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イギリスには、世界的に評価される大学や、特定の分野を専門的に学べるコースが数多くあります。多国籍な学生と学びながら、歴史や文化を身近に感じられる環境に魅力を感じる人も多いでしょう。
一方で、イギリス大学留学がすべての人に合うとは限りません。同じ特徴でも、人によっては魅力に感じることもあれば、負担に感じることもあります。
留学後に後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットも知ったうえで、自分に合う進学先かを考えることが大切です。
この記事では、イギリスの大学・大学院への正規留学を対象に、メリットとデメリットを分かりやすく整理します。
さらに、マンチェスター大学・UCL・ヨーク大学で学んだ3名の日本人経験者の体験談も紹介します。
制度上の特徴だけでなく、授業や専攻選び、学生生活の実際も知りながら、イギリス大学留学が自分の目的や条件に合う選択肢かを考えてみましょう。
※この記事は、イギリスで学位取得を目指す方とその保護者を対象としています。語学留学・ワーキングホリデーは扱いません。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏への留学経験がない状態からIELTS 8.0、TOEFL 104、GRE 322を取得。コロンビア大学、ペンシルベニア大学、ニューヨーク大学、メルボルン大学教育大学院などへの合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。株式会社MAGEEEK代表として、海外大学・大学院の出願支援や進路設計に携わる。
記事の調査方法
本記事は、英国大学出願機関UCAS、ブリティッシュ・カウンシル、英国高等教育統計局(HESA)、GOV.UK、各大学が公表する情報と、There is no Magic!!が実施した日本人学生・卒業生へのインタビューをもとに編集しています(2026年8月2日調査)。
修業年数、授業形式、就労・ビザ制度は、大学・コース・申請時期によって変わります。出願時には、志望大学と英国政府の最新情報をご確認ください。
- 専門教育:1年次から選んだ分野を深く学べる一方、出願前の専攻・コース選びが重要
- 期間と費用:学士3年・修士1年のコースが多いが、年間費用や進学ルートによっては卒業総額が大きくなる
- 学習方法:文献の読解、議論、エッセイ、研究を通して力を伸ばせる一方、主体的な学習と自己管理が求められる
- 留学生活:多様な背景を持つ学生と学べるが、交流や大学の支援を生かすには自分から動くことも必要
- 卒業後:英国で仕事を探せる制度はあるが、就職や長期滞在が保証されるわけではない
目次
イギリスの大学はどんなところ?留学前に知りたい5つの特徴
イギリスは、世界各国の学生に選ばれている主要な留学先の一つです。
その理由は、英語圏で学べることだけではありません。イギリスの大学には、1年次から専門分野を深く学べるしくみや、議論や研究を重視する学習環境など、日本の大学とは異なる特徴があります。
また、イングランドなどでは学士3年・修士1年のコースが多く、比較的短期間で学位取得を目指せることも魅力の一つです。
実際に英国の高等教育機関では、学生のおよそ4人に1人が海外学生です。世界各国から集まる学生と学びながら、専門知識に加えて、自分で調べ、考え、伝える力を伸ばす機会があります。
ここでは、イギリス大学の主な特徴と、そこから得られる学びや経験を5つに分けて見てみましょう。
| 項目 | イギリス大学の特徴 | 留学するメリット |
|---|---|---|
| 専門教育 | 出願時に専攻(Course)を選び、1年次からその分野を中心に学ぶ | 専門知識や研究方法を早い段階から身につけられる |
| 修業年数 | イングランドなどでは、学士3年・修士1年のコースが多い | 比較的短期間で学位取得を目指し、進学や就職へ早く進みやすい |
| 学習方法 | 講義に加え、文献の読解、議論、エッセイ、発表、研究などに取り組む | 調査力、論理的思考力、自分の考えを伝える力を伸ばしやすい |
| 国際環境 | 世界各国から学生が集まり、多様な文化や社会的背景を持つ人と学ぶ | 異なる価値観や考え方に触れ、多様な立場から物事を考えられる |
| 大学と街 | 大学のある街ごとに、歴史・文化・産業など異なる特色がある | 街での体験を通して、教室の外にも学びや関心を広げられる |
※修業年数、授業形式、留学生の割合、学習環境は、大学・専攻・進学ルートによって異なります。
※「項目」を押すと、それぞれのメリットの解説へ移動できます。
ただし、こうしたメリットの多くには、表裏一体となる注意点もあります。
早くから専門分野を深く学べる反面、入学後に専攻を変更しにくい場合があります。また、議論や研究を通して考える力を伸ばせる一方で、授業外の予習や課題を自分で計画して進めることも求められます。
メリットとデメリットの両方を理解したうえで、イギリス大学留学が自分の目的や学習スタイルに合っているかを考えることが大切です。


