




海外大学院には行きたい。でも、通帳の残高を見ると現実に戻される…毎日のようにニュースで流れる「円安」の文字を見て、ため息をついていませんか?
多くの方が抱く「海外大学院 = 2年間で学費1,000万円以上かかる富裕層の選択肢」というイメージ。確かに、アメリカの私立大学などではそれが現実です。
しかし、視点を少し変えるだけで、景色はガラリと変わります。
- 期間の短縮: 「1年」で修士号が取れるプログラムを選べば、生活費も学費も半分で済む。
- 国選び: ドイツや北欧には、留学生でも「学費無料・格安」の大学院が存在する。
- 資金調達: 社会人経験があるからこそ使える「給付型奨学金」や教育ローンがある。
この記事では、「今、海外大学院に行くにはリアルにいくらかかるのか(総額)」を国別に徹底解説します。
あなたの人生への投資、その見積もりを一緒に立ててみませんか?
目次
まずは結論!海外大学院留学の費用相場(1年あたりの総額)

「留学はお金がかかる」と言われますが、実際にいくら用意すればいいのでしょうか?
結論から言うと、国選びと専攻(特にMBAかそれ以外か)で、家が一軒買えるほどの差が出ます。
まずは学費と生活費を合わせた「1年間の総額」の現実を見てみましょう。
| 国・地域 | 1年間の総額目安 | 特徴と費用のリアル |
| アメリカ | 600万〜1,500万円超 | 【世界一の「ピンキリ」大国】 上限は青天井です。特に私立トップ校やMBAは学費だけで年間800万〜1,200万円($50k〜$80k)に達し、生活費を含めると年間1,500万円を超えることも。 一方、地方の州立大学であれば総額600万円前後に抑えることも可能です。 |
| イギリス | 500万〜900万円 | 【ロンドン価格に注意】 ロンドン中心部は家賃が高騰しており、生活費だけで月25万円以上かかることも。ただし、多くの修士課程が「1年制」のため、アメリカ(2年制が多い)と比較すると「トータルの出費」は安く済むケースが多いです。 |
| 豪・カナダ | 400万〜700万円 | 【公立メインで安定】 アメリカほどの極端な格差はありません。公立大学が主体のため学費が比較的安定しています。学生ビザでも現地での就労(アルバイト)が認められやすく、生活費の一部を現地で稼げるのが強みです。 |
| 欧州 (独・北欧等) | 200万〜400万円 | 【コスパ最強エリア】 ドイツやノルウェーなど、留学生でも「学費無料」や「格安」の国が存在します。生活費(年間200万円前後)を用意すれば質の高い教育が受けられるため、英語プログラムがある大学を探す価値は大いにあります。 |
| アジア (東南アジア、中国大陸等) | 150万〜300万円 | 【日本の私大感覚で留学】 日本の私立大学院に通うのと変わらない、あるいは安い水準です。欧米の大学の学位が取れる「デュアルディグリー」制度を使えば、費用対効果は抜群です。 |
※上記は2025年〜2026年時点(1ドル=150円前後想定)の目安です。


数字の裏にある「2つの変動要因」
表を見て「やっぱり高い…」と引いてしまったかもしれません。
しかし、この数字はあくまで目安。実際には以下の要素で数百万円単位のズレが生じます。
MBAは「別格」のプライシング
同じ大学でも、文学修士(MA)や理学修士(MS)の学費が年間400万円程度なのに対し、海外MBAだけは年間800万円以上かかるのが一般的です。
「大学院留学=すべて超高額」ではなく、「MBAなどのプロフェッショナルスクールはずば抜けて高い」と認識してください。
逆に言えば、一般の修士課程なら、もう少し現実的な予算で届く可能性があります。

