私は大学3年時にオーストラリアのウーロンゴンという街に一年間留学に行きました。
人生初めての海外長期滞在でしたので非常に刺激的であり、振り返ると自身の人生観を変える貴重な体験だった思います。
留学のみならず、オーストラリアはワーキングホリデーも受け入れも積極的に行っていますので、若いうちにオーストラリアを体験する事ができます。
そこで今回は私の経験をもとにオーストラリア留学とワーキングホリデーの特徴やメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
この記事の著者:SIM(シム)
過去に二度の長期留学(オーストラリア・イギリス)をしました。留学前にTOEIC 900、IELTS 7.0取得。趣味は旅で去年はヨーロッパ周遊をし、今年はアジアを中心に回るのが目標です。
オーストラリア留学・ワーホリの概要と特徴

オーストラリア留学の種類
オーストラリアは南半球に位置するオセアニアに分類される国で、季節は日本と真逆になります。
アジアに近い位置にありながら英語を母国語とする珍しい国で、大自然と都市が共存する景観も相まって留学先として絶大な人気を博しています。
オーストラリアは一つの大陸がまるごと国であるため、広大な自然やそこでしか見る事ができない動植物がたくさんあり、ヨーロッパにはない体験ができる事が最大の特徴です。
広々としたキャンパスで勉強をし、週末にビーチで観光気分といった贅沢な留学ができます。
オーストラリア留学はいくつか方法はありますが、以下の3つが代表的な留学方法です。
- 正規留学
- 語学留学
- 交換留学
正規留学
正規留学とは、現地の大学、大学院に直接入学する方法です。基本的にビザの分類は「international student」となりますが、籍を現地の大学におくことになります。
教育機関や自身のバックグラウンドによっても異なりますが、学士は通常3年半〜4年、修士は1年半〜2年で修了する事ができます。
こちらの留学は語学習得が目的ではありませんので、英語ができる事が前提となりますが、オーストラリアの多くの教育機関で語学準備コースが設けられていますので、留学時点で語学力が足りない場合でもこちらを事前に受講すれば合格となる場合があります。
この準備コースはおよそ3ヶ月や6ヶ月、12ヶ月などさまざまで、自身の英語力やキャリアプランによって選ぶ事が可能です。

» オーストラリアMBA留学の全て。費用や難易度、メリットを徹底解説
語学留学
語学留学とはその名の通り語学を目的とした留学のことで、現地で英語を学びにいきます。事前にクラス分けのテストを受け、その結果に応じて割り振られた少人数のクラスの中で授業を受けます。
授業内容は基礎的な文法から、実践的なプレゼンテーションまで幅広く、日本にはない環境で英語だけに集中する事ができます。
定期的にクラス替えテストがあり、英語力が向上すればより難易度の高いクラスを受講する事ができます。
期間は個人のプランによってまちまちですが、一般的に短期留学と呼ばれるものは1~3ヶ月、長期留学と呼ばれるのは6~12ヶ月ほどです。
語学自体を目的としていますので、留学のハードルが低く誰でも挑戦できる事が特徴です。
交換留学
交換留学とは、日本の大学に在籍しながら協定を結ぶオーストラリアの大学に約1年間留学することを指します。
この場合、日本に籍がありますので、学費は日本の大学に払うことや、大学のサポートが手厚いなどの特徴が挙げられます。
こちらの留学は語学を目的としておらず現地の大学生と同じ授業を受けることになりますので、事前に一定以上の英語力が必要となります。
日本の大学での成績も一定数以上必要になりますので、語学留学に比べると難易度は上がりますが、日本では学べないものを学ぶという意味ではより留学の本質ともいえます。
また、オーストラリアで取得した単位を帰国後に交換できることも特徴の一つです。大学によっては半年間語学留学、もう半年間は交換留学といった制度を設けている場合もあります。

