らされたのだが……。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は460L。
文法的に多少分かりにくいところがあるかもしれないが、内容を理解するのに困難なほどではないだろう。
1860年ごろの作品ということで、現在の日常生活ではあまり見かけないようなものや、英語の言い回しも出てくるが、そういった英語表現を感じることができるのも古典作品の面白さである。
物語の展開が早く、飽きることなく読めそうな作品だ。
The Adventures of Tom Sawyer /トム・ソーヤーの冒険
著者紹介
Mark Twain。トウェイン(1835-1910)はアメリカ人作家である。
アメリカ、ミズーリ州で育ち、そこがThe Adventures of Tom Sawyerやその続編であるThe Adventures of Huckleberry Finnの舞台となった。
作品概要
この作品の邦題は『トム・ソーヤの冒険』。
1840年頃のミズーリ州を舞台に、主人公のトム・ソーヤが仲間のハックルベリー・フィンたちと共に、さまざまな冒険を繰り広げるエピソードが描かれている。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は480L。
1つの文は長くなく、複雑な文法もそれほど出てこないので読みやすい。いたずらっ子のトムを描写するのにさまざまな形容詞や表現が出てくるのが面白いところだ。
作品中の会話には現在の英会話のも応用できそうな言い回しが多く使われていて勉強になる。特にトムを叱るときのポリーおばさんの言い方は、そのまま真似できてしまいそうだ。
The Wizard of Oz / オズの魔法使い
The Wizard of Oz (A Stepping Stone Book(TM))
著者紹介
L. FRANK BAUM。ボーム(1856-1919)はアメリカの児童文学作家。
劇場や新聞社などでさまざまな仕事をした後、1900年にThe Wonderful Wizard of Ozを出版して、一夜にして成功をおさめる。ボームはこの他にも9つのファンタジー作品を執筆した。
作品概要
この作品の邦題は『オズの魔法使い』。
アメリカ・カンザス州に暮らす主人公のドロシーは愛犬のトトと家ごと竜巻に吹き飛ばされ、オズの国にたどり着いた。
故郷に戻る唯一の方法はオズの魔法使いに頼むことだと知らされたドロシーは、オズの魔法使いが住むというエメラルドの都を目指す。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は570L。
文法が多少複雑なところもあるが、1つずつの文はそれほど長くないので理解に困るほどではないだろう。
どんな洋書を読む場合でも、出てくる単語を全て知っているというのはなかなか難しいが、特に動詞は語彙力があればあるほど全体的な内容が理解しやすくなる。
この本は特にさまざまな動詞が出てくる印象を受けるので、ストーリーを追いながら動詞の語彙力を強化できるだろう。
Gulliver’s Travels / ガリバー旅行記
著者紹介
Jonathan Swift。スウィフト(1667-1745)はアイルランドのダブリン出身で、人生のほとんどをそこで過ごした。
風刺作品や随筆、詩を書いたほか、政治パンフレットも作成し、司祭でもあった。Gulliver’s Travelsで大成功を収めた。
作品概要
この作品の邦題は『ガリバー旅行記』。もともとは風刺小説であり、児童文学として書かれたものではなかった。
主人公のガリバーが、小人が住むリリパット国や、巨人が住むブロブディンナグ国などを旅する旅行記である。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は590L。
多少複雑な文法も出てくるが、1つの文がそれほど長くないので、落ち着いて読めば理解するのは難しくないはずだ。
出版は1700年代初期であるにも関わらず、文章からは古めかしい印象を受けることもなく読みやすい。現代の小説にも出てくるような英語表現も豊富に含まれている。
この作品のみならず、洋書には日本では使用しない単位が出てくることがよくあるので、その単位がどの位の大きさなのかを調べると、イメージが掴みやすくなる。
Mysteries of Sherlock Holmes / シャーロック・ホームズ
著者紹介
アーサー・コナン・ドイル。ドイル(1859-1930)はイギリスの作家。もともとは医者であった。
シャーロック・ホームズを主人公とした探偵小説で有名であり、これらの小説は犯罪フィクション小説における大きな節目とされている。
作品概要
今回紹介している本は、シャーロック・ホームズを主人公としたThe Adventure of the Blue Carbuncle(青い紅玉)、The Adventure of the Speckled Band(まだらの紐)、The Red Headed League(赤毛連盟)の3作品で構成されている。
貴重な青い宝石を飲み込んだガチョウの秘密とは? 女性は密室でいかに殺されたのか? なぜその連盟は赤毛の人だけを受け入れるのか?
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は96ページ。Lexile指数は690L。
推理小説を読むのが好きで、シャーロック・ホームズを原文で読むことに挑戦したいという人は多いのではないだろうか。
ただ、大人向けの本はなかなか難しい。理解できない部分があると、肝心な推理の場面に影響がでるからだ。
その点、今回紹介している本なら、推理小説とは言ってもそれほど難しくないので、理解しやすいはずだ。物語の面白さは残したまま、推理小説を読む良い練習となるだとう。
The Secret Garden / 秘密の花園
著者紹介
Frances Hodgson Burnett。バーネット(1849-1942)はイギリス生まれだが、アメリカへ移住し作家になった。
多くの児童書を残し、特にLittle Lord Fauntleroy(小公子)A Little Princess(小公女)そして本作が有名である。
作品概要
この作品の邦題は『秘密の花園』。
おじの屋敷に預けられたメアリー・レノックスは、ある日、花園に続くドアを見つけた。そこは、おばが亡くなって以来10年間も閉ざされたままだったのだ。
さらにメアリーは、屋敷の他の部屋からは離れた場所で暮らしている、いとこのコリンに出会うのであった。
May先生おすすめの理由
今回紹介している本のページ数は112ページ。Lexile指数は870L。
文法は多少複雑で、1つの文も長めになる。あまり馴染みのない単語も出てくるので、少し難しいと感じる部分もあるかもしれないが、じっくり読んでいけば理解できるはずだ。
文章からは全体的に、古典的な文学作品という雰囲気を感じる本であり、これからどんどん大人向けの洋書を読んでいきたいという人には良い練習となるのではないだろうか。
A CHRISTMAS CAROL / クリスマス・キャロル
Penguin Readers: Level 2 A CHRISTMAS CAROL (Penguin Readers, Level 2)
Charles Dickens(1812-1870)はイギリスのポーツマス出身の作家。12歳の時に父親が逮捕されると、学校をやめて働き始めた。
その後、学校へ戻るが、15歳で卒業すると、仕事をしながら夜間に勉強を続けた。1830年からは記者の職に就き、1836年には最初の本を出版した。
内容概要
スクルージは冷たくて、情のない男だ。金が好きで、人嫌い。クリスマスも全然好きではない。
しかし、スクルージのもとに幽霊たちが現れて、彼に自分の過去の人生、現在の人生、そして起こりうる未来を見せる。
スクルージは幽霊たちから何を学ぶのか? そしてスクルージは変わることができるのだろうか?
May先生おすすめの理由
この本はPenguin Readersのなかの1冊である。みなさんも、ペンギンの小さな絵が描かれた洋書を1度は目にしたことがあるかもしれない。
Penguin Readersは英語学習者向けにレベル分けされた洋書である。レベルは主要語数や文法などによって7段階あり、それぞれのレベル内に『現代文学』『古典文学』『オリジナル作品』が含まれている。
ここで紹介しているA CHRISTMAS CAROLはそのLevel 2である。主要語数600語で、比較級、過去形、接続詞でつながれた文章構造などが出てくる。基礎をしっかり確認したい方におすすめ。
また、ページ数も48ページと短いので、洋書初心者でも挑戦しやすい1冊。
Mary Poppins / メリー・ポピンズ
著者 P.L. Travers、イラスト Mary Shepard
P.L. Travers(1899-1996)はオーストラリアのクイーンズランドで生まれた作家である。もともとの名前はHelen Lyndon Goffである。
初めは女優として働き始めるが、その後、彼女の詩が雑誌で取り上げられるようになる。イギリスへ移住すると本格的に執筆活動を開始し、1934年に最初の本を出版した。
内容概要
メリー・ポピンズが到着したとたん、バンクス家の日常はすっかり変化した。
すべては、メリー・ポピンズが東の風に吹かれて、バンクス家の玄関先に降り立つところから始まる。メリー・ポピンズはジェーンとマイケルと双子の子ども達にとって、一番普通じゃない乳母となるのだ。
階段の手すりを滑り『上ったり』、肘掛け椅子を空っぽのカバンから取り出したりするなんて、メリー・ポピンズ以外に誰ができるだろうか?
May先生おすすめの理由
映画『メリー・ポピンズ リターンズ』が公開されるなど、最近再び話題のメリー・ポピンズの洋書である。英語の難易度はTOEICスコアに換算すると200以下くらいだ。
出てくる単語は基本的なものが多いが、文章構造は少し複雑な部分もある。
ファンタジックな物語を楽しみながら、ダッシュ(――)やイタリック体を使った意味の強調など、英語ならではの書き方に慣れていこう。
Charlotte’s Web / シャーロットのおくりもの
著者紹介著者 E.B. White、イラスト Garth Williams
E.B. White(1899-1985)はニューヨーク出身の児童書作家。数々の賞を獲得したが、なかでも1970年には児童文学に大きく貢献したとしてローラ・インガルス・ワイルダー賞を獲得した。
アメリカ・メイン州にある自身の農場で多くの動物を飼育していたため、作中にそれらの動物が登場することも多い。
内容概要
女の子のファーンと、小ブタのウィルバー、クモのシャーロットは大の仲良し。ところが、ウィルバーの命が危険にさらされることに。
かしこいシャーロットは、ネズミのテンプルトンの助けも借りながら、ウィルバーを救うために立ち上がる。
May先生おすすめの理由
英語の難易度を示すLexile指数は680L。TOEICのリーディングスコアに換算すると200以下くらいだ。
簡単な単語と規則に基づいた文法を理解できれば読むことができるレベルなので、これから洋書を読んでいきたいという方におすすめ。
英語の難易度は低いが、ページ数は272ページあるので、長い英文章を読む練習にもぴったりだ。会話文が多い物語なので、楽しく読むことができそうだ。
Winnie-the-Pooh / くまのプーさん
著者紹介著者 A.A. Milne、イラスト Ernest H. Shepard
A.A. Milne(1882-1956)はイギリスのロンドン出身の作家。ユーモア溢れる作品を残した。大学では数学を専攻し、卒業後はフリーランスの執筆家として生計を立てた。
第一次世界大戦に従軍したが、病気にかかり戦地を離れた。その後、コメディーや劇を執筆したが、『Winnie the Pooh』が代表作である。
内容概要
クリストファー・ロビンと、プー、ピグレット、ティガー、イーヨーといった動物のぬいぐるみたちの冒険の物語。
物語は、プーが高い木のてっぺんにあるハチの巣から、はちみつを取ろうとするところからはじまる。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は790Lで、TOEICリーディングスコアにすると300以下くらいだ。
中級レベルまでの単語がわかり、基本的な文章構造が理解できる人向け。これから徐々に難しい文章を読んでいきたいという人に、ちょうどいいのではないだろうか。
クマのプーさんというと、キャラクターでお馴染みだが、本は読んだことがないという人も多いのでは? かわいらしいキャラクター同様に、文章もリズミカルで、読んでいてとても楽しい作品だ。
CDのオーディオブックも販売されているので、音読の練習にもちょうどよさそうだ。
Matilda / マチルダ
著者紹介著者 Roald Dahl、イラスト Quentin Blake、Daniela Jaglenka Terrazzini
Roald Dahl(1916-1990)はウェールズ出身で、イギリス人の児童書作家である。大学へは行かず、ニューファンドランドへの遠征に参加した。
現在のタンザニアで数年働いたのち、第二次世界大戦では空軍でパイロットとして活躍した。同じく空軍に参加していた作家から執筆を勧められたことがきっかけとなり、様々な本を執筆した。
内容概要
マチルダは賢く、敏感な子どもだ。しかし、両親はマチルダのことを厄介者と思っている。
ある日、憎らしいトランチブル校長から攻撃されたマチルダは、突然、自分には驚くべきパワーがあることを発見して、敵を討ちはじめる。
May先生おすすめの理由
英語の難易度を示すLexile指数は840L。TOEICリーディングスコアに換算すると、200から300の間くらいだ。
文章そのものはそれほど難しいわけではないが、中級レベルの単語が出てくるので、少しずつ語彙力を増やしたい方にもおすすめだ。
AmazonのAudibleも販売されており、ナレーションをハリウッド女優のケイト・ウィンスレットが務めているというのも、とても興味深い。Audibleを使って、本からだけでなく、耳からも語彙を増やしてみては?
Pippi Longstocking / 長くつ下のピッピ
著者紹介Astrid Lindgren(1907-2002)はスウェーデン人の作家。卒業後は新聞社などで働いた。代表作『Pippi Longstocking』はもともと1950年にスウェーデン語で出版されたが、その後、多くの言語に翻訳された。
その作家人生において100冊以上もの詩や劇、小説を残し、1958年には国際的な児童文学賞である国際アンデルセン賞を獲得した。
内容概要
トミーとアニカの近所に新しい友達がやってきた。赤毛で、顔にはそばかすのある『長くつ下のピッピ』だ。ピッピのお下げはいつも上を向いていて、ピッピにはあれこれ言う両親もいない。
そして、3人の子ども達は、賑やかで愉快な冒険を始める。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は870Lで、TOEICリーディングスコアは300以下くらいになる。基本的な単語や文法構造のほかに、少し複雑な単語や文法も出てくる。
ただ、1文が短いので、読みやすい文章のはずだ。小説によく出てくる倒置法がところどころ出てくるので、よく分からないという人は文法を確認しておくとよさそうだ。
意味が強調されたり、児童文学のリズムの良さが感じられたりする部分で、慣れてしまえば混乱することなく読めるはず。
A Little Princess / 小公女
著者紹介著者 Frances Hodgson Burnett、イラスト Scott McKowen
Frances Hodgson Burnett(1849-1924)はイギリスのマンチェスターで生まれた。1854年に父親が死亡し、苦しい生活環境で育った。
1865年に一家でアメリカへ移住すると、その数年後には執筆活動を開始。劇や小説を執筆した。
内容概要
サラはイギリス軍に所属する父親とともにインドで暮らしていたが、インドの厳しい気候条件のため、イギリスの寄宿学校に送られることとなる。
裕福な父親はサラが快適に生活できるよう、特別な計らいをしていた。恵まれた環境で育ったにもかかわらず、サラは親切で、気前がよく、賢い女の子だった。
しかし、父親が金をだまし取られたのちに死亡し、他に身寄りのないサラは孤児になってしまい……
May先生おすすめの理由
Lexile指数は940Lで、TOEICリーディングスコアに換算すると200から350くらいになる。中級レベルの単語や、複雑な文法構造も理解できる人向けだ。
現在の日常生活ではあまり使わないような単語も出てくるので、語彙力が広がりそうだ。1つの文がかなり長いので、関係代名詞や文の構造をしっかり理解しながら読み進めよう。
The Time Machine / タイムマシン
The Time Machine (AmazonClassics Edition) (English Edition)
H.G. Wells(1866-1946)はイギリスのケント出身の小説家、ジャーナリスト、社会学者、歴史学者。特にSF小説やコミック小説で有名。
1895年に発表した『Time Machine』でたちまち世間に認められ、この作品は現在でもSF文学の傑作の1つとされている。
内容概要
タイムトラベラーがタイムマシーンから初めて一歩外へ踏み出すと、そこは802700年で、すべてがすっかり変わっていた。そこはまるで理想の国で、生命体はみな完璧に調和して暮らしていた。
それらの生命体を研究して、自分が来た時間に戻ろうと考えていたタイムトラベラーだったが、その唯一の帰り道である発明が盗まれてしまったことに気づくのだった
May先生おすすめの理由
完璧な児童文学というわけではないが、ここでSF小説を1作品紹介する。
Lexile指数は1010L。TOEICリーディングスコアに換算すると300から400のあいだくらいになる。難しい語彙や例外的な意味が分かり、普段あまり使わないような文法構造も理解できる人向けだ。
語彙力の向上、そして複雑な文章の理解と、さらに英語力をアップさせたい方に、ぜひ挑戦してほしい1冊だ。
ページ数は128ページと、小説にしてはそれほど長くないので、英語学習目的と考えるとちょうどいい長さかもしれない。
自己啓発系おすすめ洋書8選
自己啓発本はself-help booksと呼ばれる。読者の内面的問題や仕事に対して、助けを与えることを目的に書かれた本である。
自己啓発本が英語学習にとって良い点の1つに、新しく覚えた語句が頭に残りやすいということがある。ただ本を読んでいるだけだと、新しい語句はなかなか覚えにくいもの。
このジャンルの本を読んでいると、ただ読むだけではなく、どうしても自分の状況に当てはめて本の内容を考えようとする。
そうやって考える過程において、本から学んだ新しい語句を自然と覚えていくし、別の状況で同じ語句が出てきたときも思い出しやすくなるのだ。
普段あまり自己啓発本は読まないという方もこれを読んで興味をそそられる本に出会ったら、一度読んでみてはいかがだろうか?
The Greatest Secret in the World
Lexile指数
1010L、TOEICリーディングスコア300から400くらいまで
著者紹介
Og Mandino、マンディーノ(1923-1996)はアメリカ人の著作家。第二次世界大戦中は空軍に所属し、パイロットとして従軍した。終戦後セールスの仕事に就くが、アルコール依存症となる。
ある日、図書館で1冊の自己啓発本に出会ったことをきっかけに立ち直り、以後、著作家、講演者として成功をおさめた。
作品概要
前作『The Greatest Salesman in the World』の内容を受けて、実際にどのような行動をしていくべきかを示した本。日々の成長を記録に残し、個人的かつ経済的成功のために、永続的に人生を変える秘訣を見つける手助けを与えてくれる。
May先生のおすすめの理由
簡単な語彙が理解できるとともに中級程度の語彙もある程度分かり、基本的な文法構造の文章が読める人向けの本。
所々読み慣れない単語が出てくるが、それぞれの文はそれほど長くないので、きちんと確認しながら読めば理解できるはず。堅苦しい文章ではない反面、カジュアルな言い回しは理解しにくいと感じる方もいるかもしれない。
たいていの語句は辞書をひけば載っているはずだが、文章に当てはめてもしっくりこないと感じたら、インターネットで調べてみるのもいいだろう。
ネイティブがその語句を使用する際のニュアンスを解説しているサイトもあるので、いいヒントが得られるかもしれない。
The Happiness Project / 人生は「幸せ計画」でうまくいく!
