




国際バカロレア(IB)は、問いを立て、調べ、自分の考えを説明する力を育てる、国際的な教育プログラムです。
日本でもIBを導入する学校が増え、「海外大学へ行くならIBを取ったほうがよいのか」「日本の学校からでも取得できるのか」と考える家庭が増えています。
もっとも、IBを取れば海外大学へ合格できる、というほど単純な話でもありません。
志望する国・大学・専攻によって、必要な総合点やHL科目(上級レベルで学ぶ科目)、出願方法は変わります。
また、同じIB認定校でも、開講科目、授業言語、論文指導、大学出願のサポートには学校ごとの差があります。
この記事では、国際バカロレアの4つのプログラム、IB資格の取り方、45点の仕組み、難易度、国内・海外大学入試での使われ方、認定校の選び方まで解説します。
この記事の著者:Sacha
海外滞在歴30年以上。イギリスでMBAを取得後、世界4大会計・税務事務所の一つでパートナー格として長年勤務。娘は日本の小学校から英国のインターナショナルスクールへ進学し、IGCSEとIB Diplomaを取得。IB最終スコア44点で英国大学へ進学した。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル。英語圏への留学経験がない状態からIELTS 8.0、TOEFL 104、GRE 322を取得。コロンビア大学、ペンシルベニア大学、ニューヨーク大学、メルボルン大学教育大学院などへの合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。株式会社MAGEEEK代表として、海外大学・大学院の出願支援や進路設計に携わる。
記事の調査方法
本記事は、IB公式、文部科学省IB教育推進コンソーシアム、各大学の公式情報を確認したうえで、著者Sachaと、IB Diplomaを44点で修了した娘の経験をもとに編集しています(2026年8月3日調査)。
制度や大学の出願条件は変更される可能性があるため、出願時には必ず最新の公式情報をご確認ください。
- IBと資格は別:IBは4つの教育プログラムの総称。大学進学に使われる資格は、主にDPを修了して取得する
- 2年間の学習:6科目とTOK・EE・CAS(論文や課外活動などの必修課題)に取り組み、校内課題と最終試験で評価される
- 45点満点:6科目で42点、TOKとEEで最大3点。24点以上に加えて複数の修了条件がある
- 大学出願:国際的に利用できるが、必要な総合点・HL科目・選考方法は大学と専攻によって異なる
- 学校選び:認定の有無に加えて、開講するHL科目、授業言語、論文指導、進学支援まで確認する
目次
国際バカロレア(IB)とは
国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)は、スイスに本部を置く国際バカロレア機構が提供する、3~19歳を対象とした教育プログラムです。
IBでは、知識の暗記以上に、問いを立てる、資料を調べる、異なる考えを比較する、自分の結論を説明するといった学びを重視します。
ここで最初に整理したいのが、IBは教育プログラムの総称であり、IB Diplomaはその中で取得できる資格だという点です。
仕組みの話に入る前に、「IBを取ると何ができるのか」を先に押さえましょう。
- 海外大学への出願:DPで取得するIB Diplomaは、複数国の大学出願に利用できる国際資格になる
- 国内大学への出願:2025年1月時点で、国内82大学がIBスコア等を活用した入試を実施している(詳しくは入試の章で解説)
- 学び方そのものの変化:暗記中心ではなく、論文・議論・探究を軸にした学びを高校段階から経験できる
海外大学進学を視野に入れ始めた中高生とその保護者、国内も含めて受験の選択肢を広げたい方、暗記中心の勉強が合わないと感じている方。
このどれかに当てはまるなら、IBは検討する価値があります。
一方、志望先が国内の一般入試にほぼ決まっているなら、急いで検討しなくても大丈夫です。
IBには4つのプログラムがある
IBには、年齢や学習目的に応じた4つのプログラムがあります。
| プログラム | 主な年齢 | 主な特徴 |
| PYP(小学校段階) | 3~12歳 | 身近な疑問から探究し、自分で学ぶ姿勢を育てる |