» やらなきゃ損!?交換留学のメリット・デメリット【大学生必見】
ワーキングホリデーとは

ワーキングホリデーとは2国間の上程に基づいて18歳から30歳までの人が現地で働きながら文化交流をする特別な制度です。日本で初めてこの制度が導入されたのはまさにオーストラリアでした。
日本はオーストラリアとの関係が良好なため、オーストラリアの場合は最長で三年間働く事ができ、VISAの取得も非常に簡単です。
また、VISA上ではワーキングホリデーは休暇が目的とされますが、語学学校にも通う事ができます。「旅」「勉強」「労働」「生活」といった海外生活を総合的に体験できる制度ですので非常に人気があります。
仕事は自身で見つけることになりますが、代表的な仕事として以下が挙げられます。
英語初級者
- フルーツピッキング
- 日本食レストラン
- マッサージ店
英語中級者
- 現地のカフェやレストラン
- お土産屋
上級者
- オフィスワーク
自身の英語力やキャリアに応じて現地での仕事の幅も変わってきます。英語がまだ拙い人はあまり英語が必要とされていない農業などに就く傾向にあります。
一方で英語が得意な人は有給インターンシップのような感覚で仕事を探すこともできます。
必要費用
次に留学やワーキングホリデーにかかる費用を見ていきます。オーストラリアへの留学、ワーキングホリデーはおおよそ以下の費用が必要です。
短期留学:計35~50万円/1ヶ月
- 準備費用(渡航費・保険など)・・・20万円
- 学費・・・10~20万
- 生活費(家賃・食費など)・・・5~10万
長期留学:計230万円〜280万円/1年
- 準備費用(VISA・渡航費・保険など)・・・30万円
- 学費(私立大学)・・・100万〜150万
- 生活費(家賃・食費など)・・・100万
ワーキングホリデー:計100万円
- 準備費用(VISA・渡航費・保険など)・・・30万円
- 残高証明・・・36万円
- 当面の滞在費・・・40万円
ワーキングホリデーは就労が認められていますが、渡航までの準備・航空券・VISA・当面の生活費などが初期費用としてかかります。
また始める前に残高証明(およそ5,000ドル)も必要となりますので、できれば事前に100万円ほど準備しておくと良いでしょう。
オーストラリア留学・ワーホリのメリット

次にオーストラリア留学・ワーキングホリデーのメリットを挙げていきたいと思います。
多様性あふれる環境
オーストラリアは南半球の大陸にありますが、言語や文化的にはヨーロッパに近いということもあり、どの国から見ても非常に魅力的に見えます。
世界各国からの移民や留学生が来ており、多種多様な民族、文化、言語、宗教などが共存しています。
一つの場所で多様性を感じられるのがオーストラリアの最大の魅力ですので、異文化コミュニケーションに興味がある人にとっては絶好の場と言えるでしょう。
また、大学には多くの留学生がいるのでオーストラリア英語のみならず、アジア系の英語や中東系の英語など幅広く接する機会が多く、リスニング力が向上しやすいです。
多様性を受け入れてくれるお国柄のため、留学生を暖かく受け入れてくれる雰囲気があり、初めて留学をする人、英語をうまく話せない人にとってメンタル的負担が軽くなります。
地理的にはアジアに近いということもあり、町中でアジア人を見る機会が多く、中国系のスーパーなどもいくつかあります。
もちろん、日本人も多く住んでいますので、困ったときには助けを求められるなど、非常に安心です。
大自然のなかにある

他の英語圏にあってオーストラリアにしかないもの。それは大自然です。有名なところではグレートバリアリーフやエアーズロックなどが挙げられます。
海から陸まで数多く自然世界遺産がありますので、旅行のみならず普段生活する中でも日本とはスケールの異なる大自然を体験する事があります。
多くのオーストラリアの都市は海岸に面していますので、週末は海水浴・シュノーケリングやサーフィンを楽しむ事ができます。
また、オーストラリアの各地にボタニックガーデンがあり、オーストラリアでしか見ることのできない植物を見る事ができます。
コアラは動物園に、カンガルーにいたってはキャンパス内にもいますので人と自然が共存していることを身近に感じる事ができます。
おおらかな人が多い

