




「会計を武器にキャリアを築きたい」──そう思ったとき、最初にぶつかる壁がこの問いではないでしょうか。
「USCPA(米国公認会計士)と、日本の公認会計士、どっちを目指すべき?」
どちらも一流の資格であり、努力を重ねた人だけが手にできる称号です。
でも、本当に大切なのは「どっちが難しいか」や「どっちが稼げるか」ではありません。
大切なのは、“どんな未来を生きたいのか”から逆算して選ぶこと。
目的を見失ったまま資格を追いかけてしまうと、数年という時間が“回り道”になってしまうこともあります。
「将来、どんな場所で働きたいか」
 「どんな人たちと、どんな言語で仕事をしたいか」
 「どんな生き方をしていたいか」
その答えによって、選ぶべき資格は自然に見えてきます。
この記事では、USCPAと公認会計士の違いを“キャリアのゴール”から逆算して整理し、あなたにとって最も合理的な選択を一緒に考えていきます。
この記事の著者:Ryo
初めまして!Ryoです。大学在学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました。
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目次
USCPAと公認会計士の違い:あなたのキャリアを決める分かれ道
「USCPAも公認会計士も、どちらも会計のプロなんでしょ?」
──そう思う方も多いかもしれません。
たしかに両者は、どちらも会計や監査の信頼を守る“専門資格”という点で共通しています。
ただし、その資格をどこで、どう活かすかによって、キャリアの方向性はまったく異なります。
公認会計士:日本の制度を支える「会計の職人」
日本の公認会計士は、企業の財務諸表を監査し、「この数字は正しい」と社会に保証する役割を担います。
日本基準(J-GAAP)や法律に精通し、緻密さと誠実さで信頼を築く――いわば数字の番人のような存在です。
多くの人は監査法人でキャリアをスタートし、税務や会計コンサルへ進むケースもあります。
将来的には税理士登録や独立開業も可能で、専門性を極めて長く働く“職人型キャリア”が特徴です。
USCPA(米国公認会計士):会計を“使って”ビジネスを動かす専門家
USCPA(米国公認会計士)も本来は、アメリカで監査業務を行うための国家ライセンスです。
ただし、USCPAが日本で働く場合、活躍の舞台は少し異なります。
USCPAを持つ人の多くは、
- 外資系企業の経理・財務部門
- グローバル企業の連結・開示担当
- M&A・内部統制・国際税務コンサル
といった“国際会計や経営寄りの領域”で働いています。
つまり、会計を“極める”というより、「会計を使ってビジネスを理解し、経営を動かす」立ち位置に近いのです。
日本の枠の中で専門性を磨きたいのか、それとも、グローバルな舞台で数字を武器に動きたいのか。
その選択こそが、あなたの未来を決める分かれ道になります。

2人のキャリアストーリー:資格選びで分かれる未来
「どちらの資格を取るか」で、将来のキャリアの景色は大きく変わります。
ここでは、同じ“会計を学びたい”という思いからスタートした2人のケースを紹介します。
AさんとBさん――どちらも正しい選択をした人ですが、目指したゴールが違うからこそ、歩む道もまったく異なりました。
Aさん:日本の公認会計士を選んだ場合
― 専門性と安定性を軸にした「職人型キャリア」―
大学2年の春。Aさんは「一生使える専門資格を取りたい」と考え、公認会計士試験の勉強を始めました。
周りの友人が就職活動をしている中、彼は図書館に通い続け、4年の歳月をかけて合格。
就職先は大手監査法人。チームで上場企業の監査を担当し、膨大な数字を扱いながら、経営者や投資家に信頼される責任の重さを感じます。
入社から数年後、後輩の指導を任され、社内でも一目置かれる存在に。
30代に入り、税理士登録を済ませ、独立を見据えて顧客との関係を築き始めています。
一つひとつの案件に真摯に向き合い、着実に信頼を積み重ねていく――
Aさんのキャリアは、まさに“専門性”と“安定”を武器にした職人の道です。
「専門家として一生食べていける力をつけたい」
 「数字の正確さで社会を支えたい」
そんな人にとって、公認会計士は間違いなく理想の選択です。
Bさん:USCPAを選んだ場合
― 柔軟性と広がりを軸にした「グローバル型キャリア」―
社会人2年目。
Bさんは、最初に入社した日系企業の経理業務を通じて「もっと英語を使って、海外と関わる仕事がしたい」と感じていました。
そこで選んだのが、USCPA(米国公認会計士)。働きながらオンライン講座で勉強を続け、1年半で合格しました。
その後、外資系企業の経理部門へ転職。
アメリカ本社と英語でやり取りしながら、海外子会社の決算や内部統制を担当します。
社内では「数字と英語、両方に強い人材」として信頼を集め、数年後には海外赴任のチャンスが巡ってくる予定です。
Bさんの次の目標はMBA。
将来は経営企画やM&Aの分野に進み、「会計を武器に経営を動かす人」になることを目指しています。
「グローバルな環境で成長したい」
 「数字を“読む”だけでなく、“使って動かす”側に回りたい」
そんな人にとって、USCPAはキャリアの“パスポート”になる資格です。
どちらも正解。ただし、ゴールが違えば、選ぶべき道も違う。
AさんもBさんも、自分の理想に合わせて正しい選択をしました。
でも、もしAさんのような“安定志向”の人がUSCPAを取っても、専門職としての信頼を築くのは難しいでしょう。
逆に、Bさんのように“海外や経営の世界”を目指す人が公認会計士試験に5年をかけてしまえば、その努力はキャリアの方向性とずれてしまいます。
資格は努力の証ですが、努力の方向が間違っていると、その時間は「遠回り」になる。
大切なのは、「どっちがすごい資格か」ではなく、「どんな未来を描きたいか」です。

