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「海外の大学に進学してスポーツと学業に両方取り組みたいけど、金銭面が心配……。」「留学の費用が高いのは知っているけど、諦めたくない。」
本記事では、そんな想いを抱くアスリートの皆さんに向けて、アメリカのスポーツ留学にフォーカスして、受給できる奨学金の制度や種類を紹介したいと思います。
海外の大学では奨学金という制度が日本よりも身近であり、アスリートだからこそ受け取れる返済不要のスポーツ奨学金(アスリート奨学金)というのも存在します。
アスリートとして奨学金をもらいながらの留学、夢ではありません!ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の著者:Moon
高校2年生の冬にアメリカの大学でスポーツをしたいと決意し、都内の国立高校からアイビーリーグ校に合格・進学。卒業後の現在はプロのスポーツ選手として海外で活動中。
目次
アメリカのスポーツ留学にかかる費用とスポーツ奨学金の概要
まずは、アメリカ大学のスポーツ留学にかかる費用の目安と、返済不要のスポーツ奨学金に関する基礎知識を整理しましょう。
アメリカのスポーツ留学にかかる費用
アメリカの大学へスポーツ留学をする場合、授業料だけでなく、寮費や食費、教材費、渡航費などを含めた総合的な費用が必要になります。
大学の種類や地域によって差はありますが、おおよその目安は以下の通りです。
費用項目 | 年間の目安 |
授業料 | 私立大学:約 US$40,000〜60,000 州立大学(州外学生):約 US$25,000〜40,000 |
生活費(寮費・食費・交通費など) | 約 US$10,000〜20,000 |
教科書・学用品 | 数万円程度(専攻によって異なる) |
渡航費・生活準備費 | 航空券、生活用品購入などで数十万円程度 |
特に私立大学の場合、授業料と生活費を合わせると年間700〜900万円に達することもあります。
そのため、奨学金制度を活用できるかどうかが、進学の現実性を大きく左右します。
なお、大学の公式スポーツチーム(例:NCAA)に所属している学生アスリートの場合、競技用のユニフォームや用具、遠征費などはチームから支給・負担されるのが一般的です。
追加で個人負担が発生することはほとんどありませんが、オフシーズンの自主トレーニングや個人的な消耗品など、少額の自己負担が必要になる場合もあります。
アメリカ大学のスポーツ奨学金とは
アメリカの大学には、学生に対して返済不要の給付型奨学金を支給する制度があり、大きく経済状況に応じて支給される「ニーズベース奨学金」と、学生の能力に応じて支給される「メリットベース奨学金」の2種類があります。
スポーツ奨学金(アスリート奨学金/Athletic Scholarship)は、このメリットベース奨学金の一種であり、優れた競技力や将来性をもつ学生に対して、授業料や寮費などを支給する制度です。
- メリットベース奨学金(Merit-based Scholarship)
学業成績や課外活動、芸術、スポーツなど優れた実績に基づいて支給される奨学金。申請不要で自動的に審査される場合もあり、支給額や条件は大学によって異なります。 - ニーズベース奨学金(Need-based Scholarship)
家庭の収入や経済状況に応じて支給される奨学金。家計証明書類の提出が必要なことが多く、大学によって支給対象や金額、審査方針は異なります。
スポーツ奨学金(アスリート奨学金)の特徴と注意点
スポーツ奨学金の支給額は大学・競技・選手の評価によって異なり、全額支給(フルスカラシップ)から一部支給(パーシャルスカラシップ)までさまざまです。
誰にどれだけ支給するかは大学の方針や各スポーツのヘッドコーチの判断に委ねられているのが特徴です。
例えば、ボストン大学の公式ホームページでは、スポーツ奨学金(アスリート奨学金)について以下のように記載されています。
ボストン大学体育会奨学金は、毎年、入学してくる学業優秀なアスリート数名に授与されます。授与される奨学金は、数百ドルのものから、学費全額をカバーするものまで様々です。
各スポーツのヘッドコーチが奨学生候補を審査し、奨学金を授与する学生を選びます。毎年支給されるスポーツ奨学金は、全米大学体育協会(NCAA)の規定に従ってボストン大学が決定します。詳細については、各スポーツのコーチにお問い合わせください。
このように、スポーツ奨学金は実力に基づく返済不要の支援でありながら、支給基準や選考方法は大学ごとに大きく異なるため、志望校の制度を事前にしっかり調べておくことが不可欠です。
また、対象となるスポーツ種目や留学生が申請できるかどうかも大学によって異なるため、公式サイトで最新情報を確認するようにしましょう。
アメリカのスポーツ奨学金の仕組みと制度を詳しく解説
本章では、スポーツ奨学金(アスリート奨学金)についてより詳しく、その仕組みを見ていきましょう。
