発音というのはなかなか極める機会がなく、直すチャンスもありません。だから、発音は大人になっては直らないと思っている人が多いのです。
確かに、耳だけは7歳ごろをさかえに英語を聞く力が衰えていきます。もっと言えば、聴いたものをそのまま発音できるのは5歳ごろまでと言われています。
でも、聴く力が衰えたからと言って発音のトレーニングが出来ないわけではありません。実際私は、高校生まで普通の公立校に通い、英会話スクールなど一度も行ったことはありませんでした。
英語のテレビを観たり、洋楽を聴く機会もありませんでした。それが今ではネイティブの友達に、発音を誉めてもらえるまでになりました。
今回は、私が練習した方法に加え発音トレーニングに有効とされる「フォニックス」を使った練習法を、特に英語の子育てをしたいママパパさん向けに紹介したいと思います。
留学経験と児童英会話教室での講師経験を活かして、子供が英語を楽しく学べる環境作りや、接し方など紹介させて頂きます。
現在3人の子供の子育て中です。
目次
なぜ大人はカタカナ英語になってしまうのか
例えば、バニラとバナナどちらも日本語で親しまれている単語ですよね。英語のvanillaとbananaは何が一番違うと思いますか?
アクセントの位置、つまり強く読む場所はvanillaならniの部分、bananaなら真ん中のnaの部分です。
では、”バ”の発音はどうでしょう?日本語で言ってみて下さい。2つとも、上唇と下唇を(しっかり閉じる)くっつけてから”バ”と発すると思います。
すると、せっかく正しい位置にアクセントを置いて言っても、ネイティブにはどちらも”banana”と聴こえてしまうことがあります。
このようにカタカナ英語になりがちなのは、私たち大人は和製英語や外来語などを「あいうえお」発音で言い慣れてしまっているのと、英語発音特有の”v” “r” “th”などの音を発音することがないからです。
上記の話で言うと、”vanilla”と言うには下唇を噛んで”va”と発音する必要があるのです。その発音トレーニングに有効なのがフォニックスです。まずアルファベットの音を単音で練習しましょう。
英語のフォニックスとは?

フォニックス=アルファベットの発音を知るツール
では、どのように英語特有の発音をマスターすればいいのでしょう。
まずここで紹介したいのは”Phonics”「フォニックス」の単音です。フォニックスとは、もともと英語圏の子供たちが読み書きをスムーズにするためのトレーニング法です。
イギリスの小学校では、9週間でフォニックスを子供に教えるそうですよ、
アルファベットは私たちは昔、A=エー B=ビー C=シーと覚えましたね。実は私たちが覚えたのはアルファベットの名前だったのです。
アルファベットの音を知るのがフォニックスです。
例えば、”C”は「クッ」と空気を漏らして摩擦音で発音します。
“U”は「ユー」とは読みません。「アッ」とびっくりした時に発するような音で”umbrella”と発音します。
A~Zまでのアルファベットをフォニックスのルールがわかれば6~7割の単語が読めると言われています。
正しい発音だけでなく、正しい音の出し方も習得することが出来ます。
フォニックスの表

上の一覧表がフォニックス読みをしているものになります。ここでは単音だけをまず紹介したいと思います。
日本にいる3歳くらいまでの子で英語教室に通っていると、まずここまで習得できるまたはしていると思います。
例えば、”Z”の”buzz”を見て下さい。アルファベットの読み方しかわからないと、B=ビー U=ユー Z=ジーと読みますね。
そうすると、”buzz”は「ビューズ」か「ブーズ」と読むことになります。
ですが、フォニックスを知っている子供たちは、この”u”を「アッ」とびっくりした時に発するような音で発音し、”b”はさらに口を少しとがらせ強めに破裂音にして「ブッ」と発音します。
そして最後の”z”は日本語の「じー」ではなく、歯をかみ合わせて空気と音を一緒に出します。まさに蜂が飛んでいるような音です。
子供たちは自分でフォニックスで読んで、”buzz”ときれいな音を出して発音します。
これがフォニックスの基本ルールとなります。まずは、A~Zのアルファベットの音を正しく出せるように練習しましょう。
(画像:https://www.jollylearning.co.uk/jolly-phonics/ )
大人のフォニックス①(単音):動画で基礎を学ぶ