イギリス大学留学の5つのメリット

ここからは、先ほど紹介した5つのメリットを、実際に留学した先輩たちの体験談を交えながら詳しく見ていきましょう。
あわせて、それぞれのメリットを生かすために、出願前に確認したいポイントも整理します。
1.専門分野を早い段階から深く学べる
イギリスの学士課程は、出願時に選んだ専攻分野を1年目から学ぶのが一般的です。
UCASの学位制度案内でも、イギリスの学士課程は選択した専攻分野に重点を置き、一般教養科目を含まないことが一般的だと説明しています。
例えば心理学では、基礎理論だけでなく研究方法や統計、実験などにも早い段階から取り組みます。美術史では、作品や時代背景を学びながら、セミナーやフィールドワークを通じて研究手法を身につけます。
専門性を深めやすいことは、学びたい分野がある程度決まっている人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
💡ポイント|専攻名だけでなく、授業内容まで確認しよう
専門分野を早い段階から学ぶからこそ、出願前に専攻内容をよく確認することが大切です。例えば同じ「心理学」でも、統計や実験を重視する大学もあれば、発達心理学や社会心理学を幅広く学べる大学もあります。
専攻名だけで選ぶと、入学後に「興味の薄い必修科目が多い」「学びたかった分野の授業が少ない」と感じるかもしれません。出願前に、次の項目を確認しましょう。
- 授業科目:具体的にどのようなテーマ・必修科目があるか
- 授業・評価方法:試験、エッセイ、実験、プレゼンなどの比重
- 実習・就業機会:Placement Yearやフィールドワークの有無
- 卒業後の進路:主な就職先や大学院進学実績
大学・専攻ごとの学生評価や卒業後の進路は、英国の公式比較サイトDiscover Uniでも確認できます。

2.学士3年・修士1年のコースが多い
イギリスの多くの学士課程は3年制です。修士課程は、1年間で修了できるコースが多くあります。
4年制の学士課程や2年制の修士課程と比べて、学位取得までの期間を短くし、大学院進学や就職へ早く進みやすいことがメリットです。
在学期間が短くなれば、その分の学費や生活費を抑えられる可能性もあります。
💡ポイント|自分の場合は卒業まで何年かかるか確認しよう
ただし、イギリスの学士課程がすべて3年制というわけではありません。イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは3年制が一般的ですが、スコットランドでは通常4年制です。
さらに、進学ルートや選ぶプログラムによっても、卒業までの年数は変わります。
- ファウンデーションコース経由:準備課程約1年+学部課程3~4年
- Placement Year・Year Abroad付きのコース:就業体験や海外留学を加えるため、通常より1年長くなる場合がある
修士課程も1年制が多いものの、研究や実習を含むコースなどでは、修了までに2年以上かかる場合があります。
「イギリスの学部は3年、修士は1年」という情報だけで判断せず、自分が利用する進学ルートとコース内容を含めた年数を確認しましょう。
日本から利用できる進学方法と卒業までの期間は、イギリス大学の5つの進学ルートと入学条件で詳しく比較しています。

