


アメリカの大学を受験するのであれば、SATスコアが必要な場合があります。
もちろんテスト・オプショナルの学校(SATの提出が任意の学校)が増えているとはいえ、SATで高得点を取ることができれば基礎学力のアピールにもつながります。
今回はSATの2科目のうちの1つ、Mathセクションの概要と勉強法について、実際にアメリカ大学受験・SAT受験を経験した筆者の立場から詳しく解説していきます。
日本の高校から海外に2年間留学し、アメリカの大学受験を経験。IELTS Academic 8.0、SAT 1480点。2022年秋より、全米トップ5のリベラルアーツカレッジに進学。
- 💡 結論:日本人は「Math満点(800点)」が絶対の得点源!
- 数学の知識レベルは日本の中学〜高1程度。英語セクション(R&W)での失点をカバーするため、Mathで限りなく満点に近い点数を稼ぐのがトップ校合格の鉄則です。
- 🔄 新形式の超重要ルール(計算機が全問使用可):
- Digital SATでは、全問で計算機が使えます。特にアプリ内蔵のグラフ計算機「Desmos」を使いこなせれば、複雑な計算も一瞬で解く裏ワザになります。
- ⚠️ 最大の敵は「ケアレスミス」と「英語の罠」:
- 「more than」や「at least」といった数学特有の英単語の読み間違いや、単位の引っかけ(分→時間)で失点しないよう、用語の暗記と間違い分析の徹底が必要です。
- ⏱️ 4択の特性と「捨てる勇気」を活かす:
- まともに解かず選択肢を「代入」して時間を節約。分からない問題はフラグ(目印)を立てて飛ばし、簡単な問題の見直しに時間を残すのが満点を死守するコツです。
詳しくは記事本編で徹底解説!👇
目次
※Mathだけでなく、SAT全体の試験概要や、デジタルSATの最新の申し込み手順について知りたい方は、まず【完全ガイド】ゼロから始めるDigital SAT対策まとめをご覧ください。
新SAT(Digital SAT)Mathの概要


SATのMath(数学)セクションは、これまでの紙のテスト時代は「計算機なし(No Calculator)」と「計算機あり(Calculator)」という2つのパートに分かれていました。
しかし、現在のDigital SATでは、Mathセクションの全問(最初から最後まで)で計算機の使用が許可されるようになりました。
また、試験はパソコンやタブレットにダウンロードした「Bluebook」という専用アプリを使って行われます。
- 全問で計算機が使える: 持ち込みの関数電卓はもちろん、テストアプリ画面内に組み込まれた強力なグラフ電卓(Desmos)をいつでも呼び出して使うことができます。
- 問題文の短縮化: 英語の長くて複雑な文章題(Word Problems)が減り、よりシンプルに「純粋な数学的思考力」を問う問題が増えました。
試験時間と問題数(モジュール方式)
Digital SATのMathセクションは、合計44問の設問を70分で解く形式になっています。
1問あたり平均して約1分35秒の時間がかけられる計算になります。
試験は、以下のように2つの「モジュール(ブロック)」に分かれています。
- モジュール1: 22問(35分)
- モジュール2: 22問(35分)
問題の出題形式は、その大半(約75%)が「4択の選択問題」ですが、残りの約25%は「自分で計算した数字をキーボードで直接入力する形式(Student-Produced Responses)」となっています。
モジュール①の正答率でモジュール②が変わる(適応型テスト)
Digital SATの最大の特徴は、「適応型(Adaptive)」というシステムが導入されていることです。
これは、前半の「モジュール1」での正答率によって、後半の「モジュール2」で出題される問題の難易度が自動的に変わるという仕組みです。
日本人が目標とする「Mathで800点満点(または750点以上の高得点)」を狙うためには、モジュール1でほぼ全問正解し、アプリに「この受験生は優秀だ」と判断させて、難易度の高いモジュール2へと進む(Hardルートに入る)必要があります。
もしモジュール1でミスを連発して「簡単なモジュール2」に振り分けられてしまうと、その後のモジュール2で全問正解したとしても、スコアの上限にロックがかかり(例えば600点台までしか出ないなど)、高得点を取ることができなくなってしまいます。
だからこそ、Mathセクションでは「簡単な問題だから」と油断せず、モジュール1からケアレスミスを絶対に防ぐ慎重さが求められます。
問題の種類と例
College Board(SATの運営団体)によれば、SAT Mathの問題範囲は大きく分けて以下の3種類(+幾何などの追加分野)に分類されています。
- Heart of Algebra (代数の基本)
- Passport to Advanced Math (高度な数学へのパスポート)
- Problem solving and Data analysis (データ分析)
問題文こそすべて英語で書かれていますが、問われている数学の内容自体は日本のカリキュラムと比べると非常にシンプルです。
実際の問題例とともに見ていきましょう。
Heart of Algebraに含まれるトピック
簡単な方程式・不等式・関数・グラフなどが含まれます。内容としてはどれも中学レベルで、高校数学レベルのものは基本的には問われません。
問題例:

Passport to Advanced Mathに含まれるトピック
二次以上の方程式・連立方程式などが含まれます。簡単な高校数学レベルです。
問題例:

Problem solving and Data analysisに含まれるトピック
データ(グラフ・図表)の分析などが含まれます。
日本の数学ではあまりフォーカスの当てられない分野ですが、確率・統計の基礎知識があれば問題ありません。
問題例:

長い文章ですが、非常に簡単な確率の問題です。74/607を計算機で計算し、A)の答えを得ます。
その他のトピック
簡単な三角関数・幾何(図形の面積・角度)などが含まれます。三角関数については角度が90度までの非常に簡単なものが問われます。
問題例(三角関数):

問題例(幾何):



Mathで求められる知識(数学英語と応用力)

日本の数学をやってきたのであれば、数学の知識には問題が全くないという方がほとんどだと思います。
Mathで満点近い点数を狙っていくためには、数学の問題で頻繁に使われる英語表現を覚えていく必要があります。
絶対に覚えるべき数学の基本的な英単語
方程式やグラフの問題を解くために、最低限以下の英単語は「見た瞬間に意味がわかる」レベルで頭に叩き込んでおきましょう。
【基本的な語彙】
| 英語 | 意味 |
| value | 値 |
| constant | 定数 |
| equation | 方程式 |
| function | 関数 |
| polynomial(s) | 多項式 |
| formula | 公式・式 |
【グラフに関する語彙】
| 英語 | 意味 |
| xy-plane | XY平面 |
| origin | 原点 |
| x-axis | X軸 |
| y-axis | Y軸 |
| x-intercept | X切片 |
| y-intercept | Y切片 |
| parallel | 平行 |
| vertical | 垂直 |
| slope | 傾き |
【統計・確率・データに関する語彙】
| 英語 | 意味 |
| mean | 平均値 |
| median | 中央値 |
| mode | 最頻値 |
| venn diagram | ベン図 |
こういった数学英語に関しては、実際の問題を解いていく中で覚えるのが一番です。
公式で公開されているSAT Math の練習問題(詳しくは後述)をたくさん解き回しましょう。
また、もし問題文が全く理解できないのであれば、練習問題を解いてもあまり身につかないでしょう。
その場合は問題文が理解できる程度までに、数学関連の語彙を事前にインプットするのがおすすめ。
こういった図解付きのサイトがおすすめです。
実社会における「数学の応用」への慣れ

問われている数学知識は、繰り返すようですが非常に単純なものです。
常識で解けるような問題も多いので、数学の範囲について心配する必要はありません。
SAT Mathで重要なのは、数学関連の英語の語彙を増やし、とにかく問題文の意味を理解することに尽きます。
ただし注意点として、SAT Math や、アメリカの数学全般の特徴として、実社会における数学の応用を重視しているという点があります。
SAT Math でも、単なる方程式やグラフだけでなく、実際の生活の中での数学の応用に関する問題が多く問われます。
例えば、こちらの問題では経済学における需要・供給の関係を、数式で表そうとしています。

数学のレベル自体は低いのですが、経済学に関するある程度の基礎知識(supplyとは何か、demandとは何か、など)がないと、問題文を理解するのが難しいかもしれません。
こちらの問題でも、数学を金融関係の計算(利子の計算)に応用しています。前提知識なしでは戸惑う可能性があります。