| MYP(中学校段階) | 11~16歳 | 教科間のつながりや、学んだ内容と実社会との関係を考える |
| DP(高校段階) | 16~19歳 | 6科目と3つのコアを2年間履修し、大学進学に利用できるIB Diploma取得を目指す |
| CP(高校段階・職業向け) | 16~19歳 | DP科目と、職業・キャリアに関連する学習を組み合わせる |
4つのプログラムは切り離して履修でき、高校段階からDPのみ始める生徒も多くいます。PYPだけ、MYPだけ、DPだけを提供する学校もあります。
MYPはDPにつながる考え方や学習方法を身につける準備になりますが、IB機構はDPを16~19歳の生徒に開かれたプログラムと説明しています。
公式の概要は、国際バカロレア機構のプログラム紹介で確認できます。
IB認定校と候補校は同じではない
IBプログラムを実施できるのは、IB機構の認定を受けた学校に限られます。
学校は教員研修、カリキュラム、校内規定、学習環境などを整え、IB機構の認定を受ける必要があります。
日本では、次の3段階で認定が進みます。
- 関心校:IB導入に関する情報を集めている段階
- 候補校:認定に向けてカリキュラムや校内体制を整備している段階
- 認定校:IB機構から正式にプログラムの提供を認められた学校
候補校は準備が進んでいる学校ですが、まだ認定校ではありません。
入学時点では候補校でも、自分がDPを始める時期までに認定される予定なのか、認定されなかった場合にどの教育課程を履修するのかを確認しましょう。
文部科学省IB教育推進コンソーシアムによると、2026年3月31日時点の国内の認定校等数は265です。
この数字は、PYP認定校90、候補校32、MYP認定校47、候補校11、DP認定校79、候補校4、CP認定校1、候補校1を合計したものです。
同じ学校が複数プログラムを提供している場合はそれぞれ数えるため、学校数そのものは265より少なくなります。
最新の学校は、IB教育推進コンソーシアムの認定校・候補校一覧で確認できます。


IB資格の取り方と評価の仕組み
大学進学に利用されるIB Diplomaを取得するには、原則としてDP(ディプロマ・プログラム:16〜19歳対象の2年間の課程)の認定校などで、この2年間のプログラムを履修します。
最終試験で24点以上を取るだけではありません。6科目の授業と評価に加えて、TOK・EE・CAS(論文や課外活動などの必修課題。このあと順に解説します)を並行して進め、所定の修了条件を満たす必要があります。
取得までの流れを5つに分けると、次のようになります。
| 段階 | 行うこと | 保護者・生徒が確認すること |
| 1 | DP認定校を探す | 認定状況、入学学年、授業言語、学費、通学・寮の条件 |
| 2 | 学校の入学条件を満たす | 英語力、校内成績、面接、DP選択前の準備課程など、学校独自の条件 |
| 3 | 6科目とHL・SLを決める | 志望大学・専攻の必須科目と、学校で実際に開講される科目 |
| 4 | 2年間の学習・評価を完了する | 授業、校内課題、最終試験、TOK、EE、CASの締切と進捗 |
| 5 | 修了条件を満たす | 総合点と修了条件(詳しくは「45点満点」の章で解説) |
DPの対象年齢は16~19歳ですが、入学条件は学校が定めます。「IBは誰でも受けられる」と「どのDP校にも無条件で入れる」は別の話です。
また、フルDPのほかに、一部のDP科目のみを履修する選択肢を設けている学校もあります。
その場合に得られるのは科目ごとの成績で、6科目とコアを修了して取得するIB Diplomaとは別のものです。
DPは6つの教科グループで構成される
DPでは、6つの教科グループを基本に6科目を選びます。
| グループ | 学ぶ分野 | 科目例 |
| 1 | 言語と文学 | 日本語A、英語Aなど |
| 2 | 言語の習得 | 英語B、フランス語B、初級言語など |
| 3 | 個人と社会 | 歴史、経済、地理、心理学、グローバル政治など |
| 4 | 理科 | 生物、化学、物理、コンピュータ科学など |
| 5 | 数学 | 解析とアプローチ(AA)、応用と解釈(AI) |
| 6 | 芸術 | 美術、音楽、演劇、映画、ダンスなど |
芸術の代わりに、言語、個人と社会、理科などから追加科目を選べる場合もあります。
