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推薦状は何分で読まれる?

まずアドミッションの立場から考えてみてほしい。
学生募集のシーズンでは、選考委員会の人は、平均毎月何人分の選考書類を読まなければならないと思うだろうか?人気大学は、一人で一カ月に何千人の書類を読むらしい。
全員の書類に時間をかけて読むことは不可能のため、手元にあるある人の選考書類に、もっと時間をかけて読む必要があるかを判断するのは、最初の5,6分だけだ。
最初の5,6分間で、選考委員会の人は何を見るかというと:
- CVからこの学生の職歴/研究歴を見る
- 成績表をざっと目を通し、知識レベルを掴む
- 標準化テスト(TOEFL/IELTS、GMAT/GRE)を見て、英語力と学力のレベルを把握
- 2~3通の推薦状からこの学生の特徴をイメージする
つまり、最初の選考の中で、あなたの推薦状にかける時間は、約一分しかない。
このような状況で、あなたの推薦状は、価値があるものかどうか想像してみよう。例えば、専門用語が溢れる長いイントロがあったら、選考者の時間を無駄にするだけで、自分の申請にとっても不利だろう。
推薦状を提出する前、下記二点のルールと照り合わせて、一分間で自分の特徴・長所を表せるかどうか見直そう。
具体性
多くの推薦状の問題は、具体性に欠けること。
「この学生は根性ある」「この学生のコミュニケーション力が優れている」「この学生は高い問題解決力を持っている」等の褒め言葉だけでは、人の心を動かせない。具体的に、どういうエピソードがあったからこの学生のこういうところが素晴らしい、と説明しないといけない。
客観性と信頼性
選考委員会が推薦状を読む時、受験者だけでなく、推薦者への評価もしている。もし下手なエピソード書いたら、将来この推薦者が推薦する他の受験者への評価にも影響する。
例えば、受験者が長年働いていたり、マネージャーだったりするにも関わらず、推薦者が言及した受験者のパフォーマンス、又は参加したプロジェクトは明らかにジュニアレベルの仕事だとしたら?
この場合、選考委員会は受験者の能力を疑うだけでなく、この推薦者ないしこの会社/学校/組織の信頼性に対して疑問を生じるだろう。
受験者を褒めるテクニックはいろいろある。例えば、「私は〇〇年から十数通の推薦状を書いたことはあるが、今回のような強い推薦状を書くのは初めてだ。」もちろん、こういう評価を書く際は誠実さと客観性を持たなければならない。
推薦状によく出る質問

通常、推薦状ではどういう質問が聞かれるのか?
- How long and in what capacity have you known the applicant?
- What is your assessment of the applicant’s intellectual ability?
- What is your opinion of the applicant’s motivation towards and suitability for a career in the chosen field of study?
- What do you consider the most outstanding characteristics of the applicant?
- What are the major weaknesses of the applicant?
- Any additional statements you may wish to make concerning the applicant’s capacity for pursuing the program indicated above.
もちろん、それぞれの学校は推薦者に若干違う質問を聞くが、全体的には上記いくつかの質問を答えたら、推薦状は大体完了できるだろう。特に質問2,3,4を中心に答えていこう。
それでは、この考え方で推薦状のフォーマットやテンプレートを説明する。最も普遍的なフォーマットとなるが、推薦者はそれぞれのスタイルに合わせてアレンジすれば良い。
フォーマット(書き方)とテンプレート(例文)

冒頭
最もよく使われる冒頭の呼称は下記となる。
- Dear Admission officer,
- Dear Sir or Madam,
- To whom it may concern,
一段落目は、下記の言葉で始めるのが無難だろう。
- It is a pleasure to recommend ……
- I am very happy to have this opportunity to recommend ……
- At the request of xxx, my former student in the XXX University, I am pleased ……
- I’m very glad to learn that XXX is applying for your Master/Ph.D program…
- I deem it a great pleasure to recommend XXX, an outstanding student in XX and XX, for admission to your PH.D/Master of……
- As his XX, I deem it a great pleasure to recommend XXX, the very top student among XX students of his class, and an excellent young researcher leader in our group……
ここで、もし推薦者がある程度知名度があれば、或いは要職を務めていれば、簡単な自己紹介を入れて良い。選考委員会の目を引くことができる。
次は、受験者との関係を述べ、受験者のパフォーマンスについて総評する。
本文
本文は特に決まったフォーマットはない。二段落でも三段落でも構わないが、あまり多くの段落に分けないほうが良いだろう。
本文は主に、なんであなたがこの専攻/研究科/ビジネススクールに適格する、どのような強みを持っていることを説明する。具体的なエピソードを書いたり、他の同年代の人や同じ職位の社員と比較したりして、あなたの優秀さを説明しよう。
どんな強みを強調すればいいのか?
それは志望の専攻や志望のビジネススクールの特徴にもよるし、受験者のこれからのキャリア目標にもよる。良く使われているのは、専門知識(データ分析能力や、特定の専門科目に対する独特なインサイト等)、学力、イノベーション力、問題解決力、コミュニケーション力、チームプレー、リーダーシップ、自己啓発や向上心等。
また、推薦状の中に、若干、申請者の改善点を指摘しても良い。もちろん、この改善点(短所)は致命的なものを挙げてはいけない。しかも、申請者が改善のために努力していることも併せて言及しよう。
まとめ
最後に申請者を強く推薦すること、受験者がこれからの学業を遂行できる等、前向きなコメントを入れよう。
例文:
- Therefore, I highly recommend (name) without any reservation for admission to your graduate program. Your kind/serious consideration of his/her application would be most appreciated.
- I am thus pleased to give my full support and recommendation to (name)’s application for admission to your school. If any further information is required, please feel free to contact me.
- I am pleased to provide XX with my highest recommendation. He will be an asset to the Law School at XX as he has been for us. I would be delighted if I could work with XX again in the future.
- I have worked with many students over the course of my career, and I find XX to be really special. He possesses a rare combination of analytical rigor, gracefully incisive writing skills, and original scholarly ideas. I look forward to witnessing the impact she will have in the years ahead.
終わりのあいさつのところはYours,或いはBest wishes,或いはSincerelyで大丈夫。それと、下記の情報を含めよう。
- 推薦者のフルネーム
- 推薦者の肩書(Title)
- 推薦者の勤務先、
- 勤務先の連絡先(電話・メールアドレス)
推薦状サンプル
掲示板に推薦状のサンプルを数十選乗せているため、興味のある人はここからダウンロードしよう。
全ての推薦状はここで説明した書き方に沿っているわけではなく、また、受験者の状況によって参考になるサンプルは異なってくるため、吟味しながら使ってみよう。
注意事項

- できる限り、推薦者にご自身の仕事用のメールアドレスからアップロードして提出してもらうように。
- もし、推薦者からあなた自分で書いて提出してほしい、と言われたら、必ず違うメールアドレス、違うパソコン、違うIPアドレスから推薦状を出そう。
- 自分で推薦状を書く場合、言葉遣い、文章のスタイル、フォーマット等を変えよう。最後に推薦者の勤務先等の情報の正確性を必ず確かめよう。
- もし、志望校から推薦者のメールアドレスに学生評価アンケートを送ることがあれば、推薦者にメールの確認を依頼しよう。スパムメールやゴミ箱に入る可能性がある。
- 文字数について特に指示されていなければ、推薦状全体の長さは4~6段落で、A4一ページにおさめよう。
- 推薦状の内容の類似性を避けよう。推薦状Aの中で〇〇の強みを表したら、推薦状Bの中で△△の強みを表そう。