3.議論・論文・研究を通して考える力を伸ばせる
イギリスの大学では、講義で知識を得るだけでなく、少人数のセミナー、実験・実習、プレゼンテーション、エッセイなどを組み合わせて学びます。
授業前に文献を読み、授業中に議論し、授業後にレポートや研究として考えをまとめるのが、代表的な学習の流れです。
イギリス大学での学習の流れ
- 授業前:論文や本を読み、論点や疑問を整理する
- 授業中:講義やセミナーで知識を深め、異なる意見を検討する
- 授業後:エッセイ、研究、実験、発表などで考えをまとめる
- 課題返却後:教員の講評を確認し、次の課題へ生かす
こうした学習を通して、根拠をもとに考え、自分の意見を論理的に伝える力を伸ばせます。
専門知識に加えて、調査力、批判的思考力、文章力、プレゼンテーション力を身につける機会があることもメリットです。
ただし、授業形式や評価方法は大学・専攻によって異なります。試験、エッセイ、プレゼンテーションなどの割合を確認し、自分に合う学び方かも比較しましょう。
🎓 体験談|ヨーク大学で美術史を学んださな子さん
さな子さんは、講義で学んだ内容を少人数のセミナーで議論し、その内容を英語のエッセイへまとめていました。講義を聞くだけでなく、考え、議論し、自分の言葉で伝えるところまでが大学での学びだったそうです。
※詳しい体験談は、記事後半で紹介しています。

4.多国籍な学生と学び、異なる価値観に触れられる
イギリスの大学には、世界各国から学生が集まっています。
HESAの公式統計によると、2024~25年度に英国の高等教育機関で学んだ海外学生は68万5,565人で、全在籍者の約24%を占めています。
大学によっては、その割合がさらに高くなります。例えばUCLの公表値では、2024~25年度の学生の52%が海外学生でした。
授業やグループワークでは、異なる教育・文化・社会的背景を持つ学生と意見を交わします。自分にとって当然だった考え方を見直し、異なる立場から物事を考えられることは、イギリス大学留学のメリットです。
💡ポイント|国際的な環境を生かせる交流の機会も確認しよう
海外学生が多い大学でも、自然にさまざまな国の友人ができるとは限りません。特に都市型大学では、教室や寮が市内に分散し、同じ学生と継続的に会う機会が少ない場合もあります。
大学を比較するときは、留学生の割合とあわせて、継続して人と会い、関係を築けるしくみがあるかも確認しましょう。
- セミナー・グループワーク:異なる前提や立場から同じテーマを考える
- クラブ・サークル:専攻や学年を越えて、共通の関心を持つ学生と交流する
- 寮・シェア住居:生活習慣や価値観の違いを知り、共同生活のルールを考える
- ボランティア・地域活動:大学外の地域や世代の異なる人と関わる
🎓 体験談|UCLで感じた国際環境
UCLで学んだLunaさんの周囲には、中国、アメリカ、韓国、レバノンなど、さまざまな国・地域の学生がいました。留学生として自分が少数派だと感じることは、ほとんどなかったそうです。一方、交友関係を広げるには、サークルやイベントなどへ自分から参加することも大切だったと振り返っています。
※詳しい体験談は、記事後半で紹介しています。
5.街の歴史・文化・産業を学びにつなげられる
イギリスでは、大学のある街の歴史・文化・産業を、授業や研究に生かせる場合があります。
美術史を学ぶ学生にとっては、美術館、博物館、教会、歴史的建築なども学びの場になります。政治・国際関係では議会や研究機関、ビジネス・金融では企業イベントや就業体験などが、専攻への理解を深める機会になります。
教室で学んだ内容を、実際の作品、場所、人、仕事と結びつけて考えられることもメリットです。
💡ポイント|街の知名度ではなく、授業とのつながりを確認しよう
有名な美術館や企業、研究機関が近くにあっても、それらを授業や就業体験で利用できるとは限りません。
「ロンドンだから機会が多そう」「歴史的な街だから専門分野に合いそう」という印象だけでなく、実際のカリキュラムを確認しましょう。
- フィールドワーク・実地見学:授業に含まれるか、参加頻度や追加費用はどのくらいか
- 企業・外部機関との連携:実践的なプロジェクトや外部講師による授業があるか
- 就業体験:全員が参加できるか、選考や追加の費用・期間があるか
- 都市・立地:住居費や交通費を含め、無理なく生活できる場所か
大都市には多くの機会がある一方、住居費や交通費が高くなる場合があります。地方都市でも、専攻に強く、授業と地域の資源が結びついた大学はあります。その場所で得られる経験が、自分の専攻や将来の目標につながるかを基準に比べましょう。
🎓 体験談|ヨークの街並みを美術史の学びにつなげたさな子さん
ヨーク大学で美術史を学んださな子さんは、教会や歴史的な街並みを、中世美術の学びと結びつけていました。美術館や教室の中だけでなく、大学のある街そのものが、作品や歴史を身近に考える環境になっていたそうです。
※詳しい体験談は、記事後半で紹介しています。


