



実は、イギリスの教育制度と日本の教育制度には構造的な違いがあります。
日本では高校まで幅広い科目を学び、大学入学後に専門を深めていくのが一般的ですが、イギリスでは、義務教育修了後の段階から進路を絞り込み、専門分野に向けた学習を進めるのが特徴です。
この制度の違いがあるため、日本と同じ感覚のままではイギリスの大学進学はうまく進みません。
そこで本記事では、イギリスの義務教育から大学進学までの流れを、日本の教育制度と比較しながらわかりやすく解説し、
- イギリスの大学へ進学する主な方法(ファウンデーションコース/IYO/直接出願)
- 留学を検討している高校生がミスマッチを防ぐために押さえるべきポイント
を整理していきます。
- なぜ直接入れない?:英国は16歳で進路を決め、高校(Sixth Form)で専門科目を徹底的に学ぶため。一般教養中心の日本の高校生とは「専門知識のギャップ」がある。
- 王道ルート:ギャップを埋める「ファウンデーションコース(1年)」を経由するのが基本。大学は3年制なので、トータル4年(日本と同じ)で卒業可能。
- 裏ワザ:成績優秀なら、大学1年次相当の「IYO(International Year One)」を使い、最短3年で卒業するルートもある。
- 結論:「遠回り」ではない。準備コースは英国式教育に慣れるための必須ステップ。
詳しくは記事本編で徹底解説!👇
目次
イギリスの教育制度の特徴と全体の流れ
まずはイギリスの教育制度の全体像とその特徴を見ていきましょう。
※この記事ではスコットランドを除くイングランド・ウェールズ、北アイルランドの教育制度をご紹介します。
全体像とイギリス教育制度の特徴:早期の進路選択と専門特化
イギリスの教育制度では、5歳から16歳までの11年間が義務教育(Compulsory Education)です。
義務教育をスタート地点として、継続教育(16〜18歳)、高等教育(18歳以降)へと段階的に進んでいく、3層構造になっています。
【表】イギリスの教育制度の全体の流れ
| 年齢 | year | 教育区分 | 試験・資格 | 学習のスタンス | 日本の目安 |
| 5-11 | Year 1-6 | 義務教育(Primary ) | 基礎学力の土台づくり | 年長~小5 | |
| 11-16 | Year 7-11 | 義務教育(Secondary ) | GCSE | 14歳(Y10)から科目を絞り、専門の入り口へ | 小6~高1 |
| 16-18 | Year 12-13 | 継続教育 (Sixth Form / College) | Aレベル・IBなど | 大学レベルの専門基礎に集中する(3〜4科目) | 高2~高3 |
| 18+ | 1〜3年生 | 高等教育 (University) | 学士号 | 一般教養なし。初年度から専門研究 | 大学 |
特徴的なのは、義務教育終了時(16歳、日本の高校1年相当)に受験する全国統一試験「GCSE」の存在です。この試験結果をもとに、大学進学・職業教育・就職といった進路が制度上、明確に分かれます。
多くの生徒は Sixth Form や College と呼ばれる進学準備校のような学校に進み、Aレベル(A-Level)やIB(国際バカロレア)といった大学進学用の資格を履修します。
日本の高校のように「全科目を幅広く学ぶ」のではなく、将来進みたい専攻に直結する3〜4科目だけを選び、2年間かけて集中的に勉強するため、大学入学時点ですでに志望分野の基礎が固まっているのがイギリスの大学進学の特徴です。
短期間で高度な学位取得が可能な、非常に合理的な教育構造だといえるでしょう。
義務教育から大学までの流れと学びの特徴
各段階について、もう少し詳しく見ていきましょう。
義務教育(初等教育・中等教育)
イギリスの義務教育(Compulsory Education)は、5歳から16歳までの11年間で、以下の2段階で構成されています。
- Primary School(5〜11歳/Year 1〜6): 読み書き・計算の基礎に加え、自律的な学習習慣の土台を築きます。
- Secondary School(11〜16歳/Year 7〜11): 教科別の学習が本格化し、学習内容も一段と専門的になります。特に Year 10以降は、後述する「GCSE」に向けて、将来の進路を意識した科目選択が始まります。
GCSE(全国統一試験)
GCSE(General Certificate of Secondary Education)は、義務教育の修了時に受験する全国統一試験です。
英語・数学などの必修科目に加え、人文や芸術、ITなど多彩な選択科目から自分の関心に合わせて受験します。
この成績は「生涯有効な資格」として履歴書にも記載され、大学進学、職業教育、あるいは就職といった16歳以降の進路を決定づける非常に重要な指標となります。
継続教育
義務教育を終えると、将来のキャリアに向けた専門性を高める「継続教育(Further Education)」へと進みます。ここでは目標に合わせて道が大きく2つに分かれます。
- 大学進学ルート(アカデミック):
履修科目を3〜4科目に絞り、志望分野を大学レベルに近い深さまで集中的に学習。イギリス大学への「正式な入学資格」となるAレベル(A-Level)またはIB(国際バカロレア)の取得を目指します。2年間の学習成果と最終試験の結果がそのまま大学の合格判定に使われます。 - 職業ルート(プロフェッショナル):
BTECなどの職業資格取得や、働きながら学ぶ見習い制度(Apprenticeship)を選択。実践的なスキルを磨き、即戦力として専門職や就職を目指します。
高等教育(大学)
イギリスの大学(学部課程)は原則3年制(スコットランドは4年制)です。
最大の特徴は、日本の大学のような「一般教養期間」がほとんどなく、入学初日から専攻分野の専門教育が始まる点にあります。
高校段階(継続教育)ですでに専門基礎を固めていることが前提となっており、短期間で高度な専門性を身につける合理的な設計となっています。