アメリカでは、大学のスポーツチームは3つの「Division(ディビジョン)」に分類されており、どのDivisionに属するかによってアスリート奨学金の支給状況が異なります。まずは、その仕組みについて解説します。
NCAAとDivisionの仕組みとは?アメリカ大学スポーツの基本構造
アメリカには、NCAA(National Collegiate Athletic Associationの略。日本語では全米大学体育協会と呼ばれる)という組織があり、全米の大学のスポーツチームの大会の運営やルール決めを行っています。
NCAAでは24の競技が行われており、各スポーツはレベルによって「DivisionⅠ」「DivisionⅡ」「DivisionⅢ」の3ディビジョンに分けられています。
もっともレベルが高いのが「DivisionⅠ」で、DivisionⅠの人気スポーツ(バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーなど)はよくテレビでも中継されているほか、ESPNなどのスポーツ専門チャンネルでも常に試合が配信されています。
スポーツ用具やチームのアパレルが毎年チームから支給され、強くてお金がかかっているチームほど環境も待遇もプロ並みといっていいほど良いものとなります。

NCAA競技一覧<出典:https://en.wikipedia.org/wiki/National_Collegiate_Athletic_Association>)
Divisionはチームのレベルで決められていると思われがちですが、実際は各大学がどれだけの予算をスポーツに割いているか等のNCAAが定めた条件で決められています。
そのため、基本的に、同じ大学内ではどのスポーツも同じDivisionに所属しています。
予算が多く施設が充実している学校の方が選手のレベルも高くなる傾向にあるので、スポーツのレベルもDivisonに比例して高くなると言えるでしょう。
現時点で1098校がNCAAに属しており、DivisionⅠに352校、DivisionⅡに312校、DivisionⅢに437校が加盟しています。
Division別のスポーツ奨学金支給条件とフルスカラシップの可能性

Division I~Ⅲのうち、Division ⅠとDivision Ⅱに加盟する大学では、所属するアスリートに対してアスリート奨学金が提供されます。
AcademicのMerit-basedの奨学金で学力や成績が評価されるように、アスリートとしての能力が評価されて学費が免除されたり負担が減ったりするのです。
なお、Division I 所属でも、アイビー・リーグ、パイオニア・フットボール・リーグ (DⅠの中のFCSというサブディビジョンに属するアメフトリーグ)では、アスリート奨学金 Athletic Scholarship の支給は一切ありません。
例えば、アイビー・リーグでは全ての生徒の奨学金がNeed-basedとなっているため、アスリートでも奨学金が必要な生徒はNeed-basedの奨学金を申請する必要があるのです。
スポーツによっても、もらえる奨学金の額や人数に違いがあります。
DivisionⅠの中のHeadcount Sportsと言われるスポーツ(DⅠ FBS(*)男子アメフト、DⅠ男女バスケットボール、DⅠ女子テニス、DⅠ女子バレーボール、DⅠ女子新体操)では、学費や寮費など大学に必要なお金を全額カバーするフルライド(Full-ride)奨学金が給付されます。
フルライドの奨学金は、各学校や各部活内で給付できる人数に制限があるため、全額支給または全くもらえないのどちらかになります。
(*)D1 FBSとは:アメリカンフットボールの場合、DivisionⅠの中でもさらに2つのディビジョンに分かれ、FBSが最高ディビジョン、FCSがその次のディビジョンとなります。両方ともレベルが高いことは間違い無いですが、FBSに所属する学校の方が規模が大きく、よりスポーツにお金がかけられている場合が多いです。
一方で、Division IIでは、「Headcount Sports」の概念は存在せず、すべてのスポーツが「Equivalency Sports」に該当します。Equivalency Sportsは、学校によってチームごとに割り当てられた奨学金をヘッドコーチの判断で分配するので、奨学金は部分支給が一般的です。
例えば、野球チームで5人の学費分の奨学金が支給できるとなった場合、コーチの判断で、チームのトップ選手に学費全額分を給付、2番手となるような選手二人に学費の80パーセントずつを給付、残りの2人分+40パーセント分の奨学金を他の選手で均等に分ける、といった風に独自に分配できます。
奨学金を獲得した生徒の中でも、もらえる額が異なるというわけです。



アメリカのスポーツ奨学金獲得は狭き門?データで見るリアル

ここまで説明してきたアスリート奨学金ですが、実際には全員が受け取れるわけではなく、奨学金を勝ち取ること自体簡単なことではありません。
ここからは、データやより詳しい条件をみていきたいと思います。
大学からアスリートの奨学金をもらえる生徒は実際どのくらい?