Lexile指数
1050L、TOEICリーディングスコア300から400くらい
著者紹介
Gretchen Rubin、ルービンは著作家。アメリカのカンザス出身。かつては法律の分野で仕事をしていた。
多くの著書を執筆しており、それらは30か国語以上に翻訳され、世界中で300万部以上を売り上げている。現在ではニューヨークで夫とともに暮らしており、2人の娘がいる。
作品概要
本当の満足につながるものは何なのか――それを見つける試みを、1年間にわたって追跡した本。最新科学や伝統哲学、それらを実際どのように適応するのかが1つずつ記されている。
著者が変化していく記録は読んでいて惹きつけられ、誰にとっても極めて関係の深い内容となっている。
May先生のおすすめの理由
簡単な単語に加え、やや難しい単語も多少分かり、基本的な文法構造は理解できている人向けの本。
本の構成としては、1月から12月まで章が1か月ずつに分かれていて読みやすい。『幸せプロジェクト』として著者が実際に1か月ずつテーマを決めて取り組んだことが書かれている。それぞれテーマがはっきりしているので理解しやすく、初めて自己啓発本を英語で読むという人にもおすすめだ。
英語学習の観点から言えば、理念のみでなく実際の行動に基づいて書かれた本なので、出てくる語句も生活に即していて学習しやすい。
Learned Optimism: How to Change Your Mind and Your Life
Lexile指数
1050L、TOEICリーディングスコア300から400くらい
著者紹介
Martin E.P. Seligman
セリグマンは1942年ニューヨーク出身。ペンシルベニア大学で心理学の博士号を取得した。他の大学で助教授を務めたのち、ペンシルベニア大学へ戻り心理学を教えた。
1998年にポジティブ心理学を発議したため、ポジティブ心理学の父とされる。著書も多数執筆している。
作品概要
20年以上にわたって臨床研究を続けてきた著者が、楽天主義がいかに人生の質を高め、そして誰でも楽天主義を身につけることができることを示した1冊。
この本に紹介されているシンプルなテクニックは、うつ状態を断ち切り、免疫システムを押し上げ、潜在能力を呼び覚まし、より幸せになる手助けとなることだろう。
May先生のおすすめの理由
初級から中級にかけての単語が分かり、基本的な文法構造の文章が読める人向けの本。
専門的な単語も少なく、とても読みやすい文章となっており、自己啓発本に関わらず、まだあまり洋書を読んだことのない人にも挑戦しやすい本である。
この本の題名に出てくるoptimismという単語は自己啓発においてのみならず頻繁に目にする単語であり、日常生活の会話に出てくることもあるのでぜひ覚えておこう。
新しい単語を覚えるときは、例えばoptimismの反対語のpessimismや、語尾が変化したoptimist、optimisticなどをまとめて覚えるようにすると、記憶に残りやすいし思い出しやすくなる。
Blink: The Power of Thinking Without Thinking
Lexile指数
1100L、TOEICリーディングスコア350から445
著者紹介
Malcolm Gladwell、グラッドウェルはカナダ人ジャーナリストでニューヨークを拠点に活動している。1963年イギリス生まれで、6歳のときにカナダへ移住した。
1996年から雑誌ニューヨーカーの記事を書いているほか、4冊の本も出版した。雑誌タイムが選出する世界で最も影響力のある100人の1人に選ばれたこともある。
作品概要
なぜ常に正しい決断を下せる人とそうでない人がいるのだろうか? なぜ直感に従って行動して成功する人もいれば、いつも失敗に終わる人がいるのだろうか?
実は人は考えることなく考え、瞬時に下しているように見える選択も本当はそんなに単純なことではないということを教えてくれる1冊。
May先生のおすすめの理由
基礎はもちろんのこと、中級レベルの単語や普段あまり使わないような文法構造も理解できる人向けの本。
1つずつの文や段落が長いところもあるので、丁寧に読み進めるようにしよう。
この本の特徴の1つに、実例が多く記載されていて人名がたくさん出てくることがある。見たことがない名前が出てきたら、インターネットなどで性別と読み方は確認しておいた方が、読んでいて混乱せずに済むだろう。
名前について調べていると、その名前の発祥や多く名付けられる人種も分かるので、特に小説を読んでいるときはその人物のイメージを思い浮かべやすくなる。
The Power of Habit: Why We Do What We Do in Life and Business
Lexile指数
1150L、TOEICリーディングスコア350から445
著者紹介
Charles Duhigg、デュヒッグは著作家。イェール大学やハーバード・ビジネススクールで学んだ。
長年にわたりニューヨーク・タイムズのリポーターを務め、2013年にはピューリッツァー賞を受賞した。現在でも本を執筆するのみならず、様々な雑誌の記事も書いている。
作品概要
なぜ習慣は存在し、どうすればそれを変えることができるのかを科学的に説明した本。
日常的に運動し、体重を減らし、もっと生産的になって成功を収めるカギは、習慣がいかに働くのかを理解することにある。
この新しい科学を解き放つことによって、ビジネスも地域社会も人生をも変えることができるということを、この本は示している。
May先生のおすすめの理由
基本から中級レベルまでの単語が分かり、少し複雑な文法構造であっても文章を理解できる人向けの本。
英語のリーディング練習のためにこの本を読むというのはもちろんのことだが、habit(習慣)について書かれた内容は、学習を習慣化し英語を身につけたい方には非常に興味深い内容だろう。
また、この本の題にある『what we do』のwhatの使い方(文法的に言えば疑問詞の名詞節)も、洋書を読んでいると頻繁に出てくるので、理解があやふやな人はしっかり確認しておこう。
A Whole New Mind
Lexile指数
1150L、TOEICリーディングスコア350から445
著者紹介
Daniel H. Pink、ピンクは著作家。大学卒業後は政界で働き、1995年から1997年までは当時のアル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。
多くの書籍を執筆しており、それらの本は数多くの賞を獲得しているほか、38か国語に翻訳されている。現在は妻と3人の子どもとともに、ワシントンで暮らしている。
作品概要
未来を手にするのは、他の人々とは違うマインドを持った、他とは違う人々だ。
つまり、芸術家や発明家や著作家などの創造的でホリスティックな『正しい脳』を使って考える人々であり、この能力が前に進める人と進めない人とを分けるのである。
世界中からの研究に基づいて、仕事の成功と個人的に満ち足りた人生を送るために絶対必要な6つの基本的能力を説明する1冊。
May先生のおすすめの理由
中級程度までの語句が理解でき、文法構造も基礎から少し複雑なものまで読むことができる人向けの本。
多少見慣れない単語も出てくるとは思うが、どれも自己啓発本には頻繁に出てくる単語ばかりなので、自己啓発本を英語で読むのは初めてという人にも挑戦しがいのある1冊である。
この本に出てくる脳や認識に関する専門用語の中には日本語でも知らないような語句もあるかもしれないが、そういった単語の意味を自分で調べることで、より記憶が確かなものになっていくことだろう。
The Power of Mindful Learning / あなたの「天才」の見つけ方ーハーバード大学教授がこっそり教える
Lexile指数
1270L、TOEICリーディングスコア400から495
著者紹介
Ellen J. Langer、ランガーは社会心理学者である。女性教授として初めてハーバード大学の心理学科で終身在職権を手にした。
これまでに11冊の著書を出版しているほか、教育機関や公共のイベントにおいて多くの講演を行っている。その研究から『マインドフルネスの母』と呼ばれる。現在はアメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。
作品概要
この本は学習に対するあなたの見方を永遠に変えてしまうかもしれない。ビジネスでもスポーツでも、研究施設や家庭においても、間違った認識が学習の足かせとなっている。
著者は自身の研究から得られた興味深い事例に基づき、マインドフルネスという考え方を使って私たちの学習方法を劇的に向上させる。好奇心旺盛で知的冒険を求めるすべての人におくる1冊。
May先生のおすすめの理由
普段あまり使わないような語句、そして文法構造が含まれる文章であっても読むことができる人向けの本。
1文が少し長かったり、関係代名詞などで複雑に感じる文も含まれたりしているが、堅苦しい文章ではないのでそれほど読みにくくはないはずだ。
学習に関するこの本は、英語を勉強中の方々にとって非常に興味深いに違いない。この本の題にもなっている『mindful』という言葉は日本語としても最近よく使われるようになってきているので、ぜひ覚えておこう。
Finding Flow: The Psychology Of Engagement With Everyday Life
Lexile指数
1280L、TOEICリーディングスコア400から495
著者紹介
Mihaly Csikszentmihalyi、チクセントミハイは1934年に現在のクロアチアで生まれた心理学者。22歳のときにアメリカへ移住した。
シカゴ大学で心理学を学び、1969年から2000年まで同大学で教授として働いた。フローの概念を提唱したことで有名。著書も多数執筆している。
作品概要
なにが良い人生をつくるのだろうか? お金? 仕事? 休暇? 著者はこういったものに固執することで、人は進むべき道を見失うという。
ではなにが重要なのか? その答えは、心理学用語でフローという、完全にのめり込んだ状態が持つ隠された力にあった。単純なようで、実は人生をも変えるような教訓を秘めた1冊。
May先生のおすすめの理由
基本的な単語から例外的な意味を持つ単語まで理解することができ、複雑な文法構造の文章も読むことができる人向けの本。
多少複雑な文章ではあるが、英語のリーディング力アップのためにぜひ挑戦してみてほしい。この本に登場する『フロー』というのは心理学では非常に有名な概念であり、実は普段の生活の中でも見られるものである。
リーディング練習や新しい英単語を覚えるだけでなく、洋書を読んで今まで知らなかった知識を得ることできるのは、読書の本質的な楽しみだろう。
気になることがあったらその本だけで終わらせるのではなく、英語で書かれたホームページを読むなどすると、さらに学習が広がっていくはずだ。
おすすめ英語雑誌8選
今回おすすめするのは英語の雑誌である。
海外の雑誌は、掲載されている写真が日本のものとは雰囲気が違って、眺めているだけでも面白いものだが、英語のリーディングの教材としても効果的なのだ。
日本と同様に、英語で書かれた雑誌にもファッション・料理・スポーツ・ビジネスなど様々なジャンルがある。幅広い分野の記事を読むことで、豊富な語彙力を身につけることができる。
また、今回取り上げた雑誌はどれもウェブサイトを併設している。紙媒体の方が学習中に英語の意味やちょっとしたメモを書き込めて便利だが、ウェブサイトにはまた別の良さもある。一番の利点は何と言っても情報が新しいこと。
特にニュースは最新のものをチェックすることで、時事英語を学べるだけでなく、英語での会話のネタ作りにもなる。ウェブサイトによっては、動画が見られたり、メルマガを配信していたりするものもあるので、そうしたツールを使うのもおすすめだ。
さらに、雑誌によっては、日本にいても定期購読できる場合もあるので、英語を読む量を増やしたいという方は検討してみてはいかがだろうか。
Runner’s World
ウェブサイト
https://www.runnersworld.com/
概要
Runner’s Worldはその名の通り、ランナー向けに発行されている月間雑誌である。
ランナーの性別やレベルを問わず、健康管理やランニングシューズの選び方、レースやイベントについてなど、様々な情報をランニング好きの人々に提供している。
May先生おすすめの理由
Runner’s Worldでは健康・怪我・栄養・シューズなどのランニングギアといった、ランナー向けの様々なトピックを読むことができる。
英語学習の面で特に役立ちそうなのは、身体の部位や筋肉などの名前が多く出てくることだ。大まかな身体の部位の名前は学校で習ったと思うが、細かい名称は知らないままになっている人が多いのではないだろうか。
ビジネスや日常生活において頻繁に使用する単語ではないが、怪我など万が一の場合に役立つ英語である。
この他に、ランナーのインタビュー記事は文章量が長めで読み応えがある。また、Runner’s Worldは雑誌とウェブサイトのみならず、独自のYouTubeチャンネルも開設している。
ランナーでなくともスポーツや運動をする方なら興味のありそうなトピックの動画を、どれも3分ほどで視聴することができるので、こちらもおすすめだ。
National Geographic
ウェブサイト
https://www.nationalgeographic.com/
概要
National Geographicは1888年創刊の月刊誌。地理や自然、科学などに関する記事を掲載している。
現在では世界180か国以上で販売されており、日本語版もある。表紙の黄色の縁取りが特徴的なことから「イエロー・ボーダー」とも呼ばれる。
May先生おすすめの理由
日本でもお馴染みのNational Geographicは、自然や生物に関する記事というイメージが強い雑誌かもしれないが、それだけではない。例えば、2018年8月号では、睡眠を科学的に検証した記事やイエメンの情勢など、興味深い様々な記事を読むことができるのだ。
写真が美しいのもこの雑誌の特徴で、読んでいて飽きることがない。この雑誌を読む事で英語のリーディングの学習になることは言うまでもないが、National Geographicは英語教育の分野にも関わっている。
日本語版のウェブサイトには独自の英語教材や翻訳講座の情報も載っている。雑誌を読んで気に入ったら、本格的にNational Geographicを通じて英語を学んでみてもいいかもしれない。
Rolling Stone
ウェブサイト
https://www.rollingstone.com/
概要
Rolling Stoneは音楽、政治、ファッション、エンターテインメントを扱う雑誌として1967年にアメリカで創刊された。
現在は隔週で発行され、アメリカのみならず世界中で人気を集めている。日本版を含む海外版も発行されている。
May先生おすすめの理由
Rolling Stoneといえば音楽のイメージが強いが、実は映画やその他の文化作品、さらには政治にいたるまで、様々な記事を掲載しており、1冊で多くのジャンルの英語に触れることができる雑誌である。
とはいえ、やはり特徴的なのは音楽に関する記事だろう。特にミュージシャンのインタビュー記事では発言がそのまま文字に書かれている場合が多いので、自然な言い回しや普段の話し言葉を学ぶことができる。
友人や同僚とのカジュアルな会話においては、教科書で習うきちんとした会話よりも、こうした雑誌から身につけた語彙や表現の方が役に立つことも多い。
Rolling Stoneには雑誌やウェブサイトの他にYouTubeチャンネルもある。こちらの動画も、格式ばったインタビューというよりも、ミュージシャンがいつも通り話しているといった雰囲気の中で様々な会話表現を聞くことができるのでおすすめだ。
Newsweek
ウェブサイト
https://www.newsweek.com/
概要
Newsweekは80年以上にわたってニュースを世界中に届け続けている。その報道は最新ニュースから世界情勢、テクノロジーや経済、文化、政治と多岐にわたる。
英語版の週刊誌のほか、日本語、韓国語、スペイン語などでも発行されている。
May先生おすすめの理由
Newsweekは英字新聞を読む要領で、時事英語を学ぶことのできる雑誌である。ニュース記事の内容を正確に理解しながら読むことは、例えば英語の試験を控えている方にとってもよい練習となるはずだ。
初めて英語のニュース記事を読む方が分かりにくいと感じるのは、タイトルの部分ではないだろうか。この雑誌や新聞などのニュース記事のタイトルでは、限られた語数内でその内容を伝えるために、文法的に必要な語が省略されている場合が多い。
そのため、初めは不自然に感じたり、うまく理解できなかったりするのである。慣れてくれば何が省略されているのか分かるようになってくるので、多くの記事を読んで親しむことをおすすめする。
Newsweekには難しいニュースばかりでなく、海外セレブの話題や日本でもお馴染みの海外ドラマの記事もあるので、ぜひ読んでみよう。
Real Simple
ウェブサイト
https://www.realsimple.com/
概要
Real Simpleは2000年に創刊され、現在では毎月800万人以上もの人々に読まれている。
主に忙しい女性をターゲットとして、料理、インテリアやガーデニング、ファッションや健康など様々な分野の情報を提供している。
May先生おすすめの理由
Real Simpleには欧米の雰囲気たっぷりの写真が豊富に掲載されていて、眺めているだけでも十分楽しめそうだが、英語学習においても有益な雑誌である。
例えば、料理のレシピの記事を読んでみると、意外と知らない単語が多いことに驚かされるかもしれない。日本では使わない単位や、馴染みのない材料名、調理方法を説明する動詞などは、知らないままになっていることも多いものだ。
可能ならば一度実際に調理してみると、英語をただ文字として学習するよりも、しっかり身につけて覚えることができる。
その他にもReal Simpleには家事などの様々な記事が掲載されているので、ホームステイなど海外での生活を控えている方は、一読されてみると日常生活にまつわる英語表現をたくさん学べることだろう。
The Economist
ウェブサイト
https://www.economist.com/
概要
The Economistは週刊誌で、1843年にスコットランドで創刊された。現在ではその流通部数は150万部に達し、その5分の4はイギリス以外で発行されている。
報道領域は政治、経済、科学、技術、アートなど多岐にわたる。毎年「ビッグマック・インデックス」という指標を公表していることでも有名。
May先生おすすめの理由
最新ニュースを英語で読みたい、もしくは、時事英語を学びたいと思うなら、The Economistは間違いなくおすすめの教材である。時事英語を学習するポイントはやはり日々多くの記事を読むことだろう。
知らない単語も多く出てくると思うが、英和辞書では的確な訳が見つからない場合もあるので、インターネットを使ってきちんと調べることが大切になる。
英語の記事を読んだあとに同じ内容が書かれた日本語の記事を読んで、自分の理解が間違っていないかどうか確認しても良いだろう。
記事を一度読んだだけでは新しい単語を覚えられない場合もあると思うので、例えばあるニュースがその後どうなったか、継続してニュースをチェックするようにすると、語彙が定着しやすい。
The Economistにはスマホのアプリもあるので、移動中などにちょっと読みたいという人はチェックしてみてはいかがだろうか。
Travel + Leisure
ウェブサイト
https://www.travelandleisure.com/
概要
Travel + Leisureは旅行情報を扱う月刊誌である。1971年に創刊され、現在では世界中で500万人もの人々に読まれている。
人気の旅行先や宿泊施設、アクティビティーや食事など、旅行の計画をたてるのに必要な情報が満載だ。
May先生おすすめの理由
美しい写真と世界各国の旅行情報が豊富に掲載され、旅行好きにはたまらない1冊なのがTravel + Leisureである。この雑誌を読んでいて、意外な盲点に気づかされるのが外国の地名だ。
カタカナではよく見聞きするのにスペルが思い出せなかったり、日本語と英語では言い方が違う場所もあったりするので確認するようにしたい。その他にも、旅先でのマナーや、税関、荷造りのヒントなど、旅行に関わるありとあらゆる記事が掲載されている。
英語のリーディング能力を鍛えつつ、知識も得ることができるので、海外旅行を計画中の方はぜひ一度読んでみてほしい。
ELLE
ウェブサイト
https://www.elle.com/
概要
ELLEは女性向けファッション誌であり、1945年にヘレン・ラザレフという女性によって、当時まだ戦争で荒廃していたパリにおいて創刊された。
現在では世界中で44版、600万部が発行されている。雑誌としてのみならず、80年代には日本でELLEアパレルコレクションが展開された。
May先生おすすめの理由
雑誌の紙面の大半をファッション関係の記事が占めるが、その他にも美容や文化に関する記事も掲載されている。
こうしたファッションや美容に関する英語は学校で習うことはまずないと思うが、女性が一定期間外国で暮らす場合は覚えておくと非常に便利だ。
というのも、この分野に限ったことではないが、英語だと思っていた言葉が和製英語で、外国では全く通じないということがよくあるからだ。
ちょっと変わった英語学習法としては、ELLEのウェブサイトで毎日更新される星座占いを読んでみてはいかがだろうか。占い好きの方は、自分のその日の運勢を英語でチェックしてみるというのも、良い勉強になるかもしれない。
おすすめ洋書8選 TOEIC 600点レベル
ここでは、TOEICリーディングスコアが300点前後の洋書を集めてみた。
英語レベルは同じくらいでも、古典文学から現代小説、児童書、スピリチュアル、ビジネス書など、ジャンルは様々である。
例えば、アマゾンにはTOEICスコアに応じた洋書を集めたページもあるので、好きなジャンルの書籍を探してもいいし、あえて普段読まないジャンルに挑戦してみるのもいいだろう。