イギリス大学留学前に知っておきたい5つのデメリット
ここまで紹介してきたイギリス大学留学のメリットも、人によっては、デメリットになることがあります。また、学費や生活費、卒業後の進路など、留学前に確認しておきたいこともあります。
ここからは、イギリス大学留学の5つのデメリットを、実際に留学した先輩たちの体験談も交えながら詳しく紹介します。
入学後に「思っていたのと違った」とならないために、出願前に確認しておきたいポイントもあわせて見ていきましょう。
1.学費・生活費の負担が大きい
イギリス大学留学では、留学生向けの学費に加えて、住居費、食費、交通費、ビザ、渡航費などが必要です。
学費は大学・専攻によって異なり、実験や実習の多い専攻では高くなる傾向があります。生活費も、ロンドンなど住居費の高い都市では負担が大きくなります。
また、学部課程が3年制でも、1年間にかかる費用が高ければ、卒業までの総額が安くなるとは限りません。
一般的な日本の高校卒業資格からファウンデーションコースを経由する場合は、準備課程約1年分の学費・生活費も加わります。
💡ポイント|年間学費ではなく、卒業までの総額を計算しよう
資金計画を立てるときは、次の費用を含めて計算しましょう。
- 大学へ支払う費用:授業料、必須諸費用、実験・実習・制作などの費用
- 毎月の生活費:寮費・家賃、食費、交通費、通信費、日用品
- 渡航・在留に必要な費用:学生ビザ、移民医療付加料(IHS)、航空券、住居の保証金
- 追加期間の費用:ファウンデーションコース、就業体験、海外留学プログラムなど
- 変動への備え:授業料の改定、為替変動、緊急時の予備費
学生ビザ申請で求められる資金証明額は、実際の生活費と同じではありません。大学が示す生活費や寮費を使い、家庭で必要になる予算を別に計算しましょう。
資金証明額や大学・専攻別の学費、都市別の生活費、進学ルートごとの卒業総額は、イギリス大学の学費・留学費用で詳しく解説しています。

2.主体的な学習と自己管理が求められる
イギリスの大学では、授業への出席に加えて、授業外の予習や課題を自分で進めることが前提です。
講義やセミナーの前に文献を読み、授業後にはエッセイ、研究、発表、実験レポートなどに取り組みます。
複数の課題や試験の締切が重なることもあるため、予定を確認し、自分で学習計画を立てて進める必要があります。
時間割に入っている授業が少なく見えても、その空き時間を自主学習に充てる必要があり、授業と自主学習を合わせると、週35~40時間程度の学習を想定するコースもあります。
💡ポイント|時間割ではなく、授業と自主学習の合計を確認しよう
例えば、美術史学士課程では、次の学習時間が示されています。
※個別の専攻例です。実際の授業時間や学習量は、大学・専攻・学年によって異なります。
時間割の空き時間も、予習や課題に取り組む時間として考える必要があります。出願前には、授業と自主学習を合わせた学習時間、評価方法、卒業論文や実習の有無を確認しましょう。
大学の学習相談やライティング支援については、British Councilの留学生向け案内も参考になります。
🎓 体験談|統計・実験と複数のテストに取り組んだRionさん
Rionさんは、マンチェスター大学の心理学部2年次から統計や実験の授業が始まり、学期ごとに複数のテストがあったため、特に集中して勉強したと振り返っています。
※詳しい体験談は、記事後半で紹介しています。

