TOEFLとは、「読む」「聞く」「話す」「書く」という総合的な英語技能を試す試験であり、海外留学や大学でのクラス分けのために使われる。
また、TOEFLにはiBTやPBTなどの種類があり、その違いについて曖昧な方も多いかと思われる。
ここでは、TOEFLの種類やそれぞれの違いなど、TOEFLの基本事項ついて紹介していく。
目次
そもそもTOEFLとは。4種類の試験
TOEFLとは?
TOEFL(読み方:トーフル、トフル)については、TOEFLテスト日本事務局ではこのように述べられている。
TOEFL® テスト(Test of English as a Foreign Language)は、1964年に英語を母語としない人々の英語コミュニケーション能力を測るテストとして、米国非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)により開発されました。大学のキャンパスや教室といった実生活でのコミュニケーションに必要な、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定します。
つまり、TOEFLとは、「リーディング」「リスニング」「スピーキング」「ライティング」の4項目から英語の実用的な技能を総合的に判定する試験である。
TOEICと違ってアカデミックな英語能力が求められるので、難易度レベルは高めだと言える。
TOEFLの種類
TOEFLには、PBT、CBT、iBT、ITPの4種類がある。
正式名称は、それぞれ“Paper-based Test”、”Computer-based Test” 、”Internet-based Test”であり、それぞれの頭文字をとってPBT、CBT、iBTと呼ばれている。また団体向けのITPも存在する。
以下では各自の特性や内容について説明していく。
TOEFL PBT(Paper-based Test)とは
1964年に実施され始めたTOEFLテストだが、開始当初はこのPBTによる試験が採用されていて、文字通り紙媒体を使ったペーパーテストであった。
日本では2007年に廃止されたが、インターネットが普及していない国では実施されていたが、2017年に完全に廃止された。
その後、revised TOEFL® Paper-delivered Testで紙ベースの試験が一部の国で受験可能であったが、2011年にこちらも廃止となった。
項目、時間、設問数
試験項目は「リスニング」「リーディング」の基本的項目に、現在は取り扱われていない「文法問題」が追加された3セクションで構成されていた。
「文法問題」では、穴埋めや間違いを訂正するものであり、選択肢から正しいものを選ぶ形式であった。
文章の内容を理解しなくても、穴埋め形式で解答を選択できたので、現在のiBTよりは答えを推測するのが容易だったかもしれない。
「リスニング」が30~40分で、「文法問題」が25分。「リーディング」が55分という構成で、全体で約2時間半の試験である。また設問数は「リスニング」が50問、「文法問題」が40問であった。
PBTのスコア(結果)
PBTのスコアについては、それぞれのセクションごとに31~68点満点で算出され、各セクションの合計から平均点を出し、10をかけたものとされていた。
つまり、試験結果は310点から677点の点数で算出される。また、このスコアは受験日から2年間有効であった。
TOEFL CBT(Computer-based Test)とは
試験項目はPBTと同じ3項目に「ライティング」が追加されたものであるが、試験方法が全く異なっていた。
PBTはペーパーテストであったが、CBTはパソコンでの試験だったのだ。
日本では2000年に導入されたが、2006年にはIBTの導入のため全世界で終了となり、日本も同年に廃止された。
項目、時間、設問数
PBTと同じ「リスニング」「文法問題」「リーディング」に「ライティング」が追加され、4つのセクションから構成された。
試験時間は「リスニング」が40~60分で、「文法問題」が15~20分、「リーディング」が70~90分で「ライティング」が30分という構成で、約3時間半であった。
また、設問数は「リスニング」が30~49問、「文法問題」が20~25問「リーディング」が44~55問で、「ライティング」が1問であった。
CBTのスコア(結果)
CBTの点数は「リスニング」「文法問題」「リーディング」の各セクションが30点満点で、その平均に10をかけたものとされていた。
「ライティング」は総合スコアに換算されず、0~300点で試験結果が算出されていた。
TOEFL ITP(Institutional test program)とは
TOEFLテストには、ITPと呼ばれるものもある。日本では、大学のクラス分けや海外留学への選考などで使われていて、全国500以上の団体、約22万人以上から利用されている。
団体向けのテストであるので、個人では受験できず受験者個人からの問い合わせにも受け付けていない。実施状況や予定については、各団体へ問い合わせが必要となる。
Level1ではPBTと同じ試験項目であり、問題数、スコア範囲も同じである。
Level2は、試験項目は同じだが、問題数、スコア範囲、試験時間も短縮されている。どちらのLevelもペーパーテストで行われ、PBTの過去問を編集したものである。
TOEFL iBT(Internet-based Test)とは
TOEFL iBTは世界では2005年、日本では2006年から導入されたテスト方式で、現在使われているTOEFLの主な受験方法である。
指定されたテストセンターでパソコンを使って受験し、試験問題がインターネットを通じて配信さるので、このように名付けられた。
どのセクションでもメモをとる事が可能である。TOEFLテストというと、一般的にはこのiBT方式を指す事が多い。
項目、時間、設問数
セクション | 推定タイミング | 質問/タスク | 説明 |
---|---|---|---|
Reading | 35分 | 20の質問 | 文章を読み、質問に答える。 |