もちろん、洋書を読むだけで直ぐにテストの点が上がるわけではないが、読みきると自信と確かな英語力はつく。英語の資格試験を控えている人もそうでない人も、洋書を読んで英語力を高めよう。
Dracula / ドラキュラ
著者紹介
Mike Stocks
ストックスは自ら小説や詩を書くと同時に翻訳書も出版している。辞書編集者でもあり、イギリスの複数の出版社で編集者も務める。
イギリス・ランカシャー出身。デビュー小説『White Man Falling』は賞を受賞した。
作品概要
ジョナサン・ハーカーは何も知らされないまま、トランシルヴァニアにあるドラキュラ城へやってきた。
しかしその城の主が夜な夜な行う行動に、すぐに身の危険を感じることになるのであった。世界一邪悪な吸血鬼に、ヴァン・ヘルシング教授とその仲間たちが戦いを挑む。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は790L、TOEICリーディングスコアは300以下
初級から中級程度の単語が分かり、基本的な文法構造が理解できる人向けの本。
この本は、1897年に発表されたブラム・ストーカー作の古典作品『Dracula』を、原典に忠実でありながらもシンプルに短くした本なので、洋書初心者にもおすすめだ。
古典作品の洋書というと、なんとなく難しそうなイメージで敬遠しがちかもしれないが、この本を含む『Usborne Classics Retold』シリーズは、長年愛されてきた名作を現代でも読みやすく書き直したものである。
『Dracula』以外にも『Tales of King Arthur』『Jane Eyre』など様々な作品があるので、気になった方はチェックしてみてほしい。
A Christmas Carol / クリスマス・キャロル
著者紹介
Charles Dickens
ディケンズ(1812‐1870)はイギリス人作家。工場で働くために学校を続けることができなかったにも関わらず、数々の作品を残した。
作家業のみならず、子どもの権利や教育、社会改革のためにも熱心に活動した。
作品概要
お金に対する欲が強いスクルージは、クリスマスイブの日に過去・現在・未来を旅する超常的な体験をする。はたして、そこからスクルージが得たこととは……。時代を越えて愛されるクリスマスの名作。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は900L、TOEICリーディングスコアは200から345程度
初級から中級レベルの語彙力があり、基本的な文法構造が理解できる人向けの本。難しい単語も出てはくるが、1文は短いのでそれほど混乱せずに読めるはずだ。
映画化もされている有名な物語なので、ストーリーはなんとなく覚えているという方もいらっしゃるかもしれない。その場合は記憶と照らし合わせながら、できるだけ辞書を引かずに読んでみるというのもおすすめだ。
こうした古典的名作では様々なバージョンが出版されている場合が多い。
ほぼ原典そのままのものから、子ども向けに易しく書き直したものや、大人向けだが現代的な言葉遣いに変えているものなどがあり、読みやすさもそれぞれ変わってくる。
洋書をネットで購入する場合でも、最初の数ページは読めたりするので、自分の英語レベルに合っているかどうかを確認するといいだろう。
The Alchemist / アルケミスト 夢を旅した少年
著者紹介
Paulo Coelho、英訳 Alan R. Clarke
著者のコエーリョはブラジルのリオデジャネイロ出身で、現在もそこで暮らしている。学校で法律を学んだが、その道に進むことはなかった。38歳で最初の本を出版する以前は作詞家であった。
作品概要
アンダルシア地方に住む若い羊飼いは、エジプトのピラミッドで宝物を見つけるという夢を何度も見ていた。そして青年は実際にエジプトのピラミッドを目指し旅に出た。ストーリーの中に教訓やメッセージを託した寓意小説。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は910L、TOEICリーディングスコアは200から345程度
初級から中級ぐらいの単語と、よく出てくる文法構造が理解できる人向けの本。原作はポルトガル語だが、現在では英語や日本語を含む70か国語に翻訳されたベストセラー本である。ページ数はそれほど長くないので読みやすい。
単なる小説ではないので、英文を表面的に理解するだけではなく、その中に隠された深い意味まで感じられるようにしっかりと読み込みたい。スピリチュアル系の本はあまり読まないという方でも、比較的挑戦しやすい1冊である。
The Reason I Jump / 自閉症の僕が跳びはねる理由
著者紹介
Naoki Higashida、英訳 KA Yoshida、David Mitchell
東田直樹は日本人の作家。5歳のときに重度の自閉症と診断された。会話でコミュニケーションをとることは困難であるが、文字盤などを使って意思表示をしている。この「自閉症の僕が跳びはねる理由」は13歳の時に出版したもの。
作品概要
自閉症の人がどのように考え、感じ、物事を認識し、反応するのかを、自閉症を持つ13歳の著者が解説した本。
「大きな声はなぜ出るのですか?」「ミニカーやブロックを一列に並べるのは、なぜですか?」「跳びはねるのはなぜですか?」といったセンシティブな質問にも著者なりに答えている。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1000L、TOEICリーディングスコアは300から395程度
簡単な語彙から中級程度の語彙が理解でき、規則に基づいた文法はもちろん複雑な文法構造も分かる人向けの本。
1文がそれほど長くはなく、それぞれの質問に答える形式で本が進んでいくので、長編作品を英語で読む自信がまだないという人にとっても読みやすいはずだ。
本書はもともと日本語で出版されたものだが、現在では20か国以上で翻訳されて、世界中の人びとに衝撃を与えた。日本語版と読み比べて、どのように英訳されているのかを勉強してみるのもおもしろいかもしれない。
Origin / オリジン
著者紹介
Dan Brown
ブラウンはアメリカ・ニューハンプシャー出身の小説家。大学卒業後、英語教師を務めながら作家業を開始した。2003年に発表した『The Da Vinci Code』が大ベストセラーとなった。
作品概要
宗教象徴学を専門とする、ハーバード大学のロバート・ラングドン教授は、かつての教え子が主催するイベントに参加した。その教え子が歴史的大発見を発表する予定になっていたからだ。しかし、そのイベントで事件が起こり……
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1020L、TOEICリーディングスコアは300から395程度
この本は2017年に発表されたばかりの、人気作家ダン・ブラウンによる最新作である。中級レベルの語彙力があり、普段あまり使用しないような文法構文も分かる人向けの本。
ブラウンの他の著書を読んだり、ダヴィンチ・コードなどの映画を見たりした人なら想像がつくかもしれないが、かなり難解な単語も出てくるので辞書が必要な場面が出てくるかもしれない。
こうした作品は確実に内容を理解していかないとストーリーについていけなくなるので、英語学習には最適である。日本語翻訳版もすでに販売されているが、まずはぜひ原書に挑戦してみてほしい。
When We Were Orphans / わたしたちが孤児だったころ
著者紹介
Kazuo Ishiguro
イシグロは長崎出身の日系イギリス人で小説家。1989年に発表した『The Remains of the Day』で、35歳という若さながら賞を得た。2017年にはノーベル文学賞を受賞。現在もイギリスで暮らしている。
作品概要
バンクスは20世紀初めに上海で生まれた。ところが両親が別々に失踪したため、9歳にして孤児になってしまう。
それから20年以上たった今、バンクスはロンドンの社交界で有名な人物となっていた。それでも両親の謎を解決するために、バンクスは戦火の上海へと戻るのだった。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1030L、TOEICリーディングスコアは300から395程度
中級レベルの語彙が分かり、やや複雑な文法構造も理解することができる人向けの本。それ程難解な文章というわけではないので、接続詞や句の繋がりをしっかり押さえていけば、理解することができるはずだ。
ノーベル文学賞受賞で大きな話題になった著者だが、実際に作品を読んだことがあるという人は意外と少ないのではないだろうか。
今回の作品のようにミステリー要素のあるものから、ファンタジー的な作品や、長崎を連想させるものまで様々な作品が出版されているので、ぜひ一度は読んでみたい。
The Presentation Secrets of Steve Jobs /スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
The Presentation Secrets of Steve Jobs: How to Be Insanely Great in Front of Any Audience
著者紹介
Carmine Gallo
ギャロはビジネスにおけるコミュニケーションの専門家で、コミュニケーションコーチとして基調講演を行ったり、本を執筆したりしている。現在はアメリカのカリフォルニアを拠点に活動中。
作品概要
アップルのCEOであったスティーブ・ジョブズはプレゼンテーションが上手いことで非常に有名であった。本書はそのジョブズのプレゼンテーション・スキルを研究・分析し、18の興味深いポイントにまとめたものである。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1050L、TOEICリーディングスコアは300から400程度
中級程度の語彙力があり、普段あまり使用しないような文法構造も理解することができる人向けの本。読んでしっかり内容を理解するにはある程度の英語力が必要となってくるが、それぞれのテーマごとにセクションが区切られているので、読み進めやすいかもしれない。
テーマは『Stage your presentation with props』『Make it look effortless』といったすぐに実践できそうなものから、『Reveal the Conquering hero』『Channel your inner Zen』といった一見スピーチとは関係なさそうなものまである。リーディングの練習としてはもちろんだが、読むことでプレゼンテーションの役にも立つ、お得な1冊だ。
Dinosaur! (Knowledge Encyclopedias) / 恐竜図鑑
出版社
DK Children
Dorling Kindersley (DK)は多国籍出版会社である。主に成人及び子ども向けの参考図書を手掛けており、その範囲は旅行、美術、ビジネス、料理など多岐にわたる。1974年創業。
作品概要
この恐竜図鑑はスミソニアン協会と共同で製作された。化石、両生類、海洋生物、マンモス、ネアンデルタール人などを含む、数多くの興味深い情報を掲載している。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数はIG1150L、TOEICリーディングスコアは350から445程度
Lexile指数のIGはIllustrated Guideの略で、主に参考図書などのノンフィクションものに付けられる表記である。幅広い語彙力を持ち、難しい文法構造までが理解できる人向けの本である。
子ども向けの恐竜図鑑だからといって、その英語レベルをあなどってはいけない。専門用語が多く、情報量も豊富なので非常に勉強になる。
小説などとは違って長い文章がずっと続くわけではないので、限られた時間内で読むにもちょうど良い。TOEICやTOEFLなどの英語試験を受けることを考えている人なら、小説だけではなく、日頃から生物、歴史、文化など様々な本を読むようにしておくと良いだろう。
死ぬまでに読んでおきたい洋書8選
goodreadsは2007年に立ち上げられた、世界でも最大規模の本の紹介サイトである。
各本のあらすじだけでなく、登録しているメンバーがつけた5段階評価の得点や、本を読んだ感想を見ることができる。
英語のサイトなので、読みたい洋書探しと英語学習をかねて、一度見てみてはいかがだろうか。
今回取り上げているような有名な作品は、違う出版社からさまざまなバージョンが出版されているケースが多々ある。
古い言い回しを残した原作により近い本から、中には子ども向けに易しく書き直した作品もある。自分の英語力に適した本を探してみるといいだろう。
今回は大人向けでありながらも英語レベルがそれほど高くない本を中心に集めてみた。
有名な文学作品、特に古典と聞くと難しそうに感じるが、意外と読みやすい本も多いのだ。有名な作品ともなれば英語での会話の話題に上ることもありうるので、内容を知っていて損はない。
ぜひこの機会にこれまで気になっていた本を読んでみよう。
The Color Purple / カラーパープル
Lexile指数
HL670L、TOEICリーディングスコア195以下
著者紹介
Alice Walker
ウォーカーは1944年アメリカ・ジョージア出身の作家。多くの長編小説、短編小説、詩を執筆している。1983年にはピュリッツァー賞を獲得した。
ウォーカーの作品は20か国語以上に翻訳され、世界中で1500万冊以上を売り上げている。また、作家としてだけではなく活動家としても活躍。
作品概要
アメリカ南部で暮らす黒人の少女セリーは酷い結婚生活に囚われ、アフリカで暮らす大好きな妹ネティと離れ離れになっていた。そんなある日、セリーは歌手のシェグ・エヴリーと出会う。
エヴリーは自らの運命に自分から立ち向かっていく女性だった。セリーは内に秘めた力と喜びを少しずつ見つけ出し、愛する人々と再会していく。
May先生おすすめの理由
簡単な語句や、よく使用される基本的な文法構造が理解できれば読むことができる。ミュージカル化されたり、スティーブン・スピルバーグによって映画化されたりもした作品である。
本は主人公の14歳の女の子が神に書いた手紙という形式をとっているので、文章が比較的易しい。ただ英語の教科書では見かけないような表現や文章構造も多いので、十分にリーディングの練習になるはずだ。
そして英語自体はそれほど難しくなくても、非常に読み応えのある作品である。
20世紀前半が舞台の作品だが、虐待や女性の人権問題など現在においても考えさせられる内容だ。
Time Traveler’s Wife / きみがぼくを見つけた日
The Time Traveler’s Wife (English Edition)
Lexile指数
720L、TOEICリーディングスコア150から245
著者紹介
Audrey Niffenegger
ニッフェネガーはミシガン州出身の作家であり芸術家。1987年からまずは芸術家として活動したあと、本を書くようになった。
現在はシカゴで暮らしている。夫のEddie Campbellも作家であり芸術家。
作品概要
図書館に勤め、自分の意思に関わらず時間を移動してしまう体質を持つヘンリーと、芸術家のクレア。二人の情熱的な愛は時間の海を越えて続いていく。
結婚した二人は安定した仕事、友人や子どもたちなど普通の生活を送ろうと努力するのだが、防ぎようのない時間移動が生活を脅かしていき……
May先生おすすめの理由
簡単な単語や規則に基づいた文法構造が理解できる人なら読むことができるレベルの本である。1文ずつも短く読みやすい。
内容は主人公のヘンリーとクレアの両方から書かれた文章になっている。男性目線の文章と女性目線の文章では使われる語句が違い、雰囲気も変わってくる。それらを1冊で両方読めるので、英語のリーディング練習にはぴったりだ。
英語そのものは難しくないので、誰の目線で話されているのか、時間がどのように変化しているのかなどを、しっかり理解するようにしたい。ラブストーリー好きにはおすすめの1冊だ。
The Catcher in the Rye / ライ麦畑でつかまえて
Lexile指数
790L、TOEICリーディングスコア150から295
著者紹介
J.D.Salinger
サリンジャー(1919-2010)はアメリカのニューヨーク生まれの小説家。1940年代から出版を始め、第2次世界大戦に従軍。
その後1951年に発表された『The Catcher in the Rye』で大きな成功を収めた。晩年は法廷闘争などで注目を集めることとなった。
作品概要
1950年代を舞台に、主人公のホールデン・コールフィールドが16歳の頃の数日間を描いた作品。物語はとある土曜日の学校終わりから始まる。
この学校はホールデンの4番目の学校だった。しかしこの学校も学業不振から退学になってしまい、マンハッタンへ戻ることになるのだが……
May先生おすすめの理由
初級から中級レベルの単語を理解することができ、基本的な文法構造を持つ文章を読む事ができる人向けの本。
1つの文がとても長く感じられるかもしれないが、英語そのものは難しくないし、カンマごとに理解するようにすれば混乱せずに読めるはず。
ただ、使われている単語の中には口語も多く出てくるので、慣れないと理解しにくく感じるかもしれない。
リーディングの練習としてのみならず、当時のアメリカ人が話すナチュラルな英語を学ぶこともできる。
Jane Eyre / ジェーン・エア
Lexile指数
890L、TOEICリーディングスコア200から300くらいまで
著者紹介
Charlotte Bronte
ブロンテ(1816-1855)はイギリス・ヨークシャー出身の小説家。6人きょうだいの内、ブロンテを含む3姉妹が小説家であり、彼女たちの作品はイギリス文学の基礎となった。
結婚後すぐに妊娠するが、身ごもったまま38歳でこの世を去った。
作品概要
物語の舞台は19世紀のイギリス。孤児のジェーンはおばに育てられるが、その生活は決して楽しいものではなかった。
そしてジェーンはある出来事をきっかけに学校へと送られるのだが、そこでも数々の試練に直面する。大人になったジェーンは屋敷で働きはじめ、そこの主人と恋に落ちるのだが……
May先生おすすめの理由
簡単な単語からやや難しい単語までが理解でき、よく使用される文法構造に則った文章を読むことができる人向けの本。
1つ1つの文もそれほど長くなく読みやすいので、イギリス文学を初めて読むという人にもおすすめだ。
この本を含むEnriched Classicsシリーズは、古典作品をあまり読んだことがない人向けに出版されたものである。
本の冒頭で、著者に関する情報や、その作品を読む上で歴史的・文化的に重要なポイントを解説してくれているので、その部分もぜひ読んでみよう。
物語の背景などを理解することができるので、より理解しやすくなるに違いない。
The Hobbit / ホビットの冒険
Lexile指数
1000L、TOEICリーディングスコア300から395
著者紹介
J. R. R. Tolkien
トールキン(1892-1973)は父親の仕事の関係で南アフリカのブルームフォンテインで生まれた。しかし1896年に父親が亡くなったため、母親やきょうだいとイギリスに戻った。
小説家として有名な作品を残したほか、英語学の学者でもあり、オックスフォード大学で教授も務めた。
作品概要
ホビットのビルボは穏やかな生活を送っていた。しかしその生活は魔法使いのガンダルフの訪れによって一変する。
ガンダルフはビルボにスマウグという名のドラゴンから山を取り戻してほしいと頼む。初めは乗り気でなかったビルボだが、12人の小人とともに冒険の旅に出発する。
May先生おすすめの理由
中級レベルの語彙が分かり、あまり使用されない文保構造の文章でも理解できる人向けの本。そこまで難解な文章ではないので楽しく読み進めることができるはずだ。
この物語やロード・オブ・ザ・リングを映画で観たという人も多いと思うが、ぜひ原作の面白さを味わってみよう。
本作のようなファンタジー小説には、日常生活で使わないような単語が多く出てくるので、思った以上にリーディング力が試される。理解するには想像力も必要だ。
子どもだけではなく、大人でも十分に楽しめる作品である。
Pride and Prejudice / 高慢と偏見
Lexile指数
1060L、TOEICリーディングスコア300から400くらいまで
著者紹介
Jane Austen
オースティン(1775-1817)はイギリス・ハンプシャー出身の小説家。恋愛小説で有名。
イギリス文学の中でも広く読まれている作家の1人であり、学者や批評家はその現実的で社会批評を交えた作風を歴史的に重要と捉えている。
1811年から1816年のあいだに、代表作となる4作品を発表して成功を収めた。
作品概要
19世紀のイギリスを舞台に、主人公のエリザベスとダーシーが、初めは自身に対するプライドと相手に対する偏見を持ちつつも、しだいに理解しあい、愛を育んでいく物語。
当時の社会的身分や習慣、人間関係における儀礼など、複雑な事情も垣間見ることができる1冊。
May先生おすすめの理由
少し難しい語句や例外的な意味が分かり、複雑な文法構造も理解することができる人向けの本。
古いイギリス文学独特の言い回しや現代にはない物の名前などが出てくるので、最初は少し読みにくく感じるかもしれないが、文章そのものはそれほど難しくない。
時代背景を思い浮かべながら読むと、内容を理解しやすいのではないだろうか。
また、イタリック体(斜めになったような字)が多く使用され、言葉の意味を強調しているので、気に留めながら読んでみよう。
物語の出だしの1文は、他の文学で頻繁に引用される有名な文である。
The Count of Monte Cristo / モンテ・クリスト伯
Lexile指数
1080L、TOEICリーディングスコア350から400くらい
著者紹介
Alexandre Dumas
