



USCPAの受験を考えた際、1つ気になるのは「取得までにかかる費用」だろう。
USCPA(米国公認会計士)は各科目の合格率が50%前後と比較的受かりやすく、コスパの良い試験ではあるが、予備校代だけでなく、受験費用も含めるとトータルでかかる費用は100万円前後の大きな投資となる。
米国公認会計士に6ヶ月の準備期間で合格した私ではあるが、受験開始当初に十分なリサーチをしておらず、余分にお金がかかってしまった点もある。
今回は、 USCPA受験でかかる費用の全貌を解説し、予備校代を節約するためのTIPS、資格の費用対効果まで幅広く紹介したい。
この記事の著者:Ryo
初めまして!Ryoです。大学大学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました。
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目次
USCPA取得の総費用は?

USCPAを受験するためのコストは❶受験資格を得るための費用、❷受験ごとにかかる費用、そして❸予備校代の3つに分かれる。
それぞれにかかる費用をざっくり見てみると以下の通り、全ての科目を一発合格できないことも考えると、90万円〜120万円程度の出費は覚悟したほうが良いだろう。
受験資格を得るためにかかる費用(3万円〜)
- 学歴審査:日本の大学を卒業している際に学歴の証明に必要。利用する学歴審機関により料金は異なる。
受験ごとにかかる費用(36万円+1回不合格ごとに9万円)
- 出願料金:受験票を得るために必要。2-3回出願するのが一般的。出願州により料金は異なる。
- 受験料金:科目ごとの受験に必要。
- 国際試験追加料金:日本での受験に必要。
予備校代(60万円〜80万円)
- 教材代、単位取得費用の合計。必要な単位数及び予備校により異なる。
合計:89万円〜119万円+1回不合格ごとに9万円
以下では、それぞれ項目別に必要なコストの詳細を解説する。
受験資格を得るために必要な費用(2万円〜)

学歴審査費用
USCPAを受験するためには、受験要件として4年生の大学の学位や会計・ビジネス単位要件が求められるが、日本の大学を卒業している場合、取得した学位や単位がアメリカの大学の学位や単位と同様であると証明するための学歴審査が必要になる。
学歴評価機関にはFACS、NIES、FRESの3つがあるが、州によって機関が指定されており一般的に利用するのはNIESだ。グアムの場合は審査料が安いFACSの利用が推奨される。
学歴審査のため、大学から英文成績表の取得と郵送が必要になるが、3,000円程度を見込めば問題ないだろう。
多くの方はNIESで学歴評価をすると考えると、ここで33,000円程度の出費がかかることになる。
受験ごとにかかる費用(36万円+1回不合格ごとに9万円)

出願料金
出願料金は、試験を受けるための受験票(NTS)を発行するために必要な費用となり、出願料金は州によって若干異なる。
代表的な出願州における、初回の出願時にかかる初回手数料(Application Fee)と再出願時(Registration Fee)は以下の通りだ。
出願州 | 初回出願料 | 再出願料 |
アラスカ | 185ドル | 90ドル |
グアム | 200ドル | 100ドル |
ニューヨーク | 170ドル | 85ドル |
ここで私が勘違いしていたことは、受験票は発行されてから6ヶ月有効とのことで、その6ヶ月以内であれば自由に科目の予約ができると思っていたことだ。
実際は、出願する際に6ヶ月以内に受験をする科目を決め、出願料金+受験料金を支払う必要がある。その後、6ヶ月以内の任意の日付で、出願時に受験料を支払った科目が予約できるという仕組みなのだ。
受験ごとに出願料を支払うと、4回の出願料がかかることになるが、一度に2科目以上を出願することで、出願料を節約できることを覚えておこう。
私は、最初の出願で一科目しか出願せずに、二科目目には再出願をしなければならないことを知った。二回目の出願では三科目一気に受験料を支払い、合計2回の出願料で済ませることができた。

受験料金

科目ごとの受験料に関しては、1科目あたり238.15ドルとなる。4科目一発で合格すれば合計952.6ドルだ。
国際試験追加料金
国際試験追加料金はインターナショナルフィーとも呼ばれ、アメリカ国外でUSCPA試験を受ける際にかかる費用。
出願を済ませると、1週間〜4週間程度で受験票(NTS)が発行され、NASBAからメールが届く、その後にインターナショナルフィーの支払いを行うこととなる。
このインターナショナルフィーが試験代よりも高くなっており、1科目で390ドル、4科目で1560ドルかかる。
アメリカで受験すれば一科目30,000円程度で済むのだが、日本受験だと合わせて一科目630ドル弱(8万2000円)程度かかる計算になる。
再受験料
また、一科目不合格になるごとに9万円ずつ受験費用が増加(再出願+受験料+インターナショナルフィー)していく。
USCPAは受験費用だけでも多くの投資が必要となるが、勉強を効率的に行うためには、予備校に通うことも必要になってくる。


