




海外大学進学と聞くと、「帰国子女じゃないと無理」「一部のすごい人だけの話」と感じてしまう人は少なくありません。
でも実際は、最初から情報や環境が揃っていたわけではなく、“普通の高校生”として迷いながら一歩ずつ進んだ人もたくさんいます。
この記事では、埼玉の高校からスタートし、純ジャパとしてUniversity of Torontoに進学したYukoさんの実体験をもとに、海外大受験のリアルを追いかけます。
「何がきっかけで海外大を知ったのか」「英語はどれくらいの状態から伸ばしたのか」「課外活動はどう作ったのか」「国内大とどう併願したのか」
――不安になりやすいポイントを、具体的なエピソードでほどいていきます。
読み終わる頃には、海外大受験が“遠い世界の話”ではなく、自分の現実の延長線上で考えられる選択肢になっているはずです。
まずは、Yukoさんがどんな環境からスタートしたのか、そこから一緒に辿っていきましょう。

目次
純ジャパから海外大学へ!志望理由と出願までの道のり

埼玉県出身で、私立の三田国際学園高校に通っていました。
私の代までは普通の高校と同じで、IB等もなく、海外大を目指す人はクラスに一人いるかいないかくらいでした。決してマジョリティではなかったです。

そうですね。ただ、学校には帰国子女クラスがあって、そのクラスだと半分くらい海外大学に進学するんです。
でも帰国子女クラスと関わる機会はほとんどなくて、その恩恵は受けられませんでした。
きっかけは先輩の合格体験記

一番最初のきっかけは、高1の夏休みに入る前くらいに、純ジャパで海外大学に進学した高校の先輩の合格体験記を読んだことだったと思います。
それまではずっと「日本国内の大学しか選択肢がない」って思っていたのですが、その記事を見て「帰国子女じゃなくても海外の大学という選択肢があるんだ」と知りました。
海外大学進学に向けた準備とIELTS対策

海外大を知ったきっかけは高1の夏休み前だったのですが、「本当に自分が海外に行けるのか」はずっと曖昧なままでした。
実際、高校を卒業してもまだ海外に進学するか決めきれないくらいでした。
国内にするのか海外に進学するのか決められない状態のまま、高1の秋頃から日本国内の大学受験対策を進めていました。
海外大に関しては、atelier basi(アトリエバシ)という海外大進学を支援してくれる団体に応募したのが、最初にちゃんと時間を使ったタイミングでした。
アトリエバシに参加してからは、エッセイや出願準備など、海外大学を目指す人が取り組むようなことを、遅れて少しずつ始めていった感じでした。

高1のときに英検準1級を受けたんですけど、何度も落ちました。
それくらい、最初の英語力は高くなかったです。日本で見ればそれなりに高いと言われる方かもしれないけど、海外大学受験となると準1級すら取れないのは厳しい状況でした。
高2で初めてIELTSを受けたスコアは5.5。これも海外大を目指すには危機的な状況でした。
そこからまずいと思って、1年間ぐらい勉強して、最終的には高校生のうちにIELTS7.0まで伸ばしました。

とにかくアウトプット。これに関しては、それぞれに合う勉強法は人によって変わると思うのですが、私に関しては文法等のインプットからやっている時間はありませんでした。
IELTS5.5から少なくとも6.5まで上げたかったので、インプットは単語だけに絞りました。
それ以外は過去問を解いたり、面接練習をスカイプでやったりしましたね。
自分に必要な部分に絞って集中的に取り組んだのが、結果的に良かったのかなと思います。



課外活動は自分の興味が鍵?学生団体立ち上げ

色々やっていました。新体操部に所属していたのと、高校では学生団体を二つ立ち上げました。
例えば、立ち上げた学生団体の一つである「Beside」は、総勢30人ほど所属していました。
そのメンバーたちと、カンボジアに行って現地で衛生事業を行うなどの活動をしていましたね。
もう一つは、その下部組織として「BeSmile」という学校内で活動する学生団体。
文化祭でイベントを開いたり、寄付活動を行ったり、講演会を企画したりしていました。
さらに、映像を作る団体にも所属していて、そこで大会に出たり賞を取ったりもしていました。