デュマ(1802-1870)はフランスの作家。初めに劇作家として成功を収め、その後、歴史小説で有名になった。フランス文学のロマン主義を代表する作家のひとりである。
同じく劇作家で小説家の息子も同名のため、区別するために日本語では父親の方を大デュマ、息子の方を小デュマと呼ぶ。
作品概要
主人公のエドモン・ダンテスは19歳ながら最高の生活を送っていた。もうすぐ船の船長になろうとしていた彼は、美しく優しいメルセデスと婚約し、まわりの誰からも好かれていた。
しかしエドモンの成功を快く思わない友人たちの罠にはまり、逮捕されてしまう。そこからエドモンの復讐劇が始まるのだった。
May先生おすすめの理由
中級レベルの単語や、普段使わない難しい文法構造を含む文章も理解できる人向けの本。
難しい単語も出てくるが、1文ずつはそれほど長くないので、あまり混乱せずに読めるのではないだろうか。
全体としては非常に長い小説なので読み始めるのに躊躇するかもしれないが、それぞれの章は短いので、少しずつ読み進めることができる。
読破したときには英語のリーディング力がついていると同時に、洋書を読む自信にもなるに違いない。
1984
Lexile指数
1090L、TOEICリーディングスコア350から400くらい
著者紹介
George Orwell
オーウェル(1903-1950)はインドで生まれたイギリス人作家兼ジャーナリスト。1922年から1927年まではインド帝国警察の一員としてビルマで働き、1936年からの1年間はスペイン内戦で戦った。
オーウェルの作品は社会的不平等や全体主義への強固な反対を表現していることで知られる。
作品概要
ウィンストン・スミスは党規に服して、真理省の要求を満たすために歴史を書き換えていた。嘘を書くたびにウィンストンは、自分たちの力ばかりを追い求め、思考犯罪を犯す者を迫害する党に嫌気を感じるようになる。
しかし常にビック・ブラザーに見張られているという事実から逃れることのできないウィンストンだったのだが……
May先生おすすめの理由
中級程度の語彙や例外的な意味を持つ単語も理解でき、複雑な文法構造を含む文章でも読む事ができる人向けの本。1つずつの文はそれほど長くないので、あまり混乱せずに読むことができるはず。
注意しなければならないのは、作品中にこの小説のために創造されたものが出てくるということ。英和辞書を引いても意味がよく分からない言葉に出会ったら、造語の可能性がある。
英文を読んでも状況が想像しにくいようなら、インターネットで先にこの小説について少し下調べをすると、物語を理解しやすくなるかもしれない。
おすすめ伝記8選
伝記は英語でbiography、その中でも特に本人自らが書いたものはautobiographyと呼ばれる。
興味のある人物の伝記であれば、英語学習という面を越えて楽しく読み進めることができる。逆に、あまり知らない人物の自伝であれば、予備知識がないので、純粋に自分の英語力だけで内容を理解しようとするという利点がある。
また、自伝の中には、子どもや若者向けに書かれたものも多い。こうした作品は英語のレベルが平易であることはもちろんだが、ページ数自体も少ないので、洋書初心者はそうした作品から始めてみてもいいかもしれない。
Lionel Messi / メッシ
著者紹介
Jon M. Fishman
スポーツ好きのアメリカ人作家兼編集者である。妻と3匹の犬とともにウィスコンシン州に暮らしている。
作品概要
リオネル・メッシは世界トップクラスのサッカー選手だ。所属するチームを何度もチャンピオンシップに導き、年間最優秀選手に送られるバロンドール賞に5回も輝いた。しかしメッシは厳しい練習なしに、このようなスーパープレーヤーになったわけではない。この本はメッシのトレーニングや、私生活の様子などを紹介している。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は860L、TOEICリーディングスコアは250から345程度。
簡単な単語と基本的な文法構造が理解できる人向け。写真がふんだんに使われ、セクションが細かく分かれているので、少しずつ確実に読み進めることができる。
子ども向けの本ではあるが、情報が豊富で、メッシファンならずともサッカー好きなら十分楽しめそうだ。英語学習初心者で長い本には抵抗があるという方は、まずはこういったものから始めてみるのもいいだろう。
The Story of the Trapp Family Singers / サウンド・オブ・ミュージック
The Story of the Trapp Family Singers
著者紹介
Maria A. Trapp
トラップ(1905-1987)はウィーン行きの列車の中で生まれた。母はトラップが2歳の時になくなり、孤独な幼少期を送る。その後、修道女となるが、元オーストリア海軍将校ゲオルク・フォン・トラップ家に派遣され、母親を亡くした7人の子ども達の教育係となり、後に元将校と結婚した。
作品概要
ブロードウェイや映画でお馴染み『サウンド・オブ・ミュージック』の主人公の自伝である。元将校との恋愛や、ナチが占領したオーストリアからの脱出、そして家族でアメリカへ渡ってからの生活が語られている。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は950L、TOEICリーディングスコアは250から395程度。
簡単な語彙から中級レベルの語彙が分かり、規則に基づいた文法構造が理解できる人向けの本である。ただ、例えば修道院での場面ではその環境独特の単語が出てくるなど、あまり馴染みのない単語もよく出てくる。
『サウンド・オブ・ミュージック』が実話に基づいているということをご存知なかった方もいらっしゃるかもしれないが、そのストーリーを知っていれば、オーストリアを脱出するあたりまでは比較的読みやすいだろう。本作を読んでいると、まるで物語のような実話に驚くばかりである。
Soul Surfer / ハミルトン
著者紹介
Bethany Hamilton、Rick Bundschuh
ハミルトンはアメリカ・ハワイ出身のサーファー。幼いころからサーフィンをはじめ、プロサーファーとしての将来を期待されていたが、13歳のときにサメに左腕の肩から下を食いちぎられた。それでもサーフィンを諦めることはなく、数多くの大会に出場している。もう1人の著者バンズチャは作家兼漫画家。
作品概要
サーファーのハミルトンはこの自伝の中で、サメに襲われて腕を失った出来事、その後いかに回復し、新しい身体でサーフィンに取り組んでいったのかを綴っている。サーフィンに必要なのは、肉体ではなく魂なのだということを教えてくれる作品。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は960L、TOEICリーディングスコアは250から395程度。
基本的なものから中級程度までの単語がわかり、よく使用される文法構造や少し複雑なものが理解できる人向けの作品。若者の読者層を念頭に書かれた本なので、全体的にカジュアルな雰囲気で読みやすい。
特にサーフィンに興味がなくても十分楽しむことができ、著者の生き方に感動させられる。ハワイの海の情景など、夏場に読むのにぴったりの1冊。
I Am Malala / マララ
著者紹介
Malala Yousafzai
ユスフザイはパキスタン出身の人権運動家。暮らしていた地域の実権を握ったタリバンの政策に反対して、女性への教育の重要性や平和を主張していたところ、2012年にタリバンに銃撃された。奇跡的に回復したのちも活動を続け、2014年に史上最年少でノーベル平和賞を授与された。
作品概要
パキスタンの自宅がある地区をタリバンが掌握したとき、マララ・ユスフザイは教育を受ける権利のために立ち上がった。しかしそのせいで、2012年、15歳のときに頭に銃弾を受けることになる。
史上最年少でノーベル平和賞を受賞した女性と、国際的なテロ集団に立ち向かい、男の子が大切にされる社会で娘に熱い愛情を注ぎ、女性の教育のために戦う家族を描いた作品。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1000L、TOEICリーディングスコアは300から395程度。
初級から中級レベルの単語力があり、基本的な文法構造からやや複雑なものまでが理解できる人向けの作品。パキスタンでの生活が描かれているので、日本では馴染みのない状況を想像しながら英語を理解する能力も必要になってくるだろう。
とても感銘を受ける作品であり、英語のリーディングの学習という点からのみならず、ぜひ読んでおきたい1冊。著者の国連演説をまとめた本なども出版されているので、あわせておすすめである。
An Autobiography: The Story of My Experiments with Truth / ガンディー
著者紹介
Mahatma Gandhi、Mahadev Desai、Mohandas Karamchand Gandhi、M.K.Gandhi
ガンディー(1869-1948)はインドの活動家であり、イギリスからのインド独立を指導した。非暴力の精神で有名。本書の著者の1人であるデサイーはインドの活動家兼作家であり、ガンディーの秘書だったことで有名。
作品概要
マハトマ・ガンディーは、人びとに最も影響を与えている人物の1人である。この自伝の中で、ガンディーは自分の人生を振り返るとともに、非暴力の精神がいかに発展していったのかを思い起こしている。この精神が、インドの独立闘争やその他20世紀に起きた数々の出来事を推し進めることとなるのだった。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1010L、TOEICリーディングスコアは300から395程度。
初級から中級レベルの単語力がある人向けの作品。文法も基本的なものからやや複雑なものまでが理解できる必要があるが、1つずつの文はそれほど長くない。
マハトマ・ガンディーの名は聞いたことはあっても、実際にどのようなことをした人物なのかはよく知らないという人も多いのではないだろうか? この本には、ガンディーの幼少期のエピソードから大人になってからの日々の出来事までが綴られていて、この偉大な人物を知るにはうってつけの本となっている。
John Lennon: All I Want is the Truth /ジョン・レノン
John Lennon: All I Want is the Truth (Bccb Blue Ribbon Nonfiction Book Award (Awards))
著者紹介
Elizabeth Partridge
多くの受賞歴を持つ作家。大学卒業後、中国の伝統医学を学び、20年以上にわたって鍼師として働いたのちに、作家になった。
作品概要
ロック界最大のレジェンドと言っても過言ではないジョン・レノンの伝記。1940年の出生から子ども時代、ロックンローラーとしての青年期、ビートルズとしての音楽活動、そしてビートルズ後の日々が綴られている。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1010L、TOEICリーディングスコアは300から395程度。
初級から中級レベルの単語力があり、文法も基本的なものからやや複雑なものまでが理解できる人向けの作品。対象読者はヤングアダルトとなってはいるが、成人が読んでも読み応えがあり、リーディングの勉強にもなる本である。
チャプターごとに年代がしっかりと区切られているので、ジョン・レノンの人生を、順を追って理解しやすい。写真も豊富に掲載されているので、ファンにはたまらない1冊だ。
Barack Obama: Our Forty-Fourth President / バラク・オバマ
著者紹介
Beatrice Gormley
アメリカの児童書作家。幼い頃から作家になりたかったという。卒業後、本の編集者として働いていたときに同僚と結婚し、子どもをもうけ、その後作家になるという夢を実現させた。
作品概要
ノーベル平和賞を受賞した、バラク・オバマ米前大統領の伝記。誕生から学生時代、シカゴでの弁護士時代からイリノイ州議会上院議員を経て、大統領となり活動していく足跡を記した作品。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1120L、TOEICリーディングスコアは350から445程度。
中級レベルからあまり使われないような単語まで幅広い語彙を理解することができ、複雑であまり使用されないような文法構造まで把握している人向け。ただ、1つの文はそれほど長くないので、落ち着いて読めば理解しやすいはずだ。
オバマ前大統領に関しては本人が執筆したものから、子ども向けに書かれたものまで様々な本が出版されている。ミシェル・オバマ夫人に関する本も多数出版されているので、あわせて読んでみるのもおすすめだ。
Marie Curie: And the Science of Radioactivity / マリー・キュリー
著者紹介
Naomi Pasachoff
作家。伝記をいくつか執筆している。
作品概要
物理学者・科学者であり、初めてノーベル賞を2つ受賞したマリー・キュリーの伝記。ラジウムを発見し、後の科学者に大きな影響を与えた。学者であり、妻であり、母であり、専門職の女性としての草分け的存在であったキュリーの足跡を辿る1冊。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1320L、TOEICリーディングスコアは400から495程度。
幅広い語彙も、普段あまり使われないような文法構造も理解できる人向けの本。マリー・キュリーの名前は聞いたことはあっても、どのような人物だったのか知らない人も多いかもしれない。
Lexile指数が高い上に、その人物について深く知らなければ知らないほど、英語だけで内容を理解しなければならないので、リーディングの勉強用としては向いているといえるだろう。ある程度英語を勉強したら、実力を試すためにもこういった難易度の高い本を読んでみるのもいいかもしれない。
英語の旅行記8選
旅行に関する洋書といっても、その内容はさまざまだ。
観光名所を紹介するようなガイドブックもあれば、著者が特定の地域を旅した旅行記、文化や伝統などを伝える書籍もある。
旅行に関する洋書は、英語学習にもぴったりだ。
地名や、その土地ならではのものは、日本語では知っていても、いざ英語で言ったり書いたりしようとしたら単語が思い出せない、という場合も多い。
あるいは英語だと思っていたものが、英語ではなかったというハプニングもある。この機会に、自分の知識を再確認してみてはいかがだろうか?
もし予め、外国の人と会うことが分かっているのであれば、その人の出身国に関する情報を、知識として頭に入れておくことも重要だ。
海外旅行や外国の人と会う予定が特になかったとしても、旅行関連の洋書には写真が掲載されたものが多く、楽しみながら英語を学習することができる。
写真が英語の理解を助けてくれる場合もあるので、洋書初心者の方にも挑戦しやすいはずだ。まずは、興味のある国や地域に関する洋書から始めてみると、途中で投げ出さずに読み切れるかもしれない。
冬休みに旅行に行けなくて残念、という方も、旅行関連の洋書を読んで、旅行気分を味わってみてはいかがだろうか?
A Walk in the Woods: Rediscovering America on the Appalachian Trail
著者紹介
Bill Bryson
Bill Brysonは1951年、アメリカのアイオワ出身のノンフィクション作家。多くの旅行関連の書籍などを執筆している。
1977年にイギリスへ移住し、20年以上そこで暮らした。2006年にはその功績から大英帝国勲章を授与された。
作品概要
アパラチアン・トレイルはアメリカのジョージアからメインにかけて続く、長距離の自然歩道である。
雄大な山々、静けさに満ちた森、きらめく湖――そこではアメリカの息を飲むような素晴らしい景色の数々を見ることができる。アパラチアン・トレイルの歴史と生態系を紹介する1冊。
May先生おすすめの理由
この本の英語の難易度を表すLexile指数は1210L。TOEICリーディングスコアに換算すると400点以上あるので、語彙や文法構造ともに中級程度の英語力がある人におすすめの本である。
アパラチアン・トレイルという1つのテーマに沿って書かれていることが予め分かっているので、スコアよりも読みやすく感じられるかもしれない。
アマゾンではAudibleも販売されている。英語の難易度が高い作品ほど、洋書とAudibleを併用して学習すると、学習効率も高まるのではないだろうか。
The Art of Travel
著者紹介
Alain De Botton
Alain De Bottonは1969年生まれの執筆家。8歳のときに家族でスイスからイギリスへ移住した。ケンブリッジ大学卒業後、新聞や雑誌の記事を執筆したり、小説を出版したりしている。
現在はロンドンで暮らし、テレビ制作会社や新しい形式の学校の運営の支援なども行っている。
作品概要
どんな旅行ガイドブックも『どこへ』旅するべきかを教えてくれるが、この本は『どのように』そして『どうして』旅をするべきかを教えてくれる。
異国のものがもたらす誘惑、そして、バルバドスの海岸の風景が気づかせてくれる価値など……期待することの喜びについて考える、旅行の哲学書といった感じの一冊。
May先生おすすめの理由
1文ずつが長い箇所があり、単語の難易度も高めなので、少し難しい文章に挑戦したい方におすすめの本である。テーマごとにセクション分けされているので、そのテーマをしっかり意識しながら読むことで理解しやすくなりそうだ。
どんどん先に読み進めるというよりは、1つ1つを確実に理解してから次へ進んだ方が、きちんと内容を把握できそうな書籍である。
The Art of Travel (Vintage International)
Okanagan Slow Road
著者紹介
著者 Bernadette McDonald、イラストKarolina Born-Tschumperlin
著者のBernadette McDonaldはカナダのサスカチュアン出身。著作家であり、山に関するスペシャリストである。
カナダのバンフセンターという場所で、山に関する文化を扱う部署に勤務した。2006年からはフルタイムで執筆の活動をしている。
作品概要
カナダのブリティッシュコロンビア州にあるオカナガン渓谷を紹介する1冊。オカナガン渓谷では、美しい景色を見ながらハイキングやサイクリングを行うことができる。
この地域はワインの産地としても有名で、美味しい食べ物も豊富に紹介されている。読めば行きたくなること間違いなしの楽しい書籍である。
May先生おすすめの理由
オカナガンを紹介するガイドブック的な本のため、馴染みのない固有名詞は多く出てくるが、全体的な語彙はそれほど難しくはない。
1文ずつも短く、写真やイラストも豊富で読みやすい本である。北米ならではの食べ物の知識や、それにまつわる単語も学ぶことができる。
通常のガイドブックとは違い、1つの地域を深く掘り下げた本なので、オカナガンへ旅行する予定がなくても読み物として楽しむことができ、読みごたえのある本となっている。
Lonely Planet the World: A Traveller’s Guide to the Planet
出版社紹介
Lonely Planet
Lonely Planetは1973年に設立され、数多くの旅行ガイドブックを出版している企業である。
これまでに1億4500万部を超えるガイドブックと、120を超える言語のフレーズブックを出版してきた。世界中の旅行者に信頼できる情報とインスピレーションを届けている。
作品概要
通常ガイドブックといえば、それぞれの国や地域が1冊の本にまとめられているものだが、この本は『世界』を紹介するガイドブックである。
900ページを超える本書では、国名がアルファベット順に並べられ、地図や見どころなどの情報がカラー写真とともに掲載されている。
May先生おすすめの理由
ただのガイドブックというだけではなく、それぞれの国の歴史的説明なども書かれており、読みごたえのある1冊である。単語や文章構造が特に難しいわけではないので、洋書初心者が少しずつ学習する際にも使いやすいだろう。
写真も多いので、見た目にも楽しめる。地名や観光名所など、知らないままになっている英語表記がないかどうか、しっかり確認してみよう。
また、この本の出版をしているLonely Planetのウェブサイトにも、旅行関連の記事が多く掲載されている。こちらも美しい写真が豊富で、楽しみながらリーディングの練習をするのにぴったりだ。
Lonely Planet the World: A Traveller’s Guide to the Planet (Lonely Planet Travel Guide)
India Exposed: The Subcontinent A-Z
著者紹介
Clive Limpkin
Clive Limpkinは旅行関連の写真家であり執筆家である。35年にわたってロンドンのDaily ExpressやThe Sunといった新聞のために写真家として働いたほか、The Sunday Timesなどの記事も執筆した。現在では旅行関連の写真と執筆に専念している。
作品概要
インドは世界の人口の6分の1を抱え、多様性に富み、活気に溢れ、文化的にも豊かな地域である。著者自身が、この広大で多くの人々が暮らす国を旅して撮った写真とエッセイで構成された1冊。インドの文化、自然、地域による違いなどを紹介する。
May先生おすすめの理由
本は『Army』『Markets』『Weddings』のようにアルファベット順に並んだテーマごとに書かれているので、非常に分かりやすい作りになっている。少しずつ分けてリーディングの練習をしたい場合に便利。
固有名詞は多いが、語彙はそれほど複雑ではない。1文が長いところもあるが、文章構造自体が複雑なわけではないので、それほど読みにくくはないはずだ。
写真も多いので、内容を理解する手助けとなる。インド文化に興味のある方は、ぜひ1度読んでみてはいかがだろうか?