アスリートの奨学金というと、多くのアスリートが受給しているイメージがあるかもしれません。
しかし、NSCAというアメリカで高校生アスリートと大学のコーチを繋げるサポートを行う団体のデータによると、高校から大学に入るタイミングでAthletic Scholarshipを受給するアスリートは2%にも満たないということで、full-ride(フルライド)をもらったのは1%のみです。
また、少し前のデータにはなりますが、NCAAが公式で出している2014年の情報によると、DivisionⅠに所属しているアスリート全体の53%が何かしらのアスリート奨学金を受給しており、DivisionⅡでは56%が受給していると書かれています。
これらからも、高いレベルのリーグに所属するアスリートだからといって、必ずアスリート奨学金がもらえるという訳ではないことが分かります。
獲得した奨学金は毎年もらえる?
基本的にアスリートの奨学金はアカデミックのMerit-basedの奨学金と同様に、1年ごとに更新されます。
ですので、1年目にアスリート奨学金をもらえたとしても、これだけもらえたから残りの学生生活も安心、という訳ではありません。
反対に、1年目に奨学金をもらえなくても自身の成績次第では翌年に奨学金がもらえたり、もらえる額が上がったりすることもあります。
また、Equivalency Sportsの場合、奨学金が誰にどれだけ行き渡るかを決めるのはチームのヘッドコーチになるため、自分が出した成績や、コーチの評価によって奨学金の額や待遇が毎年変わる可能性がある、ということです。
実際にNCAAの大学に進学して奨学金をもらうことは難しい?
これはスポーツによっても異なるため、一概に、どのレベルだとNCAAの学校に進学できて、どのレベルだと奨学金がもらえるか、明言することはとても難しいと思います。
ですが、日本からNCAAの大学に進学するのがものすごく難しく前例がない、というわけではありません。実際、日本からも最近はNCAAに奨学金をもらって進学する選手が多くいるからです。
例えば、バスケットボールでは今も世界で大活躍している八村塁選手や渡邊雄太がNCAAの大学でプレーしていたことは知っている方も多いと思います。
「バスケットボール NCAA」というキーワードで調べてみると、他にも日本人でNCAAで活躍していた・している選手は20人以上出てきます。
他にも、サッカーや野球などは日本人が少しずつ増えているスポーツだと言われています。
個人の選手が大学に入るタイミングやコーチの変わり目など、いろんな要素が合わさって進学や奨学金が決まるので、レベルの基準が必ずしもあるわけではありません。
どのくらいのレベルを目指したらいいか気になる場合は、自分のスポーツでNCAAに進学している日本人を調べて参考にしてみると、イメージが湧きやすいかもしれません。
スポーツ奨学金を獲得して進学するために必要な3つのこと

前章までで、アスリート奨学金がどのような内容なのか、そしてどのくらいのアスリートが受け取れるのかなどの情報を解説してきました。
本章では、大学からのスカウト獲得を目指し、アスリート奨学金を獲得して進学するために準備できることを解説します。
①大会などで顕著な成績を残してスカウトにアピールする
NCAAは世界中のトップレベルの学生アスリートが集まる場所であり、トップリーグであればあるほど、誰もがチームや部活に所属してプレーできるという訳ではありません。
DivisionⅠの大学・チームとなると、ほとんどの場合が高校生のうちに大学チームのコーチからスカウトされた選手が、受験期前にコミットメント(チームに所属しますという意思表明の紙にサインする契約書のようなもの)をします。
多くの場合、このスカウトの段階で奨学金の提案があるため、奨学金を獲得して進学するためには、スカウトから注目される存在になることが重要ということになります。
当然、大学が取りたいと思う選手であればあるほど、提示する奨学金の額も大きくなります。
大学から多くの奨学金のオファーを得るためには、まず一番大切なことは顕著な成績を残すことです。
大きな大会でいい成績を残す、目立つ選手になっていいスタッツを持つことによって、スカウトからも注目される存在になることができます。
必ずしも優勝や数字に残るものではなくてもチームに合うプレースタイルやコーチの理想とするプレースタイルに目をつけられてスカウトされる場合もあります。
競技によっても評価のされ方は変わってくるのでここで一概に言うことはできませんが、高校生アスリートのみなさんが、自分の強みを理解して、どういった理由でスカウトしてもらえそうか、どういった点をアピールすれば良いかを把握しておくことは大切だと思います。
