




USCPA(米国公認会計士)の試験制度が新しくなり、「これから勉強を始めても大丈夫だろうか」「選択科目はどれを選べばいいのか分からない」と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
試験のルールが変わると聞くと、どうしても「難しくなったのでは?」と警戒してしまいますよね。仕事や育児と両立しながら勉強時間を捻出している社会人にとって、試験の不確実な要素はできるだけ減らしたいのが本音だと思います。
しかし、結論から言うと今回の新試験制度(CPA Evolution)は、決して恐れるものではありません。
むしろ、科目合格の有効期限が従来の18ヶ月から「30ヶ月」へと大幅に延長されたことで、期限切れによる失効(クレジット・エクスパイア)のリスクが激減し、社会人にとって非常に挑戦しやすい環境が整いました。
この記事では、新制度の具体的な変更点や、受験生が最も悩む「選択科目(BAR・ISC・TCP)はどれを選ぶべきか」について、それぞれのメリット・デメリットを交えながら分かりやすく徹底解説します。
「過去問が出揃うまで待とうかな…」と立ち止まる必要はありません。正しい全体像と科目選びの戦略を知り、新制度を味方につけて合格への一歩を踏み出しましょう!
この記事の著者:Yoshi
仕事で海外の案件に係わったことから、USCPAに興味を持ち、30代後半から受験に挑戦。仕事と4人の育児に追われながらも、通勤等の隙間時間を活用して約2年で合格。その後、米国公認会計士、オーストラリア公認会計士として、複数の国の案件を財務経理の立場から推進。中小企業診断士の資格も取得しており、現在は社外CFOとしてクライアント企業を経営面からサポート中。
監修者:Ryo
大学在学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました
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目次
【2026年最新】USCPA新試験制度(CPA Evolution)の全体像と変更点
2024年1月より、USCPA(米国公認会計士)試験は「CPA Evolution」と呼ばれる新制度へと移行しました。
これから学習を始める方にとって、この変更が自分の受験計画にどう影響するのかを正しく理解することは、学習をスムーズに進めるための第一歩です。
制度の変更点を見る前に、まずはUSCPA試験の基本的な概要をおさらいしておきましょう。
- 試験形式: 全編英語のコンピュータ試験(日本国内のテストセンターで受験可能)
- 科目数: 全4科目(各科目4時間)
- 合格基準: 各科目75点以上で合格
- 有効期限: 科目合格には有効期限があり、期限内に全科目を揃える必要がある
ここまでの基本的な仕組み(全4科目であることや、75点合格であること)は新旧制度で変わりません。では、「具体的に何が変わったのか?」を次から詳しく見ていきましょう。
旧制度(BEC)の廃止と「Core + Discipline」モデルの導入
最も大きな変更点は、従来の「必須4科目」から、「必須3科目(Core)+ 選択1科目(Discipline)」という構成に変わったことです。
- 必須科目(Core): FAR(財務会計)、AUD(監査および証明業務)、REG(米国税法)の3科目は、引き続きすべての受験生が合格しなければならない中核科目です。
- 選択科目(Discipline): 旧制度のBEC(ビジネス環境および諸概念)が廃止され、代わりにBAR、ISC、TCPの3つの専門分野から「1つだけを選んで受験する」形式になりました。
この変更の背景には、現代のビジネス環境において、IT(情報技術)や高度なデータ分析の重要性が急激に増していることがあります。
すべての受験生に画一的なビジネス知識(旧BEC)を問うのではなく、それぞれの得意分野や将来のキャリアプランに合わせて専門性を深められるよう、制度が最適化されたのです。
なお、どの科目を選択しても取得できるUSCPAライセンスの価値や効力は全く同じであり、「この科目を選んだからこの仕事しかできない」といった制限はありません。