Inside Tracks: Robyn Davidson’s Solo Journey Across the Outback
著者紹介
Robyn Davidson
Robyn Davidsonは1950年オーストラリアのクイーンズランド出身。父親はオパールの採掘者であった。著者が11歳のときに母親が他界したため、馬を飼育していた伯母に育てられた。
作品概要
1977年、著者は1匹の愛犬と4頭のラクダだけを連れて、オーストラリアの中で最も孤立した場所にある砂漠の町アリススプリングからインド洋までの2700キロを旅した。
当時の実際の写真に、後に映画化された際の写真も加えられた、冒険の記録である。
May先生おすすめの理由
それぞれの文は短いので、読みやすい印象を受ける。難しいと感じる語彙も少ないはずだ。逆に、話し言葉に近い表現が多いので、日常生活に使われる英語を学ぶのに役立ちそうだ。
英語の学習としてだけではなく、オーストラリアの観光では訪れることの少ない、大陸中央の砂漠地域について知ることもできる興味深い本である。今回紹介している本は映画とのタイアップ版だが、オリジナル版の書籍も販売されている。
Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail
著者紹介
Cheryl Strayed
Cheryl Strayedは著作家。これまでにthe New York Timesやthe Washington Post Magazineなど多くの新聞や雑誌にエッセイを寄稿しているほか、多くの著書を執筆している。
現在はアメリカのポートランドで家族と暮らしている。
作品概要
母親が死亡して家族がバラバラになり、結婚生活も破綻した著者は、その4年後に、ある決断をする。
トレーニングを受けたこともなければ、経験もないにも関わらず、たった1人で、1千マイルはあるアメリカのパシフィック・クレスト・トレイルという長距離自然歩道を歩くことにしたのである。
May先生おすすめの理由
あまり馴染みのない単語がいくらか出てくるので、語彙力を増やしたい方にもおすすめの本である。自然やアウトドア関連の単語だけではなく、より口語的な表現も合わせて学ぶことができる。
文章そのものはそれほど複雑ではないので、語彙の問題さえ解決できれば内容はしっかり理解できるはずだ。アマゾンのAudible版もあり、ナレーションはLaurel Lefkowというアメリカ人女優が担当している。
Shadow of the Silk Road
著者紹介
Colin Thubron
Colin Thubronは1939年、イギリスのロンドン出身。小説や旅行に関する書籍を執筆している。イートン・カレッジで学んだのち、ロンドンとニューヨークの出版社に勤めた。
1965年にフリーランスとなり、さまざまな書籍を執筆しているほか、ドキュメンタリー映画の制作も行っている。
作品概要
地球上でもっとも広大な陸路、シルクロードが運んだものは、貿易や軍隊だけではない。さまざまな考えや宗教、発明が運ばれたのである。
本書は、著者自らが地元のバスやトラック、車、ロバが引く荷車やラクダに乗って、中国から中央アジア、そしてトルコまで8か月かけて旅した記録である。
May先生おすすめの理由
多少複雑な単語は出てくるが、1文ずつは長くないので、理解するのはそれほど困難ではないはず。
多くの国を通過していく旅行記なので、さまざまな文化について読むことができる。その分、多くの英語に触れることができるところが嬉しいところだ。
この本にもAudible版があり、ナレーションはJonathan Keebleというイギリス人俳優が担当している。
おすすめホラー洋書8選
どの作品においても英語学習の点から重要なのは、それぞれの状況をしっかり理解すること。
せっかくの「ホラー」なので、その怖さをしっかり感じ取りたいものだ。
登場人物の行動といったストーリーの大きな流れだけでなく、形容詞など細かな表現にも注意して読んでみよう。似たような意味の形容詞でもニュアンスが違う場合もある。辞書を引くときは日本語訳だけでなく例文も確認するといい。
もう1つ、心理描写を理解するのも大切なポイント。
日本語の小説でも、登場人物が「怖い」と感じたときに「怖い」と書いてあるとは限らない。英語の場合も同様だ。
さまざまな表現を読んで、ぜひリーディング力をアップさせよう。
Finders Keepers
著者紹介
Stephen King
Stephen Kingは1947年アメリカのポートランド出身の小説家。
大学卒業後は高校で教えると同時に執筆活動を続け、1973年からはフルタイムの作家として数多くの作品を生み出している。大学時代に出会った女性と結婚し、3人の子どもがいる。
作品概要
1978年、1人の男が有名な作家を殺害した。この作家に対する異常な執着心から、未発表作が含まれたノートを手に入れようとしたのだ。
2009年、ピートという名の少年が、埋められたトランクの中からそのノートを発見した。そして2014年、刑務所から出てきた犯人はそのノートを回収に向かう。
May先生のおすすめの理由
Stephen Kingはホラーやサスペンスの分野で非常に人気のある作家である。日本語に翻訳されたり映画化されたりしている作品も多いので、ぜひ1冊は原作を読んでみたいものだ。
作品によってはリーディングの難易度を示すLexile指数が1000以下のものもあるので、あまり洋書を読んだことがない人でも意外と挑戦しやすいはず。
今回紹介している作品も、難解な単語はそれほど出てこない。ストーリー中に時代が変わっていくが、分かりやすく書いてあるので混乱せずに読めそうだ。
Perfume: The Story of a Murderer
著者紹介
Patrick Süskind
Patrick Süskindは1949年ドイツ出身の作家。ミュンヘン大学で中世と現代史を学んだ。
著者は20年もの間ほとんど取材を受けておらず、公表されている自身の写真は3枚しかない。現在はミュンヘンで暮らしているとされる。
作品概要
18世紀フランス。そこに非常に才能豊かで忌まわしい1人の男が暮らしていた。しかし現在この男のことを覚えている人はいない。
男の才能と唯一の野望は、歴史にまったく痕跡を残さないまでに排除されたのだった。香りというはかない領域のなかに閉じこめられて……
May先生のおすすめの理由
文法的には複雑ではないのだが、知らない単語が多くて苦労するかもしれない。
ただ、あまり頻繁に辞書を引き過ぎても逆にストーリーが分かりにくくなることがあるので、ある程度読んでみて前後関係を考えても分からない部分を中心に辞書を引くなど工夫するといいだろう。
18世紀フランスという時代や場所を想像しながら読むと、理解しやすくなるはずだ。映画化もされた作品で、興味深いストーリー展開をぜひ楽しんでほしい。
A Discovery of Witches
著者紹介
Deborah E. Harkness
Deborah E. Harknessは学者であり小説家。大学で歴史を学び、その後オックスフォードの図書館などで働いた。
現在は南カルフォルニア大学でヨーロッパ史などを教えている。小説家としてのキャリアをスタートさせたのは2008年以降のことである。
作品概要
魔女の血統を引く歴史学者のダイアナが図書館で錬金術書を開いたとき、それまでの生活に魔法が入り込む。ダイアナが発見したことの重大さを感じて集まった魔女や悪魔や吸血鬼の中には、吸血鬼の遺伝子学者マシューもいた。
2人が錬金術書の秘密を紐解くとき、危うい平和のバランスが明らかになり……
May先生のおすすめの理由
少し長めの文もあるが、英文法自体はそれほど難しいものではない。ヴァンパイアなどが活躍するファンタジー系ならではの単語が多く出てくるので、それらに慣れれば読みやすい1冊。
本作はファンタジー系によくある10代の若者向けのヤングアダルト小説というわけではなく、成人向けに書かれた小説なので読み応えがある作品である。
A Discovery of Witches (All Souls Trilogy 1)
The Little Stranger
著者紹介
Sarah Waters
Sarah Watersは1966年ウェールズ出身の小説家である。これまでに6冊の小説を発表しており、多くの賞を獲得している。
作品概要
侘しいハンドレッズ館に暮らす患者のために1人の医者が呼ばれた。エアーズ家が2世紀以上にわたって暮らしてきた館は、かつては立派なものだったが現在は衰退していた。
しかし、エアーズ家が取りつかれているものは、本当にその没落しつつある生活だけなのか? この家族の物語がどのように自分に関わってくるのか、医者は知る由もないのだった。
May先生のおすすめの理由
1つずつの文はそれほど長くなく、文法的にも比較的読みやすい作品である。この作品だけではなく、ゴースト系ホラーの洋書には古い館が登場するものがよくある。
ストーリー設定も古い時代だと馴染みのない単語が出てくることが多いので、その分辞書を引く機会も増えるかもしれない。物語の時代背景などを想像しながら読むといいだろう。
American Gods
著者紹介
Neil Gaiman
Neil Gaimanはイギリスのハンプシャー出身の小説家。
ジャーナリストからキャリアをスタートさせ、グラフィックノベル、ヤングアダルト小説、大人向けの小説とさまざまな作品を生み出している。現在はアメリカ在住。
作品概要
シャドーは3年の刑期を終えて出所しようとしていた。出所2日前、妻のローラが不審な車両事故で死亡する。
呆然としたシャドーは家へと戻るのだが、そこでアメリカの王だと名乗る奇想天外な男と出会い、2人はアメリカを横断する奇妙な旅に出るのだった。
May先生のおすすめの理由
複雑な文法はそれほどなく、1文ずつもさほど長くない。
使われている単語も難しいものではないが、口語的な表現が頻繁に出てくる。英語の教科書を中心とした学習だと、こういった語句に慣れていなくて理解しにくいかもしれない。
現代小説と古典小説と呼ばれるものでは使われる単語も変わってくるので、どちらも読むように心がけるとさまざまな英語に触れることができるのでおすすめだ。
A Collapse of Horses
著者紹介
Brian Evenson
Brian Evensonはアメリカ人作家。これまでに発表した作品は数々の賞を獲得しており、フランス語、イタリア語、日本語など多くの言語に翻訳されている。
現在はアメリカのロサンゼルスで暮らしており、カリフォルニア芸術大学の教師でもある。
作品概要
はく製のクマの心臓の鼓動、どんなに早く運転しても東へ後退していく都市……。日常と非日常、そして知るはずのない知識とともに生活する恐怖へと私たちを追い込む短編集。
May先生のおすすめの理由
17の作品が含まれた短編集。1篇は数ページ程度のものから40ページくらいあるものまでさまざまである。
文法構造や単語が多少難しい部分があるが、ストーリーが短いので挑戦しやすいはず。短編小説であれば短い時間でも読み切りやすいので、忙しい人にはぴったりだ。
ホラー系の短編集は比較的多く販売されているので、長編小説は苦手だけどリーディング練習のために洋書を読みたいという人にも向いている。
Picture of Dorian Gray
著者紹介
Oscar Wilde
Oscar Wilde(1854-1900)はアイルランドのダブリン出身の小説家、劇作家、詩人、批評家。大学卒業後にロンドンへ移って創作活動を開始し、さまざまな作品を残した。私生活では不倫や逮捕など波乱万丈な生涯を過ごした。
作品概要
自身の肖像画のとりこになったドリアン・グレイは永遠の若さと美と引き換えに魂を売り渡した。ヘンリー・ウォットン卿の影響のもと、ドリアンは腐敗した二重生活へと引き込まれていく。
社会からは紳士として見られながら、自身の欲望に浸る生活。その肖像画だけが衰微していくドリアンの痕跡をあらわにするのだった。
May先生のおすすめの理由
この原作が出版されたのは1890年のこと。ホラー小説の古典的名作である。今回紹介している本は2003年に出版されたバージョンなので、古典小説とは言ってもそれほど難しさを感じずに読むことができるだろう。
このような有名作品の場合、原作に近いバージョンや現代の読者が読みやすいように書き直されたもの、若者向けに易しく書かれたバージョンなど、さまざまな本が出版されている。
面白そうな内容の小説に出会ったら、本を比較してみると、自分の英語レベルに合う本を見つけることができるはずだ。
The Call of Cthulhu and Other Weird Stories
著者紹介
H. P. Lovecraft
P. Lovecraft(1890-1937)はアメリカ人作家。20世紀を代表するホラー作家の1人であり、多くの短編を残した。体が弱く、大学に通うことができなかった。ゴーストライターとして生計を立てたが裕福ではなく、名声が高まったのは死亡後であった。
作品概要
現代のホラー小説に影響を与えているとされるH. P. Lovecraftの短編集。悪夢と狂気を描いた初期の作品「The Outsider」や、有名な「The Call of Cthulhu」など多くの作品が収められている。
混沌と悪意に満ちた世界の言いなりになる人間を描いた作品の数々である。
May先生のおすすめの理由
短いものでは数ページほどの作品が18篇収められた短編集である。文法・語彙ともに多少複雑な感じである。少し難しい文章に挑戦したいという方にも、1つずつの作品が短いのでおすすめだ。
表題に出てくる「Cthulhu」という単語のように造語が登場することもあるので、内容を理解するためにはインターネットで検索する必要も出てくるだろう。
リーディングのとてもいい練習になるだけでなく、最初に紹介したStephen Kingにも影響を与えたといわれている作家の作品集ということで、どれも興味深い作品ばかりである。
「食」関連のおすすめ洋書8選
食に関する本といえば、まずはレシピ本だ。実は英語で書かれたレシピ本からは、その料理法だけでなく様々な学びを得ることができる。
その国ならではの食材や料理名を学ぶことができるのはもちろんのこと、調理の際に使用する語句は知らないままになっていることもあるので確認するようにしよう。他にも日本とは違う計量単位なども学ぶことができる。
こうした知識があると、海外のレストランで注文する際や食品を買い物する際などに役立つので、ぜひ覚えておこう。
また、英語で書かれたレシピをもとに実際に調理してみるのも、自分がきちんと英語を理解できているのか確かめる1つの方法になるので、チャレンジしてみるのもいいだろう。
Chef Gino’s Taste Test Challenge
Lexile指数
870L、TOEICリーディングスコア200から345
著者紹介
Gino Campagna、イラストMike Lowery
著者のカンパーニャはイタリア出身のシェフ。イタリアで調理を教えたのち、1900年代半ばにアメリカへ渡った。主に子ども達に調理を教えている。
イラストのロワリーは著作家兼イラストレーター。そのイラストがカードや児童書に使われているほか、自身でギャラリーも経営している。妻と娘とともにアトランタ在住。
作品概要
おいしくて簡単に作れる、子ども向けのレシピ本。その料理はパスタやピザから、スープ、デザートと様々で、どれも健康的なものばかりだ。子ども達が好みに応じて手を加えられるように、工夫されたレシピとなっている。
May先生おすすめの理由
初級から中級程度までの語句が分かり、基本的な文法が理解できる人向けのレシピ本である。
子ども向けとして書かれた本なので、丁寧な説明が特徴的だ。初めて英語のレシピ本を見る人にはぴったりだろう。イラストを交えた、とても可愛らしい作りの本となっている。
英語レベルは決して高くないのだが、英語のレシピは読み慣れていないとなかなか理解しにくいものだ。
この本をきっかけに調理に関する基本的な語句を再確認してみてはいかがだろうか。もちろん子どもと一緒に英語を勉強しながら料理するのにもぴったりである。
Make It Messy: My Perfectly Imperfect Life
Make It Messy: My Perfectly Imperfect Life
Lexile指数
1080L、TOEICリーディングスコア350から445
著者紹介
Marcus Samuelsson、Veronica Chambers
サミュエルソンは1970年エチオピア出身のシェフ。母親が結核で亡くなり、3歳でスウェーデン人カップルの養子となった。調理を学んだのちスイスやフランスで修行を積み、アメリカへ渡って23歳の若さで3つ星シェフとなる。
現在では自身のレストランを持つほか、執筆活動も行っている。チェンバーズはパナマ出身の著作家。アメリカのブルックリンで育った。Newsweekなどの副編集長も務める。
作品概要
世界的に有名なシェフ、マーカス・サミュエルソンの自叙伝。若者向けに書かれたこの本にはサミュエルソンの数奇な人生が記されている。失敗を受け入れ、夢を追い続けるインスピレーションを与えてくれる1冊。
May先生おすすめの理由
基本的な文法構造が理解でき、中級レベルの語彙力がある人向け。
困難を乗り越え、成功を収めている著者の人生に感銘を受けるだけでなく、スウェーデンの祖母から初めて料理を教わったことから、ニューヨークにある自身のレストランのことなど、料理に関心のある人にとって興味のありそうな内容ばかりである。
専門用語はほとんど出てこないので、洋書初心者にもおすすめの本だ。
この本を読んで、食品や調理に関する単語を含めた基本的な語句をしっかりおさらいしたい。ある程度リーディング力のある方なら、それぞれの文を確実に理解できるように読んでみるものいいだろう。
Cooking the Turkish Way
Cooking the Turkish Way: Including Low-Fat and Vegetarian Recipes (Easy Menu Ethnic Cookbooks)
Lexile指数
1130L、TOEICリーディングスコア350から445
著者紹介
Kari A. Cornell、Nurcay Turkoglu
コーネルは著作家であり、編集者でもある。料理、クラフト、園芸が好きで、現在は家族でアメリカの南ミネアポリスに暮らす。
ターコルーはトルコのククロワ大学教授。社会的コミュニケーションや文化研究の分野で活躍中である。
作品概要
ラムのケバブやバクラヴァなど、トルコの伝統料理のレシピを紹介するほか、ヨーロッパとアジアにまたがるトルコの歴史や地理、習慣や人々についても記した本。
紹介されているレシピの中には、低脂肪食やベジタリアン料理も含まれている。
May先生おすすめの理由
中級程度までの単語が分かり、普段あまり使わないような文法構造でも読むことができる人向けの本である。
それほど難しい英語レベルではないのだが、レシピ本特有の料理に関する専門用語が出てくるため、それらを学ぶ良い機会になる。
日本ではトルコ料理はまだそれほど一般的ではないが、欧米では馴染みのある料理ということで、レシピ本も多数出版されている。
トルコ料理の他にも、日本ではあまり見かけない国の料理本が手に入るのも洋書ならではだ。語学の面のみならず、料理からその国の文化等を感じることもできるので、気になる国の料理があれば読んでみてはいかがだろうか。
The Hundred-Foot Journey
Lexile指数
1190L、TOEICリーディングスコア400以上
著者紹介
Richard C. Morais
モレイスはアメリカ人作家。スイスで育ち、世界各国で暮らしたのち、2003年にアメリカに戻った。
作家になる以前は、フォーブスで副編集長や海外特派員をしていた。現在はニューヨーク在住。
作品概要
ハサンはムンバイにある祖父が経営する小さなレストランの上で生まれた。食べ物に囲まれて育っていたハサンだが、あることがきっかけで家族はインドを出ることを余儀なくされる。
そして辿り着いたのはフランスの小さな村だった。そこで家族はインド料理のレストランを開くのだが、そこは有名なフランス料理店の向かいで……
May先生おすすめの理由
2014年に映画化もされた、インド料理とフランス料理がふんだんに登場する小説である。基本的な語彙と文法に加えて、普段あまり使わない単語や文法構造も理解できる人向け。
インド料理とフランス料理に関わる語句が多く出てくるのが特徴的な小説だ。フランス料理は日本でもすでに定着しているが、最近ではインドからのシェフを招いたインド料理店の数も増えてきた。
欧米ではインドからの移民は多く、その料理もかなり一般的なものとなっているので、旅行の際などにインド料理店を目にすることも多くあるはずだ。インド文化に関する知識も得られる1冊。
Fast Food Nation: The Dark Side of the All-American Meal
Lexile指数
1240L、TOEICリーディングスコア400以上
著者紹介
Eric Schlosser
シュローサ―は1959年アメリカ・ニューヨーク出身のジャーナリストであり、主要メディアが取り上げないようなトピックに光を当て続けている。
有名なローリング・ストーン誌や60Minutesといったテレビ番組にも関わった。
作品概要
ファストフードは貧富の差を広げ、肥満の増加に火を点け、アメリカ文化の帝国主義を海外に推し進めてきた。こうした多くの代償を、風刺と機知に富んだ文章に、注意深い理由づけを織り交ぜながら綴った作品。
May先生おすすめの理由
中級レベル以上の語彙も理解することができ、複雑な文法構造にも対応できる人向けの本となっている。ページ数も多く、内容も本格的で、かなり読み応えのある本である。
ファストフードの弊害についてかかれた書籍は有名なものだけでもいくつかあり、話題になることも多いトピックなので、ぜひ1冊は読んでおきたいものだ。
社会問題とその原因などを扱った文章を普段から読んでおくことは、英語の資格試験のリーディング対策にもなるのでおすすめである。
Food and You: A Guide to Healthy Habits for Teens
Lexile指数
1250L、TOEICリーディングスコア400以上
著者紹介
Marjolijn Bijlefeld、Sharon K. Zoumbaris
ビーレフェルトは著作家そして編集者である。ザンバリスは著作家であると同時に司書でもある。本書以外にも二人の共作で本を出版している。
作品概要
10代の若者向けに、栄養の基礎知識、身体によい食事の選択方法、最大限に健康であるために運動が果たす役割などについて解説された本。また特に若者が感心を持ちそうな、ダイエットや摂食障害といったテーマも取り上げている。
May先生おすすめの理由
難しい語彙にもある程度対応することができ、複雑な文法構造も理解できる人向けの本。10代の若者に向けた解説とは言いつつも、かなり読み応えのある内容なので、成人に向けても十分におすすめの本である。
健康的な食生活というテーマは欧米でも高い関心があり、様々な読み物が出版されている。
栄養素の名前や運動に関する事、さらには糖尿病やアレルギーといった事については最低限の語彙は頭に入れておくと、普段の会話でも役に立つことが多い。