USCPAの予備校代(50万円〜)

USCPAの受験勉強には、米国公認会計士の専門予備校を利用することが一般的だ。
アメリカで人気の教材であるBeckerやRogerを購入して独学をすることもできるが、その場合は全て英語で非効率な勉強になりがちだ。
また、受験要件であるビジネス・会計単位が足りていない場合、別途単位取得が必要になるが、これが予備校を利用すると格安・簡単に取得することができる。
ここでは、日本で有名なUSCPAの予備校であるアビタス、TAC、プロアクティブ、大原の費用を比較していこう。
各予備校の概要
予備校 | 特徴 |
アビタス | 合格者数累計4,500人超のUSCPA専門予備校。オリジナル教材、日本語テキストや解説が充実。 |
TAC | 資格対策の総合予備校。公認会計士、簿記、USCPA等の他、多くの資格試験対策を提供。USCPAコースはBeckerと連携。 |
プロアクティブ | USCPA専門予備校。費用は最安値。 |
大原 | 資格対策の総合予備校。学校法人としてUSCPAの対策コースを提供している。USCPAコースはRogersと連携。 |
予備校費用比較表
予備校の費用は、取得が必要な単位数によって異なり、単純な横比較が困難になっている。
学校によっては、単位数がパッケージ費用に含まれていたり、単位ごとに追加料金かかるケース、単位試験で追加費用がかかるケースなど様々だ。
比較がしやすくなるよう、受験に必要な単位数の目安であるアラスカ州の15単位、ライセンス取得の単位数の目安であるワシントン州の48単位を取得した場合のコストを計算した。
アビタス | TAC | プロアクティブ | 大原 | |
受講費用 | 入会金:11,000円 ライトパック:616,300円 フルパック :815,800円 | 入会金:10,000円 教室:484,000円 通信:515,000円 | 入会金:11,000円 eラーニング:319,000円 通信・通学:385,000円 | 入会金:6,000円 WEB:499,400円 WEB+通学:521,400円 |
単位 | 受講料に含む ライトパック: 会計又はビジネス15単位 フルパック: 会計29単位、ビジネス24単位 | 大学入学金:7,000円 3単位ごと18,000円 | 3単位ごと275ドル(33,000円) | 受講料に含む 会計18単位 ビジネス6単位 追加は3単位19,800円 |
15単位取った場合の金額 | 616,300円 | 622,000円(通信) | 495,000円(e ラーニング) | 505,400円(WEB) |
会計24単位、ビジネス24単位取った場合の金額 | 815,800円 | 820,000円(通信) | 858,000円(eラーニング) | 663,900円(WEB) |
15単位を取得する場合

受験のみを考え、15単位を取得する場合に、最安となるのはプロアクティブ。一番高額となるのはTACという結果であった。
48単位を取得する場合

また、ライセンス取得までを見越して48単位を全て取る場合は、学校法人の大原は最安値となり、ここでもTACが最高値となった。
もちろん、USCPAの予備校選びで必要なのは費用だけでなく、教材のクオリティや合格実績等、早期に合格を勝ち取るための幾つかの要素を検討すべきだろう。
予備校代を節約するよりも、各科目を一発合格して受験費用を節約できるようにしたほうが生産的と考える。
私が予備校のリサーチをしていた際には、一番値段の安いプロアクティブに惹かれていたが、教材や合格実績をリサーチした結果、最終的にアビタスにすることにした。
私がアビタスに決めた理由は、以下の記事も参考にして欲しい。
» 【定番のUSCPA予備校】アビタスで6ヶ月で合格した私が費用・割引等をご紹介
アビタスは予備校の中では比較的高い部類に入るが、各種割引を活用することで10万円以上のディスカウントを受けることもできるため、事前にチェックしておこう。


トータルの費用(89万円〜119万円)

ここでは、受験費用と予備校代の合計でどの程度かかるのかを見ておきたい。
必要な単位数や予備校、受験回数によって増減はするが、概ね89万円〜119万円程度の出費が必要になりそうだ。
実は、私は受験当初にアメリカにいたため、インターナショナルフィーがかからず、さらにアビタスの各種割引を活用することで、合計60万円程度の出費であった。
このように大きな出費となる試験ではあるが、 USCPAを取得し、経営や会計の知識、そして英語力を身につけ、監査だけでなくグローバルにキャリアの幅が広がることで、合格後に投資を回収するのは比較的容易とも言える。
次の節では、USCPA取得のため100万円の投資に価値があるのか考えてみよう。
USCPAの費用対効果は?