もちろん大学受験のモチベーションが一切なかったかと言われると嘘になるけれど、自分の興味ベースが大きかったと思います。
モチベーションは「正義感」とかではなくて、自分で何か行動したいという思いが大きかったです。
特に覚えているきっかけは、コロナ禍のときでした。
それまで新体操一本で生きてきた人間だったのに、練習や大会がなくなって、新体操というものが失われて、「自分に何も残らなくなる」とすごく焦りました。
そこから「新体操以外にも武器が欲しい」と思ったのがきっかけで、コロナ禍が明けてすぐに学生団体を立ち上げました。
活動を始めたら思った以上に面白くて、大会に出てみたりと、どんどん広がっていきました。



国内大学と海外大の併願戦略

そうです。結果的に、慶應義塾大学の法学部に推薦入試(Fit入試)で合格しました。一般対策もしていたのですが、高3に入るぐらいでその選択肢は捨てました。
基本的に、高校生が両立できる受験方式は2つまでだと、自分の経験や周りの話を聞いていて思っています。
一般受験と推薦入試と海外大受験の選択肢があるとしたら、この中から2つを取るというのが最適解だと私は考えます。
私の場合は、英語のスコアを上げれば海外大でも推薦でも活かせるし相性が良いと思い、一般受験は捨てると決めました。
学校からは「一般を捨てるなんて何事だ!」とかなり怒られました(笑)。
学校としては、一般受験は唯一「偏差値」という目に見える基準があるから、安心できるセーフティーネットになるという意図だったんだと思います。
海外大も推薦入試も、ある意味「賭け」なので、そこだけに絞るのはリスクが高いと見られていました。
でも当時の私は、「効率を考えたら絶対に一般は捨てた方がいい」、「全てをやったらどれも中途半端な結果になる」と思っていたので、推薦と海外大に絞りましたね。
海外大受験のモチベーション

実を言うと、海外大受験のモチベーション維持に悩んだことはありませんでした。なぜかというと、単純に「楽しかった」からだと思います。
自分の性格の問題でもあるのですが、言われたことをやるのはものすごく苦手で。
それよりも、自分で海外大について調べて、自分でアプリケーションを出して、親も何も知らない中で「好きなことができる!」という感覚でした。
多分他の海外大を目指す人たちと違ったのは、私の場合、「絶対に海外大に行くぞ」というストレスやプレッシャーがあったわけではなくて、日本の受験がメインだったんですよね。
日本の大学受験の塾に入っていたので、塾や学校から「これをやれ」と言われたりするストレスが多かった。
でも、海外大学の準備は「合法的に日本の受験勉強をサボれる時間」みたいな感じでしたね。エッセイを書くのも好きだったし、英語の勉強も楽しかった。
だから、自分の今の力以上のものを発揮しようというより、「今の自分の力を出して、その結果受かる大学があればいいな」というスタンスで進められたのが、モチベーションの面では大きかったと思います。




進学先を決めたプロセスと大学選び
米国・カナダの名門校への出願

カナダはトロント大学とUBCに出願しました。
アメリカはUC(UCバークレー、UCLA等)スタンフォード大学、ニューヨーク大学、ワシントン大学など、幅広く受けました。

トロント大学を選んだ決め手

まずカナダで受かった大学の中で一番行きたかったのが、トロント大学でした。
合格したUCLAも行きたかったけど、留学生向けの奨学金がなくて。
UC系って州立なので、市民権がないと奨学金が出ないケースが多いんですよね。
その情報を当時知らなくて、費用の面でUCLAへの進学を断念しました。
トロント大学は奨学金が出たので、進学を決めました。