3.入学後に専攻を変えにくい場合がある
1年次から専門分野を深く学べることは、学びたいことが決まっている人にとって大きなメリットです。
一方、大学へ入ってから幅広い分野を学び、その後に専攻を決めたい人には、選択肢が狭く感じられることがあります。
大学内で専攻変更が認められる場合もありますが、空き定員、成績、履修済みの科目、変更時期などによって判断されます。
変更によって、卒業時期や学費に影響したり、学生ビザの手続きが必要になったりする場合もあります。
💡ポイント|専攻に迷っている場合は、選択肢の幅を確認しよう
出願前には、現在の関心だけでなく、興味が変わった場合にどのような選択肢が残されているかも確認しましょう。
- 各学年の必修科目:卒業までに学ぶ内容が自分の関心と合っているか
- 選択科目の幅:同じ専攻内で学ぶ分野を調整できるか
- 複数分野を学べるコース:2つの分野を組み合わせるコースや学際的なコースがあるか
- 専攻変更の条件:変更できる時期、必要な成績、空き定員、追加の年数や費用
- 専門認証への影響:履修科目の変更によって、資格や専門職に必要な条件から外れないか
まだ専攻を一つに絞り切れない場合は、複数分野を組み合わせられるコースや、1年次に関連分野を幅広く学べるコースも比較してみましょう。
ファウンデーションコースも、修了後に自由に専攻を選べるとは限りません。どの大学・専攻へ進めるプログラムなのかを事前に確認することが大切です。

4.英語や生活環境に慣れるまで時間がかかる
IELTSなどで必要なスコアを満たしていても、現地の授業や生活にすぐ対応できるとは限りません。
講義では多様なアクセントの英語を聞き取り、セミナーでは内容を理解したうえで、その場で自分の考えを伝える必要があります。
寮やシェア住居でも、生活習慣の異なる学生とルールを決めたり、困っていることを自分から伝えたりする場面があります。
さらに、イギリスの冬は日が短く、生活リズムや気分に影響することもあります。英国気象庁(Met Office)によると、冬至ごろの日の出から日没までの時間は約7時間50分です。
💡ポイント|渡航前に生活面の備えと相談先を確認しよう
環境の変化をすべて避けることはできませんが、起こりやすい戸惑いと相談先を知っておくと対応しやすくなります。
- 授業で使う英語:講義を聞く練習に加え、質問や聞き返し、自分の意見を伝える表現を準備する
- 住居:契約期間、休暇中の利用条件、共同生活のルール、住居担当窓口を確認する
- 冬の生活:睡眠・食事・運動のリズムを整え、無理なく外出できる習慣をつくる
- 相談先:国際学生課、学業アドバイザー、学生相談、住居担当窓口の利用方法を確認する
大学には、学習面だけでなく、生活や心身の悩みを相談できる窓口があります。こうした支援は自分から予約・相談して利用するものも多いため、入学後の早い段階で場所と申込方法を確認しておきましょう。
大学で利用できる支援については、British Councilの留学生向け支援案内も参考になります。
🎓 体験談|頑張りすぎず、少しずつ生活に慣れていく
Lunaさんは、勉強を頑張りすぎて心身の調子を崩した経験から、休むことや周囲に助けを求めることの大切さを学びました。
さな子さんもヨークの冬を厳しいと感じましたが、現地で生活を続けるうちに少しずつ適応していったそうです。
※詳しい体験談は、記事後半で紹介しています。
5.卒業後に滞在できても、現地就職が決まるとは限らない
イギリスには、対象となる課程を修了した留学生が、卒業後も国内で働いたり仕事を探したりできるGraduate visa(卒業生ビザ)があります。
2026年8月時点の滞在可能期間は、次のとおりです。
Graduate visaの滞在可能期間
- 2026年12月31日までに申請:2年間
- 2027年1月1日以降に申請:18か月間
- 博士号などの取得者:3年間
※滞在期間は大学への入学時期ではなく、Graduate visaの申請日によって決まります。これから学部留学を始める場合は、現在の制度が続けば18か月の対象となります。
Graduate visaでは、雇用主によるビザのスポンサーを受けなくても、多くの仕事に就いたり就職活動をしたりできます。
ただし、Graduate visaは就職先を紹介したり、就職を保証したりする制度ではありません。希望する仕事に就けるかは、専攻、職務経験、英語力、採用時期、求人状況などにも左右されます。
また、Graduate visaは延長できません。長くイギリスで働くには、条件を満たす仕事に就き、Skilled Worker visa(技能労働者ビザ)など別の在留資格へ切り替える必要があります。
💡ポイント|現地就職を希望するなら、在学中から準備しよう
卒業後に慌てて仕事を探すのではなく、出願前や在学中から次の点を確認しておきましょう。
- 専攻と仕事のつながり:学んだ内容を生かせる職種や業界があるか
- 職務経験:インターンシップや就業体験に参加できるか
- キャリア支援:求人紹介、応募書類の添削、面接対策などを利用できるか
- 卒業生の進路:卒業生がどの国・業界・職種へ進んでいるか
- 長期滞在の条件:希望職種から就労ビザへの切り替えを目指せるか
Graduate visaの対象者や期間、就労条件は変更される可能性があります。出願時だけでなく、卒業が近づいた時点でもGOV.UKのGraduate visa公式案内を確認してください。

