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アメリカ・ミネソタ州のカールトン・カレッジで、政治学・国際関係論と社会学・人類学を学ぶNinaさん。
環境・テクノロジー・社会の関係性に関心を持ち、学内外の仕事や研究、学生団体の運営にも取り組んでいます。
本記事では、TOEFLや大学出願の経験、奨学金や給付金を活用した留学費用、リベラルアーツカレッジでの学び、忙しい学生生活との向き合い方について伺いました。
プロフィール
東京都出身のNinaさんは、国立の中高を卒業後、アメリカ・ミネソタ州のカールトン・カレッジへ進学しました。インタビュー時点で3年生。政治学・国際関係論と社会学・人類学をダブルメジャーで学んでいます。

目次
環境・テクノロジー・社会の関係を学ぶ

現在は、環境・テクノロジー・社会の3つの関係に関心があります。政治学・国際関係論では科学技術政策と科学技術外交、社会学・人類学では環境人類学と科学技術社会論を中心に学んでいます。
関心を持ったきっかけの一つは、幼い頃に原子力発電を巡る異なる立場に触れたことです。父は原発を推進する側の仕事に関わり、母は福島に近い地域の出身だったため、科学技術が持つ倫理的・法的・社会的な課題を考えるようになりました。
中学3年生のときには、1学期間、すべての科目で水俣病を扱う授業がありました。高校時代には、培養肉などのフードテクノロジーが社会に与える影響にも関心を持つようになり、現在の学びにつながっています。

カールトン・カレッジへの出願準備
TOEFLは高校2年生の終わりから対策

対策を始めたのは、たしか高校2年生の終わり頃です。高校3年生の間に3回ほど受験しました。
リーディングとリスニングは得意でしたが、スピーキングとライティングは点数が低かったため、特に回答の型を覚えることを意識しました。
スピーキングなら、問題形式ごとに「この表現で始め、ここに自分の考えを入れ、最後はこの表現で締める」といった構成を頭に入れます。ライティングも同じです。
表現や語彙を磨くには時間がかかりますが、構成を整えることは比較的早く取り組めます。まず型を固める方法はおすすめです。

Common Appに課外活動や作品も提出

Common Appと、大学によっては1〜3本のSupplement Essayを提出しました。10個の課外活動、5個の受賞歴の情報に加えて、提出できる大学には課外活動をまとめたレジュメも送りました。
推薦状は、担任の先生、IB Japanese Literatureの先生、IB English Language & Literatureの先生、IB Chemistryの先生、課外活動のアドバイザー、財団に書いていただき、3〜5通送ったと思います。
高校のIB Visual Artsの授業で展示を企画した経験があったため、そのポートフォリオも提出しました。SATは受験せず、IBのスコアをAdditional Informationの欄に記載しました。
私自身の出願経験では、IBだからアメリカ大学出願で優遇されるという感覚はありません。アメリカの大学は、志願者が育った環境や、アクセスできた教育機会も踏まえて評価しようとしているのだと思います。
フードテックと人々の暮らしをつなぐ課外活動

高校時代は主に、「フードテックや先端技術が、人々の暮らしや文化にどう影響を与えるか」を軸に活動していました。
きっかけの一つは、高校生で唯一のインターンとして参加した細胞農業協会での活動です。研究者やスタートアップに混ざり、カンファレンスの運営をしました。
一方で、「技術が進歩することで、失われてしまう伝統的な食文化や現場の人の声はどうなるのだろう?」という疑問も強く持っていました。そこで、海女さんや川漁師、自然農法を営む農家の方々のもとへ通い、聞き取り調査を行うライフヒストリーのプロジェクトを個人で立ち上げました。最先端の技術を推進する側だけでなく、土や海とともに生きてきた現場の声の両方に触れたかったんです。
また、食の多様性(フードダイバーシティ)の課題にも取り組みました。日本に暮らす外国人ベジタリアン約30名へのインタビュー調査をもとに、食品ラベルを読み取って動物性原材料の有無を瞬時に判別できるアプリ「GlabelJapan」をチームで開発しました。Technovation Girlsで世界準決勝に進出したほか、高校生起業家育成プログラム(MAKERS UNIVERSITY U-18やBLAST SCHOOLなど)にも採択され、社会実装を目指して活動しました。
科学実験そのものを突き詰めるというよりは、先端技術と人々の暮らしのあいだに立ち、対話の場をつくったり、制度やアプリという形で社会に橋を架けたりするような活動に夢中になった高校時代でした。
奨学金と学内の機会を活用した留学費用