大学ランキング重視で後悔

正直、私は「ランキング重視」で選んでしまって、ものすごく後悔しています。
大学ランキングや大学の名前を優先する考え方は、とても日本やアジア的です。海外に出てみると、留学先の友達みんなに「なんでトロント大学に来たの?」と聞かれました。
でも当時の私はそんな答えを想定していなくて。「ランキングが高かったら、行かない理由はないんじゃないの?」と思っていました。
でも、カナダやアメリカの人たちは「何を学びたいか」「どのプログラム・教授が良いか」などの具体的な部分を参考に大学を選ぶ人が多い。
それを知ってから、私もそうすればよかったと思っています。
ランキングって人頼りで、誰が付けたかもわからないものなのに、それを頼りに大学を選んでしまったのは違ったなと今は思います。
慶應合格から留学へ

4月に慶應に入学して、その時点では奨学金に合格するのは難しいと思っていたので、「海外は無理だろう」と思ってました。
でも5月中旬に、トロント大学の奨学金合格通知が来て。
当時は慶應でダンスサークルに入って、新しい出会いもあって、一番”楽しい時期”でした。これを捨ててまで海外に行くべきか、本当に揺れました。
ただ、一時の感情で決めると後悔すると思い、慶應卒の人、トロント大卒の人、日本の大学から海外に院進した人など、いろんな立場の先輩に相談しました。
そして、多くの人が「自分ならトロントに行く」と言っていて。
それを踏まえて自分の胸に手を当てて考え直したときに、慶應に残りたい理由は、”挑戦的な理由ではない”と気づきました。
「それなら挑戦を選ぼう」と思って、正直渋々でしたが、トロント大学を選びました。



トロント大学(UofT)での学びと生活
トロント大学に通って感じたこと




最初はやっぱり孤独を感じました。表面的な“Hi!”みたいな会話はあるけど、その奥の深い会話がなかなかできなくて。「英語では一生、深い会話はできないのかな」と思った時期もありました。
その一方で、大きな教室だったり、海外の人たちに囲まれる自分はずっと憧れていた姿でもあって、自分への満足感や自信につながりました。

トロント大学で学ぶ国際開発

専攻は国際開発で、一般的な国際関係学よりもう少し実務寄りの分野で、国連や途上国開発に関わるテーマを学んでいます。
私の場合は、入学時点で専攻に合格して入る形だったので、履修はほぼ専攻関連です。

最初から国際開発にこだわっていたというよりは、自分の好きなこと・得意なことを組み合わせた結果、国際開発に行き着いた感じです。
人と話すのが好き、現場で活動したい、英語を使いたい、国際的な環境で働きたい。
そう考えたときに、国際開発や国連で働く人たちが自分のイメージに合っていたんです。
留学生活を通して起きた内面の変化

意識がすごく「自分」に向くようになりました。
慶應にいた時は“与えられていること”で動くことが多くて。
サークルやバイトで忙しい毎日を過ごしていたのですが、それは「自分で考えた上での判断」ではなく、「みんながやっていることだから」という理由が大きかったです。

今思えば、日本の大学生は世界で一番忙しいんじゃないかと思うぐらい、自分のことについてか考える暇がなかった。
「自分は将来何したいの?」「今、何をしたいの?」ということを考えなくても、目の前にあるサークルやバイトやらで充実してしまうんです。
でも、これは海外大学全般に言えることだと思いますが、こっちでは、トロント大学に”いること”自体は武器にならないんです。
それよりも、「トロント大学で“何をしたか”が問われる」という環境なんですね。そういうものを作らないと就活も海外では戦えないし、周りとも自分を差別化できない。
そんな環境の中で、「自分は何をしたい? そのために何が必要?」を考える時間が明らかに増えました。
例えば、私は今年の夏にヨーロッパをバックパックしてきました。
これは、トロント大学で一年生からインターンをしている人が周りにいる中で、「選択肢を知らないまま“国連で働きたい”と言っていいのか?」と自問した結果です。
だったら、その前に色んな人と出会いたいと思って、バックパックを始めました。
結果的に、それは最高の選択だったと思っています。そしてこれは、トロント大学に来ないとできなかったことですね。