ゴールから逆算して考える:3つの軸で見極めよう
USCPAと公認会計士のどちらが向いているかは、“今の得意不得意”ではなく、“将来どんな環境で生きたいか”で決まります。
ここでは、キャリアを設計するうえで大切な3つの軸から整理してみましょう。
① 働く場所:どんな環境で仕事をしたい?
- 公認会計士が向いている人:
日本の企業や監査法人で、安定した環境の中で専門職として働きたい人。
日本語のチームワークを重視し、国内の企業や制度を支える立場に魅力を感じる人。
- USCPAが向いている人:
英語を使って、海外やグローバル企業のメンバーと協働したい人。
文化や価値観の違いを楽しみながら、「世界の中でキャリアを築く」ことを目指す人。
“どこで誰と働きたいか”は、キャリアの質を大きく左右します。
「英語ができるからUSCPA」ではなく、「海外を舞台にしたいからUSCPA」と考えることが大切です。
② 専門性 or 汎用性:どんな力を磨きたい?
- 公認会計士が向いている人:
ひとつの分野をとことん掘り下げたいタイプ。
会計・監査・税務の知識を深く理解し、“専門家としての信頼”で勝負したい人。
- USCPAが向いている人:
会計の知識をベースに、ビジネスや経営の全体を見渡したいタイプ。
「数字を読む」だけでなく、「数字を使って動かす」ことに興味がある人。
将来的には経理・財務・経営企画・コンサルなど、幅広い分野に挑戦できる。
例えるなら、公認会計士は“外科医”、USCPAは“総合診療医”。
どちらも専門職ですが、守備範囲と求められるスキルの広さが違います。
③ 投資対効果:どれくらいの時間とコストをかけられる?
- 公認会計士が向いている人:
長期的に専門職としてのキャリアを積みたい人。
3〜5年かけて勉強し、難関資格を得る覚悟がある。
「長く働く土台をつくるための投資」と考えられる人。
- USCPAが向いている人:
1〜2年の短期集中でキャリアを変えたい人。
仕事や学業と両立しながら資格を取り、実務経験を積みながらスピード感をもって成長したい人。
もしあなたが「海外で働きたい」「英語を使いたい」「グローバル企業で成長したい」と考えているなら、公認会計士試験に3〜5年を費やすよりも、その時間を英語・留学・実務経験に投資した方がリターンは大きい。
キャリアにおける“投資対効果”を考えると、USCPAは短期で世界を広げられる現実的な選択肢です。
どちらも価値ある道。
でも、「どちらに努力を注ぐべきか」を間違えると、数年という時間が遠回りになってしまいます。
だからこそ、“ゴールから逆算して選ぶ”ことが、資格選びで最も大切な考え方なのです。