📎イギリス大学留学が自分に合うか、もう少し具体的に考えたい方へ
メリット・デメリットだけでなく、自分の履修歴・成績で利用できる進学ルート、入学条件、卒業までにかかる費用、必要な準備まで見ていくと、イギリス大学留学が自分に合う選択肢かどうかをより具体的にイメージできます。
総合ガイドでは、進学ルートから大学選び、出願準備まで、イギリス大学留学を検討するうえで知っておきたい情報をまとめています。気になるテーマからチェックしてみてください。
経験者3名に聞く、イギリス大学留学の実際
ここまで紹介してきたメリットやデメリットも、大学や専攻、留学する人の目標によって、感じ方はさまざまです。
そこで、There is no Magic!!が取材した3名が、イギリスの大学で何を学び、どこに魅力を感じ、どのようなことに苦労したのかをご紹介します。
| 経験者 | 進学ルート・専攻 | 感じた魅力 | 大変だったこと |
|---|---|---|---|
| Rionさん | 日本の高校→IFY(国際進学準備課程)→マンチェスター大学・心理学 | 専門性の高い授業、批判的思考力、キャリア支援 | 統計・実験を含む2年次以降の学習負担 |
| Lunaさん | 国際バカロレア(IB)校→UCL・学際的な学士課程 | 国際的な環境、少人数セミナー、ロンドンでの学び | 大量の文献の予習と課題、心身の管理、人間関係づくり |
| さな子さん | 日本の高校→ファウンデーションコース→ヨーク大学・美術史 | 歴史都市と専攻がつながる環境、講義とセミナー | アカデミック英語、エッセイ、冬の生活への適応 |
※所属・学年は取材時または記事公開時の情報を含みます。学習環境や感じ方は人によって異なるため、3名の経験の一例としてお読みください。
Rionさん|心理学を専門的に学び、考える力を身につけた

Rionさんは、日本の私立中高を卒業後、日本で国際進学準備課程(International Foundation Year/IFY)を修了し、マンチェスター大学の心理学士課程(BSc Psychology)へ進学しました。
日本の大学も検討しましたが、心理学を1年次から3年間集中的に学べる環境に魅力を感じ、イギリス進学を選びました。
大学では心理学の理論に加え、統計、実験、研究方法なども学びました。特に2年次は、実践的な授業や複数のテストがあり、集中的に勉強する必要があったそうです。
学習は大変でしたが、物事を多角的に考え、自分の言葉で論理的に伝える力が身についたと振り返っています。
イギリスでは、出願時に専攻を選び、1年次からその分野を中心に学びます。入学後の専攻変更が難しい場合もあるため、大学の知名度やランキングだけでなく、希望する内容を学べるか、将来の進路につながるコースかを出願前に確認することが特に重要です。
Rionさんは、心理学を集中的に学び、関心のあった臨床心理学の実験について学びたいと考えて、イギリス進学を選びました。さらに、IFYから進学できる大学を比較するなかで、心理学課程が英国心理学会(BPS)の認証を受けていることも確認し、マンチェスター大学を選びました。

