




アメリカの工科大学を目指した理由と出願準備

出身は大阪府で、高校は兵庫県にある灘高校というところを卒業しました。
特徴としてはすごく自由な校風で、学校全体に「好きなことを何でもしていいよ」という雰囲気がありました。
先輩たちを見ていても、馬術をやっている人や、科学オリンピックに取り組んでいる人など、本当に色んな分野に挑戦していました。
自分も「これ面白いな」と思ったことには積極的に挑戦できる環境で、先輩からアドバイスをもらうこともできたし、まったく新しい分野に飛び込もうとしても、周りから変な目で見られることは一切ない。そういう意味ですごく恵まれた環境だったと思います。
海外大学留学を考えたきっかけ
きっかけは科学オリンピック

自分の場合は、海外であることが大事だったわけではありませんでした。
どちらかというと、MITという理系で最先端とされる大学に興味を持ったことがきっかけです。
情報オリンピックや物理オリンピックの国際大会でいろんな国の人たちと出会ったことが一番大きかったです。
夏の大会後すぐに大学に進学する人が多く、その進学先としてMITを選んでいる人が多くて。
自分はまだ進路が定まっていなかったので、「世界の優秀な人たちはMITに集まっていくんだ」と思いました。
そこから、「どんな環境なのか気になる」というモチベーションでMITを目指しました。
だから、もしMITが日本にあっても、MITを選んでいたと思います。

僕が特に興味を持っているのは、アルゴリズムやデータ構造といわれている分野です。その中でも「最適化」という文脈に興味があります。
例えば、エレベーターって、ちゃんとしたアルゴリズムに従って動いてて。
三基のエレベーターが独立して動いている場合、ある階で全部のボタンを押したとき、全部のエレベーターがその階に向かってしまう。
一番早く来たエレベーターに人は乗るけど、後からくるエレベーターは動いた意味がなかったということになり、効率が悪くなります。
これを回避するために、三基が連動して、全体の動きを予測しながら「どのエレベーターが動くべきか」を調整する仕組みが組み込まれているんです。
人が待つ時間の期待値や最大値など、さまざまなパラメータを考慮しながら全体の効率を最適化する。
目的はシンプルでも、考えることはとても多い。そういうところに興味があります。
「面白そう」から始まる、興味・関心の見つけ方


僕の場合は、最初に何か特別な体験があってそこから興味を持ったというわけではないです。
中学のときに、友達が競技プログラミングで賞を取っていて、「なんか面白そうだな」と思ってやってみたのがきっかけでした。
深く考えずに始めてみたら、実際にやってみるとすごく面白かった。
そこから「日常生活にもこんなふうに応用されていて、すごい分野だ」と気づいて、興味をもつようになりました。
MIT合格を勝ち取るための出願準備
高2からの英語学習とTOEFL iBT対策

英語はもちろん大変でした。高校2年生くらいから、受験のための英語、特にTOEFLを意識し始めました。
普段からTED Talksを聞いたり、単語アプリTANZAMで基礎を固めることは自分の中で意識してやっていました。
僕はテストを何回も受けるのがストレスに感じていたので、過去問を繰り返し解いたりして、かなり出来上がった状態で高校3年生に入る前の冬に1回だけ受験しました。
その時に、TOEFLで105点を取れたので、そのまま出願に使いました。



課外活動:実績よりも「好奇心」に従う

課外活動としては、情報オリンピックや物理オリンピックに出場していました。
もともと受験のためにやったわけではなかったのですが、海外大学受験を意識することで「ちょっと面白そうだから挑戦してみようかな」と思える場面が増えた気がします。
例えば、ビジネスコンテストに出てみたり、学校内で委員会活動に参加したり、文化祭でステージに立ってみたり。
受験を少し意識しているから、目に入ったことに一歩踏み出してみるみたいなことは、ちょっと増えたかもしれません。
返済不要の奨学金獲得へ:自己分析と面接対策


奨学金のためだけに特別な準備をしたわけではなく、基本的には海外大受験全体を通して自己分析を行っていました。
「自分は将来何をやりたいのか」「そのために大学で何を学びたいのか」「なぜこの大学を選ぶのか」などを考えて、大学の強みを調べながら整理していきました。
全体の戦略を立ててから、奨学金に応募するときは、その中の一部を切り取って伝えるような形でしたね。
面接の対策もしました。喋るよりも、文章を書く方が得意なので、話すことは重点的に練習しました。
一人で話した内容を録音しながら練習していました。

日米併願のリアル:早期合格(Early Action)のメリット

僕はMITにEarly Actionで出願しました。
12月の時点で合格通知をもらえたので、ほかのアメリカの大学には出願せずに済みました。もし落ちていたら、それらの大学に出願していたと思います。
MITへの合格が決まった後は、日本の大学受験の方に集中していました。