→ 海外MBAの取得費用|大学ランキング別の学費・奨学金情報も
為替レート(円安)のインパクト
今の日本人が最も苦しめられているのがここです。
例えば、学費が5万ドル($50,000)の学校に行くとします。
- 1ドル=100円なら: 500万円
- 1ドル=150円なら: 750万円
為替が違うだけで、250万円も支払い額が増えます。「ギリギリの予算」で計画すると、渡航後のレート変動で生活が破綻しかねません。
予算見積もりは、現在のレートに「+10〜20円」のバッファ(余裕)を持たせて計算するのが、賢いリスク管理です。
「どこに住むか」で生活費はコントロールできる
例えばイギリス留学の場合、ロンドン中心部に住めば家賃だけで月20万円以上かかりますが、北部の地方都市や郊外を選べば月8〜10万円程度に抑えられます。
「大学のブランド」を取るか、「生活コストの安さ」を取るか。この選択だけで、年間100万円単位の節約が可能です。
費用の内訳を分解!何にどれくらいかかる?

海外大学院の留学費用は決して安い金額ではありません。
ここでは「学費」「生活費」「準備費用」の3つに分けて出費をシミュレーションしてみましょう。
学費(Tuition):国によって「課金システム」が違う
海外では「期間」と「課金体系」で総額が決まります。
北米(アメリカ・カナダ):2年分の「単位課金制」
多くの修士課程が2年制です。1単位(Credit)いくら、という計算で、卒業までに30〜60単位を取るため総額が膨らみます。
- MBA・トップ校: 年間800〜1,000万円クラス。2年で約2,000万円コースも珍しくありません。
- 理系(STEM): 学費は高いですが、TA/RA(助手)制度が発達しており、「学費免除+給与」を勝ち取れるチャンスが最も多いのがこの地域です。
イギリス・オーストラリア:期間が短い「パッケージ価格」
イギリスは1年制(12ヶ月)が基本。オーストラリアも1.5〜2年制が主流で、アメリカに比べると期間が短く済むケースが多いです。
生活費(Living Costs)
円安とインフレの直撃を受けるのは世界共通ですが、住環境の選び方には「お国柄」が出ます。
学生寮(Dorm/Halls):食事付きか、自炊か
- アメリカ型(Meal Plan): 寮費に「ミールプラン(食堂のパス)」が組み込まれていることが多く、食費込みで月20万円以上かかるケースが多くなります。
- イギリス・欧州型(En-suite/Self-catered): 「個室+専用シャワー・トイレ」で、キッチンだけシェアする自炊タイプが主流です。
シェアハウスと「都市・地方格差」
- ロンドン・NY・シドニー: シェアハウスの個室でも月15〜20万円は覚悟が必要です。
- 地方都市(マンチェスター、米中西部など): 家賃相場が一気に下がり、月8〜12万円程度で良い部屋に住めます。「都会の刺激」に月10万円の上乗せ価値があるか、冷静な判断が必要です。
準備費用(Initial Costs):意外な「トラップ」に注意
国によって「何にお金がかかるか」が全く違います。自分が目指す国の項目をチェックしてください。
テスト受験料・予備校代
- 英語(TOEFL/IELTS): どの国でも必須。1回3〜4万円×受験回数分。
- GMAT/GRE(主に北米・MBA): アメリカの大学院や各国のMBAを目指す場合、この適性テストが必須になります。1回約4〜5万円。一方、イギリスやオーストラリアの一般大学院では不要なこともあり、ここで準備費用に数十万円の差が出ます。
- 予備校代: スコアメイクやエッセイ添削をプロに頼むと、50〜100万円以上かかります。ここは「時間をお金で買う」かどうかの分かれ道です。
ビザ・医療費
- アメリカ(予防接種とSEVIS): ビザ申請費に加え、非常に厳しい「予防接種要件(麻疹、髄膜炎菌など)」があります。母子手帳で足りない分は自費接種となり、渡航前に5〜10万円の医療費がかかることがあります。
- イギリス(IHS・健康保険付加料): ビザ申請時に、国民保健サービス(NHS)を利用するための費用(IHS)を一括で支払う必要があります。これが値上がりしており、1年で約15〜20万円(為替による)と高額です。「ビザ代だけ」と思って準備すると痛い目を見ます。
出願料とデポジット
出願料(1校1〜2万円)に加え、大学によっては合格後に「入学予約金(デポジット)」として数十万円の先払いを求められることがあります(入学時に学費の一部として充当されます)。
社会人・学生必見!現実的な資金調達方法