②積極的にアクションを起こす
一方で、日本のアスリートが大学からオファーを得るためには、ただ結果を残すだけではいけません。
既に世界的に活躍していて、他国でもそのスポーツにおいて名が知れていない限り、日本の高校やクラブのチームをわざわざアメリカからチェックしている大学は少ないからです。
アメリカの大学のスポーツチームに入りたい場合は、高校生の間から自分のプレーのハイライトビデオを作ったり、アメリカの大学が高校生向けに主催するキャンプに参加したり、興味のある大学のコーチにメールをしたりするなど、自分のことを知ってもらうアクションを起こすことが大切になってきます。
大学からのオファーは、スポーツにもより、また、毎年NCAAのルールが変わることもあるので一概に言えないのですが、早ければ中学3年生の年から声がかかることもありますし、高校3年生の年にオファーを受け、入学を決める選手もいます。
スポーツ、選手の特徴によっても大学のコーチと具体的な話ができるようになる時期はそれぞれですが、「アメリカの大学に行ってみたい、NCAAでスポーツをしてみたい」と思った段階で、ハイライトビデオを作ったり、コーチのメールアドレスを調べて連絡をとる準備をしたりしていると必要なタイミングですぐアクションが取れるようになります。
チーム関係者の連絡先は、ホームページに掲載されていることが多く、スタッフのページでコーチの欄をみるとメールアドレスも一緒に載っていることがほとんどです。
コーチ個人の連絡先でなくても、チーム宛てのメールアドレスが掲載されていることもあります。
③学業面でもいい成績を残す
アメリカの大学では、「学生アスリート」と呼ぶだけあり、アスリートも学業に励み良い成績を残すことが期待されています。そのため、スポーツと両立して学業面でも可能な限りいい成績を残すことが大切です。
NCAAではスポーツだけでなく成績の基準もあり、一定の成績を保っていることがプレーする条件になったり、毎学期チームごとに平均GPAが公表され、他の大学チームと比べられたりします。
また、入学後も1セメスターに6単位以上の単位を取得できないと、次の学期はプレーできないというルールや、学校の卒業基準最低GPA(学校によって異なります。)に満たないとプレーできない、などのルールもNCAAによって定められています。
そのため大学のコーチ達は「その選手が入学後に学業面でついていけるか」「成績を残せるか」も考慮しながらスカウトを行います。高校生が大学のコーチと話し始める際、早い段階で、高校の成績表の提出を求められることはこのためです。
良い成績を残していればいるほど、オファーをもらえる可能性も上がるといえるでしょう。
アスリートが利用できるスポーツ奨学金以外の奨学金制度

アスリートといっても、必ず大学からアスリート奨学金が支給されるとは限りません。
そもそもアスリート奨学金の制度が存在しない大学(アイビーリーグやNCAA Division IIIなど)もあり、また支給されたとしても学費の一部しかカバーされないケースが多くあります。
場合によっては、日本の民間団体が提供する返済不要の奨学金の方が支給額が多く、結果的に負担が軽くなることもあります。
そのため、アスリート奨学金だけに期待するのではなく、他の奨学金制度もあわせて調べておくことが重要です。
大学のコーチとのやり取りと並行して、どの奨学金に応募すべきか、どう組み合わせれば最も経済的な負担を減らせるかを早めに考え、行動に移すことが成功への近道です。
アスリートがアスリート奨学金以外で奨学金を受け取る方法としては、次のような選択肢があります。
①学業成績による給付型奨学金(Merit-basedの奨学金)
アスリートとして大学に進学する場合でも、学業成績が優れていれば、学業分野での給付型奨学金(メリットベース奨学金)を受け取ることができます。
大学によって制度は異なりますが、スポーツ奨学金と学業奨学金を併用できるケースも多くあります。このような場合、たとえスポーツ面の奨学金が少なかったとしても、学業面の奨学金と組み合わせることで、より多くの学費負担を軽減することが可能です。
奨学金制度の詳細は大学ごとに異なるため、進学先の大学がどのような条件で学業奨学金を提供しているか、公式情報を確認するようにしましょう。
②家計状況による奨学金(Need-basedの奨学金)
アメリカの大学では、家計状況に応じて学費や生活費の支援を受けられる給付型奨学金(ニーズベース奨学金)制度が整備されています。
この奨学金は、アスリート奨学金と併用できる場合もあり、スポーツ奨学金だけではカバーしきれない費用を補う手段として活用されることもあります。