日本とイギリスの教育制度・学校制度の違い|留学生向け3つのポイント
ここからは、日本とイギリスの教育制度の比較をとおして、留学を検討している学生が知っておきたいポイントを整理します。
イギリス進学を目指すなら、「大学に入ってから考えればいい」というスタンスでは間に合いません。
16歳時点で進路が分かれる現地生に遅れを取らないよう、早い段階から「何を学びたいか」を主体的に考える姿勢が求められます。
高校卒業時の到達レベル(基礎学力 vs 専門特化)
- 日本: 高校では主要5教科を中心に履修し、大学進学後に専門を選べるよう総合的な基礎学力を養う。
- イギリス:Sixth FormやCollegeでは履修科目を3〜4科目に絞り込み、大学レベルの専門基礎を掘り下げる。
広範な基礎知識を修めた証明である日本の「高校卒業資格」とはギャップが生じるわけです。
この差を埋めるために、日本の高校卒業生はファウンデーションコースやInternational Year One(IYO)を経由し、イギリスの大学教育に必要な専門基礎を身につけてから本科へと進むのが一般的です。
大学での学び方(柔軟な選択 vs 早期の選択)
日本の大学が「入学後に適性を見極める」柔軟な構造であるのに対し、イギリスは「入学初日からプロフェッショナルとしての専門教育」が始まる直進型の構造です。
- 日本: 4年制が主流で、最初の1〜2年は一般教養を幅広く学ぶ。
- イギリス: 学部は3年制(スコットランドを除く)で、入学初日から専門課程に特化。日本のような一般教養課程はなく、途中の専攻変更も原則不可能。
学期構造とリズム(前後期制の余裕 vs 高密度な3学期制)
日本の大学が約半年かけて緩やかに1科目を学ぶのに対し、イギリスはわずか10〜12週間の短いサイクルで、高密度に専門科目を履修・完結させていきます。
- 日本:4月開始・2学期制。 夏・冬・春の長期休暇を区切りとした「前後期制」が一般的。学期の期間が長く、学習のリズムも比較的ゆとりがある。
- イギリス:9月開始・3学期制。 各学期が10〜12週間と非常に短いため、息つく暇もなく集中的に専門科目を履修し、課題をこなす必要がある。
そして年度末の「夏学期」は、1年間の集大成となる試験や課題に全力を注ぐ「勝負の期間」となります。日本以上に、年間を通じて自分を律し続ける「自立した学習スタイル」が、合格したその日から求められます。