Chocolate: Sweet Science & Dark Secrets of the World’s Favorite Treat
Lexile指数
NC1330L、TOEICリーディングスコア450以上
著者紹介
Kay Frydenborg
フライデンボルは著作家で、主に若者向けの本を書いている。ほとんど毎日乗馬するというほどの馬好き。現在はアメリカ・ペンシルベニアに、夫と犬と馬と暮らしている。
作品概要
最先端の遺伝子科学と、社会的良心・歴史・文化が混ざり合ってできるもの、それがチョコレートである。世界で最も人気のある食べ物の1つを掘り下げた1冊。
May先生おすすめの理由
幅広い語彙力を備え、あまり使用されないような文法構造も理解できる人向けの本。英語レベルとしてはかなり高い書籍となるが、関連写真も豊富に掲載され、チョコレート好きならば興味深く読めるに違いない。
チョコレートの文化的背景などを知ることができる1冊である。英語レベルは高いが1文ずつはそれほど長くないので、単語をきちんと押さえていけば読み進められるはずだ。
本書のように1つのテーマに絞られた本だと、たとえ知らない単語が出てきても、関連性を持って覚えることができるので記憶に残りやすい。普段、単語の学習をするときも、関連のある単語はまとめて覚えるなど工夫してみよう。
In Defense of Food: An Eater’s Manifesto
In Defense of Food: An Eater’s Manifesto
Lexile指数
1390L、TOEICリーディングスコア450以上
著者紹介
Michael Pollan
ポランは1955年生まれ。ニューヨーク近郊のロングアイランドで育ち、オックスフォード大学などで学んだ。30年以上に渡って著作家として活動している。また1987年以降ニューヨーク・タイムズ誌に寄稿している。現在は画家の妻と暮らしている。
作品概要
人々が栄養を気にするあまり、より不健康になっているように見えるのはなぜだろうか。
人は何を食べるべきなのかという疑問に、この本は新しいようで実は古くからある、とてもシンプルな答えを提案している――『食事をしなさい。食べ過ぎてはいけません。植物性の食べ物を多く摂りましょう』
May先生おすすめの理由
普段あまり使われないような語彙や文法構造を理解できる人向けの本。1つずつの文が長めなので複雑に感じるが、それほど堅苦しい内容ではないので落ち着いて読み進めよう。
栄養や食品、健康に関する多くの語彙に触れることのできる本である。本書のように英語の難易度が高い本を読んでいて、しばらく考えてもうまく理解できない箇所に出会ったら、思い切って少し読み進めるのも1つの方法だ。
例えば、次の段落を読んでいて、あそこはこういうことが言いたかったのだと気付くこともある。
ノンフィクションおすすめ洋書8選
ノンフィクションのリストの中から、日本のアマゾンサイトで紙媒体もオーディブルもどちらでも購入できるものをピックアップした。
アメリカで今読まれている本を読みたい、という方はぜひ今回の洋書をチェックしてみてほしい。
Becoming / マイ・ストーリー
著者紹介
Michelle Obama
Michelle Obamaは1964年アメリカのシカゴ生まれ。夫は44代アメリカ大統領のBarack Obamaである。
Michelle Obamaはアフリカ系アメリカ人として初めてのファーストレディーとなった。ハーバードロースクールで学んだのち、法律事務所での勤務やシカゴ市長のアシスタントを務めた経歴を持つ。
作品概要
アフリカ系アメリカ人として初めてファーストレディーとなった著者の自叙伝。
シカゴでの幼少期から、仕事と家庭を両立した日々、そしてホワイトハウスで過ごした時間までを思い起こして書かれている。
公的な面、個人的な面、それぞれにおける功績と失望を、著者ならではの誠実さとユーモアを交えて綴った一冊。
May先生おすすめの理由
複雑な文法や難解な単語が少ないので、比較的理解しやすく感じる本である。
オーディブルのナレーションは著者自身が務めているので一聴の価値ありだ。著者の朗読はとても聞きやすく、リスニングの練習として使いやすい。
ペーパーバックで720ページ、オーディブルの再生時間19時間越えとかなりの長編だが、読み聴き終える頃にはリーデング・リスニング力ともに鍛えられていることだろう。
The Library Book
著者紹介
Susan Orleanはアメリカのオハイオ出身の著作家。卒業後、いくつかの雑誌で記事を担当したのち、書籍の執筆を始めた。現在も雑誌と本の仕事を並行して行っている。
夫と息子とともにロサンゼルスとニューヨークを行き来する生活を送っている。
作品概要
1986年4月29日にロサンゼルスの図書館に火が点けられ、40万冊以上もの本が失われた事件は未解決のままである。
この事件を通して、著者はすべての図書館の歴史と図書館がもつ意味、そして図書館の将来について考察する。
デジタル化が進むなか、私たちの生活に図書館が与える大きくて無くてはならない役割とは何なのだろうか?
May先生おすすめの理由
文法的には複雑ではないが、馴染みのない単語が多いと感じるかもしれない。語彙力を高めるのに良さそうだ。
この作品のオーディブルも著者自身が担当している。朗読ははっきりしているし、朗読スピードもそれほど速くないので、リスニングの練習として使いやすそうだ。
図書館という、本好きのみなさんにとっては興味深い内容の本なのではないだろうか?
The Library Book (English Edition)
Ship of Fools
著者紹介
Tucker Carlsonは現在FOXニュースチャンネルの番組でホストを務めている。トリニティ大学卒業後、いくつかのテレビ局でホストなどを経験した。
現在の番組では、政界や文化界からゲストを招いて意見を交え、他のメディアが扱わないような問題に取り組んでいる。
作品概要
アメリカの一般市民が想像するよりも、アメリカのエリートが持つ力と富はずば抜けている。自家用飛行機を持ち、自身の山でスキーを楽しみ、VIP席からスポーツを観戦する……
現在アメリカを取り仕切る人々が一般市民と関わることは滅多にないのだ。こうした人々は沈みゆく船のリーダーであることを知らない、と著者は言う。はたしてアメリカを軌道修正させる方法とは?
May先生おすすめの理由
1文ずつは短く、文法も複雑ではない。しかし当然ながら政治に関する単語が多いので、知らないと読みにくく感じるかもしれない。政治関連の単語を覚える良い機会と捉えて学習するといいだろう。
英語のニュースを理解しやすくなるし、2018年に出版されたばかりの本なので時事ネタを英語で話すときにも役立つ。
オーディブルのナレーションは著者自身が務めている。FOXテレビを観る感覚でオーディブルを聴くことができるので面白い。
Sapiens: A Brief History of Humankind / サピエンス全史
著者紹介
Yuval Noah Harariは1976年イスラエル出身の歴史学者。オックスフォード大学で博士号を取得し、現在はヘブライ大学で教えている。
もともとは世界史、中世史、軍事史が専門であったが、今では歴史と生物学の関係などについて研究している。
作品概要
ホモ・サピエンスが世界を支配しているのは、私たちが神や国家やお金や人権といった、想像の上だけに成り立つものの存在を信じる唯一の生き物だからだ。
50か国語ほどに翻訳され、すでに1千万部以上を売り上げているこの本は、人類の歴史をまったく新しい観点から教えてくれる。
May先生おすすめの理由
文章構造自体はそれほど複雑ではないし、1文もさほど長くない。
専門的な単語が所々でてくるので難しく感じるかもしれないが、専門知識がなくても理解できるように丁寧に書かれているので、落ち着いて読んで理解しよう。
オーディブルのナレーションは、オーディブルの朗読も数多く担当しているイギリス人のナレーターが務めている。
英語の試験の長文読解やリスニングの練習としても使えそうな文章と朗読と言えそうだ。
Fear: Trump in the White House / FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実
著者紹介
Bob Woodwardは1943年アメリカのイリノイ州出身。イェール大学で歴史とイギリス文学を学んだのち、アメリカ海軍に5年間所属した。
1971年以降はワシントンポスト紙の編集委員を務めている。1973年と2003年にはピューリッツァー賞を受賞した。
作品概要
ドナルド・トランプ大統領のホワイトハウスでの生活と、外交や内政問題にどのように決断を下しているのかを明らかにする1冊。
著者自らが多くのインタビューや資料から、大統領の1年目を詳細に伝えている。
May先生おすすめの理由
専門的な単語はそれほど多くは出てこない。1文が少し長いところがあるが、まとまりごとに内容をしっかり理解すれば、さほど混乱せずに読めるはずだ。時事英語を学ぶのに非常に適した1冊と言えるだろう。
オーディブルは英語でニュースを聴く練習にもなりそうだ。
日本でも頻繁に話題にのぼるトランプ大統領だが、大統領について書かれた本や側近が書いた本などがいくつか出版されているので、興味や英語力に合わせて本を選ぶことができる。
Churchill: Walking with Destiny
著者紹介
Andrew Robertsは1963年生まれ。哲学で博士号を取得し、現在はロンドンのキングス・カレッジで客員教授を務め、オックスフォード大学などでも講演を行っている。
これまでに19冊の本を執筆し、ラジオやテレビにも数多く出演。現在はロンドン在住。
作品概要
優れたリーダーは誰かと問われて多くの人の心に浮かぶのは、第2次世界大戦当時イギリスの首相であったウィンストン・チャーチルだ。
この本ではチャーチルの出生から功績までを、これまで非公開だったイギリス王室に残る資料も交えて明らかにする。
今日数々の問題に直面しているリーダーたちに多くの気づきをもたらす作品。
May先生おすすめの理由
1文が長く、文法構造が複雑な箇所が所々見られる。ハードカバーで1152ページという大作なので、1冊読み終えるころにはかなり英語の読解力と英文を読む自信が身についていることだろう。
オーディブルのナレーションはイギリス人俳優が担当しており、リスニングとしても面白い。今年はチャーチルに関する映画が公開されて話題になったので、洋書もぜひ読んでみてはいかがだろうか?
In Pieces
著者紹介
Sally Fieldは1946年アメリカのカリフォルニア出身の女優。多くのテレビドラマや映画に出演し、アカデミー賞やエミー賞を獲得している。
最近の作品では『フォレスト・ガンプ』や『アメイジング・スパイダーマン』などがある。
作品概要
17歳でテレビデビューして以来50年以上にわたって観客を魅了してきた女優の自叙伝。
ハリウッドでのキャリアの浮き沈みだけでなく、孤独で困難だった幼少期や義理の父からの性的虐待、複雑な実母との関係などを初めて綴った作品である。
May先生おすすめの理由
文章構造が多少複雑な箇所や、馴染みのない単語が出てきて読みにくさを感じるかもしれないが、専門的なことが書かれているわけではないので、少しずつ確実に理解していくようにしよう。
オーディブルのナレーションは著者本人が担当している。
この作品だけではないが、洋書を読んでいると『―(ダッシュ)』記号を目にすることがよくある。
語句が文中に挿入されていたり、「そして」といった感じで使われていたり、状況によって使われ方は異なる。
参考書などで基本的な使用方法を理解したら、あとは文章を沢山読んで慣れる必要もありそうだ。
The Fifth Risk: Undoing Democracy
著者紹介
Michael Lewisは1960年アメリカのニューオーリンズ出身。ロンドンの学校を卒業後すぐに債権のセールスの仕事に就くが、そこで1980年代のウォールストリートの現状を目の当たりにする。
仕事では成功を収めるが、会社を辞め、自身の経験をもとに執筆活動を始める。
作品概要
トランプ大統領が当選した翌朝、アメリカ合衆国エネルギー省の人々は次の政権の移行チームがやってくるのを待っていた。
しかし誰も現れない。政府全体で同様の事が起こっていたのだ。国家を崩壊へと導いている事柄を明らかにする作品。
May先生おすすめの理由
政治に関わる語句が出てくるので、慣れないと読みにくく感じるかもしれないが、時事英語を学ぶにはぴったりの作品である。
ハードカバーのページ数は224ページとそれほど長くないので、ぜひがんばって最後まで読み切りたい。
オーディブルのナレーションはアメリカ人俳優が務めている。
英語でニュースを聴くことも時事英語のリスニングの練習になるが、洋書があれば分からなかったところを文字で確認することができるので、効率的に勉強ができるはずだ。
The Fifth Risk (English Edition)
小説(フィクション)おすすめ洋書8選
現代的な作品は、どちらかと言うと日常的な英語を学ぶのに向いている。
会話が多い作品であれば、文章からネイティブならではの英語を学ぶことができる。映画や海外ドラマだと聞き逃してしまう可能性もあるので、洋書は繰り返し読めるところが便利だ。
また、現代的なトピックをテーマにした作品からは、時事英語を学習することもできる。
今回紹介している小説はどれも興味深い内容ばかりで、文章自体もそれほど難しくはないはず。英語で本格的な小説はまだ読んだことがない、という方も一読の価値ありだ。
Asymmetry
著者紹介
Lisa Hallidayはアメリカのマサチューセッツで育った。現在はフリーランスの編集者や通訳をしながら、イタリアのミラノで夫とともに暮らしている。
2017年にはフィクション部門でWhiting Awardという賞を獲得した。今回紹介しているAsymmetryがデビュー作品である。
作品概要
この小説は、短編小説のような2つのセクションから成り立っている。
1つは、若い編集者と年上の作家との不倫についての物語であり、もう1つはイラク系アメリカ人の経済学者がヒースロー空港で足止めされる物語である。
一見関係のない2つの物語だが、次第に登場人物の人生が繋がりあっていく。
May先生おすすめの理由
使われている語句や構文はさほど難しくない。
長い文もあるが、カンマなどの区切りごとに理解するようにすれば、あまり混乱することなく読めそうだ。会話文も多いので、より日常的な英語を学びたい方におすすめ。
日本の英語の教科書ではあまり見かけないような、ネイティブらしい表現を学ぶことができるだろう。
An American Marriage
著者紹介
Tayari Jonesは作家で、これまでにいくつか賞を獲得している。
アメリカのアイオワ大学などで学んだ。現在は、エモリー大学でクリエイティブ・ライティングの教授も務めている。
作品概要
ロイとセレスティアルは若い黒人の夫婦で、アトランタで暮らしていた。ところが、ロイは犯してもいない強姦の罪を着せられ、12年の刑期を言い渡される。
ロイの無実を確信していたセレスティアルだったが、ロイの刑期中に友人のアンドレと関係を持ってしまう。やがてロイが刑務所を出て、アトランタに戻ってくるが……
May先生おすすめの理由
文章構造は比較的易しく、短い文が多いので、読みやすい印象を受ける小説である。難しい単語はほとんどないのだが、口語的な表現が多めである。
学校で習うような表現ではないので、もし解釈に迷ったら辞書を引くよりもインターネットで調べたほうが、適切な意味を把握できるかもしれない。
日本語で検索してもピンとくる訳を見つけられない場合は、英語の辞書サイトなどもチェックしてみよう。
Cherry
著者紹介
Nico Walkerはアメリカのクリーブランド出身。衛生兵として、イラクにおいて250以上もの任務に参加した。
その後、銀行強盗で11年の刑を言い渡され服役。今回紹介しているCherryがデビュー作品である。
作品概要
2003年、クリーブランドの大学1年生の男は、エミリーという女性と出会う。
二人は一瞬にして、人生を変えるほどの繋がりをお互いに感じる。しかし、エミリーを失いかけた男は、なんと軍への入隊する決意をする。
男はイラクへ衛生兵として派遣されるが、そこで待っていた現実は予想を超えるものであった。そして帰国した男はPTSDに陥り……
May先生おすすめの理由
文法的には難しくなく、1文も短いので混乱せずに読めそうだ。ただしスラングや、口語的な表現が多い。
慣れていないと複雑に感じるかもしれないが、より自然な表現を学びたい人にはぴったりだろう。
フィクションということになってはいるが、小説の内容と著者のプロフィールはかなり合致する部分が多い。
イラク戦争やアメリカにおける退役軍人が抱える問題などを考えさせられる作品であり、そういった事柄に関する時事英語を学ぶこともできる1冊である。
Early Work
著者紹介
Andrew Martinは執筆家で、これまでに執筆したノンフィクション作品は『The New Yorker』『The Washington Post』などに掲載されてきた。
今回紹介しているEarly Workは小説としては初めての作品となる。
作品概要
女性刑務所で教えるピーターは、小説を書こうとインスピレーションを探していた。ピーターには医学生の彼女がいて、そろそろプロポーズする時期なのではないかと考えている。
ところが、レスリーという女性と出会い、ロマンチックな関係になることで、ピーターは小説家になりたいと思いを巡らすようになる。
May先生おすすめの理由
使われている単語はそれほど難しくないし、スラングなどもほとんど出てこないので、語彙としては読みやすい印象を受ける。
ただし1文ずつはかなり長めである。接続詞や、関係代名詞の役割をしっかり理解する必要がありそうだ。
また、カンマで区切られた挿入句にも目を向けてみよう。挿入句は文字通り文の間に挿入された句で、その句がなくでも前後の意味は通じるものだ。
文が長いと混乱しがちだが、その文がどのように成り立っているのか、落ち着いて考えてみよう。
Early Work: A Novel (English Edition)
Eternal Life
著者紹介
Dara Hornは1977年アメリカのニュージャージー出身の小説家。ハーバード大学で学んだ。25歳の時に最初の小説を書き、その後も作品を執筆して賞を獲得している
。ニューヨーク市立大学などでイスラエル史等を教えた経験も持つ。現在もニュージャージーで夫と子ども達とともに暮らしている。
作品概要
永遠に生きることの欠点とはなんだろうか? 2000年ものあいだ生きているレイチェルは、生きることにちょっと飽きてきた。
「難しいのは、永遠に生きることじゃないの」とレイチェルは言う。「難しいのは、価値ある人生を送ること」
May先生おすすめの理由
単語、文法構造ともにさほど難しくはなく、ページ数もどちらかと言うと少なめの作品だ。ファンタジー要素が含まれているので、楽しく読み進められるのではないだろうか。
―(ダッシュ)、:(コロン)、イタリック体など、日本語にはない表現方法が多く出てくるので、この機会に使用方法をしっかり確認するとよさそうだ。
Everything Under
著者紹介
Daisy Johnsonは1990年出身の小説家。2016年に短編小説で小説家デビューすると、ハーパーズバザー短編小説賞など、数々の賞を獲得した。
現在はイギリスのオックスフォードで暮らしている。今回紹介しているEverything Underは、著者の初長編小説である。
作品概要
16年前に自分を捨てた母親を探す、若い女性の物語。グレーテルは辞書の編集を仕事としていた。幼いころは母親とともに運河のボートの上で暮らした。
しかし、16年前に母親はいなくなり、その頃の記憶も消えかけていた。しかし、病院からの1本の電話が、過去の疑問を呼び起こすこととなる。
May先生おすすめの理由
使用されている単語や文法構造ともにやや難しい印象を受ける。少し複雑な文法構造を含む文章に挑戦したい、という方にもおすすめの作品だ。
また、指示代名詞が多く出てくるので、誰が話しているのか、何を示しているのかをしっかり把握しよう。1文ずつは長くはないので、落ち着いて読み進めて内容を理解しよう。
The Female Persuasion
著者紹介
Meg Wolitzerは小説家。これまでに数々の長編小説を執筆している。また、ヤングアダルト小説の執筆も行っている。現在はニューヨーク在住。
作品概要
グリアは恥ずかしがり屋の大学1年生。63歳のフェイスはエレガントな女性で、何十年も女性運動の中心にいる人物である。
フェイスのスピーチを初めて聞いたグリアの内面に、これまでにない炎が灯る。そして驚くべきことに、フェイスに人生を導かれていくグリアは……
May先生おすすめの理由
一見、1文ずつがとても長く見えるのだが、カンマやセミコロンで区切られているので、それぞれの部分を理解していけば、きちんと内容を把握できるはずだ。
あまり難しい単語は含まれていないので、語彙にはそれほど困らないのではないだろうか。
アマゾンのAudibleも販売されていて、収録時間は15時間近くとかなり長いが、数々のオーディオブックを担当しているナレーターによる朗読なので、リスニングの練習に使うのもおすすめだ。
Freshwater
著者紹介
Akwaeke Emeziはナイジェリア出身の著作家であり、映像アーティスト。イグボとタミル民族のバックグラウンドを持つ。
今回紹介しているFreshwaterはデビュー作品であり、自伝的小説である。6か国語に翻訳されており、賞にもノミネートされている。
作品概要
アダはその身体に霊を住まわせた状態で生まれてきた。やがてアダが大学へ行く年齢になると、それらの霊が力を増していく。アダは意識の消えていき、かわりに霊がアダをコントロールするようになる。
そして、アダの人生は危険な方向へと向かっていくのだった。
May先生おすすめの理由
多少難しい単語も出てくるが、文章自体はそれほど難しくないので理解はしやすいはず。
ただ、固有名詞が多いので、ある程度は辞書やインターネット検索が必要になりそうだ。英英辞書も積極的に活用してみよう。
アフリカ出身作家による作品というのは、なかなか日本で見かける機会が少なく、興味深い1冊である。
オーディオブックのおすすめ洋書8選:小説編
Holes / 穴
著者紹介
Louis Sachar
サッカーはアメリカ人の児童文学作家。これまでに25冊もの作品を執筆し、数々の賞を受賞している。作家として活躍するようになる前は、法律関係の仕事に就いていた。
作品概要
主人公のスタンリー・イエルナッツは、祖父の祖父が起こした出来事のせいで代々呪われていると信じていた。
ある日スタンリーは、不公平なことに非行少年収容所へ送られてしまう。そこで少年たちは毎日、人格形成のためと称して、きっちり幅5フィート深さ5フィートの穴を延々と掘らされていた。しかしスタンリーはすぐに、この穴掘りが人格形成のためではなく、所長が何かを探しているのだということに気づく。
地中に隠されているものとは、いったい?