また、アスリート奨学金の条件を満たさなかった場合や、制度そのものが存在しない大学に進学する場合にも、ニーズベース奨学金は重要な選択肢となります。
ただし大学によっては、この奨学金の申請が合否に影響する「ニーズアウェア(Need-aware)」の方針を取っていることもあるため注意が必要です。
スカウトを受けて進学がほぼ決まっている場合でも、奨学金の申請方法や時期について、コーチや大学の担当者と事前に相談しておくことが大切です。
制度の詳細は大学ごとに異なるため、公式サイトでの確認を忘れずに行いましょう。
③日本国内の奨学金制度を利用する
海外の大学に進学する場合は、アスリートに限らず、日本国内の民間団体や財団が提供する給付型奨学金を利用することもできます。
こうした奨学金はスポーツ奨学金と併用できる場合もあり、学費や生活費の負担を大きく減らせる有力な選択肢です。
なかには、1年間で数百万円規模の支援を行う制度もあり、スポーツ奨学金より支給額が大きくなるケースもあります。
とくに、スポーツ奨学金が授業料の一部しかカバーされない場合でも、国内奨学金と組み合わせることで、実質的にフルスカラシップ以上の支援を確保できる可能性があります。
中でも、スポーツ分野に特化した支援制度として、次のようなものがあります。
「プロ/アマチュア問わず、スポーツ競技で世界のトップを目指し、国内外の教育機関で研鑽を積む25歳未満の学生アスリートを対象とした返済不要の給付型奨学金です。合格後は2年間月額30万円の奨学金を受給することができ、その後も毎年行われる更新審査に合格すると27歳まで奨学金が支給されます。世界のトップを目指すために必要な研鑽にかかる費用や中学・高校からの海外留学支援を通じて、アスリートとして世界でずば抜けた活躍を志す人材を応援します。」
2023年の応募期間は10月2日〜12月3日でした。翌年も同じ期間で募集が行われる可能性があるので、海外大学にアスリートとして進学したい方は公式サイトを随時チェックすることをおすすめします。
(参考:https://www.recruit-foundation.org/scholarship/sports2024)


筆者のアメリカスポーツ留学体験談
筆者の場合は、高校2年生の冬に、行きたい大学何校かのヘッドコーチに自分のプレーのビデオをメールで送り、そこから連絡を取り始めました。
その後の春休みにはコーチとアポイントメントをとって実際にアメリカに行き、コーチ達と直接話してチームの施設を案内してもらう機会を得ることができました。
そして高校3年生の夏休みには、大学で高校生のために開いているアイスホッケーキャンプにも参加し、そこでもコーチに実際にプレーをみてもらう機会を得て、そこからチームに参加する話がより具体的に進むようになりました。
進学が決まるまでの間には、TOEFLやSATのテストのスコアが上がるように勉強して、スコアが上がった時はコーチにメールで報告するようにしていました。
進学先はアイビーリーグだったので、チームとのアスリート奨学金の交渉は一切行っていませんが、合格後、日本の民間団体の奨学金に申請し、4年間受給することができました。
筆者は比較的、コーチ達とコミュニケーションを取り始めた時期が遅いので、必ずしもこれが正解、という訳ではありません。
あくまでも、筆者のケースは一例であり、各アスリートの背景や事情によって様々な方法があります。ですが、日本から受験する場合はビデオを送ったりメールでコンタクトをとることは必要になってくる場合が多いと思うので、そういった面から準備していくことをおすすめします。

終わりに
本記事では、筆者の経験も交えて、主にNCAAのスポーツ奨学金(アスリート奨学金)の紹介と、アスリートが奨学金を得て大学に進学する方法について紹介しました。
アスリートとして奨学金をもらって入学するのに「絶対これ」といった唯一の方法というものはありません。
進学する大学によっても、自分の立ち位置によっても、どこから奨学金をもらえるか、どういったアプローチが一番良いのかは異なるからです。
だからこそ、多くの選択肢を知って準備しておくことが大切だと筆者は思います。
NCAAでプレーする学生アスリートの本来の目的は、奨学金をもらうことでなく高いレベルのチームでプレイすることです。
だからこそ、そのチャンスを掴んだ時に、アスリート奨学金のオファーがなくても大学に進学できるよう、様々な奨学金を視野に入れて準備をしておきましょう!
本記事がアスリートとしての大学進学を目指す皆さんにとって少しでも参考になれば嬉しいです。皆さんの挑戦を心から応援しています!