難易度はどう変わった?いつ受験しても評価基準は同じ
制度が変わると「過去問が出揃うまで待った方がいいのでは?」と考える方が多いかもしれません。
しかし、USCPAの試験は、単純に「何問正解したから合格」という絶対評価のテストではありません。
- スコアは相対的に調整される: AICPA(米国公認会計士協会)などは、受験者全体の正答率や問題の難易度を考慮して、最終的なスコア(合格点)を調整しています。
- いつ受けても合格率は一定: 新制度への移行直後で「誰も解けないような難問」が出たとしても、それは周りの受験生にとっても同じです。試験全体の合格率は常に一定水準に調整されるため、制度変更によって急激に受かりにくくなる(または受かりやすくなる)ということは考えにくい仕組みになっています。
むしろ、「過去問が充実するまで待とう」と受験を数年先延ばしにすることのほうが、仕事の環境変化(急な異動や残業の増加など)で勉強時間が確保できなくなるリスクが高く、キャリアチェンジの機会損失に繋がります。
試験制度の変更を過度に恐れず、「思い立った時が一番の始めどき」と捉えて行動をスタートすることが、合格への最短ルートです。



【選択科目】BAR・ISC・TCPはどれを選ぶべき?難易度とおすすめ
新試験制度から導入された3つの選択科目(Discipline)について、「どれを選べばいいのか」と悩む方は多いでしょう。
前提として、どの科目を選んでも取得できるUSCPAライセンスの価値は全く同じであり、就職活動等で「この科目を選んだから不利になる」といったことはありません。
そのため、ご自身の「これまでの実務経験」や「得意な学習スタイル(計算か暗記か)」に合わせて、最も勉強を継続しやすい科目を選ぶのが鉄則です。そ
れぞれの科目の特徴と、どんな人におすすめなのかを具体的に解説します。
日本人の約9割が選ぶ王道「BAR(ビジネス分析と報告)」
現在、日本のUSCPA受験生の大多数が選択しているのが、この「BAR」です。多くの予備校でもメインの選択科目として推奨されています。
- 学習内容の特徴
旧制度の「BEC」で出題されていた管理会計や経済学、ファイナンスの要素に加えて、必須科目である「FAR」のより高度な論点(リースや収益認識の応用など)が含まれます。
- おすすめな理由と難易度
最大のメリットは、必須科目であるFARを勉強した延長線上で取り組める点です。新たに全く違う分野をゼロから覚える労力を省けるため、効率的に学習を進められます。
また、計算問題が多く、英語の読解力よりも数字を追う力が必要とされるため、英語の長文読解に苦手意識がある日本人受験生にとって取り組みやすい傾向があります。
受験者が多いことから予備校のテキストや模試などのデータが最も充実しており、学習のペースが掴みやすい「最も無難で確実な選択肢」と言えます。経理の実務経験がある方には特におすすめです。
IT・情報セキュリティの知見を活かす「ISC(情報システムと統制)」
IT分野やシステムの内部統制、データ管理に特化した科目です。
- 学習内容の特徴:
システム監査や情報セキュリティ、SOCレポート(受託業務の内部統制の保証報告書)などが問われます。
必須科目の「AUD(監査)」と内容が一部リンクしており、複雑な計算問題は少なく、「概念の理解」や「暗記」が中心となるのが特徴です。
- おすすめな理由と難易度:
IT業界での実務経験がある方や、社内SE、内部監査部門にいる方にとっては馴染みのある用語が多く、事前知識を活かして有利に進められます。
また、「BARの複雑な計算問題はどうしても苦手…」という方にとって、暗記と読解で勝負できるISCは有力な代替案になります。
ただし、IT特有の専門用語を英語で正確に理解し、長文のシナリオ問題に対応する読解力が求められる点には注意が必要です。
米国税務のスペシャリストを目指す「TCP(税務コンプライアンスと計画)」
必須科目である「REG(米国税法)」の発展的な内容を扱う、税務に特化した科目です。
- 学習内容の特徴:
富裕層向けの個人の税務プランニングや、複雑な法人税制など、アメリカ現地のローカルな税制に深く踏み込みます。