こういった少し特殊な問題に混乱せずに対処するためには、実社会での数学の応用や関連する専門語彙に慣れておく必要があります。
SATの他のセクションの対策も兼ねて、関連するような英文サイトを日頃から読むようにし、他分野に跨るような問題文を理解できるようにしておきましょう(読み物としても面白いです)。
>> Four Economic Concepts Consumers Need to Know
>> Financial Math Basics You Need to Know
Mathで高得点・満点を取るための4つのコツ
コツ1:計算機(関数電卓とDesmos)の使い方をマスターする
SATで日本人が躓きがちなのが、普段の数学の授業ではあまり使う機会のない「計算機」の扱いです。
Digital SATに持ち込むことのできる物理的な計算機(関数電卓)は細かくルールで定められており、こちらから公式ポリシーを確認できます。
どの計算機を購入すればいい?
持ち込み電卓を使うなら、CAS機能のない、使い慣れたモデルを選ぶのが大前提です。
TI-84系はよく使われますが、College Boardが特定機種を推奨しているわけではありません。
Bluebook内蔵のDesmosでも十分対応できます
アプリ内蔵の計算機「Desmos」に慣れる
物理的な電卓だけでなく、Digital SATのテストアプリには強力なグラフ計算機「Desmos」が内蔵されています。
計算機に慣れるために、手計算で解けそうな問題でも日頃のドリル演習から積極的にDesmosや関数電卓を使うのがおすすめ。
「手計算でもできる」と変なプライドを張ってしまうと、本番での思わぬタイムロスに繋がります。

コツ2:問題文を最後まで読む(単位の引っかけに注意)
日本語での数学の問題と同様、ケアレスミスを誘うような出題もよくされます。例えば下の問題では、単位が「hours」であることに注意が必要です。

数式の中では「分(minutes)」で話が進んでいるのに、最後の質問は「合計何時間(hours)か」と単位が変わっています。
問題文が英語である分さらに見落としをしやすいので、問題文は最後まで「結局、何を、どの単位で聞かれているのか」を意識しながら読むようにしましょう。
高得点を狙うのはもちろん、満点を狙うのであればこういったミスがあってはなりません。
コツ3:4択の特性を活かす(代入と消去法)
Mathセクションの約75%は「4択問題」です。これを逆手に取った戦略も非常に有効です。
方程式をイチから真面目に解こうとするのではなく、すでに出ている4つの選択肢の数字を式の「$x$」に代入してみるだけで、一瞬で正解が導き出せることも多々あります。
どうしても解き方が分からない場合は、明らかに間違っている選択肢を消していく「消去法」を使いましょう。
SATでは、間違った答えを選んでも減点されることはありません。そのため、分からない場合でも「絶対に空欄のまま放置せず、どれか1つをマークしておく」ことが鉄則です。
コツ4:自分なりの「時間配分ルール」を作る
試験本番は、1問にウンウンと迷っている暇はありません。本番中にパニックにならないために、「1分考えて解き方の見当がつかなければすぐに飛ばす」といった自分なりのルールを事前に決めておきましょう。
時間配分で重要なのは以下の3点です。
- 速く正確に解く
- 分からなそうな問題はすぐに飛ばす(問題文が長文のもの含む)
- 見直しは最低2周する
まず、大前提としてどのモジュールでも「速く正確に解く」ことが一番大切です。見直しを2周以上できる時間的余裕を残した上で、全ての問題を確実に解きましょう。
日本人の数学能力でSATの問題が解けないことはまずありません。とにかく怖いのはケアレスミスですので、見直しは丁寧に何度でもしましょう。
そこで活用したいのが、Digital SATのテストアプリにある「フラグ(印)」機能です。
難しそうな問題や、計算が合わない問題にぶつかったら、とりあえず直感でどれか選択肢を選び、フラグを立ててすぐに次の問題へ進んでください。
後から見直す時間を確保するのが、スコアを最大化する賢い立ち回りです。


SAT Mathの最強勉強法
SAT Mathは、日本の数学教育を受けてきた人であれば、比較的簡単に高得点が狙えます。
しっかりと自分の弱点に向き合って対策すれば、満点(800点)も決して夢ではありません。
ここからは、確実にスコアを最大化するための4つの具体的なステップを紹介します。