「お金がないから留学できない」と諦める前に、使える制度をすべて洗い出しましょう。
資金調達は情報戦であり、「スピード勝負」です。
返済不要の奨学金(Scholarships)
誰もが欲しい「返さなくていいお金」。
これは単なる支援ではなく、あなたの将来への投資です。だからこそ、競争は激しく、準備は戦略的でなければなりません。
日本国内の奨学金
- JASSO(日本学生支援機構)海外留学支援制度: 大学院学位取得型などが有名です。月額数十万円の支給に加え、授業料の実費支援(上限あり)という手厚さ。
- 民間財団(伊藤国際、中島記念、平和中島など): これらは「学費(一部)+生活費」をカバーしてくれる夢のような奨学金ですが、倍率は数十倍になることも。
これらは「大学に合格してから申し込む」ものではありません。 多くの財団は、渡航の前年夏〜秋(入学の1年前)に募集を締め切ります。
つまり、大学への出願準備と並行して、奨学金のエッセイも仕上げる必要があるのです。「合格してから探そう」では、9割のチャンスを逃します。
大学側が提供する奨学金
- Merit-based(成績優秀者向け): 出願時のGPA、GMAT/GREスコア、エッセイの質で自動的に審査されることが多いです。「授業料の30%免除」など、合格通知(Offer Letter)に記載されてオファーされます。
- Need-based(経済的必要性に基づく): 家庭の経済状況や本人の資産状況を申告して申請します。主に米国の大学で一般的ですが、留学生には適用されないケースもあるため要確認です。
教育ローン・貸与型奨学金
奨学金だけで全額を賄える人は一握りです。多くの留学生が、将来の自分から「借金」をして渡航しています。
- 日本政策金融公庫(教育一般貸付): 固定金利で安心感があり、海外留学資金として最大450万円(条件による)まで融資を受けられます。返済期間も長く設定できるため、親御さんが代理で借りるケースも多いです。
- JASSO(第二種奨学金): 有利子の貸与型です。月額最大15万円(法学ならさらに7万円増額可能)を借りられます。審査基準は給付型より緩やかですが、卒業後に毎月数万円の返済が15年〜20年続くことを覚悟してください。
親・親族からの借入
「社会人にもなって親に頼るのは…」と躊躇する気持ちはあると思います。
ですが、銀行ローンで高い利子を払い続けるよりも、親や親族に頭を下げて、不足している分を借りるのも現実的な選択肢の一つです。
実際、貯金と退職金だけでは足りず、最後の数百万を親から借りて渡航する人は少なくありません。
利子がつかない分、帰国後の返済負担は確実に軽くなり、その分留学中の勉強に集中できます。
海外大学院留学の費用対効果(ROI)をどう考える?
キャリアアップと年収
「留学すれば自動的に給料が上がる」ほど甘くはありません。
しかし、日本の「学部卒(ポテンシャル枠)」の土俵を降り、世界の「修士卒(プロフェッショナル枠)」の土俵に移ることで、ベース給与の基準値そのものを変えることが可能です。
「職種」と「場所」を変えて回収する
日本の大手企業では、30代の年収はおおむね500〜600万円前後で推移し、業種・職種次第では600万円~800万円に到達するケースもありますが、大きな伸びを得るには時間がかかる構造になっています。
一方で、海外大学院で修士号を取得し、外資系企業やグローバル企業に専門職として転職した場合、年収レンジが1,000万円台に引き上がるケースは珍しくありません。
大学院留学は大きな出費ではありますが、奨学金や就労機会を活用しつつ、年収差分を積み上げていけば、数年で投資を回収できる可能性があります。その後の20〜30年のキャリアでは、より高い市場で評価され続けること自体が、大きなリターンとなります。
職種を変える「キャリアピボット」の実例
「今の仕事の延長」ではなく、職種そのものを変えられるのが大学院留学の強みです。
実務経験にアカデミックな知見を掛け合わせることで、日本にいながら年収レンジの高い職種へジャンプアップする事例は多くあります。
- 国内営業職 ➡ 外資系ITの事業開発(BizDev): 英語と経営視点を武器に転身。
- SE ➡ 戦略コンサルタント: 技術知識に論理的思考力を加え、上流工程へ。
- 経理 ➡ 総合商社の投資部門: 会計知識にMBAの分析スキルを加え、グローバル案件へ。
「外貨」を稼ぐ現地就職のインパクト
アメリカをはじめとする高賃金国では、STEM人材に対する需要が非常に高く、特にソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストの場合、初任給はおおむね年収9万〜13万ドル程度からスタートするケースが一般的です。
さらに、トップIT企業やAI・定量系などの上位ポジションでは、13万〜16万ドル以上のオファーが出ることもあります。
エンジニアやデータサイエンティストといった職種は、専門スキルが業務成果に直結しやすく、技術力という共通の評価軸で判断されるため、他職種と比べて国籍による差が出にくい傾向があります。
一方で、都市(ベイエリアやニューヨークなど)による生活費の差や、OPT/STEM OPT、H-1Bといったビザ戦略の成否がキャリア継続に直結する点には注意が必要です。