周りには日本の一般受験を目指す友人が多くいて、そういう人たちは塾にこもって、一日中数学や理科を解いていて。
そんな環境の中で、「自分は何もやっていないんじゃないか」という気分になることはありましたね。
海外大受験って、進捗が目に見えづらいところがあります。特にエッセイなどは、何回も書き直したりするんですよね。それが、どう進捗を生んでいるのか分からないというか。
定量的な完成度が出ないので、周りと比べると実感を得づらいという難しさはありましたね。


天才たちの集う場所?MITでのリアルな留学生活
「勉強も遊びも全力」なキャンパスと寮文化




やっぱりイメージ通りの部分が多いですね。みんな優秀で、すごく勉強するし。
授業が進むのも結構早くて、ちゃんと頑張らないとついていけないというのは、今までとは違う環境でした。
ただ、想像と違ったのは、「勉強が生活のすべて」というわけではないことです。みんな勉強は頑張っているけど、それ以外の活動も同じくらい大切にしている。
サークル活動や趣味、旅行など、「勉強もそれ以外も全部頑張る」という考え方は、自分の想像とは違いました。
それと、よくパーティーに行くルームメイトをみていると、アメリカの大学らしい寮や学生コミュニティの文化もあるように感じますね。
例えば、MITにはフラタニティと呼ばれる20人前後の小さなコミュニティがいくつかあって、その中でパーティーが開かれたり、フラット同士で交流したりしています。
あとは、寮対抗のイベントもありました。スポーツのイベントや、水鉄砲大会とか。
そういう点では、アメリカらしい寮文化があると感じます。


うーん、日本食がなかなか食べられないことですかね。
MITのご飯は、アメリカの大学の中では美味しい方だと思います。
でも、日本にいたらいつでも食べることができた牛丼とか、そういう手軽な日本食が食べられないのはちょっと困りますよね。
アメリカに行くと、「ああ、牛丼ってありがたい食べ物だったんだな」と思いますね。
「週休二日」はない?MIT生の休日の過ごし方

週末っていう感覚は、実はあんまりないんですよね。
授業があるのは平日だけなんですけど、本当に頭を使う課題とか予習復習は週末にします。実際、図書館は週末の方が混んでいます。
もちろん夜はパーティーに行く人もいるし、僕のルームメイトもよく出かけてますね。
ただ、土曜日締め切りの課題も普通にあるので、「週休二日制」という感覚はないですね。
教科書の中の人が目の前に。刺激的な授業環境

授業はすごく面白いです。やっぱり、教授がすごいんですよね。
例えば、教授の名前の綴りを忘れちゃったなと思って調べてみたら、ウィキペディアに載ってる、みたいな。
あとは、授業で「このアルゴリズムめっちゃ賢いな」と思って調べてみたら、その教授がそのアルゴリズムを開発した、みたいなこともありました。
そういう瞬間に、「ああ、これってMITじゃないと味わえない体験だな」と思いましたね。

大学生活を経て変化した「マインドセット」

一番大きな変化はマインドセットだと思います。
高校までは、自分の意見を言うのが怖いというか、場の空気を考えることを優先していました。
その場の空気が悪くなる確率を減らそうと思って、なるべく黙っていることもありました。
でもアメリカに行ってからは、良いことなのかどうかは分からないんですけど、無意識のうちに「思ったことをそのまま口に出す」ようになりましたね。
むしろ「その方が自分としては楽だな」と感じるようになりました。
だから、意見を率直に言うことにあまり抵抗がなくなったのは、アメリカ生活を通して得た変化かもしれません。

未来の海外大生へ。Yukiさんからのメッセージ
「その時、面白いこと」を。これからのキャリア観

その時に「面白いな」って思えることをやっていればいいかなと思っています。
今もそうなんですけど、「あ、この授業面白そうだな」って思ったら取ってみる。
何かすごく大きな将来の目標があって、それに向かって最適なルートを辿っているかという意味では、すごく非効率なことをしているとは思います。
だけど、大きな目標は別になくても、その時面白いことをやれていたらいいなと思いますね。

最後に:受験に挑戦する人へのメッセージ
強いて言うなら、「寝坊はしないようにしよう」ってことですかね。
もちろんこれはただの生活習慣の話じゃなくて、チャンスを逃さないための姿勢でもあると思うんです。
遅刻や寝坊をしてしまうと、相手が優しい人ならリスケしてくれるけど、世の中ってそんなに甘くない。
大事な場面ほど、そういう小さなことが積み重なって、結果的に「チャンスをつかめるかどうか」を左右すると思うんですよね。
海外大学に合格したり、頑張ったという気持ちになったとしても、そういう「当たり前のことを当たり前にやる」っていう姿勢を忘れないことが大事なんじゃないかなと思います(自戒)。
最後まで読んでいただきありがとうございました!