ただし、実際に選べるのは、各学校が開講している科目に限られます。生徒数や教員体制によって、希望者が少ない科目が開講されないこともあります。
科目名の一覧と合わせて、希望する科目をHLで履修できるかを学校へ確認してください。
HLとSLは学ぶ範囲と深さが異なる
6科目のうち、3~4科目をHL(Higher Level)、残りをSL(Standard Level)で履修します。
| 比較 | HL | SL |
| 位置づけ | より広い範囲・深い内容を学ぶ | HLより範囲を絞って学ぶ |
| 推奨授業時間 | 240時間 | 150時間 |
| 大学出願 | 専攻によって特定科目・点数を指定されることがある | 総合点に反映され、大学によって前提科目として認められることもある |
SLは「簡単な科目」という意味ではありません。HLとSLはどちらも1~7点で評価され、6科目すべてが総合点に入ります。
具体的な選び方は、後半の「大学入試では必要なHL科目も確認する」で解説します。
IB公式にも、工学、医学、社会科学などを想定した科目選択例があります。
TOK・EE・CASの3つのコアに取り組む
DPの特徴は、6科目に加えて、「コア」と呼ばれる3つの必修課題に全員が取り組むことです。
| コア | 簡単にいうと | 取り組む内容 | 点数 |
| TOK 知の理論 | 「どうして、それを知っていると言えるのか」を考える | 身近な物を使った展示と、1,600語のエッセイ | TOKとEEを合わせて最大3点 |
| EE 課題論文 | 興味のある問いを自分で調査する | 指導教員の支援を受けながら、4,000語の論文を作成 | |
| CAS 創造・活動・奉仕 | 教室外で経験し、振り返る | 創造、活動、奉仕に関する経験と、少なくとも1つのプロジェクト | 点数なし 修了は必須 |
TOKは、覚えた知識を再現する授業ではありません。「何を証拠とみなすのか」「同じ出来事を異なる立場から見ると、結論は変わるのか」などを考えます。
EEでは、研究テーマと問いを設定し、資料を集め、根拠を示しながら結論をまとめます。大学でのレポートや研究につながる経験ですが、高校生が一人で書き上げるのは現実的に難しく、学校の指導体制が重要です。
CASには、現在「150時間」という一律の公式要件はありません。重視されるのは活動時間の合計より、目的のある経験、プロジェクト、振り返り、学習成果です。
詳しい内容は、IB公式のDPコアの説明で確認できます。

IB Diplomaは45点満点で評価される
IB Diplomaの最終スコアは、次のように計算されます。
- 6科目×各7点=最大42点
- TOKとEE=最大3点
- 合計=45点満点
Diplomaを取得するには、原則として合計24点以上が必要です。
もっとも、24点を取れば必ずDiplomaが授与されるわけではありません。
点数のほかに、次の条件もすべて満たす必要があります。
- CASを修了している
- すべての科目、TOK、EEで評価を受けている
- TOKまたはEEで、最低評価のE(評価はA〜Eの5段階)を取っていない
- 各科目で2点以上を取っている
- 2点の科目、3点以下の科目が所定の数を超えていない
- HL科目で合計12点以上を取っている
- SL科目で合計9点以上を取っている
4科目をHLで履修する場合などには計算上の細則があります。最新の条件は、IB公式のDP合格条件をご確認ください。
2026年5月試験の世界平均は30.88点でした。平均点は試験時期や年度で変わるため、「何点なら上位何%」という古い換算表より、IBが公表する最新の統計資料を見るほうが確実です。
24点はDiploma取得に必要な最低ラインであり、大学の合格基準とは別です。
娘の最終スコアは44点でした。
高得点を取れたことは大きな成果ですが、振り返ると、DPの2年間の中心は試験そのものより日々の課題管理でした。
6科目の授業と課題、TOK、EE、CASを同時に進めます。さらに大学出願の時期には、予想スコア(出願用に学校が付ける見込み成績)、出願書類、最終試験の準備が重なります。
後から振り返ると、点数そのものより、科目選択と2年間の予定管理を早くから考えることが重要でした。

国際バカロレアの難易度はどのくらい?