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は660L、TOEICリーディングスコアは60から145程度。
この小説は2003年に映画化もされた人気作品である。子供向けの本ながら、大人にとっても読み応えのある作品である。目安となるTOEICのレベルを考えると、簡単な語句や規則に基づいた文法構造が理解できる、洋書初心者におすすめの本だ。
オーディオブックはアメリカ人俳優のKerry Beyer(ケリー・ベイヤー)によって朗読されている。
書籍
オーディオブック(CD)
Cat Among the Pigeons / 鳩のなかの猫
著者紹介
Agatha Christie
アガサ・クリスティ(1890-1976)はイギリス人作家。生涯を通じて66作もの探偵小説を残した。作品に出てくる探偵のポアロやミス・マープルは非常に有名である。ギネスブックはクリスティを「史上最高のベストセラー作家」に認定した。
作品概要
中東の首長が保有していた宝石の密輸入、架空の王国Ramatでの革命、そしてイギリスの上流女子学校で起こった殺人事件……。探偵ポアロが見つけ出した、興味深いこれらの共通点とは?
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は720L、TOEICリーディングスコアは100から245程度。
クリスティの作品ではしばしば、ベルギー人のポアロがフランス語で話している箇所がイタリック体で書かれている箇所がある。知らないと驚くかもしれないが、前後の文章を読めば内容は理解できるはずである。
TOEICレベルは低いので出てくる語彙や文法は複雑ではないのだが、クラシックなイギリス作品ならではの言い回しに少し苦労するかもしれない。
こういう作品こそ特に、オーディオブックを聞いてその雰囲気を味わいたいものである。
書籍
オーディオブック(CD)
Twilight (The Twilight Saga) /トワイライト エクリプス
著者紹介
Stephenie Meyer
メイヤーはアメリカ人作家。メイヤーの作品の中で最も有名なトワイライトシリーズは、37か国語に翻訳され、50か国以上で10億部数を超える売り上げを残した。現在は家族とともにアリゾナで暮らしている。
作品概要
主人公のイザベラ・スワンは、年がら年中雨ばかりの小さな町フォークスへ引っ越してきた。
しかし、そこでイザベラは魅惑的でミステリアスなエドワード・カレンと出会う。そしてその出会いが、イザベラの人生を恐ろしく、スリリングなものへと一変させるのだった。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は720L、TOEICリーディングスコアは100から245程度。
日本でも話題となり映画化もされた作品であるが、原作は読んでいないという方も多いのではないだろうか。この作品は欧米でよく見かけるヤングアダルトというジャンルの本で、10代の読者層をターゲットに書かれており、概してヤングアダルト作品はそれほど難しくなく、英語学習者にも読みやすい傾向がある。
目安となるTOEICのスコアもそれほど高くなく、基本的には初級から中級にかけての語彙力があれば読めそうだが、ファンタジー小説ならではの、普段あまり使わないような単語も出てくる。
書籍
オーディオブック(CD)
Diary of a Wimpy Kid / グレッグのダメ日記
著者紹介
Jeff Kinney
キニーはアメリカ人の漫画家であり児童書作家である。大学在学中に漫画を描き始めたが、その時は成功することはなく、その後Diary of a Wimpy Kidを書きはじめた。現在はマサチューセッツで家族とともに暮らしている。
作品概要
物語は主人公のグレゴリー(グレッグ)・へフリーがミドルスクールへ上がる新学期から始まる。親友のロウリーとともに、学校で起こるさまざまな出来事を綴ったグレッグの日記である。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は950L、TOEICリーディングスコアは250から395程度。
本書は映画化もされ、日本でも翻訳されて出版されているが、手書きのような文字と本物の日記のような雰囲気のある本書は、ぜひ原作を読んでもらいたい。
本書は児童書に分類されてはいるが、TOEICスコアを考えると、本書を無理なく読むためには、中級程度の単語とあまり使用しない文法も理解できることが必要となる。ただ、主人公の語り口や、本書中の可愛らしいイラストなどから、堅苦しくなく読めるところがこの作品の素晴らしいところだ。
書籍
オーディオブック(CD)
Murder on the Orient Express / オリエント急行の殺人
著者紹介
Agatha Christie、ナレーション David Suchet
アガサ・クリスティー(1890-1976)はイギリス出身の作家。推理小説が有名でその生涯で66もの作品を残した。
ナレーションのデヴィッド・スーシェは1946年イギリス・ロンドン出身の俳優。イギリスで放映されたテレビシリーズでアガサ・クリスティーの作品に登場する探偵ポワロを演じたことで有名。
作品概要
この時期には珍しく多くの乗客をのせたオリエント急行は、深夜、豪雪のために停車を余儀なくされた。翌朝、アメリカ人乗客が自室で刺殺されているのが見つかる。部屋には中から鍵がかけられていた。
推理小説はストーリーが面白いのはもちろんだが、内容をしっかり理解しないとその面白みが分からないので、英語学習に適したジャンルといえるだろう。
ナレーションを担当しているのが、実際にポワロを演じたことで有名な俳優というのが興味深い。
Charlie and the Chocolate Factory / チャーリーとチョコレート工場
著者紹介
Roald Dahl、ナレーション Douglas Hodge
ロアルド・ダール(1916-1990)はウェールズのカーディフ出身の児童書作家。
両親はノルウェー出身であった。ダグラス・ホッジは1960年イギリス出身の俳優。数々の賞を受賞しており、この作品のミュージカルでウィリー・ウォンカを演じた。
作品概要
チョコレートの中に隠された金のチケットを見つけた者は、鉄の門をくぐってウォンカの巨大なチョコレート工場に入ることができる。チケットはわずか5枚。はたしてチャーリーは中に入ることができるのか?
本来は児童書であるとはいえ、大人が聴いても十分に楽しめるストーリーであるし、しっかり英語を学習することができる。
このオーディオブックにUnabridgedと書いてあるが、これは『省略されていない』という意味。本をそのまま朗読しているので、本を学習に併用する場合はUnabridgedと記載されているものを選ぼう。
The Giver / ギヴァー 記憶を注ぐ者
著者紹介
著者 Lois Lowry、ナレーション Ron Rifkin
著者のLois Lowryはハワイ出身の児童文学作家。ニューヨークやワシントンDCなどで育ち、東京で暮らしたこともある。アメリカで優れた児童文学作家に与えられるニューベリー賞を2度獲得している。
ナレーターのRon Rifkinはアメリカ・ニューヨーク出身の俳優で多くのテレビドラマや映画に出演している。
作品概要
毎年12月になると12歳になった子ども達は「人生の任命」を授かる。今年はジョナスもその中の一人だ。友だちが次々と任命されていくなか、ジョナスは特別な役割に選ばれる。
「与える者」という名の男のもとへと導かれたジョナスは、脆くも完璧な世界の下に潜む暗い秘密に気づき始めるのだった。
May先生おすすめの理由
もともとは児童文学に分類される作品だが、大人でも十分に楽しめるストーリーだ。英文の難易度を表すLexile指数は760Lと高くはないし、Audibleのナレーションは俳優が務めているとあって聞き取りやすい。
こういったことを考えると、英語の基礎固めに適した洋書・オーディオブックと言えるだろう。
この作品は2014年に映画化もされたが、オーディオブックの方が映像の助けがない分、ヒアリングの練習にはおすすめだ。
Never Let Me Go / わたしを離さないで
著者紹介
著者 Kazuo Ishiguro、ナレーション Rosalyn Landor
著者のKazuo Ishiguroは小説家。日本で生まれ、子どもの頃に父親の仕事でイギリスへ移住した。イーストアングリア大学で創作文学を学んだのち、多くの作品を残している。
ナレーションのRosalyn Landorはイギリス生まれの女優。7歳から子役として活躍しており、テレビドラマや劇など多くの作品に出演している。
作品概要
ヘイルシャムは街から遠く離れた寄宿学校で、生徒たちは芸術や文学を学び、立派に育っていた。しかしなぜか学校の外のことは教えられず、外部との接触もほとんどないのだった。
生徒であるキャシーとルースとトミーが寄宿学校を巣立った時、3人はヘイルシャムの本当の真実に気づくことになる。
May先生おすすめの理由
洋書のLexile指数は970Lとそれほど高くないので、難しい単語や文法はほとんど見られない。Audibleのナレーションも、担当している女優の声がはっきりしていて聞き取りやすいはずだ。
ただストーリーの内容を考えると、なかなか理解するのが難しいと感じるかもしれない。英語そのものがそれほど難しくないからこそ、しっかりと内容を把握できるようにしたい作品だ。
オーディオブックのおすすめ洋書11選:ノンフィクション編
Rich Dad Poor Dad / 金持ち父さん貧乏父さん
著者紹介
Robert Kiyosaki
キヨサキは日系4世のアメリカ人ビジネスマン兼著者。金融教育を行う会社を設立した。これまでに26冊以上もの著書を執筆し、特に有名なRich Dad Poor Dadは51か国語に翻訳され、2億7千万部以上を売り上げている。
作品概要
この本の中で著者のキヨサキは自らの2人の父親について語っている。
1人は実の父親で、もう1人は親友の父親『金持ち父さん』である。キヨサキがこの2人からお金と投資について学んだこととは? そして、お金のために働くことと、お金に働いてもらうこととの違いとは?
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は860L、TOEICリーディングスコアは200から345程度。
日本語にも翻訳された、非常に有名な本である。お金に関わる本を原書で読むのは敷居が高いと感じるかもしれないが、よく使用される文法構造や中級レベルあたりの語彙が理解でき、ビジネス関連書籍を読むことが好きな人は、ぜひ挑戦してほしい。
ビジネスで英語を使うという人にとっては、この本に出てくるような内容を英語で知っていることは役に立ちそうだ。専門的な用語もそれほど出てこないので、ビジネスにはあまり興味のない人にとっても読みやすい本である。
書籍
オーディオブック(CD)
Steve jobs / スティーブ・ジョブズ
著者紹介
Walter Isaacson
アイザックソンはアメリカ人作家兼ジャーナリスト。大学教授、アスペン研究所のCEO、「タイム」誌の編集者でもある。多くの著名人の伝記を執筆している。
作品概要
アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズの伝記。著者は2年以上をかけて40回以上もジョブズにインタビューを行い、またジョブズの家族・友人・同僚らへも100回以上インタビューを行い、この伝記を執筆した。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1080L、TOEICリーディングスコアは350から445程度。
TOEICレベルも上がり、中級程度もしくはあまり使われない語彙も理解でき、規則に基づいた文法から複雑な構文まで理解できる人向けの作品である。TOEICテストで高得点を狙いたい方は、このくらいのレベルの洋書を日頃から読んでおくと、さまざまな文章を抵抗なく読めるようになるだろう。
英語としては難しくなるが、スティーブ・ジョブズの生き方や言葉に感銘を受けたという人も多いであろうし、読む挑戦をする価値のある1冊である。
書籍
オーディオブック(CD)
Eat Pray Love / 食べて、祈って、恋をして
著者紹介
Elizabeth Gilbert
ギルバートはアメリカ人作家。Eat, Pray, Loveで大成功をおさめる以前は、フリーランスで雑誌の記事を書く仕事をしていた。ギルバートの妹も作家である。
作品概要
著者のギルバートは泥沼の離婚闘争に終止符が打たれたあと、イタリア、インド、インドネシアのバリを巡る1年間の旅に出た。イタリアでは楽しむ術を、インドでは信心の術を、そしてインドネシアのバリではその2つのバランスを取る術を学ぶために……
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1080L、TOEICリーディングスコアは350から445程度。
ジュリア・ロバーツ主演で映画化されるなど、非常に話題となった1冊。
目安となるTOEICレベルは前述のジョブズの伝記と同じである。難しい語彙も出てくるが、全体としてはこちらの方がくだけた雰囲気がある。セクションが短く区切られているので、多くの時間を割けないときに少しずつ読み進めるには最適だ。
また、このオーディオブックが特別なのは、何と言っても著者本人が朗読していることである。このようなオーディオブックは珍しいのでおすすめである。
書籍
オーディオブック(CD)
The 7 Habits of Highly Effective People / 7つの習慣
著者紹介
Stephen R. Covey
コヴィー(1932-2012)は経営コンサルタント兼作家。大学卒業後は教授として働いたのち、組織の経営者を対象としたコンサルティング及びトレーニングを提供する会社を設立した。The 7 Habits of Highly Effective Peopleは特に有名で、ビジネス書として大きな影響を残した。
作品概要
この作品は仕事や個人的な関係において、いかに認識や思い込みが成功を妨げるかに気づくことを目的としたプログラムである。考え方を広げ、より良い機会と効果的な問題解決へ自らを導いていこう。
May先生おすすめの理由
この本のLexile指数は1080L、TOEICリーディングスコアは350から445程度。
本書は『7つの習慣』として日本でもお馴染みの書籍である。TOEICのスコアから考えても、中級程度の幅広い語彙や、あまり使わない文法構文を理解することができ、文章全体にわたる情報を関連付ける力が必要となってくるだろう。
しかし本文中には理論だけではなく実際あった出来事なども紹介されていて、予想ほど堅苦しい印象は受けないかもしれない。『7つの習慣』という名前だけは知っていたけれどもきちんと読んだことがなかったという人は、この際、英語学習も含めて読んでみてはいかがだろうか。
書籍
The 7 Habits of Highly Effective People: Powerful Lessons in Personal Change (English Edition)
オーディオブック(CD)
Think and Grow Rich / 思考は現実化する
著者紹介
Napoleon Hill、ナレーション Russ Williams
ナポレオン・ヒル(1883-1970)はアメリカの著作家。アンドリュー・カーネギーと出会ったことで成功を体系化するプログラムをうみだす。
多数の著書を執筆したほか、大統領の顧問なども務めた。ナレーションのRuss Williamsはイギリスのラジオ・パーソナリティーである。
作品概要
1937年に初版が出版されてから長きにわたって人々に影響を与え続けている本であり、これまでに2000万部以上を売り上げている。
題名から金銭的な成功を扱った本と思われがちだが、その内容は人生のあらゆることに応用可能である。
再生時間は10時間越えとかなり長いが、それだけしっかり英語を学習できるし、語学だけでなく自身のためにもなるはず。
The Intellectual Devotional / 読むだけで身につく世界の教養365
The Intellectual Devotional: Modern Culture
著者紹介
著者 David Kidder、Noah Oppenheim、ナレーション Oliver Wyman、Helen Litchfield
著者のDavid Kidderは実業家として様々な活動を行うかたわら著書も出版している。
ナレーションのOliver Wymanは声優。数々のアニメやビデオゲームで声優を務めているほか、これまでに150冊以上ものオーディオブックの録音を行っている。
作品概要
聴く人・読む人にインスピレーションを与え、元気を与える365個の短いレッスンで構成された本。
歴史・文学・哲学・数学・科学・宗教・芸術・音楽のいずれかの分野に属する叡智の数々が収められている。
好奇心を呼び起こしたい、新しい知識を得たい、視野を広げたいといった人のための1冊。
May先生おすすめの理由
365個の項目で構成された本なので、1日1項目ずつ、毎日英語の学習をするのにうってつけの本である。1項目が洋書1ページ分なので、勉強時間を長く取れない忙しい人でも続けられそうだ。
月曜日は歴史、火曜日は文学、水曜日は美術といった具合に順番に違う分野のトピックを読むことができるので飽きることもないし、分野に偏りがないので色々な英語に触れることもできる。
今日はリーディングのために洋書を読む、明日はヒアリングのためにまずはAudibleを聴く、という風にこの本を活用すれば、英語力をまんべんなく鍛えることができそうだ。
Who Moved My Cheese? / チーズはどこへ消えた?