学費や生活費、食費、健康保険料などは、笹川平和財団からいただいている全額奨学金でカバーしています。必要に応じて使える定額給付金もあります。
加えて、キャンパス内で3つの仕事を経験し、リモートの仕事にも取り組んでいます。カールトン・カレッジは、フェローシップやグラントに応募できる機会も比較的多いと感じます。私は毎年2〜3件ほど応募しています。
フェローシップやグラントから研究や旅行の費用が出ることもあります。学部生の研究でも、フルタイムの仕事として給与を受け取れる機会があるのは、リベラルアーツカレッジのあまり知られていない魅力かもしれません。
ただし、応募条件は制度によって異なります。アメリカ市民のみを対象とする助成金もありますが、私の経験では、大学が提供する仕事や機会の多くに留学生も応募できました。

奨学金の種類や探し方を早めに把握し、出願準備と並行して候補を整理しておきましょう。

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カールトン・カレッジでの授業と学生生活
10週間の学期を駆け抜ける忙しさ

入学前に想像していた以上に学業に時間を使っています。
通常は6単位の授業を3つ、合計18単位履修します。私の2つの専攻はどちらも社会科学のため、リーディングとライティングの量が多いです。それに加えて、フェローシップのゼミもあります。英語を読む速さは上がりましたが、まだ日本語と同じ速さでは読めません。
1学期は10週間です。最初の1〜2週間で授業に慣れたと思ったら、3〜4週目には中間試験の準備が始まり、その後はすぐ期末課題へ進みます。終えられない量ではないものの、ゆっくり休んでいると間に合わなくなるような、怒涛のスケジュールです。

一方、週末には小説を読んだり、絵を描いたり、楽器を弾いたりします。友人とキャンパス内のイベントへ行くこともあります。

学びやキャリアにつながる学内の仕事

入学して一番驚いたのは、キャンパス内に自分の関心やキャリアに直結するような仕事が本当にたくさんあることです。
2年生のときには、大学図書館が所蔵する第二次世界大戦期の「外邦図(旧日本軍が作成した地図)」のインデックスを作成・分析するリサーチアシスタントや、アジア研究(Asian Studies)の授業でTA(ティーチングアシスタント)を担当しました。
また、大学と地域社会の連携を担うCCCE(Center for Community and Civic Engagement)では、「Peace, Conflict, and Democracy」のコホートとしてミネソタ州議会と大学の連携推進に関わっています。
さらに、Chaplain’s Officeでは「Chaplain Associate」として、仏教の瞑想セッションをリードしたり、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教といった異なる信仰を持つ学生同士の対話やソーシャルアクションのイベントを企画したりもしています。他にも、学内の学生によるAI利用実態の調査プロジェクトなど、多岐にわたる仕事に携わってきました。

単にお金を稼ぐためのアルバイトではなく、研究や将来のキャリアにつながる実践的な経験をキャンパス内で積める環境があることは、入学前には想像もしていなかったリベラルアーツカレッジの魅力です。
ちなみに、カールトン・カレッジは自然豊かな田舎町にあるため、東京育ちの自分に生活が合うか最初は少し不安もありました。ですが、10週間の学期中はキャンパスで学問や仕事に徹底的に集中し、長期休暇には東京やアメリカの都市部へ出て活動する――そんなメリハリのある生活リズムが、思っていた以上に自分にフィットしています。学期中にもワシントンD.C.で学ぶ機会があるなど、移動と集中のバランスも取りやすい環境だと感じています。
寮生活ではルームメイトとの関係性が大切

1年生は新入生のフロアに入り、2人部屋や3人部屋で暮らす学生が多いです。レジデンシャル・アシスタントがイベントを企画するため、新入生同士で知り合いやすい環境があります。
2年生のときは、共通の関心を持つ学生が暮らすインタレストハウスのうち、留学生向けの寮に住みました。3年生になってからは、アパートメント型の寮にある1人部屋で暮らしています。
1年生のときのルームメイトとは親友になり、毎日3時間ほど話すこともありました。共同生活では、やはり相性や関係性が大切だと思います。