日本の高校生がイギリス大学進学を実現する3つのルート
日本の高校を卒業してイギリスの大学を目指す場合、ここまで解説してきた「専門性のギャップ」を埋めるためのステップが必要です。
大きく分けて、以下の3つの進学ルートが主流となります。
方法1. ファウンデーションコース(大学準備課程)経由
日本の高校卒業後、最も一般的で確実なルートです。大学本科(3年間)に入る前に、留学生用の「準備期間」を1年間設けます。
- 目的: 不足している「専門基礎」と「アカデミック英語」を補う
- 期間: 1年(準備)+ 3年(大学本科)= 計4年
- こんな人に: 志望分野を基礎から学びたい人、確実に大学合格を目指したい人
方法2. International Year One(IYO)経由
「大学1年次」と「留学生向けサポート」が組み合わさった特別なプログラムです。修了後は大学の2年生に編入できるため、期間を短縮できます。
- 目的: 1年分の単位を取得しながら、留学生向けの学習サポートを受ける
- 期間: 1年(IYO)+ 2年(大学本科)= 計3年
- こんな人に: 期間と学費を抑えたい人、高校時代の成績や英語力が比較的高めの人


方法3. 大学本科への直接出願
準備課程を経ず、いきなり大学1年生として入学するルートです。
- 条件: 日本の高校卒業資格のみでは原則不可。国際バカロレア(IB)取得者や、A-Level、または日本の大学を1〜2年修了している場合などに限られる。
- 期間: 3年
- こんな人に: すでにイギリスの進学資格(IB等)を持っている人
There is no Magic!! と一緒にイギリス大学への一歩を踏み出してみよう




「イギリスの大学は進学しにくい」というイメージがあるかもしれませんが、きちんと制度を理解すれば、イギリス大学留学は特別な人だけの道ではありません。
ただし、日本の大学受験とは大きく異なるしくみの中で、
- 「本当にイギリス大学は自分に最適?」
- 「ファウンデーションやIYOってどうやって選ぶの?」
- 「自分の成績で行ける大学はある?」
など不安が次々に湧いてくるのは当然のことです。
そんな不安がある方は、ぜひThere is no Magic!!の「並走型出願サポート」をご利用ください。
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留学先や志望校が未定の場合や、英語力に不安がある場合でも、 現在の条件を踏まえて、選択肢を整理するところから検討できます。
一緒に不安をひとつずつ解消していきましょう!

中高生から始める「ボーディングスクール留学」という選択肢
イギリスの教育制度に最も深く、かつ早い段階から適応するルートとして、ボーディングスクール(Boarding School)への留学があります。
現地の学生と全く同じステップで大学進学を目指すルートで、アジアの教育熱心な層(シンガポール、香港、中国など)に人気です。
費用はかかりますが、オックスフォードやケンブリッジ(オックスブリッジ)、医学部といった超難関校への合格率を最大化させるルートと言えます。
ボーディングスクールとは|寄宿制で学ぶイギリスの名門私立校
イギリスの学生の約9割は地元の公立校に通っていますが、より高い教育水準や難関大学への進学実績を求める家庭が選ぶのが、私立の寄宿制学校であるボーディングスクールです。
- 24時間の共同生活(ハウス制)
生徒は親元を離れ、教師や仲間と寮生活を送ります。ハウス(寮)単位での活動を通じて、協調性・リーダーシップ・自立心が日常的に鍛えられます。 - 広大なキャンパスと課外活動
歴史的建造物や広大な敷地を持つ学校が多く、スポーツ、音楽、演劇、ディベートなど多彩な活動が用意されています。これらは大学出願時にも評価される重要な要素です。 - 少人数制による手厚い学習サポート
1クラス数名〜十数名程度の少人数教育が基本で、学力だけでなく個々の適性に応じた進学指導が行われます。
この環境で過ごす数年間は、単なる学力向上だけでなく、世界中に広がる「一生もののネットワーク」を築く貴重な機会となります。