Listening | 36分 | 28の質問 | 簡単な講義や教室でのディスカッションに関する質問に答える。 |
Speaking | 16分 | 4 課題 | お馴染みのトピックについて話し合い、読み聞かせた資料について話し合う。 |
Writing | 29分 | 2 課題 | 文章を読み、録音を聞き、回答を入力。 オンライン教室でのディスカッションで意見を述べ、サポートする。 |
TOEFL iBTのテスト内容は「リーディング」、「リスニング」、「ライティング」、「スピーキング」の4項目である。
PBTやCBTでは「文法問題」が出題されていたが、IBTでは取り扱われなくなり、その代わりに「スピーキング」が導入された。
このセクションでは、マイクに向かって話し、自分の音声が録音される。
iBTの試験時間は、前半が「リーディング」が35分で、「リスニング」が36分。
10分間の休憩をはさんで、後半は「スピーキング」が16分で「ライティング」が29分である。全体で約2時間である。
また設問数は、「リーディング」が20問、「リスニング」が28問、「スピーキング」が4問で、「ライティング」が2問である。
試験時間が長いので、長時間問題に取り組む集中力も必要とされる。
iBTのスコア(結果)
スコアについては、それぞれのセクションごとに30点満点で算出され、120点満点で判定される。
スコアは受験後2年間有効とされる。iBTのスコアの見方や目標点の目安はTOEFL目標スコアガイドを参考にしょう。
iBTの受験料・申し込み・日程
基本的にこれからTOEFLの勉強をする、留学の準備をするという人が勉強をするのはiBTだ。
TOEFL受験料は下記の通り。
Regular registration | テスト日の7日前まで | US$245 |
---|---|---|
Late registration | テスト日の4日前まで | US$285 |
初めてだとわかりずらいTOEFL iBTの申し込み方法や日程、TOEFLおすすめ会場を整理しているため参考にしてみよう。
おまけ:トフルプライマリーとトフルジュニア
TOEFLには上記で紹介してきた種類のほか、子供の英語力を測るためのトフルプライマリーとジュニアという試験もある。
基本的にプライマリーとジュニアのスコアは留学などで提出するものではなく、あくまで子供の英語学習のツール・実力を測るものと考えておこう。
日本だと英検やTOEICの方が実力試しの英語検定試験としては一般的だ。
TOEFL Primary
小・中学生向けにデザインされたテスト。詳細は公式ページを参照しよう。
TOEFL Junior
中高生向けにデザインされたテスト。詳細は公式ページを参照しよう。
よくある質問
- PBTとiBTどちらが簡単なの?
PBTは受験できる国や地域が限られているので、受験できることが珍しい。
PBTとIBTではセクションが少し異なるので「文法問題」が得意ならPBT、「スピーキング」が得意ならiBTなど自分の特性に合わせて選択するのも良いかもしれない。
しかし、日本では基本的にiBTを受験する必要がある(大学などで団体受験をする場合のみITPを受験可能だが、海外留学で提出が必要なスコアは基本的にはiBTとなる)。
- PBTとiBTのスコア換算が知りたい
公式団体向けTOEFLテストにPBTとiBTのスコア換算が詳しく載っている。
一方、現時点に置いて、日本人の中で有効なPBTの点数を保有しており、iBTに変換したい人というのは極めて少ないため、下記の表はあくまで「こういう時代もあったんだ」という感覚を持つだけで良いだろう。
また、ITPテストのスコアはPBTスコアにそのまま置き換えることができる。
しかし、繰り返しになってしまうが、留学先にTOEFLスコアを提出する必要がある場合、ITPのスコアは認められないことが多く、iBTを受け直さなければならないことに注意しよう。
- iTP対策にPBTの過去問を使いたいのだけど・・?
ETSがiTPのサンプル問題を無料で公開しているので活用しよう。また、日本語版のiTP公式問題集も販売されている。
- TOEFL iBTのスコアはいつわかるの?
TOEFLの結果はテスト受験日後約10日でオンラインのマイページで確認できるようになる。
紙でのスコアレポートを依頼した場合、約13日後に自宅に発送される。
(参考:https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/scores.html)
- TOEFLとIELTS、TOEICはどれを受けるべき?スコア換算は?
海外大学・大学院への留学であればTOEFL iBTかIELTSのスコアを提出する必要がある。日本国内の就活での活用であればTOEFLよりもTOEICか英検が一般的だ。
TOEFLももちろん就職に役に立つ(100点超は商社などでかなり評価される)が、その価値を理解している日本の会社・人は少ない。
ちなみに2019年現在、TOEFLの受験料は235ドルで、IELTSの値段は25,380円である。有効期限はそれぞれ受験日から2年間となっている。
- TOEFLの勉強法・対策法は?
TOEFL60点、80点、100点突破まで、初心者から使える目標スコア毎のTOEFL対策法を紹介している。ぜひ参考にしてほしい。
まとめ
ここまでTOEFLの4種類のテスト方式の違いについて説明してきた。PBT、CBT、iBT、ITPのそれぞれ特徴や違いについてご理解いただけただろうか。以下は、この記事の簡単なまとめである。
- TOEFLテストにはPBT、CBT、iBTと種類があり混同されやすいが、日本での受験は基本的にはiBTのみ
- PBTとiBTの大きな違いは試験の受け方で前者はペーパーテスト、後者はパソコンを使ったテストであるということ。
- 試験内容ではPBTは「文法問題」が含まれているが、iBTでは「スピーキング」に変更されている
- それぞれのスコアも算出方法が違っているので、最高点と最低点が異なる
CBTでライティングは300点満点の中に反映されてました。文法とライティングのSWセクションで30点でした。