オーストラリア人は非常に大陸というお国柄か、非常におおらかな人が多いです。
街中ですれ違いざまに知らない人同士で挨拶をしたり、自分たちの会話の中に知らない人が突然入ってくることも多々ありました。
オーストラリア人国民のアイデンディディの一つに「Mateship」とよばれるものがあり、簡単にいうと国民は皆常に平等で助け合う仲だといった感覚です。
ですので、見えるもの・聞こえるものは全て共有するものといった感覚があります。
また、時間にルーズな人も多いので注意が必要ですが、反対に遅刻をしても咎められることはありません。こういったおおらかな人が溢れる中で助けられたことも多く、オーストラリアの一つのメリットと言えます。
治安が比較的良い
オーストラリアは先進国ですので、比較的安全な国ではあります。日中であればそこまで危険を感じることがないのは大きなメリットの一つと言えます。
とは言え、日本のように治安が良いとは言えませんので、特に夜間の外出や一人での行動はできるだけ避けるべきでしょう。
私も体験談として卵を投げつけられたり、アジア人であるがゆえに差別的言葉を知らない人からかけられたこともありました。
また、夜中に車数十台分の窓ガラスが割られたりと日本では起きえない事がありましたが、日頃から海外にいるという自覚のもと行動すれば問題ないレベルではあります。
観光スポットが多い
大陸丸ごとが一つの国であるオーストラリアはその広大な土地から観光スポットが多いです。
オーストラリアの都市は有名なところではシドニー、メルボルン、ケアンズ、パース、アデレードやタスマニア島などが挙げられ、一年を通して観光客が絶える事がありません。
土地が大きすぎるので飛行機での移動が主となりますが、国内旅行でも十分に楽しめる事ができます。
アルバイトがしやすく時給も高い

オーストラリア以外の国では就労をする際に学生VISAのほかに就労VISAを取得する必要がありますが、オーストラリアでは学生VISAに就労許可がついているため留学生でもアルバイトをする事ができます。
「2週間で40時間まで」という制限はつきますが、学生はフルで働くことはできないと思いますので十分です。
また、オーストラリアは最低賃金が世界的にも高いことで知られています。
現在の最低賃金は19.84ドル(およそ1,500円/2020年12月現在)ですので、いかに時給が高いかがわかります。
また、家族との時間を大切にする国民性でもありますので、休日の労働は時給が倍になる場合もあります。実際に私の友人も休日に2時間皿洗いをするだけで6,000円ほど稼いでいました。
教育の質が高い

オーストラリアは高等教育の教育水準が高いことでも知られています。
大学の数こそ少ないものの、世界大学ランキングで数多くの大学が毎年ランクインしています。どの大学に留学しても良い教育を受けられるため、大学選びが非常に楽になるのはメリットの一つです。
ちなみに、海外の大学は日本と異なり偏差値という概念がありません。比較は合格率で行うことができます。
また、授業の形式も日本と異なっており、1科目がレクチャーとよばれる聴講型の授業と、チュートリアルと呼ばれるディスカッション形式の授業に分かれています。
一方的に話を聞いて終わるだけでなく、それについてクラスメートと話し合うことで総合的なスキルを身につける事ができます。
日本人の多くはディスカッションを苦手としていますが、英語でのディスカッションを体験するだけでも非常に貴重な体験となりますし、その後の自身にもつながります。
ワーホリの受け入れに制限がない
多くの国でワーキングホリデーのVISAの発給制限があります。つまり、ワーキングホリデーに挑戦したい人が多いため、それを理由に受け入れを拒否される事があります。
オーストラリアでは定員数に制限がありませんので、一定の水準を満たしていれば誰でもワーキングホリデーに挑戦する事ができます。
オーストラリア留学・ワーホリのデメリット