Who Moved My Cheese?: An A-Mazing Way to Deal with Change in Your Work and in Your Life
著者紹介
著者 Spencer Johnson、Kenneth Blanchard ナレーションTony Roberts、Karen Ziemba
著者のSpencer Johnson(1938-2017)はアメリカ人の医者であり作家であった。数々の児童書やビジネスに関する著書を執筆した。
マネージメントコンサルタントのKenneth Blanchardとはいくつかの著書を共同で執筆した。ナレーションのTony Robertsはアメリカ人俳優で数々の映画などに出演している。
作品概要
ビジネス書の古典的名作とも言うべき本書は、簡単な例え話を通じて、変化に対応するための奥の深い真実を教えてくれる。仕事や人生でのストレスを減らし、成功するための手助けとなるはずだ。
将来への恐れや不安を取り除くシンプルな方法を伝える一冊。
May先生おすすめの理由
ビジネス書でありながらLexile指数が900Lと低めで、英文としてはそれほど難しくなく、例え話が多く出てくるので初心者にも読みやすい本である。英語のビジネス書を読んだことがないという人にもおすすめの1冊だ。
再生時間も1時間39分と決して長くないので、一度にたくさん学習できなくても、章ごとに読んだり聞いたりしてみよう。
通勤通学の車内などでもオーディオブックなら英語学習がしやすいし、Audibleのブックマーク機能を使えば次に聴くときにも便利だ。
A Brief History of Time / ホーキングが語る「宇宙のすべて」
著者紹介
著者 Stephen Hawking、ナレーション Michael Jackson
著者のStephen Hawking(1942-2018)はイギリス人物理学者。
63年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。66年にケンブリッジ大学で宇宙論の学位を取得。74年にブラックホール蒸発理論を発表した。
ナレーターのMichael Jacksonはイギリスのラジオパーソナリティーである。
作品概要
これは究極まで知識を追い求め、時間と宇宙の核心にある秘密を探し続けるための本である。
車椅子からホーキング博士は私たちの宇宙に対する見方を変え続けてきた。今日の宇宙に関する最も重要な科学的概念への導入となる1冊。
May先生おすすめの理由
洋書はLexile指数1290Lなので、TOEICのリーディングスコアに換算するとだいたい400点以上は欲しいレベルである。
ある程度の単語力も難しい構文を理解する力も求められる。専門的な知識のない読者でも読めるように書かれた本ではあるが、普段使わない単語が多く出てきて理解するのが大変だと感じる方も少なくないはず。
こういうときにオーディオブックだけでなく洋書そのものも持っていると、スペルが分かり、辞書を引くことができるので英語学習に有効だ。
The Power of Now / さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる
著者紹介
著者、ナレーション Eckhart Tolle
Eckhart Tolleはドイツ生まれのスピリチュアル指導家であり著作家。ロンドン大学とケンブリッジ大学で学ぶ。ロンドンでカウンセラーやスピリチュアル指導家として働いた経験を持つ。
現在はカナダやカルフォルニアなどで活動・生活している。
作品概要
この本を読む/聴くまえに、まずは分析的思考とエゴを忘れよう。今この瞬間へのアクセスはどこにでもあるのだ。身体の中、沈黙、あなたのまわりの空間すべてに。
今この瞬間への道のりは簡単なものではないが、著者は質問と答えという形式で分かりやすく解説している。
May先生おすすめの理由
このAudibleでは著者本人がナレーションを担当している。著者本人が自身の作品を朗読するのを聴く機会というのはなかなかないので、こうしたオーディオブックはとても興味深いものだ。
本の構成はまず質問が提示されてその質問に答える、という形式がどんどん続いていく。1つの質問と答えで1ページくらいなので、少しずつ読み進めやすい。
内容は仏教に通じるところもあるとされ、理論だけでなくより現実的な観点から書かれているので、スピリチュアル本はあまり読まない方でも興味を持って読み進められるかもしれない。
The Sense of Wonder / センス・オブ・ワンダー
著者紹介
著者 Rachel Carson、ナレーション Kaiulani Lee
著者のRachel Carson(1907-1964)はアメリカ・ペンシルベニア出身の著作家、科学者、生物学者。動物学の博士号を取得。4冊の著書の他に生物に関する多くの記事を書いた。
ナレーションのKaiulani Leeはアメリカ人女優。本書の舞台と映画版で著者Rachel Carsonを演じていることで有名。
作品概要
この本は著者が1950年代に雑誌の記事として書いていたものを集め、写真をつけて、著者の死後に出版されたものである。
大人は子どもが生まれながらにして持つ自然界を不思議に思う気持ちを大切にしなければならない、という著者の哲学を感じ取ることのできる1冊である。
May先生おすすめの理由
植物など自然に関する名詞がたくさん出てくるので知らないと理解しにくい部分もあるが、これはもう語彙力なので頑張って調べよう。文章そのものは難しくないので、単語さえ解れば十分読めるはず。
自然に関する本と聞くと少し専門的に感じるが、内容の多くが著者と幼い甥っ子とのやり取りで構成されているので、読み物として楽しく読むことができる。
オーディオブックも素敵だが、本書は美しい写真がたくさん掲載された本なのでぜひ洋書も手に入れたい。
The Four Agreements / 四つの約束
著者紹介
著者 don Miguel Ruiz、ナレーション Peter Coyote
著者のdon Miguel Ruizはメキシコ出身のスピリチュアル指導家であり著作家。両親は古代トルテック族の伝統を受け継ぐヒーラーであった。
ナレーションのPeter Coyoteはアメリカ人俳優。映画E.T.の出演も含め、幅広く活躍している。
作品概要
人生を劇的に変えて、自由と本当の幸せと愛を経験するための、古代トルテックの叡智に基づいた行動基準を教えてくれる本。著者が提案する古代の叡智と現代の考え方の融合は他には見られないものである。
私たちの喜びを奪い、必要のない苦しみを生み出す自己制限的な信じ込みの源を解き明かす一冊。
May先生おすすめの理由
本全体もそれほど長くはないし、文法構造や語彙もさほど難しくはない。多少専門性のある単語が出てくるが、調べれば内容を把握するには問題ないはずだ。
古代文化について読んでいる感覚もあり、スピリチュアル系や自己啓発本が苦手という人にも読みやすいかもしれない。
英語的にはそれほど難しくない文章だからこそ、オーディオブックは1回で理解できるように集中して聞く、リーディングはまずは辞書を引かずに1章読んでみる、など自分なりの目標を持って取り組んでみるとよさそうだ。
オーディブル(Audible)のおすすめ洋書9選:古典作品編
新刊や話題の本ももちろんいいけれど、たまには古典作品も手に取ってみたい。
古典作品と聞くと、洋書で読むには難しい印象があるかもしれないが、必ずしもそうではない。クラシックな作品の場合、さまざまな出版社がそれぞれ微妙に違うバージョンを出版していることが多いのだ。
ほぼ原文通りのものもあれば、古い英語を現在使われている英語に書き直したもの、若者向けに少し平易にアレンジしたものや、かなり抜粋してあるものまで。同じタイトルでも自分の英語力に合った本を選ぶことができる。
また、古典作品を理解しやすくなるヒントとして、読む前に物語が書かれた時代や歴史を調べて、頭に入れておくこともおすすめだ。
今回紹介する洋書はどれも有名なタイトルばかりなので、教養としても知っておいて損はない作品ばかり。Audibleについては、下記の記事で使い方を解説している。
やはりイギリス文学では、Audibleのナレーターもイギリス人が担当している場合が多いようだ。イントネーションなどの勉強にもなるので、リスニング力アップのためにもぜひ聴いてみたい。
普段あまりクラシック作品は読まないという方も、ちょっとチャレンジしてみてはいかがだろうか?
» 参考: 洋書は聞く!?AmazonのAudibleを英語学習に活用しよう!
Romeo and Juliet / ロミオとジュリエット
著者紹介
William Shakespeare、ナレーション Josh Verbae
シェークスピア(1564-1616)はイギリスの詩人であり劇作家。その生涯で36の作品を残した。ナレーションのJosh VerbaeはAudibleの朗読を多数担当している。
作品概要
数あるシェークスピアの有名な作品の中でも最も知られた作品の1つ。
敵対同士にある一族出身の二人が恋に落ちるストーリーである。このオーディオブックはそのストーリーを現代的な英語になおしているので理解しやすい。
さらに、あらすじだけを録音したものなので収録時間も15分と短く、はじめてオーディオブックで洋書を聴くという人にもおすすめ。
オリジナルを聴きたいという人は舞台をそのまま録音したものを聴いてみるといいだろう。英語の難易度はかなり上がるが、古典の雰囲気を存分に味わうことができる。
The Old Man and the Sea / 老人と海
著者紹介
Ernest Hemingway
Ernest Hemingway(1899-1961)はアメリカのイリノイ州出身の作家。17歳で新聞記者の仕事に就くが、その後の第一次世界大戦では看護要員として最前線に配置された。
大戦後、カナダとアメリカの新聞社の報道員となり、ヨーロッパで活動した。自身の経験などをもとに、兵士や狩猟者を主人公に据えた多くの作品を残した。
作品概要
1952年に書かれたこの作品は、著者の代表作のうちの1作である。
キューバ人の年老いた漁師と巨大なカジキの物語。非常にシンプルな文章ながら、敗北を目の前にしたときの勇気をテーマにした力強い作品で、著者が1954年にノーベル文学賞を受賞した大きな要因とされる短編小説である。
May先生おすすめの理由
この洋書の読解の難易度を示すLexile指数は940L。TOEICのリーディングスコアが350くらいあれば、無理なく読めるレベルである。
会話文が多く出てくるので、洋書をあまり読んだことがなくても、それほど難しくは感じないはずだ。基礎を理解したうえで、やや難しい語句や文法構造が含まれた洋書を読みたい方におすすめの1冊。
短編小説なので、古典作品を読みたいけれど読み切れるか不安という方もぜひ挑戦してみよう。Audibleのナレーションはカナダ人俳優のDonald Sutherlandが務めている。息子は人気海外ドラマ『24』の主人公Kiefer Sutherlandである。
A Study in Scarlet / 緋のエチュード
著者紹介
Arthur Conan Doyle
Arthur Conan Doyle(1859-1930)はスコットランドのエディンバラ出身の作家。大学では医学を学び、在学中から執筆活動を始めた。
卒業後は医師として働きながらも小説を書き続け、1886年に書いた小説が2年後にA Study in Scarletという題で売り出されると、作家としての地位を築いていった。
作品概要
このA Study in Scarletは探偵シャーロック・ホームズとその友人ワトソンの有名コンビが初めて登場する作品である。
南ロンドンの屋敷に呼ばれた二人が発見したものは、恐怖に顔をゆがめた男の死体と、壁に血で書かれた謎の文字であった。警察の捜査が難航するなか、ホームズは愛と復習の悲劇の物語を明らかにしていく。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は1020Lで、TOEICリーディングスコアは300から395の間くらいである。中級レベルの語句と少し難しい文法構造が理解できる人向けだ。
ワトソンが過去の出来事を語るという形で小説が始まる。誰の視点で話が書かれているのか頭に入れておいた方が、混乱せずに済むかもしれない。
Audibleのナレーションは少しクセのある声質に感じるかもしれないが、リスニング力を鍛えるには良さそうだ。
Odyssey / オデッセイ
Odyssey: The Story of Odysseus
著者紹介
Homer
Homerはギリシャの詩人で、紀元前750-700頃の人物といわれているが、詳細は定かではない部分が多い。ギリシャ作家の中でも、最も古く重要な人物と考えられている。
著者が残したとされる『Iliad』と『the Odyssey』は、詩の大作であり、ギリシャ古代文学の中心的作品とされている。
作品概要
オデッセイがトロイア戦争から故郷へ戻るまでの長い旅を記した物語。
賢いオデッセイは女神アテナの力も得ながら、海の神の妨害や、巨人キュクロプス、セイレーンや魔女の誘惑を逃れて旅を続けていく。ギリシャ神話も多く含まれた作品。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は1260Lで、TOEICリーディングに換算すると400以上になる。普段あまり使用しないような文章構文でも理解することができ、中級以上の語句も理解できる人向けである。
現在ではほぼ使われないような単語が多くでてくるので、おそらく辞書は必須。ギリシャ神話を聞いたことがある人には、馴染みのある内容かもしれない。
洋書もAudibleも実用的な英会話学習向けというわけではないかもしれないが、純粋に文学や教養として楽しみたい1冊だ。
A Tale of Two Cities / 二都物語
著者紹介
Charles Dickens
Charles Dickens(1812-1870)はイギリスのハンプシャー出身の作家である。少年時代から家計を支えるために働き、その経験を自身の作品中で紹介している。
ビクトリア朝時代における最高の作家とされ、15冊の小説など多くの有名な作品を残した。
作品概要
数年後にはフランス革命へと続く時代において、フランスの貴族政治によって腐敗した農民の惨状と、革命初期に革命家が元貴族へと向けた残忍性などを描いた作品である。
これまでに2億部以上を販売している、フィクション文学の歴史の中でも最も有名な1作とされる作品である。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は790Lで、TOEICリーディングスコアだと295以下なので、英語の難易度はさほど高くはない。基本的な語彙力と文法構造が理解できれば理解できるレベルである。
ただ、1文が長いところが多く、文章量も多いうえに、内容も歴史的背景を踏まえたものなので、レベル以上に英語力を問われそうだ。
Audibleのナレーションは聞きやすい声質なので、リスニングとリーディングの双方の学習におすすめ。
Emma / エマ
著者紹介
Jane Austen
Jane Austen(1775-1817)はイギリスのハンプシャー出身の作家である。日常生活における普通の人々を扱った、現代小説に通ずる作品を初めて書いた作家と言われている。
生涯で4作の小説を残し、19世紀初期のイギリスの中級階級を、鮮やかに描いている。
作品概要
Emma Woodhouseは賢くて裕福な独身女性で、現在の人生に完璧に満足していて、愛も結婚も必要ないと感じていた。
そんなEmmaの喜びは他の人々の恋愛の邪魔をすること。しかし友人の警告を無視して縁を取りもとうとしたところ、計画が崩れて思わぬことが起こり……
May先生おすすめの理由
Lexile指数は990Lで、TOEICリーディングスコアは300から400の間くらいである。中級くらいの語彙や、普段あまり使わない文法構造も理解できるようになりたい人は、ぜひ挑戦したいレベルである。
実際に読んでみると1文が長く感じるかもしれないが、単語はそれほど難しくないので、落ち着いて読めば理解できるはず。
Audibleの収録時間はかなり長いが、リスニング力の強化になりそうだ。
Heidi / ハイジ
著者紹介
Johanna Spyri
Johanna Spyri(1827-1901)はスイス出身の作家である。著者の故郷や自然を愛する心、明るく、知恵に溢れた人柄が、自身の作品に大きな影響を与えた。
児童書Heidiを執筆し、この作品は現在でも世界中で愛されている。
作品概要
ハイジは祖父と共に暮らすため、スイスアルプスの山へとやってきた。祖父は町の人々と関わりを持たずに暮らしていたが、ハイジはすぐに祖父の心を開くと、ピーターという新たな友人も作り、町の人々とも打ち解けていく。愛の力と自然の美しさに溢れた作品。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は1000L。TOEICリーディングスコアは300から400の間くらいである。中級くらいの語彙や多少複雑な文法構造も理解する必要がある。長めの文もあるので、児童書とはいえ、英語の学習にぴったりの作品だ。
Audibleも子どもっぽい感じはまったくないので、大人が聴いても十分に楽しめる内容となっている。
子どもの頃に本を読んだという方も多いと思うので、昔を思い出しながら、作品を楽しんでみてはいかがだろうか?
To the Lighthouse / 灯台へ
著者紹介
Virginia Woolf
Virginia Woolf(1882-1941)はイギリスのロンドン出身の作家である。Mrs. DallowayやTo the Lighthouseといった小説で有名だが、エッセイの先駆者でもある。
執筆に関して新しいアプローチを試したことで知られ、後世に多大な影響を残した。
作品概要
スカイ島へ休暇に来ていた物静かで母親らしいRamsay夫人と、悲劇的だが滑稽な夫、二人の子ども達と客人たちは、近くの灯台を訪れる。家族間の複雑な緊張感と忠誠、そして男女間のいさかいを描いた作品。
May先生おすすめの理由
Lexile指数は1030Lで、TOEICリーディングスコアは300から400の間くらいの難易度である。単語の例外的な意味や、複雑な文法構造も理解する必要が出てくる。
Audibleで聴く場合も、洋書を読む場合も、登場人物が多いので、それぞれの人の性格を表す表現や、人間関係の描写は特にしっかり理解するようにしたい。
The Phantom of the Opera / オペラ座の怪人
著者紹介
Gaston Leroux
Gaston Leroux(1868-1927)はフランスのパリ出身の作家。学校卒業後、法律事務所で働き始めたが、その傍らエッセイや短編小説を書いていた。
1890年にはフルタイムのジャーナリストとなり、1900年代の初めから本格的に小説を書くようになった。
作品概要
1909年にフランスで最初に出版されて以降、多くの人々に愛され続けている作品。
父親の死後、オペラ座で育てられたクリスティーヌは、ある声を聞くようになる。その声の指導のお陰で美しく歌えるようになったクリスティーヌであったが、子どもの頃の友人と再会したことで、事態が変わり……
May先生おすすめの理由
Lexile指数は870Lで、TOEICリーディングスコアにすると300くらいのレベルである。
初級から中級程度の語彙力がある人向け。文が長い箇所もあるが、文法構造がそれほど複雑なわけではないので、落ち着いて読めば理解できるはず。
Audibleはナレーターの声が比較的聞き取りやすいので、特にリスニングの練習をしたい方にもおすすめだ。