




私が英語学習を開始した21歳の時はTOEIC00点でした。英文科出でもなく、海外留学の経験もありませんが、日本で英語学習を続け、今では英検1級・TOEIC950を取得しています。
そんな私がそんな私が英語力をアップさせるために取り組んでいた学習法が、シャドーイングです。
ただ、やり方を間違ってしまうと、思ったような成果が上がりません。
今回は、英語学習初級者の方〜TOEIC500前後の方向けに、正しいシャドーイングの方法をお伝えしたいと思います。私の失敗談も交えながら、この記事を参考にして頂ければ幸いです。
この記事の著者:アキコ
21才から英語学習を始め、苦節20年の末、英検1級・TOEIC950を取得。二女の母。会社員を脱サラし、現在は英会話のホームティーチャーをするかたわら、クラウドワークスで、英語に関わるお仕事を請け負っている。
シャドーイングの質を高めよう!毎日プロが添削、シャドーイングのお供にシャドテンアプリ。
シャドーイングとは?

シャドーイングとは?
シャドーイングとは、聞こえてくる英語の音声を間髪入れずに声に出してマネをすることです。
ぴったりと置いていかれないようにフォローすることで、影のようについていく(シャドーイング)と言われています。
なぜ今シャドーイングが重視されているのか?
私がこのシャドーイング学習を始めたのは、16年前くらい前のことでした。
その頃は、私も「シャドーイングって何?」という状態。それが今では、子供向け英会話教室でも必ず取り入れられているほどのメジャーな学習法となっています。
ではなぜ、これほどシャドーイングが取り入れられるようになってきたのでしょうか?
私が思うに、シャドーイングは言語を習得する上で最も理にかなった学習方法だと思います。
英語の授業といえば、まず単語を書いて覚え、英文を読み、英作文をしてみたり、英文を日本語に訳してみたり、文法を覚えてテストでバツになり、英語嫌いになるというスパイラルが今現代も行われているのですから、いかに学校の授業で英語を「聴くこと」を重視していないことがお分かりいただけると思います。
ですが、日本語を習得した時はどうでしょう?
赤ちゃんはもちろんまだ話せませんから、パパやママの話す言葉を 一生懸命「リスニング」していたはずです。
そして1歳を過ぎる頃、今まで浴びた大量の日本語を「アウトプット」するようになります。
日本語の読み書きを始めるのは、おそらく5〜6歳くらいからですから、それまではリスニングだけで十分コミュニケーションは取れていたはずです。
シャドーイングは、この、最もスタンダードな言語の習得方法である「聞いて真似る」を行うものですから、人間の言語習得プロセスに基づく、最も効果のある学習方法だというわけです。
ディクテーションとの違い

すでに英語学習を始めている皆さんは、ディクテーションという方法をすでに取り入れているかもしれません。
ディクテーションとは、聞こえてくる英語の音声を正確に聞き取って、一言一句書き出すことです。
聞こえない音は何度も何度も聞いて、聞こえるまで(わかるまで)くり返します。
リスニング力は飛躍的に上がると思いますが、音声を聴いて書き起こす事でどうしても時間がかかってしまいます。
加えて、TOEIC500レベルの方が、英検1級レベルの単語を聞いた場合、なじみがなさすぎてスペルの想像がつかず、何度聴いてもわからない、という事になってしまいます。
感覚的に2分程度の英語の音声でも、全部書き起こすのに1時間近くかかるのではないでしょうか。
これに対して、シャドーイングの場合は、音声を聴く・口で発して真似をする、の非常にシンプルな工程です。
わからない単語があっても巻き戻す必要はありません。数回やってみてわからなかった単語は後からテキストで確認すればOKです。
- 音声を聴いてできるだけ真似る勉強法
- 本来の語学勉強法と同じ勉強法
- ディクテーションと違い、文字を書かなくて良いので効率が良い

シャドーイングの注意点

自分のレベルに合った音声教材を使おう
これは私も過去に何度も挫折しそうになった事ですが、いきなり海外ドラマや映画、ネイティブ同士の会話の音声などで練習しようとしてはいけません。
私も、まだTOEIC500台の時に、「イングリッシュジャーナル」という、ハリウッド俳優のインタビュー音声が入っている教材を買っていました。
当時は、レオナルド・ディカプリオといった俳優さんの生の音声が聴けるので嬉しくて、シャドーイングをしようとしました。が、全く何を言っているのかわからないのです。
これが映像であれば、表情などからもう少し理解できたかもしれませんが、とにかくボソボソ、モゴモゴと話したり、(mumble)音の欠落や、文法の省略(主語を言わない、接続詞がない等)が多いのです。
日本語の習得過程を思い出してほしいのですが、初めて見たメディア映像といえば、教育系の番組ではなかったでしょうか?はっきりと発音された、簡単な単語で構成された、短い文だったはずです。
基本を飛ばして、いきなり大人の世界の会話を聞くのは、たとえネイティブの幼児でも何を話しているのか理解できませんし、知らない言葉ばかりでは真似する事ができません。
まずは自分のレベルをしっかり把握するために、試しに英検やTOEICを受けてみましょう。最近では、手軽に模試が受けられるアプリもあります。そして、自分のレベルに合った教材を選ぶことが何より大切です。