数値で見る公認会計士 vs USCPA:学習コストとキャリアリターン
資格選びは「どちらが難しいか」ではなく、「どれだけの時間とコストをかけて、どんなキャリアを築けるか」で考えるべきものです。
ここでは、公認会計士とUSCPAの学習・キャリア面をデータで整理してみましょう。
| 比較項目 | 公認会計士 | USCPA(米国公認会計士) | 
| 平均勉強期間 | 約3〜5年 | 約1〜2年 | 
| 費用の目安 | 約50〜100万円(予備校・教材費など) | 約100〜150万円(受験料・単位取得・出願費用を含む) | 
| 合格率(目安) | 約10〜12% | 約40〜60% | 
| 主な活躍分野 | 監査法人、税理士法人、会計アドバイザリー | 監査法人、外資系企業、グローバル経理、M&A・内部統制・コンサル | 
| 主な学習スタイル | 通学・講義中心、長期計画型 | オンライン学習・短期集中型 | 
| キャリア初期の立ち位置 | 会計・監査の専門家としてのスタート | 国際会計・経理・財務などへの実務転職のきっかけ | 
費用だけで比べない。「投資」の意味
数字だけを見ると、「USCPAの方が期間が短く、合格率も高い」と思うかもしれません。
しかし実際は、かかるコストと得られる“キャリアの性質”がまったく異なります。
公認会計士は、国家試験の受験費用自体は安いものの、合格までに3〜5年という長期投資が必要。その分、監査法人などでの採用・育成体制が整っており、専門職としての安定性と社会的信頼を得られます。
USCPAは、USCPAは短期間で合格でき、効率的に見えます。一方、出願条件(単位取得・州登録)や受験料・教材費などが高額になりがち。合格すれば英語力・国際会計の知識がキャリア資産として積み上がる点が大きなメリットです。
キャリアの方向性
資格取得後のリターンを「年収」で単純比較するのはあまり意味がありません。
会社の規模や業界、職種によって変動が大きいためです。
むしろ見るべきは、キャリアの広がり方。
- 公認会計士:専門性を高めながら、監査法人 → 税務・独立開業などに進む。
- USCPA:資格を足がかりに、監査法人や外資系企業 → 海外赴任・MBA・経営企画などへ展開。
前者は安定と専門性の積み上げ、後者はスピードと展開力。
あなたがどちらを重視するかで、投資の“正解”は変わります。
現実的な話をすると、監査法人に入った公認会計士のうち、半分以上は10年以内に事業会社へ転職します。
事業会社に移ると、評価されるのは「資格」よりも実務経験・英語力・コミュニケーション力です。
つまり、どんな資格を持っているかよりも、どう動ける人材かが重要になるのです。
資格はゴールではなく、キャリアを広げるためのきっかけ。
大切なのは、「どの舞台で、どんな言語で、どんな仲間と働きたいか」という未来のイメージです。



自分に合うのはどっち?USCPAと公認会計士を選ぶ3つの質問
資格選びは、「どちらが難しいか」ではなく、「どんな未来を生きたいか」で決まります。
ここでは、自分のキャリアゴールを整理するための3つの質問を紹介します。
英語を使ってグローバルに働きたい?
もしあなたが「海外赴任をしたい」「MBA留学で経営を学びたい」「英語で仕事をしたい」と思っているなら、USCPAの方が相性が良いでしょう。
USCPAを取得すると、外資系企業・グローバル経理・コンサルティングなど、英語と会計を掛け合わせたキャリアの選択肢が一気に広がります。
会計知識をベースに、世界中の企業の数字を理解できる「共通言語」を持てるからです。
専門職としての信頼を築きたい?
「自分の名前で仕事をしたい」「専門家として信頼されたい」――そんな人には、公認会計士という道がしっくりくるでしょう。
日本の公認会計士は、国家資格として専門性と社会的信頼の象徴です。
監査法人で経験を積み、パートナーを目指すも良し、独立して会計・税理士事務所を構えるも良し。
「会計の専門家」として確かなスキルを持ち、安定したキャリアを築くことができます。
一方で、もしあなたが「将来は事業会社で経営に関わりたい」「CFOとして経営判断をしたい」「自分で起業したい」と考えているなら、話は少し変わります。
実は、こうした“経営を動かす”キャリアでは、資格そのものは必須ではありません。
求められるのは、数字を読み解きながら意思決定を行う力――つまり、会計 × 英語 × 経営感覚の掛け算です。
このタイプのキャリアを描くなら、USCPAの方が相性が良いことが多いです。英語で財務を理解し、海外拠点や投資家と対話できる力は、グローバル企業のCFO・経営企画・M&A担当にとって非常に重宝されます。
まずは動きながら考えたい?それとも腰を据えて極めたい?
「いきなり専門職として生きていくのは不安」
「まずは働きながら、自分の進みたい方向を探したい」――
そんな人には、USCPAが現実的です。
USCPAは学生や社会人をしながらでも1〜2年で合格できる実務型の資格。
英語と会計のスキルを同時に磨けるため、取得後は外資系企業の経理・経営企画・コンサルなど、幅広い業界に“転用可能”なスキルとして活かせます。
一方で、公認会計士は合格までに3〜5年を要し、監査法人での経験を積みながら専門家として地位を築く“長期投資型”のキャリアです。
「会計の専門家として信頼を得たい」「一生モノの資格を武器にしたい」という人には、長期戦でも挑戦する価値があります。
まとめ:資格は「目的」ではなく「未来を形づくる手段」
公認会計士も、USCPAも、どちらも素晴らしい資格です。
でも大切なのは、「どちらが難しいか」「どちらが年収が高いか」ではありません。
- どんな場所で働きたいか。
- どんな人と関わりたいか。
- どんな言語で、どんな価値を生み出したいか。
その“未来のイメージ”こそが、資格選びの答えを教えてくれます。
- 会計や監査の専門家として信頼を築きたい
- 日本の制度の中で安定したキャリアを積みたい
- 独立・開業や専門職としての道を歩みたい
- 英語を使ってグローバルに働きたい
- 事業会社や外資系で経営に関わりたい
- まずは手に職をつけ、動きながらキャリアを考えたい
どちらを選んでも、あなたの努力は必ず糧になります。







 
  
  
  
  
  
  
  
 



