



イギリスの大学に出願したいと思っても、「どこから始めればいいの?」「UCASって何?」と感じる人は多いでしょう。
実はイギリスでは、日本のように大学ごとに願書を出すのではなく、UCAS(ユーカス)という共通出願システムを通じて、最大5校までまとめて出願するのが一般的です。
直接出願を目指す人はもちろん、ファウンデーションコースを経由して進学する場合も、UCASを使って出願するのが基本。
この記事では、UCASを使ったイギリス大学出願の流れを、登録から結果通知までのステップごとにわかりやすく解説します。
目次
UCASとは?イギリス大学出願の基本を理解しよう
イギリス大学入試の特徴
イギリスの大学に行くには、日本のように全国共通の試験を受けるのではなく、出願書類をもとにした総合的な審査(書類選考型)が基本です。
- 高校での成績や予想スコア(Predicted Grades)
- 志望動機書(Personal Statement)
- 推薦状
- 英語スコア
などをもとに、各大学が独自に合否を判断します。
なお、日本の高校生がイギリスの大学に進学する方法には、直接出願・ファウンデーションコース経由・IYO(International Year One)経由など複数のルートがあります。
ルートによって求められる書類や英語レベルが異なるため、出願準備を始める前に、自分に合った進学方法を早めに決めておくようにしましょう。
UCASとは
UCASは、イギリス全土の大学やカレッジへの出願を一括で管理できるオンラインプラットフォームです。
日本のように大学ごとに個別の願書を出す必要はなく、最大5校までを同時に申請できます(医学・獣医学・歯学部は最大4校まで)。
登録から出願、結果確認までのすべての手続きが1つのアカウントで完結し、大学とのやりとりもUCAS上で行われます。
これにより、複数の大学への出願を効率的かつスムーズに進められるのが大きな特徴です。
UCAS出願に必要な書類

必要書類について詳しく見てみましょう。
成績証明書・予想スコア
多くの学生は、最終成績が出る前に予想成績(Predicted Grades)を使って出願し、最終結果が出た時点で入学可否が確定します。
この予想成績は、IB(国際バカロレア)やA-levelなどの最終試験に向けて、担任や科目担当の教師が過去の成績や授業態度をもとに作成したものです。
なお、ファウンデーションコース経由の場合は、高校の成績ではなく、ファウンデーション課程での成績や予想評価をもとに大学が審査します。
英文の志望動機書(Personal Statement)
Personal Statementは、自分がその分野をなぜ学びたいのかを英語で伝える重要書類です。
UCASでは、複数の大学に出願する場合でも1つのPersonal Statementを共通で提出するため、特定の大学名や教授名は避け、どの大学にも通用する一貫した内容にする必要があります。
2026年入学(2026 entry)からは、従来の自由記述形式に代わり、以下の3つの質問に答える形式に変更される予定です。
- 専攻分野を選んだ理由
- これまでの学習・経験がどのように役立ったか
- 学外活動や課外経験で学んだこと
この新形式により、学生の学問的関心や適性をより明確に示せる構成になるとされています。
文字数は全体で最大4,000 characters、おおよそ600語弱が上限(各質問は350文字以上で記述)です。
推薦状
推薦状は、学業面や人柄について、第三者の視点から学生を評価するための重要な書類です。
学校の先生が英語で作成し、UCAS経由で大学に直接提出します。
学生はUCAS上で推薦者の氏名とメールアドレスを登録するだけで、先生側に自動で案内メールが届きます。
日本の高校では英語の推薦状に慣れていない場合も多いため、早めに依頼し、必要であれば学校のカウンセラーや外部サポートにも確認してもらいましょう。
英語力証明(IELTSなど)
英語を母語としない学生は、授業を受けるのに十分な英語力を証明する必要があります。
多くの大学ではIELTS Academicのスコアを指定しており、一般的な目安は次の通りです。
- 学部課程:総合6.0以上(各セクション5.5以上)
- ファウンデーションコース:総合4.5以上
出願時にスコアが確定していない場合は、条件付きオファー(Conditional Offer)として、入学までにスコアを満たせば合格とみなされるケースもあります。



UCAS出願の手順とスケジュール|登録から結果通知までの流れ
UCASによる出願は毎年9月上旬に受付が始まり、通常は翌年1月15日頃が締切です。
時期 | 内容 |
---|---|
9月上旬 | UCASの出願システムがオープン(アカウント登録・願書入力開始) |
10月15日 | オックスフォード・ケンブリッジ・医学部・歯学部・獣医学部の出願締切 |
1月15日前後 | 一般出願の締切(ほとんどの大学が対象) |
2月〜4月 | 大学から合否・オファー通知が届く |
ここでは、実際の申請手順とスケジュールの流れを合わせて解説します。