IBの難易度を、「一般的な高校より何倍難しい」「世界で最も難しい」と一つの順位で表すことはできません。
得意科目、履修するHL、授業言語、学校の指導体制、課外活動、志望大学によって、感じる負担が変わるためです。
IBの難しさは、次の3つに分けると理解しやすくなります。
| 難しさ | なぜ難しいのか | 準備すること |
| 幅と深さ | 6科目を学びながら、3~4科目をHLで深く学ぶ | 苦手科目を放置せず、HLにする科目の基礎を固める |
| 課題の並行管理 | 試験、校内課題、TOK、EE、CASの締切が重なる | 年間予定を把握し、大きな課題を小分けに進める |
| 進路からの逆算 | 高得点でも必要なHL科目がなければ出願できない場合がある | DP開始前に、候補大学・専攻の科目条件を調べる |
難しさの中心は、2年間続く課題の積み重ね
DPでは、多くの科目で最終筆記試験が評価の中心になります。
それに加えて、口頭発表、エッセイ、実験、数学的探究、フィールドワーク、作品制作など、科目に応じた課題があります。
校内で行う課題には、教師が採点した後にIBが調整するものや、外部試験官が評価するものがあります。評価方法や割合は科目ごとに違うため、「IBは試験が何%、課題が何%」と一律には説明できません。
知識を覚えて短い解答を書くことが得意でも、長い文章で論証することに慣れていなければ時間がかかります。反対に、発表や論文が得意でも、最終試験への準備は必要です。
IB公式のDP評価方法で、内部評価と外部評価の基本を確認できます。
日本語DPでも英語が不要になるわけではない
DPの授業・試験は、原則として英語、フランス語、スペイン語で実施されます。日本では、一部科目を日本語で履修できる日本語DPも整備されています。
日本語DPでも、6科目中2科目は通常、英語等で履修する必要があります。一般的には外国語科目と、もう1科目です。
したがって、日本語DPは「英語を使わないIB」ではありません。一方で、始める時点の英語力の要件は、すべての科目を英語で学ぶDPより緩やかな場合が多いです。
学校選びでは、次の3点を確認しましょう。
- どの科目を日本語・英語で履修するのか
- 使用する教材と課題の言語は何か
- 英語での読解・論文作成を支援する授業があるか
日本語DPで実施できる科目は更新されるため、IB教育推進コンソーシアムのDP案内と各学校の開講科目をご確認ください。
娘は日本の小学校に通い、中学から英国のインターナショナルスクールへ入りました。
入学時は、英語で文章を書くことが苦手で、成績別の英語クラスでは一番下からのスタートでした。
その後、中学卒業時には一番上のクラスへ進み、IGCSEの英語、IBの英文学HLでも高い成績を取ることができました。
この経験から言えるのは、「始める前から完璧な英語」よりも、始めてから伸ばし続ける仕組みの方が大事だということです。
一方で、教科を英語で読み、自分の考えを英語で説明する力は、短期間の試験対策だけでは身につきません。DP開始前の数年間で、読解・記述・議論に慣れる環境が役立ちました。

成績を分けるのは、2年間の自己管理と学校の支え
IBがOxford大学の研究チームへ委託した調査では、4,858人、99校、36か国のDP生を分析しています。
強い予測要因として、それまでの学業成績に加え、授業時間や自習時間などが挙げられました。
時間を多く必要とする別の活動は成績と負の関連があり、DP期間中に幸福感が高まった、または孤立感が下がった生徒は、成績も高い傾向が示されています。
この結果を「課外活動をやめるべき」と読むのは行きすぎです。学業、活動、休みを含め、使える時間を現実的に配分することが大切だと読み取れます。
研究の詳細は、IB公式のDP成績の予測要因に関する研究で確認できます。
娘は、世界ランキングを持つジュニアテニスプレイヤーでした。DP1年目は海外遠征で学校を休むこともありました。
そのため、学校へ行ける時期に集中して学び、移動中に進められる課題と、先生の指導が必要な課題を分けました。
2年目はテニスと学習の配分を見直し、最終試験に向けて集中する期間を確保しました。
忙しい活動を続ける場合は、本人の努力だけに任せず、欠席時の授業、課題の締切、EE・IA(各科目の校内評価課題)の面談を学校と共有することが重要です。
早い段階でペースを作ったことで、最後にすべてを詰め込まず、燃え尽きを避けて最終試験まで進められました。

IB資格は国内・海外大学の入試でどう使われる?