- おすすめな理由と難易度:
すでに外資系企業などで米国税務の実務に携わっている方や、将来的にアメリカへ移住して税務のプロフェッショナル(独立開業など)を目指す方にとっては非常に実践的で有益な内容です。
一方で、一般的な事業会社で働く日本在住の受験生にとっては実務との接点が少なく、学習のハードルがやや高いニッチな選択肢となります。
他の科目と比べて専門性が高く、アメリカの複雑な税法を詳細に暗記する必要があるため、税務への強い関心と覚悟が求められます。
結論:迷ったら「BAR」か「ISC」を選ぼう
特別なバックグラウンドや強いこだわりがない場合は、教材や対策が充実しており、学習の軌道に乗りやすい「BAR」を選ぶのが最も確実な戦略です。
もし、ITの事前知識がある、あるいは「計算よりも暗記や読解で勝負したい」という場合は「ISC」も有力な選択肢になります。
ご自身の強みを活かせる科目を見極めましょう。
(既存テキスト)
〜もし、ITの事前知識がある、あるいは「計算よりも暗記や読解で勝負したい」という場合は「ISC」も有力な選択肢になります。ご自身の強みを活かせる科目を見極めましょう。



USCPA科目合格の有効期限が「18ヶ月」から「30ヶ月」へ大幅延長!
新試験制度への移行に伴い、受験生にとって非常に大きな改善となったのが「科目合格の有効期限(クレジット)」の延長です。
これまで、最初に1科目に合格してから全科目を揃えるまでの期限は18ヶ月(1年半)とされてきましたが、新制度の導入に合わせて、多くの州でこの期限が「30ヶ月(2年半)」へと大幅に伸びることになりました。
社会人受験生にとって最大のメリット
この「1年間の猶予」の追加は、日々の業務に追われる社会人受験生にとって、単なる期間の延長以上の価値があります。
具体的にどのような変化があるのか、2つのポイントで解説します。
仕事と勉強の両立が現実的に
社会人の学習には、自分の意思ではコントロールできない「仕事の繁忙期」や「急なプロジェクトへのアサイン」、「異動」などがつきものです。
これまでの18ヶ月という期限では、数ヶ月勉強が止まってしまうだけで「最初の合格科目が失効してしまう」というプレッシャーが常に隣り合わせでした。
期限が30ヶ月に延びたことで、一時的に学習ペースを落とさざるを得ない時期があっても、無理なく立て直しができるようになっています。
「失効リスク」の激減と精神的な余裕
USCPA試験において最も避けたい事態が、全科目合格を目前にして有効期限が切れてしまう「クレジット・エクスパイア(有効期限切れ)」です。
期限が従来の約1.5倍になったことで、この失効リスクは大幅に減少しました。1科目ごとに着実に、自分の納得がいくまで理解を深めてから次のステップへ進めるため、過度な焦りによる学習の質の低下も防ぎやすくなります。
このように、学習期間に1年以上のゆとりが生まれたことは、合格率そのものにも良い影響を与える「社会人にとって最大の追い風」と言えるでしょう。
まとめ:新試験制度を味方につけて合格を勝ち取ろう
試験制度が新しくなる、と聞くとどうしても身構えてしまいますよね。
特に働きながら限られた時間で合格を目指す皆さんにとって、ルールの変更は「難しくなるのではないか」という大きな不安要素だと思います。
しかし、ここまで見てきた通り、今回の変更は社会人受験生にとって「追い風」となる側面が非常に強いものです。
特に30ヶ月というゆとりある有効期限は、不測の事態が起きやすい仕事との両立において、これまでにない安心感を与えてくれます。
「過去問が出揃うまで待とうかな」と立ち止まる必要はありません。
USCPA試験はいつ受験しても全体のバランスが相対的に調整される仕組みになっており、受験の時期によって合格率が左右されることはないからです。
むしろ、思い立った今のタイミングで学習を開始することが、将来のキャリアにおける機会損失を防ぐ最善の選択になります。
皆さんがUSCPAという一生モノの武器を手にし、理想のキャリアへ一歩踏み出されることを心から応援しています。
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