食事と移動には地方ならではの苦労も

普段はミールプランを利用し、2つのダイニングホールで食事をしています。選択肢は多く、サラダなどを選べば健康にも配慮できますが、私には合わないと感じる料理もあります。
近くにアジア系スーパーマーケットがないため、日本食は家族に送ってもらっています。塩昆布やパックご飯、インスタント麺などがあると助かります。
また、キャンパス外へ出るには車が必要な場面が多く、空港やスーパーマーケットへの移動には不便を感じます。バスや配車サービスを利用する方法もありますが、費用がかかります。免許は持っていますが、運転のリスクや車の購入・維持費、卒業後の居住地が未定であることを考え、今のところ車を買う予定はありません。

学内外の活動と忙しい毎日の整え方
学生団体とインターンで関心を広げる

学内では、アジア人・アジア系アメリカ人の学生を中心とする「Carleton ASIA」の運営に関わり、財務を担当しています。大規模な旧正月のイベントやアジア料理を楽しむイベント、映画・読書会などを企画しています。

もう一つ、ダンスサークルの運営にも携わり、ステージのプロダクションやSNSコンテンツの制作に取り組んでいます。

キャンパス外では、シリコンバレーを拠点とするAI関連のリモートインターンとして、小型AIモデルを利用する利点を調査し、政府への提言資料を作成する仕事を経験しています。日本では、ソーシャルセクターへ資金を届ける財団の仕事にも関わっています。
Googleカレンダー・Notion・AIでタスクを整理

タイムマネジメントには、GoogleカレンダーとNotionをよく使います。すべての予定をGoogleカレンダーに、すべてのタスクをNotionに追加することを心がけています。また、AIにも頼っており、メールやSlack、Discordを確認してもらい、未返信の連絡や終わっていないタスク、優先順位、締め切りを整理してもらうことがあります。
学業、学内外の仕事、家族や友人との時間、就職や大学院進学の準備を両立するのは簡単ではありません。日本と仕事をするときには、時差も難しさの一つです。
人との時間と内省の時間を大切にする

メンタル面では、友人や家族ときちんと向き合い、時間を過ごすことを大切にしています。同時に、私には1人で過ごす時間も必要です。
Cosense(旧Scrapbox)などを使い、日々考えたこと、感じたこと、気づきなどを書き出しています。忙しさに流されずに自分を振り返るプロセスが、心の状態を整える助けになっていると思います。
友人との電話も、自分の思考や感情、生活を振り返る時間になります。書いた内容を友人が読んでコメントできるようにしているため、人と関わる時間と内省する時間が自然につながることもあります。
気持ちが落ち込んだときは、よく寝て、おいしい食べ物にはきちんとお金を使うことも大切にしています。


留学を通して「前提を疑う余裕」が生まれた


高校生の頃と比べて、自分自身の考えや前提を批判的に見つめ直せるようになったと感じています。
高校時代は、自分の価値観や目指すロールモデルを確固たる軸として信じ、疑うことはありませんでした。ですが大学に入り、異なる背景や信仰、倫理観や政治的立場を持つ人々と日々対話し、リベラルアーツ教育を受けるなかで、日本で当たり前だと思っていた前提が何度も揺さぶられました。
特に人類学では、学問が築いてきた歴史や視点そのものを問い直し、解体と再構築を繰り返すような思考に触れます。そのアプローチが、自分にはとてもしっくりきました。
何かに確信を持っているほうが精神的にも楽ですし、行動を起こす上でも強みになります。けれど大学生の今は、すぐに白黒をつけず、さまざまなことに「もやもや」しながら前提を疑い続ける余裕を持てる時期でもあります。そうやって立ち止まって考えられる余白が生まれたことが、大学生活を通した一番の変化かもしれません。

高校生のエッセイ作成に伴走する

52Hzのサマーキャンプでは、エッセイ型コンテンツ班とメンターを担当しました。
Common App、大学のサプリメントエッセイや奨学金のエッセイには、「なぜこの大学なのか」「なぜ留学するのか」など、自分を掘り下げる問いが多くあります。高校3年生のときに試行錯誤して身につけた考え方を言語化し、問いの分解方法やエッセイの構成、意識したいポイントをスライドやワークシートにまとめて届けました。
メンターとして高校生のエッセイ作成に伴走するなかでは、文章の書き方だけでなく、自分の人生で向き合いたい問いや、考える方法そのものを一緒に探れたと思います。
最後に:海外大学を目指す人へのメッセージ

大学を選ぶときは、将来の職業に必要な訓練だけでなく、「どのような教育を受けたいか」「どのような人間になりたいか」という視点も持ってみてください。
教育には、自分自身や世界への理解を深め、自分にとって大切な問いと向き合う側面もあります。特に学部進学では、その視点を選択の軸に加えてもよいのではないかと思います。

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