IB Diplomaは、日本を含む複数の国で大学入学資格として利用できます。
もっとも、IB Diplomaを取得すれば、どの大学にも同じ条件で出願できるわけではありません。
大学は、IBの総合点、HL科目の点数、志望専攻に必要な科目、英語力、エッセイ、面接などを、各校の基準で評価します。
国・地域ごとの主な違いは、次のとおりです。
| 国・地域 | IB資格の主な使われ方 | 出願前に確認すること |
| 日本 | IB入試、総合型選抜、帰国生選抜などの出願資格・評価資料 | Diploma取得時期、総合点、言語、HL科目、書類・面接 |
| イギリス | 予想スコアで出願し、総合点とHL科目を条件とする合格通知を受ける | 総合点、HLの科目別条件、英語要件、最終試験で満たす条件 |
| アメリカ | 高校での履修内容・成績、活動、エッセイ等と合わせて総合評価 | 大学ごとの選考方針、必要書類、IB科目の単位認定 |
| カナダ | 途中成績や予想スコアで審査し、最終IB結果で合格を確認 | 学部別の科目条件、英語要件、最終結果、単位認定 |
| オーストラリア | IB総合点を入学基準や合格保証点として利用する大学がある | 最低点と保証点の違い、専攻別前提科目、英語要件 |
日本ではIB資格に加えて書類・面接等も確認される
IB Diplomaを取得すると、日本の大学への入学資格が認められます。
ただし、入学資格があることと、大学に合格することは別です。
大学によって、IB総合点、特定科目、言語、自己推薦書、小論文、面接などの条件が設けられています。
文部科学省委託の2025年度調査では、調査対象となった大学で、IB最終スコアだけによる選抜は確認されませんでした。成績証明書、自己推薦書、評価書、EE・TOK・CASに関する資料など、複数の情報が使われています。
国内大学の最新情報は、IB教育推進コンソーシアムの「IBを活用した入試」で確認できます。
同じ大学でも、学部、入学時期、国内IB校・海外IB校などによって条件が異なる場合があります。必ず志望年度の募集要項まで確認してください。
海外大学でのIB資格の使われ方は国によって異なる
イギリスでは、最終試験結果が出る前に大学へ出願するため、学校が作成する予想スコア(Predicted Grades)が使われます。
大学は予想スコアや出願書類を審査し、「総合36点、HL英語6点」などの条件付き合格を出すことがあります。総合点を満たしても、指定されたHL科目の点数が不足すれば条件を満たしません。
難関大学の一例として、Oxford大学はコースにより総合38~40点に加え、HL科目で6・7を求めています。
イギリス大学の出願方法は、イギリス大学の出願方法と進学ルートで詳しく解説しています。
アメリカでは、IB総合点という一つの基準だけで合否が決まるわけではありません。高校で履修した科目、成績、活動、エッセイなどを大学の方針に沿って確認します。
一方、入学後の単位認定にIB科目を利用できる大学があります。
University of Californiaでは、指定されたHL試験の結果により、科目や一般教育等の単位として認定される場合があります。
カナダのUBCでは、途中成績を使って最初の合否判断を行い、最終IB結果で合格と単位認定を確認します。
オーストラリアのUniversity of Melbourneでは、留学生向けに最低点と合格保証点が示されています。ただし、専攻別前提科目や英語要件も満たす必要があります。
このように、IBが国際的に認められていることと、どの大学でも同じ条件で評価されることは別です。
大学入試では必要なHL科目も確認する
大学入試では、IBの総合点だけでなく、志望専攻に必要なHL科目と点数を指定されることがあります。
高得点を取りやすそうな科目だけで選ぶと、出願時に必要科目が足りないと気づく可能性があります。
- 興味のある専攻を2~3分野に絞る
- 複数の大学で、出願に必要なHL科目と点数を確認する
- 必要な科目を志望するIB校で実際に履修できるか確認する
医学、工学、自然科学、数学、経済などでは、数学や理科の科目・HLを細かく指定されることがあります。
IB公式の科目選択ガイドも参考にしてください。
娘はIGCSE(英国式の中等教育修了試験)で、科学3科目すべてが最高評価でした。
DPでは科学を2科目取るか、一つを美術にするか迷い、最終的に科学1科目をHL、美術をSLで履修しました。本人は美術を楽しみながら学び、最終スコアも44点でした。