Lunaさん|多様な環境で、自分の意見を伝える力を身につけた

Lunaさんは、国際バカロレア認定校から柳井正財団の奨学生としてUCLへ進学し、複数の分野を横断する学士課程(Bachelor of Arts and Sciences)で学びました。
周囲には、中国、アメリカ、韓国、レバノンなど、さまざまな国・地域から来た学生がいました。講義に加えて、10人ほどの少人数セミナーで意見を交わし、異なる文化や価値観に触れられたことが大きな魅力だったそうです。
授業では、事前に文献を読んだうえで議論に参加し、エッセイ、ポートフォリオ、フィールドワーク記録などの課題にも取り組みました。グループワークや共同生活を通して、遠慮するだけでなく、自分の意見や希望を言葉にして伝えることの大切さを学んだと振り返っています。
一方、予習や課題を抱え込み、心身の調子を崩したこともありました。その経験から、頑張り続けるだけでなく、休むことや、困ったときに周囲へ助けを求めることも大切だと感じたそうです。
留学生が多い大学でも、待っているだけで自然に交流が広がるとは限りません。特にUCLのような都市型大学では、教室や寮が市内に分散し、同じ学生と継続して会う機会が少ない場合もあります。
Lunaさんは、授業で自分の意見を伝えることに加え、サークルやイベントに参加し、自分から人と関わることで経験を広げていました。
大学を比較するときは、留学生の割合だけでなく、少人数授業、クラブ・サークル、寮など、学生同士が継続して交流できる機会も確認してみましょう。
▶ LunaさんのUCLでの授業・ロンドン生活・奨学金準備を詳しく見る

さな子さん|ファウンデーションコースを経て、歴史都市ヨークで美術史を学ぶ

さな子さんは、日本の高校を卒業後、ファウンデーションコースを経て、ヨーク大学の美術史学士課程(BA History of Art)へ進学しました。取材時には、中世美術を中心に学んでいました。
もともと洋楽や洋画、美術が好きで、ギャラリーなどを訪れながら美術史を学べるヨーロッパに魅力を感じ、英語圏のイギリスを選びました。なかでもヨークの豊かな自然や歴史的な街並みが、進学の決め手になったそうです。
大学では、講義で学んだ内容をセミナーで議論し、エッセイにまとめます。教会の宗教美術を、その背景にある歴史や宗教と結びつけて考えるなど、作品が生まれた時代まで掘り下げて学びました。
英語でエッセイを書くことには苦労しましたが、3年間を通して力がついたと振り返っています。また、ヨークの厳しい冬にも、現地で生活を続けるなかで少しずつ慣れていったそうです。
大学選びでは、コース内容だけでなく、その街でどのような文化や環境に触れられるかも大切な比較ポイントです。
さな子さんは、美術史を学びたいという希望に加え、歴史的な街並みが残るヨークの環境にも魅力を感じ、進学先を選びました。
自分の専攻や関心と街の文化・産業につながりがあるか、そこで無理なく生活を続けられそうかも確認してみましょう。
▶ さな子さんのファウンデーション・美術史の授業・ヨークでの生活を詳しく見る


イギリス大学留学が向いている人・慎重に考えたい人
イギリス大学留学に向いているかは、英語や成績だけでは決まりません。
学びたい分野、予算、学習スタイル、卒業後の目標との相性で考えましょう。
| 向いている人 | 慎重に検討したい人 |
|---|---|
| 学びたい専攻がある程度決まっている | 入学後に幅広く学んでから専攻を決めたい |
| 自分で文献を読み、考えを深めたい | 授業中に手順を細かく教えてもらう方が学びやすい |
| 短い期間で学士・修士の取得を目指したい | 長期のインターンや専攻変更の余裕を重視したい |
| 異なる意見を聞き、自分の考えを伝えたい | 発言や助けを求めることに強い負担を感じる |
| 卒業までの予算を現実的に準備できる | 奨学金や現地アルバイトがなければ費用が成立しない |
「慎重に検討したい人」に当てはまっても、すぐに諦める必要はありません。これは向いていないという判定ではなく、大学やコースを選ぶ前に、何を確認し、準備すればよいかを知るための目安です。
例えば、ファウンデーションコースで大学の学び方を準備する、複数分野を学べるコースを探す、大学の学習支援を確認する、費用の異なる大学や都市を比較するなど、自分が不安に感じる点から対策を考えてみましょう。
イギリス留学は「やめとけ」と言われるのはなぜ?
イギリス留学を「やめとけ」と言う人が挙げやすいのは、学費・生活費の高さ、課題の多さ、天候への適応、卒業後の就職が保証されないことなどです。
いずれも実際に確認すべき注意点ですが、これをもって「留学に価値がない」と結論づけるのは早すぎます。
大切なのは、自分にとって負担になりそうな条件を、出願前に具体化しておくことです。
- 費用が心配:奨学金なしでも卒業まで払えるか
- 授業が心配:週の学習時間と評価方法は自分に合うか
- 英語が心配:入学基準に加えて、アカデミック英語の準備ができるか
- 就職が心配:専攻と希望職種がつながり、経験を積む機会があるか