シャドーイングを日課にする
シャドーイングは数回やったくらいではできるようにならないので、毎日の日課に組み込むことをお勧めします。
私は、犬を飼っているので、毎朝・毎夕の散歩中に、各30分、1日合計1時間をシャドーイングすることにしていました(今も、もちろん継続中です)。
シャドーイングは基本的に、テキストを見ずに音声だけを聞いて行うものなので、歩いていてもできますし、(さすがにランニング中は難しいと思います・・)運転中でもできます(安全にはくれぐれもお気をつけください!)。
散歩中にシャドーイング、入浴中にスマホをジップロックに入れてシャドーイング等、ご自身の日課の中で、シャドーイングを並行してできそうな日課を見つけ出し、今日からでも始めてみてください。

シャドーイングがもたらす効果

リスニングの上達
すでにディクテーションを続けられていた読者の皆さんには申し訳ありませんが、実は、シャドーイングが最もリスニング力が向上します。
断言できます!理由は、英語の音に集中、いえ、「全集中」できるからです。
シャドーイングは、聞こえてきた英語の音をすぐに真似して、一語も落とさずに遅れないようについていく方法です。うっかり気を抜くをすぐについていけなくなります。
この危機感から、「絶対攻略しよう!」というゲーム感覚にも似た闘争心を持って、英語の音に集中できるようになります。
シャドーイングせずにリスニングしているだけだと、すぐに意識は別のところに行ってしまいます。
聞いているけど、聴いていない状態になります。シャドーイングできていると言うことは、しっかり聴けていると言うことです。
事実、私がシャドーイングを始めてからTOEICのスコアは、約2年の間にリスニングが325から、425にアップしています。



一番時間効率のいい学習法
シャドーイングは、基本的に英語の音声さえあれば、「ながら」でできてしまいます。今はスマホで音声はいつでも聴けますし、便利なワイヤレスイヤホンもあります。
社会人の皆さんであれば通勤中の電車の中、車での出勤中、時間に余裕のある方なら散歩中、などなど。テキスト開いて、長文を訳したり、単語帳の意味を覚えたり、単語を書いて覚えたりする必要ないんです。
しかし、聴いて・その音を真似して口から発するで事で、脳には確実に定着しています。
私は20年以上英語学習を続けていますが、ひたすら単語を書いて例文を書いた単語よりも、ながらシャドーイングしていた時の方が圧倒的に記憶に残っているのを実感してい ているからです。
私は基本的に、朝晩の犬の散歩中にシャドーイングを行うことを日課にしていましたが、TOEICの試験が迫ってきた時や、英語学習のモチベーションが上がってきた時は、朝・晩の食事の支度をしながらシャドーイング、と言うのもやっていました。

おすすめの教材

旺文社 文で覚える単熟語

20年以上に及ぶ英語学習の中で、本当に様々な音声教材を試しましたが、最後に行き着いたのは英検と言えばの旺文社、「文で覚える単熟語(文単)」です。
こちらは5級から1級までありますので、ご自身の英語レベルに合わせて級を選んでもらえれば大丈夫です。5級・4級は「絵で覚える単熟語」になっています。
こちらをアプリ教材で聞いてもいいですし、アナログにCDをダウンロードし、スマホなどに落としても聴いてもいいです。
この教材の一番いいところは、やはり、各レベルに合った難易度の単語や文の長さで構成されていることです。
私も経験した失敗ですが、TOEICのスコアを上げたいばかりに、TOEIC500点台だったのにも関わらず、TOEIC公式問題集のCDのリスニング音声を使ってずっとシャドーイングをしていましたが、やはり難しすぎました。理解度としては半分も聞き取れていなかったと思います。
これではシャドーイングしようにも知らない単語ばかりで全くついていけず、苦痛だけが残ります。
結果、モチベーションが低下し、挫折してしまうでしょう。ですから、無理せず、背伸びせず、ご自身のレベルに合わせて、5級からでも始めてみましょう。
目安としては、半分以上聞き取れているな、という実感があれば大丈夫です。パス単との比較もよくされますが、シャドーイングの効果としてはどちらでも大丈夫です。
ただ、準1級くらいを目指すようなレベルになると、文単の方がいいと思います。
文単は1つのトピックごとに2分程度の音声で記事が構成されており、1記事の中で各級で必須の単語・熟語が20程度含まれています。
この2分程度の音声というのもポイントです。長くなればなるほど、集中力が続かなくなるので、2分くらいが続けやすい目安です。
スクリプトと対訳もあります。文単のいいところは、トピック数が豊富ということです。「自然・環境」「医療・テクノロジー」「社会・経済」などといった多岐にわたるテーマで100近くの記事があります。
もちろん全て事実に基づくものです。様々なジャンルの記事を読んで、知識を増やしておくことは、今後、難易度の高い英語試験を受ける時に、必ず役に立ちます。
旺文社 出る順・パス単