Step 1:UCASに登録する
まずは、UCAS公式サイト(UCAS Apply)でアカウントを作成します。
メールアドレスとパスワードを設定し、氏名・住所・生年月日などの基本情報を登録します。
高校やファウンデーションなど学校経由で申し込む場合は、「buzzword(学校コード)」を入力して、学校と連携できるようにしておきましょう。
Step 2:志望校・学部を選ぶ
UCASの検索機能では、大学名・専攻・キーワードなどでコースを探すことができます。
興味のある分野を入力すると、関連コースの一覧が表示され、詳細ページで入学要件やIELTSスコアの目安を確認できます。
UCASでは一度に最大5校まで出願できます(医学・歯学・獣医学部は4校まで)。出願時には志望順位を付けず、すべての大学へ同時に申請します。
※ただし、オックスフォード大学とケンブリッジ大学(通称オックスブリッジ)には同時に出願することはできず、どちらか一方のみ選んで出願する必要があります。これは両大学が非常に競争率が高く、選考過程に独自の面接や試験が含まれるためです。
Step 3:オンライン願書(Application Form)を入力する
UCASのアプリケーションフォームでは、以下の項目を入力します。
- 個人情報・連絡先
- 教育歴・資格(高校やファウンデーションの成績)
- 志望コース・大学情報
- 職務経験(該当する場合)
- 志望動機書(Personal Statement)
フォームは毎年9月上旬にオープンし、同一年度の出願は1回のみ有効です。
記入内容は大学共通で共有されるため、誤字や不一致に注意しましょう。
Step 4:推薦状の登録と出願料の支払い
推薦状は、UCAS上で推薦者(Referee)を登録すると、先生に自動でメールが送信され、先生がUCAS上から直接アップロードする仕組みです。
自分で推薦状を送る必要はありません。
出願料は、出願する大学数に応じてオンラインで支払います。(例:1校なら約27ポンド、複数校なら約28.5ポンド)
Step 5:申請を送信して完了
内容をすべて確認したら、出願料を支払い、「Submit(送信)」をクリックします。
これでUCASから自動的に各大学へ出願情報が送られ、申請完了となります。
提出後は、UCASのシステム上で進行状況を確認できるようになります。
Step 6:結果を確認する
出願後は、UCASのマイページで各大学の審査状況や結果を確認できます。
合否の連絡はマイページに反映されるほか、大学から直接メールが届くこともあります。
審査期間は大学やコースによって異なりますが、出願後6〜12週間(約1.5〜3か月)程度かかるのが一般的です。
早いところでは出願から2〜4週間ほどで結果が届くこともあります。
結果通知:オファーの種類と合否の仕組み
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出願した大学からは、主に次の3種類の結果が届きます。
- 無条件オファー(Unconditional Offer):条件なしの合格(入学確定)
- 条件付きオファー(Conditional Offer):最終試験の結果など、指定条件を満たせば合格
- 不合格(Unsuccessful)
多くの学生が受け取るのは「条件付きオファー」です。
これは、出願時点ではIB、A-level、またはファウンデーションの最終結果が出ておらず、予想スコアで出願するためです。
この場合、合格通知には「IB最終スコア42点以上」や「ファウンデーションで70%以上」などの条件が提示されるのが一般的です。条件を満たさなかった場合は、入学が取り消されます。
すでに最終成績やスコアが出ている場合には、無条件オファーが届くこともあります。

合格後の対応:Firm・Insuranceの選び方
受け取ったオファーに対して、UCASを通じて返答をします。
届いたオファーの中から自分が行きたい大学を選び、UCASのマイページからそれぞれの大学に返答を入力します。
- Firm Acceptance(第一志望)
最も進学したい大学を選び、入学の意思を示す選択です。条件付きオファーであっても、最終試験の結果が条件を満たせば正式に入学が確定します。 - Insurance Acceptance(第二志望)
第一志望が条件を満たせなかった場合に備えて選ぶ“保険”のような選択です。第二志望は、Firmが不成立(条件未達)となった場合にのみ有効になります。 - Decline(辞退)
その他のオファーは辞退を選択します。
入学を希望する第一希望の大学から無条件オファーを受けた場合には、Insurance acceptanceを選択せずにすべてDeclineを選択し、入学意思を確定します。
Firm/Insuranceの選択は確定後14日以内であれば変更も可能です。それ以降の変更は大学との直接交渉が必要になります。
もしどの学校からもオファーをもらえなかったら:Extra制度とClearing制度
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出願したすべての大学からオファーをもらえなかった場合でも、まだチャンスはあります。
UCASにはExtraとClearingという追加出願制度が用意されています。
Extra制度(2月〜6月末)
2月末から6月末まで、まだ定員に空きがある大学・コースに追加で出願できます。通常出願でオファーを得られなかった学生向けの制度です。
Clearing制度(7月〜9月)
Clearingは、最終試験の結果発表後も入学先が決まっていない学生が利用できる救済制度です。
大学は条件付きオファーを出していた学生の合否結果を踏まえ、空席があれば再募集を行います。
UCAS上の「Add Clearing Choice」に希望大学を入力し、大学側が承認すれば入学が可能です。
人気大学でも空きが出ることがあり、早い者勝ちになるケースもあります。


合格後の手続きと入学準備
UCASで出願を終えて結果を受け取ったら、合格後の手続きを進めます。
時期 | 主な流れ |
---|---|
6〜7月 | 最終成績提出・正式合格確定 |
7〜8月 | CAS発行・学生ビザ申請・住居手配 |
8〜9月 | 渡航・大学入学 |
条件付きオファーの場合は、6〜7月頃にIBやA-levelなどの最終試験結果がUCAS経由で大学に自動送信されます。結果が提示条件を満たしていれば、正式合格となります。
合格が確定すると、進学先の大学からCASという入学許可証が発行されます。
このCAS番号は学生ビザ申請に必要な書類で、大学からのメールやポータルで確認できます。
続いて、学生ビザを申請します。
パスポート、CAS番号、資金証明、英語力証明(IELTSなど)を準備し、オンライン申請後にビザセンターで指紋登録を行います。
審査には数週間かかるため、渡航の1か月以上前には申請を始めるのが安心です。
ビザの申請と並行して、大学寮や滞在先を確保し、渡航準備を進めます。
多くの大学では、新学期が始まる9月中旬〜10月上旬に合わせて、入学確認やオリエンテーションが行われます。
まとめ
イギリスの大学出願は、日本のように大学ごとに願書を出す必要はなく、UCASという共通システムでまとめて手続きできるのが大きな特徴です。
出願方法や必要書類の仕組みを早めに理解して、焦らず準備を進めるようにしましょう。
そしてもし、イギリスの大学進学を本気で考えたいと思ったら——
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