やっぱり、忙しいです。学業、YouTube、ダンスチーム、インターンなど、やりたいことが多すぎて、どれも自分が納得するレベルまで到達しにくい苦しさがあります。
特に、学業は慶應にいた時の何十倍も時間を取られてしまいます。
なのでたまに、「この意識のまま日本の大学にいたら色んなことが達成できるんだろうな」と思うことがあります。
でも厄介なのは、日本の大学にいたら、その野望すらももたないところです。YouTubeなんて、発信しようとも思わないだろうし。
それと、北米の学生は良くも悪くも“常に走っている”。これは、人によっては悪いプレッシャーになっています。

例えば、トロント大学では1、2年生から大手企業でインターンしている学生は決して珍しくありません。
そういう人たちに囲まれていると、周りのスピードに飲まれて、「自分も何かしなきゃ」と焦りがちになります。
「本当にやりたいからやっている」のか、それとも「何者かにならなきゃ”という不安で走っている」のか、一度立ち止まってその境界を見極められないと、自分の軸を失ってしまうんです。
海外大生のリアルをYouTubeで発信し続ける理由

自分が高校生のとき、学部生本人が発信しているロールモデルが本当に少ないと感じました。
留学系YouTuberはいるけど、大人の人が発信するワーホリ等が中心で、“学生の等身大の生活”が立体的に見えない。
それが不安につながって、自身も慶應に残るか海外に行くかでも迷いました。
だからこそ、YouTubeという形で発信することで、例えば地方に住んでいて「周りにロールモデルがいない人」にも情報が届く形で発信したいと思い始めました。

私のYoutubeは、「海外大学に進学した一人の学生のドキュメンタリー」だと思ってみて欲しいです笑
例えば、どんな友達と出会って、どんな寮に住んで、どんな決断をしていくのか。プロセスを一緒に追いかけてもらう感覚に近いです。
結果的にそれが、みなさんに等身大の海外大学生活をより立体的に、そして身近に感じてもらうきっかけになればいいなと思っています。


コメントやDMは、やっぱり本当にうれしいですね。
「動画がきっかけで留学を決断できました」というコメントとか、「親が反対していたけど、動画を見せたら理解してくれました」というコメントがあって、ものすごく嬉しいですね。
自分が“こうなったらいいな”と思っていた変化が、実際に起きているのを感じます。
最後に:受験に挑戦する人へのメッセージ
Yukoさんのこれからについて

結論から言うと、まだ決まっていないです。去年の入学時点では「国連で働きたい」と明言していましたが、実際にカナダに留学して、ヨーロッパをバックパックしてみて、選択肢が一気に広がりました。
もちろん就職も一つの道だし、国連やNPO、NGOで働くかもしれない。
大学院に進むかもしれないし、起業やYouTuberとして生きる道だってあるかもしれない。
視座が上がって、可能性が一段も二段も広がったと感じています。

最後に:受験に挑戦する人へのメッセージ
まず、海外大学を受けるかどうか迷っている人へ。楽観的に感じるかもしれませんが、「いけばなんとかなる」というメッセージを伝えたいです。
みんな最初は不安だし怖いけれど、実際に来て後悔している人はほとんど見たことがありません。友達と助け合いながら、みんなちゃんと生き抜いています。
だから心配しすぎず、未来の自分を信じて一歩踏み出して大丈夫です。
そしてすでに海外大学受験を決意して準備している人は、周りのすごさや、選択肢の多さに圧倒される瞬間もあると思います。
「あの人は学生団体を立ち上げてる」「この大会に出てる」「自分もやらなきゃ」ってパニックになるくらい焦ることもあるかと思います。
でも本当に大切なのは、「自分が何をしたいのか」「そのために今できることは何か」に目を向けることだと思います。
見栄を張って有名大学を受けるよりも、自分のやりたいことに正直に選んだ大学の方が、その後の幸福度は絶対に高いと思います。
ぜひ、自分の中身と向き合うことを大切にしてほしいです。