一方、イギリス大学への出願時には、科学HLが1科目だけだったため、出願条件を満たせない理系コースがありました。
高得点でも、必要な科目を履修していなければ出願できないことがあります。
この経験から、得点だけでなく、将来選びたい分野を狭めないHL科目を考えることが重要だと感じました。

IBの向き不向きと認定校の選び方
IBを選ぶときは、難易度や大学進学実績だけでなく、本人の学び方と学校の支援体制を一緒に考えることが大切です。
探究や論文を通して力を伸ばせる一方、6科目と複数の長期課題を並行して進める負担もあります。
ここでは、IBのメリット・注意点を整理したうえで、本人との相性と認定校の選び方を解説します。
IBのメリットと注意点
IBのメリットは、国内外の大学への出願資格を得られることだけではありません。
TOK、EE、6科目、さまざまな評価方法を通して、大学で必要になる調査・論述・自己管理を経験できる点にも特徴があります。
| IBでの経験 | 身につけやすい力・メリット | 注意点 |
| TOK・EE | 根拠を比較し、批判的に考え、調査する力を伸ばしやすい | 明確な正解や手順のない課題に戸惑うことがある |
| 6科目とHL | 幅広い学習と、興味のある分野の専門性を両立できる | 苦手科目を完全には避けにくく、科目選択が進路に影響する |
| 多様な評価 | 試験だけでなく、論文・発表・実験などでも力を示せる | 複数の課題と試験を並行して管理する必要がある |
| 国際的な資格 | 日本と海外を含む複数国の大学を検討できる | 大学・専攻ごとに総合点やHL科目の条件を確認する必要がある |
IBが委託した研究では、背景要因を調整した後も、DP生は非DP生より批判的思考力が高い傾向を示しました。
もっとも、IBを履修すれば誰でも同じ力が身につく、あるいはIBだけが結果の原因とは断定できません。本人の取り組み方と、学校がどのように指導するかも重要です。
研究概要は、IB公式の批判的思考力に関する研究と、EEと大学準備に関する研究で確認できます。
IBとの相性は本人と学校の組み合わせで考える
IBに向いている生徒を、「成績がよい」「英語が得意」という条件だけで判断するのは適切ではありません。
現在できるかどうかに加えて、本人がどのような学び方を好み、苦手な部分を学校がどこまで支援できるかを確認しましょう。
| 本人の学び方 | IBとの相性 | 学校の支援 |
| 疑問を持ち、自分で調べることが好き | 探究、TOK、EEに取り組みやすい | 問いの立て方や論文作成の指導 |
| 長い課題を少しずつ進められる | 複数科目と長期課題を管理しやすい | IA・TOK・EEの締切管理と学習相談 |
| 文章・発表・実験など、複数の方法で表現したい | 試験以外の評価でも力を発揮しやすい | 言語、記述、発表への具体的な支援 |
| 日本と海外の大学を含めて進路を考えたい | 国際資格を使って複数国へ出願できる | 志望国・専攻別の科目選択と出願支援 |
苦手な項目があっても、それだけでIBに向いていないとは限りません。
DP開始前の準備、言語支援、学習計画、カウンセリングによって補える部分があります。説明会では、成績の高い卒業生だけでなく、苦戦した生徒を学校がどのように支援したかも聞いてみましょう。
IBとイギリスのA-levelを比較したい方は、GCE A-levelの仕組み・科目選択・IBとの違いも参考にしてください。
IB認定校は5つの項目で比較する
まず、志望校がどのIBプログラムの認定を受けているか、公式情報で確認します。
一条校(学校教育法上の正規の学校)・各種学校などに分け、PYP・MYP・DP・CPの認定状況を確認できます。
国、プログラム、授業言語、寮の有無などから検索できます。
認定校であっても、開講科目、教員体制、課題の管理方法、大学出願の支援内容は同じではありません。
中国・韓国でのIB実施研究でも、生徒の自己主導的な学習などが評価される一方、教員の負担や大学入試との不一致が課題として挙げられています。
同じIBカリキュラムでも、学校の実施体制によって生徒の経験が変わり得るため、次の5項目を比較しましょう。
| 比較項目 | 学校へ確認すること |
| 認定状況 | DP認定校か候補校か。候補校の場合、認定されなかったときの教育課程はどうなるか |
| 開講科目 | 希望するHL科目は毎年開講されるか。科目選択の確定時期と変更期限はいつか |
| 授業言語 | 各科目、教材、課題の言語は何か。英語・日本語の学習支援を受けられるか |