非金銭的価値:お金で買えない「無形資産」
ROI計算には表れませんが、人生の豊かさと「どこでも生きていける自信」を決定づけるのがこちらの資産です。
「沈黙=無能」の環境で鍛える発言力
「英語ができるようになる」という生易しいものではありません。
海外の大学院では、成績の30〜50%が「発言点(クラスへの貢献)」で決まることが多く、発言しない人=教室にいないのと同じ(貢献度ゼロ)」とみなされます。
他人の息継ぎの瞬間に割り込み、文法が完璧でなくても自分のポジション(意見)を主張する。
この「強制にアウトプットせざるを得ない環境」こそが、世界中のどこでも通用する「議論できる英語力」と「発言力」を叩き込んでくれます。
トラブルを突破する「サバイバル能力(自己効力感)」
海外生活は、日本ではあり得ない「理不尽」の連続です。ビザの手続きミス、突然の契約破棄、頼れる人が誰もいない孤独……。
これらをエージェントや親に頼らず、つたない英語と行動力で一つひとつ解決していくプロセスは、強烈な「サバイバル能力」を育てます。
「あの時の地獄に比べれば、今の仕事のトラブルなんて余裕だ」。
そう思える根拠のある自信は、どんな会社に行っても、あるいは独立しても、あなたを一生支えるメンタル基盤になります。
「いつか」を現実に変えた「人生の納得感」
最後は感情の話です。多くの人が、キャリアの後半になって「あの時、思い切って留学していればどうなっただろう(What if)」という静かな後悔を抱えています。
キャリアのため、年収のためという論理も大切ですが、「ずっと抱いていた憧れを、自分の手で現実に変えた」という事実は、他人の評価に依存しない一生モノの資産になります。
「自分で決めて、海を渡り、やり遂げた」。
この達成感こそが、あなたの人生の幸福度と納得感を底上げしてくれるのです。

→ 海外大学院のメリットは?キャリアと人生が変わる「5つの真価」とシビアな現実
【まとめ】資金計画は「情報戦」。早めの準備がカギ

留学費用は「定価」が決まっている買い物とは違います。
「どの国の、どの街を選ぶか」「いつ為替を換金するか」「どの奨学金にいつ申し込むか」。これらの組み合わせ次第で、総額は数百万円単位で変わってきます。
- 情報は「鮮度」が命: 奨学金の締め切りは、入学の1年も前であることがザラです。「行きたい!」と思ったその時が、最も選択肢が多いタイミングです。
- 工夫の余地はある: 憧れの大都市から少し郊外に住むだけで家賃は3割下がります。自炊スキルを磨けば食費は半分になります。諦める前に、「どうすれば予算内に収まるか」組み立ててみましょう。
ネット上の情報は膨大で、かつ古いものも混ざっています。「平均」の数字に惑わされず、「今のあなた」の場合いくらかかるのか、リアルな数字を知ることから始めませんか?