次に、よく比較される「出る単・パス単」もオススメです。
文単と同じく、各級のレベルに合わせて構成されていますので、心が折れないレベルから始めることができます。こちらは、各級に必須の単語と、その例文が延々と続きます。対訳もあります。
こちらも1トラック2分くらいで、10個くらいの例文が含まれていますので、全ての例文を覚えるつもりでシャドーイングに集中できます。
私の印象では、単語と熟語を覚えることのみに特化している印象で、背景知識を増やすことは向いていないように思います。

具体的なシャドーイングの手順

まずはひたすら音声を聞いて真似する
音声をスマホで用意し、通勤中の電車内でやる、と決めたとしたら、準備はほぼできました。
テキストは見ずに、音声を流し、すぐにシャドーイングしてみましょう。発音しづらいところや、何の単語かわからないところがあっても気にせずそのまま続けます。
1サイクル目が終わっても2サイクル、3サイクルと何度も繰り返します。繰り返していくうちに、ついていけなかったところもついていけるようになります。
テキスト(サブタイトル)を確認
10サイクル以上はやったな、と実感したらテキスト(サブタイトル)を確認しましょう。
そこで、なんて言ってるのかわからなかった単語を確認しましょう。きっと、「え?このよく知ってる単語だったの?見ればわかるのに・・」という驚きがいくつかあるはずです。
全く知らない単語だった場合は、必ず辞書で意味や例文を確認しておきましょう。
次は、聞き取れなかったところを意識してシャドーイングしましょう。今度は、その単語の音と、単語の意味がしっかり紐づいて、聞こえるようになっているはずです。
単語の意味も確認しているので、全体の意味も理解できるようになっているはずです。
シャドーイングの精度を上げる(オーバーラッピング)
意味も理解できるようになった、何とか単語は全部言えるようになった、と実感してきたら、少し精度をあげてみましょう。
今までは、英語の音声に少し遅れて真似していたところを、全く同じタイミングでかぶせて(オーバーラップ)合唱するようにします。
するといくつか必ずズレてしまうところがあることに気付きます。シャドーイングするだけだと、もはや英文として記憶で覚えてしまっているため、自己流の発音でついて行っていたところが、オーバーラップすることでアクセントのずれや、音の違いにも気づく事ができます。
このずれた所を意識して何度も音声を聞きましょう。ご自身の発音との違いに気づく事で、ネイティブ発音のを習得することができます。
大切なのは、適当なところで「大体ついていけるようになったから次のトピックに行こう」と妥協しないことです。うまく言えない単語や連語は大体決まっています。
ですから、この先何度も苦しめられることになります。例えば、statistically, は相当発音が難しい単語です。
こう言った音は、ネイティブはどう発音しているのか?なんで彼らはこんなに早く言えるのか?と、ハングリーに何度も聞いて、ご自身の発音との違いを分析し、正確に真似してみましょう


モチベーションを維持しよう
毎日の日課に組み込んでいても、モチベーションが下がることは当然あります。英語の音声を聞くために、ヘッドホンを取り出し、耳に入れることすら面倒くさく感じることもあるでしょう。
私も何度もこの波を経験してきました。でも、そんな時は、30分とは言わない、10分だけでもやってみよう、と自分を励ましてください。
シャドーイング時間が0の日を作らないようにしてください。0が続くと、再開する時に相当な負荷がかかります。ものすごく腰が重くなります。
「30分はしんどいけど、10分ならできるよね?」と自分で自分を奮い立たせ、せっかく始めた継続を切らさないでください。

- 音声を聴いてできるだけ真似る
- テキストで聴き取れなかった箇所を確認
- シャドーイングの精度を上げる(オーバーラッピング)
- 1〜3を毎日繰り返す
まとめ
シャドーイングについて、いかがでしたでしょうか?
いかに効果のある方法かお分かり頂けたかと思います。時代は変わり、英語学習は大量のテープ教材を寝ながら聴いたり(本当に聴いているのか?)、お手製の単語帳をペラペラめくって英語→日本語、日本語→英語に訳してみる方法は時代遅れとなっています。
スマホでいつでも英語音声にアクセスできる時代です。これを利用しない手はありません。
効果は私が実証済みですので、ぜひ、明日からでも取り入れてみてください!
ディクテーションはリスニングの向上に寄与するとのことですが、シャドーイングもメインの効果はリスニングの向上かと思います。そのため、シャドーイングとの学習効果・コスパの違いなどをもう少し説明するとよいかもしれません。