ボーディングスクール留学の2つのパターン
ボーディングスクール最大の強みは、ファウンデーションコースを経由せず、現地生と同じ資格で大学に出願できる点です。
入学時期によって、主に次の2パターンがあります。
- GCSE課程から入学(14〜15歳で渡英)
Aレベルが始まる前の段階から現地に入り、GCSE → Aレベルという王道ルートをそのまま歩きます。英語力や授業スタイルに十分慣れたうえでAレベルに進めるため、学力面・精神面ともに安定しやすく、成功率が最も高いパターンです。 - Sixth Form(Aレベル課程)から編入(16〜17歳で渡英)
日本の高校1年修了後などに、Aレベル2年間のみ留学する方法です。準備期間が短いため難易度は高くなりますが、高い学力と明確な目標がある場合、短期間で難関大学を狙える選択肢となります。
準備の難易度は高いですが、そこで得られる国際的な視野と「直接進学」の切符は、世界を舞台に活躍するための最強の武器になるでしょう。
よくあるQA
Aレベル(A-Level)とはどのような資格ですか?日本でも取得できますか?
A-Levelは、イギリスの「大学入学資格」であり、高校卒業程度の国家資格です。
16歳〜18歳の2年間で、自分の得意な、あるいは志望学部に必要な3〜4科目のみを徹底的に深く学びます。
日本でも、イギリス系のインターナショナルスクールや、オンラインプログラムを導入している一部の私立高校などで取得できます。
ただし、一般的な日本の高校に通いながら並行して取得するのは、学習量の面から非常にハードルは高いです。
IB(国際バカロレア)とはどのような資格ですか?日本でも取得できますか?
世界共通の大学入学資格です。日本でも「IB認定校」であれば取得できます。
3科目に絞るAレベルとは対照的に、6つの分野(言語・社会・科学・数学など)を幅広く学び、論文執筆や社会貢献活動も行うバランス重視のカリキュラムです。
近年、文部科学省が導入を推進しているため、インターナショナルスクールだけでなく、一条校(日本の学習指導要領に従う一般的な高校)の中にも「IB認定校」が増えています。
こうした学校の「IBコース」を修了することで、日本にいながらにして取得が可能です。
イギリスの学校や大学には、公立・私立・国立の違いはありますか?
イギリスの大学はほぼすべてが国立で、どの大学でも一定以上の教育水準が保証されています。そのため、大学の設置形態による質の差を過度に心配する必要はありません。
一方で、大学進学前の中等教育(中学・高校)では、公立と私立で進学環境に違いがあります。
- 公立校(State School)
授業料は無料で、地元の生徒が通う一般的な学校です。多くのイギリス人がこのルートを選びます。 - 私立校(Independent / Private School)
授業料は高額ですが、少人数教育や進学指導が充実しています。特に伝統的な名門校は 「パブリック・スクール」 と呼ばれ、オックスフォードやケンブリッジなど難関大学への高い進学実績を誇ります。
なお、記事中で紹介しているボーディングスクール(寄宿制学校)は、こうした私立校の一形態であり、全寮制または一部寮制を採用している学校を指します。
イギリスの学校制度は「階級社会」に関係があると聞きました
はい、現在でも教育と家庭の経済力・社会階層は一定程度関係しています。
イギリスでは、大学進学を目指す場合、中学校(Secondary School)段階でどの学校に進むかが、その後の高校段階(Sixth Form)や大学選択に影響しやすいため、早い段階から学校選択が重視されます。
そのため、多くの家庭では中学校入学時点で受験を行い、教育水準の高い学校を目指します。
公立校の中にも入学選抜を行う Grammar School がありますが、特に高い評価を受けているのが私立の名門校です。
イートン校やハロウ校、ラグビー校に代表されるパブリック・スクールは、難関大学への高い進学実績で知られています。一方で学費は非常に高額で、イートン校では年間で日本円換算1,000万円を超える水準となっています。
このように、家庭の経済力や出身階級によって、受けられる教育環境や進路の選択肢に差が生じやすい点は、現在もイギリス社会の課題とされています。
まとめ:イギリス大学進学は「教育制度の理解」が成功の鍵
イギリスの教育制度は、16歳という早い段階で将来の方向性を決める「合理的かつ専門性の高い」しくみです。
日本の高校生がこの厚い壁を乗り越えて進学を実現するには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
- 「専門分野」を早めに言語化する
一般教養課程がない分、出願時点で学びたい分野や将来像をある程度固めておく必要があります。 - 自分に合った進学ルートを選ぶ
ファウンデーション、IYO、直接出願など、学力・英語力・予算・志望校によって最適解は異なります。 - 自立した学習スタイルを身につける
短い学期で大量の課題をこなすイギリスの大学では、主体的に学ぶ姿勢そのものが評価対象になります。
イギリスの大学での3年間は、単なる勉強以上の価値、そして世界基準の専門性をあなたに与えてくれます。
もし、少しでも「挑戦してみたい」と思ったら、一緒に一歩を踏み出してみましょう!
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