次にオーストラリア留学・ワーホリのデメリットについて上げていきたいと思います。
オージーアクセントが強すぎる人もいる
オーストラリア留学を考えてる人にとっての一つの懸念はそのアクセントにあると思います。
オーストラリア英語はイギリス英語に近いという人もいますが、オーストラリア独自の英語を話すと考えてもらって良いと思います。
発音の違いや表現が独特でありますが、都市に近ければ近いほどスタンダードで聞き取りやすい英語を話します。
また、思いやりがある人であればわかりやすい英語を話してくれますので、特に心配はありません。
しかし一部の人、特に地方出身の人はかなり癖の強い英語を話しますので慣れるまで大変です。もし都市から離れた田舎に住むという人はある程度覚悟が必要になります。
オーストラリア英語を身につけてしまったら帰国後に使えないのではないかと心配する人もいますが、数年の滞在ではそこまでアクセントはうつりません。
過敏にならず独特の英語すら楽しむような気持ちで向かって行けば良いと思います。
とにかく紫外線が強い
オーストラリア最大の問題は紫外線にあります。日本の紫外線より数倍強く、実際に体験するとその強さがわかります。
私も留学初日に日焼け止めを買おうとスーパーに向かったのですが、その道中のたった数分で耳の皮がむけてしまいました。
オーストラリアでは一般的な車やバスにも紫外線防止のガラスが使用されており、未就学児のような小さな子供でもサングラスをつけています。
直接死活問題になるようなことではありませんが、毎日肌に負担がかかりますので、長期的にみた際に肌トラブルやひどい時には皮膚癌の原因になりえます。
ご飯が美味しくない
率直にオーストラリアのご飯は美味しくありません。味の種類が少なく、手の込んだ料理が少ないため、非常に飽きてしまいます。
寮に滞在、ホームステイをする場合は食事がついてくることが多いですが、あまり期待はできません。
オーストラリアといえばバーベキューが有名ですが、ベーコン、ソーセージ、目玉焼きの3種類しかありません。
たしかに味自体に問題はありませんが、料理の種類も味のバリエーションも少ないので飽きが来てしまいます。どうしても食事にこだわりがある方は自炊することをお勧めします。
常に水不足
オーストラリアは雨が少ないため、1年を通して常に水不足です。
日本にいても水は大切にする精神がありますので、そこまで神経質になる必要はありませんが、お風呂に浸かることができないのは日本人にとって小さなデメリットとなります。
オーストラリアの美しい自然を守るためにも長い間シャワーに入ったり、水を出しっ放しにしながら歯を磨くなどもやめましょう。
どの地域も日本人コミュニティがある
こちらはメリットの裏返しとなりますが、オーストラリアは先述したように移民・留学生大国で都市には世界中から人が集まっているため、もちろん日本人も多く含まれます。
留学のよくある失敗談として、日本人のコミュニティの中に居すぎて現地に馴染めなかった事が挙げられます。
特に短期留学の場合は現地の文化に馴染む前に帰国しますが、その短い期間に日本人とだけ話し、語学が全く身につかず帰国してしまうこともよく耳にする話です。
もし留学の意義を最大限にしたいのならばこのようなコミュニティから距離を置く事が必要です。
スキルにならない仕事をしてしまう
ワーキングホリデーの失敗談で多いのがスキルにならない仕事をしてしまう事が挙げられます。ワーキングホリデーに参加したい人の中には、仕事はなんでもいいので海外に行きたいという人がいます。
しかし、実際に何をするかも非常に重要視するべき点で、例えば日本人スタッフと一緒に日本人観光客を相手に仕事をする、あるいは誰もいないところでひたすらリンゴを積む作業なども含まれてしまい、ただ場所が変わっただけということもあり得ます。
もし選択肢の幅を広げたいのであれば現地での英語力向上のみを期待するのではなく、あらかじめできるところまで英語を勉強しておきましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
広大な大自然の中で優雅に散歩・勉強などを思い描いている人も多いのではないでしょうか。それらの夢はオーストラリアで叶える事ができます。
私も実際に行ってみて理想に描いていたような生活をする事ができました。この記事がオーストラリアへの留学・ワーキングホリデーを考えている方の後押しとなれば幸いです。
ありがとうございました。