まずは、フォニックスの基礎をわかりやすく教えてくれている動画を観ながら練習しましょう。
英語のFと日本語のエフを比べてみよう
動画はご覧になれましたか?”F”を見てみましょう。
日本語でFを発音すると「エフ」になると思います。日本語で言ったエフの”フ”は口を少しとんがらがせて「フ」と言っていませんか?
英語の”F”読みは、下唇を噛んで空気を漏らします。音は出さない摩擦音になります。
カタカナ読みとの違いを自分の耳と声と口の動きで感じて下さい。
日本語にはない音の出し方
英語には、日本語にはない音がいろいろあります。
- “b”や”p”のように息を一度ためて空気を破裂させるように発音する「破裂音」
- “f”や”th”のような口の中の狭い通り口を作り、そこに空気を通して発音する「摩擦音」
- “n”や”m”のように口を閉じ空気を鼻から出す「鼻音」
- “r”と”l”のように舌先を上あごに近づけ、その中間または両側から気息を通して発する「流音」
- “w”や”y”のように母音と同じような発声をする「半母音」
例えば、”bat”の”b”は破裂音で、空気を一度ためてb「ブッ」と音を出します。
続けて上でやったa=ェアを掛け合わせて”bat”。カタカナで言う「バット」とは明らかに違う発音になります。
上記のポイントを押さえて単語を読むと、前よりぐっと発音がきれいになります。言いにくければ、”b”発音で”b,b,bat”と練習してみて下さい。
英語のストレスとリズム
空気を漏らして言う”C”や”K”などの音や舌を上あごに付ける”L”、舌を引っ込めながら唸る”R”の音などの慣れてきたら、次は英語のストレス(強弱)とリズムについてみていきましょう。
例に出すのは”D”です。あいうえお読みでは「ディー」ととても口がおとなしく柔らかい音になります。
しかし、フォニックス読みの”D”は「ドゥッ」と喉が震えるくらい力を込めて発音します。
“doughnut(donut)”ドーナツを発音するとき、”D”を上のポイントを押さえて言ってみて下さい。
日本語は平坦に強弱なしで「ドーナツ」と発音しますが、フォニックス読みをすると自然と”D”にストレスがかかると思います。”dog”も同じです。
“D”にストレスを置くと自然と「ドッグ」ではなく「ドッグ」とグを飲み込む形になるかと思います。
すべての単語をこんな風に意識しながら発音してたら、会話にならないんじゃないかと心配になりますよね。
そのためのフォニックスです。アルファベット一つ一つの音をしっかりマスターすることでフォニックス読みしかできなくなります。
あいうえお読みをやっていない小さなお子さんなら、なお有効なトレーニング法なので、ぜひお子さんと挑戦してみて下さい。
単音復習
アルファベット単音の音をマスターしたら、下の単語を発音(フォニックス)に注意しながら言ってみて下さい。
今まで言っていたカタカナ英語から、ご自分の発音は進化しているはずです。言いにくくなったのが、発音がきれいになったサインです‼
cat / nuts / dog / bus / fox/ grape / hat / berry / blue
フォニックスの基礎については、YouTubeのあいうえおフォニックスもわかりやすく、そして可愛く説明してくれているので参考にしてみましょう。
大人のフォニックス②(複数音)