① 間違い直しの徹底と「弱点分野」の特定
練習問題を解いた後に最も重要なのが、丸つけの後の「間違い直し」です。ここをサボるか徹底するかで、スコアの伸び率は劇的に変わります。
数学には必ず一つの明確な答えがあり、間違えたということは「そこに必ず原因がある」ということです。
「なぜこの問題を間違えたのか?」を徹底的に深掘りしましょう。
単語の意味を知らなかったのか、公式を忘れていたのか、それとも単なる計算ミスなのか。間違えた原因を言葉にしてノートに書き出しておくのが賢明です。
さらに、問題をこなしていくと「代数は得意だけど、データ分析(Problem solving and Data analysis)の表の読み取りでよく間違えるな…」といった自分の苦手分野(弱点)が見えてきます。
ある程度問題に慣れてきたら、闇雲に新しい問題を解き続けるのではなく、この「よく間違える弱点分野」を重点的に潰していく方が圧倒的に効率よくスコアが上がります。
② 公式アプリ「Bluebook」のPractice Testを活用
SAT対策において絶対に外せないのが、College Board(運営団体)が無料で提供している公式模擬試験(Practice Test)です。
Digital SATに移行した現在、紙のPDFをダウンロードするのではなく、本番と同じテスト用アプリ「Bluebook」をパソコンやタブレットにダウンロードして受験します。
アプリ内には本番と全く同じインターフェースの模試が複数回分収録されています。
「画面上で数学の問題を読み、Desmos(内蔵計算機)を使いこなし、70分間で解き切る」という本番特有の環境とペース配分に慣れるため、必ずこのアプリを使って本番形式の演習を行ってください。
また、模試の回数は限られているため、1回解いたらすぐに次の回へ進むのではなく、「間違えた問題を完璧に理解し、同じ回でもう一度満点が取れるようになるまで繰り返す」という使い方が最も効果的です。
③ 目的に合った市販の参考書の選び方
公式のPractice Testだけでは問題数が足りない、あるいは特定の分野を徹底的にドリル演習したい場合は、アメリカの出版社が出しているSAT Math特化の参考書を活用しましょう。
有名な3つの参考書にはそれぞれ以下のような特徴と難易度の違いがあるため、自分の現在のレベルに合わせて選ぶのが無難です。
- Kaplan(カプラン):
比較的難易度が易しく、基礎からしっかり固めたい初心者〜中級者向けです。 - Barron’s(バロンズ):
本番のSATよりも問題が若干難しく作られています。800点満点を確実にもぎ取りたい上級者のトレーニングに最適です。 - The Princeton Review(プリンストンレビュー):
本番の問題の難易度にかなり近い(リアルな)作りになっていると非常に評判が高い一冊です。
④ Khan Academyでの反復練習
公式模試の前のウォーミングアップや、①で見つけた「弱点分野」をピンポイントで補強するのに最適なのが、無料で使える「Khan Academy(カーンアカデミー)」のDigital SAT向けコースです。

このように、数学の細かい分野(「Solving linear equations」など)ごとに練習問題が豊富に用意されており、本番レベルの問題を何度でも解くことができます。

間違えた問題には丁寧な解説もついているため、通学中のスキマ時間や日々のドリル演習としてフル活用しましょう。
まとめ:SAT Mathは貴重な得点源!
今回見てきたように、SATのMathセクションは日本の数学教育を受けてきた高校生にとっては非常にアドバンテージが大きい科目です。
少なくとも8〜9割は安定して取っておきたいところです。数学特有の英単語を覚え、計算機(Desmosと関数電卓)の操作スピードを上げ、何より「ケアレスミスをなくすこと」を徹底すれば、満点(800点)は現実的に狙えます。
SATは英語(Reading and Writing)セクションのスコアを急激に伸ばすのが難しい分、Mathで確実に点数を稼ぐことがアメリカ大学合格への王道ルートです。
「一問も絶対に落とさない」という心意気で、万全の準備をして本番に臨んでください!

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わかりやすい記事ありがとうございます!
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