USCPAは監査法人への入社のパスポートとなるだけでなく、外資系企業への入社や海外勤務の可能性等も広げてくれる。
USCPAの合格率は各科目で50%程度と高く、2人に1人は受かる試験のため、合格率が10%程度で難易度の高い簿記一級や公認会計士試験と比べて投資対効果は高い資格だと考える。
日本の監査法人の年収
例えば、監査法人への就職に関して、日本の公認会計士とUSCPAを比較しても、マネージャーまでは給料の差はない。
大手監査法人の年収感は概ね以下のようなイメージ。スタッフとシニアスタッフの年収レンジは、概ね残業代の差だ。私は監査法人の1年目は残業代込で550万円程度の給料だった。
役職 | 年収 |
スタッフ(1~4年) | 450~650万円 |
シニアスタッフ(4~10年) | 600~850万円 |
マネージャー(8年〜) | 1,000万円程度 |
パートナー | 1,500万円~ |
引用:監査法人の年収は? BIG4と中小の監査法人、役職や年齢などで比較
日本の監査法人に就職する場合、パートナーとして監査報告書にサインできるのは公認会計士のみ。
USCPAが監査法人のパートナーになるのは難易度が高いとも言えるが、監査以外の財務コンサル等であれば資格は関係なくなることは覚えておこう。
海外の監査法人の年収
また、USCPAを取るのであれば、海外の監査法人(特にアメリカ)への就職は視野に入れておきたい。
新卒の年収は、日本とアメリカの新卒であまり差はないが、大きな差があるのは昇給と昇進のスピードだ。
役職 | 年収 |
スタッフ(1~3年) | $45,000 – $60,000 |
シニアスタッフ(4〜5年) | $60,000 – $80,000 |
マネージャー(5年〜) | $100,000~$120,000 |
パートナー | $300,000~ |
CFI Education Inc. : Big Four Accounting Salary
日本は同じ役職だと年間1%程度しか昇給せず、昇格をしないとほとんど昇給は見込めない一方で、アメリカは毎年必ず5%~8%程度の昇給がある。
さらに、昇進のスピードも早く、日本ではマネージャーになるのに8年から10年ぐらいかかるのが一般的だが、アメリカでは5年でマネージャーになれると言われている。
そのため、新卒で監査法人に入った場合20代後半でマネージャー、10万ドル以上の給料は現実的だ。
日本の監査法人でも30代前半で1,000万円は魅力的だが、世界を見ることでさらに早いスピードでキャリアを構築できるのはUSCPAの醍醐味の1つだろう。
その他のキャリアの幅

アメリカだけでなく、USCPAとしてオーストラリア、シンガポール、香港、タイなどで働いている日本人も多く、海外で働けるチャンスは掴みやすいと言える。
これは、主に海外進出している日本企業の監査や会計サポートの仕事が多く、日本語と英語ができ、会計に精通しているUSCPAの需要が高くなっているためだ。
私も、アメリカの大学院を卒業した後、手に職があることで現地就職をすることができたが、会計以外の職種だと、(そもそも現地企業が英語力が限定的な日本人を雇うメリットが少ないため)現地に残る難易度は高い印象を受けた。
また、外資系企業のFP&Aや経理財務、経営企画、内部監査など、USCPAの資格を生かせるキャリアは多く存在する。
もちろん、キャリアは資格のみでどうにかなるものではないが、キャリアアップのきっかけを掴むため、100万円程度の投資と自分の努力で人生が変わるのは、費用対効果が高いのではないだろうか。
終わりに
USCPAの取得にかかる費用を知ることは、USCPA合格までの最初の一歩に過ぎない。
より深くUSCPAの試験について知りたい人は、この記事でUSCPAにより興味を持った方は、以下の記事も参考にしていただき、効果的に試験準備を進めて行って欲しい。
» ゼロから始めるUSCPA。米国公認会計士で年収・キャリアUPしよう
» USCPAに6ヶ月で合格した私が難易度・勉強時間やコツを伝授