英語や成績に自信がなくても目指せる?
「今の英語力や成績では、イギリスの大学は難しいかも」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、イギリスの大学は、現在の英語力や高校の履修歴だけで進学できないと決まるわけではありません。大学やコースによっては、ファウンデーションコースなどを経て、段階的に学部進学を目指せるルートもあります。
実際に、Rionさんとさな子さんも、ファウンデーションコースを経てイギリス大学へ進学しました。Rionさんは日本でIFYを修了してマンチェスター大学へ、さな子さんはヨーク大学のファウンデーションコースを経て美術史学士課程へ進んでいます。
ファウンデーションコースの入学条件はプログラムによって異なりますが、さな子さんは、入学時の英語力がIELTS 5.5だったと話しています。
※IELTS 5.5で、すべてのファウンデーションコースに入れるわけではありません。必要な英語スコアや成績、修了後に進める大学・専攻、学部への進級条件は、プログラムごとに異なります。
現在の英語力だけで諦めるのではなく、自分の履修歴や成績から利用できる進学ルートと、その先の進学条件を確認することが大切です。
日本の高校から利用できる進学ルートと必要な条件は、イギリス大学の5つの進学ルートと入学条件で詳しく解説しています。

イギリス大学留学が気になり始めた方へ
ここまで読んで、「イギリスの大学に興味はあるけれど、自分にも目指せるのかな」「何から調べればいいのだろう」と感じている方もいるかもしれません。
この段階で、志望大学や専攻まで決まっている必要はありません。まずは、現在の成績・履修歴・英語力・予算から、どのような選択肢があるのかを整理することから始められます。
There is no Magic!!の並走型・海外大学出願進学サポートでは、志望国や専攻が決まっていない段階から、一人ひとりに合う進学の方向性を一緒に考えています。
- イギリス大学留学が自分に合っているか知りたい
- 日本の高校から利用できる進学ルートを整理したい
- 興味のある分野から、大学や専攻を探したい
- 学費や奨学金を含めて、実現できるか考えたい
- 今のうちに何を準備すればよいか知りたい
進みたい方向が見えてきた後は、大学選び、英語試験、出願書類、面接、奨学金準備まで、必要なステップを継続してサポートします。
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終わりに:イギリス大学留学を「憧れ」から具体的な選択肢へ
イギリス大学留学に憧れを持つことは、海外進学について考え始める大切なきっかけになります。
その憧れを具体的な進路につなげるには、何を学ぶのか、どんな授業を受けるのか、卒業までにどのくらいの時間と費用がかかるのか、卒業後にどんな進路があるのかを知り、自分の希望や条件に合っているかを考えてみることが大切です。
イギリス大学留学に魅力を感じた方は、次に、日本の高校からどのように進学するのか、どのくらいの費用がかかるのか、いつから何を準備すればよいのかを見ていきましょう。
以下の総合ガイドでは、進学ルートから大学選び、出願準備まで、イギリス大学留学を考えるうえで知っておきたい情報をまとめています。憧れだけで決めず、不安だけで諦めず、自分に合う進学の可能性を具体的に考えるために、ぜひ続けて読んでみてください。
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