2文字の音を学ぶ
上の動画でフォニックスをマスターすれば、単音はもう大丈夫!でも、A~Zの単音をマスターしただけではすべての単語が読めるようになったとは言えません。
例えば、単音の読み方に従っても下の単語は読めません。
- theme
- whale
- shell
- young
ここに出てくるのはth, wh, sh, ng, ph, ar, oi, ou, quのような2文字続きの発音です。2文字で一つの音を出します。
“th”は前歯と前歯の間に舌を少し出し空気を通して摩擦音です。練習:thumb
“wh”は唇を尖らせて、「ウ」と出します。練習:whale
“sh”日本語の「シャ、シュ、ショ」にちかいです。前歯を閉じて空気を出します。練習:shoot
“ng”は口を少し開いて、鼻から抜けるように「ング」という感じです。練習:tong
“ph”は”f”と同じ音です。練習:phone
“ar”はまず日本語で「ア」と言う時よりもう少ししっかりめに口を縦に開けます。まだ舌は普通に。「アー」と言いながら舌先を丸めながら上あごに近づけます。そして少し口を横めにすぼめて「アー」と発音します。練習:car
“oi”は「オイ」ですが、オを強く読んでイは短く静かに発音します。練習:oil
“ou”はたくさんの読み方がありますが、(could「ウ」young「ア」brought「オー」)基本的には「アゥ」と読みます。アを強めにウは小さく短くです。アもアーとは伸ばしません。アと言ったらすぐに弱めに短くウです。練習:proud
“qu”のqは単音の動画にもあったようにqの後に続く文字は必ずuなので「クァ」と発音します。練習:question
マジックE
“E”がなぜマジックかというと、最後に付く”e”は読まないから、というのがまず一つの理由です。
・cute/cake/use etc…
もう一つの理由は、最後にexがついた場合、その2つ前のアルファベットがフォニックス読みから→アルファベット読みに変わるからです。
例えば、bikeはb i k e 全てフォニックス読みをすると「ブッ イ クッ マジックe」ですが、マジックeが二つ前のiをアルファベット読みに変えることで、「ブッ アイ ック マジックe」で「ブァイク」と読みます。
同じ文字が二つで
・book/tooth/baloon/moon etc…
Oが二つ続けば「ウー」と発音します。
続いて例えば”summer”という単語。同じ子音が二つ続いた場合、「mmムム」と二回読むのではなく「ムー」と一度だけ読みます。同時にその前の母音はフォニックス読みをしなさいということです。s u mm er スッ ア ム ェアーです。
日本人の苦手な音er
表のある”er”は場所によって少し発音が違ってきます。単語の途中や先頭のerは少し口を開け、舌先を丸めて喉の奥から「アー」と発音します。
・service/person/nervous
単語の最後に付くerは、少し口を開け弱めに短く「ア」と言いながら舌先を丸めます。
・learner/user/teacher
発音記号も合わせて学びたい人は、甲南大学の[英語発音入門]がおすすめですよ。
それぞれの音の出し方が断面図や動画を通じて学ぶことができます。
フォニックスの練習方法

歌で練習!おすすめのフォニックスソング
なんとなくフォニックスを頭に入れたら、次は口慣らしです。有効なのはリズムに乗って言うことです。いくつかおすすめの無料動画を上げておきます。
ゆっくりなものから少し早いものまで、自分のレベルに合わせて練習してみて下さい。
英語は毎日どれだけ口にしているかで、スムーズに話せるかどうか決まります。
数年海外暮らしをしていても、日本に帰ってきて全く英語を使わなくなれば忘れていってしまいます。
そして、小さい子に関しては覚えるのが早かった分、忘れるのも早いです。
話は逸れましたが、毎日お子さんとお風呂で100数えて出るのを、このファニックスソングに切り替えるのも良し、車で歌うのも良しです。
簡単なフレーズを何度も声に出す
フォニックスに慣れたらいよいよフレーズにしてみましょう。以前書いた記事で「英語で声掛け・おうち英語」を紹介しています。
同じフレーズで構わないので、毎日っしつこいくら声に出してみましょう。極端な話”Good morning!”だけでもいいんです。
フォニックス読みで”G”「グッ」口を少し開いて力を入れて言います。
喉の下から音を出すイメージです。そうすれば自然と”Good”の”d”の音が小さくなり日本語で言う「グッドモーニング」にならずに済みます。
これも慣れです。初めは”G”しか出来なくても、”R”を習得するうちに”morning”の”mor”の部分がネイティブのようにきれいに言えるようになります。
余談ですが、この”R”がうまくできないと思ったら、オーストラリア英語がお勧めです。(笑)オーストラリア英語は”R”をあまり強調して発音しません。
ですので、「グッモォーニン」が「グッモーニン」となるんですよ。アメリカ英語の”water”「ウォーラァー」も「ウォラ」のように発音します。
なかなか文字で表せませんが、気になる方は「オーストラリア英語」でYoutube検索してみて下さい。
まとめ

いかがでしたか?私たちが子供の時代はフォニックスをやってきませんでしたが、今は小学校で取り入れているところもあります。英会話教室なら2歳頃からやっているでしょう。
慣れない舌と口の動き、最初は意識するだけで疲れてしまうかもしれません。
現在、義務教育の英語教育ではローマ字に力を入れなくなったり、「読み書き」と並行して「聞く話す」をやる時代に変わりました。
この波に乗っかって、お子さんに「ママかっこいい!」って言ってもらえるよう、フォニックスでママの英語の発音レベルもあげてみませんか?
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