| 学習支援 | EEの指導教員はどう決まるか。IA・TOK・EEの締切を学校全体で調整しているか |
| 進学支援 | 志望国・専攻別の科目選択、予想スコア、推薦、大学出願を相談できるか |
平均点や有名大学の合格実績を見る場合は、対象となった生徒数も確認してください。
可能であれば、DPを開始した生徒のうちフルDiplomaを取得した人数と、Diplomaを取得できなかった生徒への進路支援も聞いておきましょう。
学校の種類より卒業資格と支援内容を見る
日本でDPを学ぶ主な選択肢には、インターナショナルスクールと、学校教育法第1条に定められた一条校があります。
インターナショナルスクールには海外大学出願の経験が豊富な学校がある一方、国内での学校区分や日本の高校卒業資格は学校によって異なります。
一条校では、日本の高校卒業要件とIBを組み合わせて学べますが、授業時間や国内一般入試との両立も確認が必要です。
学校の名称だけで判断せず、次の点を個別に確認しましょう。
- 日本の高校卒業資格を取得できるか
- どの科目を日本語・英語で履修するか
- IBと日本の高校課程をどのように両立するか
- 国内・海外大学のどちらの出願を支援できるか
- 学費、通学、寮などを含めて2年間継続できるか
詳しい違いは、インターナショナルスクールとは?学費・資格・学校選びで解説しています。
娘は日本の小学校から英国のインターナショナルスクールへ移り、IGCSEを経てDPへ進みました。
DP開始時には、英語で資料を読み、論文を書く経験があり、この準備期間は娘にとって役立ちました。
一方、すべての生徒が中学からインターナショナルスクールへ通う必要はありません。日本語DPや一条校からIB Diplomaを目指す選択肢もあります。
重要なのは学校名ではなく、DP開始前に必要な教科・言語の準備ができるか、開始後に科目選択・長期課題・大学出願を支えてもらえるかです。

国際バカロレアに関するよくある質問
ここまでの要点を、質問形式で短くまとめました。結論だけ確認したい方はこちらをどうぞ。
IBとIB Diplomaは同じですか?
同じではありません。
IBはPYP・MYP・DP・CPの4プログラムを含む教育体系の総称です。IB Diplomaは、DPの6科目とコアを履修し、所定の評価条件を満たした生徒に授与される資格です。
MYPを履修していなくてもDPへ進めますか?
はい、できます。IB機構は、MYP履修を一律に、DPの入学条件として示していません。
ただし、各学校が成績、英語力、事前科目、面接などの条件を設けることがあります。MYP、IGCSE、日本の中学校課程など、どの経歴から受け入れているかを志望校へ確認してください。
24点を取ればIB Diplomaを取得できますか?
24点は最低条件の一つです。
CASの修了、すべての科目・TOK・EEの評価、HL・SLの最低点、低評価科目数などの条件も満たす必要があります。
IBは日本語でも取得できますか?
日本語DP認定校では、一部科目とコアを日本語で履修できます。
日本語DPでも、通常は6科目中2科目を英語等で履修します。開講科目と授業言語は学校ごとに確認してください。
IBを取れば海外大学への進学で有利になりますか?
IB Diplomaは国際的に認められ、複数国の大学へ出願しやすい資格です。
一方、「IBがあるから優遇される」と期待しすぎるのは禁物です。大学は総合点、HL科目、英語力、書類などを、各校の基準で評価します。
終わりに:IBを取る目的から学校と科目を選ぼう
国際バカロレアは、海外大学進学の道具である以上に、学び方そのものを変える教育プログラムです。
一方で、2年間の学習量は多く、科目選択によって将来出願できる専攻が変わることもあります。
IBを検討するときは、「有名大学へ行くために取る」より先に、本人がどのように学びたいか、どの国・分野へ進みたいかを親子で話してみてください。
最初から学校や専攻を一つに決める必要はありません。
まずは公式の認定校一覧から通える学校を2~3校選び、開講科目と説明会の予定を確認するところから始めましょう。


IBより科目を絞って深く学ぶA-levelの仕組みと、どちらが自分に合うかを比較できます。
一条校との違い、卒業資格、学費など、入学前に確認したい基本を解説します。
IBの予想スコア、条件付き合格、UCAS出願の流れを具体的に確認できます。
IBなどの国際資格から海外大学へ進んだ後、授業や学生生活がどう変わるかを知りたい方におすすめです。










